35 星降る海岸に纏わるエトセトラ
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―白石源蔵邸―
[戻った時、屋敷は一通りの戸締りがなされており、そしてしんと静まり返っていた]
………………。
[まるで忍び込むように、こっそり裏口から顔を出す。 人の姿が無いことを確認して、中へと入り込んだ]
あった。
[自室に置きっ放しにしていた、張り子の円盤。暗がりの部屋の中、差し込む月明かりに照らされて仄かに輝く。 円盤を、そっと腕の中に抱きしめた。きゅるきゅる、というからくりの音が響いていた]
(61) nekosuke 2011/08/21(Sun) 21時頃
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[それから明りも灯さないまま、夜通し屋敷の片づけをした。 元々私物は多くは無かったが、5年間という月日は思いの外に重く。すっかりなかったようにしてしまう頃には、朝になっていた]
――――――……源蔵様、大丈夫でしょうか。 ちゃんとご飯食べて、眠ってくれるかな。
[がらんとした自室を眺めつつ、ぽつりと呟く。きっと、倒れたりはしないと思うけど]
あっ、南瓜。
[そして思い出した。作ったままにしていた南瓜の煮付け。涼しい所に置いていたから、まだ食べられるとは思うけど]
………………。
[暫し考えた後、南瓜の煮付けを箱に詰めた]
(62) nekosuke 2011/08/21(Sun) 21時頃
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――――――――……えっ!?
[戸の開く音がした。聞き馴染みのある声が聞こえた。まさか、どうして。 思うのと同時、南瓜を詰めた箱を手にしたまま、玄関の方へと駆けだしていた]
源蔵、様。
[果たして、その人はいた。暫し唖然としたように、彼の眼前で立ち竦む。下手をすればもう、二度と会えないと思っていたのに]
――――――――…御帰りなさいませ。
[我に返ると、薄く微笑んでお辞儀した]
少しお疲れの顔をしています。 寄り合い所で、御無理をされたのではないですか?
[屋敷の様子は自室を除いて大方変わりないが、廊下なども所々、物が片付けられている。 源蔵は気づくだろうか]
(65) nekosuke 2011/08/21(Sun) 22時頃
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[源蔵が無理をしているのは、長く共に暮らしてきたので分かる。 けれど、大事ないと答える彼に、静かに頷いた]]
――――――――……はい。 私に御手伝いできることでしたら、喜んで。
[書斎へ向かう主人の後を、ゆっくりと付いて行く]
完成間近でしたのに、御戻りになれない様子でしたから。 どうなるかと、心配していました。 源蔵様のからくりは、村の皆が楽しみにしておりますから。
[そして、私も]
御茶を入れてきますね。 南瓜の煮付けは、お届けしようかと思っていたのですが…。 これは、また後で。
[一度頭を下げて場を辞し、すぐに戻ってきた]
(69) nekosuke 2011/08/21(Sun) 22時頃
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一平太は、源蔵がまたきりばんだったので、飛びついておいた。えへへ。
nekosuke 2011/08/21(Sun) 22時半頃
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―書斎―
[御茶の盆を持って、書斎に戻れば見えるのはいつもの後ろ姿。 小さいのに大きなその背が、大好きだった]
はい。此処に。
[湯呑みを置き、その場に佇んだまま、暫し源蔵の作業する姿を見守る。 問われれば、からくりへと自然に目が向いた]
羽衣伝承。昔、母様に聞かせてもらったことがあります。
[嗚呼、確かその話は。母の語り口を思い出すように、滔々と]
漁師が浜辺で羽衣を手に入れるが、それは実は天女の物だった。 漁師は羽衣を隠し、 天にかえれなくなった天女と仲良く楽しい日々を送った。
(76) nekosuke 2011/08/21(Sun) 23時頃
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……けれど、とある日。
天女は羽衣を見つけてしまい、――――――……
[其処から先は、続かなかった]
(77) nekosuke 2011/08/21(Sun) 23時頃
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[源蔵の言葉を、ただ静かに聞いていた。穏やかな語り口で、けれど、彼は確実に私の正体に察しがついていた。 …そう、聡明な彼が気づかぬはずは無いのだ]
――――――――……。
[相手が振り返る。真っ直ぐに、視線は交わる。 胸がざわめき、呼吸が止まりそうになる。 できるだけ普段通りの、真顔で、表情を隠して、それでも視線を彼から外すことなど出来る筈が無くて]
源蔵様……。
[絞り出した声はかすれていた。握りしめた指先も、震えた。 自分には勿体ない言葉だった。嘘をつき続けて、騙して、それなのに]
(85) nekosuke 2011/08/22(Mon) 00時半頃
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[その言葉を聞いて、酷く嬉しかった。嬉しかったのだ。
だからこそ、自分を抑えようとする。こんな優しい人に、此れ以上迷惑をかけてはいけないから。 無理にでも微笑んで、そして]
……………源蔵様。どうして、謝るのですか。
どうか、謝らないで。 そんなに悲しい顔をしないでください。
私も、この場所で過ごした日々は、何物にも代えがたい。 本当に本当に、幸せな時間でした。
けれど、………
(86) nekosuke 2011/08/22(Mon) 00時半頃
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[其処で言葉が、続かなくなる]
―――――――――――……っ。
[ぽたり、ぽたりと] [涙が溢れてきて、止まらなくなったから]
あ、あれ。可笑しいな。どうして、そんな…。
[俯いたまま、困ったように笑う。両手で、滴を拭って、拭って。それでもどうしようもなくて、最後は手で顔を覆う格好になった]
(87) nekosuke 2011/08/22(Mon) 00時半頃
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[温かい腕に包まれる。 「僕は酷いな」という相手に、返事をしようとするけれど声にならなくて。代わりに何度も何度も首を横に振る]
――――――――――……。
[そして、最後に問われた言葉。 答えは考えるまでもなく決まっている。けれど、それを口にしてしまったら、もう歯止めが利かなくなりそうで]
私、私は……
(101) nekosuke 2011/08/22(Mon) 01時半頃
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………私は、戻りたくない。ずっと此処にいたい!!
