212 冷たい校舎村(突)
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[ ここにだけ、ひとの気配があること への、違和感。]
(4) 2017/03/10(Fri) 00時半頃
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── 現在:3年3組教室 ──
[ それには気が付かなかったことにして、 俺は後ろ手に扉を閉めた。しっかりと。 暖房がついているときに、扉が開けっ放し。 なんて、ご法度だろ。俺が嫌だ。
8時50分、目前。 始業のチャイムが鳴る、ギリギリだった。 10人くらい? 教室にいる人数をざっと数える。
…………少ない。]
(5) 2017/03/10(Fri) 00時半頃
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……え、 これだけ?
[ 俺の、不思議そうな、通りにくい声に、 かぶさるように、始業のチャイムが鳴る。
それは、この奇妙な空間に、 日常をもたらす よう な?*]
(6) 2017/03/10(Fri) 00時半頃
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[ さっきまで、日常に潜む小さな違和感だった。
むきむき とか、入間がおどける>>0:440から、 「 俺、握力ゴリラ 」とか、同じように、 冗談めいた口調で、返事をしたりして、
抱え込んだバスタオル。 職員室を見に行くといった2人より、 俺達のほうが早く教室に到着したら、 今度はこっちから脅かしてやろうか、とか。
なんだか、フツウの高校生めいたことを、 している なあ、って、思っていたのが、
遠い。]
(31) 2017/03/10(Fri) 01時頃
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── 現在:3年3組 ──
[ 8時50分ちょうど。日常がかえってきた!
時間通りに響く始業のチャイム。 それと同時に、震えだしたスマホ。
圏外なんて、やっぱり気の所為かー。 俺のケータイ、ボロいから。 大和さんのも、多分なんか、調子悪かったんだろ。
……なんて、思えやしない。
手慣れた手つきで、メールを開いたり、 しなければよかった。]
(32) 2017/03/10(Fri) 01時頃
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いちからやり直せば、次こそは? 次こそは、ふつうに、みんなと同じように 信ずるものは救われる なんてね あればいいね
(33) 2017/03/10(Fri) 01時頃
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## これは誰だ。 ##
(34) 2017/03/10(Fri) 01時頃
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[ 日頃なら、食欲をそそられるようなにおいが、 かすかに漂って、鼻先をくすぐるようだった。
けれど、俺はスマホの液晶から目を離せないまま、 二通目まで、目を通して、 ねじまがった矢印マークをタップする。 返信。作成。送信。
「 おまえ、誰 」
ネットワーク接続がありません。 クソかよ。]
(36) 2017/03/10(Fri) 01時頃
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[ 何度タップを繰り返しても、 左上で、ぐるぐるとまるく矢印が回って、 送信失敗の文字が浮かび上がる。
圏外 という文字が、消えない。
受信したメールも。 遺書めいた文面も。
確かに、ここにあるのに。
宛先が、文化祭実行委員 となっている。 そのことに気がついて、顔を上げた。
文化祭実行委員。 このメンバーのことを指しているのか?]
(42) 2017/03/10(Fri) 01時半頃
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なあ、
[ スマホの画面に視線を落としている者も、 数人はいただろうか。
できるだけ、滲む感情の起伏を抑えようとしたら、 なんだか、ひどく不機嫌な声にしか、ならず。]
(43) 2017/03/10(Fri) 01時半頃
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これ、全員に届いてんの? つか、なにこれ
[ それで、答えがかえってきたらいいね。 多分、そんなことはなかろうが。
眉間に皺を寄せて、教室の前方、立ちっぱなし。
奇妙なにおいは、漂うはずのないそれは、 未だに、嗅覚に訴えかけてきて、 よけいに神経を逆撫でする。なんだよこれ。
なんだよこれ、まるで、遺書じゃないか。 それに、]
(44) 2017/03/10(Fri) 01時半頃
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*謎掛けの答えを、俺は知らない。*
