人狼議事


241 The wonderful world -7days of KYRIE-

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視点:


【人】 許婚 ニコラス

──Judgement day──

[ ──ここは、どこだろう。

 と、ニーナは思って、周囲を見回した。

 いつからここにいるのかも、
 どうやってここにきたのかも、
 何も思い出せないまま、ただ不思議そうに。

 果てしなく空間が続くかのように
 ただ、白一色の世界。

 唯一モノと呼べるのは、
 王座>>1くらいのものだろうか。

 奇妙な空間への疑問は、
 じきに、男の口から語られる。]
 

(11) nabe 2018/05/27(Sun) 18時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ──ああ、
 どうやらゲームはクリアされたらしい!

 そのことについて、
 悔しいと思う気持ちがないわけではないが、
 全滅よりよっぽどいいじゃないかと
 ニーナは素直に思った。そういうたちだ。

 最後の最後の無謀なパスも、
 どうやら受け取ってもらえたようだし。

 圭たちの姿に、ニーナはこっそりと
 にいっと笑って握っていた手の親指を立てた。]
 

(12) nabe 2018/05/27(Sun) 18時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ 脱落したはずの自分たちが
 ここに呼ばれた理由というのも、
 ニーナは薄々察して、静かに言葉を待った。

 横目で、他の脱落者たちを見て──、
 知っている顔ばかりだ、と。
 意外なような気もするし、
 途中からまったく顔を見なかった面々、
 ああ、やはりと思う部分も勿論ある。

 男の話に、ニーナは成る程と思ったし、
 裁定の基準に、これまた「 やはり 」とも。
 与えられた選択肢の幅にも、
 言ってしまえば、疑問はなかった。

 一度死んだ者と二度死んだ者の間に
 どうしようもない隔たりはあってしかるべきだ。
 それが、努力や運への”対価”だろうし。]
 

(13) nabe 2018/05/27(Sun) 18時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ だから、ニーナは従順な駒だったろう。
 ふうん、と頷きながらその言葉を聞いて考え込んだ。

 さして理不尽なルールでもない。
 白一色の部屋じゃあ、不利というのもあるし。]

 ……つまり、
 まだ私たちの手元に残ってる──、
 この、ホーリーバッジ、
 ひとつめのゲームでの働きへの対価は
 まるでなんの意味もないってことかな?

[ せっかく大事に持っていたのに!
 ( パートナーが呑んだ分については
   ”持っている”と呼べるか分からぬが )

 掌の中でバッジを弄びながら、
 ニーナは含みのある言い方で、首を傾げて笑った。]
 

(14) nabe 2018/05/27(Sun) 18時頃

【人】 許婚 ニコラス


 ──何にせよ、
 その選択肢の中から選ぶなら
 私は、もう一度このゲームに挑戦する

 ジリヤ、それでいいよね
 それとも、何か良い”おねだり”がある?

[ 他のペアの人間が誰も、
 2ポイントの支払いができないことなんて
 ニーナだってとうに気がついていたけれど。

 ニーナは生きたかったのだ。
 他人を蹴落としてでも、勝ちたかった!
 一番が自分だなんて、わかりきったことだろう。

 そこには自覚のあるニーナだから、
 できることなんて、せいぜい
 おねだりや新たな道を探ることくらいだ。]
 

(15) nabe 2018/05/27(Sun) 18時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ……だから、くるりと脱落者の方に向き直って、
 ニーナはやっぱり静かな調子で口を開く。]

 ……差し出がましいようだけれど、
 ”選択肢が増えないのであれば”、
 私には、1ポイント余剰があるみたいだ

 これを腐らせずに使ってくれる
 ……ってひとが、もしもいるなら、
 申し出てくれれば、譲渡する

[ 試合後にガッツポーズをしないのと同じで、
 露骨に感情を見せるというのは、
 相応しくない振る舞いだと、ニーナは思った。

 ……とはいえ、1ポイントの使いみちなど、
 現状、「片方だけが再挑戦する」くらいしか
 思いつかないというのが、正直な所だけれど。]
 

(16) nabe 2018/05/27(Sun) 18時頃

【人】 許婚 ニコラス


 ──それとも、
 ねえ、仮面のコンポーザーさん
 私の1ポイント分の”価値”に、
 何か特別に”対価”をくださる?
 

(17) nabe 2018/05/27(Sun) 18時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ゆっくりと、両頬を均等に持ち上げて
 ニーナは優雅に微笑んだ。誰かの真似事だ。
 ニーナが焦がれてやまなかった誰かの。

 それから、「 やっぱりガラじゃないなあ 」と、
 すこぅし、照れたように頬を掻いた。]
 

(18) nabe 2018/05/27(Sun) 18時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ そのあと、
 ニーナはローファーで白い床を叩いて、
 そこにいたひとり──マユミへと歩み寄り、
 掌を上に、手を差し出した。

 右掌の上、ホーリーバッジが一枚。]

 ……受け取ってもらえるかな

 もし、もう何も意味を持たないとしても、
 これは、君が持つべきものだと
 君の努力への対価であると、私は思うから

 …………ただの、自己満足だけどさ

[ そう呟いて、ニーナは首を傾いだ。*]
 

