204 銀花の咲く路、灰白の世界で君を想う
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……けれど、確かに俺は手縫いの方が好きかもしれない。 機械に負けないくらい細やかに縫えると気持ちいいし。 糸の一本一本に愛着が出る。
完成作品を見返すたびに、ここはこうだったなと、 制作過程を思い出して何とも感慨深い。
まあ、そう言っていられるのも 今は学生で比較的に時間が取れるからだし、
今後より高いクオリティを求めるなら やっぱりミシンも――――
(83) 2016/12/16(Fri) 22時頃
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………それじゃあな、蒼井。 プレゼント選び頑張れよ。
[当たり前だけど、語りすぎた。 気付いた途端。 急上昇していたテンションを、唐突に下げる。
言い訳しようとも思ったが、取り繕うのは苦手だから、 教室についたのをいいことに、一方的に別れを告げ、
そのまま何事も無かったかのように、 無言で前方の座席に着席した。]*
(84) 2016/12/16(Fri) 22時頃
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[唐突に話を打ち切ったのに。>>100 わざわざ頑張って、なんて応援しに来る姿に、ますます律儀なやつという印象を深くする。]
……キラキラした焼き菓子は、 俺だったら嬉しい。
[笑顔で去って行く背中。すれ違いざまに、ぽつりと零す。 勿論あくまで個人の感想だから。 蒼井が送りたい相手がどう思うかは、わからないけど。]
ま。 頑張って。
[クリスマスパーティーまでもう少し時間がある。 焦って決める必要もないんだ。]*
(109) 2016/12/16(Fri) 23時頃
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― 昼頃:サークル部室付近 ―
………やっぱり、帰ろう。
[今日はもともと受講している講義が少なかった。 さらに教授の出張とかで午後の講義が一コマ潰れれば、 もはや大学に残っている必要はない。
つまり暇だった。 さっさと帰って手芸ショップに寄るか、ぬいぐるみ制作に着手してもよかったが。 むしろそのつもりだったのに。]
(手伝いとか…した方が、いいのか)
[ふとそんなことを思ってしまったものだから。]
(142) 2016/12/17(Sat) 00時半頃
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[二日後に迫ったクリスマスパーティー。 サークル部員ではないと言っても。 同じ学生には変わりない。お客様気分というのも躊躇われる。
しかしサークル関係者と面識がない俺がのこのこ顔を出した所で、場違い感は否めない。]
(こんな時にあいつがいれば。)
[気付けば傍にいる栄介も、今日に限って見当たらない。 わざわざ携帯で呼びつけるのも気が引ける。 諦めたように、ため息一つついて。 くるりと、踵を返そうと。]
(143) 2016/12/17(Sat) 00時半頃
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………。
[等と思っていたら、メールを受信。>>139 元々交友関係は広くないから、送信者は想像通り。 その場で立ち止まって、返信を打つ。]
(145) 2016/12/17(Sat) 01時頃
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「もっといい解決法を教えてやる。 次に雪が降った時は
傘 を 持 っ て こ い
プレゼントの件は、蒼井に聞いた。 知らなかったなら仕方ないな。
……何て言うと思うな、覚えてろよ。」
(146) 2016/12/17(Sat) 01時頃
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[送信完了の文字を確認して、スマホをしまう。
最後に脅し文句を添えたけど。 このようなやり取りは割といつものことだから、栄介は気にしないかもしれない。]**
(147) 2016/12/17(Sat) 01時頃
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― 回想:近所のねーちゃん ―
[俺はかくれんぼが得意な子供だった。
昔から地味で目立たなかったから、存在感を消すのに長けていたし。 必勝法もいくつか心得ていた。 移動有りの時は、近場で鬼の動向を気を付けながら、目まぐるしく位置を変え。 移動無しの時は盲点を探した。 ある時は別の遊びをしている子供たちの群れの中。ある時は鬼が虫刺されなどで敬遠しがちな植林の中。 一度クラスメイトと遊んだ時なんか。 あまりにも見つからないものだから、俺を置いて帰られてしまったこともある。