(45) 2017/03/10(Fri) 01時半頃
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── 現在:3年3組 ──
[ 教室にいる面々の反応を見れば、 どうやら、メールは全員に届いたらしい。
扉が開け放たれる。 瞬くカラフルな光。流れ込む雑多な匂い。 まるで、異世界だった。
……ああ、違う。
文化祭 と、誰かが言った。]
(157) 2017/03/10(Fri) 23時半頃
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[ 教室の前方に突っ立ったまま、 スマホの画面を凝視しているうちに、
どうやら、クラスメートのうち、 何人かは、……いや、大半が、教室を出て行った。
どう考えたって、おかしい。 非現実めいた状況に、対応しようと、 ぐるぐる、頭の中で思考が渦巻く。
ふと、目線を上げた先、 窓ガラス越しにちらつく白色。
そういえば、これも、異常 だったな。 異常気象かよ って思うくらいの、大雪。]
(158) 2017/03/10(Fri) 23時半頃
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[ 黙って、自分の頬をつねってみる。痛い。 窓から、扉のほうへと視線をうつせば、 ちかちか瞬く光が、ガラスやら廊下に反射して、]
……なんか、きれー な 文化祭っていうより…… なつかし クリスマスみてえ
[ 場違いな感想だった。
クリスマスツリーは、いつから出してないっけ。
保田家の子供は自分ひとりで、 クリスマスの飾り付け なんて、 気づいたら、しなくなっていた。
そういうたぐいの、きらきらした ひかり。]
(164) 2017/03/10(Fri) 23時半頃
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[ 教室の入り口のほう へと、歩み寄ってゆく。
何かの、サプライズパーティーだったりしねえかな。 ほら、文化祭がんばったやつらを労おうとか。 そういう、なんていうか、若干やり過ぎな、 他のクラスのやつらとか、皆方の企画だったり。
……無理のあり過ぎる 逃避。
指先が、壁を這った。 電気のスイッチに触れる。
子どもの頃、みんな言っただろ? 『なあ、電気消していい?』って。 そのほうが、きれいに光るって、 いつの間にか、知ってるんだよな。]
(166) 2017/03/10(Fri) 23時半頃
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[ ほら、 ──── ぱちん。]
(167) 2017/03/10(Fri) 23時半頃
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── あれ、電気、消えね
[ 我に返ったように呟いた俺に、 水野が、呆れたように「何してんの」と言った。]
わかんないけど 電気消えねえ 停電なら分かるけど なんか、 ほら
[ ぱち ぱち と、 何度かスイッチを押して切り替えてみても、 明るく白っぽい光に満ちた教室内の様子は変わらず、
変なの って、違和感を積み重ねていく。 危険性のなさそうな、異常。
少しずつ、なにかを満たしていくような感覚。 首を傾げたそのとき、風が吹いた。>>172]
(175) 2017/03/11(Sat) 00時頃
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[ 白色 が、飛び込んできたんだ。
目を瞠る。風の冷たさを感じる前の、一瞬のこと。 ただ、窓辺に立っているだけ 地上を見下ろしているだけ のはずの、影が、
何かに、のみ込まれていくようにも、見えた。]
(181) 2017/03/11(Sat) 00時頃
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[ 床を、蹴ろうとした。落ち る。]
──── 古辺 ?
[ まばたきの その隙間で、 古辺は当たり前のように、そこに立っていた。>>179
中途半端に、動きかけた身体を、 ぎこちなく元に戻しながら、尋ねる。]
今、なんか── なんだった?
[ きっと、また、間抜けな顔。 ぽかん と、半分口を開いて、俺は言う。
ここは、フツウじゃないね って、 薄々、気づきはじめている。ここは、どこだ。*]
(188) 2017/03/11(Sat) 00時頃
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── でられない ?
[ 反復。
古辺の言葉は、やっぱり非現実じみている。]
だけど、みんな、 帰るっつって、出てったじゃん
あいつらは?
[ 多分、そう言ったあたりまで、 あまりに、畳み掛けるように起きる異変に、 俺の頭は、あちこちの動作を止めていたに違いない。
理一もまた、おかしい と言う。 電気が消えないのも、笑い声も。 声?]