(19) nabe 2018/05/27(Sun) 18時半頃

【人】 許婚 ニコラス


 ああ、うん
 充分だ、ありがとう

[ ホーリーバッジはひとつ0.3pt、
 充分な対価と、ニーナは思った。

 ……呑み込んだ分はどうなってるって?
 ニーナにはそんなこと分からなかったけれど。

 預かっていたマユミの分をひとつ渡して、
 ニーナの手元にバッジはないけれど、

 何事もなかったかのように差し出された7つ>>34
 ( 一瞬、手に取るのを躊躇したのが
   どうか悟られないことを祈って! )

 どうしようか。
 自分たちには必要なものでもない。]
 

(35) nabe 2018/05/27(Sun) 21時半頃

【人】 許婚 ニコラス


 ──余剰のポイントについては、
 もう少し考えさせてもらってもいいかな?

 その対価はとても魅力的だけれど
 今直ぐに答えが出せそうにないや

[ 交渉に赴く花屋の王子様を横目に、
 すこぅし考える素振りを見せて、笑った。*]
 

(36) nabe 2018/05/27(Sun) 21時半頃

【人】 許婚 ニコラス


 ──そうだね、私の1ptについては
 君のいうとおり、だとしよう

 でも、こっちのバッジについては、
 私たちふたりに、その権利があると思うけど?

[ 7つ。差し出されたバッジを
 指で弄んだりしながら、ニーナは言う。

 ニーナの知る由もないが、
 ”残っていた”時間が長い分、
 手元に残ったバッジも、そりゃあ多い。

 ( それから、誰にも獲られぬようにと
   守り抜く警戒心があった分! ) ]
 

(41) nabe 2018/05/27(Sun) 22時頃

【人】 許婚 ニコラス


 ……ああ、それと
 ごめんね、質問がもうひとつあった

 コンポーザーさん、
 この”ゲーム”の生き残り人数って
 毎回同じ……なのかな?

[ 変わらぬ口調で問うたけど、
 目は多分、笑っちゃいなかったんだろう。

 だって言うなら
 ニーナは悪人ではなかったとしても
 お人好し、とまではいかない。多分。

 答えに依っちゃあ、そりゃ
 振る舞いも変わるさって、
 あくまで物腰の柔らかい、笑顔。]
 

(42) nabe 2018/05/27(Sun) 22時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ 今度こそ、ニーナからの質問は以上だ。
 ……多分。このあと状況が変わらなければ。

 だから、ニーナはジリヤのとなりで
 ただの世間話、みたいに会話でもしてよう。]

 ──それにしたって、君ってば
 もう”他人の記憶”なんて盗られたくせに
 これ以上、何を喪うって?

[ 冗談めかして、ニーナは笑った。]

 今度こそ、私が君を忘れる番かも

[ だから何って訳じゃあないけれど。
 ……何って訳じゃあないというか、
 あまり心配していない、と言うべきか。]
 

(43) nabe 2018/05/27(Sun) 22時半頃

【人】 許婚 ニコラス


 ……サイキックをもうひとつ、は
 魅力的な条件だよなあ

[ ああ、なんせ
 使い勝手はよかったが、
 どうにも応用のきかない力だった!

 マユミのサイキックを見て思ったもんだ。
 刀身の伸び縮み以外にも、
 せめて、曲がるとか、なんとか
 多機能であれば助かるんだけどなって。

 或いは、万が一にでも次に
 四肢でも盗られちゃ敵わない。

 色々と思うところはあって、思案顔。*]
 

(44) nabe 2018/05/27(Sun) 22時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ まさかジリヤが心の中で
 豚に庶民的な名前をつけているなど知らず、
 ニーナは向けられた視線>>47に瞬き。

 ゆうっくりと、瞳が細められた。
 空色の面積がうんと狭くなって、
 ほんの一瞬、ニーナは
 大事ななにかを見失ったような気がして、

 反面、ニーナの薄曇の青は
 まあるく見開かれたんだろう。]
 

(66) nabe 2018/05/28(Mon) 00時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ──花園の一番の花 は、
 春の空を瞳に宿して柔らかく笑んだ。
 どんなに親しげに微笑んだって、
 月は手に入らないし、空は遠いもの。]
 

(67) nabe 2018/05/28(Mon) 00時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ── けれど、それも一瞬のこと。]
 

(68) nabe 2018/05/28(Mon) 00時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ──冗談だよ、とニーナも笑った。

 ゆるぅく立てた人差し指を
 軽く唇のあたりに持ってくるのが
 ニーナの癖、と言ってもよかった。

 目まぐるしく、交渉と会話が繰り返される中で、
 ニーナはやっぱりのんびりとした調子で言う。]

 ……まあ、でもさ
 たとえ君のことなんか
 きれいさっぱり忘れていたって

 きっと私は雑踏の中から君を見付けて
 私のパートナーになってほしいと言うよ

[ なんでって? 大した理由はない。
 だから、ニーナは首を傾いで、悪戯っぽく笑った。]
 

