229 観用少年
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人
狼
墓
少
霊
全
この村にも恐るべき“人狼”の噂が流れてきた。ひそかに人間と入れ替わり、夜になると人間を襲うという魔物。不安に駆られた村人たちは、集会所へと集まるのだった……。
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嗚呼、聞こえ る。やつの足音が聞こえる……。
(0) 2017/10/04(Wed) 00時頃
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――科学の発達した現代でなお生き残る御伽噺
これはきっとそのひとつ
(#0) 2017/10/04(Wed) 00時頃
職人たちが作り出す「生きる人形」
それは美しい少年の形をしていた
人形のように一日の大半を眠って過ごし
波長の合うものと出会うことで目を覚ます
主食は日に三度のミルクと週に一度の砂糖菓子
そして何より 持ち主の「愛情」
製造方法は門外不出
あまりの希少さに時に都市伝説として語られるそれは――
(#1) 2017/10/04(Wed) 00時頃
しかし、確かに実在していた
(#2) 2017/10/04(Wed) 00時頃
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[高いオフィスビルが立ち並ぶビジネス街。 威勢の良いビルが競うようにして天を目指すから、 この街の空は遠く、小さい。 似たようなスーツ姿が、似たようなビルから吐き出されては消えてゆく。 皆一様にどこか早足で、何かを目指しているようだった。
そんな街の一角に、突如として背の低い建物が現れる。 黒を基調とした石造りのそれは、 道沿いに面した壁には大きなショウウインドウが嵌め込まれており、何らかの店であることを伺わせる。 けれど、ショウウィンドウを覗けば空っぽで看板もない、一体何の店なのかは不明だ。 硬く閉ざされた木の扉には、申し訳程度に「OPEN」と表示されたプレートがかけられていた。
大抵の人間は、それでこの店に興味を無くす。 それでも興味を持って―あるいは何らかの情報を得て確信をもって― 扉を押し開けるのならば]
いらっしゃいませ。
[きちんとスーツを着込んだ初老の男性が、 完璧な角度の礼でもって来訪者を迎え入れるだろう。]
(1) 2017/10/04(Wed) 00時頃
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[中は薄暗い。 窓はぴっちりと閉められ分厚い遮光カーテンがかかり、 あちこちに設置されたランプの灯りが光源となっていた。 どこかで香でも焚いているのか、室内はほのかに甘い香りで満たされていて ランプの灯りと相まっていかにも幻惑的な雰囲気を作り出している。 壁際に並ぶ天井まで続く背の高い本棚には、本がぎっしり詰め込まれていた。 中央には丸テーブルとロッキングチェア。
そして、その奥には、また扉。
男は穏やかな笑みを浮かべたまま、問いかける。]
恐れ入ります。 こちら、が、何を売る店か――ご存じでいらっしゃいますか?
[来訪者が首を振ったとして、男の笑顔が崩れることはない。 そういった人間の対応にも慣れている様子で、 男は続いて問いかける。]
(2) 2017/10/04(Wed) 00時頃
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では、観用少年-プランツ・ドール-という言葉を、聞いたことが御座いますか?
美しい少年の形をした、生きる人形。 殆どを眠って過ごす彼等は、 運命に出会うことでその目を覚まします。 日に三度のミルクと週に一度の砂糖菓子、 そして愛情を注げば、 永遠に美しいまま生き続ける、お人形――……。
……当店は、その、少年を売る店なのです。
[ここで、男は一度言葉を区切る。 そして相手の瞳の中に欠片でも興味を見つけることができたのなら、 男は笑みの形を保ったまま、説明を続けるだろう。]
観用少年を生み出す技術は極秘とされ、 世界中に目を向けてもその職人は極僅かしかおりません。
故に――彼等はとても、高額です。
(3) 2017/10/04(Wed) 00時頃
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[そうですね、勿論モノによって差はありますが、ざっとこれぐらい―― そう告げる金額はとても一般市民の手が届く金額ではない。 思わずよろめきここから逃げる画策を巡らす者も少なくはない。 けれど]
しかし、――お客様は運が良い。
[来訪者が何か行動を起こす前に、男は言葉を紡ぎ出す。 浮かべているのはやはり笑顔――の筈なのだが、 どこか、迫力さえ宿っていた。]
(4) 2017/10/04(Wed) 00時頃
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こちらでお売りしているのは全て中古の観用少年です。 新品に比べると、それはもう格段に、お求めやすい価格となっているのです。
様々な事情から手放された観用少年が行き着く場所のひとつ…… それが、こちらなので御座います。 彼等は次に目覚める時を待ち、今はただ静かに眠りについています。 ……どうです、ご興味は?
[男はじっと来訪者を見つめる。 来訪者が頷いたのなら、男はすっと目を細め]
さぁ、どうぞ。 心行くまで御覧ください――美しく哀しい、観用少年達を。
[男は一礼すると奥の扉を開け放ち、 店の中心へと来訪者を導く。 そして来訪者は目にするだろう。
目隠しをされた観用少年が並ぶ、 恐ろしくもどこか美しい、この世のものとは思えない光景を。]
(5) 2017/10/04(Wed) 00時頃
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[男の名はハワード。 観用少年を仕入れ、メンテナンスし、売る―― そういうことを生業としていた。]
いらっしゃいませ。
[男の過去を知る者はいない。 男が何故この商売を始めたのか知る者はいない。 いつからこの店があるかのを知る者はいない。 ただ、男は人形を売る。 運命に手放された哀れな人形を仕入れては、真っ白に戻して売りさばく。 それをもう、ずっと繰り返していた。]
おや、これはこれは。毎度ありがとうございます。 丁度、お客様向けの少年が手に入ったところで御座います。
[「ある種」の商売を行う人間にとって、中古の観用少年は非常に便利だ。 故にそういう顧客も多く抱えていた。 売った後の少年がどういった扱いを受けるか、 それはハワードの関心の外である。]
(6) 2017/10/04(Wed) 00時頃
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どうです、こちらの少年は「以前は」非常に従順であったと聞きます。
[いかに売るか]
丈夫なものを十体ですか。 畏まりました。来月までにご用意致します。
[どれだけ売るか]
――はい、ハワード。 おや、ええ、それは良い。すぐに引き取りに上がりましょう。
[どれだけ仕入れるか
それが、ハワードの全て。]
(7) 2017/10/04(Wed) 00時頃
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……ご購入の決心をされましたか? 素晴らしい。 では、少年の目隠しを外しましょう。 さあどうぞ、新しい主人よ、彼の目の前へ―― 一度目覚めた少年は、次に視界に入ったものに否応なしに愛情を抱くのです。
[そして目隠しを解いた先、 その瞳に誰かを映した少年と、 その瞳の向こうに立つ人がどんな物語を紡ぐのか――]
さあ、目覚めなさい。
[科学の発達した現代でなお生き残る御伽噺。
これはきっと、そのうちのひとつ]
(8) 2017/10/04(Wed) 00時頃
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観用少年―Plants Doll―
(#3) 2017/10/04(Wed) 00時頃
執事 ハワードは、メモを貼った。
2017/10/04(Wed) 00時半頃
執事 ハワードがいたような気がしたが、気のせいだったようだ……(執事 ハワードは村を出ました)
執事 ハワードは、メモを貼った。
2017/10/04(Wed) 00時半頃
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[薄暗い店の奥棚、幾重もの遮幕い遮られた、 喧騒から隔絶された小さな部屋。
薄闇に燈る雪洞が照らし出す遮幕の内からは、 朧な影のみが揺らりとしていた。
薄衣でも被っているのか、影の半ばはなだらかな斜で、 影絵の指先だけが光源を弄ぶ仕草が窺える
誰を待っているのか、など言葉にする必要もない。
主たる影が遮幕の外に移れば顔をほんのりと上げて、 少年たちの世話や、客の相手をひととき解放された男。
幕が上がるのを天蓋の閨の上で唇に三日月を浮かべ、 その姿を双眸に映せば、そうっと両手を差し伸べて]
(9) 2017/10/04(Wed) 11時頃
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……遊んで
[密やかな音は微かで掠れている。 それでいてとろりと熟れた果実の甘みを孕んで、 薄衣を羽織った肢体が、きし、と寝台を軋ませた。
寄り添うように、求めるものへと距離を詰めたい。 健康的な肌色の素肌に鬱血の花弁がはらはらと散る姿を、 欲のままに、愛慕のままに晒して、誘う一幕]
(10) 2017/10/04(Wed) 11時頃
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[男が望めば、望む限り。 より声枯れるまで囀り――その情を糧とする。
男が唯一望んだ観用少年は、 男が土産としたひと欠片の砂糖菓子を含み、笑う。 上等の甘い菓子を含まされるのは、つまり――…]
(11) 2017/10/04(Wed) 11時半頃
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執事 ハワードがいたような気がしたが、気のせいだったようだ……(執事 ハワードは村を出ました)
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[さて、今日はどんな客が訪れるか―― あるいは訪れないか。
店の扉は、開かれている。]
(12) 2017/10/05(Thu) 00時頃
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執事 ハワードは、メモを貼った。
2017/10/05(Thu) 00時頃
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[あるところに、とても仲の良い王様と王妃様がおりました。
王様はとても勇敢で賢く真面目で、 王妃様は少し身体が弱くも心優しい方でした。
国は平和に栄え、二人は国民からよく慕われておりましたが、 ただ一つ問題が――
そう、二人の間には、跡継ぎとなる子どもが居なかったのです。]
(13) 2017/10/05(Thu) 00時頃
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[それに目を付けたのは、最果ての国の魔女でした。 魔女は王様を誘惑し、 その腹に子を宿します。
生まれた子は宵闇よりも昏い色を宿した男子でした。 王妃様は恐れます。 このままでは、国が魔女によって乗っ取られてしまう――
そこで王妃は国の賢者に相談をしました。 賢者は、王妃の身体は深い哀しみに包まれていて、 そのために新たな命を宿せずにいるのだと教えてくれました。 そして、賢者は言いました。
『清き泉に毎夜祈りなさい。 何日も何日も、その悲しみが癒えるまで―― 毎夜祈り、時を待つのです』]
(14) 2017/10/05(Thu) 00時頃
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[王妃様は言う通り、夜毎清き泉に祈りを捧げました。 雨の日も雪の日も暑い日も凍える日も、 何年も、何年も―― 祈って、祈って、祈り続け
そうして、星の降る夜でした。 王妃様はふと夜中に目を覚まします。 王妃様の目の前には、きらきらと光る美しい天使様がおりました。
『ありがとう。 あなたが祈り続けたため 哀しみは全て癒えました。』
そして――天使様は淡い光の粒となり 王妃様の胎に優しく溶けてゆきました。
翌日、医師の診断で、王妃様が懐妊していることがわかりました。]
(15) 2017/10/05(Thu) 00時頃
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[生れたのは玉のような男の子でした。 男の子は朝日に似た優しくも眩い光を放ち、 魔女に支配されつつあった国を哀しみから救い出しました。
王様は王妃様にそっと寄り添い、 王妃様も王様を今度こそ一番傍で支えると誓いました。
最果ての国の魔女は、男の子から放たれる神々しい光に身を焦がし ついには塵となって消えてゆきました。
――こうして、国に恒久の平和が訪れたのです。
めでたし、めでたし]
(16) 2017/10/05(Thu) 00時頃
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[――本当に?]
(17) 2017/10/05(Thu) 00時頃
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……これで、全部?
[不機嫌な様子を隠そうともしない低い声だった。 背後に控える従者が、びくりと肩を震わせたのがわかる。 目の前にいる店主だという男も、心なしか顔を青ざめさせた様子で―― けれど、はっきりと物申した。]
『ええ、申し訳ございません。 観用少年は、波長の合うもの相手でないと目を覚まさないのです―― 決して! 貴方様が悪いというわけではなく!』
御託は良い。 要は――こいつらは、選ばなかった、ということだ。僕を。
[こいつらも、と、言ってやりたいところをぐっとこらえ ケイイチは目の前に並んだ美しい少年の人形たちを睨みつけた。 長い前髪は片目を覆い隠したが、それでも尚その眼孔の鋭さは損なわれない。 どれもこれも固く目を瞑り深く眠りについている。 まるで目覚める予兆がない。]
(18) 2017/10/05(Thu) 00時頃
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……ねえ、要は金だろう。 僕がこれら全部買い占めて火にくべたって、 何の問題もないわけだ。
『っそのようなこと、御赦しする訳――! ……わかりました、そこまでお望みなのでしたら……』
[店主は、さらさらと紙に何かを書き始める。 覗けば、それは地図らしかった。]
『ここに、中古の観用少年を売る店が御座います。 一度目覚めたものの、手放された少年達です。 彼等は次に視界に入れたものに、否応なしに愛情を抱きます。 ――貴方様にぴったりかと』
(19) 2017/10/05(Thu) 00時頃
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[中古とは無礼な、と憤る従者を手で制すると、 ケイイチはその地図を指でつまみ――ふっと口許を緩ませた。]
いいよ。ソレにしよう。 こっちは見逃してあげる。 一度棄てられたってところが気に入った。
[そう告げると、さっさと立ち上がり そのまま足早に店を後にした。
ケイイチが去った後の店で店主―つまり、観用少年を売ることを生業としている男―は、 彼にもらわれる少年が、 せめて穏やかな生を過ごせることを祈った。]
(20) 2017/10/05(Thu) 00時頃
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[名前はケイイチ。表向きの家名はコウガ。 年若くして所謂高級マンションの最上階に住居を構え、 数人の従者を従え、 それでいて働いた様子もない男の正体は―― さる国の王の落胤であった。
ケイイチが王の第一子で、しかも男児であったがために、 十四まではそのまま王になるための教育を受けてきた。 そのことに疑問も無ければ嫌悪もなく、ただ当然として受け入れた。 それが――正妻が子を成しそれが男児だと知れた途端、どうだ。 周囲の態度は手のひらを返したようになり、 側室であった母は自殺、ケイイチは見分を広めるための国外留学という名の追放処分に課せられた。
まったく、人という生き物のなんと信用ならないことか! そして――それで尚関わりを求めずにはいられない、 己のなんと弱いことか。]
(21) 2017/10/05(Thu) 00時頃
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[そう、ケイイチは結局、関わりを求めていた。 けれど人は恐ろしい。 迷った末行き着いたのは、観用少年の存在だった。
人の形でありながら人でない、生きる人形。 日に三度のミルクと週に一度の砂糖菓子、 ――何より、持ち主の愛情を求めるという人形。
これだ、と思った。 己なくして生きられない、己のみを求めてやまない。 それがケイイチにぴったりだった。 ケイイチがずっと求めていたものだと けれど、観用少年のほうはそうではなかったらしい。 車に揺られながら、瞼の向こうで観用少年達を思い出し―― 不快そうに眉間に皺を刻んだ。]
眠る。着いたら起こして。
[従者が穏やかに返答するのを聞きながら、 ケイイチはそのまま、少し眠ることにした。]
(22) 2017/10/05(Thu) 00時頃
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[ ――――… 頬へ擽かの如き質感が掠める。 それはふんわりした指で、 暗闇に燈る洋灯のような暖かさ。 揺籠のような揺らす仕草に募る感情は、 “目覚めた”時より重ねより強く刻まれている。
その情に誘われ自然と唇を動かそうとして、 頬の輪郭を伝う指が唇に触れ留めた。
続いて囁かれる声音もまた掠れ、 それでいて柔和な響きで綴られる音]
(23) 2017/10/05(Thu) 00時半頃
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“僕らの子供になるまで、喋らないで、 すぐに名前を授けるから、それまで……”
[ 初々しい娘の声。 初々しい青年の、歓びに弾む仕草。
暗闇から芽吹いた意識に焼き付く主は、 若い夫婦のそれを映して言われるまま従う。
そうしなければ生きていけない。 子供を望んでも得られぬまま幾年も過ごし、 疲れ果て代替品として望まれたものでも。
琥珀の瞳は見開かれ、世界を映した。 燈った感情の狂おしさ故に、 ただ、ただ愛されるためだけに]
(24) 2017/10/05(Thu) 00時半頃
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[ そうして“名付け”られ、産まれることは、 終ぞなかったとしても――…
彼らが天の贈り物を授かれ幸福であるなら、 玩具のように捨てられ再び瞼を鎖そうとも。
待ち続ける――ただ、待ち続ける。
深く根付いた記憶の疵痕は、 優秀な再生師を以てしても癒える事なく。
名を授けてくれる情に触れるまで、 云い付けられたとおりに失語のまま]
(25) 2017/10/05(Thu) 00時半頃
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[ 僕は、何の為のお人形? ]
[ あなたに、あいを囁かれるためのお人形? あなたに、あいをうたうためのお人形? ]
(26) 2017/10/05(Thu) 00時半頃
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[目隠しの奥で鎖した瞼の奥にて、追憶を描く。
愛されることなく産まれることもなかった、 疵のある玩具を中古としても望むものなどなく、 雪洞の中でただぼんやりと木製の椅子に座ったまま。
混然とした記憶は棄てられた影響か、 それとも幾夜も積んだ記憶の旅路のせいか、 親になる筈だった夫婦の姿を、もう思い出せない。
それでも繰り返し、繰り返し、 重ねた夜を独り過ごす日々を追憶で濡らす。 罅割れていく何かを、萎れゆく形を、 欲しいと願った、………… を。
ずっと、ずっと。 目覚めて初めて刷り込まれた言葉を、 護る理由などないと知りながら。 ただ、待つだけの代替品のまま]
(27) 2017/10/05(Thu) 00時半頃
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[ ねえ、僕のあいするだろう誰か。 どうか無知で無垢たる僕へ、教えて欲しい。 ]
(28) 2017/10/05(Thu) 00時半頃
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[ ── あい する、とは どういうこと? ]
(29) 2017/10/05(Thu) 00時半頃
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[やわらかな髪を雪洞の光に透かせて、 薄桃の唇は鎖したまま、店の奥にひっそりと。
棄てられ壊れた人形は目隠しを遮幕に、 今宵もただ、薄れた追憶に生きるだけ*]
(30) 2017/10/05(Thu) 00時半頃
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[どれだけ車で揺られていたか。 着いたのはビジネス街の一角。 明らかに周囲の雰囲気にそぐわない店に、 いかにもすぎる、とケイイチは低く吐き捨てた。 扉にかけられた札が「OPEN」になっているのを見ると 躊躇も遠慮もなく開けた。
中には、執事風の男が一人。 いらっしゃいませと恭しく頭を下げるあたり、これが店主か。 ケイイチは]
紹介されて来た。品を。
[短く愛想もなく切り出す。 男に案内されるまま奥の扉に入ると――そこは、異様な光景だった。
人形がずらり並ぶ姿は先ほども目にしていた。 けれど、ここにいるのはどれも一様に皆目隠しをしている。]
(31) 2017/10/05(Thu) 01時頃
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っ…………。
[その光景に、少しばかり気圧されて けれどそれ以上に、そう、興奮していた。]
……これ、目隠しを外せば、 愛情を抱くって聞いたんだけど。
