229 観用少年
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[今までと変わらない。あっさりと口をつく。 南方は良くも悪くも”いい人”なのだろう。
嘘では無いその台詞を 真っ向から受け止めても尚、暗く沈むような心地がした。]
はっ、間違えたのは本当かよ。 オッサンの妹も鈍臭え。
[だけど。 ――――何の気もなしに頭を撫でるから。 始まりがどうあれ、返す気が無いのなら。
それで良いのかもしれない。 どうせ朽ち果てて起きられなくなるなら店よりも 誰かの傍がいいと願ったこともあった。
この三日でパサついていた髪が艶やかさを取り戻してるのに気づいてもいた。]
(4) 2017/10/07(Sat) 00時半頃
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[南方の事情を未だ知らない。 その決意の意味も知らない。
だから――――戯けたように茶化すだけにした。 そんな風に仕込まれている自分を手放しで受け入れる相手など
もう二度と居ないのでは無いかと思うのは大袈裟だろうか?
持ち主に染まらない愛玩人形の価値とは何だろう。]
(5) 2017/10/07(Sat) 00時半頃
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オッサン。
[滅多なことでは呼ばない名。 いつ返されるか、いつ売られるか
勝手に怯えていたのは自分の方。
朝食の用意はいつものように慣れた手つきで用意して だし巻き卵にしじみの味噌汁。焼き魚には大根おろしを付けて
普段は対面に座るのを隣に座って自分にはホットミルクを用意して]
…………今日はどれぐらいで帰るんだよ?
[小声で問い掛けた。 好物を作ってやらなくもないぞ、とか尊大に告げて]*
(6) 2017/10/07(Sat) 00時半頃
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[>>12の言葉に頷く。どうやら南方は妹を大事に想っているらしい。 家族を大事にするのだろう。
何かよくわからない気持ちを抱いた。オスカーにはわからなかったが憧れのような嫉妬のような感情を。
”また”、いつ――――こんなモノを買ったつもりはない、とか。 罵詈雑言を受けるのかと怯えていた。
店主は、予め説明をしていたかもしれない。 南方の妹はその説明を聞いて勘違いを深めたのかもしれない。
数奇なことが重なったの、だろうか。]
(22) 2017/10/07(Sat) 15時頃
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オッサンはオッサンで十分だろ。
[隣でホットミルクを飲みつつ悪態をつく。 どうしようもない習性を治す気がないのも人形の性。
望まれれば直す努力はしても一度刷り込まれたものは消去しきれなかったのはどうなるか。
何より南方はそのことを望むかは不可解だった。
全般的に家事をしていれば喜んでいるようだった。 ”飼い主”が喜べば嬉しいものだが。伝わっているかは不明だ。
ただ南方の好物がどれかはよく観察していた。]
(23) 2017/10/07(Sat) 15時頃
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……早く帰って来いよ。
[ぼそり、呟く。
南方の仕事はどうやら忙しい。日付を越えて帰ってくる時もある。 まだ買われてから休みもないせいでオスカーの着る物もほとんどない。
そもそも自分を買うような人間は
家で仕事をしているか財産で暮らしている――ような相手ばかりだった。
帰りを待つこと自体が初めてだった。
夕食は何を食べたいのかとマグカップに向けて尋ねた]*
(24) 2017/10/07(Sat) 15時頃
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[頬を緩める姿は嬉しそうにしか見えなかった。 ふいっと顔を背けて少しだけ顔が弛んでいるのは見られないようにする。
無駄だったかもしれないけれど。
夕食をリクエストしたらカレーと聞いてサラダと豚肉もあっただろうかと冷蔵庫の中身を考え出した。
