105 CLUB【_Ground】
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“好き”っつーのはな。
[説明が困難で、なにをどう言えばいいのかが難しい。 選ぶ言葉が酷く理不尽になる。 無意識にポケットに伸ばした手が、中の紙に触れた。]
もっと知りたいだの、逢いたいだの、話したいだの。 触りたい、声が聞きたい、瞳を合わせて。 もっといじめた――――…、っごほ。 まあ、だから、そういうことであってな?
[アホか、と内心自分自身にツッコミを入れるかわりに空咳で誤魔化し。]
例えば近付きたくて、離れたくなくて、 手を握るだの、キスだのセックスだのに至る。
(@13) 2013/12/23(Mon) 04時半頃
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そういうのを、お前に思ってやれねぇ。 俺にとってお前は“愛玩動物(ペット)”だ。
[なるべく軽くも重くもならぬよう吐き出した。]
俺はもう誰のことも、“好き”にはなれん。 そういう風にプログラムされてる。
[こういえば理解してくれるだろうか。 多少の嘘が混じるのも仕方ない。 決してプログラムなどではないが、男の頑固な性質ゆえか。 過去は捨て、感情は殺してしまった。 そう思い込まなくてはと。]
(@14) 2013/12/23(Mon) 04時半頃
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ただ、そういう意味での“好き”じゃない、別の“好き”なら お前にはずっと思ってる。
[愛玩動物たちへ、部下へ、ここに買いに来る客へ。 一人一人形は違えど。 そして表面上に、それを出すことは殆どないが。]
お前が、そうだな。 フェネックや蛇、シマリス、狼、鶯に思うような“好き”に近い。 普遍的なあー…っと。
特別じゃない、ってことだ。
[襟足を掻き毟る。 申し訳なさ満載だ、こればかりは。]
お前は、特別じゃない“好き”で 特別な“好き”には、してやれない。
(@15) 2013/12/23(Mon) 04時半頃
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お前を迎えるとすれば、それは恋人としてじゃない。 “愛玩動物(ペット)”だ。
[それでもいいかと訊ねることさえ出来ない、これは決定事項で。 先に上げた動物たちや、もしくは研究員、客の誰かに 虎自身が“好き”だと特別思ったものがあったとしても。 濃青を金褐色にしてしまったのは、男の烏羽色の瞳。]
そういう、ことだ。
[謝るのも違うと、いつも以上に言葉を選んだ。]
ただ、世話はちゃんとしてやる。
[その先は虎の耳にだけ届くように。]
(@16) 2013/12/23(Mon) 05時頃
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[腕を伸ばし、虎の頭を引き寄せる。 重なる影、唇に触れる感触。]
よし。 ――――よし、じゃねぇぇぇぇ!
[当分、いや一生悩まされる事象だろう。 しかし虎が納得さえするのであれば 男の日常の中で、捻くれたものも真っ直ぐになるのかもしれない。 気苦労は絶えなさそうだが、それもまた。]
報告と、始末書と。 サミュの申請…あー…、かけあってやるっつったけど ペナルティ軽くとか無理かもな。
[虎ブル、もといトラブルに転がった問題処理からはじめよう。]
(@17) 2013/12/23(Mon) 05時半頃
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[先ずは虎をどうにかする必要があるわけだが。 生憎、研究所に住み込みという名の篭城生活を続けた男にとって家と呼べるものがない。 研究ルームに直接虎を連れ立った先、部下たちはどんな顔をしただろう。 事情を説明し、何を言われても返す言葉なく。 虎を適当な場所に寝かせ、書類の山の中から始末書を取り出した。
始末書の提出、上からの厳重注意。 ついでにサミュの申請も出して、それだけはなんとか円満に 次週受け取りをする事で成約を取り付けた。 てんやわんやの一週間、息つく暇もない。
一週間の間に世話をすることも、勿論。 その手は寮にいる時よりほんの少しだけ優しく。
ポケットの中の紙切れ、そこへ連絡をするのは *もう少し先*]
(@18) 2013/12/23(Mon) 05時半頃
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うん。うん。
[サミュエルの言葉をただ泣きながら聞いていた。 瞳を交えずとも、胸に深々と降り注いでいた白い華は いつの間にか自分全てをサミュエルに変えていたから]
待つの…ずっと待つの……。
[キラキラと雪の夜明けの様な笑みを壁の向こうへ向けた]
(13) 2013/12/23(Mon) 07時半頃
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− 一週間後 −
[配膳口での会話を交わした後。 ホレ―ショーもいなくなっていた。
話の後で不安で不安で端末に問い合わせたりしたが ホレ―ショーと会う事は、話す事は 消息を知る事は出来ただろうか。
ただ、本当に1人になってしまった寮は寂しくて寂しくて。
端末を覗く回数は増えただろう。
