158 Anotherday for "wolves"
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あんたの住んでるとこは、どんななの。
[と。 不意に、問うた。
単純な興味と。 結果は知ってるのに、姉さんがいれば。と。 そんな素朴さで聞いた気がする。 ]
…… 。
そこは、 …… ―――。
もしかして。
[呵]
[狗は、目を丸めてから。 驚愕に開いた猫目を綻ばせた。]
(197) 2015/05/12(Tue) 00時頃
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[一度だけ。 こちらに来て、 最初に訪れたことのある村の名を出して。 ああ。 やっぱり。
と、分かれば、 たぶん。 『母さんの村だ。』と、ぽつり。 譫言のように、答えたかもしれない。 母 ―― モニカを、知っていたかは。 知らないけれど。
他にもすこうし、話しこんでから。 その内、時間というものは早いもので。]
…… また。 ――― 泊まりにでも行かせてもらうよ。
(198) 2015/05/12(Tue) 00時頃
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[普段は、そのまま二度と会わないのだが。 思う。闇雲に探すよりも。
(永遠に見つからぬも) 姉さんを探すならば。 母さんの遺言の先。
あの小さな村に居た方が、 きっと見つかるのではないか、と。]
[だから。
宿の主人を尋ねるついでに、 姉を捜すために。
幾度となく、 時には多めに代金だけ置いて 風のよに 現れては、消える。
そんなことを、繰り返した。]
(199) 2015/05/12(Tue) 00時頃
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[――― そうして。
一年前。 この村に住み付く事になっても。 縁が近くなることは無く。 逆に遠くなった気さえするが。
それでも。
時折。 ごく、稀に。 風のように現れ。
その時は、意識を飛ばす程飲むことも。 荒れることもなく。 かつてのように去っていくことが多かった。*]
(200) 2015/05/12(Tue) 00時頃
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2015/05/12(Tue) 00時半頃
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─ 現在/集会場出口 ─
[スティと、ルーおじさん。 ふたりの、短い因果の邂逅。>>171
その奥の棘を覆うように 浮かべられた 『平常』。 その仮面のような、優しげな笑みを。
猫は、ただ。 茨を避けるよう、 触れずに、そっと。見ている。]
……ふふっ、
嬉しいなあ、そう言ってくれるのは ルーおじさんだけだもの。
『他のやつは』 みいんな、 ケチ臭いことを言うからねえ。
(230) 2015/05/12(Tue) 01時頃
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[軽い愚痴を含んだ響きを 空に零す。
腕を広げて 緩い瞬きを残しながら 含めた その『皆』には、 紛うこともなく、琥珀色も入っている。
けれど、目に見えた罠を踏まぬように、 そっと遠い暗喩に、無意識は変えた。]
…… うん。
[狗の少年の時よりも。 一見 遥かに、 猫は、大人びた色を失くしていたが。
それでも 見つめる天の蒼に帯びる やっと年が追いついてきた目は、そのままだった。]
(231) 2015/05/12(Tue) 01時頃
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[不気味な程 不吉な程に 紅を醸した空の下。
帰路につく 母と年近い彼を追いながらも。 どこか 本当の父(…ワタシたちを棄てた。) よりも、父のよに影を重ねた折。 ]
酒が?
