15 ラメトリー〜人間という機械が止まる時
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―回想―
[セシルの提案に反対することはなく。 そのセシルの後をラルフが追うことも チャールズは止めなかった。 少し、腹を気にするセシルを気に止めながら 男は、1人で彼らと別れ、別の民家を散策する。]
――……どうか、物資を頂くことをお許しください。
[ほどなくして手に入れたものは 包帯の代わりになりそうな布。食料を少し。 そして―――……白骨が護っていた箱の中から チャールズが用途を識っている薬を幾許かと蜂蜜の小瓶。
白骨に謝罪に手を伸ばしかけた所で、右手首に違和を感じる。 痛みもないのにそこには荒縄で縛られたような模様が 血色に滲んでいた。]
(10) 2010/07/20(Tue) 00時半頃
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神は、私に何を求めていらっしゃるのでしょうね。 私は、もう……―――
[自嘲を含んだ微笑と独り語。 零したところで、銃声が響いた。
刹那、黙祷を示した後、ラルフとセシルと合流すべく民家を後にした。]
(11) 2010/07/20(Tue) 00時半頃
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本当に、大丈夫ですか?
[合流の後、セシルの様子が何処か変であるのに ラルフに重ねるように問いかけるも 本人が大丈夫であると云えば、それ以上は聞かずに置いた。
何かあれば、それを己に伝えても良いと思えるのならば ―――……抱えさせて欲しいとは伝えてある。
そうでないならば、踏みこまないというのが チャールズという男であった。 ラルフが零した自嘲のような言葉は拾えぬまま 誰かが灯す光を縁《よすが》に古城へと。]
(12) 2010/07/20(Tue) 00時半頃
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嗚呼、着替え見つかったのですね。佳かった。 私は、着替えは見つけれなかったので。
[セシルにベネットの場所を問われれば 共に向かうと暗に告げる。 ラルフが離れて行くのには、少し心配そうに紺青の眸を向けるのみで。]
嗚呼、焼蛍虫が飛んでいますね……―――。
[向かう途中、見えたものに感想を零しながら小倉庫に辿り着き 一先ず、そこで行われる会話をチャールズはただ静かに聴いていた。]
(16) 2010/07/20(Tue) 00時半頃
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―――……私の話ですか? ベネット、さん?
[2人きりか、なったところで鉱石の眼に射抜かれる。 徴印《しるし》という、単語に困惑の色を見せるも]
ベネットさん!?どうしました? 大丈夫ですかっ
[突然、鉱石の右眼から露を零し痙攣する人に驚き 差し出す右手首には、聖痕《スティグマ》。 それは服に隠された部分にもあるのだが。
右手首を隠すことも忘れて ベネットを抱き止めようとする行動は 彼に受け入れられたか否か。]
―回想・了―
(18) 2010/07/20(Tue) 00時半頃
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[差し出した腕に収まる身体は、硬直し震えている。 宥めるようにそのまま抱き止めて、ベネットの髪を撫でた。]
ベネットさんっ……―――
[脱力して眠りに落ちる人の名を呼ぶ。 体温が冷えて行かないのと、心音と、呼吸と……。 生に関するものを確かめてから、息を一つチャールズは吐いた。]
―――……私の、話、ですか。
[寝物語のように、ポツリと話始める。 それは、セシルとマーゴが帰ってくるまで続く、長い独り語。 夢現にベネットが聴いていたならば、それは構わないこと。]
(28) 2010/07/20(Tue) 01時半頃
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―昔語り―