(199) 2017/03/11(Sat) 00時半頃
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[ そのとき、ようやく。
なにか、ざわめき。ノイズ。 その程度にしか認識していなかった ソレ が、 幾重にも響く、ひとの笑い声だと気づく。
……どうしてだろう。
なんか、これだけ色々おかしなことがある中で、 それが、一番だめだった。悪寒。
強張った表情で、声の出処を追えば、 そこにあるのは、ただのスピーカーでしかなくて、 ただのスピーカーでしかないそれを、 凝視 する。 きもちわるい。]
(202) 2017/03/11(Sat) 00時半頃
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[ おかしい。フツウじゃない。 重なる言葉が、異様な光景が、 五感に訴えかけてくる、違和が。 そろそろ、あふれだしてしまう。]
……笑ってる場合じゃ、ないじゃん
[ おかしいじゃん。 誰もいない校舎。なのに電気のついた部屋。 一瞬で切り替わった校舎の風景。 こんな、大掛かりなマジックみたいなこと、 できるわけ、ない。と、そろそろ認めようか。]
(205) 2017/03/11(Sat) 00時半頃
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……これ、
[ マジで帰れんの? って、言いかけて、 だけど、すんでのところで言葉をのむ。
ここで、あーだこーだ言ってたってしょうがないし、 聞いたって、分かるようなことじゃないし、
そもそも、帰るって、 …………帰る必要って、あるっけ。*]
(209) 2017/03/11(Sat) 00時半頃
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── 回想:入間と、絆創膏 ──
[ チグハグな笑顔>>75は、 俺には、気遣い の類に見えた。
困らせたかなあ って、思っちゃう感じの、アレ。
紙ですぱっといくと、小さな傷でも結構血が出るから、 さっさと貼っちゃえよ って、せっつきながら、 俺は、やっぱり困ったように笑って言う。]
じょうずじゃない って、 ひでえな。知ってるっつーの
(216) 2017/03/11(Sat) 01時頃
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[ 笑うのじょうずじゃない。
いつものことだ。 みんなで撮った写真だって、 なんでかいつも、「えっ撮ってんの?」みたいな間抜け面か、 困ったような半笑いに、作りかけのピースサイン。
っていう話で、誤魔化してしまいたかった。]
(217) 2017/03/11(Sat) 01時頃
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|
[ 入間は言う。ひとりじゃないよ。 作りかけじゃないピースサイン。
逃げるみたいに、視線をそらした俺。 ゆるーい調子を意識しながら、答える。]
うん、 サンキュー
[ そこでやめておいてもよかったんだろう。 わかってるんだけど、つい、口が滑ったんだ。
ひとりじゃない。心配だ。話をしよう。 そういうのから、やっと、逃げてきたばかりだったんだ。 もう、さんざん、拒絶したんだ。した後だった。]
(219) 2017/03/11(Sat) 01時頃
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── けどさ、
[ 困ってるんだか、笑ってるんだか、 疲れてんだか、諦めてんだか、さて。 よくわからない表情をして、 表情をつくるのもつかれた って顔だった。たぶん。]
ひとりのほうが、楽なことも あるから
[ 視線を、入間のほうに戻すことは、できなかった。*]
(220) 2017/03/11(Sat) 01時頃
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##
部活をやめた。 突然のことで、驚かれたけれど、 理由は言わなかった。建前を考えるのも忘れてた。
顧問や部長が、話をしようと言う。 何かあったのか。悩みでもあるのか。 理由を教えてくれ と言う。 力になれるかもしれない と言う。
##
(221) 2017/03/11(Sat) 01時頃
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|
##
それに、他でもない俺が、 いいから放っておいてくれ と、 強引に逃げ出してしまったから、
元・チームメイトとの仲は不良。
ああ、そういえば、チョコバナナのタダ券。 せっかくもらったのに、財布に入れっぱなしだ。
あのあたり、運動部の屋台が固まってて、 行きづらかったんだよ なあ……
##
(222) 2017/03/11(Sat) 01時頃
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## ……そう、あのときは。
まだ、逃げていればいいって思っていたんだっけ。 楽に息ができる方へ。見つかるはずの居場所へ。
仕方ない。そういうふうに生まれたんだから。 そういうふうに、なったんだから。
選べるなら、俺だって、 みんなと同じを選んださ。……たぶん。 ……想像も、できないけど。* ##
(231) 2017/03/11(Sat) 01時頃
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── 現在:3年3組 ──
……俺、もうちょっと待ってる 誰か、戻ってくるかもしんねえし
