267 【突発】Sanatorium,2880【RP村】
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ちぃさな手に、おおきな鋏を握り、 好き勝手に伸びているしょくぶつの、 ほそい茎を断ち切っていく。
はじめての日だった。 それまで、 なんの興味もなかったというのに。
しょくぶつを葬るには 良い夜だと思った。
(*17) 2019/06/15(Sat) 00時半頃
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ぱつん ぱつん、 弾けるよに いのちの欠片が散っていく。
しょくぶつは 喋らないから良い。 ──── 否、 もしかしたら、 悲鳴が上がっているのかもしれないけれど、 にんげんみたいに 口はないのだし。
鋏の摩れる音だけの、 静かな 夜だった。
(*18) 2019/06/15(Sat) 00時半頃
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「 ずぅっと しずかで在れば良いとおもったんだ。 」
(*19) 2019/06/15(Sat) 00時半頃
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* * * * *
(9) 2019/06/15(Sat) 00時半頃
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[ どうやら、 うとうとしてしまっていたらしい。 並べて開いていたkarteを閉じ、背中をのばした。 たまには、仕事してるっぽさ、出してかないとね。
頬杖でこの調子では、 何も ぽく 無かったし、 同じく並んでいるものが、植物図鑑じゃあ……
──── そういえば、はなみずきの花言葉は durability……持続性、 であるらしい。 転じて、 逆境も越えて見せる愛 とか…… ]
(10) 2019/06/15(Sat) 00時半頃
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[ 愛 ねえ。
その辺の道端にあるよな木に言われてもな。]
(11) 2019/06/15(Sat) 00時半頃
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[ 碧が 図解を見下ろしている。 憎んででもいるかのように、 無感情に、
──── きっと 夢を見たからだ。
思い付いたように和菊のページへと送り、 絵で記された しらぎくの、書き込まれた花弁を撫で、
なんの躊躇いもなく、 頁に鋏を入れてしまった。
ほんは たいせつにしましょう。 そんな教育は欠片も受けちゃいない!]
(12) 2019/06/15(Sat) 00時半頃
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( ■ を切り取っちゃいけない、なんて 誰も教えてくれなかったのと おんなじに。)
(13) 2019/06/15(Sat) 00時半頃
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[ ───── 然して、 個室の前に居た。 すっかり切り取ってしまったしらぎくの絵と、 一応、 用件として 一杯の水とを、 片手に下げて 開け放たれた扉の前。
( 落ちた音に、 ノックもなしに引き放っていた。 )
すこぅし、 固まったのち、後ろ手に扉を閉め、 完全に そと と なかとを 断ってしまったなら、]
(14) 2019/06/15(Sat) 00時半頃
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──── ひつよう なくなっちゃった?
[ 絵よりもずぅっと ほんものが 名札よりも高い位置に座しているものだから。 紙一枚を適当に振った。
驚きは ──── うん、 していたのだけれど こんな性格をしてしまっているのだし、
ほら、 曲がりなりにも せんせいですから。 **]
(15) 2019/06/15(Sat) 00時半頃
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[ 角度を変えた。音の方。
"わたしの"しらぎくは陽を嫌っていたのか、 それとも 見えない根でもはっているのか、
窓の外を見ることも無く、 顔につられて すがたを見る、─── ふりをして。
その紙どうしたの、とか、 多分、言おうとしたのだと思うけれど、 ]
(16) 2019/06/15(Sat) 01時頃
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─── ええ、 そうね。
[ それだけ言った、 ほんとうに たったそれだけなのに、 また、口に異物感があったから、 舌から"種"を取ってしまって、 ハンカチで拭き取ってしまいましょう。
まったく何処からうまれてるんだか。 ]
(17) 2019/06/15(Sat) 01時頃
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面白いこともあるものね、せんせい。 植物って言われ続けると、何時かこうなるみたい。 ─── ばからしい。
(18) 2019/06/15(Sat) 01時頃
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そんな閉めっぱなしにしないで、報告したら? "たいへんな患者さんがいます"って。 せんせい、何時もやる気無いんだもの。 いっそ 担当医交代してもらったら如何かしら。
─── 嗚呼、それより片付けないと駄目かしら、 片方しか見えないからまったく嫌になるのよ、……
[ 閉ってしまった 扉を示し、
……多分、終わりが分かったから、わたしは、 何時もよりずぅっと饒舌だった。 楽しさすら、あった。 何年こんな場所に居たか確かじゃあないから、 永遠に眠れるその時が恋しくもあった。 ]
(19) 2019/06/15(Sat) 01時頃
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[ そうなれば、きっと、永遠に静かでいられる。
……つちのしたで、ずぅっと、 ]
(*20) 2019/06/15(Sat) 01時頃
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[ ベッドの脇へ のんびりと降り、 適当なタオルを引っ張り出して、
─── バランスが狂うわ、とか、ぼやきつつ、 ぼやいている最中も転びかける有様。
それでも、 ほんとうに、気まぐれに、適当に、 片目の端で紙を 花の絵を捉えてしまったから、 ]
(20) 2019/06/15(Sat) 01時頃
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……それとも なあに、 その絵と、"これ"、比べてみたいの?