頭を撫でるのが好きなのか。 ――――自分は南方に撫でられるのが好きだった。
髪はきちんと綺麗にしておこうと思う。]
ん。
[三日間で解ったことのひとつ。
南方が家からいなくなる”けんきゅう”が大嫌いだった。]
(67) 2017/10/07(Sat) 20時頃
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[豚肉はあった。サラダもあった。 南方は脂肪分が余り好きではないので少なめに用意する。
揚げたての豚カツなら食べるかもしれない。 サラダもラップをして冷蔵庫に入れる。
カレーは辛いほうが好きか聞き忘れていたので中辛程度。 煮込み過ぎるとジャガイモが形を崩すので火を止める。
カツをあげるのは南方が帰ってからにすれば出来たてとやらは人間は喜ぶ。
少しでも美味しいと喜んでくれればオスカーも嬉しかった。]
(68) 2017/10/07(Sat) 20時頃
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[カチコチ。時計の針の音だけ聞こえる。 深夜11時になっても帰って来ない。耳を澄まして階段の音がすれば南方かと思えば通り過ぎる。
テーブルの上に突っ伏す。
カチコチ。――――時計の針は進む。]
(69) 2017/10/07(Sat) 20時頃
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[玄関の前でうろうろする。 家ごと捨てる、ということは無いだろう。
三日過ごして解ったことだが。 人形を買う富裕層とは少し毛色が違う南方だ。
返したりしないと今朝方言われたばかりでも不安になる。
カチコチ。カチコチ。 時計の針の音がする、朝まで玄関の前で待っても帰って来なかった。
カレーは食べられるように火を通しておこう。 サラダも、まだ食べられるしパン粉をつけた豚カツもまだ食べられる。
南方のいない家はやけに静かだ。
やることもろくにない。掃除でもするかと綺麗になったという部屋をさらに綺麗にする。
――――その日も南方は帰って来なかった。]
(70) 2017/10/07(Sat) 20時頃
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[不安がるのはおかしいだろうか。 三日。然れど三日。
南方の人となりを熟知するには足りない。 知るには時間が足りない。
だからわからない。 向けられた言葉に”前の”持ち主のように嘘が無かったかどうかなんて。
わからない。人間は すぐに 嘘を つくから。]
(71) 2017/10/07(Sat) 20時頃
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[――――愛情不足で 人形は 枯れる。]
(72) 2017/10/07(Sat) 20時頃
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[元々すぐに返品された記憶を引き継ぎ引き継ぎ続け 枯渇していた養分《あいじょう》
それでもどうにか繋ぎ止めていたのは、最初の持ち主の愛情の貯金《残骸》。 だが、顔も声も思い出せなくなった。
過ごした日々と同じぐらい南方がいない。当然のように衰弱していった。
三日目になるとほとんど動けなくなってソファーの上でぐったりする。 結局、嫌だったのかもしれない。
だったら最初から優しくなんてしなくていいのに。人間は面倒だ。
『―――― もっと、他に。 お前を 可愛がってくれる人が現れるよ。』
新しい”人形”を見つけた最初の持ち主。]
(73) 2017/10/07(Sat) 20時頃
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[飽きた、いらない
そうはっきりと言ってくれたほうがずっと優しい*]
(74) 2017/10/07(Sat) 20時頃
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[南方はろくに説明書を読んでいない。 オスカーも説明するといっても、何を話したらいいかわからない。
南方は知らないのだ。 ――――観用少年は枯れるということを。
オスカー、と名前を呼ぶ声がした。]
…………コー、スケ…?
