18 Orpheé aux Enfers
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[―――――――言いかけた言葉は音>>360によって途絶える。 聞き慣れた筈の音色。聞いたこともない音色。
間違えるはずはない。それは彼の]
……………………。
[ナツキちゃんが、自分の音が嫌いなのは知っていた。 でも、僕は彼の音が好きだった。 ナツキちゃんの音を嫌いだと言ってあげた方が、彼が納得するのではないかとも思っていた。 でも、言えなかった。他のことみたいに、嘘はつけなかった。
だって、やっぱり好きだったから。 プラスチックの音だって、関係無い。彼の奏でる音だから、大好きで、大切で。 酷く我儘な想い。まるで、小さな子供みたい]
(400) nanami 2010/09/11(Sat) 22時半頃
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[鳥は、飛び立とうとしている。必死に、必死に] [彼は変わろうとしているのだ。…傷つきながらも]
――――――――――行こう。
[音のある声と、音の無い声>>365は重なった。 差し出された手を、そっと握って。
向かうのは大練習室。 聞いたことのない音を奏でる彼は、どんな顔をしているのだろう。 一体彼に、何があったのだろう。
知りたい想いと、知りたくない想いと。 それでも向き合えたのは、傍らにいてくれた温もりのおかげ]
(401) nanami 2010/09/11(Sat) 22時半頃
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―大練習室―
[その光景に、圧倒される。 今まで押さえつけていた感情の全てが、溢れだしたような音。…引き込まれる音。 細かい技巧の面で言うならば、お手本とはほど遠かっただろう。それでも]
ナツキちゃん……。
[思わず、声が零れる。 音を唄わせる彼は苦しそうで、―――けれど、何処か満たされているようにも感じられた。
これが本当の彼の音だったのだろうか。 人は変われる。変わったのだ、彼は。 なら、変われるだろうか。 出来るのだろうか、僕にも、――――――…]
[伸ばそうとした腕は、縋るためのものではなく] [眩しい彼に、ただ、触れたかったから]
(402) nanami 2010/09/11(Sat) 22時半頃
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[やがて響いた、謝罪の声。 僕は静かに息をのむと、顔を上げた]
……………………な、なにが?
[とても真面目な顔で言いきった。 残念ながら、彼がこの事件の犯人だという話は一切聞かされていなかった。 今の状況を考えれば何に対する謝罪かなんて予想がつきそうなものだが、だって、演奏に圧倒されてしまって頭なんてほとんど働いていなかったわけで…]
えっ、……ええっ、……。
[凄く空気を読めていなかったことにだけは気づいて、おろおろと身を引いた。 周囲の視線が痛い。とても痛いです。 でもそんな中、申し訳なさそうに此方を見つめる視線もあった。スコアと楽器を盗んだという誤解が解けたのだろうか。漸くそう思い当たって、ゆるりと瞬いた]
(403) nanami 2010/09/11(Sat) 22時半頃
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ナツキちゃん……。
[僕は何も知らない。 彼が起こしたことも、その理由も、謝罪に至る経緯も、彼の心に起こった変化も]
演奏、素敵だった。 ナツキちゃんの音、大好きだよ。
[だから、それだけを告げて微笑む。 其れは少しだけ、大人びた笑みだった**]
(404) nanami 2010/09/11(Sat) 22時半頃
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薬屋 サイラスは、メモを貼った。
nanami 2010/09/11(Sat) 22時半頃
薬屋 サイラスは、メモを貼った。
nanami 2010/09/12(Sun) 00時頃
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―文化祭当日―
[―――――――屋上に高らかに響くのはヴァイオリンの旋律]
[盛況に沸く文化祭当日に置いて、その音はざわめきに紛れて。 …聞いた者は果たしていたのだろうか]
[携えたヴァイオリンに送る眼差しは、優しく。 今まで演奏中に見せていた冷たく鋭いものとも、お客様用に見せる愛想の良い微笑みとも違っていた]
[メールの着信音に気づけば演奏を止め、穏やかに顔を上げる]
(430) nanami 2010/09/12(Sun) 01時半頃
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[結局何だかんだでセシルと合流して、向かったのは料理サークルの喫茶店]
――――――…あ。
[其処で見かけた「美女」 去年の文化祭で、トランペットを吹いていた面影が重なる。少しだけ胸がちくりと痛いのは、きっと気のせい。 妹さんかな、とセシルが言えば、え、そうなのかな、と納得しかけてしまったり]
セシルー……?
[まさか彼が僕のメイド姿を見たがっているなんて思いもしない。に、似合わないんじゃない、かな!]
(432) nanami 2010/09/12(Sun) 01時半頃
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―コンサート会場―
[南高校メンバーでの音合わせは上々で、 少し気負いがちなドナルドをからかって和ませたりして。
ステージ前の緊張感は、いつだって同じ。 でも、今回は特別だった。 だって、今日は、僕の、――――――]
[幕が上がる。僕の顔には自然、笑顔がこぼれていた。 眼差しだけは真剣に、ヴァイオリンに向き合って]
[旋律を刻む彼の楽器は、生き生きと唄う。 周囲の音を心地良いと感じながら、もう、あの苦痛は感じなかった。 合宿で彼は知った。自分の音を大切に思っていくれる存在を。 そうして、強く願った。彼らと同じ場所に立ちたいと。 踏み出すのに必要だったのは、きっとたった一つのきっかけ]
[―――――彼は、初めて、音を愛するという本当の意味を知る**]
(433) nanami 2010/09/12(Sun) 01時半頃
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薬屋 サイラスは、メモを貼った。
nanami 2010/09/12(Sun) 01時半頃
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