(69) nabe 2018/05/28(Mon) 00時頃

【人】 許婚 ニコラス


 ……だって、ほら
 君と私、並ぶとなんだか縁起がいいだろう
 金と銀、みたいでさ! *
 

(70) nabe 2018/05/28(Mon) 00時頃

【人】 許婚 ニコラス


 ──へえ、ありがとう

[ ニーナはコンポーザーとやらにも笑んだ。
 なるほど、と頷くしかない答え>>57である。

 不機嫌そうな王子様>>58と違って、
 笑みを絶やさないのは、
 生きている選択肢ゆえ、とも
 それがニーナなりの鎧であった、とも言う。

 その笑みのまんま、
 今度こそ答えが帰って来ないことも予測して、
 さらりと続けて口を開いた。]
 

(71) nabe 2018/05/28(Mon) 00時頃

【人】 許婚 ニコラス


 じゃ、もうひとついいかな
 次の死神のゲームの生き残り人数は?

 ……或いは、ここで私達6人が
 全員、なんらかの手段でポイントを得たとして、
 再チャレンジの権利は必ずしも
 ”次の”ゲームである必要はあるのか

[ 図々しくって悪いね、と
 悪びれもしない笑顔で、
 弄んでたコインを一枚弾いた。

 さて、表裏でどうしてやろう
 ……なんて、考えてもいないけれど。*]
 

(72) nabe 2018/05/28(Mon) 00時頃

【人】 許婚 ニコラス


 そりゃあ、
 一度は同じ物語に身を置いたんだ
 仲間意識のひとつも芽生えるさ

 それに、本当に偶然だけれど
 私はこのひとたちを"知っている"からね

[ 怪訝そうな顔があるなら、
 ニーナは順に指差してやっただろう。

 彼女は歌が上手くて有名だった。
 彼は本屋さん、花屋のお兄さん、
 それから、消防士さん、だよね、と。

 ふふ、と笑って、
 ニーナはやっぱりそうっと
 人差し指を一本立てた。]
 

(94) nabe 2018/05/28(Mon) 02時半頃

【人】 許婚 ニコラス


 ──なにより、
 次回の"枠"が保証されるなら
 私にとってこんなに有利なことはない

 次のゲームは少しは容易いだろうと
 言ったのは他でもない、貴方じゃないか!

 私たちには、ふたり、ないしは
 三人に分け与えるだけの余剰があるんだ

 心強い"協力者"をそれで得られるなら
 サイキックやエントリー料にも
 勝るとも劣らない"対価"だと思わない?
 

(95) nabe 2018/05/28(Mon) 02時半頃

【人】 許婚 ニコラス


 ……だから、
 このゲームの記憶がある限り、
 再挑戦組の生存を目指す──、

 ……なにも、他の参加者を蹴落とせとか
 そういうんじゃあなく、

 ミッションの遂行やバッジの分配
 "裏切らないこと"、

 たとえ次の参加者の中に
 家族や、友人や、恋人がいても
 最後の枠に、共に残ることを目指す

 そういう約束をしてもらえるのであれば、
 ポイントの譲渡は悪い手じゃないって
 そう考えたんだけど、……残念だなあ
 

(96) nabe 2018/05/28(Mon) 02時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ あはは、と今度はコンポーザーに向けて、
 ニーナは照れたように、頬に手を添えた。]

 ──そういう、少し変わったゲームも、
 面白がってくれるんじゃないかと思ったんだけど

 なんだか他にも方法はあるみたいだし
 こんなんじゃあ、打算まみれの譲渡なんか
 誰も受け取っちゃくれないね

[ バッジの受け渡しや、
 "願い事"の使い道について、
 交渉が交わされるんじゃあ敵わない!

 ( 尚、何気なく出てきたレアバッジに
  一瞬、笑顔が剥がれかけたが持ちこたえた )]
 

(97) nabe 2018/05/28(Mon) 02時半頃

【人】 許婚 ニコラス


 ──私はただ、自分が生きたいだけだよ

[ すうっと細めた曇り空めいた目で、
 コンポーザーをまっすぐ見据えて呟けば、

 ……あとは、お声でもかからない限り
 ジリヤとポイントの使い道について
 話し合いでもしていようか。**]
 

(98) nabe 2018/05/28(Mon) 02時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ゆっくりと、時が動き出したようだ。
 ──と、ニーナは思った。

 各々がコンポーザーに投げる問い、
 パートナー間での話し合い、些細な暴力。
 広げられていくルールを傍観する死神たち。

 ひとつの舞台の上、目まぐるしい展開に、
 ──グランドホテル、という言葉が過って、
 ニーナは群像の一角に過ぎない、と。

 そしてその小さな個体は、
 差し向けられた納得の色>>101に、
 意外なものを見たかのように目を瞠り、
 それから、”思わず”という風に笑いを零した。]
 

(147) nabe 2018/05/28(Mon) 23時頃

【人】 許婚 ニコラス


 ──って、言葉の真意をご存知?

[ 細められた双眸の奥で、
 ニーナは確かに笑っていたのだ!]