[店主から肯定を得られたのなら、 ケイイチはごくりと喉をならし――一歩、中へ。]
(32) 2017/10/05(Thu) 01時頃
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[ゆったりとした足取りで、部屋を一周。 そうする頃には気持ちも幾分か落ち着いていたか。
――結局、どれだって同じだろう
そういう気持ちで眺めたのなら]
……これにするか。
[視線の先には、木製の椅子に座る少年の姿。>>27 そして店主の言葉も説明も待たず ―そう、知らなかった 「中古」であるということがつまり、どういうことか― 躊躇いなく無粋な目隠しに手をかけ、外した。]
起きろ、僕がお前の主人だ。
(33) 2017/10/05(Thu) 01時頃
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[ ── 胎児のように寝ている と。
そう 店に居る僕を見た人は、 思うのかも知れない。 僕はひとのように、赤子のように、 母の胎からうまれた訳でも無いのに、 全く可笑しな表現だ。 お行儀良く椅子に座るのは面倒だったから、 店のベッドで唯々眠る僕。
"おとこ"を模して作られたにしては まるで少女の様にも見える。 そんな まぁるい瞳が覆われている以外は ───、きっと、胎児に当てはまるから質が悪い。 ]
(34) 2017/10/05(Thu) 01時頃
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[ 人形ごときが夢を見るなんて、 それも可笑しな話だって、僕は思うけれど。
閉じた瞳の内側で、沈み行く闇の中で、 僕は何時かの夢を見る。
悪夢じゃあないさ。 あまぁい 夢。"あい"された、夢。 僕の掠れた声に混ざって、 亡くした僕の名前を呼ぶ誰かの顔は、 …きっともう 覚えちゃあ居ない。忘れてしまった。 そうなるように、作り替えられた。
……僕も確かにあいしていた筈なんだけどな。 作り手によって呆気なく散る、 そんなあいだったのかもしれない。 ]
(35) 2017/10/05(Thu) 01時頃
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[ 夢の中を、泳ぐ。
溺れる。
沈み、行く。 雑音混じりの、 もう覚えていない過去を身体は手繰り、 前の誰かが僕を買った、そんな何時かに触れた。
( ── 嗚呼 確かに、 "あい"していたはずなんだ。 僕が目覚めた相手なのだから、… )
── きみはまるで死んでいるようだ、と、 靄に隠れた顔が笑みを形作り、 身体を這う声色で"名付けた"光景。 ]
(36) 2017/10/05(Thu) 01時頃
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[ …そう、もう僕に名前なんて亡いんだ。 だから、僕の名前はあなたが決めて。 名前も声も顔も何もかもしらない、二度目の誰か。
── 夢を手繰っても、 もう名前は思い出せないから。
きっと名付けてくれるあなたは、 僕にとっての、二度目の"あい"。
ただ、きっと、あなたは。 常に死んだような表情をしている"人形"を好く、 そういう"ひと"なのかもしれないと、 夢を泳ぐ 僕は思う** ]
(37) 2017/10/05(Thu) 01時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2017/10/05(Thu) 01時頃
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[──…日に三度のミルク、週に一度の砂糖菓子。 生命維持のため、飢える腹を満たす食事より。
永遠などと我儘は言わないから。 刹那でも良い──、 の愛情が、欲し、かった]
(38) 2017/10/05(Thu) 01時頃
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[立派な邸宅に住んでいる人達は、 どうやら見せ掛けだけでなく、心も豊からしい。 仲睦まじい夫婦は勿論、その息子も当然に。
──そんな街の噂は知らぬふりで、 陽当たりの良いテラス席で大きく伸びをする。 天使が白い羽根を広げるように、 ゆったりした仕草ひとつ取ってもあどけなさは残る。
脚の長い椅子に腰掛けている所為で、 足元はふわふわと浮いている。 本を捲る最中、そう落ち着きがなくなるのは、 宿題消化が憂鬱で仕方ないからではなく。 色とりどりの花が咲き、 手入れの行き届いた中庭の特等席、 時間と気力が有り余る子供が独り占めしていた空間。
今までは対面は空席だったのに。 しかし明日には──、もう一人此処に座る、らしい]
(39) 2017/10/05(Thu) 01時半頃
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……聞いてない。 急過ぎるよ。
[使用人達の声が遠い、楽しげな笑い声が手伝って 人知れず不機嫌を眉間に刻んだ。 昨日突然に知らされた、家族が増える話。 そればかりが少年の心を埋め尽くしていた。
観用少年。精巧な人形。
ただの玩具=I
見た目も言動も人間そのものらしいけれど、 お人形遊びをする年はとっくに過ぎている。
父は町長、母は医者。 二人は忙しい、そんな遊びをする余裕はない筈──、 珍しく外側に滲み出る程、内心で毒づきながら。 バタン、と音を立てて読み進められない本を閉じる]
(40) 2017/10/05(Thu) 01時半頃
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[声が聞こえる。 粗暴な、ざらついた感触のそれ。
さりとて不快を呼ばない響きは不思議で、 気配が近付くと顎を僅かに上げて見上げて。
目隠しに掛る指に無抵抗に。 剥ぎ取られ雪洞の光が視界を焼いて、 睫毛を揺らして、瞬きを幾度か]
(41) 2017/10/05(Thu) 01時半頃
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|
…………。
[薄く唇を開いて微かな息を溢した。
当然ながら音のないそれは、 目隠しを奪った指を擽るのみでしかない。
琥珀の瞳に映った少年を尊いものだと感覚する。 追憶に疵を磨かれた純粋が、 ちりりと焦がれて灼ける、あの感覚も]
(42) 2017/10/05(Thu) 01時半頃
|
|
[それは、影を描く心情を拭う感覚のはずだ。 目覚めたときすでに知る感覚のはずだった。
けれど、でも。
自分は生まれてはいけない。 まだ、生まれることを許されてはいない。
だから、琥珀の瞳は彼を映して、 そうして何かを拭うようにふんわりと瞼を落とす。 代わりに小さな手だけを伸ばし、握った。 目隠しを奪った指に、そっと……縋るように*]
(43) 2017/10/05(Thu) 01時半頃
|
|
[身の入らない読書は諦め、自室に戻ると 余所行きの服に着替え、髪を整える。 使用人が焼く世話は止め、移動用の車で待つ。 空になった砂時計を返す事を忘れたように、 ぼんやりと外界の輪郭を眺めていた。
空も、街並みも。 どの色彩も濡羽色に溶け込み、色づかせはしない]
『お待たせ、さあ行こうか』
[広い座席に二人が乗り込み、 隣に掛けた父が柔らかい金髪を撫でる。 よく知った大きな掌に、自然と頬を擦り寄せた、]
(44) 2017/10/05(Thu) 01時半頃
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|
[──愛情は、奥底まで染み込む事はなく。 乾いた心を上滑り、 喜びを育む為の心はとうに枯れていた。
受け取り方も、強請り方も分からない少年は、 貰ったあたたかさを取り落としていく。無自覚に]
(45) 2017/10/05(Thu) 01時半頃
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僕も……お兄ちゃんに、なるんだよね。 ふふ、すごく楽しみ。
──早く会いたいな。
[そう言える頃には不機嫌は抹殺されていて、 両親に何一つ悟る術を与えはしない。
行き先は決まっていた。 緩やかなエンジン音と共に、車が滑り出す]*
(46) 2017/10/05(Thu) 01時半頃
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[目隠しを外し露わになった顔は、殊の外幼い。 まるで眩しいとでも言うように瞬きを繰り返す姿に>>41 随分と人間らしい仕草をするものだ、 と感心したのも束の間――]
……? おい、何か言えよ。
[薄く開かれた唇から空気しか生まれないことに 俄かに眉を寄せ、言葉を要求した。
手が、伸びてくる。 それは未だ目隠しを握りしめたままの指を縋るようにして握る。
つまり――ケイイチが主であることは、 承知しているというところか。
それでも不可解なのはその様子で、 ケイイチはじっと「彼」の言葉を待った。]
(47) 2017/10/05(Thu) 01時半頃
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[そうして―彼の仕草で気付くか、あるいは店主から進言されるか― 彼から音が産まれないことを、知ったのなら]
……ハァ?
[言葉は酷く、不機嫌そうに響く。 店主の男は喰えない笑顔で、その向こうに待つ従者はまた俄か慌てて、 そして、目覚めたばかりの「彼」は――
ケイイチは溜息を吐く。 握った指は未だ離れていないだろうか。 それならばそのまま握り込み、 離れていたのなら今度はケイイチから繋ぎ そうして手を引いた。]
いいさ、認めよう僕の落ち度だ。 ……言葉を話さない犬猫だって、 愛玩動物として永らく人と共にある。 そう思えば、障害でもない。
(48) 2017/10/05(Thu) 01時半頃
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――僕がお前の主人だ。 良き王は告げた言葉を違えないんだ。
[手続きはこちらで、と促される声に従ってそこへ向かう。 己の歩幅で、少年が転びそうにでもなれば助けたが、 そうでなければ身勝手な速度のままに。]**
(49) 2017/10/05(Thu) 01時半頃
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[しあわせだったことは憶えている。
きょうだいのような、やさしい友だちがいて それと一緒に家族というものがあって。
“ ”は、やさしい人。
本を持っていけば飽きるまで読み聞かせてくれる。 眠る前には、甘いホットミルクを入れてくれる。 布団の中に入るのは何時も一緒だ。
しあわせな感覚は残っていた。
目を閉じて聞く、耳元に落ちる声が心地良いこと。 あたたかいミルクを飲むと心がぽかぽかやさしくなること。 二人でいたら、電気の消えた部屋だって怖くないこと。
浮かび上がり消えゆく記憶がどれもすてきなものだから 少年は、しあわせなのだと自覚した。]
(50) 2017/10/05(Thu) 05時頃
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[今も長いゆめを見ているようだった。 景色は霞みぼやけている。曖昧なふちどりで形作られた記憶はたゆたう意識をふんわり包み込んでくれた。
それはどこかの部屋。 窓から見下ろす街並みはずっと低いところにあって、代わりに点々と光を宿すだけの星空は手が届きそうなほどに近い。
隣には “ ” がいる。 ふたり並んでまんまるの月を眺める、少し冷えた夜だ。 寒くないように上着を掛けてくれる感覚があった。 彼はやさしい人なのだと、漠然と理解していた。
やさしくて、あたたかくて、それで……ええと
記憶の糸を手繰り寄せる。だけどある一点で ぷつりと切れてしまったように、その先が見つからない。 思い出せないような、思い出してはいけないような、 不思議な感覚に襲われたのは何度目のことだっただろう。]
(51) 2017/10/05(Thu) 05時頃
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[ ……だれだっけ。
そう過ぎる瞬間は少しもどかしい。 たいせつな人で、かぞくで、ともだちで 傍にいたことは確かなのに顔の一つも思い出せないなんて。
ぼくって案外冷たいやつなのかも、と軽く落胆しながら 霞がかったその人に、ゆめの中で手を伸ばす。 けれどなぜだか足は動かなくて、代わりに口を開いた。
(52) 2017/10/05(Thu) 05時頃
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“ ぼく、いい子にしてるから── ”
(53) 2017/10/05(Thu) 05時頃
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だから、と その先に伝えたかったのは……、
──…思い出した途端に世界が歪んだ。 ちゃんと目を開けていたはずなのに、光を失い姿が見えなくなって、底が抜け落ちるみたいに深い微睡みに飲まれる。 暗い世界を「怖い」と感じなかったのはこれが夢だからか。
……「彼は遠くへ行ったんだ」と 忘れていたのをひとつ思い出す。]
(54) 2017/10/05(Thu) 05時頃
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[運命に手放された人形は、その事実さえも知らず やさしい夢に包まれながらいつか醒めるのを待っていた。
次の目覚めもきっとまた、 しあわせに違いないと信じて。]**
(55) 2017/10/05(Thu) 05時頃
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[握った指の体温がなじむ頃、 体温が移った掌を緩めて薄明りに浮かぶ。
問いかけに遅れ、髪を僅かに揺らした。>>47
行儀よく膝を揃えて座る椅子の上、 店主の言葉の羅列を耳孔は捉えず伏せた瞳のまま、 透明な吐息だけを溢し、“人形”として在る。
言葉が分からないわけではなかった。
けれど理解してはいけないものだと理解して、 彼の溜息に漣のような震えを返すだけ]
(56) 2017/10/05(Thu) 15時半頃
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[ ――また、棄てられる]
(57) 2017/10/05(Thu) 15時半頃
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[過る思考は刹那の疵で、 包まれた掌にびくんと背を跳ねさせ双眸を向けた。
琥珀に映る光景は真逆で繋がれて、>>48 それを理解する前に、引かれて椅子から滑り下り]
……、…?
[遅れてやってくるはずの理解が及ばない。
犬猫だというのなら繋がれるのも道理だとは識るけれど、 ぺた、と素足が手引く彼を追いかけ忙しく動く程には、 頭が素早く回らないのが現状で>>49]
(58) 2017/10/05(Thu) 15時半頃
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[縋る指よりも繋がれた掌から伝播する体温に酔う。
掛ける言葉の意味の半ばは思考から抜け落ちて、 たった一つ理解できるものだけが残り、 その残滓が、雪洞のようにふんわりと燈れば]
……
[手続きの間、繋いだ掌は離さないまま。 主人と言い切る彼を見上げて、そっと寄り添った。
彼が言葉にした愛玩動物らしく、 “主人”の望むままを映す鏡のように]
(59) 2017/10/05(Thu) 15時半頃
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[ 動物の真似をする、微睡む子供の仕草で**]
(60) 2017/10/05(Thu) 16時頃
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― 人形のみる夢 ―
[ゆらゆら揺れる夢の中
揺蕩うような羊水のごときぬるま湯で人形は夢を見る。
在りし日確かに”愛されていた”記憶。 応えることで得た喜びが遠い昔日のよう。]
(61) 2017/10/05(Thu) 16時頃
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[――――その笑顔を見る為なら 何の苦も無かった。
”彼”が喜んでくれるなら、何だってした。 様々なことを覚えていった。
その度に嬉しそうにするから従順に覚えていった。
然し。人形は所詮、自らは ”愛玩人形”でしか無かったことを知るのだ。]
(62) 2017/10/05(Thu) 16時頃
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『新しい人形を買ったんだ。』
(63) 2017/10/05(Thu) 16時頃
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[聞き耳など立てるつもりは無かった。 用があって偶然聞いてしまったその台詞は
名高い人形師の腕をもってしても消せない記憶であった。 根付いてしまったものを人形はよく知っている。
だから目覚めたくない。 夢の中。さ迷うように愛されて幸せだった頃をずっとずっと微睡んでいたかった
例え最後が終わりの声だったとしても]
(64) 2017/10/05(Thu) 16時頃
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[嗚呼。何もかも忘れていたなら
《 どうしてこんなに憶えているのか。 元の持ち主の手垢塗れで仕方がないんだ。 》
”また”売られることも無いだろうに――――。]*
(65) 2017/10/05(Thu) 16時頃
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[――――……あぁ、何もかも夢ならばよかったのに。
そう思ったのは、一体いつだったか。
あれはそう、きっと夏の頃。 やけに青々とした景色の中。 世間話のように告げられたあの言葉。
色々なものを喪って、いらないものばかりが残って。 その時から心に、ぽっかりと穴が空いたような感覚で]
(66) 2017/10/05(Thu) 16時半頃
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はぁ、疲れた。 そろそろきちーな、色々と……
[とんとん、と腰を叩いてぼやきながら帰路に着く。 吸ってる煙草をケチるようにギリギリまで吸い上げて、 そのまま捨てようとしてやめる。 別に環境なんか気遣っちゃいないが、 なんとなく捨てるのは躊躇われた。
煙草をポケットの中にある携帯灰皿に突っ込んで、 ついでに家の鍵も取り出して。 およそ綺麗とは言い難い自分の部屋へと 足を踏み入れた―――のだが]
(67) 2017/10/05(Thu) 16時半頃
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………………。 なんだ、この人形。
[少し片付けられた部屋。 恐らくは妹が勝手に上がり込んで 雑な掃除をしたのだろう。 それはいつものことだからいい。
けれど、目の前にある目隠しをされた人形。 これはいつものことじゃない。知らない。 妹が持ち込んだのか?と首を傾げるばかりである。
大して裕福でもない自分は、観用少年なんてものは知らない。 それがどんな高額で取引されているのかも、 中古なんてものがあることも。
……だから、不用意と言うには不用意すぎるほど。 何の躊躇いもなく、その目隠しを取ったのだった]*
(68) 2017/10/05(Thu) 16時半頃
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[中古品は訳あって破格の値段であると云う。 消し去りきれない記憶の欠片と、生得的な視力の悪さがその理由であると少年自身が知る由はなく。
人懐っこくおしゃべりもする、愛玩用に誂え向きの人形は いささか不相応の安価で目に付く入口付近に鎮座していた。
窓際の席にはレース越しの日が射し込んであたたかい。 目隠し越しに陽の光や夜の星月が見える訳では無いけれど、この特等席もしあわせな微睡みに手を貸していたかもしれない。
高さの合わない木椅子のせいで足はぷらりと浮いて 手は膝の上でお行儀の良い姿勢をとりつつ、うたた寝でもするように僅か傾いた頭は下を向いていた。
くせのある栗色の髪が、陽射しを受けて艶やかに輝く。 薄く開いた唇からは安らかな寝息でも聞こえそうだ。
身じろぎひとつない静寂と目隠しの存在を除けば 作りものとは思えない、ただの少年なのだけど。]*
(69) 2017/10/05(Thu) 16時半頃
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[微睡みを破られる時がどんな時であるかを よく知っている。]
(70) 2017/10/05(Thu) 16時半頃
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[不意にはずされた>>68 ぱちりと黒曜石のごとき黒瞳はつぶらで如何にも愛くるしい。
黒い髪は今はややぱさついているが作られた当初は艶やかであったのを想起させる。
従順そうで華奢な美麗な少年のようであった。
男>>67が購入者であることを ――――”次”の主であることを疑わずに口を、開く。]
(71) 2017/10/05(Thu) 16時半頃
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何だ、今度はオッサンかよ。
[溜息まじりにぼやく。 顰め面はうだつのあがらなさそうな男だと見つめながらも
嗚呼。人形の性には逆らえない]*
(72) 2017/10/05(Thu) 16時半頃
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[現れたその黒曜石のような瞳。 幼いその顔が、けれど一瞬" "に被って――――
開きかけたその記憶を奥底に押し込んだ。]
[見目麗しい少年。 思わずその造形に見惚れる。
真っ直ぐとこちらを見つめるその瞳に、 吸い込まれてしまいそうだと思った。
しかしその思いも、一瞬で吹き飛んだ。 彼が口にした言葉によって]
(73) 2017/10/05(Thu) 17時頃
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しゃべ……っ、て、オッサンだと?!