[ よっぽど冷静な古辺の返し>>226に、 何も言い返せなくて、納得してしまったから、、 俺は、そう言って、自分の席へと向かう。
ほら、英語教えてやったときと一緒だって。 授業の内容を丁寧にまとめて、 過去問をさらって、予想を立てるやり方。
真面目だけど、アクシデントには弱い。 そういうどんくさい人間ってこと。]
(247) 2017/03/11(Sat) 02時頃
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[ 自分の席。教室の定位置にたどり着いたなら、 適当に、ノートとペンを取り出して、 おかしな点を書き付けながら、 出ていこうとする古辺>>230と理一>>245に言う。]
なんか、見っけたら、戻ってきて 勝手に帰んなよ、おまえら、マジで
[ これで誰も帰ってこなかったら、と思うと。 多分、俺は、泣く。いや、泣く前にキレる。
念入りに念押し。
最初は俺の手元を覗き込んだ水野も、 あっさりとどっかに行ってしまうから、
俺は大人しく、留守番でもしておこう。**]
(248) 2017/03/11(Sat) 02時頃
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── 現在:3年3組 ──
[ 取り残されたひとり。
去り際、理一の残したかるうい返事>>326に、 なんだか、脱力してしまうけど、 どこか、ぎこちないような、気の所為のような、 静かな古辺の返答>>258のほうが、 たぶん、”当たり前”だった。
ぱたぱた と、そのあとを水野が追う。
教室には、保田那由多がひとりきり。 まあ、これだけ笑い声が響いてりゃ、 寂しくはないけど。 ってのは、嘘だな。]
(329) 2017/03/11(Sat) 20時頃
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[ 誰もいなくなった教室で、 疑問点を書き連ねて、連ねて、
”地面が”そこまで書いて、立ち止まる。 ……ない? 遠い? あいつは何と言ったっけ。
その疑問は、席から立ち上がって、 もう一度窓を開け放してみたら、すぐに分かった。
ああ、まるで、 地面なんて存在しないみたいに遠い んだな。
嫌な感じに口の中が乾いて、 身体の裏側が冷える みたいな、 あるじゃないか、そういう、生理的な 恐怖?]
(330) 2017/03/11(Sat) 20時頃
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[ ──── ここから落ちたら、死ねる。
と、辛うじて動いている頭の片隅で、 理解して、尚、……これは、恐怖 なのか。]
(331) 2017/03/11(Sat) 20時頃
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[ 手は、足は、 何かに突き動かされるかのように、自然と動いた。
机の足元。投げ出していたリュックを手に取った。 開けっ放しの窓の向こう、白い世界へ、 果てしなく続く とさえ思える場所に、 終わり があるのか、知りたかった。
窓の外に突き出した手の中から、 さかさまになった鞄の口から、 ばら ばら と、紙が降る。
参考書や、ノートが、 白色に吸い込まれていくみたいに、 まっさかさまに、落ちてく。笑える。 パスケースも。ひしゃげた絆創膏の箱も。
果て なんて見えない。]
(332) 2017/03/11(Sat) 20時頃
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[ けど、少し、すっきり した。 ]
(333) 2017/03/11(Sat) 20時頃
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[ 黒いリュックは、空っぽになって、 かじかんだ指先に辛うじて摘まれたまま、 世界に溶け込んでいくように、白色をまぶしていった。
いい加減、冷えてしまった教室の空気と、 肘から先の、凍えそうな寒さに気づいて、 布の重さしかない鞄を、また机の足元に投げる。
カラカラと窓をしめて、再び閉ざした教室は、 先程より、少し、ひんやりとして、 誰か、帰ってくるまでに、あたたまるといいな と思う。]
(334) 2017/03/11(Sat) 20時頃
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[ わかったこと。 おまえが嘘をついてたわけじゃない。 ── ってことくらいだよ、古辺。
なんかもう、することもなくて、 ただ、手に負えない現状 だけが目の前にあって、 ぼんやり、自分の机の傍らに立っていた。
帰還者第一号が現れた>>319のは、 きっと、そんな頃合い。*]
(335) 2017/03/11(Sat) 20時頃
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── 現在:3年3組 ──
[ 開けられた扉から、 ひとの良さそうな顔が、ひょっこり覗く。 その後ろから、背高のっぽもやってきたかな。
不思議そうな顔をする昴>>319に、 俺は、あー と、突っ立ったまま、答える。]
結局みんな、帰るとか、様子見に行くとか 一応、理一と古辺は、そのうち戻ってくる ……と、思うけど
[ 戻ってこなかったらシメる。 思うけどって、つまりそういうこと。
そのあたりまでは、また、日常めいた思考だった。
憂鬱そうな口ぶりで、昴が再び口火を切るまでは。]
(339) 2017/03/11(Sat) 20時半頃
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── 閉じ込められた?
