204 銀花の咲く路、灰白の世界で君を想う
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……昔、 男のくせにぬいぐるみなんかって馬鹿にされて あんまり知られたくないんですよ。
[それは、もしかしたら。 先輩のサークルメンバーを侮辱する台詞だったかもしれない。 あそこには、そんなことで馬鹿にする人は、いないのかもしれない。 でも、俺はそれを知らないから。]
(106) 2016/12/18(Sun) 23時頃
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そういえば始田先輩、クリスマスプレゼント 決まりました? 俺全然思いつかなくて、わりと参ってます。
[隠す気のない、露骨な話題転換。 話は終わりだと言わんばかりに。
笑顔を作るのは苦手だけど、 精一杯の明るい顔で。]*
(107) 2016/12/18(Sun) 23時頃
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マフラーいいと思います。
[失敗したなと思っても、後の祭り。 栄介だったら冷えた空気に明るさを取り戻す術をしっていたかもしれないが 俺にはとても無理な話。 ぎこちない雰囲気の中、それでも会話を続けて。
先輩は誰にも言わないと約束してくれた。 それは俺が望んだ答え。
「そんなことないよ」>>110 もしそう言われたら――…どんな反応を返していただろう。]
(122) 2016/12/19(Mon) 00時頃
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気持ち……
[今から手作りなんて間に合わない。 ならば店でてきとうに、無難な物を選んで購入するしかないけれど。 そうして手に入れたものに 俺の気持ちってやつは、籠っているんだろうか?]
子猫、助けたのは始田先輩ですよ。 俺は先輩の上げた声に、咄嗟に振り向いただけ。
それじゃ。 ………。
[出かけた言葉を呑み込んで。 あとは無言で、駆けて行く背中を見送った。]
(123) 2016/12/19(Mon) 00時頃
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ごめんね、て。 悪くないのに、謝るなよ…
[一人になれば、 先ほど飲み込んだ言葉がするりと零れ落ちる。]
本当に、 謝らなきゃいけないのは
[“ごめんなさいって――――”>>10]
(……あいつは、ちゃんと謝れたかな。)
(124) 2016/12/19(Mon) 00時頃
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[いつだって。俺の方なのに。]**
(125) 2016/12/19(Mon) 00時頃
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[講義によっては、電車の関係でだいぶ早めに着く。 普段なら空いた時間は図書館で時間を潰すんだけど。]
………
[多分あの人もいる気がして。 始田先輩。 雪の中の、うさぎみたいな人。 話しかけることはなかったけど、いつも見かけてはいたから。 けれど今は、あわせる顔がなく。
悩んだ結果、サークル室に行ってみることにした。 もしかしたら、栄介から「飾り付け」に決まったってメールが着ていたかもしれないし。 着ていなくとも、そろそろ何か仕事しなきゃいけないだろうという、漠然とした思いもあったから。]
(143) 2016/12/19(Mon) 10時頃
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………
[人の気配。鍵も開いているようだ。
ノックをしようと思ったけど。 寸前のところでやめる。 代わりに中の様子を窺うように、扉をそぉっと開いた。
俺はコミュニケーション能力が割と死んでいる。 付き合いが長いやつは、「こういう奴なんだな」って理解してくれてるけど、そうでない人は………初対面は特にやばい。 だからニモや栄介がいるならともかく、 知らない人ばかりだったら申し訳ないけど回れ右しようと決意して。 始田先輩への失敗もあったから、尚更。
そんな後ろ向きの姿勢は、幸いなことに逃れたようだ。 中で雑誌らしきものを捲っているのは、 俺の知ってる、近所のねーちゃん。]
(144) 2016/12/19(Mon) 10時頃
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……“ 恋する女子のヘアカタログ ”?
[ただ、その手に収まっている物は少々珍しかったから。>>137 思わず落ちた音は、静かな部室内では思いがけず大きく響いた。]**
(145) 2016/12/19(Mon) 10時頃
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…… えっちぃ!?
[えっちってあれだろ。 もっとラッキーでスケベなやつ。 何でそうなるんだよ。 ―――服、着てるじゃん!!
相手の動揺につられたのか、こちらも若干狼狽えて。]
クリスマスパーティ明日だろ。 準備の手伝いに来たんだよ。
ノックは…ニモが気付かなかったんじゃないか。
[嘘。本当はしてない。 雲行きが怪しくなりそうなので、そういうこと。]
(150) 2016/12/19(Mon) 12時半頃
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栄介来てたのか。 ……ん、
[本屋で怒鳴りつけて、何もフォローしてないな。 なんて考えながら、やはり目が行くのは。 テーブルに置かれた雑誌。 そのまま見ない振りをしてもよかったんだけど。 まあ、やっぱり少しは気になるから。]
ニモ、好きな奴いるのか?