産まれながら、左脇腹に傷もないのに 血のような紅を滲ます男が居ました。 聖痕《スティグマ》と判断され その男は、神に仕える道を歩むことになります。
果たして、男は無事、 と或る教会の牧師に就くことが出来ました。 その教会の裏手には、 滾々と清い水がわき出る井戸がありました。 それは、近隣の村々の井戸が枯れ、毒されても尚、 止まりません。
神に仕えるが故に、男はそれを分け与えることに躊躇はありませんでした。 欲するものには、等しく、水を分けます。 男が聖痕を持つと識っている同胞は その奇跡を聖痕の恵みだと、神に感謝して下さいました。
(35) 2010/07/20(Tue) 02時半頃
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――……ある日のことです。 その男が用事で教会を留守にし 夕餉の時刻より少し遅く帰ってくると そこに広がっていたのは酷いものでありました。
教会に頼っていた孤児や故郷を追われた様な人々 夕餉に口をつけた者たちが 次々に口から血を吐き死んで行っていたのです。
男は何もできませんでした。
祈ることしかできませんでした。
(36) 2010/07/20(Tue) 02時半頃
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そんな男に、しかし、死に逝く人々は 男の胸元にある銀の十字に触れながら
―――……どうか、先生はお生き下さい
そう願ってくれるのです。
―――……神よ、どうか変わらぬ加護を
今わの際に、そう祈って微笑んでくれるのです。
(37) 2010/07/20(Tue) 02時半頃
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[そこで途切れる言の葉。 その後に起きたことが、チャールズにとって重要であるのだが 今は語られぬ話。 ―――……けれど、おそらく想像に難しくない この黄昏の世界では、佳くある話か。]
男は彼らの願いと祈りを受けて旅にでました。 生きる為に 罪 と思われることも重ねました。
それは贖罪でしょうか。 加護なのでしょうか。
旅を続けているうちに、脇腹のみであった聖痕《スティグマ》は まるで蔦這うように別の場所にも表れるようになったのです。
そして、男はまだ、この壊れた世界に生きています。 自らの生の意味を問いながら。
[チャールズはベネットを抱き止めたまま 胸元の十字架に触れ*口を鎖した*]
(38) 2010/07/20(Tue) 02時半頃
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―回想・小倉庫―
[語り終えた後、腕の中の温もりが、うわ言を零した。]
もし、貴方が、私にその心の裡を開いてくれるのならば 聴かせて頂けるのなら、嬉しいです。
[自分は語ってしまったから。一番重要なことは告げずとも。 話すということは、重荷を誰かに渡してしまうことに 似ているのかもしれない。 だから、別の教派では懺悔はサクラメントに数えられるのだろうか。
聖痕を抱いた右手首のその先、 指先がベネットの髪を優しく撫でた。 青年の心の裡は聴けたか否か。]
(122) 2010/07/20(Tue) 21時半頃
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―小倉庫―
[(>>106)やがて、マーゴとセシルが戻ってくる。 (>>65)花の名前が似合うだろうと告げた少女の来訪が先か。 各々無事な姿にチャールズは、安堵の表情を向けた。]
――……皆さん、無事で何よりです。
[マーゴの足の様子を気にかけ セシルのヴァイオリンの不在に首を傾げ 少女の名がどうなったかを問い ――……(>>108)ベネットの治療が始まるならば手を貸す。]
(125) 2010/07/20(Tue) 22時頃
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これは、おそらく化膿止めだと思うのです。 使いますか?