[ぱちり、目を瞬く。 霞んだ視界に南方が映った。
気怠さは何だろうか。 遂に動けなくなる前兆か。
それとも、必要無いと思い込んだオスカーが期待するのに疲れたせいか。]
(77) 2017/10/07(Sat) 21時頃
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[力無く手を動かす。座っている南方の肩を掴もうとして投げ出された。
何で帰って来なかったんだ。 カレーはまだ大丈夫かもしれないけど出来たてを食べて欲しかった。 サラダと豚肉はもう駄目かもしれない。
日付感覚が乏しくて普段通りの罵倒を投げようとするのに喉が詰まる。]
……いらないなら、そう言って。 俺、コースケに 何したらいいかとかもわかんねえし…。
[もう人形師の手を煩わせるのも 買われる度に落胆されるのも嫌だった。
――――嫌だったのだ。
消去しきれず毎回、記憶の残滓が残る欠陥品。 認めたくなかったのは人形師のためか自分のためかもわからない*]
(79) 2017/10/07(Sat) 21時頃
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[南方が必死に言葉を紡ぐ。 研究というものがまずわからない。
部下、というのは何だったろうか。 愛玩されるばかりだった人形は、人間の基準での世事には疎い。
ただ一つだけわかるのは南方が自分のために早く帰ろうとしたこと。 早く帰ろうとした割りには随分と、帰って来なかったと思うけど。
……コースケ。 コースケが俺に、どうあって欲しいか。 何したら喜ぶかが知りたい。
”けんきゅう”が何か、とか……。 俺、全然わからない。
なんで こんなに……帰れないのかも。
(89) 2017/10/07(Sat) 21時半頃
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[教えて貰わないことはわからない。 ぐずつく子どものように、コースケ、と呼んで腕に縋り付こうとする。
力がいまいち出せない。]
俺は…飼い主のお前が喜ぶことをするのが嬉しい。 そういう風にできてるんだ。
でも、俺……
最初の持ち主、に… 教えられたこと全然、消去出来なくて。
だからこんな風だから こんなのいらないって何度も言われて
だから、上手にはすぐに出来ないけど おとなしくも…するから。
(90) 2017/10/07(Sat) 21時半頃
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[置いていかないで欲しい。 研究とか行かないで欲しかった。
傍にいて抱き締めてくれたらそれでいいのに。 それが難しいのだと言う事も、知らない*]
(91) 2017/10/07(Sat) 21時半頃
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[ぐっと込み上げるものがあった。 否応無しに抱く慕情が応えられることはない。
南方との認識の誤差が埋まる事は無いかも知れない。]
( 今のままでいいって 言った )
[嘘なんてつくぐらいなら正直に言って欲しいと思っていた。 それも覆される。
嘘でもいい。そのままでいいと言ってくれた言葉だけで。 全身に染み渡るようであった。
抱き締めてくる温度も暖かい。暖かくて涙が零れた。]
(104) 2017/10/07(Sat) 22時頃
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やだ。急に…何日もいなかったら俺、死んじゃう。
から、連絡出来るようにしろよ。 携帯とか。前なら持たされた、俺は稀少だから盗まれた時のために、とか。
[南方がいない間に何してたらいいんだ。 突然いなくなられたらどうしたらいいんだ。
悪態が次々に歯止め無く出て、最後には疲弊しきった姿を見る]
オッサン、寝てないんだろ。 寝ろよ。
……俺も、一緒に寝て欲しけりゃ寝てやる。
[しがみついたまま、そんな風に 拗ねた子どものように言うのだ]*
(105) 2017/10/07(Sat) 22時頃
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子ども扱いしてんじゃねえよ……。
[>>108よくわからないが子ども携帯という単語にカチンときた。 既に調子を取り戻しつつあるが。
渋々了承の態も示した。
連絡がないよりはあった方がいい。 もう帰って来ないかと思った、三日間で随分と冷えた。
どこが、と問われれば応えられない。 こころが、冷えた。]
わかった。オッサン疲れてるけど、それでいいなら。
[微笑が少し眩しかった。 抱き上げられてベッドに一緒に倒れ込む。
二人で寝るには到底広いとは言えない。 抱き枕にして、おやすみ、と告げられて目をきょとんと丸くした。]
(110) 2017/10/07(Sat) 22時半頃
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何言ってんだよ、オッサン。
一緒に”寝る”んだろう?