[“ 恋する女子のヘアカタログ ”
赤らんだ頬へ問いかければ。 近所のねーちゃんはどう答えたかな。]**
(151) 2016/12/19(Mon) 12時半頃
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何もしないまま、 当日いきなりパーティーだけ参加するほうが ハードル高いだろう。
[人見知りは、まあ否定しない。>>153 思えば昔からこんな性格で。 何かと孤立しがちの俺を、それとなくフォローしてくれていたのがニモだった気がする。]
いない、ねぇ…
[「ふーん」と相槌をうちながら。 信用してないのは態度からも明らかだったか]。
(159) 2016/12/19(Mon) 16時半頃
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[あんなタイトルの雑誌を一生懸命読んで。 見られたとなれば真っ赤になって動揺して。 それでいないって、お前。
今だってほら、 声――、震えてるし。]
いるよ。
[話を逸らすための問いかけなのは分かったけど。 どうやら俺はこの幼馴染同様。 あまり嘘が上手くないようなので、正直に答えた。>>1:353 少しどきりとしたけれど、 幸いニモの目線は別のところにあったから、気付かれてはいないだろう。
正直に言った代わりに 別の逃げ道を用意しておく。]
(160) 2016/12/19(Mon) 16時半頃
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でも誰なのかは、ニモには言わないからな。 かーさんにでも告げ口されたら面倒だからな。
[絶対、言わないから。 更に念を押してから。
こちらに視線が向いていないのをいいことに。 一歩一歩、距離を詰めて。]
ま、頑張れよ。
[俯いてる頭。旋毛の上に、ぽんと手を置いて。 さらり、さらり、指通りのいい髪を。]
(161) 2016/12/19(Mon) 16時半頃
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―――嘘吐きサン?
[にやっ。悪戯小僧のような笑みを浮かべると
いない、なんて。 そんなウソはお見通しとばかりに。 “ 恋する女子のヘアスタイル”が乱れるのなんてお構いなく。
勢いよく、わしゃわしゃと撫でた。]
(162) 2016/12/19(Mon) 16時半頃
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俺、そろそろ講義だから行く。 何かやらなきゃいけないことあるなら、やっとくから。 メールで教えてよ。
[癖のない綺麗な髪だから、 多少乱れたところですぐ戻るだろうけど。 それでもお叱りの言葉は勘弁だから。
今度は忘れずに目的を果たしてから、 逃げるように、扉から出て行った。]**
(163) 2016/12/19(Mon) 16時半頃
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― 講義室 ―
[逃走成功。 女子の髪に無礼を働いたお説教からは、無事逃げられたようだ。
鞄を置いて席に着く。 教授が来るのは、もう少しだけ後。 ぼんやり頬杖を付きながらスマホを弄る。 受信メールに気付いたならば、返信を。>>73]
タイトル:了解 顔出す 本文:お前のせいで寝不足なんだけど
[送信完了と同時に、 スマホを鞄に滑らせる。 まさか夢の話とは思うまい。>>61] **
(177) 2016/12/19(Mon) 21時頃
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………
[お昼時。 サンドイッチを片手に、返信メールに目を通す。>>190 あ。こいつ分かってないなって思ったけど。 まぁ、分かんないだろうなってのは想定通りだったし そこは気にしない。]
しかし、こいつ心広いよな。
[栄介が怒ったことって、あったっけ? まあだからこそ、 俺の友人なんてやってられるのかもしれないけど。]
(199) 2016/12/19(Mon) 22時半頃
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[講義が終われば、メールの示すままサークルの部室へ。 今度はちゃんとノックした。
できれば見知らぬ他人に囲まれた、気まずい空間は避けたかったけど>>144 今回は「来い」と言われてるんだから、逃げるわけにはいかない。]
……ども。一年の樹村です。
[栄介来い!と思ったが、願いは届かず。 代わりにぬぼっと出てきた先輩らしき男に挨拶する。>>0:58 まるで何年も居座っているかのように貫禄のある先輩は、斎藤先輩とおっしゃるらしい。
俺の担当は飾り付け。 初対面の相手と仲良くお喋りなんて難易度が高い。 無言をごまかすために、とっとと準備を始めることにした。 もしかしたら当日でも間に合うかもしれないけど。 まあ、食品を扱うわけでもないなら、 早めに準備しても、問題ないだろう。]
(200) 2016/12/19(Mon) 22時半頃
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………
[と言っても何をすればいいのかはさっぱりだ。 手伝うつもりはないらしい斎藤先輩を横目に とりあえず購買に行って買ってきた厚紙を、ちょきんちょきんと切り「Merry Christmas]の文字を作る。 上にフェルトを張り付けて、飾り旗のように紐で吊るした。
後はてきとうに、雪だるまやら星やらも作って、壁に貼り付ける。 そういえば大学の裏に杉の木が生えていた。 一度外に出ると、寒さに震えながらてきとうに葉っぱを拝借して、 手持ちのぬいぐるみ用のリボンとあわせてクリスマスリースを作成。
