278 冷たい校舎村8
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助かった! けど、大丈夫か?
[ 生きてますか、という問いが必要なのは、 むしろ怜の方ではないだろうか。 背中をさすりながら、怜の顔を覗き込む。 苦しそうに咳き込む姿に、 かばわれたせいでぴんぴんしている誠香は、 なんだかとっても申し訳ない気持ちになった]
(851) 2020/06/15(Mon) 13時頃
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ほんとにありがとな。
[ 怜の咳が止んだら改めてお礼を言って、 背中から手を離した。視線を逸らす。 冷静になるとあとからあとから恥ずかしさが襲ってきて、 今はちょっと怜の顔が見られない。 いや、だって、 見た目は女の子だけれども、誠香を抱えて庇ってくれた、 あの体は当たり前だけど女子ではなかった。 女の子みたいに柔らかくない、男の人の体だった。 照れる! 恥ずい! 思い出すな! ]
(852) 2020/06/15(Mon) 13時頃
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……あー。やっぱダメだな。
[ スマートフォンを取り出して確認する。 圏外だ。やっぱりな。 もう一度扉を開けて確認する気にはなれなかったし、 そもそも ]
あの吹雪じゃさ、 もし電波がつながっても、ケータイ壊れるよな。 風すごすぎて、電話の声も聞こえなさそう。
[ スマートフォンに目を落としたままそう言って、 小さく息を吐く。 オフにしてからポケットに戻した ]
(853) 2020/06/15(Mon) 13時頃
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戻るか。 僕はおなかがすいた!
[ スマートフォンでクールダウンの時間は稼げた。 もう大丈夫。照れてない! 怜に顔を向けて、にへらと笑った* ]
(854) 2020/06/15(Mon) 13時頃
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―― 現在:教室 ――
ただいまー。
[ 面倒なので、屋上の鍵は返していない。持ってきた。 そういえば、そもそも鍵をかけなおしていない。 まあいいか。いいよね ]
お。情報が増えてる。
[ 持ち歩いても仕方がないので、 教卓に屋上の鍵を置いた。 黒板の文字がずいぶん増えていることに気づいて>>631 ふむふむ、と誠香は読んだ ]
(862) 2020/06/15(Mon) 13時頃
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えっ、ごはん? ここじゃなくてわざわざ家庭科室ってことは、 誰か作ったってこと?
[ 誰か、と言いながら、多分心乃だろうなと誠香は思う。 他の人も手伝ったのかもしれないけれど、 言い出したのはきっと心乃だ。 ほぼ確信に近く、そう思う ]
(863) 2020/06/15(Mon) 13時頃
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職員室 無人 (準備室にも若林先生いない) 固定電話 駄目そう
窓から下見ると高すぎてちょーヤバイ ↑ わからん
ごはん、家庭科室に置いておきます
昇降口にインク 出られない
体育館に舞台のセットがあります。 8組の作ったのにそっくり。
4階ができている。3階とそっくり。 違いは赤のインクが飛び散ってること。 屋上は猛吹雪。危険。ドア前も圏外。 屋上鍵は教卓の上にあるけど、鍵開いてます。
(864) 2020/06/15(Mon) 13時頃
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[ チョークで書くのは苦手だった。 できるだけ丁寧に書いたつもりだけれども。 字に人柄って出るのかな、と誠香は思う。 誠香の字はあまり女の子らしくない。 可愛くない字だ。文字ですら愛想がない。別にいいけど ]
ごはん……どうしよっかな。 僕、お弁当あるんだよな……。
[ せっかく母が作ってくれたお弁当だ。 放置して別のものを食べるつもりはなかった。 でも、みんなが家庭科室でご飯を食べる中、 一人で教室で食べるのもつまらない。 お弁当を持って家庭科室に行ってみようかと思案する* ]
(865) 2020/06/15(Mon) 13時頃
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―― 現在:教室 ――
[ 机の上に置きっぱなしにしていた カフェオレの缶を開けた。 すっかり冷え切ってしまっていたけれど、 それは仕方ない。 お行儀悪く机に座って、黒板を改めて眺める。 先ほどはごはんの文字に気を取られたけれども ]
(866) 2020/06/15(Mon) 14時頃
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昇降口にインク? 出られない?
[ 出られないというのは、実のところもう、 驚いたり怖がったりする段階は通り過ぎていた。 ここは誰かの頭の中らしい。 それなら、吹雪を突破して家に帰りました、おしまい、 なんてことにはならないだろうなってことくらい、 予想はつく。
体育館のセットも、そこまで再現したのかあ、という 感嘆の気持ちはあれど、衝撃はなかった。 廊下を歩いて、文化祭の再現っぷりは 嫌って程理解したからだ ]
(867) 2020/06/15(Mon) 14時頃
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あ、あれ、インクだったんだ。
[ 4階の出現も確認済みだった。 赤い事故現場跡地(片付け・雑)の血痕みたいなものは、 インクだったらしい。 血痕じゃなくてよかった。本当に良かった ]
昇降口もあんな風になってるってこと、かな?