[元の持ち主が一緒に寝ると持ちかけた時は――――。
当然のように行為を意味した。 オスカーはまだ南方のことをよく知らない。 教えられたことしかわからない人形は忠実に教えられたことを鵜呑みにする。
抱き枕にした腕の中から煽るようにその額にくちづけて 着のみ着のままだった南方の服に手を掛けようとして――――。]
(111) 2017/10/07(Sat) 22時半頃
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― 朝 ―
[三日も放置された挙げ句の夜を過ごしたが。 オスカーは”良い子”にしたと思い込んでいる。
三日三晩ほぼ寝ていない南方を気遣って胃に優しい卵粥を用意した。
そうしていつもの時間に布団を剥いだ。]
おい、オッサン起きろよ! 俺は目覚ましじゃねえぞッ!!
[何ら普段と変わりないオスカーだったが。 何となく南方の様子が寝ぼけているのとは少しおかしい気がして
どうした? と問い掛けた*]
(181) 2017/10/08(Sun) 17時頃
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[溜息を吐く。 南方にしては珍しい様子とそこに座れと言われれば フローリングの床の上にちょこんと座り込んだ。
口籠もるようにしていた気がして、静かに待つ。 ようやっと吐き出された声にきょとり、と黒瞳が丸くなる。]
昨日のこと? どれだよ。 はっきりどれか言われないとわからねえよ。
頭撫でたことか? 唇奪ったことか?
ベッドに潜り込んだことか?
[作り物だが目は雄弁に語るもの。 その目を見れば揶揄しているわけではなく真実分からないのが理解出来ただろう。
南方は自分を本物の少年のように扱うが オスカーはあくまで人形であり人間の感性とは異なるのだと逆に口を尖らせた。]*
(186) 2017/10/08(Sun) 18時半頃
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だから、それってどれだよ。
[それもあると言われれば、どれなのかが分からない。 言われないとわからないので不安そうに顔を曇らせる。
落ち着かなげにそわそわしだした。 悪い事をした子どものような気分、とでも言うのだろうか。
非常に言いづらそうにしている南方を小首を傾げる。]
ふぇらって、奉仕か? 舐めたっつーたらそれしかねえよな。
しなくていいって…嫌だったのか? 気持ち良さそうだったけど。
[けろりと告げた。 悪気が全くない方が性質が悪いとはこのことだろう。]
(189) 2017/10/08(Sun) 19時頃
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だったらオッサンは何のために俺を置いてんだよ。 ……俺は俺のままでいいっつーたのに。
俺は、俺が出来ることは全部したい。
前は…やってたし喜んで貰えたから。 コースケも、喜ぶと思ったのに。
第一てめえ欲求不満とかいうのじゃねえの?
[余計なことはしっかり教え込まされている。*]
(190) 2017/10/08(Sun) 19時頃
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[何度も言うようにオスカーは人形だ。 そこには他意も悪意もなく、ただ持ち主への愛情を示す。 不安そうにするなと言われれば益々落ち込む。 悦んでたし良かれと思ってやったものだから萎む。]
俺はコースケとキスとかもしたいけど。
嫌なら出来ない。
[だって嫌そうに思えなかった。 判断が甘かったのだろうか。
もっと深く根付いたものがあることなど気づきようもない。 わかるのは南方が気分が害している風であること。
それが自分に向けてか南方に向けてかはオスカーには関係無い。 そうさせたのが自分であることに落ち込む。
返さないって言った。でも、おそらく。きっと。]
(198) 2017/10/08(Sun) 20時半頃
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いいんじゃねえの? 俺は働けないし、便利に使えば。
俺はそういうもんなんだよ。 人間の少年じゃねえの。
オッサンより年上かもしれないぜ?
[平然と言ってのけた。 誰かの代わりなど人形にはよくあることだ。
そうして人形はあっさりと代替されることもあることだ。 飽きられて売られた。中古品のそして恐らく欠陥品]
つか、仕事遅れるけどいいのかよ。
[卵粥を出しながらつげた。 隣ではなく対面でホットミルクを飲む*]
(199) 2017/10/08(Sun) 20時半頃
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…………。
……わかんねえ、かな?