[城下に向かった時、手に入れた薬を取り出す。 自信がなさそうな言葉は、劣化等は判断できず 本当に使って佳いのか惑うから。]
あとは、私の知識では鎮痛剤と覚えてるものもありますが。 マーゴさんも、足が辛いようなら差し上げますよ。
[そんな会話をしていれば (>@10)濡れ鼠の女性の姿が見えるのだろうか。]
(126) 2010/07/20(Tue) 22時頃
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―小倉庫―
[金の髪の少女が“ポーチュラカ”と名乗れば 穏やかな微笑を湛え「佳い名前を頂いたのですね」と チャールズは云った。
紺青の眸は、一瞬、奇異なものを見るように 少女の胸元に咲く赤い朱い花を見る。]
――……気のせいですかね。
[次にその紺青の眸を、周囲に彷徨わせる。 彷徨わせた視界に、ネコミミトカゲの様子も映る。
聖痕を持った男は、此処まで生きてこれた 勘のようなものは確かにある。 しかしながら、それ以上のものはない。 首を傾げながら、手当をするセシルの手元へと視線を戻した。]
(148) 2010/07/20(Tue) 23時頃
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[と、(>>@12)アリーシャの声が聴こえれば そちらに振りかえり]
火傷ですか、必要なら化膿止めを使いますか? 嗚呼、たしかに、服は乾かすなり 着替えたりされるほうがよろしいでしょうねぇ。
[少し困った風に微笑んでから、その肢体から眼を逸らした。]
(152) 2010/07/20(Tue) 23時頃
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―少し前のこと―
[告げられる罪の告白に、チャールズの紺青の眸は瞬く。]
それは、嗚呼……―――
[言葉を失う。 ただ、喘ぐ青年の髪を優しく梳くことしか暫くの間出来ず。]
(158) 2010/07/20(Tue) 23時頃
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ベネットさんが心を開いてくださったことに、私は感謝致します。 願わくば、2人の御霊に祈りを。 願わくば、ベネットさんの心に微かでも安寧を。
[常套文句を紡ぐものの、しかし、チャールズは知っていた。 おそらく、ベネットも、心の安寧は遠いのだろうと。 そう思う理由は……―――]
私も、人を、殺しました……――― 赦すことが、出来なかったのです。
だから、私はよほど、貴方を赦したいと思うのでしょうか。
[人がくる前の最後の呟きは小さく小さく。 容態が悪化していく彼に拾われたかどうか*]
(159) 2010/07/20(Tue) 23時頃
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そうですか……―――
[アリーシャから視線を外したのは、礼儀上のものが大きい。 (>>@13)彼女の言葉を受けて、一つ頷いて、視界の端で行動を追う。 もし、ベネットの治療が終わり、自分の外套があくのなら 貸し出そうかと心に止める。]
ポーチュラカさんのお友達に貰ったのですね。
[名前を嬉しそうにする少女、その名を呼ぶ。]
嗚呼、もし、萎れてしまいそうになったら 押し花にすると佳いかもしれません。 そうすれば、長くポーチュラカさんと共に在れるでしょう。
[花の様な笑みに合わすよう、チャールズもまた微笑んだ。 そして、ネコミミトカゲの動きに、笑みを深める。]
(173) 2010/07/20(Tue) 23時半頃
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[ベネットの着替えが終われば チャールズの外套は不要の物となっただろうか。 (>>@14)壺運びに疲れた人に叶うならば]
―――……これをお使いになりますか? 少々汚れているのは、ご勘弁下さい。
[外套を投げ渡す。]
(192) 2010/07/21(Wed) 00時頃
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その時、私が作れる状態にあればお作りしましょう。
[各々動き出す人々を見詰めながら (>>188)少女が向けてくる約束に是と返した。 けれど、内容は“出来るなら”という条件付きのものであったが……。
あどけなさの中に残酷さのようなものを感じつつ チャールズはまだ、席を立たないのは ベネットを1人には出来ないと感じてのこと。
(>>184)と、耳に城下で聴いた歌声が届いた。]
コリーンさん、ですかねぇ……――。
[歌声の主の名を小さく呟いた。]
(193) 2010/07/21(Wed) 00時頃
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―回想―
[ (>>@10)アリーシャが外套を受け取れば 小さく唇の端を持ち上げて見せた。 そして、ポーチュラカの矢張り幼い言動に困った表情をし けれど、求められるならば、その小さな小指に小指を絡めた。]
ポーチュラカさんも、できるならば暖かくして下さい。 それと……怪我にはお気をつけて。
[絡んだ体温の冷たさに、治癒された傷に 心配そうな眸を向け、去る背を見送った。]
(209) 2010/07/21(Wed) 02時頃
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[コリーンの姿は、小倉庫に在ったのだろうか。 在ったのならば、(>>205)ベネットの言葉に返す時 チャールズはチラリと彼女を見たかもしれない。]
お辛いのなら、切開致しましょうか?