………でも。 ずっと俺が発見されないままだと、何かあったんじゃないかって不安そうな顔をする奴がいた。 そのくせ、最後まで諦めないから。 降参しろよとぶつぶつ言いながら。 仕方ないから、頃合いを見計らって姿を現したことが何度かある。
―――知らなかっただろ、ニモ。>>0:114]*
(171) 2016/12/17(Sat) 11時頃
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(……よし。 次会ったら、全力でくすぐろう)
[もはやリクエストだろ、これ。 スマホに映る文字に、一つの決意を固めた時。>>173]
いや、こちらこそ…
[メールと栄介の処刑に気を取られていたものだから 近付いてくる陰に気付かなかった。>>183
軽い衝撃に振り返って、 相手の顔を見た瞬間。 謝罪は別の言葉に上書きされる。]
(187) 2016/12/17(Sat) 14時半頃
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げっ ニモ。
[俺の、――近所のねーちゃん。>>184
ピンとくる。 これは文句を言われる顔だ。 咄嗟に逃げ出そうとしたが、 いつの間にか掴まれていた二の腕がそれを許さない。]
……栄介がクリスマスパーティするっていうから サークル関係ない俺も来ていいっていうけど 何もしないのもあれだから…手伝えることあればって。
[幸い文句は言われなかったけど。 問われた内容に、少々ばつの悪そうな顔で。]*
(188) 2016/12/17(Sat) 14時半頃
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(やべ。まずった)
[向けられた笑顔に嫌な汗が流れるけど。>>195 とりあえず今の時点でのお咎めはないらしい。]
別に偉いとか、そんなんじゃない。 何もしないのも気まずいだけ。
[唇を尖らせながら、ぼそぼそ零す。]
(207) 2016/12/17(Sat) 16時頃
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うわ。 なにこれきめ細やか。
[覗き込んで、メールの内容に戦慄する。 野郎同士の約束なんて、 『暇なやつ遊ぶべ』『いつ』『行けたら行く』で終わりだぞ。]
いいよ俺は… 必要なら栄介に聞くし。
[誘いには首を振る。 元々積極的にメールをする方ではない上に。 文面から伝わるきらびやかな世界に、気後れしてしまったから。]
(208) 2016/12/17(Sat) 16時頃
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えーと 蒼井、知ってる。同期だし。
あー…うん。
[と言っても、まともに話したのなんか今朝が初めて。 だから知り合いなんて言えないかもしれないけど。 曖昧に頷いて、ニモの後について部室に入る。
もしも写真を見せてもらえたら、 知ってる顔は、他にもいたかもしれない。]
(209) 2016/12/17(Sat) 16時頃
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おじさんおばさんは元気? にーちゃんは相変わらず国外? あいつらは進路とか決まったのか。
[世間話がてら、ニモの家族について質問を飛ばし。]
ニモはプレゼント決まった?
[適当なところに腰を下ろすと、 最後に問いは、専らの懸念材料について。]*
(210) 2016/12/17(Sat) 16時頃
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―――お前の嫁かよ!
[つっこんだけど、どうやら聞き入れられなかったらしい。>>222
中に入って写真を受け取ると、ニモは用を済ませるために離れていく。 手持無沙汰のまま、写真に注意を向ければ、 驚いたことに、見覚えのある顔が何人か写っていた。 相手が俺のことを覚えているかは、わからないけど。
皆いい顔で笑ってた。]
おばさんの料理は美味いけど さすがにこの年で飯につられてのこのこ行くのは 恥ずいから、やだ。
うちも、うるさいくらい元気。
(233) 2016/12/17(Sat) 17時半頃
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[新本家に変わりはないらしい。 互いの家を行き来してたのも、随分前のこと。 年頃になれば、異性の家に行く理由なんてなくなる。 ニモの兄が家を出てからはなおさらだ。
そう思えば、こうして二人で話すのも久しぶりか。 だったら――…]
せっかくだし、もう一つ質問。 なんで髪切ったんだ?