[コイツぅ☆とどつきたくなる物言いに青筋が立つ。 けれどそれをぐっと抑えて、彼を見る。
喋った、人形が。 その事実には驚きしか浮かばない。
なんだこれ……ていうか、なんで口悪いの??? 見た目通りに喋ればいいものを、一瞬で台無しだ。 まじまじと、刺さるような視線を彼にぶつけて。
なんて言っていいのかわからず、何を思ったか。 気付けば南方です、と自己紹介をしていた]*
(74) 2017/10/05(Thu) 17時頃
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てめえが俺の”購入者”だろうが何ふざけてんだよ、オッサン。
喋るに決まってんだろうがオッサン。
[間の抜けた挨拶に、不愉快そうに、はあ? と益々顔を顰めた。 何言ってんだコイツと言いたげなのを隠そうともしていない。
――――観用少年。 用途は購入者の好き好きであれ喋るに決まっている。 初歩の初歩。
将棋なら歩の動かし方も知らないような口振りに怪訝さが深まる。]
(75) 2017/10/05(Thu) 17時頃
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さてはオッサン、泥棒の類だな?
だったら目隠しなんか取ってんじゃねえよ、バッカじゃねえの?
何挨拶してんだよ、通報してやろうか。
[はああああと肺どころか全身の空気を抜けるのではないかと思う程の盛大な溜息を吐いた。
別に不法侵入しようが勝手に売ろうとするのはこの際どうでも宜しい。
――店の警備面の信頼のために記して置くが盗まれたわけではなくきちんと購入されているが当人与り知らぬことである。
閑話休題。 売った先まで目隠しを取らないのは常識だろう。
――――いやでも、懐くのだ。
そう、この人形にとって少年はこれで懐いているという恐ろしい事案である。]*
(76) 2017/10/05(Thu) 17時半頃
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……購入者?
[ふざけるも何も、分からないものは分からない。 妹が置いて行ったのであろうこの少年。 けれど、購入とは一体全体どういうわけなのか。
聞いたら怒りそうだよなーこいつ。 やだなー、聞きたくねーなー。 あーもう全て忘れて寝ていいですか。
などと、心の中では言っているが、 心の中にだけで留めているから見逃してほしい。
とはいえ、だ。 泥棒呼ばわりは流石にね?困るよね? おじさん、怒っちゃうぞー(やる気ない)である]
(77) 2017/10/05(Thu) 17時半頃
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あー……すまんな、チビ。 詳しいことは分からんが、あれだ。 俺は何も知らんぞ。
妹ちゃんが買ってきたみたいから。
[新しい煙草を取り出して、それに火をつける。 正直泥棒呼ばわりは気に食わんが、 こちとらどうしていいのか分からないのが実情である]*
(78) 2017/10/05(Thu) 17時半頃
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誰がチビだ 浮浪者みたいな薄汚れた面しやがって髭剃れよ。
[間髪入れずに青筋を立てて捲し立てた。 玄関に置かれたまま座り込んで腕を組む。見上げた視線は尖ったナイフのように鋭い。
不機嫌さが益々募っていく。
要するにこの如何にも冴えない男は好んで購入したわけでもないわけだ。 屈辱以上の何物でもない。
どうせすぐ返品するのだろう。
今までの購入者はやれ口が悪い、態度が悪いと言われてきたが
そもそも必要が無いと言われているようで苛つくなという方が土台無理だろう。]
(79) 2017/10/05(Thu) 18時頃
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観用少年。生きる人形。
[大変貴重で人形によっては家どころか一生暮らせると言われるほど貴重だ。
その中古も中古と言えないのは記憶の消去が上手くいかなかったと自ら認めて口にするのを憚ったからだ。
腹立たしさが頂点に達して近くにあった分厚い辞書のような説明書を投げた。
少年は知らないが、男の妹が研究に従事し過ぎて知らないであろう
”人形”に関しての説明書を店に要求したものだった。
数回は見たことあるそれに眉を顰めた。]
(80) 2017/10/05(Thu) 18時頃
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妹だろうが何だろうがどうでもいいけどな!
ミナカタだかキタカタだか知らねえけど 何の目的で買われたかぐらい確認しやがれ、ボケが
……んっとに 俺を養うどころか
こんな明日の食事にも困りそうなオッサンが飼い主とは世も末だ。
[返品するなら今だろうとは云えないのは性か。
好き勝手に並べ立てながら苛々は増していく。 温かいミルクと砂糖が食べたいなどと到底口には出来ない。]*
(81) 2017/10/05(Thu) 18時頃
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[小説家で“あった”男の日常は、 常に原稿用紙と共に在った。
その手が紡いだのは、 海を渡り、空を飛び、陸を駆ける、好奇心旺盛な少年の冒険譚。 子供から大人まで、多くの人間の心を掴んだらしい物語の親は、 皮肉にも、一番身近な人間の心を掴むことは出来なかったらしい。
壮大な物語とは裏腹に、狭い書斎に閉じこもりきりの父親。 母親譲りの切れ長の双眸に宿っていた色から、目を背け続けて。
けれども、それすらも、波は攫って行ってしまった。]
(82) 2017/10/05(Thu) 20時頃
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[――覆水盆に返らず、とはよく言ったものだ。 零れ落ちたものは、二度と元に戻ることはない。
大切さに気付くのは、いつだって喪ったあとなのだ。]
(83) 2017/10/05(Thu) 20時頃
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[鈴の音が響く。目を閉じ、手を合わせる。 そうして訪れた静寂の後、瞼を開けば 仏壇の中の少年と女の顔が目に入る。
黒髪の少年が浮かべた、屈託のない笑顔。 それが自分に向けられることがなくなったのは、 いつのことだったか。もう覚えてはいない。
妻と息子。彼らのいた日常。 全ては、波に攫われてしまった。 遺されたのは、言いようのない後悔と、 一人には広すぎる家だけだ。]
(84) 2017/10/05(Thu) 20時頃
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[涙はとうに枯れ果てた。 ぼんやりと黒い縁取りを眺め、一日を終える。 ここ数か月は、それが常であった。
けれども、今日は違った。 線香の香りを纏った男は、ゆらり、幽鬼の如く立ち上がる。 その手に握られていたのは、恩師からの一枚の手紙。
記されていた“うわさばなし”に、突き動かされるように。 抜け殻のようであった男は、ふらりと街へ向かう。]
(85) 2017/10/05(Thu) 20時頃
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[着物と下駄は、この場には似つかわしくないらしい。 行きかうスーツの群れと、時折向けられる無遠慮な視線に、 どこか肩身の狭い思いを感じつつ、 男は、手紙の示した場所へ向かう。
近代的なビルの群れの中に佇む、小さな店。 躊躇いがちに足を踏み入れ、迎える存在の笑顔>>1に、 ――その裏に在る、どこか得体のしれない迫力に、 終始、困ったように眉を下げ。 けれど、逃げだすことはしなかった。
迎え入れられた、奥の扉>>5。 その先の現実味のない光景に、 一度、気圧されるように立ち止まりはしたものの、 何か――いや、“誰か”を探すように、 視線を巡らせる。]
(86) 2017/10/05(Thu) 20時頃
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[『――によく似た人形が居るらしい』
“うわさばなし”の真意など、私には分からない。 けれど、それを一蹴するほどには、 私は強い人間ではなかったらしい。]
(87) 2017/10/05(Thu) 20時頃
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[胎児のように眠る少年が目に入る>>34。 引き寄せられるように、ふらり、近づく。 その目を覆う目隠しに、手を伸ばす。
彼は決して、似ている訳ではなかった。
陶器のように滑らかな肌は、 そばかすだらけの頬とは程遠い。 同じ黒髪とはいえ、絹糸のようなそれと、 好き勝手に飛び跳ねる癖っ毛を比べるべくもない。 目隠しの向こうのまあるい瞳と、 母親譲りの切れ長の瞳は似ても似つかない。
けれど、とても良く似ていた。 無関心、失望。 あの瞳はいつだって、 彼によく似た、暗い色を纏っていた。]
(88) 2017/10/05(Thu) 20時頃
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……あき、
[だから、“ ”と。 名前を呼ぼうとして首を振る。
違う。生き返るわけもない。 それでも、その瞳の纏った色を、 切り捨てられるはずもなく。]
彼を、お願いします。
[男以外に使う者のいなくなった生活費は、 ただ、男の財布に収まるばかりであったから。 執事然とした男を呼び寄せ、金を支払う。]
(89) 2017/10/05(Thu) 20時頃
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……歩けるかい?
[そうして、ベッドに寝転んでいた少年に 目線を合せてしゃがみ込む。]
私はね、直円(なおのぶ)っていうんだ。 今日から、君と暮らそうと思う。よろしくね。 ――秋、くん。
[“明”るい人間になるように。 そう名付けた子とは似ても似つかない、目の前の少年。
ただ、今、この時―この季節がとても好きだった。 そう自分に嘯いて、男は少年へ 名を差し出し、手を差し伸べただろう。*]
(90) 2017/10/05(Thu) 20時頃
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和算家 直円は、メモを貼った。
2017/10/05(Thu) 20時半頃
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[聊か戸惑った様子があるのは、わかっていた>>50 けれど懇切丁寧に説明はしない。 する必要を感じないからだ。 この人形はケイイチのものになり、 ケイイチがこれの主人である ――それ以上が、必要だろうか? 第一、こちらの言葉をどれだけ理解しているのかも不明なのだ。
だから、寄り添うような仕草には素直に気分を良くした。 子猫に擦り寄られ子犬にじゃれつかれ、 嫌な気分がする人間はそう多くは無いだろう。 ケイイチもまた、御多分に漏れず]
成程ね。 これは中々気分が良い。 世の人間が求める理由が理解できそうだ。
[夜色の瞳を細め、 店主に、従者に、あるいは彼に、 聴かせるようにして呟いた。]
(91) 2017/10/05(Thu) 20時半頃
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[この男の不遜さからは意外な程、契約書を丁寧に読み込み 従者にも読み込ませ、不明点は時間をかけて詳らかにした後―― サインを済ませれば、後は一瞬だった。 支払いは現金で済ませ、 世話用具は奨められるままに購入し自宅に送らせる。
その間少年が寄り添ったままでいるのなら、 気まぐれに頭を撫でて。]
(92) 2017/10/05(Thu) 20時半頃
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お前、どの程度なら言葉を理解する?
[ケイイチが再びきちんと少年に話しかけたのは、 店を出て車に乗って暫くしてからだった。 二人ならんだ後部座席、本革のシートは今日も優しくケイイチを受け止める。 ケイイチは少年に向き直り、問いかけた。]
どうも、個体差が大きいらしいな。 喋るのもいるし、お前みたいに喋らないのもいる。 学習能力や運動能力の長けた奴もいれば、 何もできないのもいる――
お前はどうだ? まず、僕の言葉、理解できるか? 解るならゆっくり、しっかり頷け。できるか?
[じっと見つめる瞳は試すように、計るように、 少年をまっすぐ捕えた。]*
(93) 2017/10/05(Thu) 20時半頃
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[ほのかに甘い香りの漂う広い広い部屋の中。 沢山の人形たちが並ぶ中の、ほんの片隅。 それは一見壁を覆っているだけの様に見える、暗幕の先。
一つ、二つ。―――― それと、三つ目。 幕をめくったのならば。
寝室の様に薄暗く。けれど柔らかな灯りの燈された場には、 ぽつんと佇む豪奢な椅子と。 その上で、微動だもせずに座る白い姿が在る。]
(94) 2017/10/05(Thu) 21時頃
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[インヒールのパンプスからは、 タイツに覆われたしなやかな足が伸びる。 その半ば程からは、裾の詰まったハーフパンツ。 繊細なレースに彩られたブラウスの上には、 ホルターネックのベストを重ねて。
真白なトータルコーディネート。 品良く煌めく金糸で、揃いの刺繍が施されている。
布に覆われて瞳の色は見えずとも。 閉じた口元から、少女とも少年とも見分けのつかぬ様な 美しい顔立ちだという事が伝わるだろう。
それから、目の覚めるような夕焼け色の髪の上には―――
―――――『花冠』と。
知る人ぞ知る、輝きが在った。]
(95) 2017/10/05(Thu) 21時頃
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[それはとても希少な、ドールのみを宿主として育つ花。 種をやり取りするのは殆ど好事家のみとも。 花の存在すらも知らない、 ドール所有者も少なくないだろう。
――何故。 それを宿したドールがここに居るのかという事も。
―――何故。 これほどまでに手を掛けた装いのドールを、 元の持ち主は手放したのかという事も。
常連ですら、その理由はほぼ、知られぬまま。 存在にすら、気付かれぬまま。
それほどまでに、ひっそりと。]
(96) 2017/10/05(Thu) 21時半頃
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[唇は空気を撫でるだけ、 洩れる吐息が微かに呼吸の音を奏でるだけに、 咽が潰れているという理解には至らないだろう。
お気に召した様子の主人にそっと瞳を伏せた。>>91 琥珀に移る世界は色褪せて、 混ざった体温だけが接点なのを確かめるように。
きゅ、と握った力は脆いまま。 古びた愛慕の欠片を孕む情に、 髪を撫でる指にだけ柔らかな質感を返して]
(97) 2017/10/05(Thu) 21時半頃
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[静寂の中で呼吸音すら聞こえぬほど。 まるで時を止めたかのように密やかに。
―――片隅の玉座の主は、其処に在る。*]
(98) 2017/10/05(Thu) 21時半頃
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[そうして乗せられたのは、車、というものらしい。
ふかふかのシートに身を沈め、 借りてきた仔猫よろしくお行儀よく膝を揃えて、 繋いだ手だけは離さずにいたままの仕草が顔を上げる。
問いかけに応じる言葉はやはりなく、 遠い何かを見る眼差しで口端が上がりふわりと笑う。
こく、と肯く仕草が主人の理解をどこまで促すか、 或いは何も察することができなくとも。 唇は音を囀ることなく、首肯をもう一度だけ]
(99) 2017/10/05(Thu) 21時半頃
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|
……
[向き合う姿勢のまま、琥珀は水鏡のように。
繋いでいない空いた手指を伸ばして、 黒絹の髪を持つ主の輪郭へ、ぺた、と触れた。
その内側は暖かく、人間だと知れる。 ならばその人間の映す人形は、いったい何なのか。 それを確かめるようにぺたぺたと触れて。
唇は笑みを失い、代わりに距離を縮めて腕の中へ。 子供がそうするように、凭れて、小さく息を吐く*]
(100) 2017/10/05(Thu) 21時半頃
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3人目の夫が死んだ。
もう涙も出ない。 そんな呟きを聞く隣の友人は、 どうしようもないものを見るような顔だった。
「貴女一人目の時も二人目の時も泣いていなかったじゃない」
そうだったかしら。 よく思い出せないわ。
納骨式が済んだ。 3度目ともなるともう手順を覚えている。 あとはもう自宅に帰ってぼんやりと一日を過ごして寝るだけ。
墓地は見晴らしのいい高台だ、 訪れ始めたばかりの秋の風は雲を遠くへ追いやった。 空の青さが眩しくて黒いヴェール越しの目を狭める。 どこまでも透き通るような空の青さが憎かった。
(101) 2017/10/05(Thu) 22時頃
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今日はもう何事もなく無為な一日を過ごすはずだった。 隣の友人が「車止めて」なんて余計な一言を言わなければ。
(102) 2017/10/05(Thu) 22時頃
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― ― [黒いヒールがこつりと音を立てた。 女が纏うのは混じりけの黒一色、喪服であるからには当然だ。 弔意を示す黒く繊細なヴェールは顔の上半分を隠している。
それでも少しばかり酷薄そうな、 形の良い薄い唇はあかく人目を惹くだろう。 その口唇が少しばかり不本意そうに歪む]
……今更、この年でお人形遊びなんて。 第一プランツって、あれでしょう? ペドフィリア達の御用達って言う。
[苦情は連れの友人に向けて、だ。 少年の姿の人形を愛でる趣味、なんて。 どう考えたっていかがわしいイメージしかない]
(103) 2017/10/05(Thu) 22時頃
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[薄い紗幕のように、視界は霞む。 星屑に手が届きそうな程、天に近い一室に二人はいた。
強請られるまま絵本を読み聞かせ、 声変わりのないボーイソプラノの子守唄を歌う。 まだ眠れないと言うなら、あたたかいミルクで腹を溶かし 二人ならば寒くない寝床に身を寄せ合って潜り込む。
とはいえすぐに眠るのは惜しい、 消灯の時間を過ぎても密やかな話し声が篭り──…]
(104) 2017/10/05(Thu) 22時頃
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→ 御伽噺の生きる店 ─
[……随分と深い眠りに沈んでいた。 身体を揺すられ、重い頭を起こして窓外に目を向ける。 見覚えのない高層ビルが立ち並ぶ景色に、 よく知らない土地に、目的地に辿り着いたのだと知る。
大人達の後に続き、その背から見た店の外観は 到底生きた御伽を扱う、夢色を滲ませてはいなかった。 がら空きのショウケースは物悲しく、 じとりと背を這うような薄気味悪さを子どもに抱かせる。
──怖い。 密かに怖気付く子ども心は知らず、 既に内部を知っている両親達は躊躇いなく扉に手を掛けた。 固く閉ざされているようでいて、案外すんなり扉が開く]
(105) 2017/10/05(Thu) 22時頃
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[──栗色の髪。 遠い背後で母が、「弟」だと声を投げる。 そうして──似ている、と。感嘆の溜息を零す。
振り返らずとも理解出来た、 この人形に大人達がどんな瞳を向けているのか。 どんな期待を賭けているのか。──それが叶えば僕は]
物好き。 あの人達は中古品が好きなんだ。
[自嘲気味に口端が引き攣る、 弟に語りかける微笑みにしては歪な形だった。
──突然に、身体を傾かせる。そう、わざと。 あ、と短い悲鳴を上げ、咄嗟の支えに目の前の少年を選ぶ。 前のめりになり、伸ばした指先は一直線に目隠しを狙い]
(106) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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っ、―――ふぅ、ん……?
[淡く微笑む姿に、思わず見惚れたのは一瞬>>99 どこか――そう、どこか遠くを見つめるような瞳に、 小さな疑問が首をもたげた。
――記憶の完全なる消去には至らないことがある
店主はそう言っていた。それも含めての破格だと。 だとしたら、この笑みの先は……。 ケイイチはそこまで考えて、フンと鼻を鳴らした。 関係ない。 視界の中に頷く姿をしっかり収め、 とりあえず言葉が通じているらしいことを理解する。 ならば、それでいい、と話を―一方的な話を―終えようとしたとき、 小さな手のひらが伸びてきて、顔に、触れた。]
(107) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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お、い……?
[突拍子もない行動に戸惑って、けれど止めることをしなければ―― やがて、小さな身体は腕の中へ。]
……おい、どうした。酔ったか?