 ……ご好意はありがたく頂戴するよ

 再演の手配までしていただけるなんて
 これほど助かることはない

[ ご心配なく、協力者の調達までを
 他人に依頼するつもりなど毛頭ない。

 枠の確保までは叶わなかったとて、
 ニーナはもう充分であると思った。
 去り際はいつだって重要だ。]
 

(148) nabe 2018/05/28(Mon) 23時頃

【人】 許婚 ニコラス


 ──それから、
 質問の答えは、また今度会ったときにでも

[ 教えてもらえたらうれしいなあ、なんて。

 冗談めかして、スカートの裾を摘んだ。
 膝を折り、丁寧な一礼を以て、
 その一場面を終えることとする。

 願わくば、この舞台に相応しい
 ひとりの登場人物であれたことを。*]
 

(149) nabe 2018/05/28(Mon) 23時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ──さて、場面は変わって。

 ニーナはジリヤを見下ろし、微笑んだ。
 とられた手>>116に視線を落として、
 「 勿論 」と短く答える。首を傾ぐ。]

 ──君の背を預からせてほしい

[ 指切り、というのは些かちぐはぐに思えたが、
 求められるがままに、小指を絡めて。

 少し離れたところにいる”脱落者”>>117へと
 歩み寄るジリヤの背を、その場で見ていた。*]
 

(153) nabe 2018/05/28(Mon) 23時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ──”宣言”は、

 声高に響き>>152
 傍観を決め込んでいたニーナも
 不意をつかれたように、顔を上げた。

 ぐっ──と、不格好な声を上げ、
 ……つまりそれは、
 堪えきれなかった笑いだったのだけれど。]
 

(186) nabe 2018/05/29(Tue) 01時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ 武士か、とか。
 過った言葉はいくつかあったが、
 いずれも格好がつかないと呑み込み、

 ……いや、こみ上げる笑いに呑まれ、
 ニーナは只々俯いて笑っていたのだ。

 当然、ないしょのお話だなんて
 ──そんなものがあったことさえ!
 知る由もなく、肩を震わせて。]
 

(187) nabe 2018/05/29(Tue) 01時頃

【人】 許婚 ニコラス


 ……そう、だなあ
 じゃあ、追加でひとつ

 ──鴉が嫌いなんで、
 見かけた際には
 逃さず仕留めてくれたなら、
 私の心が少し、晴れる
 
[ ほとんど冗談のような言葉を紡いで、
 笑い疲れたニーナは、ほうと息をつく。

 それから、花屋の王子様と、
 ニーナの憧れた花との会話の最中、
 目を盗むように、少し背伸びをして、
 耳を貸せ、とジェスチャーで示して、
 武士──じゃなかった、黒で緋色の彼へ、]
 

(188) nabe 2018/05/29(Tue) 01時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ なんせ、もう
 ニーナたちの手元には
 次回の参加料を免除してもらうだけの
 余剰は残っていなかったし、

 ”このゲームの記憶がある限り”なんて、
 守れる気がこれっぽっちもしないのだ!

 ふ、とニーナは悪戯っ子みたく笑って、
 しいっと、「 ひみつ 」の仕草を見せる。

 ちらり、と白いふたりを見やって、
 「 それじゃあ、またいつか 」と、
 ジリヤの隣──定位置へ戻ろうとして、
 ふと、思い出したように振り返って笑った。]
 

(189) nabe 2018/05/29(Tue) 01時頃

【人】 許婚 ニコラス


 ……ああ、でも
 鴉をもう二度と見たくもないのは、本当 **
 

(190) nabe 2018/05/29(Tue) 01時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ 瞳に浮かんだ動揺の色>>237にも、
 ニーナには心当たりがなく。

 ああ、おかしな声を上げたからかしら。
 お恥ずかしいところをお見せしまして。

 コホン、とひとつ咳払いして、
 返ってきた疑問符にこくんと頷く。]

 ──そう、黒くて空を飛ぶ

[ 寧ろ他にからす、って、
 人名地名くらいしか心当たりがない。

 まあそんなのは些細なことで、
 ニーナはするりと立ち去ろうとしたんだけど。]
 

(252) nabe 2018/05/29(Tue) 22時頃

【人】 許婚 ニコラス


 ……ふうん、
 それじゃあ、期待してもいいかな?

 こう見えても、ひとを覚えるのは得意なんだ
 もしも貴方が忘れてたら──、
 生き返ってもビッグマウスって呼んでやる

[ くすくす、とニーナは笑った。]

 それじゃあね、消防士さん

 ……三度出会ったときには、
 ぜひ、名前を教えてほしい

[ 「 ひみつ 」のジェスチャー>>238
 それを確認して、ひらりと手を振った。*]
 

(253) nabe 2018/05/29(Tue) 22時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ──それから、

 ニーナは、自分の行先が決まれば
 この世界にはさして関心もなく、
 そして、勝者の権利に口出しをする気もなく、
 壁の花──とは言わなくとも、
 傍観者めいて、そこに立っていたのだけれど。]

 ──それ、私も気になるなあ

[ 響いたコンポーザー>>250の声に、
 ひょいと片手を挙げた。かるうい調子で。]
 