[ 4階のように、赤いインクが点々と 飛び散っている昇降口を想像してみる。 誰が何のためにやったのか、 それが何を意味しているのか、 考えてみようとしたけれどさっぱりわからなかった。 やはり誠香は凡人だ ]
(868) 2020/06/15(Mon) 14時頃
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[ ここは誰の頭の中なんだろう。 きっと誠香ではない、はずだ。 怜も違うと言っていた。あんな遺書は書かないと。 だったら誰、と考えても、 あんな遺書を書くのが誰なのか、 誠香にはやっぱりピンとこない。
どうやったら帰れるのかなあ、と考えても、 そもそも誠香は帰りたいんだろうか ]
(869) 2020/06/15(Mon) 14時頃
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[ 始まりは、たった一つの嘘だった。 嘘をついたつもりもなかった。 それが気づけば、膨れ上がって、 今誠香は、 たくさんの嘘を繋ぎ合わせたものでできている ]
(870) 2020/06/15(Mon) 14時頃
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[ 死ぬことばかり考えているのに、 それしかもう、方法はないような気すらするのに、 死ぬのはとても恐ろしい。 それなら、ここから帰れないことは、 誠香にとって、大したことじゃないんじゃないか。 むしろ、都合がいいんじゃないのか ]
(871) 2020/06/15(Mon) 14時頃
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[ 思考が不意に止まったのは、 なにやら物音がした気がしたからだった。 賑やかな話し声がこちらに近づいてくる気配に>>833 誠香は飲み終わったカフェオレの缶をゴミ箱に捨てると、 ひょい、と廊下に顔を出してみた* ]
(872) 2020/06/15(Mon) 14時頃
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―― 現在:教室 ――
[ ひょい、と覗いた廊下の先に、 クラスメイトの姿が2つ。>>947 なんだかやたらでかい荷物を持っている ]
なんだそれ!
[ 腕ちぎれる! という救助要請に、 誠香は慌てて教室を飛び出した。 どちらから受け取ろうかと 喜多仲と連城を見比べたけれど、 喜多仲がうるさいから選択の余地は割となかった。 喜多仲に手を差し出して、袋をひとつ引き受ければ、 うわ、と声が出た ]
なにこれおっも! 何これ? 食べ物と飲み物、だよな? こんなにどうすんの?
(951) 2020/06/15(Mon) 20時頃
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[ あの日の和解? 仲直り? なし崩し? 以来、 喜多仲とは何もなかったようにやれている、と思う。 もう謝っちゃった、という抗議には>>507 聞かなかった! 僕は何も聞かなかった! 聞いてない! ってことで! と強引に主張し、 飴返せと言われれば>>508 ばりんとその場で開封して、1個だけ返すという 塩対応を貫いた。 だってほら、他はクラスメイトのみんなに配るので。 この飴高いよなあ。僕も滅多に買わない。 ゴチになりまあす。 そんな返事をした頃には 割といつもの空気に戻っていたと思う ]
(952) 2020/06/15(Mon) 20時頃
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あのさー、 すっごく言いにくいんだけどさあ、
[ 重い袋を持って教室に向かいながら、 誠香は袋詰めの主らしい連城を見やる。 教室に入ると、ほら、と黒板を指さした。>>864
“ごはん、家庭科室に置いておきます”
誠香は、気の毒そうな顔をしている** ]
(953) 2020/06/15(Mon) 20時頃
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―― 現在:教室 ――
[ 案の定、連城は崩れ落ちた。>>998 無理もない。 ものすごく重かったし。ご苦労様です ]
……ま、まあまあ。 氷室もここで食べてるしさ、別に、家庭科室行かずに、 ここでこれ食べるのも全然ありだよ。うん。 氷室もさ、もうちょっと入るよな? 僕はお弁当持ってきてるけど。
[ 最後の一言は余計だったかもしれない ]
(1020) 2020/06/15(Mon) 22時半頃
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家庭科室行こうかと思ってたけど、 みんながここで食べるなら、 僕もここで食べちゃおうかな。
[ そんなことを言いながら、ちょっと思案する。 ここで食べてしまったら、せっかく用意してくれている、 家庭科室のご飯が無駄になる? でも、崩れ落ちている連城も哀れだ。 というか、いじけてますよね。すねてるよね ]
まあまあ、連城。 飴でも食べる? 朝あげたのと同じだけど。
[ 慰めになるようなアイテムなんて、 はちみつキャンディーくらいしか心当たりがない。 労いのキャンディーを進呈しておいた ]
(1021) 2020/06/15(Mon) 22時半頃
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[ 結局誠香は、様子を見ていない家庭科室より、 目先のいじけてるクラスメイトを慰める方をとった。 鞄からお弁当を取り出して、 扉が開く音に顔を上げる>>1018 ]
あ、阿東と辰美、おかえり。 うわ。
[ 兄にどことなく雰囲気が似ている委員長のことは、 少し苦手だけれど、 わかりやすく苦手ですなんて雰囲気は出していないし、 苦手意識に気づかれてるなんて思っていない。 運び込まれる毛布に、目を丸くした* ]
(1022) 2020/06/15(Mon) 22時半頃
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―― 現在:教室 ――
[ 机の上に置かれる毛布とシーツ。>>1019>>1044 お泊り会とはしゃぐ喜多仲。 誠香は目を丸くして、 そして、そうか、泊まるのかと納得した ]
そっか……そうだよな。 出られないんなら、泊まることになるんだよな。 考えてなかった。
[ 再現された文化祭に、出られない校舎。 なんとなく、時間が止まったような感覚でいた。 だけど、おなかはすくし眠くなるのだ。 今日は、この校舎で夜を明かすのだ ]
(1065) 2020/06/15(Mon) 23時頃
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連城と喜多仲が、この袋を運んできた。
[ 怪訝そうな辰美に、食べ物飲み物ぎっしりの 袋たちを示す。 それから、黒板の文字を示して、 重々しく頷いた ]
毛布とシーツ運搬お疲れ様。 そういうわけで飲み物もいっぱいあるみたいだから ……飲めば?