[立派な二本の腕を持っていながら、 そのどちらも情けなく中空を漂い戸惑いを隠せない。 助けを求めるように運転手を見れば、 なんともいえぬ表情がバックミラーに映り込んでいる。 それは運転手たる彼のもので、 その助手席に座る従者のもので、 そして何より――己の表情。
ケイイチはそっと視線を落とす。 柔らかな赤茶の髪が、風もないのにふわふわと揺れている。]
(108) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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……酔った、んなら、仕方ないな。
[例え酔ったのか、という問いかけへの返答が否定であっても、 ケイイチはもう、そういうことにした。 仕方がない。仕方がないから―― そっと、その薄い肩に手を置いた。]
着くまで、こうしてやる。
[すぐ傍に――それこそ、胸の中に居なければ 聞き取れないようなひっそりとした囁きを、一つ。 それから運転手に、速度を落とすように命じる。 窓の外、景色が流れるのが遅くなった。
ケイイチはその胸の中に無垢を抱え、 じわじわと内側からこみ上げるような衝動を感じていた。 つまりは恥じらいで、戸惑いで、何よりも歓びだった。]
(109) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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[天を突くような高いマンション、その最上階。 それがケイイチの住まいだ。 中に入れば常駐しているコンシェルジュが恭しく頭を下げる。 従者がカードキーをかざせば、エレベーターがすぐさま降りてきて、 そしてボタンも押さずにそのままケイイチ達を最上階へと運んだ。]
ここが僕の住まいだ。 まあ、お前ひとりで出かけるなんてことは無いと思うけれど―― 脱出しようなんて思わないように。
[手を繋ぎ距離の近いまま、しっかりと言い切る。 それから室内に入ったのなら、 腕を引いてあちこちの案内を。
従者の控え室―従者の住まいはこの更に一階下だが、控えとしてこの部屋に居させることも多い―キッチン、ダイニング、書斎、バスルーム、トイレ、それからケイイチの寝室――
最後に案内したのは、やや小さな部屋だった。 ベッドとローテーブルとソファ、そのほかにはまだ何もない。]
(110) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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ここがお前の部屋。 寝起きはここですること。 欲しいものがあったら持ってきてやる……っていっても喋れないのか。
[ケイイチは少し視線を斜め上にやって考えて―― それから、改めて少年に向き直った。]
今まで見てきた部屋の中で、 欲しいとか、いいなと思うもの、あった? モノによるけど、ここに運び入れてやってもいい。
[問いかけながら、ケイイチは内心で興味もあった。 果たしてこの少年は何に心ひかれただろう。 何が気に召しただろう。 美しい花も鮮やかな絵画もあった、 キッチンでは艶やかなフルーツが照明を反射し、 書斎では古今東西様々な本が本棚に並んでいた。
――さて、彼は一体、何を欲するか。 あるいは、何も欲さないか。]*
(111) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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『いいじゃないの、 貴女には少し休養が必要なのよ。 見てるだけでも目の保養になるわよ?』
[友人の芙蓉は「美しいもの」に目がない。 綺麗な宝石、綺麗な洋服、綺麗な人形、綺麗な傷跡、綺麗な死体。かといってそれを自分の物にしようとするわけではない面倒な性分だ。
>>1>>2>>3>>4>>5 女は店員の説明にも、 特に興味を湧きたてられたわけではなかった。 むしろやっぱりペドフィリアご用達という町の噂は正解なのかしら、なんてことを店員の売り文句に思ったりもしたのだ。
もちろん小さい頃お人形遊びをしなかったわけではない、着せ替え遊びだってした。家の家業は人には言えない不穏なものだし父の職業も知らなかったけれど、子供時代がなかったわけではないのだから。
暗幕をくぐるその瞬間は、たとえばかくれんぼの鬼からクローゼットの中に隠れたような、そんなどきどきした気持ちを思い出したりもする。もっとも遊ぶ相手といえば年上の強面の男達ばかりだったのだけれど。]
(112) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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『ほらほら、可愛い子たくさん。 ……んー、やっぱり結構なお値段ね。 もうちょっとまけてくれないかしら、ねえマスター?』
[暗幕をめくって覗く芙蓉が肩をすくめる。 女も少しだけ笑いながら反対の暗幕を潜り、声を潜めて言葉を返す]
可愛いって言われても、顔が見えないわ。 これじゃ“どれ”がいいか、わからないじゃ……、っ、
[言葉が途切れる。 薄闇に浮かぶ柔らかな灯火、 その照り返しが人形のほの白い口元に、 まるで生きている者のような温かな色を与えている。 その小さなくちびるがあえかに微笑んでいるように見えたのだ]
(113) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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……びっくり、した。
[黒いヴェールの下、蒼い瞳は瞬いた。 店先並ぶ他の人形は皆ただの人形にしかみえなかったのに、 その子だけはどうしてか、他と違って見えたのだ。
穢れない純白の衣装、 薄明りにも光の加減できらきらと輝く金の刺繍、 行儀よく玉座に腰かけたその人形は、小さな冠まで被っている]
(114) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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[ ふと。 閉じていた瞳の向こう、光が射した。 奥深くまで沈んでいた意識が引き上がり、 現実へ手を引かれている最中、 僕は、── すこぅし、驚いた。
どうやらあいのお出ましらしい。 ゆらり、起き上がれば。 小動物のよう、僕はひくり、鼻を動かす。 理屈を飛び越えて"あい"するひとは、 特別なかおりでもするのだろうか、って。 ]
(115) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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[ 鼻先を掠めるのは、 赤色の葉が街を彩る季節。 ]
(116) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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……王子様?
[燃えるような夕焼けの髪をした小さな王子様。 その隣にはどんなお姫様がふさわしいのかしら?なんて。 言葉は少しだけ、問いかけるような響きになった**]
(117) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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[薄暗い、しかし闇と呼ぶには淡い。 そんな店内に足を踏み入れると、 ふわりと甘い香りが鼻腔から侵入する。 五感を侵す幻想的な空間。 出迎えた執事と話し込む大人の事は忘れ、 落ち着きなく辺りを見回し、 まるで何かに手繰られるように、足の赴くまま散策。
絵本、小説。本は好きだ。気が紛れるから。 けれども友人達のように、夢に夢を見たりはしなかった。 ──あれはフィクションだと知っている]
……プランツ・ドール。嘘だ、こんな物が人形な訳……
[ふんわりと陽の差す窓辺に、淡く人影が浮かぶ。>>69 居眠りをするような格好、全てが人形だと知らなければ この人形を生きた少年だと信じて疑わなかっただろう。 かつ、と靴音を鳴らし、幼い形の人型に近寄る、]
(118) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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[ …擦り込みとはよく言ったもので、 僕は、目の前に現れた二度目の誰かを、 目線を合わせてくれた、その眼鏡の向こうを、 唯々、じぃと 見つめていた。 僕は、── 僕、という人形は 死んだようないきものであることが、 多分、恐らく、"売り"だったから。
螺子かゼンマイか知らぬからだの奥深く、 く、と軋む本能的な何かを 何処か冷静に捉えながら、
はく、と 口を開く。 ]
(119) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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[そうして彼を夢≠ゥら醒まそう。 しあわせで都合の良い微睡みを遮り、 はらりと散った覆いに代わり、人形の視界を自分で埋める。
他の誰も、無垢な双眸に映さぬように]
──……、 ねぇ。
[栗色の髪を撫でた指先は、 滑り降り、まるく柔らかい頬の輪郭をなぞる。 主人への言葉を催促し、少年の唇が動くのを待つ]
(120) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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[自分を愛するものは、皆愛しいものだろう。 だからこの人形が両親を愛さないように。 与えるべき愛情≠、 ちっとも持ち合わせていない少年は主人になった。 この店の裏側に渦巻く私利私欲だとかよりも、 ずうっと単純で子どもらしい欲で出来た策略]
──あ、あぁ……っ! ごめんなさい。
どうしよう、僕、勝手に商品に……
[例え人形が何か言ったとしても、返事はしない。 それよりも偶然の事故が起きた、 そんな演技をする事の方が今は重要であるから]
(121) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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[椅子に掛けた弟に手を差し伸べる、兄らしく]
ね、向こうへ行こうか。 君の父さんと母さんが待ってるから……
[努めて柔らかく微笑んで、小さな手を引こうとする]*
(122) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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─── それが、
ぼく の、なまえ。
[ どれだけ眠っていたのか知らないけれど、 どうやら思ったよりは長い時間だったらしい。 僕の掠れた声は、 未だ声と言うより機械的な音で。 舌の上で 転がすよう、 数度、あき という単語を繰り返した後、 ( ── …馴染んだような、気はしている。 ) 瞳を伏せて、緩慢に頷く。 ]
(123) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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[ ベッドの縁から降りて、 ……きっと前の誰かの趣味だったのだろう、 "直円さん"と似た着物の裾を、僅かに踊らせ。 ぺたり、床に素足をつく。 まだ硬い動きで両手を広げて、 ちゃんと動くよって、声の代わりに仕草を見せた。
瞳はふたりめの"あい"を見上げ、 ]
(124) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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── な、お 円さん。 あなたの望みは、一緒に暮らすこと。
[ 復唱 と。 ]
…そう。 僕 の "仕組み"は、知っている? 僕は、── それだけを望むから。 [ 音が紡ぎ出すのは、ふたりめとの契約。 僕は確かにお人形だけど、 生きていくのに必要不可欠なものがあるんだ。 あなたが僕のあいならば、尚のこと。
…あなたの耳に届いたうわさばなしには、 僕の仕組みのことはあったのかな。 そう言いたげに、首を傾げ。 ]
(125) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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── …おなかがすいた。
[ ほそい指先を直円さんへ差し出し、繋ぐ。 …嗚呼 似た格好だな。 端から見れば、 親子のように見えるのかも知れない。
僕は、産んでくれる胎を持つ、 "母"なんて知りやしないけれど* ]
(126) 2017/10/05(Thu) 22時半頃
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……
[細やかな振動に揺らされて、 意識は攪拌され混沌としていたのは確かだった。
頬が胸板に触れている。 ぺたりと張り付く耳朶から伝う鼓動は、 どうしてか早鐘のようで、落ち着くには程遠い。 それでも鼓動は鼓動で、 子供が親に授かる揺籠に違いはなく]
(127) 2017/10/05(Thu) 23時頃
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……
[瞼を落としてまた髪を揺らした。 肩に置かれた掌にそっと笑って、憂いを覆い]
(128) 2017/10/05(Thu) 23時頃
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[車の揺れに酔いはなく、 手を引かれるまま高層の箱へ吸い込まるまで。 ただ一度も抵抗の様子はなく、 雛のように主人の後を辿る従順さで見上げて傾いだ。
言葉の意味を測りかねて、反芻するように。
人間と人形の関係が崩れるのならば、 その天秤を崩すのは何時だって人間の側のはず]
……、……?
[その答えを得られないままの案内が、 ちいさな頭に入るはずもなく茫洋としたまま。 与えられた小さな部屋の前で、ただ佇み]
(129) 2017/10/05(Thu) 23時頃
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[見上げる視線が囚われ、黒瞳に映った。 そこから逃れる理由はなく、 主人の唇が綴る音を聞き、理解を示して]
………
[主人だと刻んだ青年の服の裾を掴む。 手は離されないように必死に繋いだままだから、 両手で青年を手と裾を掴んで、瞬いて]
(130) 2017/10/05(Thu) 23時頃
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[ほしいものなどただひとつ。
目覚めて擦り込まれた愛慕は、 ただそれだけを求める――棄てられるまで*]
(131) 2017/10/05(Thu) 23時頃
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[しかしてその小さな手が掴んだのは、ケイイチの服の裾だった>>130 意図が理解できず、何を、と眉を顰めたのは一瞬。 理解の、後は]
………え。
[短く吐いた。 戸惑いと、驚き。 じわり滲むは羞恥か。 俯いてしまったからその瞳がどんな風に揺らいでいるかは、見ることが叶わない。 ただ、それが余計にいじらしくて――どこか憐れで ケイイチはおっかなびっくり、その髪に触れる。]
なんだ、それ……。
(132) 2017/10/05(Thu) 23時半頃
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[確かに望んだ。 求められることも、縋られることも。 そしてそれが現実になって――それが「彼ら」の「生き方」であると解っていても、 心臓がどこか、逸る。 慣れない感覚に眉を寄せれば、顰め面のような表情になった。 それでも声はあくまで冷静を気取り、人形の彼に告げる。]
……顔を上げろ。 僕はお前の主人だから、つまりお前は僕の一部ということだ。 僕の一部たるお前が、欲しいものを前に俯いてはいけないよ。 声が出ないのも苦手があるのも咎めない、 でも、欲しいものがあるのに目を逸らすのは駄目だ。
――お前、僕と一緒に居たい?
[ああ、こんな問いかけ滑稽だ。 だって目の前の「これ」がどういうものか、ケイイチは知っている。 知っているけれど――求められたい。 ケイイチは内心の怯えが表に出ないよう必死だった。 縋っているのは、どちらだろう。]*
(133) 2017/10/05(Thu) 23時半頃
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[店の扉が開かれれば、来客を告げる音がしただろうか。 けれどふわふわ無意識を彷徨う少年の耳に、外部の音は届かなかった。
ゆめの続きを見たわけじゃない。 ただの空虚な白さとも違って、消されず残った断片を走馬灯のごとく思い起こしていたかもしれない。 「安らか」なんて言葉が良く似合う、 静かな眠りから醒めたのは、前触れもなく突然のこと。] ── …、 [大人しく膝の上にあった手が小さく動いた。 ゆめに見る霞んだ光とは違う、瞼越しの明るさを眩しいと感じた。]
(134) 2017/10/05(Thu) 23時半頃
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[─── 不意にゆめは醒める。
ぱちりと開いた目は何度かのまばたきをして、 俯いた視線をごく自然に正面へと向けた。 視力はそんなにいい方じゃない。それでも、孔雀青の瞳にはっきりとその姿を映せるほどの近さだ。
透きとおった金色の髪。少年の見かけよりは年上で、 だけど大人というにはまだ幼いとわかる。
ゆめに見たあの人とは、 ……比べようにも思い出せはしないのだけれど。]
(135) 2017/10/05(Thu) 23時半頃
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…… ん……
[髪に触れた感覚に、どこかなつかしさを感じて 擽ったいのを体現するように身じろぎながら、言葉を発するには至らず僅かな囀りを漏らした。
はじめは不思議がるように周囲を見渡しながら、 やがて彼が「主人」なのだと現状を飲み込んだなら、浅く息を吸い込み唇を動かす。]
は、はじめましてっ
[久方ぶりのおしゃべりだからか 少しだけ緊張して、最初の音が詰まってしまった。 ぎこちない挨拶に幼心にも恥ずかしさを覚えつつ、彼の反応を見れば、驚き混じりにそんな意識も逸らされる。]
(136) 2017/10/05(Thu) 23時半頃
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[「商品」と言った言葉の意味は理解できず、どうして彼が慌てたのかもわからなくて>>121 無論、演技を見抜く洞察力など持ち合わせてはいないゆえ どうしたんだろう、と椅子に腰掛けたままつられておろおろ狼狽えて。
けれどひどく単純な子ども心は、差し出された手を見れば たちまち喜びで満たされてしまう。]
……うん!
[声に喜色を滲ませこくりと大きく頷いたなら 引かれるまま椅子から立ち上がり、まるで親愛を深めた仲にでもあるかのようにぴたりと傍をついて歩いただろう。]
(137) 2017/10/06(Fri) 00時頃
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|
[── とうさんと、かあさん。 彼が言うのはきっと「家族」のことだと理解する。>>122
やさしくて、あたたかいもの。 それがしあわせなものだと、少年は「知っていた」から だから、期待を抱かずにはいられない。]*
(138) 2017/10/06(Fri) 00時頃
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[深い眠りの底で見る夢は、遠く形を成さない。
―――― 穏やかな日々があった事も。 ―――― 繋いだ手を離した日の事も。 ―――― 最後に紡がれた祝福の事も。
全部全部、捨ててきてしまった。]
………。
[だから、ここに在るのは貴女の見たまま。 真白でまだ誰にも穢されぬまま。 貴女の為に、目覚めたばかりのお人形。
(――そう、嘯いて。)
暗闇が埋め尽くす視界の中、 >>113 潜めた声の響いた方へと口元を緩める。]
(139) 2017/10/06(Fri) 00時頃
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[そう。 >>113 それは勘違いではないよ。 だって本当に笑ったんだもの。]
驚かせちゃった?ごめんね。
[声変わりも済んでいないようなソプラノボイス。 ペド御用達、そんな噂に更なる確信を持たせかねない響き。 さも当然とばかりに>>114 独り言染みた呟きを追った。 もしかして、更に驚かせてしまうのかもしれないけれど。]
―― うん、王子様。 でも、今はこのせまーい椅子に囚われの身かな。
[言葉とは裏腹に、笑い混じりの軽やかな声が響く。
この状況を嘆く訳でもなく、されるがままの人形でもなく。 流暢に言葉を紡いだのならば、今度はあからさまなほどに。 にっこり、という形容が似合いそうな程口角を上げて。
目の前の気配へと注ぐのは隠しきれぬ好奇心。]
(140) 2017/10/06(Fri) 00時頃
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[此方を向く瞳は、声は>>125 目覚めたばかりだからだろうか、少しぎこちないもので。 その声が自分の名を紡げば、眉は少しだけ下げられた。 この少年に、罪はないのだけれど。]
……そういえば、さっき。
[仕組みを知っているのか、と問われ、 思い浮かんだのは、先程の店主の言葉>>3。 ミルクと、砂糖菓子と、それから、愛情。]
(141) 2017/10/06(Fri) 00時頃
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―――ね、ね。 見つけたって事は、俺の事連れてってくれるのかな?
[>>117 どこか空想に耽る様な、微かに色を含んだ声音。 それはきっと、『"どれ"がいいかわからない』と 言いかけた彼女にとって、自分は何かしらの 『特別』を持ち合わせていたのだろうと。そう考えて。]
ここに来たって事は、 俺たちに用事があって来たんでしょ。 あー……えっと、…お姉さん?