[振り返れば、ちょうどニモもこちらを向いていたらしく。>>224 漆黒の瞳がこちらを捕らえる。
歩く姿を見かけて、「おや」と思ったのは何年も前のこと。 呼び止めるまではしなかったから、そのままなんとなく、尋ねる機会を逸してしまったまま。 答えが返ってこなければ、それ以上話を続けることはせず。]
(236) 2016/12/17(Sat) 17時半頃
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決まってるならニモに聞かない。 プレゼントのこと、知ったのついさっきだし。
そっか、決まってるのか。 あとでメールで教えて。パクるから。
[視線を下げれば、ニモの手に収まる教科書が目に映る。 ああ、これを取りにきたのかと納得して。]
(237) 2016/12/17(Sat) 17時半頃
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用事、済んだんだろ。 鍵の問題もあるだろうし。俺も出る。 写真どーも。
[使い古された部室は、 案外居心地がよかったけど。 やっぱり俺は部外者だから。
最後にぐるりと部屋を見渡して、 俺が写っていない写真を手渡した。]*
(238) 2016/12/17(Sat) 17時半頃
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やめておいた方がいい。 うちの母さん女の子が欲しかったの知ってるだろ。 一歩うちに足を踏み入れてみろ。 4時間は買い物やら菓子作りに付き合わされるぞ。
[俺の暗黙の趣味が認められているのには、そんな背景。 可愛いものは好きだけど。 流石にこの年で母親のショッピングには付き合えない。 ニモが来れば、喜んで連れまわすだろう。]
……ふーん…
[大失恋。>>256 悪いことを聞いたかなと思っても。 上手く謝れないのは俺の悪い癖。]
(264) 2016/12/17(Sat) 19時半頃
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[直ぐに否定されたけど。 嘘かどうか、見抜ける目を俺は持ってはいないから。]
ニモを振るなんて 勿体ないことしたな、そいつ。
[慰めでも何でもない、ただの事実。 だって家が近いってだけで、目つきの悪い生意気なガキの面倒を見てくれるような奴が。 悪い人間のはずないだろ。]
(265) 2016/12/17(Sat) 19時半頃
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……そんなもんかな。
[ニモの高説を聞きながら、相槌を打つ。>>257 いつだったかの誕生日。 プレゼントでもらったふわふわなくまのぬいぐるみは、お気に入りだった。 いまだに自室の戸棚に飾ってあるが。 部家の行き来が失われた時点で、ニモがそれを目にすることは無いだろう。
同じキャンパス内とはいえ、部屋の中と廊下では暖かさが違う。 一歩外に出て、気温の変化に身震いしていると、耳元に囁く声。]
(266) 2016/12/17(Sat) 19時半頃
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[淡々と、同じく囁くように答えて。 立ち去る背中を見送れば、結局何も手伝っていないことに気付いた。]
………っ なんで、昨今の女子は プレゼントに六法全書だのたわしだの…
[まあ、いいか。と部室を離れたその少し後。 受信した画像にふるふるとタップする指を震わせる。>>259
一年に一度のクリスマス。 可愛い物好き男子としては、 もっとふわふわキラキラしたものを所望したい。]**
(267) 2016/12/17(Sat) 19時半頃
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[小腹がすいたので、あんパンを買って牛乳で流し込む。 大抵の場合、それで胃は満たされる。 栄介と比べて身長の伸びがいまいちなのは、そんな食生活のせいかもしれない。]
よし、決めた。 ―――帰るか。
[どうしようか考えた末、結論を。 一時の棲み処となっていたベンチとお別れする。 本屋にでも寄るかと考えながら。 普段は駅前の本屋を利用するけど、少し離れたところの本屋が何やら品揃えががいいと耳にした。 そこなら大学のやつらの出入りも少ないだろうし、趣味の本を探すのもいいかもしれない。]
