219 The wonderful world -7days of SAIGAWARA
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[>>150切り傷に塗れた男性が、またしてもこちらに問いかけてくる。 そんなに話したいのなら相手をするけれど。 こちらの攻撃の手は止めない。
返事は、<ミンク>によるカマイタチをつけて一緒に返す。]
死神は、参加者を殺すことで寿命を得るんですよ。 貴方たちの死が、私たちの糧になるのです。 ゲームを行わなければ、私たちは生きられないんです。
[カマイタチをもう1発。 黙らせてやる。そういう意図を込めて。]
私が求め続けるものは、私自身ですよ。 恥ずかしながら私は、昔のことを全く思い出せないので。 自分探しのために、生き続ければならないのです。
[だから、死ねよ、と。 そう言わんばかりの無情なカマイタチを、もう1発。*]
(156) 2017/06/24(Sat) 23時半頃
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——!!
[>>153眼前に、何かが飛んできた。 それは先程のナイフで、入れ替え損ねていたもの。
途中で紙飛行機に戻したため、その勢いは弱まり、 紙一重、私の眼前ではらりと落ちる。]
……ああ、もう。
[喋りに意識を取られて、攻撃を許してしまった。 私らしくない!
仮面を押さえながら、自分を押さえようと努める。*]
(159) 2017/06/24(Sat) 23時半頃
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[>>160ここからだと座席が邪魔で、斬撃が届かない。 向こうが近付いてこないということは、こちらからも近付けないということ。]
生き続ければ、いつかきっと取り戻せる。 そう信じなければやっていけないんです。
[敬語はまだ崩れない。大丈夫。 少しイラっときているけど、まだまだ。 生きるために人を殺す覚悟が無い者に、負けるものか。
コインを取り出して、それを男性が隠れた座席に向かって投げつける——と同時に、 コインと、私の眼前に立つクマノイズを1体、入れ替え。
コインが飛ぶ勢いを得たまま、クマの体重が弾丸と化してぶつかるだろう。
その際、——>>161こちらに向かってくる人影へは、意識が逸れている。*]
(162) 2017/06/24(Sat) 23時半頃
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さっき言った通りですよ。 私は、自分自身を見つけるために生きるんです。
[>>168言い返されたら、イラついて言い返す。>>156 自分が何を言ったかもあやふやになってきた。 怒りは禁物。観客の前で怒る魔術師がいるかって話。 話術で負けたら、それこそ私は魔術師じゃない。
守りのためのクマを、攻撃のために使った。 その一瞬、目の前がガラ空きになる。 そのタイミングで、狙いを澄まして飛んできた波を、避けられなかった。>>166]
(170) 2017/06/25(Sun) 00時頃
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っ……あ!!
[仮面が、衝撃で弾かれる。 仰け反る上半身。美少女と自称してきた素顔が露になる。 カツーン、と音を立てて転がった仮面には、ヒビが入って割れた。
視界が明るくなったのを感じる。 そして次の瞬間、目に何かが染みた。 ああ、——血、かな。]
ん、ふ。 ふふふ。ふふ。
[口を閉じたまま笑って、目に手をやる。]
(171) 2017/06/25(Sun) 00時頃
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[衝撃波が飛んできた方向。>>166 そちらに、当てずっぽうにコインを放つ。 そして、さっきやったのと同じ要領でクマの弾丸とした。 眼前を守るクマは、これでゼロ。
肩のミンクがカマイタチを巻き起こし、周囲を雑に切り刻む。]
(172) 2017/06/25(Sun) 00時頃
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— 失われた記憶 —
[——かつて「なきむしキャサリン」だった少女は、 「おろかものメアリー」の技術に憧れていただけの、ドジで無能な役立たず。
魔術師でさえ、ない。
いくら後天的に身に着けた技術を振りかざしても、 話術で、テクニックで、誰かに勝とうなんて、]
(176) 2017/06/25(Sun) 00時頃
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ん、ふふふ、あははははは!!!
