76 ─いつか、薔薇の木の下で。
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― 食堂 ―
[青年は食堂にたどり着くと、ケトルを出して、水を溜めた。 それを火にかけて、湯を沸かし始める。
傍にある腰掛けにかけると、持ってきたストールを膝かけて、枯葉色の眼は窓の外へ。 揺れる薔薇の木々にまた空も見た。]
朝、小鳥は鳴いていたけれど、 寒くてまた、冬のねぐらに戻ったかな。
春は、まだ 早い…………。
[少し緩くにしか締まっていなかった蛇口から、水が垂れている。 それは涙のあとのようにシンクを濡らした。]
(184) 2013/03/22(Fri) 23時半頃
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ふふ、いいんですよ。 私は彼の面倒を見るのが好きですから。
[クスクスと楽しそうに笑う。 嫌々であればあそこまで面倒は見れないだろう]
気付くといつもどこかで寝てるのはやめて欲しいんですけど、ね。 風邪を引いてしまいますから。 さっきもベッドに運んで寝かせました。
[一緒に寝たことまでは言わなくていいだろう]
(185) 2013/03/22(Fri) 23時半頃
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妻 ブレンダは、メモを貼った。
2013/03/22(Fri) 23時半頃
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保護者……なあんて言ったら サイラスに怒られてしまうかな
[ちょうどいい、二人なのだろう。 そんな面倒見のいい後輩が可愛く思えて、少しの悪戯心が芽生える。 叶うならばヤニクの頭を撫でようと手を伸ばす。不意をつこうとしたけれど、縮められない慎重さが邪魔をするかもしれない]
(186) 2013/03/23(Sat) 00時頃
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[風は止まず、夜はとても長い。 時間の感覚がおかしくなっていることに、今はまだ気づいていなかった。]
…ぁ、シリィ?
[色白の姿が向こうへ行くのが見えて、その後をぺたぺた追いかけた。]
(187) 2013/03/23(Sat) 00時頃
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>>187 [その姿に気づかず、食堂まできてしまったが、 足音に、首を傾ける。
食堂に入ってきた姿には、ほんのり、笑みをこぼした。]
やぁ、ロシェ…。 君も居残り組かい?
[自分とは違い、美しい彼の髪に、目を細める。]
(188) 2013/03/23(Sat) 00時頃
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……うん。
別に、帰ったって良いことないしさ。 いちいち休みのたびにママに会いに行くような子供じゃないよ、もう。
[人一倍怖がりのくせに、強がってみせたり、 大人ぶって背伸びしてみせるのが、子どもじみた意地だと気づいてない様子。]
そういや、さっき……
[誰かが食堂にお酒があるとか、そんな話を思い出して棚の方を気にしてみたり]
(189) 2013/03/23(Sat) 00時頃
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>>189
そう もう、子供じゃないのか。ロシェは。
[休みのたびにママ…とう言葉に、彼はここに来て、休みのたびにママに会いにいっていたのだろうか、と思った。それは、きっと、少しだけ、羨ましい。 青年の母は、早くに他界し、帰省時に、父とばぁやだ。 今年はその父が仕事で家にはおらず、ばぁやも、暇を出された。帰ってもよいが、帰らなくてもよい、そう言われて、帰らない選択をしてみた。]
――……じゃ、ここで、春を待とうか。
[くすりと笑ったのち、ロシェが何かを探し始めたので、自身はケトルの火を消した。]
(190) 2013/03/23(Sat) 00時頃
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何探してる? 僕は、コーヒーでも淹れようと思っていたんだが…。
[何かいいものが出てくるのか、と動きは止めて。]
(191) 2013/03/23(Sat) 00時頃
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― 談話室 ―
[談話室に入ると、きょろきょろと見回す。 其処には誰もいないようだ。]
ふむ…。
[取り敢えず、温かい飲み物でも淹れようかと、薬缶に水を入れ直して火にかける。 風でかたかたと音を立てる窓際に行けば、外の天候を見て思わず顔を顰め]
…これは荒れるかな。
(192) 2013/03/23(Sat) 00時頃
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保護者なんて立派なものではないですよ。
[照れたように微笑む。 保護欲があるのは、事実なのだろう。 そんな折、不意に伸ばされる手に瞬き一つ。 最初は何事かと思ったが、ああ成程]
[ちょっとだけ身体を前に倒して届くようにしてみたりした**]
(193) 2013/03/23(Sat) 00時半頃
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ん、……ちょっと、ね。 君はコーヒーにするの? コーヒーは…香りは好きだけど、眠れなくなりそうでさ。
[棚にあったケーキ用のラム酒の瓶に手を伸ばす。 振ってみて軽さに渋い顔。]
あーあー…もうこんなに減ってる。 もったいない呑み方しやがって、全く。
(194) 2013/03/23(Sat) 00時半頃
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[暖炉にかけた薬缶の湯が沸けば、ティーポットを持ってきて紅茶を淹れた。 琥珀色の水面に角砂糖を一つ落とすと、くるくるとスプーンでかき混ぜ。 息を吹きかけて啜っていると、腹の虫が鳴り。]
