229 観用少年
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[嘗て、これほどまでの絶望を味わったことがあるだろうか。
髪は艶を失い、頬は青ざめてさえ見える。 ガーディが枯れかけていることは、傍目にも明らかだった。 だがそれよりもケイイチを絶望させたのは、 いつか、出会った時と等しく――大人しい人形の姿>>70 何故ああも、ここへ案内した男が怯えていたのか―逃げたがっていたのか― 今更、悟る。
消された、のだ。]
っ、は、はは……。
[唇からこぼれたのは乾いた笑いだった。 ぐらり、と地面が揺れるような気持がする。 どうやって立っていたのか、 どうやって呼吸をしていたのか、 わからない、思い出せない――]
(74) 2017/10/10(Tue) 23時半頃
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[そして、真っ白になりかけた男に ひとつの呼び声が意味を与えた>>71]
(75) 2017/10/10(Tue) 23時半頃
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……ガーディ……?
[バラバラに壊れそうだった。 もう二度と立ち上がれないかと思った。 歩むのを止めて俯いて伏せて、もう何も見ないで死んでしまおうかとさえ思った。
けれど、声は確かにケイイチを呼んだ。 ――前の主の記憶の消去が十全でなかったように、 今回も、また? ケイイチはゆらり一歩、少年に近づいた。]
…………。
[そっと、手を伸ばす。 けれど手は、いつかのように自分勝手に目隠しを外しはしない。 代わりに髪を撫で、頬に触れた。]
(76) 2017/10/10(Tue) 23時半頃
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……いっそ、このまま目覚めないで、 ちゃんと忘れさせてやって、 それで僕以外の誰かにもらわれたほうが―― 余程幸せかもしれないな。
[自分で言った言葉に自分で傷つく。 けれど――けれど、そうかもしれないと思う。
どうあったってケイイチの傍はややこしい。 誰もかれも呪われた生き方しか知らない。 今回は身内だったからまだいい。 でも例えば、ケイイチが外交先に目をつけられたら? そしてガーディを利用されたら? 不安はいくつだって浮かぶ。]
(77) 2017/10/10(Tue) 23時半頃
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[ケイイチは、その場に膝をついて少年を見上げるような姿勢をとる。 小さな手を握って、言う。]
……僕は、お前の幸せを願うよ。 お前にだって幸せを選ぶ権利がある。 僕がそれを守ってみせる。 お前が選んだものを、全力で肯定しよう。
……だから。
[手は知らず、震えていた。 けれどゆっくりその手を離す。]
後は、お前が選んで。 その目隠しを外すか、このままでいるか。 お前が選んで。
(78) 2017/10/10(Tue) 23時半頃
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選んで――僕を。 僕を、お前のケイイチにして。
(79) 2017/10/10(Tue) 23時半頃
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[瞳は涙にぬれていた。 声は震えて掠れて、呟きは儚く少年の耳に届いたかもわからない。 みっともない、情けない、
それでも、 それでも――目は逸らさない。
欲しいものを前に、目を逸らしてはならないと、 伝えた己が実行できずにどうする、と。
後はもう息さえ殺して、少年の答えを待った。]*
(80) 2017/10/10(Tue) 23時半頃
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[嘗て、これ程までに心動かされたことはあるだろうか。
少年は――ガーディは、自らの意思で目隠しを取り、 そして腕の中に飛び込んできた>>83]
っ、ガーディ……! 僕のガーディ!
