273 魔性の病院【R18ペア】
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─ 病室 ─
[ 飢餓で目が覚めた。 空腹とは違う、乾きのような飢えだ。
呼べば黍炉は来るだろうか。 またオパールか彼の血を与えてくれるかもしれない。
──餌付け
そんな言葉が思い浮かんで意地になった。]
(*22) 2019/12/14(Sat) 14時頃
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[ 視線を向け、サイドテーブルにまだナイフが乗っているのを確認し、手を伸ばしてみる。 なんとか掴むことができた。
再び手を戻し、しばし銀色の刃を眺めた後、枕の下に隠す。
少しばかり気が紛れて、もう一度、寝付くことができた。 黍炉が戻ってきたときもまだ眠りの中にいる。*]
(*23) 2019/12/14(Sat) 14時頃
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[病室の中は、出てきた時よりも片付いていた。 おそらく、掃除の手が入ったのだろう。 サイドテーブルに何も乗っていないのを見て、うっすらと笑む。
寝台に近づいて覗きこみ、眠っているらしきを確認する。 彼の頬に掌を添えて顔を寄せ、綿の触れるほどの軽さで唇を合わせた。 紙の風船に息を吹きこむように、ふっと気を入れる。]
おはよう。 気分はどうだい?
[唇を離し、そんな言葉を掛けた。]
(*24) 2019/12/14(Sat) 15時頃
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[ 呼びかけられ、現世に舞い戻った。 目を開けば焦点の合わないほど近くに黍炉の顔がある。
朝も晩もないだろうに、おはようと言われた。 吸血鬼風の諧謔か。]
…不覚だ。
[ 頬に触れている彼の手の冷たさが心地よいのは、微熱でもあるせいか。 目覚めてしまえば、飢餓が爪をたててくる。]
今日の、治療計画は?
[ 不調と渇望を押し殺して視線を伏せ、予定を確認する。 いつまで彼を占有していられるのか、知るよしもない。*]
(*25) 2019/12/14(Sat) 16時半頃
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[視線を伏せるのは羞恥か矜持か。 今日の予定を聞いてくる彼の声には揺らぎを感じる。 やはりまだ調子がいいとは言えないようだ。]
口をお開け。
[軽い口調で命じて、手にしていたものを彼の口に押し込んだ。 滑らかな乳白色の、親指ほどの石だ。]
(*26) 2019/12/14(Sat) 17時頃
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私の国にはオパールと言えばこういうものしかなくてね。 おまえのように美しい色彩を纏うものはないのだよ。 取り寄せてみたけれど、口に合うかい?
[口を封じておいて、そんなことを問う。]
[それから彼の肌に触れ、何か所かを指で押し、関節を曲げ伸ばしする。 最後に膝を曲げて立てさせておいて、懐からもう一つ何かを取り出した。]
(*27) 2019/12/14(Sat) 17時頃
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やはり根本的に魔力が足りていないね。 無理もない。あの戦いで、あれだけのものを失ったのだから。 このまま動く訓練だけしても埒が明かない。 外から補ってやらないと。
[魔を魔たらしめている力が不足すれば、深淵から力が引き出せない。 力を引き出せなければ、魔力不足は解消されない。 堂々巡りだった。]
(*28) 2019/12/14(Sat) 17時頃
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まずはこれを。
[彼の足の間に手をいれ、温泉で指を入れた場所に小さな薬を押し込む。 薬はすぐに溶けて、速やかに体に吸収されるだろう。
薬が回れば身体が熱くなり、心の防御が下がって欲望が増す。 ひとことで言うならば、催淫剤だ。 加えて、挿入した近辺の筋肉の緊張を和らげ、柔らかくする効用もある。]
オパールだけでは足りないだろう? もっと効率よく回復する方法が、あるはずだよ。
[顎を捕え、顔を覗きこむ。 薄く笑み浮かべる瞳の奥が赤く輝いていた。*]
(*29) 2019/12/14(Sat) 17時頃
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[ 命じる声に身体が反応する。 深呼吸しようとする態で唇を緩めれば、鉱石の波動が舌に乗った。 黍炉の指を齧りたいとすら思った飢餓の衝動が引いていく。
大地が蓄えた力の結晶──
宝石としての価値や見栄えを自分の身体と比較されても聞き流せばよかったが、 わざわざ国から取り寄せたと聞けば、彼を見上げる。 言葉を封じられた口の中で月色のコモンオパールを滑らかに転がした。]
(*30) 2019/12/14(Sat) 18時半頃
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[ 滋養を与えられ、大人しく彼が身体を触診するのを見守る。 懐柔されたつもりはない。治療のためだと感じたからだ。
黍炉の見立てでは、魔力が足りていないのだそうだ。 確かに、影にエナジードレインされた怠さをもっと酷くしたような空隙がある。 体力の有無とは似て非なる虚無だ。
黍炉はそれも予想していたとみえ、薬を用意してきていた。 挿れられた場所は想定外だったものの、抗議する間もあらばこそ身体は薬を飲み込んでいた。]
(*31) 2019/12/14(Sat) 18時半頃