[声に詰まった。それ以外では駄目なのだろうか。 正直なところ、わからない。
最初の持ち主以外には、こんなだから直ぐに返品された。 ただ南方が苦い顔をしているのは良くない。
南方が嫌がることは出来ない。否、したくない。
でもどうにも、ひどく満たされないような気分になる。 それを告げるのは、憚られた。]
オッサンは頭かってえな。 おう、気をつけて行けよ。つか携帯買うの忘れんなよ。
(206) 2017/10/08(Sun) 21時半頃
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[自分の好みに、愛らしい少年を愛でて使う。
そういった風に作られている。 オスカーからすれば人間同等に扱われても逆に困る。
第一子どもがいた形跡も無ければ 恋人がいた形跡もない。
実際家事に困って置いてるのだろう。 南方《持ち主》がそれでいいならいいか、と納得させた。
――――その時は、仕事から戻った南方も特にどうとも言わなかったがベッドには入れさせて貰えなかったのでむくれて朝ご飯を少し手を抜いた。]
(207) 2017/10/08(Sun) 21時半頃
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――――数ヶ月後
[あの後、南方はすぐにこどもケータイを買ってくれた。 たまに研究とか帰って来ない日は非常に不満で
死んだ振りをして1回怒られたが生活としては順風満帆だろう。 ただひとつ留意したままのことを除いては、だが。
普段から研究、研究と。 よくわからないことを告げている南方が休みで少し浮かれていた。]
はあ、食事?
[一体、いままで何を見ていたのか。 その目は節穴かと言いたげであっただろう。
今更ホットミルクしか飲んでないことを追求されても一緒に住んで何日目だと言いたいのが先に走る。*]
(208) 2017/10/08(Sun) 21時半頃
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[凄く焦った時の南方には申し訳なさしか覚えなかった。 少し、ちょっと拗ねてただけだ。
南方は説明不足の点が多いので未だに”研究”がどういったものかわからない。
多忙に追われているので聞くタイミングすら失っている。 だけど。南方と一緒に住んで4日も休み。
正直、浮かれていた。 一緒にいるだけで嬉しいのだが今一つ伝わってない。]
バッッッカじゃねえの? 説明書読めよ。
[外野から見れば全く浮かれているようにも喜んでいるように見えないので伝わらなくても仕様が無いが、オスカーは知らない。
定期的に投げつける自分の説明書を投げながら、深々と嘆息した。]
(226) 2017/10/09(Mon) 00時頃
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一日三食はミルク あとは週に1回程度の砂糖菓子でいいんだよ。
俺を成長させたきゃ他のもんも喰わせてもいい。 でも大概はそのままの姿を好むし、俺は他のもん喰いたくねえ。
人間じゃねえって言ってんだろ。
[ベシベシっと投げつけた説明書で頭を小突く。 阻まれてもお構い無し。
全く読む気がないので南方の人形への知識は一日一歩以下だ。
もしかして南方は自分が成長した方がいいのだろうか。などとはこれっぽっちも過ぎらない。
もう一つ不可欠なものは口にするのは憚られた。 どうせ読んでないだろう。
――――持ち主の愛情など。 目に見えない、誰も計れないもので生きているなど、言えやしない]*
(227) 2017/10/09(Mon) 00時頃
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[薄々気づいているがこの現持ち主は超が付く類の鈍感なのだろう。 溜息を吐くな、という方が無理な話だ。]
そこはてめえが決めろよ。 てめえはどんどん老けて腰が曲がって俺はつやつやの美少年のままだぜ?
[自らぺろりと口にする。]
牛乳をちょっと高級にして済ませようとしてんじゃねえよ! せめて砂糖菓子の方にしろよ! 和三盆寄越せ!
[初めて言ったが共に暮らしだして何日経っていると思っているのか。 余程、興味が無いのか。暢気に生きているのか。
後者だろうと早々に見切りを付けた。]
(239) 2017/10/09(Mon) 10時半頃
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んなことより、せっかく四日も休みあんのに まさかずっと家にいるわけじゃねえだろうな?