寂しさに潰れなかったのは秘めやかな約束があったから。
何年経ってもいいから。 彼が迎えに来てくれる日が来ると信じていたから**]
(14) 2013/12/23(Mon) 08時頃
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測量士 ティソは、メモを貼った。
2013/12/23(Mon) 08時頃
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─凍える夜(一週間前)─
[受け渡しの邪魔をしないよう、 チアキの部屋を離れた後、 ティーはシーシャの部屋でおサボり中だった。
ベッドの上で毛布を被って横になり、 子供用の辞書をめくる。]
(@19) 2013/12/23(Mon) 09時頃
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[あい(愛) アイ(呉)(漢)
[訓]いとしい めでる かなしい おしむ
1 かわいがりいつくしむ。 思いこがれる。いとおしいと思うきもち。 2 あるものを気に入って楽しむ。 3 大事なものをはなしたくないと思う。おしむ。]
(@20) 2013/12/23(Mon) 09時頃
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[あい。
文字を目で追いながら 唇で音をなぞってみる。
子供用の辞書に書かれたそれは やけに簡潔で、シンプルだ。
もっと一途だったり、かけがえないものだったり ふかい、思慕をあらわすものだと思っていたし、 きっと大人用の辞書にはそう書かれている。]
(@21) 2013/12/23(Mon) 09時頃
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[寝台の上でころころしているうちに、 いつの間にかイヤホンマイクは外れていて、 フーからの通信を聞き逃した。
たぶん、逃げたい、という気持ちがあったのだろう。 濡れていない毛布の海は とろとろとした眠気を連れて来て、 抗うべきなのだろうが、ティーはそれに抗わなかった。]
(@22) 2013/12/23(Mon) 09時頃
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[あいと愛。 簡素と複雑。 子供と大人。
シンプルだったものに あれこれと余計な意味を足して なんだか貴重で尊いもののように思わせるのは そうあれかしと大人が望むからなのか。
あさい眠りにたゆたうティーの脳裏に 四文字のアルファベットがゆらゆらと揺れていた。]
(@23) 2013/12/23(Mon) 09時半頃
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[まどろみはじめていくらも経たないうちに、 ティーは目を覚ます。
社会人はそうそう逃避してばかりもいられないのだ。
まばたき二つのあと、ティーは飛び起きた。
やばい、減俸。]
(@24) 2013/12/23(Mon) 09時半頃
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[誰もいないと、という先入観で見れば、 動かない毛布の山はただの毛布の塊でしかない。
住人の去った部屋をモニターで見るフーに ティーのサボりが気付かれなかったのはそういうことだろう。]
(@25) 2013/12/23(Mon) 09時半頃
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[端末を見れば、 客の帰宅を告げる店員からのメールが入っていた。
胸の奥でなにかがさらりと零れ落ちる音がする。 毛布の海から眼鏡を拾い上げ、かけた。
透明な硝子レンズは、 なにもかもを氷の下に閉じ込める。
虚(から)っぽだった場所が、 虚(から)っぽに戻っただけ。
ただ、それだけ。]
(@26) 2013/12/23(Mon) 10時頃
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[多分、サボった罰に掃除のひとつも命じられるだろう。 言われる前にやってしまおうと、 自分で乱した毛布をたたみ、 辞書や、他にも床に落ちているものがあれば、 それもきちんと棚に戻した。
ホレーショーの部屋へ向かうフーと すれ違わなかったのは幸いか。
気は向かなかったけれど、 チアキの部屋へも向かう。 指先が扉に触れるのに、わずかだけ時間を要した。]
(@27) 2013/12/23(Mon) 10時頃
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─凍える夜─
[部屋の中央に、 一冊の画用紙と色鉛筆が並んで置いてある。 その横に、切り離された一枚の白。
入り口で、そこまでを認識して、足が止まった。]
…──。
[踵を返して部屋を出ようかと迷う背を、 まだ記憶に新しいチアキの声が押した。
「あとで、見てね!」 かれはそう言っていた。 約束した、とも。
きっと一生懸命描いたんだろう。]
(@28) 2013/12/23(Mon) 10時頃
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[距離が近づくと、 真っ白な画用紙はやっぱり真っ白なままで
あれ?