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[ 別段の痛みも違物感もない。 すぐに形が崩れたか。 オパールの方がまだしも硬い。
待つほどもなく、ふわっと熱風に煽られて身体が浮くような感覚に見舞われた。 顔を寄せた黍炉の目の奥が赤く輝くのを見、あの戦場を思い出す。
一目で惹きつけられた、あの紅──
示唆するように黍炉が囁く。]
(*32) 2019/12/14(Sat) 18時半頃
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[ 外から魔力を補う方法… 黍炉のような吸血の業はないし、影を操ることもできない。
戦う以外の才など…
困惑する様子を見つめる黍炉の笑みが、別人のそれと重複した。 優しく妖艶で情熱的な──
そんな、
確かに己の血の半分は淫魔の母から受け継いだものだ。 淫魔は他者の精気を吸い取って糧にする。性交によって。]
(*33) 2019/12/14(Sat) 18時半頃
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何を、 考え て
[ まだ残っているオパールが歯に当たって硬質の音をたてる。
考えてしまったのは、自分なのだけれど。*]
(*34) 2019/12/14(Sat) 18時半頃
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[見上げてくる彼の眼差しが変わる。 薬が効いてきたのだろう。 歯の間で鳴る宝玉が、彼の心を代弁しているかのようだ。]
おまえの体は知っているはずだよ。 どうすれば、足りないものを補えるか。
[シーツを剥ぎ、彼の肌を空気に晒す。 足元へ回り、足首を掴んで左右に割り広げた。]
(*35) 2019/12/14(Sat) 22時頃
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[膝立ちで寝台に上がり、自らの帯に指を掛ける。 温泉では溶かすように消した服を、見せつけるように脱ぐ。 帯を解けば、深紅の間から白い肌が覗いた。]
私の国には、房中術という技術があってね。
[足の間から身を乗り出し、彼の両脇に手を付いて見下ろす。 片手で彼の喉に触れ、指先を肌に滑らせた。]
(*36) 2019/12/14(Sat) 22時頃
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性交に関する技だけれども、単に快楽を追求するものではない。 陰陽の気を巡らせ、体内の気を整え、高めるもの。 すなわち、よりよく生きる為のものなのだよ。
その一端を、おまえに見せてあげよう。
[指に続いて唇を下ろす。 耳朶を、首筋を、鎖骨を甘噛みし、舌先で擽って、膚の下に眠る熱を呼んだ。*]
(*37) 2019/12/14(Sat) 22時頃
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[ 身体を覆っていたシーツを取り除かれ、素裸に剥かれる。 あまつさえ、足首を押し開かれて、立てていた膝の奥まで黍炉の目の前に暴かれてしまう。 肌寒いと感じてしかるべきなのに、体はむしろ熱っていた。
彼もまた帯びを解き、衣を落として一矢纏わぬ姿になる。 身をもって対等だと示そうとした──わけでもあるまい。]
(*38) 2019/12/14(Sat) 22時半頃
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[ 房中術、という聴き慣れない言葉に耳が吸い寄せられる。 漠然とした理解しかできなかったが、治療技術の一環であるようだ。
それなら、と心が揺れる。
矜恃を損なうことなく魔力を得られるだろうか。 淫魔は相手を喜ばせ、より多くの精気を啜るために手練手管を使い、あられもなく媚び乱れるものだと聞くが、自分にはそんなことは無理だ。 無理に決っている。
黍炉の声、その抑揚、何もかもが欲を煽るのを感じながらも、認めたくはなくて、寝具を握りしめた。]
(*39) 2019/12/14(Sat) 22時半頃
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[見せてあげようとの宣言とともに指先が喉に触れてくれば、びくと肩が揺れた。 生殺与奪の紙一重におかれ、感覚が研ぎ澄まされる。
続けて唇が下りてきた。 いつもの挨拶のように唇を啄むのかと思えば、横にずれて耳朶を咥え、下へと辿ってゆく。]
…黍炉…っ
[ どうしていいかわからず、名を呼んだ。 制止の声は喉元まで出かかっているのに、先を望む気持ちがそれを阻む。*]
(*40) 2019/12/14(Sat) 22時半頃
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ここにいるよ。
[名を呼ばれ、応えて肌を吸う。 禁欲を貫いてきた彼の体が熱に浮かされ熟れていく。 それを全身で味わう。
この手で見出し選び取り手間暇かけた果実を、今もぎ取る。 その瞬間を引き延ばしたくて、唇の雨を降らし、指先で肌を爪弾き、柔らかな場所を擦りあわせて互いの熱を高めていく。]
(*41) 2019/12/14(Sat) 23時半頃
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[荒い息が零れ、肌が湿り気を帯びてくれば、指を足の間へと向けた。 薬を入れた場所に触れ、十分に柔らかくなっていることを確かめる。]
おまえに私を注ごう。 存分に貪るといい。
[膝裏を捕えて持ち上げ、彼の体を折りたたむようにしてのしかかる。 自らの剣先で彼の秘門に狙いを定め、斜めに体重を掛けて押し破った。