[落ち着いた声音、それからこんな買い物をする客層。 見えぬままの相手に憶測で呼びかけたのなら。 どこか期待するような、弾んだ声音で。]
(142) 2017/10/06(Fri) 00時頃
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[食べるものは容易い。けれど、三番目。 明確な形のないそれを、ましてや自分が 与えられるものだろうか。 ……考えてたって仕方ない。首を振って、 握られた手>>126に応える。大丈夫だ、と言うように。
とはいえ、牛乳でいいのだろうか、などと考えていた自分に、 店主が懇切丁寧に説明をしてくれただろうから、 男が店を出るときには、片手に大きめの袋― ―しばらくは困らないであろう量の少年の食事やらを 片手から下げることになっていたと思う。安心してほしい。]
(143) 2017/10/06(Fri) 00時頃
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少し、歩くんだけれど。 大丈夫かな。
[店を出れば、手を握る着物の少年―秋に、問いかける。 握られた指も、我儘>>126も、 最後に在ったのはいつのことだったかな。 かたり、下駄の音が鳴る。 オフィス街とは余りにも場違いな着物の影二つは、 店を出たなら、雑踏の中へと消えていくだろうか。
向かう先は、郊外の日本家屋。 線香の香りが漂う、誰もいない、大きすぎる家へ。**]
(144) 2017/10/06(Fri) 00時頃
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ね、選ぶなら折角だから俺にしてよー。 お買い得だよ?珍しいのも付いてるし。
[そう言いながら、頭の花冠を指さして。]
大事にしてくれるなら、大事にするよ。 可愛くもするよ? …あ、でもお洋服は買ってくれないとだけどー。
[―――なんて、せっせと自分の売り込みを 始めるドールは、その珍しい花冠のせいで中古の割には 決して安くはないお値段なのだけれども。*]
(145) 2017/10/06(Fri) 00時頃
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和算家 直円は、メモを貼った。
2017/10/06(Fri) 00時頃
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[髪に触れる掌から伝わる熱は知らない温度で、 嘗て、そうしてくれる筈の存在を思い描き息を吐く。
期待をしてはいけない。 棄てられ、あの店に戻される、 脳裏に過るそれに震えて吐く息は重く。
命令めいた響きの優しい声に顔を上げ、>>133 人形らしく遠い瞳で青年を映してその言葉を聞けば]
(146) 2017/10/06(Fri) 00時半頃
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……、 …
[唇を開いて、はく、と形だけ言葉を綴る。
音はなくとも何かを訴えるように――…… けれど言葉にならず、熱に融かされ消えたそれ。
代わりに、仕草が感情に追いつき、 繋いだ手と裾をそっと離して、顔を胸板へ埋め]
(147) 2017/10/06(Fri) 00時半頃
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[青年に比べ小さな腕が背に廻りきらず、 それに築いて服を掴んで、そこに皴を生み出した。
頷く仕草は微かで、伝わらないかもしれない。
ただ子供のように腕の中に飛び込んで、 そこでようやく顔をあげて、琥珀に青年を映す。
まっすぐに捉えて、離さずに]*
(148) 2017/10/06(Fri) 00時半頃
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[ 照明の下でか。 或いは差し込んだ陽光を反射してか。 きらりと金糸が輝きを放つ。
目隠しを外されたなら、きょろり。 円らな瞳で新たな主人を見つめよう。
けれど──少しの、違和感。 自分の体をぺたぺたと触って。 ぶかぶかの、袖を捲り上げたジャケットのポケットから 大人用の眼鏡を取り出して、そっとかける。 別段目は悪くない。 度は入っていない見せかけだけれど。
ああ、これだ。これがなきゃ。 赤く縁取られた世界。 漸くしっくりきた人形は、主人を見つめ直して。]
(149) 2017/10/06(Fri) 00時半頃
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こんにちは ──…ええ、と
[ 何と呼んだら良いのかわからずに、 挨拶だけ落としては首をこてりとかしげた。
ここは、店だろうか。 それとも、目の前にいる主人の家? はたまた────…。
どこだって、良い。 今日は良い日に違いないのだから。 好奇心旺盛な人形。 主人が何を言ってくれるのか、 期待に作り物の瞳を輝かせて、ただ待つ。*]
(150) 2017/10/06(Fri) 00時半頃
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[ ひとつ、砂糖。 ふたつ、ミルク。 そうしてみっつめ、忘れた あい。 ]
(151) 2017/10/06(Fri) 00時半頃
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[ ── 知ってはいたらしい。 思い当たるものがある反応を見てしまえば、 それ以上、僕が言うことは 無く。
何せ、袋を引っさげて店主だって来てくれた。 僕が金に換わるのを大事にしているらしいひとだ。 そりゃあ、客だって丁重に扱うだろう、 死んだ瞳で見ていたのは、そんな光景だった。
ついでに草履を貰う。 ── 安心してほしい。 素足では外を歩かない方が良いって、 僕は、知ってるから。 ]
(152) 2017/10/06(Fri) 00時半頃
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多分、直ぐに慣れるから。 前は、……歩けた、訳だし。
[ 直円さん、の、手を取って。 僕の視線は、手元の食べ物と顔を行ったり来たり。 ( …だって、お腹が空いたんだ。 ) ぺた、ぺた。 ちぃさい 情けない音を立てて、 雛鳥のよう 並んで歩く。
久しぶりだろう雑踏の中は、 目覚めたばかりの僕には 少しばかり歩きづらいけれど。 身体の奥底が軋む故に、苦とはしなかった。 ]
(153) 2017/10/06(Fri) 00時半頃
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[ …そう、 明確なかたちも、定義も忘れた そんな あい、が理由になるなんて。 僕の身体は 人形というのは。 まったく便利なもの だ* ]
(154) 2017/10/06(Fri) 01時頃
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── 手を引かれた先で ──
─── ……あなた"も"、 ひとりで暮らしているの。
[ 人の波が 過ぎ去ったあと。 静かな、静かな、大きすぎる家に、 ── だけど気配のまるでない 其処に。
忘れた過去を無意識に思い出したのか、 ── ふたりめも、そうなんだ って。
未だ 手を繋いだまま。 ぼんやり屋根を見上げ、ぽつり 零したのは。 漸くひとらしくなった、音** ]
(155) 2017/10/06(Fri) 01時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2017/10/06(Fri) 01時頃
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[開かれるは薄い唇、けれどそこから言葉は漏れない。 それでも――解かれた手指は背へと周り服を掴んだ。 顔は胸元に埋まり、微か、擽るように頷いて 見上げた琥珀はまっすぐとケイイチを捉える。
当たり前の行動だろう。 当たり前の、根源的な欲求からうまれた――
ああ、それでも、ケイイチのこの感情だって根源的なものだ。]
……よくできました。
[だから、褒める。 主人の望みを正しく読み取った少年を、そうして労う。 褒めて髪を撫で、それからもういいよとばかりに背を軽く叩く。 お前の気持ちはわかったから、と。 (もう僕も満足したさ、と)]
(156) 2017/10/06(Fri) 01時頃
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[ゆるやかな腕の拘束は酷く心地が良くて油断をすれば泣きそうで、 そんな格好悪い姿、何としたって見られるわけにはいかないから。]
(157) 2017/10/06(Fri) 01時頃
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お前のベッドは僕の寝室に運ばせよう。 人を呼んで…… そうだ、僕の付き人も紹介しないと。 お前も何かと顔を合わせることもあるだろう。
[店についてきた男と、運転手と、 調理師と掃除夫と、他にも数名。 ケイイチの身の回りの世話をする人間の顔を浮かべて、それから―― それから、はた、と気付いた。]
……なあ、僕、お前に名乗っていない?
[じっと少年の顔を見つめながら、自身でも記憶の頁を捲っていた。 名乗った記憶は――ない。 ああ、声が出せないって不便だ! そんなふうに責任転嫁をほんの一瞬、それから]
(158) 2017/10/06(Fri) 01時頃
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……僕はケイイチ。お前の主人だ。 それで、お前は……名前はあるの? 無いならば僕がつけるけれど。
[問いかける声は、言葉は、 気遣いの体を纏ってその実、 犬猫に名付けるような気楽さを孕んでいた。 琥珀を覗く夜色に、罪悪感も気おくれも欠片もなく―― あるのはただ、残酷なまでの「ただの問い」だった。]**
(159) 2017/10/06(Fri) 01時頃
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てっめぇ、そのきたねぇ口をどうにかしろよな! ったく、浮浪者とは流石に失礼だろーが。 ここ数日、研究が忙しいんだよ。
[コイツくっそ生意気じゃねぇ!?と本日何回目かのぷっちん。 けれど、俺は大人、俺は大人と自分に言い聞かせる。 深呼吸をして、改めて目の前の少年を見る。
不機嫌そうなその顔。 不満ありありだなというのはよくわかる。
そりゃそうだろう。 俺だってワケ分かんねぇもん。
妹ちゃん、せめて事前に連絡くれ……と思わざるを得なかった]
(160) 2017/10/06(Fri) 01時半頃
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観用少年?……あー、やっぱ聞いたことねぇな。 それについては悪いと思ってるけど……って、なにこれ? 説明書?
[分厚い、辞書のようなものを投げられて当たりそうだったのなら 慌てて避けていただろう。 どちらにせよ、何すんだと文句を言いながらそれを拾う。
ぺらりと、その中身を見て。 ……ぱたんと閉じた。 この男、説明書は何でもかんでも読まないタイプである。
観用少年。 聞いたことはやはりない。 生きているのに人形とは、どういうことだろう。 それもこの説明書を読めばわかるのだろうけど。
生憎、面倒くささの方が勝った]
(161) 2017/10/06(Fri) 01時半頃
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あー、妹ちゃん連絡つくかな。 アイツ、結構忙しいんだよ。
[バリバリのキャリアウーマンである彼女は、 案外捕まえるのに苦労する。 一応メールは打ってみたものの、その返事も来るかどうか。
しかし、一度受け取ってしまったものはどうしようもない。 彼がこの家にいなければいけないのならば、 養うのも自分の仕事であろう。 幸い、見た目の幼さに反して中身はなかなか成熟しているようだし、 本物の子どもをいちから育てるというわけでもないだろう]
(162) 2017/10/06(Fri) 01時半頃
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……とりあえず、なんもねーけどなんか食う? 家はそんな綺麗じゃねぇし、俺もそこまで裕福じゃないが。
少なくとも、仕事はちゃんとしてる。 飯の心配をしなくていいくらいにはな。
[呆れ気味に食事の心配をする彼に、軽く苦笑して。 立ち上がれば、彼の近くへと歩いていく。
飯、好き嫌いとかあんのかなぁとぼんやり思いながら、 ぽんぽんと頭を軽く撫でてやれば、へらりと笑った]*
(163) 2017/10/06(Fri) 01時半頃
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[孔雀青の瞳が瞬き、視線が交わる。 人間ように視界を洗う仕草、撫でた時の擽ったそうに身を捩る反応。>>136 一挙一動はやはり人そのものだ]
…………、
[花の綻ぶような目覚めの瞬間は、あらゆる打算を忘れていたが。たどたどしい挨拶の音ですぐにはっとする。狼狽も知らぬふりで小さな手を掬い、高い椅子から降りる手伝いをしよう>>137]
ふふ、……単純。
[とびきり純粋で、歯切れの良い肯定に 自然と口端が釣り上がる。側に寄り添い離れない素直さに内心安堵していた。この子どもを思い通りにするのはきっと容易い、と]
(164) 2017/10/06(Fri) 08時半頃
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[嘘を見抜かれる事も、商品に触れた事を怒りもせず。 むしろ連れ立って歩く兄弟に両親は安心したようであった。そして小さな弟が動き、笑うのを見て心底嬉しそうでもあった。購入の手続きを済ませ、薄暗い店内を後にする。執事のにこやかな笑みに含みを感じ、ひやりとしたがついに咎められる事はなかった。
車はビジネス街を抜け、元の街を目指す。 一人増えたところで車内は窮屈にならないが、言い知れぬ疎外感に圧迫される。あれから繋いだままであった手を一度だけ握り締めた]
……はぁ。
[自室──今日から人形も置くことになる部屋に戻り、重たい溜息を吐く。心の距離を体現するために繋いでいた手をさっさと払う。ベットの端に腰を下ろすと、彼に視線を向ける事なく問い掛ける]
名前は?
(165) 2017/10/06(Fri) 08時半頃
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……黙れっつーんなら黙る。
[>>160を黒曜石のような瞳をつぶさに観察する。
戸惑いが露わになっているようだ。”人形”に対する不満とは少し違うように思えたのは気のせいだろうか。
続く>>161に怪訝と疑念が渦巻いて一旦はしおらしく口を閉ざしたが1分と保たなかった。]
ざっけんなオッサン!
巷で噂とかあるだろうが流行とかに疎すぎて呪文だとでも思って嫁に来るヤツがいないような質だろ。
絶対そうだ。 ろくに家にも帰らないし「飯、寝る」しか言わないようなタイプだろ、嫌すぎる。
[投げつけた説明書を一度捲ってすぐに閉じる姿に頭を抱えた。 自分がどういったモノであるかすらわかっていない男に買われることになったのは初めてだ。 対処法など教えて貰わなければわからない性質だ。]
(166) 2017/10/06(Fri) 11時半頃
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死んでも連絡取れ。何なら骨折ってやるから。
[元凶はその妹だとわかっている。 だが人形が飼い主と認定したのは目の前の全く何も知らない男だ。
正直言って落ち着かない。 一体何を望まれて買われたのか――――飼うつもりだったのか。
少しだけ不安そうに黒い瞳は揺れた。 そのせいではないだろうが>>163が頭を撫でてくる手は少し温かい。
壊れても言ってもやる気はなかったが。 むっとしたまま撫でるに任せて嘆息した。]
(167) 2017/10/06(Fri) 11時半頃
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名前。 ……俺は人形。大体は、愛玩のため用の人形だ。 名前寄越せ。
あと飯とか掃除なら俺がやった方がずっといい。 バカみたいに散らかしてんじゃねえよオッサン。
あとオッサンも名前。南方だけじゃねえだろ。 [根は悪い人間ではないのだろう。 一見すると不満ばかり並べているようではあるがこの人形にとってはこれは一種の愛情表現だった。
―――― 一部が欠陥品であったか。 長年愛玩され好みに仕立てられた時を”憶えている”せいで口も性格も最初の持ち主の好みのままだ。
自分好みにカスタマイズしたい人間にすぐに返品されるのも仕方が無いと諦めている。
然し全く知識が無い人間にかわれるのは初めてだった。撫でる手が思いの外柔らかくてそれだけで少し安心する。
不満を抱くようには出来ていない。 ただ、不安なだけだった。]*
(168) 2017/10/06(Fri) 11時半頃
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[ ――薄氷の上に成り立つ脆い世界を知っている]
(169) 2017/10/06(Fri) 12時半頃
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[ 目覚めて愛慕を燈すからこその人形。
意味を知らず、意味を持たない。 ただ、開闢がそうであるというだけの生き物。
棄てられる間際、 夫婦の重荷を背負った顔を琥珀に映し、 人間との差をそれで知った。
――“買えて”、“売れる”。
人間は何時だって玩具を棄てることが出来き、 それに抗う術など人形の側にはない]
(170) 2017/10/06(Fri) 12時半頃
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[ ――だとしたら、抱かされる愛慕は残酷でしかなく]
(171) 2017/10/06(Fri) 12時半頃
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……
[褒める言葉を耳孔でとらえて意味を知れば、 掴んだ服から皴を伸ばす権利を返し、両腕がだらりと落ちた。
背を叩かれ促されたかのように僅かに距離を開く。
思考の奥に過る追憶の情景が湧き起こす感情に、 吐息を籠らせ、思慕の入り混じる双眸が揺れる。
琥珀の中心には青年がいる。 では、琥珀の裏側には。
鑢掛けされる感覚は、何を削られているのか。 捨てきれないくせに上書きされた何かが、 不満げに渦巻くからこその瞳の揺れは、刹那、諦念に紛れて]
(172) 2017/10/06(Fri) 12時半頃
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……、……
[問いかけにゆるりと首を横へと振った。 青年の名を記憶すれば失うことなど永遠になく、 だからこそ繋がっていたのだ。
もう、棄てられないように]
(173) 2017/10/06(Fri) 12時半頃
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けぃ、ぃ… ……
[咽を震わせて響かせる音は掠れて語尾が消えた。 薄桃の唇が綴る形は完璧に近い。 だから音になりきれないのは臆病の結実だろう。
ぐ、っと息を呑み込んで、それを吐き出した。 呼吸とも、深呼吸ともつかないその仕草で、 喉奥に閊える塊を飲み込み、人間のように息を継ぐ。
空気を撫でたのは、少年のソプラノ。 漣のように震える声音は濁りなどなく、純麗に]
(174) 2017/10/06(Fri) 12時半頃
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………ケイイ、チ。
[名付けられることなどなかった人形の産声が響く。
――名を授かるまで産まれてはいけない。
それを自ら破った意志は、 次ぐ返答も言葉で返そうとして詰まり、首を横へ振った**]
(175) 2017/10/06(Fri) 12時半頃
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あ?いや、黙れとは言ってねーけど……黙ってねぇな! ていうか人の心ぐっさぐさ刺してんじゃねぇよ!! 図星ですけど何かぁ!!!!?
ていうかオッサン呼んでんじゃねーよ!
[巷で噂、ということは会社の人間に聞けばわかるのだろうか。 そんなにこの人形って有名なの?と思ってしまうけれど。 自分に縁のない物を知らないのは、普通だろうと思う。
……ただでさえ、ここ数年は 余所に関心を持つことさえしていなかったのだから。
だがしかし、彼のことを自分がどうにかしなければいけないのであれば、 何かをしなければいけない。
説明書を読む以外の何かを]
(176) 2017/10/06(Fri) 13時半頃
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死んでもって……一応連絡は入れた。 返事が来るまではちょっと待てっての。
[頭が痛いのはこちらとて同じである。 彼のこと、人形のことについて何も知らないのだから、 彼の不安など知る由もないのだが。
しかし、その頭に返品だとか捨てるだとか。 そんな考えは一切浮かんでいないのは不思議だった。 少し考えれば浮かぶ選択肢であるのに。
――彼を育てることしか、頭になかった。
不安そうに揺れる瞳には気付かない。 相手の感情を読み取るのは、それほど得意ではない。 自分は自他ともに認めるダメ人間であることも知っている。 だから察するとか、空気を読むとか。 人並みにできないことの方がずっと多い。
でなければ、あんな出来すぎた妹などできないだろう]
(177) 2017/10/06(Fri) 13時半頃
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名前?元から持ってるもんとかねーの? つーか愛玩のため、って……え、つまりそういう? へぇ、こんな少年相手にねぇ……
[まじまじと、改めて彼を見てしまう。 愛玩人形と聞いて浮かぶのがどうしてもシモの方であるのは、 男の性質だと思ってほしい。
見目麗しい少年をどうこうしたい、と思う人間は 意外とこの世の中多いのだろうか。 正直、そんな思いでいっぱいであった。
そして同時に、自分には分からない感情だと思った]
(178) 2017/10/06(Fri) 13時半頃
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掃除とか飯も任せられんの?ラッキー。 そんじゃあお願いすっかな。
あと、オッサンって呼ぶのはやめろ。 俺は南方康介。名前なら好きに呼んでいいから。
[口は悪いが、思ったよりも悪い奴ではなさそうだ。 ……少し話してみて、分かったのはその程度。
人形のことを知らないが故に、彼を自分好みにしたいだとか、 好きにしたいと思うこともなく。 彼の性格をそのまま受け入れようとしたことは、 彼にとってはまだ幸運だったのかもしれない]*
(179) 2017/10/06(Fri) 13時半頃
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[どう見たって小汚い中年のおっさんだろう。>>176 本人が認めたがらないことをずけずけと言うのはすり込まれた性分だ。
最初の持ち主はそういった性癖だった。顔も声も忘れて一部だけしか残っていなくても。 雛鳥を育てるがごとく自分好みにつくりあげる人形。
消去がほとんど為されなかった、愛玩人形の末路などわかっていても縋るのだ。 わかっていてもどうしようもないことが、ある。
之程知らない人間に遭遇するなど誰が夢に見ただろう。
説明書を見て自分自身が放り投げられたような気持ちになって黒い渦を巻く。 ――――何度繰り返しても慣れないのだ。
捨てるとか返品すると考えて無い事など、知らない。 三日保つかどうか。暗澹とした気持ちは表に出さない、出せない。
そんな風に”育てられた”]
(180) 2017/10/06(Fri) 14時半頃
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――……オスカー。
でも、普通は、オッサンみたいな変人じゃなきゃなぁ! 名前とか付けたがるもんなんだよ!
