229 観用少年
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ケイイチがいい
[子供のような我儘だと認識したのは言葉にしてから。 誰かを呼ぶと弁明する彼に、ふるりと首を横に振る。
答えを待つことはなく、足が勝手に寝台へと動いた。 寝台の上でシーツを纏う男に不思議そうにしたものの、 彼の隣にいるのは自分だといいたげに空いた場所に腰かけて]
一緒に、いる。
[膨らんだ頬を隠すこともなく、 梃子でも動かない雰囲気を醸して、ふいっと視線を逸らし]
(147) 2017/10/11(Wed) 18時頃
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[実際、抱き上げて運ばれればそれまでではあったけれど。
生まれて初めて我儘を押し通すつもりの人形は、 不貞腐れた表情を押し込めて、にこりと笑ってみせた*]
(148) 2017/10/11(Wed) 18時頃
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[頭が真っ白になった。 彼に会って、何を話していいのかもわからなかった。
あれからこんなにも時間が経ったのに。 別れを告げられたその時に戻ったような心地がした]
あ、あー……と、久し、ぶり。 ん?今?相変わらず独り身だよ、あぁ。
[まるで過去に何もなかったかのように話しかけられ、 引き攣った笑みで答える。 上手く話せない、何を言っていいのか分からない。
自分が何をしゃべっているのかもわからない。 彼の口から語られたのは、結婚後の話。 けれどそれも頭には入っていかなくて。
それに彼も気が付いたようで、ふいに視線が自分ではなく 自分の後ろ――――オスカーに向いたのが分かった]
(149) 2017/10/11(Wed) 19時頃
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[彼がオスカーに向けて、否、自分に向けて。 話したことは何だっただろう。
少なくとも、それがいい言葉でないことはすぐに分かった。 彼が観用少年について知っていたことは驚いたが、 そういえば、そこそこいい家の出だったなと思った。
趣味が変わった。 大枚はたいて。
そんな言葉が耳を通り去って、心に突き刺さった。 そう思っているのか。 自分がそういう人間だと、思っていたのか。
なんだかそれが、異様にショックだった。
彼は自分のことをよくわかっていると、 そう思い込んでしまっていた。]
(150) 2017/10/11(Wed) 19時頃
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[そんなことを考えていたからだろう。 次の瞬間に起こったことを認識するのに、数秒遅れた]
オ、スカー、お前……
[まるで自分が貶されたかのように怒る少年。 いつもの、自分に対しての怒りとは別物だった。 アレはまだ優しいものだったのだと気付いた。
激昂する彼。 蹴られて音が鳴った壁。 目の前の男の呆然とした顔。
全てが他人事のようにさえ思えた。 けれど、状況は自分が当事者であることを ひしひしと伝えてくる。]
(151) 2017/10/11(Wed) 19時頃
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あ、あぁ……
[帰る、そう言って自分の腕を引っ張る彼へ、 馬鹿みたいに惚けたままついていく。 周りの視線と、彼からの刺さるような視線。
どちらにも居たたまれないと思えるほどには 意識があったのは幸いか。
車の置いてある場所へと着けば、 視線の告げるままにドアを開けて。
車の中へと乗り込めば、彼に一言。 すまんと、つぶやきような声で告げた。 笑顔は作れなかった。]*
(152) 2017/10/11(Wed) 19時頃
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[浅く示された肯定>>65に、運転手はけらりと笑う。 けれども、沈黙もサービスのひとつという 人種だったらしいのが幸いか。 それ以上、少年に話しかけることはしなかったと思う。
着物という揃いの出で立ちもあって、 成程、親子に見えるのだろう。 ……もしも、今。隣にいたのが“ ”なら、 さて、彼はどう言ったのだろう。 答えのない仮定に想いを馳せ、 男は車外を見遣る。
天気は悪くない。 とはいえ、風は、少し厚めの雲を運んできているらしい。 どうか、雨が降らないよう。 天候に対して男に出来るのは、内心で祈ることくらいだった。]
(153) 2017/10/11(Wed) 19時頃
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―動物園にて―
馬は……少し奥の方らしいね。 どうせなら、色々見ながら行くのが いいかもしれないね。
[もらったパンフレットを指でなぞる。 馬だとか、シマウマなどがいるらしい場所は、 園内の奥まった場所らしい。
中々に広い場所だ。まっすぐ向かうより、 多分、その方がいい、と。 しゃがんだ男は、パンフレットを少年にも見せる。]
(154) 2017/10/11(Wed) 19時頃
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途中に、ライオンにパンダ、 ゾウなんかもいるみたいだ。 ……サルへの餌遣り体験もあるらしい。
