158 Anotherday for "wolves"
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あの族長が、野犬なんかにやられてたまるかよ。
いるんだな。
[教会に、駆け込みたい。 そこは族長の、そうしてオーレリアの血や臓物やなんかが飛び散る惨状で、祈りも、縋ることさえも許されない状態であるけれど。
でも、何かに祈り、縋り、これが現実でないと、そうではないと。祈ることで、逃避したかった]
村の中に、共存なんていらねぇっていう、狼が。
[逃避したいと思いながら、それでも男は、言葉にして紡いだ。
グレッグが言葉にしなかった、その事実を]
(218) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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[じわり、頬に熱が灯った気がして、ぶんと首を一振り。 それだけでは熱を払えた気がしなくて、ぶん、ぶんともう一振り。]
ち、違うわ。 あれは、土を払ってくれようとしただけっ。
[自分に言い聞かせるように声にすれば、何の話だと母に呆れられた。]
ううん、何でもないっ。
そう、何も、……なかったの。
[否定すれば、陰る気持ちがそこにはあったのだけれど。 その原因が何であるかは、まだ蓋をしていたくて。
その母娘のやりとりが、村の外れにある花屋の日常であり、 いつもと、同じ朝の、はずだった。*]
(219) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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[ラディスラヴァを連れて行く最中。 互いに>>203おしのごとく黙りこみ、重い空気が満ちる。 やはり、やはりとなぞる思考。抱くのは諦念にも似た感情。
それでも、それとこれとは別だろうとラディの事を頼む。 返されたのはやはり、短い問い。 答える為に、やっとの思いで口を開いた。]
……教会で、族長と人間の女性が殺されていた。 遺体の様子は酷いものだったさ。 獣に食い荒らされたようだった。 彼女はそれを見たんだ。ショックだったんだろう。
[ラディスラヴァの顔をじっと見つめる。 ルパートの目は見ないまま。]
……過ちは、一族の手で、か。
[ふいに言葉を落とし、黙った。]
(220) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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[ふる、と首を振るう。
そんなことに弱きになっていれば まーた、あの偏屈な飼い主に馬鹿にされそうで。 早まる鼓動を抑え。
昨夜の、ざわめきのようなものを ようやく理解したころには、あとのまつり。]
[『“過ち”は一族の手で、正さねばなるまい。』]
[あの荘厳な声を思い出して、 顔を顰めた。 ]
…… 悪い夢なら、いいのにねえ
[ …『朝』みたいに。 頬を抓れど、目は醒めない。]
(221) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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―花畑へ向かう途中― わたし、あのね、初恋って いくつでしても素敵だろうなって 思って!
[えへへへ〜、とぎこちない声で笑う。 その嘘くさい笑い声は 見えていなくともで作り物とわかるのだろう。
下手なりに話をごまかそうとするが どうだろうか。 いつかマーゴにちゃんと話せる日は 来るのだろうか。]
ね、ジョスランさん!!
[と唐突にジョスランに話を振る。 マーゴに見えないのをいいことに 小さく親指を立てながら。]
(222) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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[傍から見れば滑稽な有様だろう。 そんなことを、冷えた頭の片隅にぼんやりと思う。 いい年した男二人が押し黙り、何を口にしていいかも分からないのだ。
ラディスラヴァの世話には、頷き返し。 状況を教える彼の言葉に、男は微かに口元を引き締めた。 その他に表情が動くことはない。 驚きも怒りも、その顔に浮かぶことはない]
そうか。
[音にして返したのは、ただこれだけ。 女性とは誰だろうと、一瞬の疑問は過ぎるけれども]
(223) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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過ち……、か。
[ぽつりと落ちるのは別の言葉で]
過ちだと君も思うか。
…──── スティーヴ。
[そうして、かつての呼び名を低く呼んだ]
(224) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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[ ――― ふつうに考えれば、 余所からの来客者が居れば、 誰か気付かないはずがないし。
第一、みすみす、 そこらの野良に 族長が殺されるとも思わない。]
は …… 。 やだやだ。
[零れた三日月から。
平常を取り戻すよに、 ふるり 漆黒を揺らす。 ]
…… この村でまで、 戦場みたいなことは したくないんだけどねえ。
(225) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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[本棚にはメアリーがルパートに買ってもらったと同じ本>>82も並ぶ。 文字が多い本がダメならと選んだ絵本を メアリーは面白そうと言い、それに決めたから、 第二、第三の候補であった絵本は また次の機会に紹介しようとしまわれた。
それはいつの話だったか。 もう読み終わってもよい頃合だが 感想は聞きそびれたままである。
未だ読み終わらぬことは知らないけれど 楽しんで傍においてもらえるならその本も本望だろう。]
(226) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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[声として紡いだすぐ後、男は事実という悪魔を世に放ったような錯覚をしてしまう。
それを振り払うように、はと短く吐息をこぼして、片手でくしゃりと己の金糸を掻き混ぜた]
──なぁ、グレッグ。