[笑みを含めた彼が話す耳の痛いハナシ。>>220
猫は、心当たりに 苦味を帯びた笑みを浮かべた。]
(232) 2015/05/12(Tue) 01時頃
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…… こころを、ねえ。
… なら。 ワタシはまだ、楽しいユメを見る機会を みすみす見逃してるのかなあ。
[はは、 っ
いつものようで、すこし自嘲に乾いた。 ちいさな笑声を漏らして。
血溜まりのように、 いやあな夕焼けを見上げる。]
お。 いつ振りだろう、ルーおじさんと飲めるのは。
(233) 2015/05/12(Tue) 01時頃
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それじゃあ、 …面白い噺なんかじゃあないかもしれないけれど。
…… ある、極東の貧村の 御噺でよければ、御聞かせしましょーかねえ? [まだ、たぶん。 彼にも話していなかったはずの、 遠い遠い 雪降る故郷を思い出して。 (母さんが死んだ夜の夕も、こんな空だった)
猫は、渦巻く今の村より 遥かの距離を抱いた場所の噺を と。 芝居がかった調で一歩。
大股で 彼の前へ、跳ねながら。 くるっと 首だけ向け。
微かに角度をつけて、問うた。]
(234) 2015/05/12(Tue) 01時頃
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[どろり、と朱の染めいろを そのまま落としたような空。
まだ 夜が深まるまでは早い。
――― 酒は、良い夢を見るために。 今日は控えめにして。
今宵は、自警団として まともに働くとしようか。 ]
[そんなことを、こころに思った。 *]
(235) 2015/05/12(Tue) 01時頃
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[中程まで、来たあたりだろうか。
宿が近くに見えれば、 猫は 『あ』 と。
短く、声をあげる。 ]
それじゃあ、 ワタシは夜の見回りの準備を 先にしてくるから。
後で、寄らせてもらうねえ。
[『こんな時だから、 偶には働かないと』 なんて。
のたまわっては、ひとつ。 準備なんて、ランタンや念の為の武具を 取ってくるくらいのものだけれど。]
(243) 2015/05/12(Tue) 01時半頃
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[それだけを告げると、ひらり。
手を振るうと、 一旦診療所の方 ―― の近くに拵えた、 裏手の小屋へと向かった。 *]
(246) 2015/05/12(Tue) 01時半頃
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2015/05/12(Tue) 01時半頃
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― → 診療所/裏手近くの小屋 ―
[あかい あかい、
戦場の臭気がしそうな空の下。 道のりを辿る歩調は、緩やかに。]
[でも。
もうすぐ、大好きな夜の帳が落ちる。 海の底を煮詰めたような群青が、 深淵の闇を覗いたような漆黒が。
赤に連なるように、 グラデーション・カラーになっていた。
けれど、どこか。 差し始めた夜の色さえも 不気味な奈落に 吸い込まれそうに思う。]
(296) 2015/05/12(Tue) 15時半頃
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…… 今日は、
月の出る日だっけねえ。
[薄い月は、 水で薄められていない原色に隠れて。 天の蒼が追う限り、みつけられなかった。]
いやあな、色。
星くらいは、 綺麗に見えるといいんだけどねえ。
(297) 2015/05/12(Tue) 15時半頃
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[嫌なことのあった日は。 いつも、北の天を見る。 北極星と柄杓の娘たちが昇るには早いし ワタシたちの星は、未だない。
――― (『アル』)(「カイド」)
呼び合うふたごの聲が 聞こえて、
(…『ワタシ』じゃない、)]
[ 猫は目を細めた。 ]
(298) 2015/05/12(Tue) 15時半頃
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[ ―――『アル』でも。 『アルカイド』でも無い。
昔からの愛称である『アル』では無い、 『 』と呼ぶひとは。
きっと、もうこの世にはみんないない。 あの貧村の住民も。
どれだけ、飢饉から生き延びただろうか。 そもそも『捨てられた』存在には、 関係のないことだろうけれど。
――― いつか。 ベネの本屋で気紛れにとった、 兄妹のものがたりが。
なんとなく、 近く感じたのを思い出した。]
(299) 2015/05/12(Tue) 15時半頃
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[星のものがたりではない。 そう ほんの、手を触れた場所にあった本。]
…… なんて、名前だったっけなあ。
(…お菓子の家も。 わるい魔女を殺す手段も、 帰れるような家も、
待っててくれる父も。 …… ワタシたちには、なかったけれど)
[たしか、星の本に紛れさせて。 こっそり。本棚に置いておいたはずだ。 あとでまた、見てみようか。
なんて思いながら、 粗雑に拵えた小屋の戸を きい と、 押し開ける。 すこし、埃っぽい。]
(300) 2015/05/12(Tue) 15時半頃
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[小屋に放っていた黒い革の鞄に、 ランタンをはじめ、
夜警の道具を放り入れる。
…… こんな時だから、 人間の自警団の当番は、 仕事を疎かにするかもしれないけれど。
昨夜も、『明日は変わってくれ』と
押し付けられたのを、 おもいだした。 ]
『ルール』を守らないひとはやだよねえ。 まったく、さあ。
(318) 2015/05/12(Tue) 16時半頃
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[――― …… また。 隣村の話を思い出しながら、 嫌悪に身を焦がすよう。
独りごちり、 は。 誰も居ない世界で、息を吐く。
肩から鞄を下げれば、 ちいさな ちいさな ワタシのセカイの端。
花屋で買った、 紫苑の花が枯れているのが見えた。]
(319) 2015/05/12(Tue) 16時半頃
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……。
[それに、黒い睫毛は緩慢に揺れ。
無言のまま、 戸を閉めると。
そのまま、はずれから宿の方へと歩き出す。*]
(320) 2015/05/12(Tue) 16時半頃
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― → 宿 ―
[道中、誰かに会う事はあっただろうか。 会えば、すこうし噺をしたかもしれない。]
[黒い、鞄を揺らす。] [最中、不意に鼻がくすぐったく感じて。] [くしゅんっ]
…… っは、 誰か噂でもしてんのかい?