[何にせよ、時間はたっぷりある。 百聞は一見に如かず、と。 少年の方を振り向いた。]
人が多いからね。 迷子にならないようにね。
[手を差し出す。その手は取られただろうか。 どちらにせよ、ふたり並んで 園内を回ることになっただろうか。*]
(155) 2017/10/11(Wed) 19時頃
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[疚しいところがある時、人は口数が多くなると言う。 御多分に洩れずケイイチもまさにその状態で、 けれどガーディの短い問いかけは>>146 ケイイチの唇を閉じさせるには十二分な威力を持っていた。 答えられずに立ち尽くしていれば、 ケイイチがいいというこんな状態でさえなければ嬉しい言葉>>147 その上さっと横を通り抜けて向かった先に、 ケイイチはもうこの場で蹲って叫びたいような気持ちだった。
一先ず、一番の被害者はこの男娼だ。 ケイイチは彼をベッドから下ろすとすまないが今日は帰って、と告げ有無を言わせず部屋を追い出した。 枕元に置いていたスマートフォンで連絡し、 従者達に後の面倒を頼むことも忘れない。
それから――それから、 今度は酷く臆病に、ガーディが腰掛けるベッドへ、 少し距離をあけて座った。]
(156) 2017/10/11(Wed) 19時頃
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えぇ、と……起きたらいなくて、びっくり、させた?
[尋ねる声はひどく慎重だ。 瞳に嫌悪が宿っていないか、 無理をさせている様子はないか、 確かめたいけれど恐ろしくて、 視線も言葉も中途半端に彷徨った。 先ほどの笑顔がどういう意味なのか――>>148 わからないから、未だ距離も開いたままで。
ケイイチは、迷って悩んで唸って、 けれど――けれど、観念した。 だって多分、外でかここでかは不明にせよ、 この先も似たような行為を繰り返す。 ガーディに我慢を強いることはしたくない、 けれど灯った熱は欲にも形を変えるとなれば、 これ以上の手段は無いはずだ。 だから]
……ガーディ。
(157) 2017/10/11(Wed) 19時頃
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僕も同じだ。お前がいい。お前のそばに居たい。 でもお前を傷つけたくないし、怖がらせたり我慢をさせたいわけでもない。
だからこの先もこういうこと――えー、 お前の知らない人と仲良くしたりとか、夜中ちょっと居なかったりとか、 そういうことは、ある。
でも、さっきも言ったけど、お前を傷つけたり怖がらせたりしないためだから、 …………だから、
[そこまで言って、ケイイチはガーディの肩をがしりと掴む。 瞳は真剣だが俄かに濡れて眉は下がりその表情は情けない。 震える唇を数度開閉させ、そして、]
(158) 2017/10/11(Wed) 19時頃
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[――ケイイチは確かに覚悟をしていた。 けれどそれはガーディに冷たい目を向けられる覚悟なんかではなく、 全てのプライドをかなぐり捨て彼に泣きつく覚悟だった。]
(159) 2017/10/11(Wed) 19時頃
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[>>152怒髪天を突いていた オスカーには周囲の様子などわからなかった。
胸の辺りがムカムカする。 車のロックが外れれば無表情で車に乗り込む。 助手席に座ってやや雑に荷物を後部座席に投げた。
小さな呟きが聞こえたのは、その直後。]
何でコースケが謝んだよ。 てめえは何一つ悪くねえだろうが。
誰だか知らねえけどな 誰だろうがてめえを悪し様に言うヤツは許さねえよ。 それだけは直せって言っても直せねえ。
てめえにそんな顔させるヤツ、大っ嫌いだ。
[どんな顔をしているか、南方はわかってないだろう。 面目無さそうな―――…だけど何故か少しだけ傷ついたような顔。]
(160) 2017/10/11(Wed) 19時半頃
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研究とかで関わるヤツでも謝らねえからな。
[知らないだろう、いつも見ているからわかる。 知らないだろう。
―――…南方がどれだけ自分を救ってくれたかなど。]
……あー! 晩飯の買物し損ねた、くそが。
[もの凄く腹立たしい。 何なんだ、あの男はってブツクサ呟いた。*]
(161) 2017/10/11(Wed) 19時半頃
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[裸にシーツを巻いたまま追い出される姿に、>>156 心が痛むものの芽生えた欲に逆らえず無言のまま。
慌ただしい彼の様子を眺め見て思考を巡らせる。 絡み合う仕草を思い浮かべては眉を寄せ、 距離を開いて座るその距離感も不満を露に。
震える声も、怯えた様子も、 何かを探るような視線も含めて不審だが、 それよりも開いた距離の方が気にかかる]
(162) 2017/10/11(Wed) 19時半頃
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……どうして? 仲良くするのはぼくじゃ駄目なの?
