193 ―星崩祭の手紙―
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〜♪
[鼻歌を小さく歌いながら、ワタシは今日送るプレゼントを作っていた。 もうすぐ今日の分のお手紙達が届く時間。 チラチラと時計を見ながらソワソワと落ち着かない様子でワタシは道具を操ってゆく。]
「クリスマスー!文流しはちゃんとやってるの? 今日で送れなくなってしまうから、早めに送りなさいね」
[今日はどんな手紙にしようかな、明日は…なんて丁度考えていた所だったから、お母さんから告げられる事実に思わず持っていた道具を床に落としてしまった。]
えっ!お母さん聞いてないよ!どうして?
「あら、言ってなかったかしら。 他の所より早く星の波が近づくから送れなくなるのよ。 送れなくなって寂しくはなるけどその分長く見られるんだから、楽しみなさい。」
ええっ…うーん……わかったー……
[まさに不服です。と言わんばかりの声色で応える。けれども送れなくなるのは仕方がないので、早速頭を切り替えて床に落ちた道具を拾って続きを始めた]
(23) 2016/07/19(Tue) 00時頃
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[黙々と作業を続けること数時間。 ワタシはお母さんが運んできた昼食のピザとスープにも気付かずにプレゼントを作り続けた。]
…コツン……コツ、コツン…
えっ…?あぁ、わぁ!! 来たのね!今日もお手紙が来たわ!
[窓にぶつかっていたのは3つのカプセル達。 1つは小さいカプセルで、透明な色をした銀の蓋には金の装飾。 もう1つは銀色の楕円形のカプセル。なんだか不思議な仕掛けが組み込まれているようだ。 そして最後の1つは――]
あれ?これ…昨日も見たわ! もしかして…2回目なのかしら!素敵! またお歌が聴けるのかな、楽しみだわふふっ。
[ワタシはすぐさまそれらを並べると端から1つずつ開いていった]
(25) 2016/07/19(Tue) 00時頃
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[まず最初に開けたのは、他のカプセル達より一回り小さい銀の蓋に金の装飾が特徴的なカプセル。
中を開ければ初めて見る半透明の紙、それはまるでガラスで出来ているみたいで。 つい光を通してみたり、指でコツコツと鳴らしてみたり。 深い青色のちょっと癖っけのある文字はなんだか優しそうな人柄をまるで表しているみたい。]
機械に溢れた世界…まるでワタシの星とは正反対ね! 奥さんと息子さんがいるのね、きっとワタシのお家に負けないくらい素敵なファミリーなんだわ。 ワタシのプレゼント気に入ってくれたのかな、宝物ですって!ふふっ!
[見ず知らずのワタシからの手紙に丁寧に答えてくれた見ず知らずの何処かのお父さん。 なんだか父親の暖かさ、優しさに触れ合えた気がしてとっても嬉しかった。
ちょっぴり目頭が熱くなるのを指で抑えて、最後に手に取ったのは綺麗なスタードーム。 中身を揺らすとキラキラと星が舞い、まるで星崩祭を掌の上で見ているような。
ワタシはその手に収まる小さな宇宙を暫く堪能してから、机の上に飾った。 ワタシの一生の宝物がまた一つ。増えた。]
(27) 2016/07/19(Tue) 00時頃
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[そして次に開くのは、隣においてある銀色楕円形をしたカプセル。 なんだか仕掛けがあるようだが、機械に慣れないワタシは四苦八苦しながら中を開けて黒い画面を見つめる。 中に便箋が?でもどうやって開けるのだろう。 色々なところを触って、コツコツと叩いたり、撫でたりする内にピカッと光って急に映し出された人の姿に思わずびくっと体を震わせた。]
うわわっ! す、すごいわ…この中に人が入っているのかしら… アナタは出てこれるの?えっ?
[話しかけても返事はなく、話し続ける箱の中の人。 あたふたしている間に話し終わってしまい、どうにか弄ってまた聞き直す]
(29) 2016/07/19(Tue) 00時頃
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星の開拓…すごいのね、他の星では色んな星を飛び交うこともできるのかしら。 新しい星に自分の名前がつくなんて素敵ね! ワタシも見つけたらつけてくれるのかな?
[褐色の、ワタシと大体同年代に見える画面の彼が持つ花は今ワタシの目の前にあった。 ワタシはそれを慎重に持ち上げると、くるり、と回しながら光に当てて見る]
本当に透明なのね。すごいすごい! こんなの見たことないわ!後でお父さんに自慢しなくちゃ!
[先ほどのスタードームの隣に飾り、にっこりと笑みがこぼれる。この2日間で沢山の思い出と宝物がてきた。 どんなお返事を送ろうかしら、そんな事を考えながら手は最後のカプセルへと伸びる]
(30) 2016/07/19(Tue) 00時頃
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[最後に開くのは昨日届いたモノと同じ形の色のカプセル。 内心大きな期待を寄せながら、ドキドキと高鳴る胸を抑えてカプセルの蓋を開く。]
…わぁ!やっぱりアナタなのね! すごい!すごいわ!!
[昨日の夜も何度も聞いていたあの声。 今回はまた違う歌が流れてゆく。 音の流れに耳を澄まして、透き通る声に心揺れ動く。]
あぁ、やっぱり素敵ね。 2回も聞くことができるなんて、ワタシはなんて幸運なのかしら!
[小さく折りたたまれた便箋を開くと知っている名前。まるで詩のようなお手紙を何度も読んで心に染み込ませる。 カプセル達を近くにおいて机へと向かい、ワタシは早速お返事を書くためにペンを取り出した]
(31) 2016/07/19(Tue) 00時頃
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[空を見上げる。 晴れていた空はいつの間にかゆらり、ゆらりと波立っていて。 他の家から上がるカプセル達も少し不安気に揺れながら登ってゆく。]
んん…この子達…ちゃんと登って行くのかな…
[ぎゅ、と自分も不安気にカプセル達を抱きしめる。 中には先ほど完成したばかりのプレゼントともう送れなくなるからってこれまでの倍以上の時間をかけて綴ったお手紙が入っている。]
…うん!この子達なら行けるわ! だってワタシの所まで来てくれたんだもの! 頑張ってね!いってらっしゃい!またね!
[ワタシは腕の中に収まるカプセル達をゆっくりと放した。 それらはゆっくりと、でも着実に宇宙へと向かってゆく。 見送るワタシは彼等に向かって大きく手を振った。]
(32) 2016/07/19(Tue) 00時頃
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[ワタシはカプセル達が見えなくなっても暫く、そのまま空を見上げ続けた。 手紙の行方を考え出したら妄想が止まらないけれど、やっぱり色々期待をしてしまうのは仕方がなくて。 今度はどんなところに行くのだろう、お返事送ったあの人は喜んでくれるかな、とかとか…]
「クリスマス!お店開くから早く降りてらっしゃい!」
…っはーい!すぐ行くわ!
[星崩祭ももう目前、お父さんとお母さんも気合が入っている。 少し冷めてしまったお昼ご飯のカボチャのスープと小さなピザをお腹に詰め込んで。 ワタシはパタパタと階段を降りるとお店の扉を開けた。 いつもより早く開店したお店にはもうお客さんが沢山入っていた]
わお!ふふっ イラッシャイマセ!!何かお探しデスカ?
(33) 2016/07/19(Tue) 00時頃
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