[口を開けて笑った。久々に。]
鬱陶しいっちゃ。あんだら。 さっさと黙るか、さっさと死ねや。 終いにはごっしゃぐぞ。
1円の価値もないゴミどもめ。 全部残らずぶっちゃげで、なげでやっぺ。
[もう、鬱陶しい。 手っ取り早く皆殺しで、何の問題もなかった。
>>173耳に聞こえた言葉を受け付けずに、拒絶する。]
(177) 2017/06/25(Sun) 00時頃
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[死神の幹部になった際に、貰った権利のひとつ。 強力なノイズの力を、この身に宿すこと。
“酉”のソウルが、今ここに共鳴する。]
(181) 2017/06/25(Sun) 00時頃
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[背中の羽が徐々に大きくなり、 それに重なるようにして、白いふかふかの羽が出現する。 合わせて4枚。黒と白の美しきコントラスト。
私の魔術師衣装を包むように、羽毛のドレスが現れる。 それは分厚く、防御に特化したもの。 私の体の動きに合わせて、多量の羽毛が周囲を舞う。
体の節々に、ノイズと同じタトゥー状の模様が走る。
ケーンを握り締め、ステージの上に舞う。 ——その姿は、ニワトリのノイズ<アウェスカンタス>。]
(182) 2017/06/25(Sun) 00時頃
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[——かつて、魔術師一座の子供たちは、こう呼ばれていた。
「金の卵を産む雌鳥」と。
存在価値は、たったそれだけ。]
(185) 2017/06/25(Sun) 00時半頃
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あははっはは!! あははは!!!
マジックショーはここからが始まりですよ! 観客は何も言わなくていい、ただ黙って見ていてください! 上演中はお静かに! 守れない人は……消滅だべ!!
[笑いながら羽を瞬かせて、周囲を羽毛で満たす。 羽毛の中からはどこからともなく、ラグビーボール大の金色の卵が発生していく。
<アウェスカンタス>がケーンを振るえば、 羽毛は一斉に舞い上がり、ステージ全体を満たすだろう。
そして、その状態で指を鳴らしたら—— ある程度の堅さを持った金色の卵が、周囲にランダムに弾け飛ぶだろう。*]
(186) 2017/06/25(Sun) 00時半頃
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[>>178>>180全て、耳に届いていた。
でも、それを素直に受け入れるなんて、できるわけがない。
私は——
私は——?
わたしは、なんだっけ?]
(189) 2017/06/25(Sun) 00時半頃
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[>>193こちらに跳ね返ってくる金の卵。 それが体にぶつかり、破片がドレスを裂く。 強靭な刃は、そのまま跳ね返されたなら非常に痛い。]
あっははははは!! 死ね死ね死ね死ね!!!
[だが、痛みを感じながらも、狂ったように笑い、 血が流れるのも気にせず、金の卵を射出し続ける。
辺りが破片まみれになれば、少し呼吸を置いて、 それを回収しようと、指を鳴らすだろう。 全ての破片を、私の手元に引き寄せるために。
もしも破片に何かがくっついてたとしても、視野の狭まった今の私には、気付けない。*]
(196) 2017/06/25(Sun) 01時頃
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[左手に羽毛を一握り。 それと卵の殻を入れ替え、回収するつもりで。 鋭利な刃物として使えるそれを、再利用して飛ばすため。
“もの”が溢れていれば、私の能力は自由自在。 体から舞い散る羽毛も全て、私のためのフィールドを作ってくれる。
左手に次々と集まって行く卵の殻。 ——不意に、鋭い痛みを感じた。
>>199こちらに跳ね返され続ける卵で、既にドレスはボロボロだったが、 今の痛みはそれと全く違う痛み。]
……っ!!?
[左手に目をやれば、剥き身の刀が。>>197 手のひらから手の甲を綺麗に貫いて、そこにあった。]
(202) 2017/06/25(Sun) 01時頃
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……あぁっ、ぐ……!!
[左手に力が入らない。 ぼとり、ぼとり、血が落ちる。
だらりと落とした左手に頼るのはやめて、 ケーンを持つ右手を振るおうと。
その次の瞬間だった。>>201]
(203) 2017/06/25(Sun) 01時頃
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[人間の姿をやめて、ノイズ化したことによる弊害。
今の私は、人間でも、死神でもない、ただのノイズ。 ——それゆえに。
ノイズにしか通用しない能力でも、通用する。]
(205) 2017/06/25(Sun) 01時半頃
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あああああぁぁああぁああああぁぁぁ!!!!
[冷静な頭なら避けられる自信があった。 >>200彼の能力の危険性は、これまでに目にしていたんだもの。
体のどこが持っていかれた? 凄まじい痛みがそれを教えている。
ケーンが落ちる音がした。 右腕から下の感覚が消え失せた。
ノイズが流すのは、血の他に、黒い雑音の残滓。]
(206) 2017/06/25(Sun) 01時半頃
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ああぁぁぁ……AAAA……
AAAAHHHHHHHHHHHHHH!!!!