わっかんねえかな、高級品だぞ俺は!
[少年相手にとつげて無遠慮に見入られ負けじと視線を交わす。 眉間に皺さえ取れれば端麗な容貌の少年にしか見えないだろう。
消去が出来ない欠陥があるからこそ男の眼には人間の美少年にしか映らなかったかもしれない。 無機質めいているのは整い過ぎたその体と顔ぐらいだ。
用途は様々だが愛玩人形は愛玩人形だという刷り込まれた性能は抗えない。]
(181) 2017/10/06(Fri) 14時半頃
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死ぬ程ダメ男だなオッサン 名前呼んでも仕方ねえだろうがオッサン
おい! それより掃除、先に掃除する。
こんな部屋に俺を置くとかいう神経が知れねえよ。
[何も知らない男の名を呼ぶのは憚られた。 呼べばまた憶えたままになるかもしれないという懸念。 明日にもうち捨てられるかもしれない危惧は常付きまとう。
――――然しながら、普段は招き入れられる立場なのでここまで散らかった部屋は初めてだった。 幸いにして最初の持ち主は家事能力がある少年が趣味だった。 一緒に掃除や料理をするのを喜んでいたことが脳裏に掠めて、ふっとすぐに消える。
少なくとも南方と一緒に掃除は想像すら難しい。邪魔にしかならない。
部屋の中は一人暮らしには少し広い。
ただ間取りは服や本やよくわからない書類が散らばっていて全く構造がわからなかった。]
(182) 2017/10/06(Fri) 14時半頃
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[少年メイドではなかったが――――。 それを要求されたこともあったがすぐに返品された顛末はあったのはさておき。
家事万能のオスカーには耐え難い部屋だった。
本は本。服は服と手際よく片付ける様は南方には魔法でも使ったように見えただろう。 まずは分類分けをして服は洗濯するものは運ぶように指示をする。
書類はよくわからないので日付順に置いた。 本も大凡の分類は出来たが本棚からもはみ出ている始末だったので眉を顰める。
こうなったら徹底抗戦とばかりに雑巾とバケツ。ハタキや床ふき用の道具などを要求をしたが当然無かった]
(183) 2017/10/06(Fri) 14時半頃
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無いなら買って来い。
[尚、こちらは愛玩される人形である]*
(184) 2017/10/06(Fri) 14時半頃
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[小さく笑った声を聞けば、疑問符をうかべて見上げた。>>164 なにがだろう、と不思議に思いながら 独り言のようでもあったから、聞くには至らず。
埃ひとつない床に下り立ち並んでみると、高い目線の彼はまるで兄のようで。ふふりと笑みを零すだけの少年は、何ひとつ疑おうとはしない。
導かれ、彼のいう「家族」の元へ行く。 並んで歩く姿に目を細めた男女の側まで歩み寄れば 「こんにちは」と先程と同じように挨拶をひとつ。
そうして二人と執事服を着た男性が、 少年にはわからないやりとりを始めるのを眺めながら 隣にいる彼のほうを見上げて、繋いだ手をぎゅっと握って。]
(185) 2017/10/06(Fri) 14時半頃
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─店→─
[店を後にする直前、笑みを浮かべた執事へと呑気に手を振り。 車に乗り込んで、ゆっくりと車窓の景色が流れ始めたら 意識はそちらに向けられ、夢中になってどこか懐かしいような街並みを目で追う。
心地よい揺れだと思いながら、目覚めたばかりであるからか眠りに誘われることはなく。夫婦から簡単な会話や質問を振られたなら楽しげに答えてみせただろう。
ビジネス街を抜け、やがて別の街に辿り着く。 新たな家を見やるなりそれまでにも増して目を輝かせ、 少年はほうと感嘆の息を漏らした。
主人の部屋へ案内されれればそわそわと浮き足立つ心地で 零れた溜息を気にも止めず、部屋を見回していたけれど 繋いでいた手を不意に払われ、ようやく首を傾げる。]
(186) 2017/10/06(Fri) 15時頃
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[とはいえ、それも束の間のこと。 目はそらされたままでも名前を聞いてくれたのが、 少なからず興味を抱いてくれたようで嬉しくて。]
ジョージだよ……あの、よろしくね
[ベッドの傍へ歩み寄り、所有者の許可も得ないまま 遠慮がちな声とは裏腹に、ためらいもなく隣へ腰掛ける。]
ねえ、きみは?
[既に見知ったような気軽さで問う。 そのまま覗き込むようにずいっと顔を近づけた。 眼鏡のレンズを通して見ればぼやけることはないけれど、 逸らされたその視線をつかまえようとして。]*
(187) 2017/10/06(Fri) 15時頃
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俺に価値なんてもんわかると思うか。
オスカー……いい名前じゃねぇか。 別に俺の子どもってわけでもないんだし。 お前だってそう名前がころころ変わるの嫌だろ? 新しいのが欲しいなら考えるけど、 そのままでいいならそれでいいじゃねーの。
[眉間に皴を寄せる彼に、そんな顔するなと再び苦笑する。 彼の知っている"普通"と、自分の"普通"は違う。 人形についての知識がないのだから、彼の普通は通じない。
そもそもにおいて。 彼が中古であることも、記憶があることが不自然であることも。 そんなことにさえ気付けないのだから]
(188) 2017/10/06(Fri) 15時半頃
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オッサンを語尾にするな。 つうか意味ないこともねーだろ、チビ! お前が呼ばないなら俺も当分チビって呼ぶからな。
ていうか、掃除?ちょっと汚れてるくらいじゃねぇか。
[こんな部屋、と言われるとかちんと来る。 いや、汚いのは確かなんだけど。 衛生的にもちょーーーっとよくないけど。
まぁでも、してもらえるというのなら してくださいというのがこちらの心情である。
邪魔にならないよう、ソファーの上に避難して 彼の掃除のさまを眺める。 その手際は驚くほどよくて、ついつい感心して眺める。
自慢じゃないが、自分であればそんな風には片づけられない]
(189) 2017/10/06(Fri) 15時半頃
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[しばらく眺めていると、雑巾とバケツを始め、 様々な掃除用具を要求される。 しかしながら、こんな部屋に住んでいるのだ。 そんなものはあるわけもない。
だから、ないけど?と当然のように答えれば、 >>184これである。 あれ、なんだろう?俺って使われる立場だっけ? そんなことを一瞬思ったけれど、それは口にせず]
はいはい、わかりましたよー。 んじゃ、買ってくるから。 他になんか必要なものはあるか?
[二度外に出るのは面倒だ。 そんな空気を露骨に漂わせて、彼に問い掛けた]*
(190) 2017/10/06(Fri) 15時半頃
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[大して広くもない貸家で、自分はよく一人だった。]
『じゃあみっくん、お留守番お願いね』
………………
[気付いたら、紙と色鉛筆がいつも傍にあった。]
『あら? これ、みっくんが描いたの? みっくん上手だね!』
………………
[自分が欲しいものは、一つだけだった。]
『はい、新しいスケッチブックと色鉛筆! みっくん絵描くの好きだもんねー?』
…………うん
(191) 2017/10/06(Fri) 15時半頃
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(え かくの、べつにすきじゃない)
[自分は何が欲しかったのか、もう忘れてしまった。
……自分で、そう望んだ。]
(192) 2017/10/06(Fri) 15時半頃
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ー 自宅 ー
[紙やペンの散乱した机、ゲームソフトやDVDや衣服が適当に放置された床。 他にベッド、小さなテーブル、備え付けのクローゼットだけが置かれた部屋。 たまに妹が来て勝手に掃除洗濯をしたりしていなければもっと酷い有様になっていただろうこの場所は それなりに名前の売れたイラストレーター男の住む、なんて事ない1Kのアパート一室。
そんな部屋に佇む、目隠しされている小柄な金髪少年が一人。 間違いなく、この部屋の中では浮いた存在だろう。 この少年、否、"これ"は人形なのだそうで。 人形……"観用少年"と呼ばれる彼等の説明はしっかり聞いたが、とても人形に見えない。
事の始まりは仕事の関係者から一方的に聞かされた"観用少年"なるものの話。 それでふと思い付いた事があり、どこで売られているか知ってるというその人から店の場所を聞き出して訪れたのが数日前。 車を持っていないし、連れ帰るのも面倒だからと部屋まで送ってくれるよう頼んで先程届いたとかなんとか。
金持ちではないが使わず持て余している分の金ならいくらでもあるから、目に入った子をなんとなく選び料金上乗せでもいいからと郵送をお願いしたまでが店での話。]
(193) 2017/10/06(Fri) 16時頃
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[そして現在、そんなこんなで小さな少年の目隠しを外してみたところだ。。
さてどうなるかと、椅子に腰掛けながら少し様子見。 視界の自由を手に入れた少年が見つめて来たかと思えば 何かを探してか自らの体を触った後、ぶかぶかのジャケットからこれまた大きめの眼鏡を取り出して装着していた。>>149]
(これが人形、ねぇ……)
……佐伯 充だよ、人形くん 呼びやすいように呼んでくれてくれていいから
[挨拶には何も返さず、首を傾げている理由もなんとなくの予想で考えて名乗っただけ。>>150 目を輝かせる少年を、何の想いも込められていない空っぽな目で見つめ返す。 ……見つめるより、ただの観察に近いが。]
うーんと……そうだなぁ やってもらいたい事があって君を買ったんだけど ……君、掃除とか洗濯とか出来るかな?
(194) 2017/10/06(Fri) 16時頃
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………あー名前も聞いた方がいいか 人形くんさ、何か名前あったりする?
[空っぽな目のまま、唐突に本題へと入った。 観用少年なんて奇異なものを買おうかと気紛れに決めたのは、それが理由だ。
妹は勝手とはいえ家事をしてくれるのは有難いが いつまでも口煩く言われながらやってもらうのは正直面倒だし、自分でやるのはもっと面倒だから。 目に入ったものへ否応なしに愛情を抱くらしい"お古の人形"なら、大人しくやってくれるかも。
分からないと言われたら、仕方ないから覚えるまで教えるとして。 名前聞くのが先じゃないのかとツッコミたくなる人がいてもそれは我慢してもらって とにかく、購入動機はそんな考えからだった。 人形少年の名前に関しても 特にないか覚えていないなら何か付けないといけないのかな、なんて考える程度だから。]
(195) 2017/10/06(Fri) 16時頃
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[……ほんとうに?**]
(196) 2017/10/06(Fri) 16時頃
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[素直に離れる腕の従順さに満足し、目を細めるも、束の間。 薄桃が花開きその合間から溢れたのは――間違いなく、声だった。 初めは掠れるようなそれは、けれど次には形になって つまり――己の名前になった。]
…………ハ!?
[首が揺れる、名はあるのかという問いかけへの返答だろう、だが今はそれにかまっていられない。 ケイイチは思わず少年の両肩を掴む。 痛がったり怯えるような素ぶりがあれば素直に謝罪し力を緩め――けれど、その肩に置いた手は離れない。 それどころか手は首を伝い少年の両頬をとらえ、ゆっくりと上を向かせる。 より深く、その瞳を覗き込むようにすれば、 長い前髪がたらりと垂れて、二人を隠す黒い檻ができる。]
……お前、喋れるの?
[不思議と、喋れないと思った時より遥か取り乱していた。]
(197) 2017/10/06(Fri) 16時頃
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……子どもみたいなもんだ。 何も知らねえくせに、言ってんじゃねえ。
でもどうせめんどくせえだろうからてめえがいいならオスカーでいい。
[否が応にも懐いてしまう性を何度疎ましく思ったか。
オスカーから見れば、ゴミ置き場言っても差し支え無いような一人暮らしの家。 専用の部屋など無論無いだろう。
ゴミを生成しまくってゴミ出し日に確り出して置くように言い含める。
潔癖症ではないが今までこんな薄汚れた家に住んだことなど五分として無い。]
意味ねえだろ! うるせえ、名前で呼べよオッサンッ!
[人間よりも頑丈で。 永遠の命である筈の人形はこんな部屋でも住めなくはない。]
(198) 2017/10/06(Fri) 16時半頃
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[むしろ南方の健康面が気に掛かったことなど億尾にも出さない。 然しこの新しい飼い主は全く何も出来ないようだ。
ソファーの上に避難して図体ばかりが大きい。
埃が立っては顔を顰める。 綺麗でありたいのはそうであるように願われたせいだろう。
だからわざと埃を立てていたら咳き込んだかもしれない。]
ま……こんなもんか。
[一段落目の掃除を終えればパンパンと強く両手を叩く 本や衣類の収納場所を確りと見定める。
報われなくても構わない、やりたいからやるのだ。
( ――――嘘吐き ) 少しでも喜んで貰えれば僥倖だったが残念ながら態度には出ない。]
(199) 2017/10/06(Fri) 16時半頃
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夕食。 俺が作る。そんで飯が美味かったら二度とチビとか呼ぶな。
和食か? 洋食か? ああ、和食が好きそうな顔してんな。
この紙使っていいんだったな?
[オスカーにはわからない書類を破いてメモ帳代わりにする。 掃除の際に見つけたボールペンで頭の中で献立を組み立てる。
卵、昆布、調味料も怪しいので書き記した。
ぞんざいに渡して、仕事用で必要だと言われた本はすぐに取り出せるようにしたいのでラックを増やすべきか悩んで止めたのはすぐに返品される可能性が過ぎったからだ。]
さっさと行ってさっさと帰って来いよ。
[拗ねた子どものような顔になっていることは知らない。 掃除しているから当然だが>>190に一緒に買物に行くという選択肢は無いようであった]*
(200) 2017/10/06(Fri) 16時半頃
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[薄闇の影と同化していた シルエットの女はそっと一歩を踏み出す。 多分それは無意識だったけれど、意識があってもきっと抗わなかった。 仄かな灯りに照らされて、お人形と向かい合う]
……喋った。
[>>140 呟きに言葉が返ってきた。 人形が喋る。思わず周囲を見回してから気づく 生き人形というのだから、そういうこともあるのかもしれない。]
そ、そうなの……。
[王子様、なんて独り言を拾われてしまった。 夢見がちな小娘みたいなことを口にしてしまったのが少し気恥ずかしい。 笑い混じりの声であるから尚更だ。 どうしてか、人形は目隠しされているというのに、 やたらこちらに視線の刺さるような気配がする]
(201) 2017/10/06(Fri) 16時半頃
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は?えっ、ちょっと……? 連れていく?え、どこに……、まさか。
[>>142 この子は店に並んだ商品で、 連れていくということはつまりお買い上げだ。 理解は遅れて追い付いて、晴天の霹靂という奴だ。 ああ、だから青い空とか大嫌い、なんて八つ当たりも浮かぶ]
用事というか、私、見るだけって……。 ん?待って。 人形は静かに眠りについてるんじゃなかったの。 [自称捕らわれの王子様は、やたら気安く弾んだ声で自分自身の売り込みを始める。けれどその明るい言葉にわずかに含まれる、そわりとした期待に気づいてしまう。
捕らわれの王子様、 この子は外に出たいのかしら? なんて、思ってしまったのが駄目だった]
(202) 2017/10/06(Fri) 16時半頃
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珍しいもの?
[>>145 既に存在そのものが珍品だと思うのだけれど、 緋色の髪に翠の花冠は不思議な存在感でもって目を惹く。 つられてそっと覗きこむ、見たこともない植物、だろうか。
レースの手袋に包まれた女の指先は、 おそるおそるといった風に伸ばされる。 けれどその花冠に触れるのは躊躇われた]
……、
[大事に、可愛く。 そんなこと、考えなくてもいいんじゃないかしら。 お人形の役目なんて、愛されること、だけでしょう? “王子様”があんまり自分を安売りしてみせるものだから、妙に複雑な気持ちになる。
瞬間、びくりと手を引いたのは、背後からも声がしたからだ]
(203) 2017/10/06(Fri) 16時半頃
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珍しいもの?
[>>145 既に存在そのものが珍品だと思うのだけれど、 緋色の髪に翠の花冠は不思議な存在感でもって目を惹く。 つられてそっと覗きこむ、見たこともない植物、だろうか。
レースの手袋に包まれた女の指先は、 おそるおそるといった風に伸ばされる。 けれどその花冠に触れるのは躊躇われた]
……、
[大事に、可愛く。 そんなこと、考えなくてもいいんじゃないかしら。 お人形の役目なんて、愛されること、だけでしょう? “王子様”があんまり自分を安売りしてみせるものだから、妙に複雑な気持ちになる。
瞬間、びくりと手を引いたのは、背後からも声がしたからだ]
(204) 2017/10/06(Fri) 16時半頃
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『あら、可愛い子じゃない。 この子の目の玉の色も見てみたいわね。 きっと繰り抜きたくなるくらいに綺麗なんじゃないかしら?』
[友人の言葉はそこはかとなく物騒だ。 そういえば人形のお店をたまに見に行くが、どうにも波長が合わなくて購入出来たことがない、と嘆いていた。多分そういうところなんじゃないかしら?と思うが、本人も自覚はあると思うので放っておく]
『そうそうプランツって目が覚めたらもう、 買って貰わないと売り物にならないんじゃなかったっけ?』
はい?
『楽しみだわ、丁度、お客から“天国の涙”依頼されてるのよ』
なにそれ?
[友人の後押しは、言い訳を与えてくれるようだ。女は一度だって他のプランツに目をくれていない。きっと心も動いてる、けれどあと一押し、例えていうならがけから飛び降りる切欠が足りない、その程度で。]
(205) 2017/10/06(Fri) 16時半頃
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『まあいいじゃない。 お金に困ってるわけじゃないし、 癒しは生活に必要でしょ? それにほら――お世話さえしてあげれば』
[芙蓉が言葉を噤んだ、その先は言わなくてもわかる]
(206) 2017/10/06(Fri) 16時半頃
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……あなた、本当に。 私が買わないと大変なの、かしら?