[ その方が連城だって報われるだろう。 そんなことを考えていたら、硬い声がする。>>1049 硬い声で言うようなことか? 内容と声音の硬さに違和感を覚えて振り向いた ]
氷室? どうかした?
[ 声と同じように硬い表情に首を傾げる* ]
(1066) 2020/06/15(Mon) 23時頃
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―― 現在:教室 ――
[ 怜の様子に違和感を覚えたのは、 もちろん誠香だけではなくて。 辰美が怜に手を伸ばすのを、>>1063 誠香は何とも思わずに、見ていた。 その行動に問題があるなんて、 誠香はちっとも思わなかった ]
氷室!?
[ だから、怜が悲鳴を上げるなんて、>>1075 誠香はまるっきり予想外で、 呆然として、見ていた。 怜の様子は怯えきっていて、 まるで、何かのトラウマを刺激された、みたいで ]
まっ、
[ 教室を飛び出していく怜を引き留める声は届かない ]
(1088) 2020/06/15(Mon) 23時頃
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辰美! 待て! 僕も行く!
[ けれど、諦められなかった。 明らかに怜の反応はおかしくて、 その引き金を引いたのは、辰美の何かに見える。 それなら、辰美一人に追いかけさせてはいけない。 そんな気がしてならなくて、 辰美の背中を必死で追いかけた* ]
(1089) 2020/06/15(Mon) 23時頃
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―― 現在:男子トイレ前 ――
[ 男子と女子ではそもそも足の長さが違う。 必死で追いかけて、ようやく追いついた時、 誠香はすっかり息を切らしていた。 追いついたというか、 目的地に到着したわけだが。 場所は男子トイレ前。 一応女子としては突入に躊躇う場所ではある ]
……うん。
[ 息を整えて、辰美に頷いた。>>1096 緊急事態だ。 女子だからという理由で踏み込むことを 躊躇している場合ではない、けれども、 怯えたような怜の様子が目に焼き付いている ]
(1105) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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氷室?
[ 男子トイレ入口のドアを、コンコンとノックした。 いきなり突入して、 怜にさらに怖い思いをさせたくはなかった ]
僕だよ。入っていい?*
(1106) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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―― 現在:男子トイレ前 ――
[ 頼む、と辰美に言われて>>1134 任せろ、と言い切れるほどの何かなんて、 誠香にだってなかった。 何ができるかなんてわからない。 それでも、放っておけなかっただけだった。
でも、今は自信ないですなんて言ってる場合じゃない。 だから誠香は背後にいる辰美に向かって、 背中を向けたまま、親指を立ててみせた。 たすけて、と中から声が聞こえたから>>1092 ]
たすけにきたよ。
[ 根拠なんかなくても、そう言うのだ ]
(1171) 2020/06/16(Tue) 00時頃
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[ ブサイクだから無理だと返事が来た。>>1140 懺悔を聞いてほしいと中から声がした。>>1143 先に戻ってて、って明るい声が言った。>>1146 だから、誠香は全部聞いたそのあとで、 ばーん! と男子トイレのドアを開け放った。 そして、ずかずかと踏み込んだ ]
(1172) 2020/06/16(Tue) 00時頃
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そうだな! ほんっと馬鹿!
[ 誠香は、とても怒っていた ]
無理に明るく振舞おうとしてるのなんか、 バレバレだっつーの! こんな時に無理して見栄張ってどうすんだよ! ブサイクな顔? 上等だよ! いくらでもさらせばいいだろ!
[ 酸っぱい匂いがする。吐いたのだろう。 仁王立ちして見下ろして、立てよ、と誠香は言った ]
立って、うがいして、顔洗え。 こんなところで独りで落ち込むな、馬鹿!*
(1174) 2020/06/16(Tue) 00時頃
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