昼のテレビでやってたぞ、運動しねえと早死するって。
つーことでどっか行くか連れてけ。 何か服買ってくれてもいい。
[何故か上から目線で要求しているのがオスカーである。 服もそこそこ増えたが最初に来ていたものは箪笥に仕舞い込んでいる。
何故なら南方が買って来る服は安物だからだ。 どう着飾らせるか。そんな風にも楽しむ、言うなれば目の保養にもなる少年人形にあるまじき庶民っぷりだが。
持ち主色に染まるのだから止む無しと諦めた。]*
(240) 2017/10/09(Mon) 10時半頃
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主導権を渡そうとしてんじゃねえよ、ダメ男 こっちは奉仕精神しかねえっつーのに無駄に知識増やさせんな。
[オッサンに引き続き最近はダメ男が増えた。 悪意はない。オスカーなりの愛情表現だが伝わっていないだろう。]
安月給が俺を養ってんじゃねえよ! 生意気な!
[色々と無茶な物言いだが特に不満があるわけではない。
正直、砂糖菓子の良し悪しはわかるがもっと南方が居たほうがずっといい。 和三盆で南方の研究とやらが増えても困る。
外に出ることはほとんど無い。 攫われたらどうするんだ、のゴリ押しでメールに買物リストを送って、南方がそれを買って来る。 そんな風に遣り繰りしているがつい最近。
家計簿の付け方を覚えてしまった。 もう色々後戻りが出来そうにない高級人形であった。]
(243) 2017/10/09(Mon) 12時頃
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てめえは俺を連れて自慢したいとかないのか。
[無いだろう。]
それなら服がいい。 冬服、俺に似合ってりゃいい。
[旅行も捨てがたいがどうせこの南方という男はぐうたらするのだ。 ぐうたらする場所が変わるなら服を選ばせたい。
何だかんだと二人の生活は順調だった。 多少、オスカーは不満があるがそれが露呈することは無かった。
取りあえずこの日までは――――。]*
(244) 2017/10/09(Mon) 12時頃
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言っとくが普通の人形はイチから教え込むんだぜ。 感謝しろよ。
[頬をつつかれ、やめろよ、と声に出す。 手で叩かない辺りで不快ではないことは分かるだろう。]
はあ? てめえのために妹が買ったんだろうが。 てめえが買ったんでいいだろ!
大体俺はてめえの妹にも会ったことねえっつーの。
[初対面から生意気だけど何か、と言いたげですらあった。
養われないと確かに困るが。 元々養われる≠ニいうのは根底にあるのでごく当然に甘受している。
そもそもこの南方という男は、一体自分が来るまでどんな生活をしていたのか。 ぐうすか寝てる。料理は出来ない。掃除も出来ない。
妹が見かねるのもよくわかるというものだ。]
(252) 2017/10/09(Mon) 15時頃
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自慢するに決まってんだろ。
[145センチはふんぞり返った。]
ついでにマフラーとかああいうの欲しい。
[ほとんど家にいるのに何故か要求した。
南方とまともに出掛けるのはほとんど初めてだった。 急いで箪笥から服を投げつける。
家着でだらだらと過ごしてたので着替えるように急かした。]
(253) 2017/10/09(Mon) 15時頃
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[南方の移動は車だった。 服を買ったりで何度か乗ったことあるが。
そのボロさに毎度驚く。]
ボッッロっ! いつも思うけどよくこんなので動くな。
部品外れて死なねえ?大丈夫?
[各方面に失礼な発言だがオスカーは本気だった。 富裕層しかほぼ購入されたことがない。
元の持ち主ともシートからして 最高級のものを乗せられて色んな場所に行ったものだ。
不思議なことに徐々に。その記憶も薄れてきているが]*
(254) 2017/10/09(Mon) 15時頃
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[ある意味、南方妹のおかげなのだが。 この適当っぷりではいつ会えるかもわからない。
全くと言わんばかりに溜息を吐くが悪い気分ではない。 南方は根っからの駄目男だ。研究とやらの腕はよく知らないが。
――――俺がいないと駄目なのでは。 と思うから。不安とかはほとんど無い。
生意気だ何だと言うのにも悪意はない。]
うるせえな、人間の時間は有限なんだよ。 早くしろ、今しろ。着替えろ。
[急かしてものろのろとしか着替えない南方を尚も急かしたか。 そうして自動車の助手席に乗るが乗り心地は端的に言えば最悪だ。]
(258) 2017/10/09(Mon) 15時半頃
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いざという時にこれで身を守れるのか…?