[その小さな背中に腕を回して、髪に頬を埋める。 不思議なもので、枯れかけていた花が再び色づくように―― 俄か、ガーディに鮮やかさが戻ったように見えた。 つまり、届いた、ということ。 そして不可視ではあるけれど、 ケイイチの心もまた色を取り戻した。 だってそうでなければ、こんなにも胸が躍って苦しくて、 でも満たされる筈がないから。]
(93) 2017/10/11(Wed) 00時半頃
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[そうして閉じ込めるように抱擁をしたけれど―― 声がすれば>>84ふと気付いたようにその腕を緩めて]
……うん、そうだな。 ミルクを温めよう。 砂糖菓子も、いっぱい買ったんだ。 だから――帰ろう。 帰ろう、ガーディ。
[ガーディは不思議そうにあたりを見回している。 先ほどは消されたように思えた記憶は、 それでもガーディの中にきちんとあるらしい。 一体どういうことなのか、疑問は後から湧いてくる。
何が起こったのか、気にならないわけじゃない。 ただそれを尋ねるのはガーディ本人にではない。 いかにも事情をしってそうな男が一人。 ケイイチは笑顔の裏で彼の顔を忘れないよう反芻していた。
とはいえ、今大切なのはそれではなくて。]
(94) 2017/10/11(Wed) 00時半頃
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[濡れた頬に柔らかい指が振れる。 見上げる瞳は不思議そう。
ケイイチは――]
……大丈夫。 もう、大丈夫だよ。
[笑った。 笑って、それからもう一度ガーディにしがみつくように抱きしめて――]
(95) 2017/10/11(Wed) 00時半頃
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……こわ、かった。
[忘れられていたら、 何か酷いことをされていたら、 枯れてしまっていたら、 もう二度とあえなかったら――
考えないようにしていたことが一度に噴出して、 ケイイチは暫く、ガーディを抱きしめたまま震えていた。]
(96) 2017/10/11(Wed) 00時半頃
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―数日―
[無事自宅に戻ったケイイチは、 ガーディにたっぷりのミルクと砂糖菓子を与えるだろう。
傍に侍らす従者は幾人か減ったが、残ったものとのやりとりは以前よりもずっと気安く信頼さえ透けて見える。 彼等から施しを受けるのは問題ないと、ガーディにも伝えた。 ――とはいえ余程の事が無い限りケイイチは自分で世話をしたがったけれど。
部屋のセキュリティがいくらか強化され、 王から定期連絡の申し入れがあった他は―個人的な連絡については固辞した。地雷原でタップダンスを踊る趣味はない― 大きな変化はなく。
小さな変化でいえば―― ケイイチのガーディに向ける視線が甘さを全く隠さなくなっただとか、 ガーディに対する笑顔が蕩けるようだとか、 共寝することを好むようになっただとか、 その程度のことである。 つまり、元からそうだったと言える程度のものである。]*
(97) 2017/10/11(Wed) 00時半頃
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[最近のケイイチの健康生活っぷりといったらない。
何せ夜は九時過ぎに寝て朝は七時に起きるのが基本になっている。 今日日小学生でさえもう少し夜の活動時間が長い中で、 少しでも長い時間ガーディの傍にいる、ということを優先すれば、 自然、そうなった。 おかげで体調が信じられない程に良い。 身体は軽いし思考は穏やかだし髪や肌にハリと艶があり、 視力も心なし上がった気がする。 やはり健康な生活は睡眠と食事からであると実感していた。
元より、身の回りの些事は全て従者に任せることができ、 あせくせと働く必要だって全くない立場なのだから、 問題は全く無いのだけれど。
それでもあえて問題をあげるならば]
(109) 2017/10/11(Wed) 10時頃
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――、う、ん。
[共にベッドの中にもぐりこんで 囁くようなおねだりをされる>>106 伸びてくる手のひらは柔らかくケイイチの頬に触れ、撫でる。
正直に言えば心臓に悪かった。
けれどそれをおくびにも出さず…… 訂正、出さないように努力はした、出来ていたかは知らない! ガーディの頬を撫で髪を梳いて、 彼を眠りへといざなった。]
(110) 2017/10/11(Wed) 10時頃
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[あの後、正室の付き人に「優しく」状況を尋ねたところ、 やはり記憶の消去を試みていたらしい。 記憶を消し、送り返すつもりだったと。 ――まさかケイイチ自ら飛んでくるとは思わなかった、らしい。
消去を依頼したのはガーディを売った店の人形師だという。 急ぎ男とコンタクトをとったところ―
『お客様との守秘義務がありますので』
まったく、つれない返答であった。
取り戻したところで辛く苦しい記憶になるだろう。 呼び覚ましたいとは欠片も思わない。 忘れてたって構わないことは、忘れたっていい。 辛い経験を乗り越えたから頑張れるなんて、 辛い経験を正当化するための防御反応でしかないのだから。]
(111) 2017/10/11(Wed) 10時頃
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[ただ――一体、どこまで、消えているのか? それは、大いに疑問だった。
あれ以来、ガーディは夢に魘されケイイチでない他人を呼ぶことはない。 視線の奥にいつまでもまとわりついていた影も見えない。 何かに怯えた様子もない。
つまり、前の主人との記憶が消えているということか。 しかしそんなこと、起こり得るだろうか。 わからないし、まさか聞くこともできずケイイチは今日も悶々と夜を過ごす。 悶々と過ごすのは身体によくない。精神上もよくない。 近いうちに従者に夜の相手の手配をさせなくては、と思ってはいる。 思ってはいるが―― 前回の恐怖が脳裏にちらついて、行動を起こすことをためらわせる。
ケイイチにできることと言えば、 己がガーディを傷つけることのないよう、 必死に理性を保つことだけだった。]*
(112) 2017/10/11(Wed) 10時頃
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ん?
[呼びかけられれば>>120、答える声は短く けれどその一音にさえ多分に甘さは含まれる。 柔らかく頬を挟む両手のくすぐったさに目を細めて―― そして、]
えっ? 怒ってない、ぜんっっぜん! 怒ってない!