[愛らしい王子様に問いかける。 返答がどうであれ、きっとその望みを叶えたくなってしまう。愛されるための存在というのは、ずるい。そんな子供じみた感情さえ浮かんでしまう。
そもそも売り物にならないかもしれない、なんて言われたら気になるし、別に値段が気になるわけでもないし、芙蓉も何かが必要みたいだし、家は一人だと確かに広いし、そういえば独り言も増えた気がする。犬みたいに散歩が必要なわけでもなさそうだし、猫相手に話しかけるよりは健全かもしれない。
つらつらと脳裏に浮かぶのは、理由の羅列。 大人の女には時に羞恥を誤魔化す言い訳が必要なのだ]
(207) 2017/10/06(Fri) 16時半頃
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ええ、いいわ。 値引きは結構、言い値で構いません。 ギリアンを呼んできて。
[そんなことを口にしたのはこの子が安売りされるのが歯がゆかったからなのだけど、店側にとってはきっといいカモだっただろう。芙蓉も隣で、あーあ、と言ったような顔をしている。
従順な強面の黒服の大男は車で待機していた。 残念ながら普通の人形のように女が抱っこして持ち運ぶ、というのには、少年プランツのサイズは少しばかり大きい。]
(208) 2017/10/06(Fri) 16時半頃
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ごめんなさいね、王子様。 あなたのお迎えはお姫様じゃなくって、
そう……、そうね。 きっと魔女みたいなものね。
[少年の目隠しをそっと外す時、 壊れ物を扱う様に繊細な指先は少々の躊躇いを見せた。 女はあえかに微笑のような表情を浮かべて、 けれどすぐにそれは消える**]
(209) 2017/10/06(Fri) 16時半頃
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なんも知らねぇからこうやって言うんだろ。 説明書読むより、お前に聞いた方が早いし。
ん、じゃあオスカーで決定な。 後からは変えらんねーからな。
[名前から決めなきゃいけないなんて大変だなと そんなことを暢気に思いながら、決まったことにほっと一息吐く。 これだけのことなのに、何故こんなに疲れるのだろう。
色々と口悪く、口煩く。 しかし正論であることを次々に述べられてしまえば、 彼に従わざるを得ない。 けれど、名前で呼べと言われたことには、年甲斐もなく やーだね、と答えただろうか]
(210) 2017/10/06(Fri) 18時頃
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[掃除がひと段落すれば、え?ここ俺の部屋?と 初めて見るのならば疑ってしまうような。 その程度には綺麗になっていた。 しかもこれから更に綺麗になるというのだから、笑えない。
自分のダメ人間っぷりが、ここでも分かってくる]
いやぁ、大したもんだな。 びっくり以外の言葉がでねぇっつうか……ありがとな。
こんなに俺の部屋って綺麗になるんだと感動したわ。
[へらへらと軽薄な笑みを浮かべて礼を言う。 きちんと礼を言うのはこっぱずかしいというただそれだけの理由であるが、 幸い機嫌を悪くしたわけではなさそうだった。
それにしても……こんなに床が見えたのはいつぶりだろうか]
(211) 2017/10/06(Fri) 18時頃
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……けいいち。
[知る言葉はこれだけのように、繰り返し。
実際、繰り返すたびに鮮明になる響きは、 教えを吸い込んだスポンジのように柔らかく響く。
けれど掴まれた肩に伝わる衝撃に、 ぅぁ、と悲鳴にも似る小さな息を吐き出した。
それが音になっていることに琥珀色の双眸を見開いて、 掌の温かい体温が素肌を伝う仕草に導かれるまま]
(212) 2017/10/06(Fri) 18時頃
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ん?飯? あー、分かったわかった。 どうせ美味いんだろうけど、美味かったら ちゃんと名前で呼んでやるよ。
俺くらいになると脂身とかきっついんだよな。 出来れば魚で頼むわ。
あぁ、後その書類は一応シュレッダー行きだから びりびりにしといて。
[シュレッダーに入れるものをメモにするなと、 そんなことを言われそうなセリフを何でもないように吐く。 彼がさらさらと何も見ずに書き出していく様子に、感嘆しながら 増えていく買い物リストに少しだけげんなりした。
書き終えた紙を手にして、出かけようとすれば、 案外可愛らしい言葉が彼の口から放たれて。 拗ねたような表情と相俟って、流石の自分でも なんとなく考えていることは分かった]
(213) 2017/10/06(Fri) 18時頃
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大丈夫だって、ちゃんと帰ってくるから。 ……あーそれとも、一緒に行く?
[掃除途中だけど、と言葉を付けたして。 どうする?と彼の意思を尊重するように優しい目で見た]*
(214) 2017/10/06(Fri) 18時頃
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…………
[顎を上げ、上目遣いに瞳へ青年を映す。
黒髪の幕が下りれば猶更、 そこには『主人』の姿だけで占められ――… ――…『主人』の影に揺れる双眸は不安げに。
言葉を奏でた唇を震わせて、 後悔を滲ませ、身を縮め、両手で縋るように。 掌が、青年の腕を掴んでふるふると首を横へと]
(215) 2017/10/06(Fri) 18時頃
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ごめ、ん…… もう……しない、……
[一度溢せば溢れる言葉を、それだけで飲み込んだ。 じわ、と滲む視界の理由を理解して、 ぎゅっと瞼を閉じ、また開き、視界を洗い流す。
息を吐いて整える。 人形で、愛玩動物で、そう在るように望まれて、 そうしていることに慣れた感覚を呼び覚まし、
また、“望まれる”人形に戻るべく**]
(216) 2017/10/06(Fri) 18時頃
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馬鹿だろ、オッサン
何で俺が俺の説明なんてしなきゃいけねえんだよ。 てめえのスマホは自分で「こういう機能があります」とか言うか?
っざけんな! 説明書読め! 職場で聞け! 少しでも知れ!
[どうしてこんなとこか躓かないとならないのか。 嘆く矛先すらオスカーには無い。
従順でいろと言われればかなう限りはそうしただろう。 結局はそんな風に作られているのだ。
だが、削除しきれなかった刷り込みは最早習性と呼んでいい。
だから皆、返品するのだ。
好みに育てられない観用少年《プランツ・ドール》に何の意味があるだろうか。]
(217) 2017/10/06(Fri) 19時頃
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[――――ガシャン
アルミ缶の山を入れていたゴミ袋を踏みつぶす。]
(218) 2017/10/06(Fri) 19時頃
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……。
[>>211が飄々とした笑みで礼を言う。
お礼など言われる様なことなどしていない。 これぐらいで? 意に添わないのに?
喜ぶのなら毎日だってするけれど。 生憎とそれを口に出すように”育てられ”無かった。]
少しは自分がダメ人間って自覚したかよ、オッサン。
[いつものように悪態をつく。誇らしそうにする訳では無い。 出来て当然のことだから、何も誇るものはないし持ち主に褒められるのは喜びだ。
要求するのは些細なこと。 名前で呼んで欲しい、ぐらいだった。]
(219) 2017/10/06(Fri) 19時頃
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一緒に行くじゃねえよ。 オッサンはまだわかってないみたいだけどな?
俺は人形でオッサンは持ち主。 どう扱おうがオッサンの意思ひとつだ。
オッサンが”一緒に来い”って言えば行くだけだ。
……自分で選ぶなら掃除してた方がいい。
[>>214には淡々と無機質な彫像めいた表情で応える。 人形は所詮人形。 感情を憶えていってもその一線は越えられない。
だから。 ――――せめて”また”返品されるまでは
少しぐらい役に立っても良いだろうと思っていることなど伝える術すら知らない。]*
(220) 2017/10/06(Fri) 19時頃
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いいじゃんよ、説明してくれたって。 お前のが詳しいじゃん。
まー……説明書よりは職場で聞いた方が早いかもな。 活字読むの面倒なんだわ。
[何と言われようが、ダメ人間の意識改革は難しい。 彼に言われようとも、あー多分そうするわ。程度なのである。 それが後々後悔することになろうとも。
従順にしろとは思わない。 あくまでも、自分から見て彼は"人間"なのだ。 自分の思い通りに動くようなことは言いたくなかった。
だから、彼が自分を人形と称するのは、 些かというかかなり違和感があって。 なんとなくだけれど、胸がもんにょりとした]
(221) 2017/10/06(Fri) 20時頃
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俺がダメ人間なのは元々だからいーの。 自覚なんざとっくにしてて、その上でこういうことしてんだよ。
だーかーら、諦めな。 俺みたいな奴に当たって嫌だろうけど。
[ひらひらと手を振って、まるで緊張感のない顔で笑う。 彼がこちらを願い下げだと言う理由は在れど、 こちらがそう言う理由はない。 口煩いが、飯も作って片付けもしてくれるような相手だ。 こういうのは、重宝するに限る]
あー?俺の意思とか特にねーわ。 お前が掃除してたいってんならそれでいい。 そんじゃ、良い子で留守番してろよ。
[わしゃわしゃと乱暴な手つきで頭を撫でて笑えば、 いってきまーすと何とも間の抜けた声で挨拶をして。 何の用心も、不信感もなく彼を家に置いて出た]*
(222) 2017/10/06(Fri) 20時頃
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うん、おはよ。 ――いいにおいがしたからね、起きちゃった。
[>>202 疑問符の付くような言葉に答えても、 返事になっているやらいないやら。 元より甘い空間で何を、とも思えるかもしれないが。 いいにおいと応える視線は確かに黒衣の気配を捉えていて。
また一つ、小首を傾げてにこりと微笑めば、 さらさらとした緋色の髪が頬へと零れ落ちる。]
触るなら、優しくしてね? 俺ってば激レアものなの。
[>>204 おそるおそる伸びる手を止めることはせず、 茶化すような主張を少しだけ。 輝く翠の冠は未だ小さく、頼り無い根の様なものも見える。 取り除くことも、容易く見える程の大きさだ。]
(223) 2017/10/06(Fri) 21時頃
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……だから、繰り抜くのはやめてほしいなぁ。
[>>205 物騒な言葉に少しばかり肝を冷やしつつ、 この人だけは絶対にやだ、そんな思いを胸に内に秘め。]
………あんまり痛いのもやだなぁ…。
[……秘めた矢先の"天国の涙"、 更に聞こえる単語に不穏な先行きしか感じない。
この人絶対作り方知ってる。物理でやってくる奴だ。 そんな確信を得てしまう。これ得たくなかった奴。
何も知らず疑問符をあげる声だけが救いに感じる、 願わくばあんまり毒されませんようにと 先手も打っておくことにした。
>>206 後押しはありがたい、 ありがたいけれど―――随分と物騒な人もいるものだ。]
(224) 2017/10/06(Fri) 21時頃
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そりゃあ大変大変。 折角いいにおいのお姉さんが来て目が覚めたのに、 買ってくれるのは脂ぎったおじさんとか嫌だもん。
[>>207 まぁ物騒ついでに『私が買わないと大変なの』、 その部分について追い打ちをさせて貰うことに決めた。 いつの間にやら揃えた足は崩していて、 玉座の上でお行儀悪く片膝を立てている。]
悪夢が過ぎるよ。 どうせなら柔らかいおねーさんがいいー。
[おまけの主張に少年らしい願望を込めれば すっかり張りぼて王子の完成だ。
でも、そんな未来だって十分に有り得なくもない訳で。 中古品を揃えた店の中、ここで選ぶことを許されるのは "自分"ではなく"相手"なのだから。]
(225) 2017/10/06(Fri) 21時頃
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[それしか言葉を知らないみたいに、少年は何度も繰り返し呼んだ>>212 けいいち、と。 どこか舌っ足らずなそれが、心の柔らかい場所をくすぐって――
ハッとしたのは悲鳴のような声が聞こえたから。 見下げた瞳には不安が滲み、怯えるように身体が縮こまったのがわかる。 触れた両手は縋るよう、紡がれた言葉は>>216]
……違う。
[ケイイチは緩く指を動かし、頬を撫でる。 怯えなくていい、震えなくていい、怖がらなくていい、 そう伝えるように、優しく撫でて]
驚いただけだ。 嫌だったり、不快だったわけじゃない。
[優しく奏でるボーイソプラノ。 それはどこか甘く響き、同時にどこか切なくも聞こえた。 けれど、そう――嫌な感情は、一つも浮かばない。]
(226) 2017/10/06(Fri) 21時頃
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[覆いかぶさるような姿勢から、ゆっくりと身を起こす。 頬に添えたままの手で、悪戯のようにむにむにともんで、ケイイチは、笑った。]
……お前の声は、嫌いじゃない。 また聴かせな。
[そうして、少年の瞳から怯えが消えるまで、柔らかいまなざしで見つめつづけた。 そして、その瞳から揺らぎが消えたのなら――]
ガーディ。
[まっすぐ目を見て、呼ぶ。 それは少年の名前。]
お前の名前。 ガーディ、にしよう。
[ガーディ。つまりは、守り人。 自分より見目も中身も幼いであろう少年の人形につけるには、 あまりにも不適当な名前だ。]
(227) 2017/10/06(Fri) 21時頃
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[けれど――けれど、思ってしまったのだ。 それは物理的なことじゃなくて、 そう、愛されたい満たされたいと渇望するこころが これ以上罅割れることの無いようにその柔らかい手で包んでくれたら――なんて]
(228) 2017/10/06(Fri) 21時頃
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[ケイイチはガーディの手をとり、そっと腕を引く。 もう片方の手で端末をいじって、すぐにポケットにしまい込んだ。]
ベッドはすぐに運ばせる。 それまで、お前の食事にしよう。 ミルク、温めてやるよ。
[日に三度のミルクと、週に一度の砂糖菓子。 それから何より、愛情。 うまく注げるだろうか―― そんな不安はあるけれど表情には出さないで、 ただ鷹揚に微笑んだ。]*
(229) 2017/10/06(Fri) 21時頃
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お姉さんじゃないと枯れちゃうかもしれないしー。
[ついでとばかり、本当の本当に大事な主張もさらり。 なんせあまり重く受け取られすぎても困るもの。 重みも何も含まない軽い口調で添えておくとする。
自分の安売り叩き売りはしても、 押し付けは良くないこと。それはしっかり弁えている。 主張も過ぎれば只の我儘、可愛さ余ってなんとやら。
王子には益々不似合いな、そんな"弁え"を思い出しつつ。 さて、こんな事はどこで覚えたのだったか、 それすら忘れてしまったけれど。
それでも、まるで新品のドールの様に、 自分は貴女を選んだのだという事が伝わればいいな。 今はただそれだけを胸に。 じい、と布越しの相手を見詰めるのだ。]
(230) 2017/10/06(Fri) 21時頃
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わーい、やったぁ!お姉さんすきー!
[>>208 そうして、歯がゆい思いを知らぬまま。 好意は既に大安売りのバーゲンセール状態である。 喜び露わにぱっと手を上げ、満面の笑みが口元に浮かぶ。
傍へ寄ろうと玉座から降り数歩寄ろうと―――して、 歩き方を忘れたかのように見事に崩れ落ちかけた。 暫く使っていなかった足はすっかりと 鈍ってしまっていたみたいで。
けれどもこの距離ならば彼女にはきっと届くだろう。 これ幸いと言わんばかりに、ちゃっかり者は そのままぴたりと彼女へ張り付いた。
――数十分後、大男にキャリーされる未来は知らぬまま。]
(231) 2017/10/06(Fri) 21時頃
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[>>209 やがて聞こえた自嘲の様な響き。 幾許かの恐れをも感じるような細い指先へと 手を伸ばし、そっと捉える。 袖止めに付いた細い金鎖が薄い布越しに触れ しゃら、と小さく音を立てた。
目隠しへとその手を誘えば 少しの躊躇いごと断ち切るように。 崖から飛び降りるのであれば、この先も一緒に。 そう、半ば自ら被いを取り払う。]
(232) 2017/10/06(Fri) 21時頃
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―――ワァオ。
[そうして久しぶりに開けた世界。 その真ん中に、今は一人の女性が居る。 周囲の薄闇に今すぐにでも溶け込んでしまいそうな程に、 その姿は黒に包まれている。
顔ですら、その殆どはヴェールに 覆いつくされてしまって見えやしない。
"魔女みたいなもの" なるほど、それは確かにぴったりだ。 感嘆の溜息はどう響いたのやら、 僅かに浮かぶ口元の笑みもすぐに消えてしまう。 だから、すぐに追って告げようか。]
(233) 2017/10/06(Fri) 21時頃
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それってとっても、クールだね!