[顔を上げ、泣き腫らした顔のまま、間近で源蔵を見つめながら声をあげた]
恐ろしいのです。 私が此処にいることが、この村の人たちに、未来の人たちに、 一体どのような影響を及ぼすのか。
本当は帰らなくてはいけない。いけない、けれど、帰りたくない。 離れたくない。ずっと、御傍にいたいです。
ずっと、ずっと、ずっと…
[歳相応、否、歳より幾許か幼くすら見える様子で、言い募る。 相手を困らせてしまうだけだと分かっているのに、もう、止まらなかった]
(102) nekosuke 2011/08/22(Mon) 01時半頃
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――――――――……ずっと、此処に。傍に…。
[本来の流れからはずれて、この場にとどまるということ。その過ちも、恐れも、全て認めた上で源蔵は傍にいてほしいと言ってくれる。此処にいることを、許してくれる。 自分が何を求めていたのか。何を望んでいたのか。…伊綱の言葉の意味が、分かった気がした]
ふふふ、…源蔵様でも、怖いことがあるのですね。
[赤い眼をして、それでも何処か冗談めかして笑う]
居たい…。居ます。居させて、ください。 私の居場所はここだと思うから。……心から。
[祈る様に呟いて、源蔵に抱きついた**]
(107) nekosuke 2011/08/22(Mon) 02時頃
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一平太は、|_・)
nekosuke 2011/08/22(Mon) 21時半頃
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―通り―
―――――――……団十郎様?
[人気の少ない村通り。大きな背中は、殊更に良く目立つ。 彼の思案をしてか知らずか。そこにかけられる、いつも通りの声]
嗚呼、やっぱり団十郎様でした。 御祭りの役員さんになったと伺っていたので、 見間違いかと思ってしまいました。
[お早うございます、と頭を下げる少年の手には、白い花束]
(134) nekosuke 2011/08/22(Mon) 22時頃
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[大きな声を出した団十郎に驚いたように瞬いて、振り返る彼と目が合えば少しだけ肩を揺らした]
――――……ふふ、びっくりさせちゃいましたね。
[尋ねられた問いに、開いた僅かな間。花束を持ち直せば、白い花弁が一枚舞った]
はい。会いました。会って、大切な御話をしました。
…団十郎様。団十郎様も、御存じだったのですよね。 いいえ、きっと。誰より早く、 気づいていらっしゃったのかもしれない。
[そっとかがみ込むと、地面に花束を置いた。 其れから立ち上がり、真っ直ぐに相手へ向き直る。一度見上げた後、深く頭を下げた]
ごめんなさい、嘘を吐いて。沢山、沢山、騙してごめんなさい。
(142) nekosuke 2011/08/22(Mon) 22時半頃
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私は学者になれば良いって、団十郎様が仰ったとき。 私、凄く嬉しかったのに。本当に嬉しかったのに。…だから。
守れないと思いながら、約束をしました。
―――…きっと忘れてしまうだろうから、 約束を破っても良いだろうなんて。本当に身勝手。
[それから、ゆっくりと頭を上げた]
でもね。
やっぱり私、此処に居たい。 何がこの先起こるのか、とてもとても不安だけど。
源蔵様は、ずっと一緒に居ると、言ってくれたから。 何が起こるか分からない。後悔することになるかもしれない。 けれど、どちらを選んでもきっと後悔するなら、 私は此方の道を選びたい。
(143) nekosuke 2011/08/22(Mon) 22時半頃
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私、この村に残って、学者になりたい。 そして、夜の星を見上げながら、皆さんと御酒を飲むのです。
頑張ります。どんなことでも、頑張る心算です。
だから、だから…。
私が学者になることを、まだ、応援して、くれるでしょうか。
[とても、図々しい御願だとは、分かっているのだけれど。 何時も気にかけてくれた団十郎は、少年にとっては家族にも近しい存在であり。だから、今は、包み隠さず本心を告げた]
(144) nekosuke 2011/08/22(Mon) 22時半頃
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一平太は、慰められて、元気が出たよ。ありがとう、ありがとう。
nekosuke 2011/08/22(Mon) 23時頃