(257) nabe 2018/05/29(Tue) 22時半頃

【人】 許婚 ニコラス


 ……ちょうど、次こそ勝ち抜いた暁には
 スタンド・バイ・ミーごっこでも
 しようかと思っていたところだったんだ

[ 線路を歩いて、ロリポップでも歌って。

 ──ま、他のひとたちの
 同意が得られれば、の話だけれど

 ……私にとっては、
 ”コンポーザー”の記憶より、
 なぞなぞの答えのほうが随分魅力的だ

 ”話の内容を忘れようが”、
 約束したことは守ってくれるんだろ
 
[ 随分安い対価じゃないか、と
 ニーナは軽い調子で笑った。さて、他には。*」
 

(258) nabe 2018/05/29(Tue) 22時半頃

【人】 許婚 ニコラス

──Judgement──

[ その幕引きにて、
 ニーナはジリヤのとなりに立って、
 ”王子様”の素振りで微笑んでいた。]

 ──ああ、勿論!
 君こそ、出会い頭に
 物騒なものを突きつけてくれるなよ

[ 悪いが、最後の一言も
 決して冗談じゃあなかった。ニーナにとっては。

 常と変わらぬうっとりとした笑み>>256に、
 ニーナも口角を持ち上げて笑って、
 きっとまた、世界は暗転するのだろうし、
 つまりそれは、ひとつの舞台の終わりである。*]
 

(260) nabe 2018/05/29(Tue) 22時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[  ──── 幕が上がる。  ]
 

(265) nabe 2018/05/29(Tue) 23時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ 最期に、見たくもないものを見た。

 ……という記憶はあって、
 そう、例えば明日死ぬのなら、
 最期に見るのは、愛する者の顔であるとか、
 尊い思い出に刻まれた場所、
 思い入れのある物語のワンシーン、
 或いは──どこまでも広がる青空、と

 そんな夢想ならば何度となく繰り返したが、
 仁衣奈が最期に見たものなど、
 見知らぬ男の不愉快な面であるとか、
 ただ黒いばかりの黒い鴉が
 柔らかな青色を分断する様であった。]
 

(266) nabe 2018/05/29(Tue) 23時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ 仁衣奈はその男を心底恨んだし、
 どうかせめて、とっとと警察に捕まって、
 社会から罰を受けて欲しいと願った。

 きっと、仁衣奈の迎えた結末に
 両親はどうしようもなく打ち拉がれ、
 行き場のない怒りや虚しさを抱えて
 これからも、仁衣奈が生きたよりもずっと長く、
 この世を生きていくのだろう。

 ────嗚呼、なんてすばらしい世界! ]
 

(267) nabe 2018/05/29(Tue) 23時半頃

【人】 許婚 ニコラス

──中央エリア/スクランブル交差点──


[ それは、二度目の開演。
 ……などと、ニーナが思うことはなかった。]

 

(268) nabe 2018/05/29(Tue) 23時半頃

【人】 許婚 ニコラス

──1st day/スクランブル交差点──

[ ゆっくりと身体を起こす。

 確かに、死んだはずだった。
 死ぬ間際に、もしも時間が巻き戻せるとして、
 自分は違う道を選ぶだろうか、なんて
 あまりに馬鹿げたことを考えた記憶はある。

 ……あのとき、向かわなければ、
 あの子猫はどうなっていたって?
 きっと、”もう一度”のチャンスがあっても、
 同じ行動を取っただろう、と私は思った。]
 

(269) nabe 2018/05/29(Tue) 23時半頃

【人】 許婚 ニコラス


 ……これは、一体?

[ ここはどこだ、と周囲を見回すと、
 馴染みのある街並みが視界に飛び込んでくる。

 鈍く痛む頭でさえ、「 知っている! 」と、
 力いっぱいに告げてくるのだから、
 よほど、馴染みのある土地なのだろう。]
 

(270) nabe 2018/05/29(Tue) 23時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ……学校帰りに遊んだ記憶も、
 商店街の催しに参加した記憶もあるのに、
 どうして、そんな経験があるのか。
 根本的な理由は、思い出せそうになかった。

 眉を顰めて、一先ずその場で立ち上がる。

 制服のスカートを軽く払った。
 黒色だから、汚れがやたらに目立つのだ。
 リボンタイの形を整えて、
 そういえば、死んだはずのあのときも、
 学校帰りで制服を着ていたな、と思う。

 ……そう、やはり死んだはずだ。
 隕石が如く降ってきたのは、
 あまりにも分かりやすく”不幸”で、
 私はこの世にごまんといる、
 ”可哀相な女の子”の仲間入りを果たした、はず。]
 

(271) nabe 2018/05/29(Tue) 23時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ──まるで、何かの物語のようだ!