[続いた言葉があまりに予想外で>>121 眠りにつく前のベッドの中にはふさわしくない大きさの声が出る。
どうしてこんな質問を――と、 疑問が浮かんだのは一瞬で。 要するに己の不自然な態度にガーディが不安を抱いたのだと 思い至るのは早かった。]
(123) 2017/10/11(Wed) 15時頃
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……お前が傍にいてくれて、 一緒に話したり、ご飯たべたり、 それだけで嬉しくて楽しいよ。
[本当だ。 ケイイチの日々は今、かつてないほどに満たされ満ちている。
だから――柔らかく髪を梳いて、瞼を下ろすよう促す。 あの夜、ガーディが云った「我慢」の言葉が離れない。 髪を撫でた手は下りて、優しく背中を叩く。]
僕がちょっと変に見えても大丈夫。 ガーディにとって怖いことは何もしない。絶対に。 誓ってもいい。
[獣の欲求は人の理性で封じ込める。 でなければ何が人か、何が王か。 ガーディに気にさせてしまったことを深く反省しながら、 その日のケイイチは瞼を閉じて――]
(124) 2017/10/11(Wed) 15時頃
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―翌日―
と、言うわけだから、いっそ家に呼ぼうと思うんだ。男娼。
[ガーディから刹那離れ、ケイイチは従者の前で堂々言い放った。 この場に居ない従者は今、ガーディの相手をしている。 絶対に聞かせてはならない会話故に声こそ潜めているものの、 態度はあっけからんとしたものだ。 言われたほうの従者は、なんとも苦い顔をする。]
お前たちの言いたいことは解る。 言いたいことは解った上で――無視する。
[ケイイチはきっぱり言い放つ。 横暴、暴君、王様のへんたい、 そんな言葉が飛んでくるが、ケイイチの瞳に迷いは一点もなかった。]
(125) 2017/10/11(Wed) 15時頃
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最初ガーディ用にあてがってた部屋があるだろ、あそこを使おう。 夜九時以降に来てもらって朝七時までにお帰り頂く。 僕はスッキリできるし、ガーディに不安がらせることも減る―― うん、それでいこう。ていうかそれでいくから。 手配とかモロモロよろしく。
それとも、お前たちのだれかが相手してくれるのでも―― ……あー無理だな、全員男っぽすぎる。無理だ。抱けない。
[従者たちもまた冗談じゃないとばかりに首を横に振っている。]
セキュリティの問題とか身元の問題とかは、 ぜーんぶどうにかしてくれるよね? だって僕の従者だもんな?
[にっこり笑顔で言い放てば、重い溜息が人数分返ってきた。 とはいえ言いだした時点でケイイチが引き下がる気がないのは明白で、 故にその作戦は密かに動き出すのだった。]*
(126) 2017/10/11(Wed) 15時頃
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[その日もまた、いつも通りに過ごした。――日中は。 ミルクを与え共に本を読み話をし、 優しく髪を撫で抱きしめて、 夜になれば共に寝具に入る。
けれど、いつも通りはそこまでだ。]
……ガーディ?
[夜九時を過ぎて暫く。 ケイイチは不意に目を開けると、小さな声でガーディに呼びかける。 念のため頬までつついて、 それでも無反応なことを――つまり、眠っていることを確認すると 音もなくベッドから抜け出した。]
(133) 2017/10/11(Wed) 16時半頃
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[部屋の外には、従者が既に待機している。]
準備は?
[潜めた声で訪ねれば、問題ないという返事。 ケイイチは満足気にひとつ頷くと、 まずはシャワーを簡単に済ませた。 それから、従者を下がらせ、 ガーディの部屋にしようと思っていた空き部屋に向かえば―― そこに居たのは、身体の細く女とも見紛うような容姿の男娼。 ――ガーディにはあまり似ていない。 誘惑するための薄い肌着に身を包み、 ケイイチの姿を認めれば目を細めて笑った。 ケイイチもまた、己の獣の部分を隠さず笑う。]
今日はわざわざすまないね。 それじゃあ――はじめよう。
[ベッドに乗り上げてそう言うと、 男の髪を梳いて、早急に唇を重ねた。]
(134) 2017/10/11(Wed) 16時半頃
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[愛が無くとも欲を満たす行為は心地良い。 縺れるように重なって、 いよいよその熱が男を穿つという、瞬間――
ふと視線を感じ入り口に視線をやって]
えっ!?
[酷く、素っ頓狂な声が出た。 そこに居たのは間違いなくガーディだった。
さぁ、と血の気の引く音がする。 不思議そうに見上げる男娼を慌て起こしシーツを纏わせると、 自身もバスタオルで腰回りを覆い隠し、入口へ――ガーディの下へ向かった。 昂ぶっていたはずのものは、衝撃にゆるく萎えてしまっている。]
(144) 2017/10/11(Wed) 17時半頃
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ガ、ガーディ……? どうした?眠れない、のかなー?