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―――――――…わ、わわっ。
[頭をわしわしと撫でられれば、「もう子供じゃないのだから」と普段は慌てているのだろうけれど]
…えへへ。
[今日ばかりは、心底安堵した表情で笑みを零した。 長い眼で見れば、それはこの場の感情に流された選択なのかもしれない。それでも。この村で、彼らとなら、きっと頑張れる気がするから。
朧のことを問われれば、ぴたりと固まって]
いいえ。兄様には、私がこの時代の人間ではないことを…。 御祭の日には帰るのだと、伝えたきりで。
半ば、飛び出してきてしまったのです。
(156) nekosuke 2011/08/22(Mon) 23時半頃
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[困ったように俯いた]
―――――………戻って来た時には、 御祭の役員に任命された様で、既に御姿がありませんでした。
きちんと、伝え直さなくては、いけないのですが………。
[言いなおしながら、地面に置いていた花束を拾う]
勇気が足りなかったので。だから、父様と母様に、 少しだけ勇気をわけて貰いに行くところだったのです。
(157) nekosuke 2011/08/22(Mon) 23時半頃
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――――――――……ありがとうございます、団十郎様。
[花束を抱きしめながら、薄く微笑んだ]
そうだ。源蔵様の御祭用のからくり、完成したんですよ。 凄く素敵な出来あがりなんです。 今年も、皆で見物しましょうね。
[あんなに恐れていた「約束」が、今ではとても待ち遠しく思える。 深く頭を下げると、墓地の方へと歩いて行った]
(162) nekosuke 2011/08/23(Tue) 00時頃
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―村の傍の墓場―
[墓石は丁寧に磨かれていた。きっと、兄が訪れたのだろう。 白い花を墓前に供えて、一度日が高くなり始めた空を見上げた。青い。何処までも、青い空]
――――……父様。母様。今年も御戻りになるのでしょうか。
[「精霊伝説」は、未来人の時間旅行の口実でもあっただろうが。 それでも人が、その星空に先祖が戻ってくることを願うのならば、全てが嘘にはならないと想う]
私は、何も、打ち明けることの出来ないまま。 貴方達はお亡くなりになってしまった。 私を最期まで実子と信じ……。 それは今ではもう、取り返しのつかないことです。
[風が吹き込み、白い花弁を散らしていく]
それでも私にとっては、父母は、貴方達しかいないのです。 何の言い訳にもならないかもしれないけれど。 本当の父様と母様だと、思っていました。…今でも思っています。
(187) nekosuke 2011/08/23(Tue) 01時頃
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朧様は、…兄様は、 こんな私を自慢の弟だと言ってくれました。
そう。私にとっても。 何時だって、どんなときだって、朧様は自慢の兄様でした。 私が望んで押しつけた縁を、 あの方は、貴方達は、受け入れてくださいました。
それだけでは、ないのです。 私、この村で、大切な人が沢山出来ました。
みんな、みんな、―――――…宝物です。
(188) nekosuke 2011/08/23(Tue) 01時頃
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戻らないって言ったら。……兄様は、呆れるでしょうか。 それとも自分で考えて決めたことなら、 許してくれるかな…。
あれだけ大騒ぎしておいて、ちょっと、格好悪いな…。 でも、格好悪い位は大丈夫。
それでも私は、ここで生きていきたいから。
[祈りは静かに流れる]
父様、母様。私をまだ、息子として認めてくださるなら。 ――――――…どうか応援していてください。
(189) nekosuke 2011/08/23(Tue) 01時頃
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一平太は、源蔵に飛びついた。(もはや定期!)
nekosuke 2011/08/23(Tue) 01時頃
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―夜・海岸付近の道―
[――――――…墓参りの後、村の中を、朧の姿を探して、探して]
[けれど、なかなか見つからなくて]
[漸く見つけた頃には、もう日も落ちていた。 海岸傍、一人満月の輝く星空を見上げる姿]
…… っ。
[声をかけようとして、呼び方に迷い、一度躊躇し]
兄様!