 蘇るのは、やはり不幸な女の物語で、
 家族や犯人の人生を見届けることを想像する。

 或いは──、いや
 私を殺したのは友だちではなかったし、
 夏休みはまだもう少し先のことだった。
 自分の死体が溝の中に隠される様子もない。

 そんなことを考えたのは現実逃避だろうか。
 なんせ、体感としてこれは現実で、
 一方で、あんまり現実離れしているもんだから──、]
 

(272) nabe 2018/05/29(Tue) 23時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ……そんな折り、携帯電話が震えた。

 携帯が使えることにはじめて気づき、
 私はそれを開いて、メールに目を通す。]

 ── 信じられない、なあ

[ 目を通して、そう言う。顔を上げる。

 行き交う人々は変わらず素知らぬふりで、
 メールの内容を一蹴するには状況が悪すぎた。

 ……そして、急かすように降ってくる
 小さな生き物の、影、影、影!

 眼が良いからこそ、それが蛙とわかったし、
 気持ちのいいもんじゃあない。]
 

(273) nabe 2018/05/29(Tue) 23時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ 踵を返して、歩きながら周囲を見回す。
 誰か、この奇妙な群れに反応している者、
 私自身と目が合う者こそ、このゲームの参加者。

 そう、肝に銘じて。雑踏を我が物顔で征く。

 カツ、カツと硬い音を響かせて、
 ローファーがアスファルトを叩く。

 パートナー契約という文字が頭にはあり、
 自分と同じ立場にある者を、見極めるように。

 足早に、注意深く、歩みを進める中で、]
 

(274) nabe 2018/05/29(Tue) 23時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ────澄み渡った春の空 を、雑踏に見た。]
 

(275) nabe 2018/05/29(Tue) 23時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ そう君は、どこまでいっても
 仁衣奈のたったひとつの大切なもの
 …………ではなかった。

 ごめんね、仁衣奈は
 たったひとつに縋れるほど強くもないし、
 或いは、淡白と言ってくれても。君が望むなら。

 ……とにかく、仁衣奈はどこまでも
 ”ふつう ”のいきものなのだ、多分ね。

 ただ、ひとつだけ言えるのは
 そのときも、仁衣奈は君の瞳を見て、
 いっとう好きな空の色だ、と思った。]
 

(276) nabe 2018/05/29(Tue) 23時半頃

【人】 許婚 ニコラス


 ──御機嫌よう、ジリヤ
 もしも君がこのゲームに参加するのなら
 私の”パートナー”になってもらえないかな
 

(277) nabe 2018/05/29(Tue) 23時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ 迷いなく、ひとりを見据えて言葉を放った。

 頭ひとつ分は低い頭を見下ろして、
 ……きっと、これまでとおんなじように
 穏やかな笑みを湛えていたのだろう。

 色々と、問いたいこともあったが、
 出会い頭に矢継ぎ早、問いかけるなど
 どうしたって、私らしくはないだろう?

 ──── そう、私は君を識っている。]
 

(278) nabe 2018/05/30(Wed) 00時頃

【人】 許婚 ニコラス


 おかしなことを言うようだけれど、
 ……君となら、なんだってできる気がする
 

(279) nabe 2018/05/30(Wed) 00時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ── あくまで新たな物語の起句として。** ]
 

(280) nabe 2018/05/30(Wed) 00時頃

【人】 許婚 ニコラス

──ANOTHER GAME──

 御機嫌よう、スージー!

 ……今日はパイ?
 まさか、死んでからこんな
 おいしいものにありつけるなんて
 想像したこともなかったなあ

 ──あ、おいしい

[ 少し、呆れたような口ぶりで、
 ニーナは差し出された菓子>>@56に手を伸ばした。

 ひょいと指先で摘んだ一切れ。
 その鋭角たる先端を一口齧って、
 満足げに笑っているのが、ニーナ。]
 

(340) nabe 2018/05/30(Wed) 19時半頃

【人】 許婚 ニコラス


 ……あのさあ本当に
 7日目には毒りんごを使ったアップルパイ
 ──なんてこと、ないんだよね

[ 吐き出す言葉の割に、躊躇なくそれを呑み込んで、
 ニーナは丁寧に両手を合わせた。ごちそうさま。

 唇の端についた欠片をぺろりと舐め取って、
 「 君って本当に料理がうまいね 」と、
 感心した声を上げた。ニーナは単純なのだ。

 バッジを受け取れば、本ミッションへ。
 些細なことでバッジをもらうことへの
 罪悪感を抱くほど、人が良いわけでもない。]
 

(341) nabe 2018/05/30(Wed) 19時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ その向日葵みたいな金髪の死神を見かけたら、
 積極的に話しかけるようにしていた。

 どういうわけだか知らないが、
 やたらと食べ物を恵んでくれた上、
 バッジまでくれる死神だなんてそういまい。

 ……警戒心はないのかって?
 パートナーのお墨付きでもあったもんだから!]
 

(342) nabe 2018/05/30(Wed) 19時半頃

【人】 許婚 ニコラス


 ……それにしたって、
 死神って、こういうものなの?

 君の言う”前回のゲーム”でも、
 こうやってお菓子を食べて歩いたりした?