人の味を知る狼ってのは、この状況の中 真っ先に、……疑われたりすんのかね。
[ 村の中に、族長の言葉を借りるなら『過ちを侵した者』がいるならば。
人の味を知り、村を追われた己は、間違いなくこの件の火種になりえるのではないだろうか。
時に酒場で告白した己の過去>>1:221は、もしかしたら人間も知るかもしれなくて]
(227) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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もし、お前さんがた仲間に迷惑かかんなら、
俺が疑わしいっつうなら──……
[ 始末してくれりゃあいいと。
その先の言葉が声にならなかったのは、男が臆病ゆえ。
けれど、必要とあらば──……。**]
(228) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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[>>216こちらの言いたいことを察したのか、 サイラスの声が震えて>>218明確に言葉にする。 吐き出すこちらの息も、震えて。]
……これってさ、 …まずいよね。
このままだと…、 このまま、何もせずに放っておくとさ。
[あまり考えたくはない、考えだ。 均衡は崩された。 そもそも天秤ははじめから――水平だったのか、]
(229) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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多分俺たち…殺されるよ。…全員。 ……人間にさ。
[人間も同胞も食い殺す人狼を、 人間がいつまでも遠巻きに見るだけで放っておくはずがない。
"過ち"は一族の手で正す。 族長の言葉の意味を、 真の意味で理解したような気がして声が震えた。]
(230) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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[>>213サイラスが名の知らない人間の女性。 そもそもラディスラヴァは太陽の日でもないのに 何故朝早くから教会へと行こうと思ったのか。 誰かを探しに行ったのではないのか。 ならば、誰が。 朝早くから教会に行くような人間の女性。 思い浮かぶ、 箒を持つ人間の女性の姿はまだ宿に現れていない。]
―――――…、 俺さ…、…教会行ってくる。
[ぽつ、とサイラスに告げてから教会の方を見て。]
知ってる子…かも、しれないし…。 …ずっと、教会閉じたままにするわけにもいかない。
(231) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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―花畑―
[マーゴは見えなくとも上手に茎を丸めて輪っかを伸ばす。 その所作をジョスランは感慨深く見守り、 兄さんもその傍ら耳をピンと立てて佇んでいる。
わたしはというと…。]
う、う……。
[うまく作れない花輪に悪戦苦闘していた。 お母さんのお墓にある石に掛けれるくらい大きいのが 作りたかったのに…。]
(232) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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わたしもおとなになれたら 花輪がうまく作れるのに。
[と思う。
そんな時だ。
「マーゴの輪っかが出来たら ジョスランさんにあげたらいいよ」
というわたしのことばに、マーゴがそう返したのは>>205]
(233) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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薬屋 サイラスは、メモを貼った。
2015/05/14(Thu) 00時頃
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[まるで、異端審問のような真似は。 『ルール』を護らない輩を見つけだして、 『処分』する。
…… 規律を、正すために。
――― いままで、やってきたことを。 もしかすると、この村でも。]
…… … 。
[平気で、やってきたことなのに。] [躊躇い、
今なお。 避けられないのか、と思う。]
(234) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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[この村のみんなが。
どこか 遠巻きに ぼうと、 見つめる存在だったとは言え――、 それでも、 充分たのしかったから。
ワタシが、村の仲間と言えるかは。 ……呼んでもらえるかは、わからないけれど。]
…… なんて。
夢物語じゃ、終わんないのかい、ねえ。
[呟かずとも、薄々きづいていた] [ひとの、め。]
(235) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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[『悪い意味』で、 知られている酔いどれの猫は。 少なくとも、人間たちから白い目で見られる。
広場の対岸、 見えた老人から浮かべられた 石さえ投げられそうな、疑惑のいろ。
苦笑を浮かべて、猫はふらり。 広場のちかく、本屋へ向かう。
精一杯の『いつも通り』を装って。*]
(236) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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(ドクン)
[一瞬、心臓が飛び跳ねたような気がした。 ぽーん と一気に高いところから垂直落下するような。
身がすくんで、顔がこわばる感じ。]
へ、ヘン…? やダなぁ…。そんなことないよう。
[意識すればするほど声はうわずって。 なんで、どうして。頭の中で反芻するのは 真新しい記憶。]
なんで?
[と慎重に探る声に重なるように結わえた髪を手が梳くのに また身体が小さくこわばった。]
(237) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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……は?あ?