[女性を見遣ったのは、切開する場所が場所だけに という事であったのだが。
と、(>>208)扉が開き、弱い陽が沈む前 泉で見えた、一部で熊と称されている男の姿が見えるか。 ]
―→現在軸―
(210) 2010/07/21(Wed) 02時半頃
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チャールズは、ガストンに、「時間的には、こんばんは、で宜しいでしょうか?」と挨拶を向けた。
2010/07/21(Wed) 02時半頃
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[夜が長いと、先程呟いていたのはベネットだったか。 ガストンの言葉に、少し安堵を見せるのは やはり夜は異形の活動が活発になるからだ。 焼蛍虫も、夜が明ければ大人しくなることだろう。]
嗚呼、ガストンさんは、建物内は迷われる方ですか? 彼は、ベネットさんとおっしゃいます。
[体調が悪いのは見てとれるだろうから (>>216)問いかけには名を紹介するに止め]
今から、ベネットさんの治癒をするつもりなのです。 切開いたしますから、苦手ならば見ないようにしてください。
[熊の毛皮を被る人に、その言葉は愚問であったかもしれない。 コリーンがその場にいるのならば その言葉は彼女に向けられた所が多い。 ―――……暗に、女性は見ないように、ともとれる言葉。]
(218) 2010/07/21(Wed) 02時半頃
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[ベネットがガストンを熊呼ばわりするのが聴こえれば 苦笑を浮かべながら、懐からナイフを取り出す。
衣服も貴重品であるが故に ベネットが下穿きを穿いているのならば それを下げて太腿を露わに。 嫌がるのならば、布の上からということになるが。]
―――……切りますよ?
[サクリと手際よく患部を引き裂く。 そこから幻想生物が、おそらく産まれい出るのだろう。 その様を見詰め、佳い頃合いになれば 先程の水が残っていればそれで。 なければ、チャールズの腰につけていた革袋の中の水で 傷口を濯ぎ、化膿止めを塗り、包帯代わりの布を*巻くだろう*]
(220) 2010/07/21(Wed) 03時頃
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―回想―
[患部を裂いたナイフを蔦って 幻想生物がチャールズにも触れた。 (>>225)背後で聴こえるガストンの驚きを示す声とは対照的に チャールズは表情ひとつ変えることはなく]
終わりましたよ。
[治療を終えれば、ベネットに、外のコリーンに言葉を向けた。 (>>223)ベネットの漏らす不安に、返す言葉は見つからず 代わりに気を失った彼の髪を優しく梳いた。]
(250) 2010/07/21(Wed) 10時半頃
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見たまま、ですよ。 詳しいことは私にも判りませんが……――。 おそらくは、異形の宿主になっているのではないかと。
[生まれ出でた小さな異形を纏わす大柄な男を なんとなく微笑ましく思い、その問いかけに答える。 コリーンがベネットの傍に寄るならば そっと場を明け渡した。]
嗚呼、でも、多くは害のないもののようです。 触れてしまえば壊れるような、儚い……――。
[紺青の眸は何を思うか、言葉途中で細まった。]
―回想・了―
(251) 2010/07/21(Wed) 10時半頃
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[そして幾許か時間は流れ。 目覚めるだに文字を連ねだすベネットに、 チャールズは、少しだけ困った風な視線を向けた。
――……無理をするな、とは云えない。
早かれ、遅かれ……そう、思うが故に。]
ベネットさん、これは私の覚えている知識が正しければ 鎮痛剤だと思います。 必要と思うならばお飲み下さい。
[代わりに唇から零れたのはその様な言の葉。 差し出すのは、薬包紙に包まれた{1}錠ほどの白い錠剤。]
(252) 2010/07/21(Wed) 10時半頃
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[薬は受け取ってもらえたか否か。 差し出すときに彼の頭の上に在るウミウシと視線が合った。 持ち上がる唇の端と、手。 しかし、触れようとした直前に、持ち上げた手を下ろした。
――……触れれば、壊してしまいそうで。]
さて、私は、少し水の補給と、仮眠を取ってまいりますね。
[ベネットが先程よりは調子が良さそうなのと コリーンとガストンがその場に留まっているのなら それもこの場から離れる後押しとなる。 チャールズは立ち上がると、小倉庫を後にした。]
(253) 2010/07/21(Wed) 10時半頃