気付けば夢中になっていた。 俺はこういう作業が―――好きなんだ。]
(201) 2016/12/19(Mon) 22時半頃
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そういえばクリスマスツリーとかないですかね。
[全く期待しないで尋ねたのに。 驚いたことに、返ってきたのは肯定だった。 パチンコで勝ったノリで購入したらしい。 まじか。
流石にツリーを作るのは手間がかかりそうなので 有り難く使わせてもらうことにした。 部屋の隅にあるらしいツリーを回収がてら、ついでにそばの戸棚を開いたら>>136]
………飾りも、あるじゃん。
[早く言ってくれ。]
(204) 2016/12/19(Mon) 23時頃
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[仕方がない、飾りも後で使わせてもらうことにして。 今はツリーを組み立てることにした。
斎藤先輩といえば、俺に煙草吸うか? と謎の質問を投げかけたと思ったら、 「未成年」って答えた途端、そのまま部室から出て行った。
非喫煙者がいる場での喫煙を避け、 外に煙草を吸いに行ったことを。 今の俺が知ることは無く。 特に気にしないまま。 むしろ若干ホッとした気持ちで、一人黙々と作業を続ける。]
………ぁ
[途中、ツリーの飾り。 星型のオーナメントに手が触れて―――
(206) 2016/12/19(Mon) 23時頃
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―――……昔、学校の行事か何かで、 山のコテージに泊まりに行った時。
街の明かりが届かない空に瞬く一番星が あまりにも綺麗で。
欲しい欲しいって騒いで、 周囲を困らせたことを思い出した。]
(207) 2016/12/19(Mon) 23時頃
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[直ぐに手に入れられるわけないじゃん。 って馬鹿にしたように諭されて。
思い出した。 だから、星はあまり好きじゃなかった。 栄介の誘いにも、首を横に振った。>>>>0:87]
(……ぬいぐるみの記憶もそうだけど)
[――メンタル弱すぎだろ。子供の俺。
思わぬところから出てきた記憶の欠片に、 キラキラ輝く星空が、ほっぺたに貼られたまなのに気付かぬまま>>81 思わず苦笑した。]*
(208) 2016/12/19(Mon) 23時頃
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時計見ろ。 いつまで寝てるつもりなんだ。
お前は夢でも現実でも騒がしいな。
[残念ながら。 眠れなかったのは別の理由なので。 いつもの通り、ふてぶてしい態度で出迎えた。>>211]
猫に引っ搔かれた。
[触られれば、「痛いだろ」と唇を尖らせるが、>>212 別に避けることはしない。]
(214) 2016/12/19(Mon) 23時半頃
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ほら。お前も飾りつけしろよ。 そこの棚の中に入っているから。
[部屋の奥へと指をさす。 最も俺が言うまでもなく、栄介はその存在を知っていただろうが。>>182
飾り付けが始まれば、 俺が作った飾りも、その中に埋もれていくだろう。 まるで最初から戸棚に入っていたかのように。]*
(215) 2016/12/20(Tue) 00時頃
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……………
[こいつは、なんでこうも勘がいいんだ?>>217 飛んできた質問に、眉を顰める。 否定すればいいんだろうけど、 どうやら俺の嘘はお見通しらしいので。
仕方がないので黙秘権を行使することにした。]
(218) 2016/12/20(Tue) 00時頃
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口より 手を 動かせ。
[一語一句、はっきりと。
黙秘権と言っても俺が沈黙を保つための権利ではない。 栄介を「黙」らせる権利だ。
最もこんな態度をとれば、 何を言わなくても、バレバレだったかもしれないが。]*
(219) 2016/12/20(Tue) 00時頃
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やめろ! やめろって!
や・め・ろ!!馬鹿!!!!
[これは乙女の髪を乱した呪いだろうか。 抵抗するが、悲しいかな身長差。
すっかりぼさぼさになった髪を、乱暴な手つきで撫ぜながら。 ありったけの恨みを込めた眸を栄介に向ける。]
(230) 2016/12/20(Tue) 00時半頃
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いいだろう。アレンジしてやるよ ……お前の髪をな。 リボンの色くらいは選ばせてやるから、感謝しろ。
[ニモの読んでいた雑誌を参考にすれば、 編み込みくらいならできるだろう。 量が足りなかったら、付け毛でもいい。 というか、何でもいいや。 とりあえず可愛くしてやるよ。
そんな感じで気心の知れた栄介との飾りつけは、 何とも騒がしく賑やかで。
一通り飾り付けが終わる頃には、 俺はすっかりプレゼントのことを失念していた。
思い出したのは、ベッドの上で眠りに落ちる寸前。]**
(231) 2016/12/20(Tue) 00時半頃
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