279 宇宙(そら)を往くサルバシオン
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――談話室へ――
[スリープモードが解除されれば、移動を試みる。 ヒューマノイドは単独で存在していても意味がない。 何がしかの業務を遂行してのものだ。
そこに、艇内放送が聞こえた>>37。]
なるほど。 宇宙クラゲは水に擬態しますか。
[新しい情報を得た。 さらなる情報を得るため水道を点検してみたいが、やめておこう。]
(63) 2020/08/25(Tue) 23時半頃
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─ 電子記録 / 浮穴沫媛について ─
〔浮穴沫媛の一群体(※注)である彼女──浮穴沫媛は分裂で増える為、無性というべきかもしれないが、同種を増やせるということを雌と定義するならば便宜上妥当なのは女の性だろう──スプスプイが、移民船の『乗客』として認められたのは、まずはエスペラント船長の意向のおかげであったといえる。
彼女らを『人』として扱ってくれたことについて 船長には敬意と感謝を記したい。
なにしろ浮穴沫媛は、彼女らの故郷では、もっともポピュラーな洗剤、つまり知性のない物体として扱われていたからだ。〕
〔※注 浮穴沫媛を別れた群体と引き合わせると、いさかいも起こさずに完全に同化するために固有の群体としての区別があるのかが未だ不明であるが、便宜上こう呼称している。〕
(64) 2020/08/25(Tue) 23時半頃
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〔浮穴沫媛たちを高度知性体であると──すなわち、十分に対話可能な存在であると周囲に認めさせるのは、困難を極めた。 いや、今現在を持っても、認めさせたとは言えない。
何しろ、彼女らの主なコミュニケーション手段は液体を伝う振動と、おそらくは嗅覚に似た何か、それに未だ解明されない感覚器官だ。翻訳作業も未だ完全とは言えず、多くの面で難航している。言語学の研究者としても、翻訳機技師としても、納得がいく出来ではない。
──彼女らに知性がある事を否認する人々の感情にも、一定理解する部分はある。態度から、理解する気がない。と判断をされがちではあるが、同種・近似種の思考を推測しないわけではない。 今まで道具のように扱っていた「もの」に、知性があり人格があるとなったとき、自らの信念との齟齬が起きることはあるだろう。
己が他知性体を奴隷として使用していた、などと後から気がつかされるのは、清廉でありたい者ほど苦痛に感じるはずだ。〕
(65) 2020/08/25(Tue) 23時半頃
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〔なにより、浮穴沫媛── 研究の末にかつて迫害された存在から引いてつけた名でなく、あえて、過去のものとしたい名称で言うなら、青石洗剤は原産地である惑星でもっとも普及した衣類洗浄能力を誇っていた。
海水に群れの裡の数個を放流しておけば、ひと月後には数十ほどの群体に増殖するという性質から、『海』を有する惑星においで入手が容易だったというのも大きい。
塩分とミネラル分と、いくらかの脂質、蛋白質──劣悪な食事ではあるが皮脂等でも幾日かの生存は可能──さえ水に溶かしておけば、水流と分泌物により、衣類を綺麗にするばかりか、仄かに清涼感のある薄荷に似た香りをつけることができた。
その環境にさらされた結果として、『使用』された浮穴沫媛たちがその青い体を干乾びさせ、或いは崩壊に至り、水に溶けることを代償としての話ではあるが。〕
(66) 2020/08/25(Tue) 23時半頃
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〔その上、彼女らの塩分や有害な物質を除去できるその性質は、いくつかの星では重宝された。
浮穴沫媛を使った洗濯業者のいくつかは 星間貿易業者にまでのし上がっていた。 その産業は経済にも、大きく食い込んでしまっていた。
──『もしも、仮に、彼女らに知性があったとしても』というあまりにも無意味な前書きの後、経済を回すために、彼女らを解放すべきではない。という声の多さには、正直言ってかなり辟易させられた。 その言説は結局のところ、浮穴沫媛に知性が、精神が、人格が備わっていたとしても、踏みにじってかまわないと宣言しているのと同様だ。
いかに彼らの反対意見が多く、また過激であったかは、別の記録に詳細に残しておくことにする。〕
(67) 2020/08/25(Tue) 23時半頃
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〔しかし、腹に据えかねるのは、今回脱出させられることのできたスプスプイ以外の、浮穴沫媛たちが未だ奴隷として──『商品』として扱われる点で古代のそれとまったく同様に──今も変わらずに売買されているという現実だ。