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―中庭―
[中庭に辿り着くまでに、誰かに逢っただろうか。 逢った人が有るならば、挨拶を向けて もう黄昏の世界なりに陽が昇ったところで泉の傍に寄る。]
フィルさんですね。 もう、おはようございます、でしょうか。
[静かに挨拶をくれる人との距離をつめながら ふっとチャールズは思い出す。]
嗚呼、丁度お逢いできてよかった。 これを渡そうと思っていたのです。
[差し出すのは小さな小瓶。 城下の民家に在った――……白骨した人が護っていたもの。 煌々と輝いていた頃の陽の光を凝縮したような甘い花の蜜。 今の世界では、とても貴重な物に違いない。]
(277) 2010/07/21(Wed) 14時半頃
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喉に佳いですよ。 お茶に垂らしても佳いかもしれませんね。
[受け取ってもらえたか否か。 受け取ってもらえなければ、微かに苦笑を浮かべて それでも泉の畔に小瓶を置く。
そして、泉から水を汲もうと水面を覗き込めば 胸元の銀が光を弾いた。 その存在に、思い出すのは(>>256)マーゴの言葉。 唯微笑を持って“是”と暗に示した。思わせた。
けれど……―――]
(278) 2010/07/21(Wed) 14時半頃
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―――……私の裡の“神”は、あの時死んだのです。 信じているのは、信じた振りをしているのは 此処《ココロ》に触れた人々の裡の神にすぎない。
[独り語が我知れず零れた。 フィルが傍にいるだろうことに思い至り 誤魔化すように水面に伸ばす右手には]
―――……っ
[甲から掌に釘で貫かれたような聖痕《スティグマ》。 それはまるで、漏らした言葉に対する罰のように。 けれど逆に、まだ男の裡に神はいると示すようでもあり。
チャールズは何かを堪えるような表情を 揺れる水面に晒した。]
(279) 2010/07/21(Wed) 14時半頃
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―泉の傍―
嗚呼……―――
[(>>297)フィルの声に我に還った男が見せた表情は 困った風な微笑。 傷むのは肉体ではなく、精神《ココロ》。]
そうですねぇ。 徐々に増えてはいっています。 けれど、肉体的な痛みはありませんから。
[仰ぎ見られる紺青は、心底を隠すように深い色を見せた。]
(348) 2010/07/21(Wed) 22時半頃
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―泉の傍―
マーゴさん、おはようございます。
[訪れた彼女の足を引きずる様子に チャールズは手を差し伸べようとするも そこに刻まれた痕に伸ばしきることができなかった。
そのことに自嘲めいた表情をする。 それは、佳く見せる表情であったか。]
これですか?蜂蜜ですよ。 フィルさんの喉に佳いと思いまして……―――
マーゴ、さん? ベネットさんがどうか致しましたか?
[少女のどこかおかしな様子に、チャールズは首を傾げた。]
(376) 2010/07/21(Wed) 23時半頃
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―少し前・泉の傍―
[それはマーゴがくる前の話。 聡い青年に返すのは、無言の肯定とも否定とも見える微笑。
服の下には、左脇腹に槍によって刺された痕。 両足には釘を刺された痕。 その他にも、荒縄で縛られた痕や、 鞭うたれたような痕、十字架を背負った際についたような痕がある。
聖痕《スティグマータ》の完成には あと左手の釘痕と額の茨の冠を残すのみか。 男が死ぬ時には、それは完成されているだろう。
真っ直ぐな視線を受けて、そしてマーゴの訪れに逸らした*]
(393) 2010/07/21(Wed) 23時半頃
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―現在軸―
[マーゴの言葉に、マーゴを見 そして意見を求めるようにフィルを紺青は見る。
そうこうするうちに彼女は重い足取りで ベネットがいるであろう方向に向かう。]
いえ。蜂蜜は構いませんよ。 私も、マーゴさんの後を追うつもりですが。
[嫌な予感がするのは 嗚呼、ベネットの過去を少し知っているからか。]
(397) 2010/07/21(Wed) 23時半頃
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チャールズは、フィリップと伴って、マーゴの後を追う。
2010/07/22(Thu) 00時頃
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