212 冷たい校舎村(突)
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[それを聞いて俺は、心底安心した。 ああ、なんだ、怖がることなかったんだ、と。心配して損した、と。 でも、そいつの言葉はそれだけで終わらなかった。]
(53) 2017/03/14(Tue) 02時頃
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「でも、隠されたことには失望した」
「だってお前、ソレってさ、俺がそういうのを気持ち悪がるような奴、って思ってたってことだろ? お前がそういう趣味持ってるって知ったら嫌うような、そんな奴だって、お前はずっと思ってたわけだ。 何でも話せる親友、って……そう思ってたのは、俺だけだったんだ」
「ちゃんと信頼されてる、って思ってたのに」
(54) 2017/03/14(Tue) 02時頃
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[思いもしない部分を押されて、崖の下に突き落とされたような、そんな感覚がした**]
(55) 2017/03/14(Tue) 02時頃
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─ 回想:待合室 ─
そうだな。本当のこといって悪かった。
[指を突きつけた抗議>>526に しれっと謝罪にならない謝罪を返して]
はいはい。気をつけるよ。
[泣かせるといわれてちらつくのは幼馴染の姿。 だから、この状況は教えられない]
昴には、俺がここにいたこと内緒な。
[早く直るといいということには頷かずに 曖昧な笑みを浮かべて。 入間が会計に立つ寸前に、そう声をかけた*]
(56) 2017/03/14(Tue) 10時頃
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― 前日・渡り廊下 ―
[入間の推測>>2:536を頷きながら聞く。 暗いところが苦手そうだというのは 自分も考えたこと。
そして、那由多の言葉>>11に]
そうだな。 この場所は入間らしくない。 お前なら、俺らと一緒にいたいなら、 もっとまっすぐひねくれるだろ。 なんとなく、そう思う。
[頷いて、そういって。 話が一段落すれば入間の言うとおり>>537教室へと戻る]
(57) 2017/03/14(Tue) 10時頃
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─ 前日夜:3年3組 ─
[教室に戻れば寝る準備がされていて、 消えない明かりを暗幕で薄暗くしていて よく考えたなと感心する]
ただいま。
[ほっとしているような幼馴染に声をかけて。 教卓の食べ物からおにぎりひとつ。 飲み込むように口に詰め込んで。 あいてる寝袋にさっさともぐりこんで、 ベルトのとげころころと手のひらに転がしながら 疲れていたのかすぐに眠りに引き込まれた**]
(58) 2017/03/14(Tue) 10時頃
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―眠る前/3-3―
おかえりー
[>>58 無事帰ってきた様子に表情はほどける。 ざくざくと食事まで済ませてしまう様に、いつもの堆だと、そう思う]
おつかれさま、 …上、へいきだった?
[堆と、保田と、入間と――何処かから返事は在ったろうか。]
(59) 2017/03/14(Tue) 10時半頃
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―眠る前―
…ちょっと、行ってくるね
[自然、幼馴染の近くあたりに 寝袋を一つ、確保して。
寝る前に能久は購買やら家庭科室で必要なものを探しに行った。小麦粉や、卵や、ホットケーキ用のミックス、ホットプレート。 不思議なことに、泡だて器まで欠けずにひと揃い。 ここが文化祭だからかな、 と能久は思う。]
……ふふ
[ふと、パンケーキ作りを手伝うと謂ってくれた堆にメレンゲづくりを任せたら、腕がだるいと>>2:492ぼやかれたことを思い出す。 お菓子作りは体力勝負だよ、と笑って見せたのだったっけ――と。]
(60) 2017/03/14(Tue) 10時半頃
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[見て見て!■■■■、上手にできたよ!]