[事故想定をする不穏な言葉を投げかけた。 実際、持ち主が不慮の事故で亡くなった人形の末路は再び返品が山場だ。
死活問題なのはオスカーも同様なので茶化している訳では無い。 何となく落ちつかなげに助手席で縮こまっていると程なくしてショッピングモールへと着く。
庶民が如何にも来そうな場所だ。 高級なアパレル用品もあるが、普段の安い大量押しの服よりはマシだろう。]
(259) 2017/10/09(Mon) 15時半頃
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あ、スーツとかどうだ?
[オスカーは至極真面目だった。]
マフラーはこの黒がいい。
[カシミアのマフラーは、値段はお察しである]*
(260) 2017/10/09(Mon) 15時半頃
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[オスカーにとって服とはオーダメイドだった。 むしろサイズ毎に大量に売っている時はカルチャーショックを受けたのを覚えている。
好きなようにと言えばじとりと見た。 自主性は無いのか、このオッサンは、という視線だったろう。
良く知りもしないショッピングモールで好きなようにしろと言う難題が降りかかる。 何だか良さそうな衣服屋を見つけたが、そこは高級店だった。
なお、スーツセットは10万である。]
安月給がどれぐらいかわかんねえよ。 じゃあ、オッサンが俺をコーディネートしろよ!
[むしろそうして貰った方が嬉しいのは人形の性か。 腰に手を当てて見上げる。
眉間に皺を寄せてやや不満そうにその店を後にしただろう]
(272) 2017/10/09(Mon) 20時頃
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|
[次に向かったのは若者ブランドの店だった。 若者向けなだけあり、値段は少々高いが南方の手が出る範囲だろう。
但しオスカーの趣味に合うとは言ってない。]
……ジーンズ、にカットソー? 何だっけ、ラフな格好?
オッサン着て欲しい?
[あくまでも訊ねるオスカーであった]*
(273) 2017/10/09(Mon) 20時頃
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|
オッサン、マジ、貧乏だよな。
[あくまでもオスカーの感覚からしたらだ。 何せ観用少年の”新品”ン十万どころの騒ぎではない。 中古というには新品だった時代があるオスカーからすれば 元の持ち主の植え付けられた感覚を抜け出せない。
そして元の持ち主はオスカーを着飾らせるのが好きだった。 同じことを要求するのはおかしなことだろうか。]
センスが無くてもいいんだよ。 オッサンに見立てて欲しいんだよ。
[人形の心は現持ち主南方になかなか届かない。 オスカーを人形だとわかっているのに矢張り人間の少年扱いする。 渋々ながらも了承した時に、ぱっと華やいだ笑顔を浮かべた。 黙っていれば外見は損なわれていない、美少年だ。
効果は覿面なようだ。]
(285) 2017/10/09(Mon) 22時半頃
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[どんな服が良いか聞かれたら、燕尾服と答えた。 ふざけるな、とかなんとか言われたような気がした。]
何でも似合うのは当然だろ。 誰だと思ってんだよ、俺だぞ。
[そして元の持ち主の嗜好は益々謎が深まるばかりだ。]
トレーナーとかジーンズ。 うーん。
[投げやりな様子も気にせずに真剣に選ぶ。 パーカーも良いかな、などと一つ一つ南方に尋ねた。 返事は、いいんじゃねえのとかやる気がないが気にもしない。]
暖かいもの来たらオッサン喜ぶか?
[珍しく可愛げのあることを言っている 実はオスカー自身が思っているより浮かれているのだった。*]
(286) 2017/10/09(Mon) 22時半頃
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