あー…、腹減ったな。
[右手で腹を擦りながら一人ごちる。 成長期の腹の容量は底を知らない。]
(195) 2013/03/23(Sat) 00時半頃
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>>194
いや、ロシェにつきあいたいかな。 そんなに強くはないけどね。
[眠れなくなる、というロシェにやはり微笑む。 眠ることを大事に思っていないこと、彼には話したことはなかった。]
本当だ。だいぶ減っているな。 みんなこっそりやってるんだろう。
グラスを出そう。
[細く手首が戸棚にに指をかける。 見上げる仕草、首筋の凹み、陰影は、その身体がそう遠くない過去に、死線を彷徨ったことがあることを言わずとも語るであろう。]
(196) 2013/03/23(Sat) 00時半頃
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ブレンダは、グラスを二つ、取り出すと、ロシェのほうに近寄って、椅子にかける。
2013/03/23(Sat) 00時半頃
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[思ったより柔らかい髪を、身を屈められた腹いせにぐしゃぐしゃにしてやった]
そうそう、お前も甘えりゃいーの
[最後にぽん、と叩いてちょっとだけ、ほんのちょっとだけ床から離れていた踵をおろした]
んじゃ、同室者さんにもよろしく
[そのままひらり、と手を振って 中庭のほうへと足を向ける。 この酷い天気だ、もし問われれば、外に出る気はないと告げて背を向けた]
(197) 2013/03/23(Sat) 00時半頃
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少し、寒いと思っていたからな。 温まりそうだ。
[枯葉色の眼は、悪戯に細まって、 筋張った指は、ラム酒の瓶をトンと、軽く叩いた。]
――……もったいない飲み方、ということは、 ロシェは美味しい飲み方を知っているのか? できれば、それをご馳走になりたいな。
[見上げる、視線は滑らかだが、色は木枯を呼びそうだ。]
(198) 2013/03/23(Sat) 00時半頃
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…食堂になら、何かあるかな?
[紅茶一杯飲んだくらいでは腹は膨れない。 こっそり何か見繕って腹に入れようかと、もう一杯分カップに紅茶を淹れると使った道具を片付け、紅茶の入ったカップを持って食堂へと向かう。
時間を配慮して忍び足。]
(199) 2013/03/23(Sat) 00時半頃
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― 食堂 ―
ん。
[食堂に近づけば、明かりが点いているのに気付く。 誰かが起きているのだろうか、とそっと覗き込み。]
お、お二人さん。こんばんはー。
[いるのが同学年の二人だと分かれば、屈託のない笑顔で挨拶をした。 彼らがラム酒の瓶を手にしているのに気付けば、目を細めて]
あー、酒飲むの?程々にしとけよ。
[特に注意するでもなく、空いたテーブルに持ってきた紅茶のカップを置くと、空腹を満たす食料を探し始めた。**]
(200) 2013/03/23(Sat) 01時頃
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ほんとはさ、ホットミルクに少し垂らすのが好きなんだ。
ミルクはさっきもらって来ちゃったから、もう無いけどさ。
[苦しい思いをしたのだろうと気づくほどには、共感力と想像力は足りなくて。 痩せたその身体には、弱そうという印象が強かった。
もっとも、自分も…あまり健康的とは言い難いけれど。]
紅茶に、とかも良いんだけどね。
(201) 2013/03/23(Sat) 01時頃
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[やってきた同級生には、ゆるり視線を送る。]
――……ほどほどがどれくらいか、 僕はよく知らないけれど、
おまえは付き合わないのか?
[飲むより食う、といった感じのノックスにはそう訊ねて。]
(202) 2013/03/23(Sat) 01時頃
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>>202
ホットミルクか。
[なんだかんだで、微笑ましいな、と思っている。]
――…ないのか、それは残念だ。 紅茶はきっと、あるんじゃないかな。
(203) 2013/03/23(Sat) 01時頃
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…ぁ、ノイ。
いいじゃないか、寒いしさ。 風邪の予防薬ってことで。
[見つかったことに肩をすくめつつ、檸檬と丁子の実を探し出す。 ラム酒と砂糖を湯で解いたら、切り分けて丁子を刺した檸檬を浮かべて。]
君のも、欲しけりゃ作るけど。
[共犯者にする気満々だ]
(204) 2013/03/23(Sat) 01時頃
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ブレンダは、ロシェモ手もとをそのまま眺めている。**
2013/03/23(Sat) 01時半頃
妻 ブレンダは、メモを貼った。
2013/03/23(Sat) 01時半頃
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[温かいグラスに口をつけて、思わず舌を引っ込める。
ふうふうと吹きながら、両手をグラスで温めた。**]
(205) 2013/03/23(Sat) 01時半頃
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>>205 [作ってくれたであろうロシェからラムをもらった。 それで同じく手を温めて、口はまだつけずにノックスに視線を送る。]
君は、どうだい? こちらには来ないか?