[尋ねる声は不自然なまでに明るくけれど震えている。 汗をかき情欲の消え切らない身体で無闇に接近するのは躊躇われて、 中途半端に距離をとったまま、]
は、腹でも減った? ミルク温めるか? あ、眠れないならアイツら呼ぼうか?話し相手に……。
[そうやってしどろもどろの態度で、 ガーディが何か言うまで必死で言葉を投げかけ続けた。]
(145) 2017/10/11(Wed) 17時半頃
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[疚しいところがある時、人は口数が多くなると言う。 御多分に洩れずケイイチもまさにその状態で、 けれどガーディの短い問いかけは>>146 ケイイチの唇を閉じさせるには十二分な威力を持っていた。 答えられずに立ち尽くしていれば、 ケイイチがいいというこんな状態でさえなければ嬉しい言葉>>147 その上さっと横を通り抜けて向かった先に、 ケイイチはもうこの場で蹲って叫びたいような気持ちだった。
一先ず、一番の被害者はこの男娼だ。 ケイイチは彼をベッドから下ろすとすまないが今日は帰って、と告げ有無を言わせず部屋を追い出した。 枕元に置いていたスマートフォンで連絡し、 従者達に後の面倒を頼むことも忘れない。
それから――それから、 今度は酷く臆病に、ガーディが腰掛けるベッドへ、 少し距離をあけて座った。]
(156) 2017/10/11(Wed) 19時頃
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えぇ、と……起きたらいなくて、びっくり、させた?
[尋ねる声はひどく慎重だ。 瞳に嫌悪が宿っていないか、 無理をさせている様子はないか、 確かめたいけれど恐ろしくて、 視線も言葉も中途半端に彷徨った。 先ほどの笑顔がどういう意味なのか――>>148 わからないから、未だ距離も開いたままで。
ケイイチは、迷って悩んで唸って、 けれど――けれど、観念した。 だって多分、外でかここでかは不明にせよ、 この先も似たような行為を繰り返す。 ガーディに我慢を強いることはしたくない、 けれど灯った熱は欲にも形を変えるとなれば、 これ以上の手段は無いはずだ。 だから]
……ガーディ。
(157) 2017/10/11(Wed) 19時頃
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僕も同じだ。お前がいい。お前のそばに居たい。 でもお前を傷つけたくないし、怖がらせたり我慢をさせたいわけでもない。
だからこの先もこういうこと――えー、 お前の知らない人と仲良くしたりとか、夜中ちょっと居なかったりとか、 そういうことは、ある。
でも、さっきも言ったけど、お前を傷つけたり怖がらせたりしないためだから、 …………だから、
[そこまで言って、ケイイチはガーディの肩をがしりと掴む。 瞳は真剣だが俄かに濡れて眉は下がりその表情は情けない。 震える唇を数度開閉させ、そして、]
(158) 2017/10/11(Wed) 19時頃
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[――ケイイチは確かに覚悟をしていた。 けれどそれはガーディに冷たい目を向けられる覚悟なんかではなく、 全てのプライドをかなぐり捨て彼に泣きつく覚悟だった。]
(159) 2017/10/11(Wed) 19時頃
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[冷たい視線はなかった。 拒絶もなかったし怯えもなかった。 それに酷く安堵して、けれどガーディが抱いた疑問にうっと言葉を詰まらせる>>163 さて何と言ったものか、と、思考を巡らせていると ――どうやら抱き着こうとしたらしい、身体に力が入ったのがわかって、 とっさにケイイチも肩を掴む手に力を込める。
だって今、ケイイチは上半身裸だし下もバスタオルだけという頼りない状況なのだ。 こんな状態で抱き着かれたりしたら――困る。 それはもう大いに困る。
それなのに、痛い、という声が耳に入れば]
えっ、ごめっ
[咄嗟に手を離す。 そして]
(171) 2017/10/11(Wed) 21時頃
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っ〜〜〜……!! ガー、ディ…………。
[遮るものの何もない素肌に、柔らかい頬が触れている。 艶やかな髪に擽られ、ぴくりと背筋が跳ねた。 爆発しそうに鼓動する心臓の音は、 きっとガーディにも届いてしまう。
じりじりと脳の奥で理性の焼ける音がした。 このままじゃまずい、と思いながら、身体は固まって動けない。 どうにかしなきゃと思考ばかり焦り、 心臓は逸り、そして――]
っ……!
[僕だけがいい>>165 ガーディの願望。わがまま。 ぷちん、と、理性が切れる音がした。]
(172) 2017/10/11(Wed) 21時頃
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