最終的にはすべての浮穴沫媛の劣悪な環境下での労働からの解放が目標だが、小群体を逃がす程度の事しかできない。
最初に接触した群体であるスプスプイに、 手ずから機能を組み込んだ言語翻訳機を贈る。
与えられる一時避難住居が旧式の洗濯機というのは、 檻に住まわせるようで心苦しいが 手元に残っていた予算ではそれが精いっぱいだった。〕
(68) 2020/08/25(Tue) 23時半頃
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〔翻訳機は、至らず不完全なものではあるが、翻訳機を使い彼女が多くの宇宙人たちとコミュニケートしてくれればと願っている。
いつか、その交流が巡り巡って星の世論に変化をもたらしてくれることを、今は信じたい*。〕
(69) 2020/08/25(Tue) 23時半頃
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[ ごぼぼ ]
(70) 2020/08/25(Tue) 23時半頃
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─ サルバシオン/廊下 ─
[がた…がた…と見ていて不安になる速度で 車輪付きの洗濯機が廊下を自走している。]
[ がた… がた… …… がた ]
[どういうわけか、時折、停止しては、 暫くしてから動き出す。という動作を 繰り返しているようだった。
茶色の板には、以下の表示がある。]
(71) 2020/08/25(Tue) 23時半頃
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迷 子 で す 。
ス タ ッ フ を
探 し て い ま す 。
(72) 2020/08/25(Tue) 23時半頃
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>>*4 ウケるっしょ。これでぼくたちを見つけちゃうつもりだったんだって。 反響でパイプの詰まりがわかる装置、なんだってよ?
やーこわいこわい。水道浴しなくてよかったよぉ。
(*21) 2020/08/25(Tue) 23時半頃
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[その迷子を主張する奇怪な洗濯機は、がたがたと身体を揺らしながら、廊下を移動していた。]
[ がた、 … … … ]
[残念なことに誘導してくれそうな相手と行き会うルートを選べなかったらしい。
廊下をいく間に、停止の割合が多くなり、 終いには完全に停止した。
仮にそれらが他者とのコミュニケーションを願われ送りだされたとしても、対象がいなければ、それは不能である。]
(73) 2020/08/25(Tue) 23時半頃
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――談話室に向かう廊下――
――なにかご入用はありませんか。
[談話室に向かう間、アイドルモードを通知する定期コールが空間に向かって発せられた。 ヒューマノイドが談話室を目指すのは他でもない、そこが一番乗員に会う可能性が高く、仕事がある可能性が高いからだった。
故に、仕事さえあればそこが談話室でなくとも構わない。]
(74) 2020/08/25(Tue) 23時半頃
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[がたがたと物体がぶつかり合うような異音を感じて、そちらに向かう。 奇しくも、ヒューマノイドがそこにたどり着いたときには洗濯機――もといスプスプ位のシェルターは完全に停止したあとだったが>>73。]
――なにかご入用はありませんか。
[確認を含めたコールが、シェルターにかけられる。]
(75) 2020/08/25(Tue) 23時半頃
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[視線は人を殺せる(>>61)。 という言葉をご存じだろうか。もし初耳であれば、いまトルドヴィンに一瞬、放った眼光がそれである。だがそれも、あくまで一瞬のことである。]
ちがうわよ… ちがわないけど…ちがうの。
[言いながら、いつもの癖が"man-ju"を串刺しにしていたことに気が付く。たしかに、彼の言うとおりだ。]
面白がってるだけよ。 あたしがいつ帰ってくるか、きっと賭けでもしてるわ。
[そう笑って見せたつもりで、 郷愁の表情がよぎるのを隠すことができなかった。]
(76) 2020/08/25(Tue) 23時半頃
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反響でパイプの詰まりを発見する、か。 その程度の対処で我々を検知しようとは……