え、玄関は。凍ってんの? 最悪、窓割れば?
[ 閉じ込められた。という、不思議な言葉。 反射的に、思いつく可能性を羅列して、 それから、思考の行き着くのは、真っ白な世界。 染みひとつつかない、真っ白な。
それに気がついた途端、俺は口をつぐむ。
学校であって、学校じゃない。 ならば、一体ここは、何処なのか。]
(340) 2017/03/11(Sat) 20時半頃
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……それとも、なにか分かった とか
[ なにか分かったならば、 それは喜ばしいことであるはずなのに、
不思議と、問い返す声は、重かった。**]
(341) 2017/03/11(Sat) 20時半頃
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── 回想:文化祭 ──
[ 休憩中 だった。
多めにシフトを入れてくれていいと言っても、 ぶっ通しで詰められるほど、クラスの皆は鬼じゃなく。
逆に、困ってしまっても、いた。
生憎、俺の交友関係は、 部活を軸に構築されていて、 3年、クラスに恵まれて、築いた関係も、 休憩合わなきゃ、意味ないじゃん。
高校生活3年目、 ここに来て、文化祭当日、行き場がない とか。
笑えねえ。クソかよ。]
(374) 2017/03/11(Sat) 22時頃
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[ 校舎はどこもお祭りムード。
屋台の並びには、近づきたくなくて、 ゲーム系の出し物におひとり様とかあり得ない。
ひとり満喫する勇気もなく、 人気のないほう、静かなほうへと、 悲しいことに、足は向く。
だから、鍵のかかっていない空き教室。 逃げ場を見つけた って気分で扉に手をかけた。
そこに、クラスメートが、 というか、そもそもひとがいるとか、 想像もしなかったから、扉を開く手は途中で止まって、 それから、そうっと覗き込んでみる。]
(375) 2017/03/11(Sat) 22時頃
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[ 近づいてみれば、やっぱりそれは上須賀で、
準備期間、元賀が衣装係に混じっていたころ、 行き場をなくして、仕事をもらいに行ったときと同じく、
俺は、ほんの少し距離を詰めて、 控えめに、でも、彼の名前を呼んだ。]
上須賀、……寝てんの?
[ 上須賀はサボり魔。そりゃあ、知ってるけどさ、
文化祭当日、わざわざ学校まできて、 それで昼寝してるって、相当意味わかんねえし、 「何してんの?」ってニュアンスで、俺は問いかけた。]
(376) 2017/03/11(Sat) 22時頃
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[ それから、
彼が返事をしたとか、寝ているようだとか、 そういうの、関係なく、俺は……羨ましかった? あるいは、悔しかったのだろうか。
自分でも、よくわからないけどさ、 ひとりで悠々と、マイペースに生きてる。 そういう人間に見えていたのだ、上須賀が。
……不思議だったのかもしれない。 ひとりでいるのが嫌でも、原因は自分。 責める相手もいなくて、やるせなかった 俺は、]
……ひとりでいて、虚しくなんねえの、おまえ
[ 質問 というより、つぶやき に近い言葉を、 空き教室に、小さく 落とした。*]
(377) 2017/03/11(Sat) 22時頃
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── 現在:3年3組 ──
[ 困ったような顔をして、 昴は上須賀の顔を見上げる。
ふたりは、幼馴染だというけれど、 時折、面倒を見ている側のはずの昴が、 雛鳥みたく、上須賀を見やるのが、 なんだか、面白いよな って、
……今は、どーでもいいけど。]
誰か、戻ってきたとき、 誰も教室にいなかったら、ややこしいだろ
[ 留守番? と聞かれて、俺は頷きながらそう言う。 自分の鞄を拾い上げるのを、「ああ」と曖昧に答えて、 とっとと受け取ったら、椅子にでもかけておこう。]
(379) 2017/03/11(Sat) 22時頃
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[ そういう問題じゃない と、昴は言って>>361、
その口ぶりが、説明に淀む様子が、なんだか、 窓の外を見たときの古辺と、重なって見えた。
やっぱり、困ったように視線を彷徨わせる昴に、 どんな顔をしていいか分からないまま、 俺は、教室の窓の外を指差した。]
それって、窓の下の地面が遠い。とか、 そういう類の、どうしようもなさ だろ
[ 確認するように、半ば確信しているように、 そう告げてから、そうだ、言い方を変えよう。]