(そろそろ新しい編み方覚えたいしな)
[そんなことを漠然と考えながら、ゆらりとキャンパス内を歩き出す。]*
(313) 2016/12/17(Sat) 23時頃
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― どこかの本屋 ―
[駅前をてきとうにぶらぶらと。 何かプレゼントによさげなものはないかと歩いていく。 いつもの本屋を通り過ぎ。 少し奥まった場所へ、新店舗開拓。 「いらっしゃいませ」の声を聞き流し、 人気のない頃合いを見計らい、手芸コーナーへ。]
(パッチワークにも挑戦したいな)
[棚から一冊抜き取ると、ぱらぱらと頁をめくる。 軽く目を通すだけのつもりが、新しい知識に夢中になり。 気付けば3時間くらい経っていたか。]*
(325) 2016/12/18(Sun) 00時頃
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[気付けば日も陰り。 時計の針も短針が不思議な位置にいた。
流石にここまで立ち読みをして 何も購入しないというのは申し訳ない。 選んだのは『幸せを紡ぐパッチワーク』というタイトル。 しばらくはぬいぐるみ作りに専念するつもりだから、 とりあえずは、気分転換に眺める用に。 勿論ぬいぐるみ制作が落ち着けば、実践も視野に入れて。
さてレジ前。 他の客の姿はない。]
会計お願いします。
[商品を手渡し、財布の口を開ける 店員が見知った顔でなければ、 ―――そのまま会計を済ませて立ち去るのだけれど。]*
(331) 2016/12/18(Sun) 00時半頃
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[次にお前と会うのは、俺がお前を処刑する時だと思っていたのに。>>79 見慣れない営業スマイルを浮かべているが。 講義がある日はほぼ毎日見るその顔を、 高校からのダチの顔を見間違えるはずがなく。]
……そう、か… お前のバイト先って、ここか。
[喉から出てきたのは、呻きにも似た、地を這うような低い声。
客の中に知った顔がいないか そちらに目を配るのに必死で店員の顔はノーチェックだった。 俺の内心を知ってか知らずか、栄介のやつはいつものようににこにこ笑ってる。 やっほーじゃねえよ、馬鹿。]
(343) 2016/12/18(Sun) 00時半頃
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……かーさんに、頼まれた、だけだし。
[僅かに視線を逸らし。 ぽつり、それだけ絞り出す。]*
(344) 2016/12/18(Sun) 00時半頃
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[楽しげな声には覚えがある。>>354 これは、俺の嘘を見透かしたうえで、なお追求しようとするときの声だ。 誤魔化せない―― と言うかこいつ、何もかも気付いてる。 悟った瞬間。ほんの少し声を荒げ、栄介にぶつける。]
うるせーな! 俺のだよ!パッチワークの本も、犬のぬいぐるみも!!
ばーか、ばーか!ばーか!!
[小学生みたいに幼稚な罵倒を羅列して。
睨みつけながら、 早く会計しろよ、なんて今更ながらにお客様ぶる。 会計が終わったら脱兎のごとく駈け出そうと。
ちなみに犬のぬいぐるみは、惜しかった。以上。]*
(362) 2016/12/18(Sun) 01時頃
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[ぴったりの金額をカルトンの上に置いた。 商品をひったくる様に受け取ると、レシートも貰わないまま出口へ向かって走り出す――が。
後ろから飛んでくる声があれば、>>368 苦々しい顔で早歩き。
………枕元に飾っておけばいい夢が見れる? 抱き心地は少々物足りなかったけど。 へにょりとした、どこかの馬鹿を思わせる外観は、 なかなかに可愛いし笑えるから。]
(とっくに枕元には置いてんだよ、馬鹿)
[最後にもう一つ、罵倒を残して店を出る。
最も自作も含めてぬいぐるみが増えすぎた結果。 置き場のなくなった戸棚から、 避難してきた結果でもあるけれど。]**
(371) 2016/12/18(Sun) 01時半頃
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