第一、水道浴をする我らを見つけようにも、あれほど喧伝しては意味があるまい。 今なお自由にいたとて、明日水道管に潜むのみよな。
(*22) 2020/08/25(Tue) 23時半頃
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―サルバシオン/廊下―
ふあぁ。この作業、待ち時間だけはかったりいよな…。
[ 超音波スピーカーを所定の位置にセットし終えると、長い休憩…をすることはできないが、ただひたすら、異常がない間は単調に上下する波形をチェックするだけの簡単なお仕事が始まって、そろそろ5分くらいはうすぼんやりと画面を眺めるふりをつづけていた。]
ん、海薄荷じゃないか?配管してないのは動くためだったんだな。 どうした?
[ >>71>>72 簡単なお仕事にあくびが出始めるころ、奇遇にも通りかかった乗客に、必要な助けの手を差し伸べてはいけない理由なんてあるだろうか?]
(77) 2020/08/25(Tue) 23時半頃
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─ 廊下 ─
[>>75 声に反応して、板にでている表示>>72 が 存在を知らせるように、ピカピカと明滅した。]
同志。ご入用が存在しています。
我々には早く誘導の介助が必要です。現在位置と目標地点を共にロストしました。目的存在の場合、漂流は負荷となります。
[ヒューマノイドに向けられた翻訳機の表示は、やや混乱しているのか表示速度がいやに早かった。]
介助要請は 可能ですか。 我々はスタッフを捜索しています。
(78) 2020/08/26(Wed) 00時頃
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[ >>72 >>73 すこし離れた角で、ちょうど諦めていたスプスプイに追いつくのは、すこしばかり時間がかかった。 拗ねた幼児のように廊下に佇む姿は、しかしまあ白物家電めいたデザインが優秀なためだろうか。割とここが定位置の調度品です、という風情も感じられる。]
あー。迷子。なんだな。ねちまったのかな。
(79) 2020/08/26(Wed) 00時頃
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コータは、追いつきがてらに、モナリザと鉢合わせたわけだった。
2020/08/26(Wed) 00時頃
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>>75 >>78 うわ、おきた。 おまえさんたち、結構仲良しだったんだな。
(80) 2020/08/26(Wed) 00時頃
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[その日トルドヴィンは、[視線は人を殺せる」>>76という言葉の意味を身をもって知ることとなった。いや、死んではいないが、生きた心地がしない、という気分は十分に味わった。]
わたしは何か、気分を害するようなことを言っただろうか……
[触角がスン……と下がった。 ちがうだのちがわないだの言っている姿に、また余計なことを言いそうになって、先程の視線を思い出してやめた。]
……追い出されたわけでないのなら、また帰ればいい。 帰る場所があるのなら。
(81) 2020/08/26(Wed) 00時頃
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ああ、そうだゴースト
[ 幽霊 = ゴースト
脳内にその図式を組み立て、うんうんと頷く>>60 似たような言葉を共通語に当てはめて話すが その共通語も必ずしも万能でも無いのだろう
色彩豊かな花の横で濃い茶色と黒の尻尾を揺らしつつ 宙に浮かぶ淡い色合いを眺めていた
目を離したらふ 、っと消えてしまいそうな そんな妄想さえ浮かんでくるから困ったものだ ]
(82) 2020/08/26(Wed) 00時頃
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やあ同志。くすくすくす。 僕はしばらく脊椎を散歩かな。これからすることを予告するなんて、おまぬけさんだよねー。
このスプスプイくん、どうしようかなあ。今なら簡単、だけれども…
お、そうかそうか。いま弘太君が考えてくれたよ。ここでスプスプイくんをもらっちゃうと、僕たちがとっても怪しいんだって。残念だなあ。
(*23) 2020/08/26(Wed) 00時頃
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しるく…シルクというのか。 最初からでもあるし後からとも言える…?