[悲鳴のような絶叫がホールに木霊する。 それは、朝を告げるニワトリのコケコッコーとは似つかない、魂の叫び。
叫びは強大な衝撃波となりて、 聞いた者の鼓膜を、能を、破壊しようと広がる。
——しかし、同じ“衝撃波”であるなら、相殺も容易いだろう。]
(207) 2017/06/25(Sun) 01時半頃
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[すぐに喉は枯れ、衝撃波が止み、 碌に動かない左手と、消失した右腕で、何もできることはなく。
ただ闇雲に、視界の中に入った少女へ。>>198 無様にも体当たりを食らわせようと、全身で突っ込んで行く。
——ノイズ化した体へのサイキック効果は、例に漏れず。 仮に“ぶよぶよ”にさせられたとしたら、 無論、その通りに。*]
(208) 2017/06/25(Sun) 01時半頃
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[>>213彼女へと距離を詰めたその時、 全身の感覚がぬるりと変化するような違和を覚える。
駆け出していた足がもつれて、転び、 彼女へとそのままダイブするように飛び込む。 全身が柔らかくなった<アウェスカンタス>に、殺傷能力はない。 >>214彼女を弾き飛ばすくらいはしただろうが。
彼女との距離が開き、能力が解除されたか。 体勢を立て直そうにも、左手も右手も使えない。 情けなく藻掻くノイズは、もはや魔術師でもなんでもない。
近くに気配が現れたのを感じた。>>210>>215 そちらを向こうとして、そして、]
(216) 2017/06/25(Sun) 01時半頃
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[衝撃波が、ノイズと化した全身に、致命的なヒビを入れた。]
(217) 2017/06/25(Sun) 01時半頃
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——!! ……!
……
[声にならない悲鳴。 それと同時に、ステージの片隅に吹き飛ばされ、倒れ伏す。 全身のヒビから、黒い残滓が漏れ出ていた。
口をぱくぱくさせながら、不幸なことに頭が冴えてくる。
……負けた? 私が? 死ぬ? ここで?
そんな、まさか、嘘、
私は、まだ自分自身を取り戻していない、のに——]
(219) 2017/06/25(Sun) 02時頃
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[人間でもなければ、死神でもなくて、 魔術師でもなければ、美少女でもない。 今の私は、ノイズの姿——
ああ、なんだ、……ただの化け物じゃないか。]
(220) 2017/06/25(Sun) 02時頃
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[手段は選ばなかった。 それでも負けて、滅ぼされていく。
悔しいけど。 ……化け物には、お似合いの結末かもしれない。
こうなる前に、聞けば良かった。 さっきの言葉を、拒絶せずに。
>>178>>180過去は取り戻せないと主張し、 そして、私が私であるべきことを知っているという、彼に。
ヒビの入った体を、壁に押し付けながら起こして、 そして、生き残った勝利者の4人へ、枯れた声で問う。]
(221) 2017/06/25(Sun) 02時頃
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……わ たし は、だあれ、……だった、の かな……?
[堪え切れずに、瞳から落ちた雫が、 額から流れる血に混じって、薄めていく。
そして、その答えを聞けたかどうかは分からないけど、 そのまま、ずるりと崩れて、体が黒い残滓になって、欠けて消えていく。]
(222) 2017/06/25(Sun) 02時頃
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[私に勝った4人の挑戦者へ、素直におめでとうは言えないけれど。
愉快な悪夢から醒める時は、とうとうやってきたのだ。
夢から目覚めるには、ニワトリの一鳴きがお約束。 いいや、一泣きか。
素晴らしい朝が、すぐにやってくるだろうから。]
(223) 2017/06/25(Sun) 02時頃
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[こんな時、最期に思い返すのは。 結局、守れそうになくなった死神たちとの数々の約束。
打ち上げ、参加できなくなっちゃったなあ。 もふくちゃんとの女子会も、無くなっちゃうなあ。 戸隠くんとのデートも、できなくなっちゃったなあ……。
あれ、おかしいな、
過去を求めなくても、……満たされてた、はずだったんだよなあ……。]
(224) 2017/06/25(Sun) 02時頃
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[私を一人にしない、って言ってた戸隠くん。
ああ、それも、違うんだ。 今になってようやく分かる。
私のほうこそ、……本当は、彼に、いてほしかった。 それを伝えれば良かったって、ようやく気付いたんだ。
……ごめん……ね……。]
(225) 2017/06/25(Sun) 02時頃
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[“魔術師”は滅して、後に残るのは、絵柄がぐちゃりと潰れたジョーカーのカードのみ。]
(226) 2017/06/25(Sun) 02時頃
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