[けれどはっきりと、その背に呼び掛けた]
(215) nekosuke 2011/08/23(Tue) 21時半頃
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――――――――…御祭り、は。 まだ何も見ていませんが。
[振り向いた朧に一度、立ち竦み。静かな足取りで近くまで駆け寄ると、隣に並んだ]
だって、一緒に見回りをするって、 …約束していたでしょう?
(224) nekosuke 2011/08/23(Tue) 22時頃
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[相手が言いかけた言葉の先は分からなかった]
兄様と一緒なら、私は何でも楽しいです。
[俯き気味の顔に、月明かりが影を作る。ゆっくりとした歩調に合わせて、彼の隣を並んで歩く]
………兄様。私の住んでいた街では、星も月も見えないのです。 青い空が無いのです。 上は一面、冷たい冷たい、暗いキカイに覆われて。
他の人と会話をすることは愚か、会うことも稀で。 偶に会うことがあっても、 それはただ、生きていることを確認するだけのこと。
未来の人間が、街が、全てそうだとは思いません。 けれど、私が住んでいた場所は、酷く寒々としたところでした。
(237) nekosuke 2011/08/23(Tue) 22時半頃
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だから、私、逃げ出したのです。後先も考えず。 勝手に黙って時を渡って、行き先も分からぬまま。
―――――――……そして、この村に着いた。貴方に、出会った。
[そっと腕を伸ばす。叶うなら、相手の手を握ろうと]
兄様が最初にくれたのは、繋いだ手の温かさ。 兄様が最初に教えてくれたのは、 二人だと寂しさも怖さも半分になってしまうということ。
………………………。
(238) nekosuke 2011/08/23(Tue) 22時半頃
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あのね、兄様。私、考えました。 色んな人に迷惑をかけてしまうかもしれないことも、 沢山考えました。
それでも、此処に居たいです。残りたいです。
共に生きることを祈り願ってくれる人がいるから。 将来の夢を支え応援してくれる人がいるから。
あんな、大騒ぎして。 とても、恥ずかしいし、情けないのですが。
私、残ります。この村に居ます。ずっと、ずっと。 次の御祭も。その次の御祭も―――…。
(239) nekosuke 2011/08/23(Tue) 22時半頃
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一平太は、朧が茄子と結婚しないかがとても気がかりである。
nekosuke 2011/08/23(Tue) 23時半頃
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――――――――…。
[小さく笑った兄を見上げる。 此方もほっとしたように笑みを零した]
はい。……絶対に絶対に、御無事で御戻りください。 そうでなければ。 今度こそ本当に、私が都へ駆けつけてしまいますから。
[見回りを再開、との声に頷いた]
…………兄様、兄様。 私の兄様でいてくれて、ありがとう。
[再びゆっくりと再会した歩みの中、小さな声で囁いた**]
(255) nekosuke 2011/08/23(Tue) 23時半頃
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―白石源蔵邸―
[祭りが終わり、皆を沸かせ無事に役目を果たしたからくりは、今は屋敷の片隅に置かれている。 主人へ御茶を運びに行く折、その姿が目にとまってふと足を止める]
……………………。
[羽衣伝説には諸説あるが、多くの場合、天女は男と子を残す。 子は天へ連れて行かれることもあるが、地上へそのまま留まってしまうこともある。
天女の子はその時代を必死で生き抜き、 その血は脈々と受け継がれていくのだろう]
――――――源蔵様が、未来人の子孫だと仰るならば。 私は未来からこの村に渡り、この地で恋をし子を為した、 その方に御礼を言わなくてはいけませんね。
だって、源蔵様が今ここにいるのは、そのおかげなのでしょう?
[書斎で御茶を出しながら、不意に思い出したように、口を開く]
(266) nekosuke 2011/08/24(Wed) 00時半頃
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未来は、いつ決まるのでしょうね。
此処には居ない筈の人間が、何かをすることで未来を変える。 未来を変えてしまうというのは、 とても恐ろしいことなのかもしれないけれど。
でも、少なくとも私は、その御蔭で救われました。
私は自分の我儘を通して、この村に残るのだから。 だから、せめてその分、源蔵様の御先祖様のように。 誰かを幸せにするような、生き方が出来たら、良いな。
[にこりと一度微笑むと、「御無理なさらず」と付け足して場を辞しかけて、ふと立ち止まり]
嗚呼、そうだ、源蔵様。 今日の御夕飯は、何にしましょうか?**
(268) nekosuke 2011/08/24(Wed) 00時半頃
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一平太は、団十郎の頭を撫でた。
nekosuke 2011/08/24(Wed) 00時半頃
一平太は、げんぞうさまだいすき!
nekosuke 2011/08/24(Wed) 02時頃
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