[ きょとーんと不思議そうに首を傾げた 生まれた時からその姿ならば、当たり前のようにそれを受け入れるだろう 逆に、後からその姿になったのならば、以前との違いに悩む事もあるだろう
……どちらでもあり、どちらでもない事、そしてそれを受け入れる事は想像し難い概念でもあった ]
…、曖昧な事も受け入れる。 吾輩もそのような考えであれば もう少し楽なのかもしれないな
[ へらり、小さく笑った きっと自分は、変化した姿も曖昧な事柄も、心から受け入れるのは難しい。
それでも多種多様な宇宙人の中で未知の考えを知るのは楽しい事でもあった ]
(83) 2020/08/26(Wed) 00時頃
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ああ、大丈夫だ。ちょっとした爆発さ 天才の吾輩をもってすれば 戻る方法だってきっとす、ぐ…
[ 言いかけて、止まった
元に戻る研究よりさしせまった問題。 " 宇宙クラゲ "について思い出してしまったものだから
何処かへ行く予定は特にない ただ少し…
高い場所<<肩の上>>に乗れたら気持ちいいだろうな、なんて台座の上からじっと見上げてみた ]*
(84) 2020/08/26(Wed) 00時頃
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…で、どこに行きたいんだ。 厨房区画だけ2時間ほど立入禁止だけれどよ、それ以外ならどこでも連れて行けるぜ。
[ と、わりと寝ていそうなスプスプイよりは、モナリザのほうに目線を向ける。]
(85) 2020/08/26(Wed) 00時頃
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おやおや。折角の好機なのに惜しいことだな。 だが、まあ、おまえの宿主の考えた通り、そのまずそうな洗剤はひとまず置いておこう。 おれは肉が喰いたい。
そうだな。例の"パイセン"辺り、ちょうどいいんじゃないか。 談話室に来る途中すれ違ったが、どうも乗客の様子を監視しているようだ。
(*24) 2020/08/26(Wed) 00時頃
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>>*24 骨髄と脳はぼくんだぞ。 けどまあ、まわりのぐにょぐにょはいいよ。もっていっても。
機械室はいま明日の朝食をこねてる最中だから、すこしくらい音を立ててもへっちゃらさ。
(*25) 2020/08/26(Wed) 00時頃
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─ 廊下 ─
[ちょうどモナリザと行き会わせる形で、もう一方から声がかかった>>79。]
否定。覚醒中です。
[停止したためそう思われたらしい感想に>>79、起きている。と表示が出た。]
放送と声の振動範囲が一致します。 良き機会です。ありがとうございます。 スタッフを探していました。
我々は水道への適切な接触時間を捜索。
しかし、見取り図の確認が単独で不能でした。 介助を必要としています。 [>>37 放送にあった水道への接触を必要としているが、洗濯機はどうやら、見取り図にたどりつけなかったようだった。]
(86) 2020/08/26(Wed) 00時頃
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ご入用が存在。誘導の介助。 現在地点は案内可能ですが、ロストされた目標地点はサーチいたしかねます。
貴方がたに負荷をかけることは本意ではありません。 誘導・介助要請、共に可能ですが、どちらに行いましょうか。
[>>78スプスプイは沈黙しているようだったが、声をかけると起動した。 しかし、命じられたご入用は難解だ。存在しない目標地点への案内。 いくつかの質問を投げかけていると、コータ技師と鉢合わせた。]
(87) 2020/08/26(Wed) 00時頃
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