196 水面に映る影より遠く
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[あとで来たら謝ろう、と 返信はせずに画面を閉じる。 麦茶を零したのも、怒られたのも>>152 俺が知ることはないんだろうけど、
ちょっと期待してくれたんだと知れば 沈んでいた心も、少し浮上したかもしれない。]
(206) choro 2016/08/25(Thu) 07時頃
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[いつもと同じように笑う律>>209。 初恋の話題には何故か一瞬、ドキッとする。]
この前は俺にはまだ先の話って言ってたくせに。 ……律もまだなんだ?初恋。
[自分よりも経験豊富そうだと思っていたから>>0:185>>1:155、意外そうに目を丸くして。 “デート”って改めて言われると なんだか少し、恥ずかしい。]
(217) choro 2016/08/25(Thu) 13時頃
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なめんな。転ばねーし。 そーいうのは女子にやってやれよ、イケメン。
[差し出された手をとることはなく。>>210 ぱしんっ、と軽く叩きながら立ち上がる。 律の笑みに、変化はあっただろうか。]
(218) choro 2016/08/25(Thu) 13時頃
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[からころ、からころ。 掌を重ねることはなかったけれど 二人の下駄は同じ音を響かせ。 逸れぬように、律の隣を歩いていく。 狭い道にずらりと立ち並ぶ出店たち。 目当てのかき氷屋は、すぐに見つかった。]
……お、かき氷。 レモンでいいんだっけ? んじゃ、俺は……ブルーハワイ。
[代金を支払うと、 約束通り律に初恋の味とやらのかき氷を手渡す。 俺が選んだのは、夏の空と海を感じさせる青。 しゃくりとスプーンをさして一口口に入れれば 舌の上を氷が冷やし、じわりと溶けていく。 その冷たさに おぉ…と目を細めながら、 隣の律に視線を送る。]
(219) choro 2016/08/25(Thu) 13時頃
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どう?初恋の味、する? 俺にもひとくちちょーだい。
[さっと自分のスプーンを向ければ 律はどう反応しただろう。 だめだと言われても、 「俺の金だし」と理由をつけて、 きっとその白い山からひとすくい、 “ 初恋 ”を盗むのに成功したはず。]
(220) choro 2016/08/25(Thu) 13時頃
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ん…… なるほど、これがハツコイ……
[口に広がるのは、 甘くて酸っぱい檸檬の味。 残念ながら、ピンとは来るほどの経験は俺にはないんだけど 思い出すのはあの日の蜜柑の味。 そうして、一人の顔を思い浮かべ───…]
(221) choro 2016/08/25(Thu) 13時半頃
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( 律になら、話してみようかな )
[ストローのスプーンを咥えたまま 信頼している友の顔を盗み見る。 芽生え始めたはじめての感情。 その名前を、律は教えてくれるだろうか。]**
(222) choro 2016/08/25(Thu) 13時半頃
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[「ひとくちだけ」>>235 そう差し出されたスプーンには きらきら光る、氷の粒。 ぱちりと瞬きひとつして あのときとおなじように>>1:153 あーんと口を開けた。]
( “ はじめてのこいの、その時は…… ” )
[律の言葉>>237を心のなかで繰り返す。 はじめての、こい。 はじめての………]
(245) choro 2016/08/25(Thu) 20時頃
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……あ?いや、そういんじゃないけど…
欲しいって言うんなら ひとくちあげてやってもいいけど?
[優っぽい>>234。 好きな色を、好きな味をそう言ってもらえて ちょっと嬉しい俺は、得意げな笑み。 少し溶けかけた青をすくうと、 ほれほれ〜と口元に持って行ってふざけたり。
けど、次第に視線を落とすと しゃくしゃくと氷にスプーンをさしながら 人混みに掻き消えそうな小さな声で呟いた。]
(246) choro 2016/08/25(Thu) 20時頃
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りつは、さ。
ある日突然、 今までなんとも思ってなかった奴が 急に気になることって、ある?