[傷つくなどあるはずもない。 目覚めて抱く情は根付いて咲けば、 何をされようとその感情は変わることはない。
肩を掴まれ、対面で視線を向けたまま、 切実な言葉に返す反応はこれまでと変わらずに]
(163) 2017/10/11(Wed) 19時半頃
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ケイイチと一緒にいる。
[繰り返す言葉を重ねて、腕の中に潜ろうと―― 肩を掴まれ届かず、腕だけがばたばた揺れる。
痛い、と呟けば離してくれただろうか。 解放と同時にバスタオル姿の彼に飛び込んで、 素肌に頬を擦り寄せながら]
(164) 2017/10/11(Wed) 19時半頃
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一緒なのは僕だけがいい。
[今宵は我儘を押し通すと決めた。 だから一歩も引かず、小さな身体は腕の中から離れない*]
(165) 2017/10/11(Wed) 19時半頃
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そうかなぁ? でも、そうして貰えるのも気分がいいね。
[>>88 少女の様な響きの混じる音は どこか可愛らしくて、ほんのり笑みが零れた。 意固地な言葉も嫌な気分にはならない、 懐かしさすら感じるほどだ。]
お花が咲くときが、 俺たちが一番美しく育った時って言われるんだよ。
[>>89 壊れ物を扱うようなその指先で、 翠は淡く煌めいて。未だ蕾も成らぬその冠が、 いつか彼女の愛情で満ちる時が来るといい。 そう願いながら、呟いた。]
(166) 2017/10/11(Wed) 20時半頃
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―――うん。楽しみだね。
[一番素敵な自分を見てもらえるのは、嬉しいことだ。 人形と人の価値観はきっと少しだけ違っていて、 だからこそ伝え忘れた事もあったと気付くのは。 もう、暫くしてからの話。]
(167) 2017/10/11(Wed) 20時半頃
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[>>91 息を潜めてこちらを見やる鮮やかな青。 先ほど自分が彼女を見詰めたとき 少し言葉に詰まっていたけれども、 成程これは、そういう気分なのだとようやく自覚した。 思わず苦笑を零したけれども、 期待は裏切らないようそっとティースプーンに口付ける。
なぜ彼女に惹かれて目覚めたか、 それは自分でも未だ不思議なままではあるけれど――。 彼女から時折覗く、少女めいた部分に きっとその答えがあるのだろう。
そんな思いで芙蓉とグロリアの応酬を 面白さ半分呆れ半分で眺めるうち、 やがてほんのり瞼が重くなってきて。]
(168) 2017/10/11(Wed) 20時半頃
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[ナイトランプの柔らかな灯りの元、 シーツのさらさらとした感触を楽しむ。 ふと、冗談でいったつもりの子守歌をねだられた。 まさか本当にねだられるとは思ってもいなくて、 ふわふわとした心地のままに、緩い笑い声が零れる。]
―― あは、本当に歌おっか。 お話でもいいよ、してあげる。
[そうして彼女の望むがままに、 夜毎語るのは古い古い童謡やお話の数々だ。 きっと、グロリアの幼い頃の記憶にない物もあるだろう。
語りなれた柔らかな声音で語るそれらは、 確かに子守歌といってもいいほど優しく響くもので。*]
(169) 2017/10/11(Wed) 20時半頃
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[新しい日々はあっという間に過ぎていく。 家のある建物は本当に何でも揃っていて、 どこに連れていって貰っても退屈をする事はない。
サロンの本は家族向けに様々な物が揃えてあった。 動き回ることも好きだけれど、本も好きだ。 図鑑や専門書で知らない事を知るのは面白い。 空想上の物語だってわくわくする。
そう思っているはずなのに、 いざ手にしたのは明らかに子供向けの絵本。 数ページ捲っては見たが、やはり退屈で 何故こんなものを手にしたのやら、 首を傾げて本を閉じた。
グロリアは相変わらず少し不思議で、 案内した筈の場所なのに、自分驚いている様な時もある。 顔にはあまり出ていない様に見えるけれども、 幸いそういった事は察しやすい質だ。]
(170) 2017/10/11(Wed) 20時半頃