と思ったけれど、 もっと近付いたら、二枚重なっているのに気づいた。
何も描かれていない真っ白な画用紙の下に、 チアキの尻尾の色と同じ色の 茶色い色鉛筆で書かれた、 ちいさな文字の、おおきな手紙。
拾い上げて、 一番上に書かれた自分の名前を読んで、眼鏡を外した。]
(@29) 2013/12/23(Mon) 10時半頃
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[>>@13フーの前にべたんと座り、尻尾を揺らし、ふんふん鼻を鳴らしながら話を聞くが、やはり、何故フーがこんな表情をしているのかはわからない。]
知りたい、会いたい、話したい? それぜんぶやりたいことだぞ! イジメタ? いじめっこは、よくないことなんだぞ。
おれもっとフーのそばいたいし、手をにぎるの大好きだぞ? キスとかセックスも好きなんだぞ。
[フーの話す”好き”の定義に頷いては、それのどこが間違ってるのかと、首をかしげるの繰り返し。 けれど、続けられた言葉に、しょんぼり背中が丸まりかけた。]
……そうなのか。 フーは、誰も”好き”なれないのか……。
[向ける瞳は、自分に愛が向かないことへの哀しみよりも、誰も”好き”になれないというフーへの憐憫の方が強かったか。]
そんなの、さみしーんだぞ……。
(15) 2013/12/23(Mon) 11時頃
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[>>@15けれどやはりフーは”好き”を口にするので、またちょっと困惑した。 何が違うのか考えて、フェネック達のことを言われて、やっと、納得がいった。]
そうか! ともだちなりたい、たくさん遊びたいってやつだな!
[ただもしかしたら、少しずれている。]
ふへんてき? とくべつって、おれの、フーの”好き”みたく、ずーっと胸痛くて、苦しくて、会いたいのに会うとまた痛くなってっていう、へんなやつか? そしたら、フーが痛いのないのは、よかったんだぞ。
あ、でもおれも、痛いのもうなくなったんだぞ! 痛いのなくなったら、ものすごくあったかくて、うれしくなったんだぞ! フーが言ってたの、本当だな!