[しゃくり。 白が溶け、青と混ざり合う。]
(247) choro 2016/08/25(Thu) 20時頃
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そいつといると緊張したり うまく話せなかったり、 メール来るのそわそわして待ったり、 他のやつといるの見て、もやもや…したり。
なんか、みょーに可愛く見えたり。
[ぽつり、ぽつりと ここ数日感じた心の変化を言葉にする。 けど、そこまで言ってしまってから なんだか急に恥ずかしさが込み上げてきて。]
(248) choro 2016/08/25(Thu) 20時頃
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……いや、なんだこれ やっぱなんでもない。
…………あっ、射的!! 律!射的やろ!射的!!
[左から右へ、うろうろと視線を泳がせた先に 『射的』の文字を見つけると 話を逸らすようにびっ!と指をさし 律の袖をぐいぐい引いて射的の店へ。]
(249) choro 2016/08/25(Thu) 20時半頃
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弓道部のエースと言えど スナイパーユタカには敵わないだろうな。
[ふふん、と鼻を鳴らし 狙いを定めたのは 小さなイルカのぬいぐるみ。 2発ほど当てれば落ちるだろうか。 持ち弾は10発。 よーく狙って、狙って…
当たったのは、8発。]
(250) choro 2016/08/25(Thu) 20時半頃
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お、やりー。
[たった2発で仕留めたイルカ。 その他にも6発で1個ゲット。 なかなかやるじゃん、俺。]**
(251) choro 2016/08/25(Thu) 20時半頃
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[「……それは たぶん ───」>>255 律の言葉の続きを、俺の声が遮る。 自身のこの感情に“戀”という名が付くことも、 彼が思い浮かべた人物が誰であるかも、 おれは、なにも知らない。気付かない。]
………えっ、主将!?なったの!?
[パコーン! 気持ちのいい音を響かせながら 弾はあらぬ方向へ。 だけどそんなことも気にせずに ぶん、と大きく振り返る。]
(279) choro 2016/08/25(Thu) 22時頃
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……そっか、決めたんだ。
へへ、おめでと! 律ならきっとやると思ってた。 頑張れよ、樫木ぶちょー!
[律が悩んでいたことは知っていた。 俺はただ、背を押すことしかできなかったけど 律が自分でその道を選んだことを、嬉しく思う。
ニッ、と笑いかけ小さく拳を突き出せば 律の手にカモノハシの姿を捉え──
──カモノハシ? じーっと見つめていたら、射的屋の店主から声をかけられる。 どうやらさっきの一発が何かに偶然当たったらしい。 手渡された 透明な、小さな箱に入ったそれを見て]
(280) choro 2016/08/25(Thu) 22時半頃
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……え、これ
[どうしろっていうんだ。 そう言葉をかけようとするも、店主は店の端っこに行ってしまった。 しばらく悩んだ後、その箱をこっそりしまいこむ。]
(281) choro 2016/08/25(Thu) 22時半頃
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……へ、写真? あぁ、たしかに。 弓じゃなくて銃構える律なんて 超レアだしな。
おれ? いーよ、これおれのじゃないし。
[イルカとツーショットを、なんてカメラを向ける律から、逃れるように身を移す。 そうして差し出されたのは、カモノハシ……のストラップ。 ……俺に? 目を丸くして、一瞬の間。 俺は思わずぷっと吹き出した。]
(282) choro 2016/08/25(Thu) 22時半頃
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[律からストラップを受け取ると ちゃり、と音を鳴らし目を細める。]
くっ、ふふ、っ ……いや、ごめん 考えること、一緒だなあと思って。
[くすくす、笑い声を漏らしながら 左手を差し出して]
(283) choro 2016/08/25(Thu) 22時半頃
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これ、俺も律にあげる。 今日 寂しい時にすぐ来てくれたお礼 ……と、主将就任祝い?