ゆっくりと、容赦なく力を加え、奥深くまで貫き通す。 そこで一度動きを止め、互いの温度が均衡するのを待った。*]
(*42) 2019/12/14(Sat) 23時半頃
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[ ここにいる──と、黍炉はいたるところに唇を触れさせてゆく。 狼煙が繋がるように彼のもたらす熱は全身を巡った。
どうして、こんな…
相変わらず自力で動くことはできず、彼の為すがままだ。 けれども、不安や警戒は感じなくなっていた。 より切羽詰まった情動に押し流されて、短い呼吸を繰り返す。 その合間合間に、無音で黍炉を呼び、その存在を確かめた。]
(*43) 2019/12/15(Sun) 00時半頃
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[ 膝を抱え上げられ、のしかかられても、逃げる算段をすることはない。 遊色の滲む目に黍炉を捉え肯く。
これまでの甘い接触から一転した強引さで怒張した男根に貫かれて初めて、のけぞり、雄叫びをあげた。
薬の効果で痛みはない。 だが、自分が犯されているのだとわかって愕然とする。 房中術というのは結局、女夢魔と同じことをしろということだったのか。]
く──…、
[ 喘ぐ声が揺れる。*]
(*44) 2019/12/15(Sun) 00時半頃
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[肌を吸われる間は瞳に色を揺らめかせて期待を示していた彼も、貫かれれば雄叫びを上げて戦慄いた。 愕然と見上げる彼に微笑みかける。]
そう身構えるものではないよ。 感じてごらん。自分の体がどうなるか。 どこが気持ちよくて、どこが響くのか。
[教え導きながらゆるやかに腰を使う。 最初は小刻みに揺らして存在を確かめさせ、次第に大きく深く抽送を繰り返す。 急ぐことはない。今は、感じることを教える時だ。]
(*45) 2019/12/15(Sun) 01時半頃
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口は閉じないで。声を出して。 その方がより感じやすいからね。 気持ちいい場所があるはずだよ。こことか、こことか。 内側が熱くなって、痺れるような心地がしてくる。 その感覚を逃がさないようにしなさい。
私と、息を合わせて。 もっと、感じて。
[言葉に合わせて動きに緩急をつけ、角度を変えて内側を摺り上げる。 未踏の沃野に、存分に悦びの技を施した。*]
(*46) 2019/12/15(Sun) 01時半頃
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[ 騙されたというよりはしてやられたのだとわかっている。 あえて口にしないことはあったとしても、黍炉は嘘はつかない。 こんな事態に陥っているのも、自分のせいだと、唇を噛んで目を閉じる。
けれども、身体を貫く質量は熱く、あまつさえ黍炉は掻き混ぜるように腰を使った。 臓腑を棒で貫かれるのと同じようなものだと思えば、ひどく乱暴な行為だ。 痛覚が麻痺しているとはいえ、負担は大きい──
そう思って耐え忍んでいるものを、黍炉は異なる見解を告げる。]
(*47) 2019/12/15(Sun) 02時半頃
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[ 馬鹿な、と跳ねつけたが、繰り返される抽送は幾度も打ち寄せてきた。 狂おしさが募り、身体の奥が落ち着かない。
それに黍炉はこの方面においても熟練であった。 どこを攻めればいいか、その緩急をも心得ている。
波に攫われるように揺らされ、引き延ばされて、摩擦は火花を散らす快感に転じた。]
…っ! い…
[ 誘われるままに声が出てしまう。 後はなし崩しだった。]
(*48) 2019/12/15(Sun) 02時半頃
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[ 苦しいのに気持ちいい。切ないのに止められない。 後悔しながらも感じてしまう。 自分の中に、こんな素質があったのか。]
…う、 くぅ、 ああ── そこ、を
[ 自分の掠れた声を聞いてよけいに興奮してしまうのだから救いようがない。 惜しむことなく費やされる時間の中、 催淫薬で蕩けた肉体は欲望のままに捧げられ、理性は淫夢に溺れた。*]
(*49) 2019/12/15(Sun) 02時半頃
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[頑なだった彼も、揺さぶり煽るうちに蕩けていく。 最初に漏れた声が陥落の合図だった。
快楽に身を差し出し、動かぬ体を悶えさせて求める言葉を口にする。 欲望に全てを明け渡したわけではない証拠に、眉間には苦悩の印が刻まれる。それもまた彼の色香を増していた。
愛しい。 溢れる思いごと彼を抱きしめて、昂る熱を繰り返し叩きつける。]
(*50) 2019/12/15(Sun) 09時半頃
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[愛しさは満ち、欲望は溢れ、体を臨界へ導いていく。 背筋を灼く甘い衝動に耐えながら、彼の胸へ手を伸ばした。 今まで触れてこなかった快感の釦を指先に転がして、もうひとつ上るのを促す。]
ああ───…もういくよ。 おまえの中に私を解き放つよ。
全部、飲みほして……っ
[声を上ずらせて告げるのと同時に深く突きあげる。 彼への思いが熱く迸った。*]
(*51) 2019/12/15(Sun) 09時半頃
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