[ 二本の指で、鋏をつくって、 目元、名札の根元を ばつん !と 切ってしまう 仕草。
─── 切ったらどうなるのでしょうね。 わたしですら ちっとも分からないけれど、 まぁ 切った途端にわたしが"散った"としても 文句一つも言わないでしょう。 ]**
(21) 2019/06/15(Sat) 01時頃
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白菊会 ミサは、メモを貼った。
2019/06/15(Sat) 01時頃
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[ 何故、 閉ざしてしまったのか、 と あのときの己に問うたところで、 きっと 明確なものなんてひとつも出てきやしないが、
唯、 しずかで在って欲しいような、
それだけの 事だったろう。]
(22) 2019/06/15(Sat) 20時半頃
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まぁ、 確かにやる気はないし、 ぶっちゃけ、 にんげんのこととかよく分かんないけど────、
おれが 担当って 感じ、 するでしょ?
[ 紙ぺら一枚掲げ、 視界の内で 目元の名札 と 並比べて、 ・・・ やっと出逢ったほんものに、似つかわしくない興味色!]
(23) 2019/06/15(Sat) 20時半頃
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「 しょくぶつになれるのなら、 いっとう、よいとおもいます。」
( 鉄の味ばかりを伝える、短い■に慣れず、 )
(24) 2019/06/15(Sat) 20時半頃
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──── にんげんのいちぶって、 簡単に切っちゃいけないんだって。
[ いつか を 思いだしつ。 その白の花弁が、にんげんのいちぶかどうか、 わからないとしても。 どのようにして其処に居座ることにしたのか、 そればかりは気になるけれど、 切って退かそうとまでは 思わなかった。
──── 間引かれる葉芽とも、 手折るべき花とも、ちがう なにか。
そう言った認識。 例えば、花ひとつおとしたところで、 散り死ぬしょくぶつで無かったとしても。 ]
(25) 2019/06/15(Sat) 20時半頃
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ねえ、 それ、種?
[ ベッド脇、かんじゃさまの行方を目で追いつ、 ( 転ぶ脚には最低限の手助けをするが…… その間も碧は唯、 しらぎくを見ていた。 )
気紛れに、 てきとうに、 落ち着いた辺りで水要る? と 聞きながら 結局捉えたのは、 しょくぶつの痕跡。
床へ向かうだろうタオルを受け取り、 ちぃさな水たまりへ 投げた。 ]
(26) 2019/06/15(Sat) 20時半頃
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全然しないわ。 [ 白菊の浮く水たまりの前で。 ]
(27) 2019/06/15(Sat) 21時半頃
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[ "こんなの"、 腫瘍みたいなものじゃあないのか。 色々なことを知らないにんげんだったから、
─── 嗚呼、否、もうはんぶんは違うけれど、
間引かれようが手折られようが愛でられようが、 苗床にはまったく関係の無いお話だったので、 むしろ切ってもらったほうが、 ……有り難かったかも、しれず。 ]
(28) 2019/06/15(Sat) 21時半頃
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……種、だったら 何。
[ 舌先を出した。 ちぃさく乗った、種を示して。 興味の色が 正直に言って嫌だったので、 見せた後、そのまま適当に飲み込んでしまおう。
もしかしたら明日のわたしから この種の花が咲いているかもしれないけれど、 やっぱり どうでも良いお話で、 ]
(29) 2019/06/15(Sat) 21時半頃
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[ のみこんで、 ]
[ ああ すこし、おなかがすきました。 ああ なんだか、のどがかわきました。
きっとこう思うのだって前触れは無く、 確かに昨日までのわたしと違っていたのですから、 なんだかひどく おそろしかったのです。 どうでもよかったのは事実ですが、 変わりゆくことに慣れてはいませんでしたから。 ]
[ ─── 嗚呼 でも、おもうのです ]
(30) 2019/06/15(Sat) 21時半頃
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[ ─── だから、 彼方へどうぞお帰りください。
そしてその時に だぁれも居ない病室で 第二の庭園でも作れば良い。
空になった器へ白菊を入れ、 閉じられた扉を指さし、 渡すと同時に突き返そうと。 ]
(31) 2019/06/15(Sat) 21時半頃
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要らないから、此も持って帰って。
[ 新しい方の器を 片目で見遣って。 居心地が悪いことを 隠しもしない 顔。 ]
(32) 2019/06/15(Sat) 21時半頃
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きく って、 発芽率悪いんだって。
[ 喉奥へ消えてしまった 種の行方を思いつ、 ]
(33) 2019/06/15(Sat) 22時半頃
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[ 全く意に返してもいなかった。 空の器も、 満ちた器も、 突っ返っていたというのに。
わかいおとこの わるいところ。 まったく人のことなんか気にしちゃいない! ]
(34) 2019/06/15(Sat) 22時半頃
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