[ 口に残るシロップ漬けのチェリーの甘味。
 それを舌で感じながら、ニーナは首を傾いだ。

 ──ニーナのパートナーは
 ゲームに参加するのがはじめてではないと言う。

 あんまり手慣れた風に”サイキック”とやらを操り、
 ”ノイズ”と呼ばれる化物を撃ち抜いてくもんだから、
 一体何故にと問うたとき、ジリヤは言った。

 ゲームに参加するのが一度目じゃないこと。]
 

(343) nabe 2018/05/30(Wed) 19時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ふうん、リベンジなんて在り得るんだ。
 ニーナはそんなことをしみじみと言った。
 少しだけ、安心しそうになったけれど、
 どうもそれは特別な措置のようだし、
 そもそも、こんなゲームをもう1周だなんて!
 なんとしたって、ご勘弁願いたい。

 ──ハサミを振りかざすノイズを、
 刃で貫きながら、ニーナはふと思った。
 スージーの元を去ったときのことである。

 ( ところで、この海老型のノイズであるが、
   伊勢海老に見えて腹が減って仕方がない )]
 

(344) nabe 2018/05/30(Wed) 19時半頃

【人】 許婚 ニコラス


 ──そういえば、君の前回のパートナーは?

[ ────死んだ、とか、

 言われたらどうしよう、って、
 問いかけてから、ニーナは気付いた!

 いいや、一蓮托生と言うのであれば、
 彼女が生きている以上、それはないはずで。

 ニーナはただ、静かに
 それが触れてはならない禁忌でないことを祈った。

 なんせその質問に深い意図はなく、
 ただ、少し悔しかっただけだ。

 ニーナはいつだってジリヤの”いちばん”になれない!]
 

(345) nabe 2018/05/30(Wed) 19時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ 些細な問いかけの直後、ニーナは前を向いた。
 東エリアの片隅に、懐かしい建物を見付けて
 からりと話題を変えるように、明るい声を上げる。]

 ──あ。ジリヤ、ご覧
 あれが、バナナストア!

 いけ好かないマブスラー……
 イエローマン、って言うんだけど
 とにかく、本当に頭も格好も真っ黄色なんだ!
 そういう奴が、ふんぞり返っていてね──、

[ 彼の天下は終わっただって?
 そんなこと、ニーナの知る由もない。

 マブスラっていうからには、
 ミッションの指すのはここのはずだって、
 パートナーの腕を引いた、何日目かの出来事。*]
 

(348) nabe 2018/05/30(Wed) 19時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ──走るのは、得意であったから。

 ”呼ぶ”>>368と言われれば
 ニーナはやっぱり面食らった顔をしたし、
 多分、それははじめてのことじゃあない。

 それから、やっぱりこれも前回と同じって?!

 何気なあく、零れる”前回”のお話は、
 きっとジリヤとニーナのとっておきの武器。
 ……なんだろうけれど! ]

 …………妬けるなあ

[ 誰に? って、そりゃあ色々と。

 ふうん、ふうん。とでも言いたげな顔で、
 ニーナは彼女の手を視線で追って空を見上げた。]
 

(425) nabe 2018/05/31(Thu) 00時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ 澄んだ青一色の空に、
 赤色の光と白い煙が、一本。
 揺蕩うように、真っ直ぐのぼる。* }
 

(426) nabe 2018/05/31(Thu) 00時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ────ということを思い返して、三度目の幕引き。]
 

(432) nabe 2018/05/31(Thu) 00時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ 或いは、一度目の物語へと
 巡り巡っての帰還と相成った。

 その時、仁衣奈は目を瞬かせ、
 両手で顔を覆い、一旦しゃがみ、立ち上がり、
 顔を赤くし、白くした後に、
 最終的に、腹を抱えて笑った。

 今度は勝者として訪れた審判の部屋で、
 その不審な動きがどう思われたかは知らないが。]
 

(433) nabe 2018/05/31(Thu) 00時半頃

【人】 許婚 ニコラス


 ……だって、まさかさあ
 散々妬いた相手が結局自分だなんて、
 想像することもないだろう

 ”つよくてニューゲーム”の意味もないし!

[ 憤慨するわけにもいかない。
 平等に、エントリー料を徴収された結果なのだ。

 我ながら、どんくさいなあと、
 仁衣奈の感想は、ただそれだけだ。

 あとは──、そうだな。
 依頼しっぱなしで忘れていた害獣駆除を
 どうやらやり遂げてくれたらしいお二方へ、拍手!]
 

(434) nabe 2018/05/31(Thu) 00時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ なんてこった! って勢いで、
 仁衣奈はひとしきり笑った後に、前を見た。

 すこぅし、視線を落とす。
 頭一つ分低い位置の青と、よくよく目が合うように。]

 ──ところで、
 どうして私の二度目のエントリー料が
 ”一度目のゲーム”だったか、ジリヤ……わかる?

[ 口元を隠すように、仁衣奈は悪戯っぽく笑った。
 すべての記憶を取り戻した今、それもまた明快!

 ……さらりと正解されても癪なので、
 答えを口にされるより先に、仁衣奈は言った。
 ちいさなひみつの話を打ち明けるように。]
 

(435) nabe 2018/05/31(Thu) 00時半頃

【人】 許婚 ニコラス


 ──きっと、
 一度目のゲームで出会ったひとたちがすてきで、
 まるで、物語の一員になったように劇的で、

 なにより、あのときようやく
 私は君のとなりに立てたって、
 そのことがどうしようもなくうれしかったからさ!
 