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[冷たい視線はなかった。 拒絶もなかったし怯えもなかった。 それに酷く安堵して、けれどガーディが抱いた疑問にうっと言葉を詰まらせる>>163 さて何と言ったものか、と、思考を巡らせていると ――どうやら抱き着こうとしたらしい、身体に力が入ったのがわかって、 とっさにケイイチも肩を掴む手に力を込める。
だって今、ケイイチは上半身裸だし下もバスタオルだけという頼りない状況なのだ。 こんな状態で抱き着かれたりしたら――困る。 それはもう大いに困る。
それなのに、痛い、という声が耳に入れば]
えっ、ごめっ
[咄嗟に手を離す。 そして]
(171) 2017/10/11(Wed) 21時頃
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っ〜〜〜……!! ガー、ディ…………。
[遮るものの何もない素肌に、柔らかい頬が触れている。 艶やかな髪に擽られ、ぴくりと背筋が跳ねた。 爆発しそうに鼓動する心臓の音は、 きっとガーディにも届いてしまう。
じりじりと脳の奥で理性の焼ける音がした。 このままじゃまずい、と思いながら、身体は固まって動けない。 どうにかしなきゃと思考ばかり焦り、 心臓は逸り、そして――]
っ……!
[僕だけがいい>>165 ガーディの願望。わがまま。 ぷちん、と、理性が切れる音がした。]
(172) 2017/10/11(Wed) 21時頃
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[ラウンジから町を見渡すのは楽しいし、 ヘリポートは空が近くて気持ちが良い。
些細な暮らしの楽しみは沢山転がっていて、 それらに無頓着な彼女はどこか危うくも見える。 芙蓉が何かにつけて訪ねてくるのは、 きっとそんな彼女を気にしての事もあるのだろう。
毎度毎度、新調した女子向けの衣装で からかってくるのはやめて欲しくもあるけれど。]
んー、なあに?明日もお出かけ?
[>>92 なんて考えていた矢先の事、 何やら悩む様子の彼女へと声を掛けた。 何故ベッド。とは思うけれど、 どこかに連れて行ってもらえるのは楽しみだから。
期待を込めた視線に彼女は弱い。 それを分かった上で、じっと彼女を見詰めるのだ。**]
(173) 2017/10/11(Wed) 21時頃
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そんな顔って、どんな顔だよ。 ……ん、ありがとな。助かった。
[彼の言う、そんな顔とはどんな顔なのだろう。 自分の顔も、感情すら今は怪しい。 けれど車のミラーで確認するのもなんだか嫌で、 それはしないまま苦笑する。 彼の怒りが、今は心を安らげる気がした]
研究に関わりは、あー……するけど。 今は俺よかずっと出世してるし。 わざわざ直接俺になんかするほど暇でもないだろ。
……晩飯の買い物は、スーパー寄ってやるから。
[彼の文句を聞きながら、宥めるように頭を撫でてやる。 俺の代わりに怒らなくてもいいのだと 言ってはやりたいけれど、それを言っても無駄だろう。
だからさっさと行くかと声を掛けて、車を出しただろうか]*
(174) 2017/10/11(Wed) 21時頃
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冷蔵庫にあるもんで作れなくねえよ。 今日はもう帰りてえ。
[むすっとした顔で我が儘を述べる。 誰が見ても不機嫌を絵に描いた顔だったが黙り込むと様になっていた。
そんなつもりは無いのだろうが。 あの男を庇うような口振りが全く面白く無かった。
宥めるように撫でる手は甘んじて受け容れても。 釈然としないものを抱えて普段よりも口数は少ない
代わりに怒ったつもりなどない。 持ち主が、南方が愚弄されて黙っていられる性格ではない。
全くおとなしくない性分なことを嫌という程思い知る。]
(175) 2017/10/11(Wed) 21時半頃
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―自宅― [ほとんど言葉を交わさずに家へと戻り 家にあった物で味噌汁、カボチャの煮物、炊き込みご飯をさっと作る。
普段なら隣に座ってミルクを飲むが 対面に座っていた。
何がこんなにムカムカするのかわからない。
―――…浮かぶのはあの男の何気ない だが確かに南方を疵付けた許せない言葉の羅列。]
(176) 2017/10/11(Wed) 21時半頃
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