(61) 2017/03/14(Tue) 10時半頃
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――――、
[目を伏せて、閉じた。 すすり泣きが聞こえて首を横に振る。
道具と材料一式を 抱えて教室に戻っていった。 眠る皆を起こさないようにそっと机の上に置いた夜*]
(62) 2017/03/14(Tue) 11時頃
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―― 回想:医師の宣告 ――
[「検査結果をお知らせします」
目の前に座る医者が 張られているグラフみたいなものを指差した。
「非常に稀な症例ですが」
グラフの波線、それをたどる指を目で追う。
「――の――による――感覚受容器官不全です」
難しい言葉はよく聞き取れなかった]
(63) 2017/03/14(Tue) 11時頃
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[「つまり、皮膚表面の感覚が脳に届いていない、 認識できていない状態です」
医者の説明をよく聞くと 暑さ、寒さ、熱さ、冷たさなどの温感。 物に触れた触感それらが非常に鈍くなっているとのこと。
適切な服がわからなくて 体調を崩すようになったのはそのせい。
物を取り落としたり、 よく足を踏み外すのもそのせい]
(64) 2017/03/14(Tue) 11時頃
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[「このままではすべての皮膚感覚を失います」
選べる道はふたつ。 このまま、感覚がなくなることと いつか容態が急変することを覚悟して 感覚を増幅するための電気治療やリハビリだけをうけること。 もうひとつは。 血腫を取り除く手術を受けること。 だが、失われた分の感覚は戻らないらしい。 やはり電気治療やリハビリは続ける必要がある。 そして、この手術の成功率はかなり低い、ということ。
父も母もも自分で選べといった。 どちらでも、その選択を支持すると]
(65) 2017/03/14(Tue) 11時頃
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[どちらを選んでも、 すでに失われた分の 『触れる感覚』が元に戻ることはない。
周りにばれないように 歩くときは慎重に。 物を持つときは加減がわからないし 取り落としたことにも気づけないから なるべくしっかり力を入れて。 外に行くときは迎えに着た昴の服を見て 自分の格好判断するようにして。 そうして、"普通"の毎日を取り繕って 選択を先延ばしにしていた]
(66) 2017/03/14(Tue) 11時頃
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[もし、"自分"と"ほかのなにか"の境目が いつかわからなくなってしまうなら。
まだ、感覚が残っているうちに 終わらせてしまったほうがいいのではないだろうか。*]
(67) 2017/03/14(Tue) 11時頃
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―朝/3-3の教室― [8:50の鐘が鳴るすこしまえ。
能久昴は、早起きな方だ。 だが、床で慣れない寝袋では、疲れが取れにくい。 起きたはいいが、そのまましばらくぼんやり暗幕を見上げていた。]
……教室………
[ああ、そうか――と。 慣れた家の天井ではないことに、安堵と落胆と戸惑い交じり。 自分の胸に手を当てて考えてみても、この現象を生み出しているのが誰なのか―自分なのかどうかも―答えが、見つからない。 身体を起こして欠伸をひとつ。 外は相変わらずの、猛吹雪。]
……――、
[もう、起きているひとは居たろうか。 幼馴染は、いつもみたいにお休み中か。 寝袋から抜け出して、パンケーキを焼こうかな、という心づもり。]
(68) 2017/03/14(Tue) 11時半頃
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── 朝:3年3組 ──
[ 暗幕とか、カラフルな光とか、 穏やかとはいえない、白色の外の世界 とか。
非日常が多すぎて、朝日なんて見えない中、 目覚ましのアラームとは似ても似つかぬ、 チャイムの音で目を覚ました。
寝返りを打ちながら、音を止めようとして、 床の硬さとか、ストレッチのきかない服とか、 すすり泣くかわりに、どこかで 囁く声。 これは いつもどおり じゃないと気付く。
それから。 隣には、空になった寝袋>>41ひとつ。
……古辺?]
(69) 2017/03/14(Tue) 12時頃
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[ 見渡せば、足りないのは、古辺だけじゃなくて。>>68
ぽつん と、ひと雫落ちるように、 心の中がざわめいたのは、どうしてだろう。
いなくなったまんま、見つからない水野
それが、過ぎって、俺は、そうっと寝袋を抜け出す。
靴下のまま、教室の床を踏んで、 ひょいと、並ぶ寝袋のうちのひとつ、 その傍らに、しゃがんで。小さな声で。]
元賀、なあ 起きろ な ……古辺とか昴、いねーんだけど
[ ゆさゆさと揺さぶる── ことはしないけど、 起きろ と、不安を不機嫌そうな声に隠して、呼ぶ。*]
(70) 2017/03/14(Tue) 12時頃
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── 回想:元賀と、買い出し ──
[ 雑用のプロたる庶務と、暇人ゆえの使い走り。 元賀や俺が、おつかいを言いつけられることは、 そう、珍しいことでもなかった。
「 あれ足りない 」「 やっぱりこれもほしい 」
その日も、そんな言葉が湧き出て、 あちこちから買い物メモを受け取って、
その量がそこそこになりそうだったから、 俺は、元賀に声をかけた。 買い出しーって、何枚か重なったメモをひらひら。]
(71) 2017/03/14(Tue) 12時頃
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[ 買い出し つっても、 学校の近くにある、ホームセンターとかSCで、 メモどおり、買い物して、領収書もらって、 それを会計に提出。簡単なお仕事。
ただ、ひとつ、面倒なのは、
几帳面だったり、親切だったり、 よくわかってるやつは、 メーカーとか、色番とか、メモで指定してくれんのに、 たまに、そうしてくれないバカがいること。]
(72) 2017/03/14(Tue) 12時頃
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[ 行き掛け、追っかけてきた水野が、 『 フリル足んなくなりそう 保田、買ってきてよ 』と、
「 メモ書けっつってんじゃん 」と返した俺に、 般若のような形相で、その場で書きつけて握らせたメモ。
当てつけのように力強い字で書かれた、 『 フ リ ル レ ー ス 』の六文字。
ふざけんな。]
(73) 2017/03/14(Tue) 12時頃
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―3-3― [ホットプレートを温めて いつもの朝よりは のろのろと準備を進めていた折 始業の、チャイムが鳴る。]
――え、……?
