256 【R18-BL】もうじき聖夜だってのに!
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─終わりと始まりの間─
[一度読んだ本をゆっくりと捲る。 本の中は夏、悩んだり、離れたりしながらも男女は結ばれていく。 流行り出した歌のような結末じゃなく。
キラキラしていた。 雪のように、光の粒のように。
その恋愛模様自体には、やはり何度読んでも共感はできない。 俺が惹かれたのは、“ここに描かれなかった人”が どんな風にこの恋愛を見ていたか。 作者が何を想いこれを書いたか。 それが実体験なのか、空想なのか、つい少し前まで知らなかったけれど。
やがて軋む足音と、本を閉じる音が重なり 一日の狭間にノックの音が小さく響く。]
(51) anbito 2018/12/27(Thu) 10時頃
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[なるべく焦らないようにドアノブに手をかけた。 立て付けの悪い扉を開けた、その向こうには たった数日居なくなっただけの姿があった。]
、…おかえり。
[落とされた言葉は、ただいま。 ならば返すのは、おかえり。 話さなければならないことがきっとたくさんある。
冷静でいなければ、大人らしく、『俺』らしく──]
(52) anbito 2018/12/27(Thu) 10時頃
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うるせえ、俺はえっちだよ!
[被せられた濡れ衣、いえいえ事実です。 寝惚けながら首あむあむしちゃうような男ですからね! そんなやり取りも心地よい、他とは違うリズム。 甘いでもなく苦いでもなく。]
お、だったら。
[相手の言葉に何かいいことを思い付いたように手のひらを打つ。 そして棚からコーヒーポーションを取り出すと小さな器に何個か開け そのなかにシロップを入れて手早く混ぜた。]
(55) anbito 2018/12/27(Thu) 14時頃
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[苦い珈琲ゼリーは作り直さなくちゃ甘くはならない。 人も同じ、生まれ変わらなきゃなにも変わらない。
──ひとりなら。
苦さを包み込むように、引き立てるように 甘いミルクが少しずつ落ちていく。 柄にもないことを思いながら、それはきっと俺なりの変化で。 聡いこいつは、わかっていたのだろう。]
(56) anbito 2018/12/27(Thu) 14時頃
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[意外な言葉に一瞬目を丸くする。 それから、ものすごく困った顔をして。 「あーーーーーー」とえらく延びた意味のない声を漏らし。 端正な顔をくしゃりと微笑ませ。
本当に柄にもなく。 ほんの少しだけ、頬を染めた。]*
(*5) anbito 2018/12/27(Thu) 14時頃
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見つけた。 っつか、近くにあったみたい。
(*6) anbito 2018/12/27(Thu) 14時頃
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管理人さんもオトコノコだからさぁ?
[残念ながらこのアパートに住むみんながみんな、オトコノコだが。 じぇらぴけの魔力はあくまでも増幅効果を及ぼすだけでしかない。 元々のえっちさに左右される。…と思う。maybe.
混ざりゆく白と黒が生み出す新しい色。 スプーンを添えて、食ってみと差し出す。]
(59) anbito 2018/12/27(Thu) 16時半頃
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あーはーは。 動揺しすぎー。
[なんだかぎこちない曖昧な言葉が返る。 朝と夜の狭間の物語はまだ読み終わっていないけど。 これからどうなるのか、未来を予測することはできないけど。]
会えてよかったよ。 ………蓮にもな?
[38年目にしてようやく、気付いた。 恋だけでない『すき』の大切さにも。 自分が寂しかったんだってことも。]*
(*8) anbito 2018/12/27(Thu) 16時半頃
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─1年後のX'mas─
いっ、てぇ〜…
[甲高い肌を打つ音が喫茶店に響き渡る。 頬への痛みは追って後から。 目の前の女性は振りかぶったでもってそのままに、此方を睨んでいた。
ビンタを食らったのは今年で何度にのぼるだろう。 時には頭からオレンジジュースを被ったこともある。 今までのことを思えばそれらは当たり前のことで 寧ろ夜道で後ろから刺されたりしてないのが奇跡だったとさえ思う。 大袈裟かもしれないが、本当に。]
最低な男だったよね。 ごめん。
[こんなことで過去が清算できるとも、思ってやいないけれど。]
(90) anbito 2018/12/30(Sun) 23時頃
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君にも嘘ついてた。 好きだ、も。愛してる、も。 与えられたから返してただけ。
[そこに笑顔はない。 ヘラヘラとした仮面はもう、被れなくなった。 初恋が実ったこのときに奪われ壊されてしまったから。]
瑠璃ちゃん、気付いてたんだよね。 なのに俺が聞かなかったし、気付かなかった。 君のこと傷付けて、ごめん。
[今も、こんな男に平手打ちする優しさを持つ彼女の手のひらは 慣れないことをしてきっと痛いだろう。]
(91) anbito 2018/12/30(Sun) 23時頃
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……ごめんね。
[その細い手に触れることも、しない。 その手に触れるべき男は、俺じゃないから。 机に頭がつくほどに頭を下げた。
やがて聞こえてくるのは溜め息。 そして、何か憑き物が落ちたような、笑い声。 叩いてごめんなさい、と。 心優しき彼女はそんなことまで、告げて。]
(92) anbito 2018/12/30(Sun) 23時頃
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───えっ!?
あ、あーー、ぁ、……ま、ぁ。 そうだね、………う、うん。
わかってるよ。 離すわけないだろ。
(93) anbito 2018/12/30(Sun) 23時半頃
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[「好きな人ができたんでしょ。 ヤスユキくんにそんな顔させられるなんてすごい人ね。 でも、最低なヤスユキくんのこと見ててくれる人なんだったら ちゃんと大切にしなきゃだめだよ?」
涙を浮かべながらそう言ってくれた彼女に、 本当に本当に、ほんとうに、頭が上がらなかった。
こんな人を傷つけた俺は最低な男だけど 彼女の幸せを願うくらいは、赦して欲しい。
もうきっと、本屋に足を運んでも睨まれることはないだろう。 代わりに消えない痛みは、ずっと心の内に。]
(94) anbito 2018/12/30(Sun) 23時半頃
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さってと………。
[ぐっと背を伸ばすと、寒空を見上げた。 今年もオンボロアパートは、野郎だらけのクリスマスパーティーが行われる。 今回の発案者は俺じゃない。 外国語禁止だというパーティーに赴く前に、メールを一通だけ送る。]
(95) anbito 2018/12/30(Sun) 23時半頃
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[ふ、と微笑んで。 高く済んだ、眩しい空の青を見上げた───]**
(96) anbito 2018/12/30(Sun) 23時半頃
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