[>>222まさか、なのだろうか。 漸くその可能性に思考は辿り着いた。
こいつ昨日のあれから勘違いしてると。 確かに条件的にはマーゴが浮かぶかもしれないが、 そうじゃないんだと今更伝えるわけにもいかなくて。 一人ひっそりと身悶えている。]
(238) 2015/05/14(Thu) 00時頃
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[昔のように名を呼ばれた。>>224 その意味がわからなかった。]
…………「過ち」だろう。 均衡を崩せば ……その先にあるのは、崩壊だけ じゃないのか
[人間の復讐はきっと恐ろしいと、
――ふと思う。
( ……そもそも、均衡だったのか、 )
はたと、顔をあげた。 宿屋の主の顔には不思議と、 驚きも怒りも浮かんではいないように見えた。]
(239) 2015/05/14(Thu) 00時半頃
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[カウンターの向こう、いつもの席に座りなおす。 置かれた読みかけの本より先に 黒の双眸がマーガレットの花へと向いた。]
――…、
[可愛い花だと思う。 無意識に伸びるその手の、指先が花弁に触れた。 花弁の表面を軽く撫でるようになぞり 触れることなき花屋の娘を思う。]
(240) 2015/05/14(Thu) 00時半頃
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……ルパート……?
[琥珀色がレンズの奥で揺れる。]
君は、どう思うんだ
[――『過ちだと君も思うか。』
その言葉にどこか引っかかりを覚えて ルパートの目を見て問いを向けた。]
(241) 2015/05/14(Thu) 00時半頃
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[祖父が広場に、朝の散歩へと向かうのを手を振って見送った後、 今日は嫌に人気がないと、そう感じた。 いつもならルパートさんもそろそろ花を買いに来る頃なのに。 まだ、姿を見かけない。
ざわりと、嫌な気配が胸を掠めて、 きゅ…と胸元のエプロンを握り締めた。
母と、二人。 静かに軒先で佇み、ふと、気になっていた事を母に問いかける。]
ねえ、お母さん。 ナタリアおばあちゃんってどんな人だったの?
.
(242) 2015/05/14(Thu) 00時半頃
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[母はなぜか苦い顔をして、口を噤んだ。
豪快に笑う母が見せた珍しい表情に、私も言葉を失くして。 この沈黙を誰かに破って欲しくて、 店へと辿り着く道の先をじ、と見つめる。
祖父の姿はもう其処に無く、 ルパートさんの姿もまだ見えない。 いつ来るやも分からぬ人を、 ただひたすら待ち続けていれば、
やがて訪れた人影は、良くない知らせを持って現れただろうか。**]
(243) 2015/05/14(Thu) 00時半頃
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― → 本屋 ―
…… や、ベネ。
[いつもと変わらないようで、 ようくみれば、少しぎこちない。
そんな程度の笑顔を浮かべて、 ひらり。手を振るった。
硬質を鳴らして、 >>240珍しく本では無く、 花に視線をやり、表をなぞる彼を見て。
普段なら物珍しそうにするのだろうけれど、 今日は揶揄することもなく。
レオせんせーのところとはまた違う 真新しい紙の、本の匂いを鼻先に掠めながら 彼のほうへ。 ]
(244) 2015/05/14(Thu) 00時半頃
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[入る際に、>>206出ていく影と擦れ違って すこし、蒼がそれを追いながらも。
視線を戻しながら、ひとつ。]
……ね。 『聞いた』?
[昨日言った、本を求めにきた。 つもりだったけれど。
今はそれより、と。 世間話よりも、嫌気に重々しく。 それよりも曖昧なことばで、尋ねかける。]
(245) 2015/05/14(Thu) 00時半頃
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[ うそついてます! と宣言しているかのような笑い声>>222に、わたしは釈然としないと表情を曇らせて。 けれど誤魔化そうとしていることを無理矢理聞き出しても、その後には喧嘩が待っているというのも身を以てしっている。
むむむ、と黙って引き下がるのもあれだけれど…]
………あ。 もしかして。 ジョスランさんが、はつこいをしたんです?
[そこまでは、辿り着いた? から]
………そうなんですか?
[握った手の上を、仰ぎ見てみたけれど。]
(246) 2015/05/14(Thu) 00時半頃
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[ちら と泳いだのは、 未だ喧噪の続く窓の外。
不意に切り出したのは、 普段見せないような得も知れぬ不安を、 誰かに共有したかったから、なのかもしれない。
猫自身も分からないまま。 ちいさな息を吸いこんでから、 つづきの 『喧騒の原因』を吐き出す。]
…… 族長と、 人間の女の子が殺されたらしいよ。
――― 人狼に、さあ。 *
(247) 2015/05/14(Thu) 00時半頃
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