[枯葉色の眼と、白いといえども、くすみの増した肌。弱くにしか見えない風貌で、でも、口調だけはややハリはある。 紫にも見える唇をグラスに近づけると、まずは一口含んだ。]
ああ、これは温まりそうだね。ロシェ。
[飲み込んだあと、ロシェにまた微笑んで、窓を見る。 薔薇の木は風に吹かれ、時々、隙間風が入るようだ。陰りのある空に少しだけ眉を垂らし、またラムを含んだ。]
そういえば、君たちは誰かと同室だったかな?
[学校の勉学はほどほどに忙しく、 丈夫でない身は、夜も早くいままで休んでいた。 一人でも大丈夫だと思っていたから、気にしなかったが、なぜか寂しくなった寮を見れば、人恋しくなったのか。それとも、今までになかった何かに気づいたのか。]
(206) 2013/03/23(Sat) 09時半頃
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や、一人というのも気軽だけれどね。 来年度は、誰かと一緒でもいいな、と思ったんだ。
同じ年齢で時を刻むのもいいし、 後輩の面倒をみるのもいいな。
[そんなことをいいながら、また一口飲んで。]
少し、恥ずかしことを言ってるかもしれないな。 いいや、軽く聞き流せ。
[もしかしたら、この少しで酔ったかな、とも感じながら。**]
(207) 2013/03/23(Sat) 09時半頃
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[ふぅふぅと湯気を吹いて、なかなか口をつけられずにいる。]
ん、ダーヴは実家帰ってるからさ。 まだちっちゃい双子の妹たちに会うのが楽しみなんだって、言ってた。
[人の減った寮は、その分寒い気もする。]
…ん? 春はまだ遠いかな、それとももうすぐ?
[シリィの様子に、小首を傾げてクスッとわらってみたり。
グラスの中の薄琥珀に、檸檬が揺れる。 口をつけられる温度になるのは、きっともう少し先のこと。**]
(208) 2013/03/23(Sat) 11時頃
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―それなら、ご相伴に預かろうかな。
[林檎を見つけると、水で洗った。 また明日、寮母にきちんと謝って彼女の代わりにお使いでもしようか、と。 一緒に、と誘われれば、彼らの近くの席に腰を下ろす。 自分の紅茶のカップを引き寄せると一口含み、リンゴをそのままかじる。談話室から持ってきた紅茶はもう温くなっていた。 二人の持つ飲み物を見れば、面白そうにそれを眺め。]
…へぇ、ロシェは器用だな。
[同室者は、と問われれば]
あぁ、俺の同室者はもう帰ってるよ。俺がのんびりしてたから、まだ帰ってないんだけど。
[家族は息災だと手紙が来ている。それでこちらは満足してしまっていた。 其処まで遠い距離というわけではなし。]
(209) 2013/03/23(Sat) 12時頃
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[来年の事を語るシリィにふふ、と笑い、目を細め]
―案外、後輩の世話を焼いてたら元気になったりしてな。 にしても、シリィはもう少し肉を付けた方が良いと思うぞ。体力がないと病気にも負けちまう。
[自分と比べると青白く、細い手を見ながら唇をすぼめる。 強い風が吹けば、倒れてしまいそうなその容貌には不安になってしまう。 自分の家族は全員が丈夫なので、病がちな人の扱いにはあまり慣れていなかった。]
そうすれば、何処かに遊びに遠出したりとかも出来るだろうしさ。
[春になれば、彼ももう少し過ごしやすくなるのではないか、と思うが。**]
(210) 2013/03/23(Sat) 12時頃
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>>207 ああ、ダーヴだったな。 そうか、彼は帰ったんだね。 赤ちゃんか。長く見てもいない。どういう感じなのかな。やっぱり温かいかな。
[ロシェの返事に声は少しだけ弾んだけれど…。 春は…の言葉には、少し黙ってから…。]
春は、どうなんだろうな。 僕には、まだ遠いのかもしれないし、訪れないのかもしれない。
(211) 2013/03/23(Sat) 15時頃
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なぁ、ロシェ……。 僕は、昔、夢の中で夢魔に言われたんだ。
[やっぱり少し酔っている。 酒に強いはずはなかった。]
『冬のような愛がおまえには相応しい』 ―――……そんなことをその夢魔は言ったけれど、 それはどういう意味かな。
[ほんのり苦笑い。 それは、小さな木枯しのような音の喉の奥からさせながら。]
って、また、変なことを言ったな。 すまない。
[付け加えた言葉は、空気を多く含んだかすれ声。]
(212) 2013/03/23(Sat) 15時半頃
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[それから、やや首を小刻みに振ると、 長い髪が額に一房かかった。 それを節のある細い指に絡ませてかきあげる。
ノックスが来たら、小さく笑んで椅子を促し、 彼の手にした林檎の匂いに瞼を閉じた。]
ああ、いい匂いだね。 冬の愛、だね。
[赤い果実は、寒さの中で甘く育つ。 瞼を開けて林檎をうっとりと眺めたのち、 顔色のよい白色のノックスの顔に視線を移した。]
(213) 2013/03/23(Sat) 15時半頃
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