[――午前8:50 鳴り終わった後の静寂。 すすり泣きが、聞こえない。]
――っ
[チャンネルを変えたみたいに、 囁き声に切り替わる。>>14 誰かに見られて、ひそひそ話をされているような、そんな感覚。鼓膜を震わせ離れてくれない。]
(74) 2017/03/14(Tue) 12時頃
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[ 女子の衣装の装飾を増やした>>0:241 とか、 そういう経緯は生憎俺は知らなかったし、
それに元賀が一枚噛んでたとか、 それだけじゃなく、何も、知らなかったし、
想像も、しなかったし。
キレ気味に、手芸コーナーの前で棚を睨めつけて、 見分けの付かないフリルだかレースだかに、言う。]
俺らに分かるかよ こんなん
[ 全部一緒に見えるわ と、毒づいて、 それから、やっぱり、 水野が使ってたやつが見つけられず、ため息。
元賀を振り返って、こぼす。]
(75) 2017/03/14(Tue) 12時頃
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無理、全然、わっかんねー 違うやつ買ってったら、キレられそうだし 女子、連れて来りゃよかった
[ って。*]
(76) 2017/03/14(Tue) 12時頃
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[ 元賀の隣にいて、楽だったのは。 距離感 だったのかもしれない と、思う。
じゃれついたりもしないし、 踏み込んでもいい距離をはかりながら、 ぽつ ぽつ と、ゆっくり。 そんなペースが許される とか。
今、こうして、声をかけるのも、 俺が今、不安を隠しきれなかったとして、 おまえ、 笑わない だろ、多分。*]
(77) 2017/03/14(Tue) 12時頃
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―屋台の一角― [3-3の教室から出て、少ししたところ。 出たままの屋台の一角を拝借してパンケーキを焼こうとしていた能久は、急に変わった放送音に戸惑いを隠せない。]
……今度は、…何……?
[ひそひそ、ひそひそ囁く声は やはり、嫌なことばかり、掻き立てる。
――だって、不安だった。 ――近所に、知られてるんじゃないかって、 ――とうさんと、かあさんが、あんな、
足音にびくりと振りむき、見知った姿なら安堵して。>>41]
お、おはよ 古辺… ……なんか、放送、かわった、な……なんだろう…
[声をかけたけれど、返事は果たして、あったのか*]
(78) 2017/03/14(Tue) 12時頃
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[ 廊下は相変わらず眩しくて、 汗ばんだ髪をかきあげて、 …指を通したところで止めた。 ―― こういう景色は、ちょっと。 って 微妙な躊躇いと それから、 廊下の屋台にいた能久に声をかけられた から。 姿を認めれば 髪の隙間。 乱雑に通していた手を、下げる。 ]
(79) 2017/03/14(Tue) 12時半頃
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………わかんね。 幽霊の寝言じゃないことは確かだけど さ、
[ 逆に聞き返したい位だ。 チャイムが鳴る毎に変わる数多の声。 囁きと分かってしまえば 啜り泣きよりは まだ、 ………抵抗はないけれど。 でも そうだな。 答えを出すとするならば まるで そう、 ]
(80) 2017/03/14(Tue) 12時半頃
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―― 俺たちの事を、噂してるのかもな。
(81) 2017/03/14(Tue) 12時半頃
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[ 呟きは、いやに大きく響いたし。
隠れた瞳は。 不安そうな能久の顔を ただ見下ろして いる* ]
(82) 2017/03/14(Tue) 12時半頃
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