(436) nabe 2018/05/31(Thu) 00時半頃

【人】 許婚 ニコラス


 ──ねえ、私
 君の特別になれんだって、自惚れてもいい? *
 

(437) nabe 2018/05/31(Thu) 00時半頃

【人】 許婚 ニコラス


[ 猫が木から降りられなくなって鳴いていると、
 仁衣奈に声をかけてきたのは、
 如何にも木になぞ登れそうにもない小太りの男だった。]
 

(441) nabe 2018/05/31(Thu) 01時頃

【人】 許婚 ニコラス

 ── After Story/Real Ground ──

[ 仁衣奈はじっと男の顔を見た。

 見覚えのある顔が目の前にあって、
 仁衣奈はどうやら通学路に立っていた。

 ──あ。こうなるんだ。

 確かに、”命は助かりました”じゃあ
 ちょっと……だいぶ、厭なんだけれど、と。
 そう要求したのは、仁衣奈自身であった。

 多分、納得したのだ。
 会話に奇妙な間があいて、
 男はなんだか厭そうな顔をした。

 どうしようか、と仁衣奈は思った。]
 

(442) nabe 2018/05/31(Thu) 01時頃

【人】 許婚 ニコラス


 ──── ねこ

[ ぽつん、と仁衣奈は呟いた。

 だって、子猫は本当に木の上にいるのだ!
 仁衣奈が行かなかったら、あの子はどうなる?
 或いは、この男は”次の女の子”を
 どっかの物陰にでも隠れて待つだけじゃないの。

 ──って、仁衣奈は逡巡した。]
 

(443) nabe 2018/05/31(Thu) 01時頃

【人】 許婚 ニコラス


 子猫、白い子猫ですよね
 ええと、ちょっと待ってください
 誰か、人を探しましょう

 ……木登り、苦手なんです、私

[ お嬢様ですから。って顔して笑んだが、
 男はなんだかもう、気もそぞろだった。

 仕方がない。邪な思いで声をかけた女が、
 預言者か妄想癖か、何と思ったかは知らないが、
 気味の悪いことを言い出したって風に、見える。]
 

(444) nabe 2018/05/31(Thu) 01時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ まだ、何もしでかしていない男を
 この世で裁く、だなんて無理な話だろうし、

 かといって、このまま立ち去ったら
 第二の被害者が出るだけじゃないかなあ、と。

 仁衣奈は内心、静かに考える。
 再犯率、という言葉がなんとなくよぎる。]
 

(445) nabe 2018/05/31(Thu) 01時頃

【人】 許婚 ニコラス


 ……ううん、そうだなあ
 次に通った人に、手伝ってもらいましょう

 次の予定があるから、
 そう長くは付き合ってあげられないけれど

[ ──お茶会、と仁衣奈は思って、

 困った。仁衣奈は我が身がかわいい。
 自分が痛い目見てまで、男を罰したい訳でもないし、
 こちらの予定に遅れるのも、イヤ。]
 

(446) nabe 2018/05/31(Thu) 01時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ 人通りが特別少ない道でもなくって、
 仁衣奈はそう言ってまもなく、近付いてきた人影を、
 視界に入れて、目前の男をじっと見た。]
 

(450) nabe 2018/05/31(Thu) 01時頃

【人】 許婚 ニコラス


 ──気味が悪い、ですか

 私、識っているんです
 貴方についてったら、どうなるのか とか

 好奇心は猫をも殺すというけれど
 親切心に殺されたんじゃあ、かなわないし
 

(451) nabe 2018/05/31(Thu) 01時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ふふ、と笑った。

 激高して男が拳を振り上げたって、
 すぐそこには人がいるって、仁衣奈は知ってた。

 見えた人影に、ゆるりと手を振って、
 「 すみませーん 」と、仁衣奈は言う。

 仁衣奈の代わりに木にのぼってくれる
 親切な通行人Aを尻目に、空を見上げて、]
 

(452) nabe 2018/05/31(Thu) 01時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ──内心、口から飛び出そうなくらい
 激しく脈打っている心臓を、呑み込むが如く、
 仁衣奈は深く、深く息を吸い込んだ。

 一度、憧れを手にした女は、
 なりたいものになる、というのも
 夢物語なんかじゃあないとよく知っていた。

 それから、二度死んだ女は、
 こういうことも、よーく知っている。

 憧れを憧れのまま、終わらせる必要はない。]
 

(453) nabe 2018/05/31(Thu) 01時頃

【人】 許婚 ニコラス


[ ──それが、仁衣奈の取り戻した一遍の物語。
 劇的な14日間を経て帰ってきた日常の、
 ほんの、はじめの数頁の出来事である。 ]
 

(454) nabe 2018/05/31(Thu) 01時頃

【人】 許婚 ニコラス


[  仁衣奈はそこに、吸い込まれるように高く、
 暖かな春の色を宿した、柔らかな青一色の空を見た。**]
 

(456) nabe 2018/05/31(Thu) 01時頃

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