なあんて、
[へら。
鼻を撫で。 わらい、思い出す。 >>314『変われば』ということば。]
(331) 2015/05/12(Tue) 17時半頃
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…… 変わる、か。
( …… 変わる。 ) ( 変わってしまうことは、。 )
[宿の主人にことばを返した時は 変哲なく 『そうだね』と。
ふ と 普段と変わらない 笑みを返しただけだった。が。]
[猫は。変わることが、怖かった。] [譫言のように、呟くいろに。 普段はみせない、怯えすら孕んでいた。]
[変わって、変わって。] [ワタシではない。 別人になったら。どうしよう、と。]
(332) 2015/05/12(Tue) 17時半頃
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[噫。]
[でも。]
――― いい夢をみられるなら。
悪いゆめを見なくて済むなら、 …… 変われた方が
変わった方が、いいのかもね。
(「……本当に?」) (『……ボクとの(わたしとの) 思い出よりも。それは、いいこと?』)
(それは本当に。 『わたしたち』?)
(333) 2015/05/12(Tue) 17時半頃
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…… っ、
[眩む。
ひびいた聲に、頭がふらり。 揺れる感覚をして、眉間に皺寄せ。 頭を抑えるも、 ひとつまたたきの間。]
[何か、大事なことを思い出しそうで。 ――― 忘れたまま。 ]
…… わからないよ。
(いいも。) (悪いも。)
(334) 2015/05/12(Tue) 17時半頃
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…… 変わってみなきゃ、ねえ。
[呵。]
[普段はカレイドに返さぬ声を、 気紛れに吐き。
そのまま、宿に辿り着けば、 久々に 戸を押す。]
[カウンターに陣取って。 猫は主人が居たならば、
変わらぬ薄い笑みで、 手を ひらり 泳がせ。 ]
(340) 2015/05/12(Tue) 18時頃
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来たよー、ルーおじさん とりあえず、そーだねえ。
まずは、エールを一杯。
[前に来た覚えがある時よりも。 人の姿が少ないのは、そりゃあそうか。
それでも特段気にすることなく、 革の鞄を足許に、乱雑に置いた。
それから、 中を見回す。]
(341) 2015/05/12(Tue) 18時頃
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[見渡して、一点。] [>>322赤毛が見えた。]
[猫は、目を細める。] [嫌いなわけじゃあない。
ただ。すこうし、 (いや。…それなり、にかもねえ) 纏う気が苦手なだけだ。]
[幾度か、酒場でも見た事がある。 武勇を。武功を。
冗談めかしく、幾分大仰な肴にして。 語っていた時に、ちらり。見掛けて。
その度に視線は泳げど、 声はちいさくなっていたのを覚えている。]
(342) 2015/05/12(Tue) 18時頃
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[渡鴉が猫を知らぬように。 猫もまた、渡鴉を良く知らない。
傍に居るベネにも ちら と、蒼を添わせながら。
まさか、さっきのくしゃみの原因が 偶々か必然か。
本当にワタシのことが話されてるとは (よもや、渡鴉に)思わないから。
椅子に腰かけたまま、 ちらり。 見つめていれば。 二人に、気付かれることはあっただろうか。 *]
(343) 2015/05/12(Tue) 18時頃
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2015/05/12(Tue) 18時頃
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[ぱちり。]
[アクアマリンと、 オブシディアンの二色が衝する。>>353
噂に導かれたか 否か 猫には その言の葉の風は、 届かなかったが。
『あ』 と 短い音をあげて、 柔らかい色にブルーを和らげた。]
やあ、ベネ。さっきぶり〜。
きみも、
…きみたちも、飲みにきてたんだねえ。 寄り道かい?
(358) 2015/05/12(Tue) 21時頃
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[一度、小屋へ戻っていた ワタシよりも早いから。
そんなことを、なんとなく推測しながら 集会所の この村の 今取巻く空気を吹き飛ばすように、 軽快にわらって。
ちら。 赤毛を一瞬みてから、 息を吸う間のあと。 『きみたち』と、言い直して。
告げられた入荷情報に、耳を傾ける。]
(359) 2015/05/12(Tue) 21時頃
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