(382) 2017/03/11(Sat) 22時頃
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ここは学校じゃない なら、 なあ、昴。おまえ、ここ、なんだと思う *
(383) 2017/03/11(Sat) 22時頃
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[ 説明の続きは、上須賀>>387が引き取った。
壁と同化。壊せない。殴っても。 物騒な単語が、上須賀という男とチグハグに思えて、 一瞬、想像してしまう。一体どんな顔して。
……なんて、こんな場所じゃ、なあ。 皆、フツウでいられるわけ、ねえじゃん。
見てくれば、と言うのに、 なぜか、薄く笑ってしまったのは、 もらい笑い とかじゃなくて、ただの苦笑。]
(401) 2017/03/11(Sat) 23時頃
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べつに そんな、悪趣味なウソ、つかねーだろ
……閉じ込められた な
[ 言いながら、考えながら。 今するべきこと、今できることを、考えている。 まったく思いつかないんだけどさ。
閉じ込められた。誰に? どこに? ……なんとなく、わかんなくはない 気がするけど、 俺、オカルトとか、SFとか、読み物とは好きでも、 絶対、信じない主義だったんだけど。マジかよ。]
(402) 2017/03/11(Sat) 23時頃
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|
……あと、電気も消えないだろ つかないんじゃなくて、消えない
[ 見たのか>>393という問いに、 遠回しに、肯定したつもりだった。
その口ぶりなら、きっと彼も見たのだろう。 思い出して、気持ちのいいものでもないし、 何を見たか は、言及せずに。
質問への答えを、待っていた。>>394 おずおずと、昴が口にした答えが、 うっすらと自分が思い浮かべていたものと、 合致してしまうこと への、
……安堵? それとも。 絶望 と呼ぶには、些細すぎるか。]
(403) 2017/03/11(Sat) 23時頃
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|
うん 俺も、思った
[ 淡々と、今度は声に出した肯定。 笑うでも、泣くでも、怒るでもなく、 ただ、強張った顔は、していたかもしれない。]
── なら、誰が、死んだんだろう
[ ひとの良さそうな 瞳と、 長い髪の間から、まっすぐのぞく眼差し。
まっすぐに見据えてみても、答えは、*]
(410) 2017/03/11(Sat) 23時頃
|
|
── 回想:文化祭絶賛ぼっちにつき ──
[ 上背のある上須賀が、 声に反応して、むくりと起き上がる。>>399 十分、予想できていた展開なのに、 どうしてなかなか、地味にビビった。
大きなあくび。眠たそうに投げ返された言葉は、 完全に、俺の想像の斜め上をゆく。]
上須賀、ずっと準備参加してたじゃん なんで当日だけ、サボろうとしてんだよ
[ 意味わかんねえ って、ちょっと笑った。
クソうるさいやつって、きっと昴か、 それか、委員長か、そのあたりだろうなと、 引きずられるように登校する上須賀を想像する。 アレ、堆チャレンジって言うらしい。ウケる。]
(421) 2017/03/11(Sat) 23時半頃
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|
なに、そんなねみーんだ 睡眠不足? 勉強しすぎじゃねーの
[ 上須賀の成績は俺より良い。 ということしか知らないし、 別に、勉強熱心なイメージもなかったけれど、
からかうような口調で言ったのは、 単純に、”受験生”しなくちゃなんねえしなって、 そういう軽口のつもりであって、
そういう調子で、いたから、 まるで不思議そうな顔をされた>>400とき、 なんだか、不意に、痛かった。どっかが。]
(422) 2017/03/11(Sat) 23時半頃
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……だって、上須賀、 あんまり誰かといるイメージ、ねーし
俺は、絶賛、ただのクソぼっち ……つーか、ひとりのほうが、楽とも思ったけど、 結局、フツウに、虚しいって それが、自分で選んだ結果でも
[ ベストがなくて、ベターを選んだ結果だ。たぶん。
なんの害意もないって顔の上須賀と違って、 きっと、居心地の悪そうな、もやっとした顔をして、 結局自分の首絞めてる俺は、クソダサかった。*]
(423) 2017/03/11(Sat) 23時半頃
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