[手のひらサイズのイルカ。 俺だと思って、なんて冗談もつけながら手渡せば 律は笑ってくれたかな。]
(284) choro 2016/08/25(Thu) 22時半頃
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[写真は、せっかくなら一緒に。 携帯のインカメラを起動して 肩がぶつかるのも気にせずに顔を寄せ カシャリ、夏の思い出を一枚。
切り取ったその一瞬は きっとずっと、色褪せない。]**
(285) choro 2016/08/25(Thu) 22時半頃
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[律とのデートを終え駅前広場に戻った頃、 みんなに よ!と手を上げて合流。 浴衣や私服の女子たちは やっぱり、制服やスクール水着にない新鮮さがあって。
……けど、]
( まだ来てない……か? )
[きょろりと辺りを見渡して ちびっこ1号を捜索。 小さすぎて見えないか? ……なんて、思った時。]
(288) choro 2016/08/25(Thu) 23時頃
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………!!
[きた。 走ってきた。>>228 白いスカートをひらりと揺らし いつも結っている髪は下ろされ ふわふわと風に靡いている。>>147]
( なにあれ、可愛い )
[思わず視線を逸らし、口元に手を当てる。 緩みそうになる唇を隠すためだ。 落ち着け、俺。 間違いメールのこと、謝るんだろ。]
(289) choro 2016/08/25(Thu) 23時頃
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[さっき手に入れた箱を気にしながら こっそり横目で小夏を覗き見る。]
っ、
[マズい。目が合った。>>229 どうする、どうする俺。 ていうかなんでこんなにビビってんだ。 動揺を顔には出さないように できるだけ、なんでもない風を装って。 視線を外したら負けだと思い込ませ じっと見つめ返す。
………だめだ、かわいい。 小夏が目を逸らさないなら、 きっと俺は、9秒で白旗を上げただろう。]*
(290) choro 2016/08/25(Thu) 23時頃
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( ………あ、逸らした )
[目が合ってたったの3秒。>>306 心なしか、その瞳が潤んでいるようにも見えたけど それよりも、咄嗟に逸らされたことが気にかかって]
( ………………やっぱ怒ってる? )
[どこまでも鈍い俺は、 その頬が赤く染まっていることにも気付かずに むぅ、と眉を寄せるだけ。]
(314) choro 2016/08/26(Fri) 00時頃
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[そのあとも、俺はみんなの後ろに続きながら 時折小夏を盗み見る。 楽しそうにしてんじゃん。>>230>>231 それが何故だか、面白くなくて。
俺ってこんなやつだったっけ。 知らない自分に、困惑する。
ぐるぐる ぐるぐる 考えても、この気持ちの原因は 言葉の形になってはくれない。]
( あぁもう、やめた! )
[小夏は葵から離れていただろうか。>>305 ずんずん近寄ると、その小さな手をとって]
(315) choro 2016/08/26(Fri) 00時頃
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小夏、ちょっといい?
[そのまあるい瞳をじっと見つめ、 くい、とこちらへ引いてみようか。]*
(316) choro 2016/08/26(Fri) 00時頃
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[手を引けば、小夏はおとなしくついてくる。 離れる前に葵>>325には口の前で人差し指を立て しーっ、と誰にも言わぬよう示したけど あいつ、ちゃんと黙ってるかな。 少し早足で歩き始め、足元のヒールに気が付いたら 何も言わず、ゆっくりと歩調を落とし。 祭の喧騒から少し離れた場所へ着くと どーかした?って声に振り返る。>>336]
………や、どーもしない んだけど なんか、話したくて。
[やばい、近い。 顔をまともに見ることができず、視線を下に落とす。 目に入るのは繋がれたままの手。 慌てて解こうとして、 ……けど、指先だけ触れ合うようにそのまま絡める。 小夏から離そうとするのは容易だろう。]
(346) choro 2016/08/26(Fri) 02時頃
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今日、全然話せてないし さっき、目逸らされたし。 ………なんか、怒ってる?
[不安げに眉を垂れ問いかける。 指先がまだ触れていたのなら きゅ、と弱々しく握って。]
(347) choro 2016/08/26(Fri) 02時頃
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[ぽつぽつと、雨のように 小さな想いの粒を落としていく。]
おれ、最近変なんだ。 小夏のことばっか、目で追ってる。 近くにいたいって、おもう。
………いまも、手、 離したくない。
[ゆっくりと顔を上げれば 彼女と視線は合っただろうか。 いつもよりも数センチ近い距離。 もう少しで、何かが掴めそうな。]*
(348) choro 2016/08/26(Fri) 02時頃
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