[辛い、哀しいがあるから、嬉しい、楽しいがある。 きっと今は、辛いと哀しいが、やっと嬉しいと楽しいになったんだと。]
(16) 2013/12/23(Mon) 11時頃
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[いっぱい練習したのだろう文字は 拙さは残るもののとてもきれいで、読みやすい。
すんなりと頭に入って来て まるでチアキが読んでいるように、 あの声で頭の中を流れてゆく。]
(@30) 2013/12/23(Mon) 11時頃
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[工場から出たことのないチアキにとって 低い天井の限られた生活フロアが、 かれの世界のすべてだったことは想像に容易い。 変わっていく不安に、よく耐えたと思う。
こわい、と零したちいさな声を、まだ覚えている。
自分が、ひとときでもその不安を 和らげられたことが嬉しかった。]
困ってなんて──いなかったよ。
[目の前にいない相手に、ぽつりと呟く。
怖がらせたくない。 不安を取り除いてあげたい。 寒さから守ってあげたい。 傷つけたくない。
考えていたのはそればかり。]
(@31) 2013/12/23(Mon) 11時頃
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[だからあの時、 縋るようなかれの問いに、頷けなかったのだけれど。
それを今も、かれのためには、後悔していない。 あの時頷いていても、何も変わらなかったと、 サムの選択を知らないティーは思う。]
(@32) 2013/12/23(Mon) 11時頃
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[前とおなじに戻っただけのはず。
なのになぜか、 前より広くなってしまったように感じる胸の虚(うろ)を、 吐息ひとつで誤魔化して、ティーは先を読み進む。**]
(@33) 2013/12/23(Mon) 11時半頃
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[>>@16恋人とか、愛玩動物だとか。 そもそも自分は愛玩動物で、何がおかしいのだろうと、きょとんと、烏羽色の瞳を見る。 特別な、大好きな人のそばにいられて、世話もしてくれると言ってもらえた。 先に聞こえた言葉に、ちょっとの引っかかりがなかったわけでもないが、今はそれより、嬉しいとあったかいが胸を占めていて]
(17) 2013/12/23(Mon) 11時半頃
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おう! わかったんだぞ!!
[今度はちゃんと、満面の笑みで言えた。 引き寄せられた頬に触れる感触が擽ったくて、ぴくんと小さく肩を揺らし、目を細め]
おれずっとずっと、フーのそばいるんだぞ。 フーのこと、おれ大好きなんだぞ!
[お返しに、またぺろりと頬を舐める。 頬から、ちょっと首を傾げて、今度は唇を舐めようとして……]
……びゃっ?!
[いきなり叫んだフーにびっくりして、ちょっと毛を逆立て、身を離した。]
フー、どうしたんだ!? 頭痛いのか? やっぱりサミュエルたち呼ぶか!?
[何かに頭を悩ませ出したらしいフーの様子に、またオロオロが復活した。]
(18) 2013/12/23(Mon) 11時半頃
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[その後、連れて行かれることになった研究ルームには、見たことのないものが沢山あって、ずっと好奇を刺激されっぱなしだった。 何かしら、壊したであろうことも否めない。
フーはいつもとても忙しそうだったので、仕事の邪魔をしてはいけないと、なるべく大人しく努めてはいたが、あくまで”虎基準”なので、その辺はお察しである。 何かしら、手伝えることはないだろうかと探しもしたが、何か出来ることは見つかったろうか。]
フー……、今日のたいへんなの、おわったか?
[仕事のあと、世話をしてもらう時に向けるのは、今までより数段蕩けた近褐色の瞳。 矢張り旺盛なものは旺盛だが、ずっと感じてきた”足りない”何かは少しだけ落ち着いてきたような気がする**]
(19) 2013/12/23(Mon) 12時頃
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―研究ルーム―
あ゛あ゛っ!!
[今日何度目になるか分からない声をあげた。 ここ一週間で声を上げることが多くなった、気がするのではなく確実にだ。 此処には寮にないものがたくさんある、そのぶん好奇心に抗うことはできないのだろう。 我慢はしている方だが、使い物にならなくなったものたちは蓄積されていく。]
噛むな走るな暴れるな大人しくしてろ。
[溜め息は重い。 重いが、そこに嫌悪があるわけではない。]
(@34) 2013/12/23(Mon) 12時頃
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うん、待ってて。
[今すぐに抱きしめて口づけたい衝動に駆られ、壁の存在を疎むと同時に感謝する。部屋で目隠し一枚だけなら、何しでかしたかわからない。 ヤニクの頬を流れる温かな涙を何度も拭って、笑み浮かべて]
(@35) 2013/12/23(Mon) 13時頃
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