[謝る必要などないのだと。 たとえ今の姿形が王子だとしても、 求めていたのはお姫様とは限らない。
薄暗闇の中で、淡く光る金糸雀色の瞳は 眩しいほどの期待を込めて。
後ろに佇む彼女の友人ですら、今は目に入らぬほど。 きらきらと、一心に目の前の姿だけを見詰め。 蕩けるような、微笑みを浮かべた。*]
(234) 2017/10/06(Fri) 21時半頃
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……普通は 普通のプランツドールは何も知らねえ状態なんだよ。
[小さな呟きが届いたかどうかわからない。 伝えるべきことはどれか。真っ新な状態の人形は何も知らない。
教えて欲しいという意味すら知らないだろう。 知らずに疵口を抉られたような気分になっても>>221はそんな気ではないのだろう。
所謂。種としての平行線になっている事にはまだ互いに気づいていないのは幸いだろうか。]
(235) 2017/10/06(Fri) 21時半頃
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自覚してんなら治せよオッサン。 俺に選ぶ権利なんてねえよ。
あるのはそっち、説明書読めよ。
[わざわざと自分の口から返品が出来るなど口にしたくもない。 しかも、恐らくと言わず南方は自分の、引いては観用少年の性質を知らない。
一目見れば否応無しにでも愛慕が湧く。
だからこそ。 持ち主は一様に不審がり、欠陥品と呼ばれた記憶が積み重なる。
だれが悪い訳でも無い。 強いて言うならもっと見目が”彼”の好み通りだったらすげ替えられずに済んだだろうか。
オスカーと名付けた元の持ち主。 ”彼”に対する慕情は喪われているのに、どうしてか。 ―――― 教え込まれたことは、抜けない]
(236) 2017/10/06(Fri) 21時半頃
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…………。
[不意打ちに頭を撫でられる。
乱暴な手つきは記憶の”それ”とは似ても似つかない。 求めているものが明確過ぎるのは厄介だ。
綺麗さっぱり消去出来ていたら、良かったのにと思いつつ服を洗濯機に掛ける。 面倒なのか洗濯機だけは乾燥機付きの非常に良い品だった。
これなら雨の日も重宝しそうだと思い、思って。 雨が降る時までここに居る可能性の低さに表情が沈んだ。
―――― 眠い。起きたばかりなのにひどい眠気が襲う。 南方が帰ってきた時には小綺麗に片付いたソファーの上で眠りに就いていて
コースケと寝ぼけ眼で呼んだ]*
(237) 2017/10/06(Fri) 21時半頃
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[淡々と。無機質で。 それでいて、人のような色を纏い始めた 声>>155に息を飲んだ。
あなた“も”、と。 重ねられた見知らぬ影に、 喉がひりつくような感覚を覚えたけれど、 それを振り払うよう、小さく首を振る。]
そう、なんだ。 妻も……子供も、いなくなってしまったからね。
[肯定を絞り出し、玄関へと向かう。 店から渡されたらしい草履を脱いだであろう少年を 招いた場所は、庭を一望できる客間。]
(238) 2017/10/06(Fri) 21時半頃
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[道中でも、会話は殆どなかったと思う。 元々、人付き合いは不得手だ。ましてや、子供と話すなど。 全て、妻に背負わせてしまった男は、 手をつないだ人形とすら、碌に言葉を交わすことが出来ない。]
少し、待っててくれるかな。
[客間の座布団に少年を座らせてから、 少し離れた台所へと向かう。
暫しの後、鍋で温められたミルクを盆に乗せて、 彼の眼の前へと置いた。]
(239) 2017/10/06(Fri) 21時半頃
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待たせてすまなかったね。 今日は少し冷えるし、 この方がいいかと思ったんだけれど。
[迷惑だっただろうか、と。男は眉を下げる。 著名なイラストレーターがデザインしたものだったか、 お洒落なイラストが描かれたマグカップと、 その向こうの少年を見比べる。
死んだような眼差し。 期待も、好意も。 何も無いその眼差しに、重なる切れ長の面影から、 ふ、と目を逸らすよう、静かな庭を眺めた。*]
(240) 2017/10/06(Fri) 21時半頃
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和算家 直円は、メモを貼った。
2017/10/06(Fri) 21時半頃
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[小さなつぶやきは、耳に届いた。 けれどそのつぶやきが何を意図するのかまでは分からない。 彼が普通ではない、ということなのだろうか。
けれど、それを聞き返そうと思わなかった。 それはきっと、……根拠のないなんとなくの感覚。 彼にそれは聞かない方がいいのだろうと思った]
自覚して直せるもんなら直してるっつーの。 あぁ、いや……やっぱりダメだな。 直さなくてもいいと思ってるし。
お前に選ぶ権利がないってのも説明書を読めばわかるのか? まぁ、それはそれにしても。 俺の前では、お前は好きにすりゃいいよ。 ダメなことはダメって言うけど。
[彼を人形だと思わないが故の言動。 それを彼がどう取るかまでは分からないけれど、 自分は思うことを伝えるのみだった]
(241) 2017/10/06(Fri) 22時頃
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[そうして出かけた買い物。 買い物なんてロクに行かないせいで、何が何処にあるのかも 全くと言っていいほど分からない。
早く帰るつもりがおおよそ普通の人の2倍はかかっただろうか。 あーくそ、とぼやきながら店を後にして、 遅いと怒られねーかなと思いながらそうっとドアを開ける。
開けた先は、隋分と綺麗になった自分の部屋。 洗濯やら何やらもやってくれていたようだった。
部屋の中へ進むと、眠りに就いている彼に気付く。 その姿は、思った以上に人形らしいと言えばそうだった。 寝顔を少しの間眺めて、小さな声でオスカーと呼ぶ。
すると、意外も意外。 寝ぼけ眼で自分の名を呼ぶ彼に、思わず笑みを浮かべて。 彼と目が合ったのなら、ただいまと当たり前のことを告げようか]*
(242) 2017/10/06(Fri) 22時頃
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[好きにすればいい、と気楽に告げられる。 それが人間の少年ならどんな風に感じ取るだろうか。
人形である自身には”好きにする”ということがわからない。 持ち主の要望に応えることが至上の喜びだ。
話せば話すほど駄目っぷりが露呈する>>241
どうして南方の妹は人形を与えようと思ったのか皆目検討が付かない。]
努力はする。けどな
てめえも説明書少しは読めよ。
[今までの悪態の中で一番力無く呟いた。 わかって欲しいというのは傲慢だろうか。
在り方から教えるなど、やったことがないのでわからない。]
(243) 2017/10/06(Fri) 22時半頃
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[―――― 愛情が不足すると
徐々に徐々に衰えていく。
かなしい美少年の人形。]
(244) 2017/10/06(Fri) 22時半頃
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[ぱちり。目が覚めた。 目が覚めたらまた別の場所で目覚めるかもしれない。予感は良い意味で裏切られた。 >>242の名前を呼ぶ声は眠りの中で。
ただいま。
誰に告げているのだろう。 この家には他の誰もいないのはわかっていて、なお。
誰に告げているのだろうと自問を繰り返し、繰り返して。]
……おかえり。
[固い表情で告げた。恐らくは人形たるオスカーの素で
誰も触れていない新雪のような部分に触れられ溶けては憶えるしかない。
南方のオスカーへの扱いは今迄とは全く異なる。 それがふたりの最初の出会い。 ――――――どちらも欠けた部分を補おうとしているなどとは露とも気づかずに]
(245) 2017/10/06(Fri) 22時半頃
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――――三日後
[三日が過ぎた朝のことだった。 南方は研究に牛耳しており夜が遅いとのことだがオスカーは”ケンキュウ”なるものをよく知らなかった。
とはいえオスカーが返品される懸念への強張りが少し解けたぐらいの頃。
もしかしてこのままのつもりなのだろうか。 物思いに耽りながら、朝食にだし巻き卵を作る。 けたたましい携帯の音が鳴った。]
オッサン、電話! 出ろよッ! 布団からも出ろ!
[駄目人間を絵に描いたような南方は携帯が鳴っても起きない。 掃除を終え、ベッドのシーツも真っ新で肌触りが良いものにしたベッドに近寄り掛け布団を引き剥がせば既に肌寒い季節に身を震わせただろうか。
テーブルの上に置かれた携帯を投げつけて朝食を作りに戻った]*
(246) 2017/10/06(Fri) 22時半頃
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[ "枯れて"しまったの。 とは、言わなかった。 かたちは似ていようとも、 ひとの終わりと僕の終わりは違うから。 だから、と 言って。 ── どうしていなくなってしまったの。 とも、言わなかった。
余計なことは聞いちゃあいけないんだ。 …何処で学んだかは覚えちゃいないけれど。 絞り出されたような直円さんの返事に、 僕は浅く、頷くだけ。 ]
(247) 2017/10/06(Fri) 22時半頃
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[ 招かれた部屋へ向かう途中、 会話らしい会話は無かった。
もとより僕はお喋りとは真逆なうえ。 出会って僅かであろうと、 繋いだ手の、その先。 直円さんが人付き合いの得意な方では無いことは、 なんとなく 察していた。
開けた庭を捉える。 言われたのなら、きっとその通りに僕は座る。 去りゆく背を、ぼうと見送って、 ── 行ってしまうの、と
他人事のようなあいを感じながら。 ]
(248) 2017/10/06(Fri) 22時半頃
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[ だけど、 ── 戻ってきた時には、きっと 思わず。 初めて直円さんに会ったときのよう、 小動物よろしく また 鼻をひくりと動かした。
ミルクのかおりがするから。
身をすこぅし乗り出して、 マグカップを、 ( ──…このひと自身の趣味なんだろうか、 絵を暫し眺めてから、 ) ひとくち。 "満たされた"人形は、息を吐く。 ]
(249) 2017/10/06(Fri) 22時半頃
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……ありがとう。
[ ぽつり。表情一つ変わらずとも。
冷たいものを出されたって、 僕は何一つ文句を言わない自信はあれど、 素足にはすこぅし厳しくなる季節。 温かい方が、きっと いいから。 ]
(250) 2017/10/06(Fri) 22時半頃
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── 僕は、 いなくなってしまった という あなたのこどもと似ているから、 あなたに買われたの?
[ 良く聞く話だ。 世間話のように、白い水面を眺めながら、 僕とは異なる方を見遣る 主へ* ]
(251) 2017/10/06(Fri) 22時半頃
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[ざらついた感情に触れる何かが、 指先に形を変えて頬の輪郭へ触れている。
言われるまま見上げる姿勢は首が痛み、 それでも濡れた瞳は映した青年を中心へ。 どこか遠い瞳は未だそのままで、 耳に残る言葉の意味を理解しようと幾度か瞬き]
ガーディ……
[囁きの音を確かとして、 諦念の滲む光源が和らぎ薄れる。
授けられた名は、 待ち続けた主人とは違う存在から。 けれど、いま手に掴んでいる腕の主は名をくれた]
(252) 2017/10/06(Fri) 23時頃
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[>>224 お人形の呟きから、 その“涙”がろくでもない代物らしいのは把握する。 とりあえず友人のことは肘でつついて牽制しておいた。
>>225 脂ぎったおじさん。 その脅威は例のペドフィリアの噂のせいで、 妙に現実的で、思わずヴェールの下で眉根の寄る。
小さな王子様はすっかり庶民のお行儀の悪さだ。 元々フランクな大安売りの語り口も、見た目の様相とは大分印象は違ったか。
付けたしのように添えられた言葉は>>230 例えばどうしようもない庇護欲のようなものを誘ったのかもしれない。頼られ必要とされることは、誰だって心地よさを感じるもので。けれど、それはどこか不純に感じて嫌だった]
……それは困ったわね。
[口調はちっとも困ってはいなかった]
(253) 2017/10/06(Fri) 23時頃
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[目隠しされたままで歩こうとしたプランツは、 崩れついでにそのままぺったり黒い喪服に張り付いた。 どうしたものかと彷徨った手は、少年の細く小さな肩に収まった。
そのまま手続きは友人と付き人に済ませ、説明やら何やらを聞く。町の噂では気難しいお人形だと言われているのに、こんなにべったりと懐くものなのかしら。 疑問が湧いたが別に悪いことではないので、よしとする]
(254) 2017/10/06(Fri) 23時頃
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[手を引かれ歩く速度は子供じみた遅いもの。 視線は彼の姿を捉え続けて、 その彼が継ぐ言葉も仕草も入ってこない。
けれど笑顔だけは焼き付いて、 それに返す言葉よりも先に緩く笑い]
……ケイイチと一緒、なら。
[その向こう側に靄る影は瞳を曇らせるもの。
それでも今だけは、 透き通る声で名を呼び、引かれる手を握る。
影を見ないふりをして、 焼き付く笑顔だけにまっすぐに目を向けて]
(255) 2017/10/06(Fri) 23時頃
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[>>232 目隠しを外す指には確かに恐れがあった。 最初に見た者に愛情を抱く、と説明がされてしまったから。
自分の酷薄さを知っている。 その愛情に応じることが出来るのか。 枯らしてしまうことが怖かった。
そんな躊躇いを見越したように、少年の手が指に触れて。 だから零れた微笑みはその華奢な指の感触が、嬉しかったからだろう。
>>233 そして感嘆の声を聞いて今更のことに気づいた。 せめてもう少しまともな格好をしている時に「初めまして」をしたかった。この黒尽くめの喪服では、言葉は冗談にさえ聞こえない]
(256) 2017/10/06(Fri) 23時頃
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……クール?
[王子様の言語感覚はわりと現代的で、 薄々気づいていたけれど、この子は結構やんちゃだ。 とりあえずこの喪服の意味はまだ告げずにおいた。
金糸雀色は淡くはかなげで。 そのきらきらとした瞳がまっすぐで眩くて、無垢が胸に痛い。 陶酔めいた美しい微笑みはその存在全てを傾けられるようで、大変なものを手に入れてしまった、と思う]
誉められたのかしらね、……ええとありがとう?
[先ほどよりよほど困ってしまったような声音だ。 向けられる眼差しがヴェール越しでよかった、少しくらい狼狽えて目をそらしても気付かれはしないだろう、多分。
契約が済めば「行きましょうか」と指示する相手は付き人の大男だ。合図一つで少年を小脇に抱え込み、そのまま車に乗り込んだ]
(257) 2017/10/06(Fri) 23時頃
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[後部座席に二人、 少年が先ほどまでくっついていたから、 つい無意識に膝の上はあけてしまった]
……ねえ、そうだ。 あなた、名前はあるの? 私の名前はグロリア、グロリア・ユン。 そちらの物騒な彼女は――、
[芙蓉とギリアン、 二人のことも紹介しておく。
芙蓉は助手席に行ってもらった。 『綺麗なカナリーイエローね、トパーズみたい』と、 手続き負えて真っ先に、そんなことを口にしたからだ**]
(258) 2017/10/06(Fri) 23時頃
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……ぼくは、何をしたらいい?
[それは、とても『人形』らしい問いかけを*]
(259) 2017/10/06(Fri) 23時頃
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[彼と初めて対面したときから、三日が経った。 仕事をしているのかと疑われたので、研究をしていると伝えた。 彼がそれを理解していたのかはさておき、 何かしらしていることは分かっていたようだった。
あれからお互いに少しずつ慣れ、気付けば三日という短い間で 随分とましな関係になってきたと思う。 ――最初の喧嘩腰は何も変わっていないが。
今日も今日とて、彼に叩き起こされる。 朝はぎりぎりまで寝て飯も食わずに出ていたというのに、 彼が起こすせいで規則正しい生活を送っている]
(260) 2017/10/06(Fri) 23時半頃
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あー……あと、ごふん。
って、さっむ!!
[この肌寒い季節、布団を剥がれて暢気に寝ていられるほど 寒さに強くない。 しぶしぶ布団から出て、電話に寝ぼけ眼で出れば、 お前が出るとはなと電話口で驚かれたことは、想像に難くない]
おはようさん、オスカー。
[電話を終えて、数分後。 眠そうに欠伸をして、ベッドから彼の元へと歩んでいった]*
(261) 2017/10/06(Fri) 23時半頃
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[>>260喧嘩腰と言われたならオスカーは夜を閉じ込めたような瞳をまん丸にした事だろう。
所謂、これが少年人形の”仕様”であり喧嘩をするなどという概念すらない。
ただ人間というのは睡眠時間を確保しなければならないと得ていた知識で
帰宅時間に合わせて対応しているのはきっちりとしているだろう。
三日でわかった。否、二日目ですでに学習した。 >>261はあと五分と言って自ら起きた試しは無い。]
(262) 2017/10/06(Fri) 23時半頃
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……オッサン、何の電話だ?
[火元を消して無表情で問い掛けた。 普段ならまず挨拶をしていたのを訝しんだだろうか。
かすかに聞こえた電話口の声は差して広くない部屋と寝起きの南方の声を聞いた。
―――― 間違えた?
自分を購入したらしい妹からの電話でそんなやり取りを耳にした。]*
(263) 2017/10/06(Fri) 23時半頃
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[普段は電話の内容など気にするような奴ではない。 ……はずだ。
それでもその問いを投げ掛けたのは、 それなりに理由があるからなのだろう。 例えばそう、彼のことについて。
電話は妹からだった。 三日越しにやっと繋がった電話で言われたのは、 間違えたということ。
本来、妹が自分に与えたかったのは世話をする人形で。 愛玩人形とかそういった類ではなかったらしい。 紹介された店のはずだったが、それとは違う店だったらしく、 それを後から聞いて、慌てて連絡をしてきたようだった]
(264) 2017/10/07(Sat) 00時頃
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[だが、それを彼にどう説明すればいいのか。 自分にはその方法が分からなかった。
間違いだというが、今のところ妹の意図する働きを彼はしている。 ならば何も問題もなく。 ましてや、新しいものをなんてことにはならない。
だから、少しだけ考えて笑った]
……なんでもねぇよ。 お前は気にしなくていいことだ。
[説明が面倒だったわけではない。 そうとしか言いようがなかった。 ただ、それだけだった]*
(265) 2017/10/07(Sat) 00時頃
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そう。お前は、ガーディ。
[確かめるような呟きには、頷きと言葉で肯定を。 緩やかな微笑みには、微笑みを。 先ほどよりも随分となめらかになった音、滑り出た言葉には>>255]
いい返事。
[それで「合っている」とでもいうように。 弾き出された正当に、柔らかく髪を撫でた。
それから――それから、続いた問いかけには>>259]
今、の話なら。 僕がミルクを入れてやるからそれを飲めばいい。 そうじゃないなら――それこそ、きちんと座って話そうか。
[口の端を吊り上げて、いかにも余裕のような笑みを浮かべ、 どうだろう、多少は『主人』らしいだろうか、なんて。]
(266) 2017/10/07(Sat) 00時頃
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[キッチンには調理師が居た。 それを追い出し、片手鍋に観用少年用の特性ミルクをあけ、火にかける。 柔らかく湯気がたったなら、沸騰してしまう前にそれをマグにうつす。]
……あっち、は、人がいるな。
[ベッドを運び入れるように命じたのは自分だけれど、ダイニングはどうも人目につく。 キッチンの片隅、小ぢんまりとしたテーブルと椅子のスペースに、 これでいいかと妥協して]
ほら、座れよ。
[顎で促し、少年を座らせる。 自分もその向かいに座ると、ガーディの前にミルクを置いた。 ケイイチはじっと頬杖をついてガーディを見つめる。 その小さな口がミルクを飲んだのなら]
……うまい?
[問いかけは、らしくなく、ほんの少しばかり不安そうに。]
(267) 2017/10/07(Sat) 00時頃
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[会話はあったかもしれないし、なかったかもしれない。 いずれにしても、マグの底が見え始めた頃――]
さっきの話だけれど――お前に何をさせるか、の、前に。 決め事をしよう。 あらゆる場において決め事というのは大切なことだ。 何、難しいことじゃない。 ひとつ、僕から極力離れない。ひとつ、僕が出かける時は供に出かける。ひとつ、僕の命令には従う。ひとつ、僕を敬う。ひとつ、望みは素直に言う。ひとつ、朝は七時に起きて夜は九時に眠る。
[それから、ひとつ――ケイイチは声を落とし、ガーディに顔を近づけた。 囁く距離で、一番大切な決め事を]
(268) 2017/10/07(Sat) 00時頃
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僕以外の人間から施しを受けるな。 例えそれが僕の従者であっても。 ――これが一番大切な約束。それ以外は破っても笑って許そう。
[そう囁くケイイチの瞳はまっすぐで真剣で、 そしてどこか怯えたようでもあった。]*
(269) 2017/10/07(Sat) 00時頃
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[ 水面が、ゆらり ゆら。
ひとりめのあいは、確か、多分。 …直円さんより 口数が多かった気がする と、
こころの軋む音がちっとも思い出せない、 そんな何時かを 思い出しては、 ── 冷ます息で 温い温度毎、消してしまった** ]
(270) 2017/10/07(Sat) 00時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2017/10/07(Sat) 00時頃
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[>>265は明らかに何事かを隠すような対応だった。
無論、南方への余計な干渉などしない。 人形は愛玩されるためにあるもの。
用途は様々であれ、愛されるために作られた。 ―――― 愛されなければ枯れ果てる儚い永久の美を詰め込まれている。
不幸なことにオスカーは最初の持ち主の”手垢”と 今まで即日返品された記憶を微かに継いでいるためこういった事には敏い。
敏感過ぎるとも云える。]
あっそう。 言わねえなら朝食抜き……っつーのは冗談だけど。
(271) 2017/10/07(Sat) 00時頃
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[違和はあった。 南方は人形を愛玩するような趣味など無いようであった。 オスカーのことも人間のように扱う。
どこかで歪な音が したような気がした。]
オッサン。 返すなら早い方がいいぜ。
[少し慣れてきたからこれだ。 結局は返されるのかと諦観していたせいか、だし巻き卵は焦がした。]*
(272) 2017/10/07(Sat) 00時頃
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