18 Orpheé aux Enfers
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……とにかく。
[ピアノの椅子の背もたれに肘を乗せ、半身を預けるように座り直す。]
全ての決断を他力本願で行うことについては、 僕は賛成しかねます。
あなたはまだ若いし、才能もある。 だからこそ、その場の感情に流されるべきではない。
ベネットさん。 あなたが見つめるべきは、夢や幻想の類ではない。 「今ここで、何ができるか」……ですよ。
(@30) 2010/09/07(Tue) 03時頃
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あなたがいつか僕に聞いたことに、今お答えしましょう。
あなたは僕が挫折など知らないという妄想をしていたが、それは違います。
学部を出てから博士号を取得するまで、僕は7年掛かりました。 名目上は4年ないし5年で終わるカリキュラムであるというのに、ですよ。 師事する先生を途中で変えてまで。
それでも、僕は僕であり続けました。 僕にしかできないことがあると、信じ続けていましたから。
あなたは今、人生の岐路に立っている。 だから僕は……
(@31) 2010/09/07(Tue) 03時頃
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>>164 とにかく。 その煙草はお守りとして1本差し上げます。 魔物を払う能力は一切ないですが。
それに火をつけるライターは、あなたが自分で手に入れてください。それくらいの手間を掛けた方が、夢の味は美味しくなるでしょうに。
[呆れたような溜息を吐き、ベネットを凝視する。 延々と続くかのように見えた押し問答の終焉は、意外な形で幕を閉じることになる。]
……え? 外部の学生さんですか? いいえ、特に誰も見ませんでしたけれども。
[そして、目を丸くして、ベネットの方を見る。]
何があったのでしょう?
(@32) 2010/09/07(Tue) 03時頃
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部長……って。あの長髪の…… 確かヴェスパタインさんとかいう方の……ですか?
[その名前がファーストネームかファミリーネームかは分からない。だが、とりあえずそういう名前だったと記憶していた。]
まあ、あくまで「僕が見た範囲では」ではありますけれども。
……って、ああ、そういえば。 0時過ぎると、ここの鍵は、管理人さんか大学職員が持っている鍵カードじゃないと開閉できないんでしたっけ……。
ということは、僕以外には、出入りできる人間はごく少数……ですか。
というか、もし盗難なら、何故スコアブックなのでしょう?メモだらけの楽譜に転売の価値は一切ありませんしねぇ。
(@33) 2010/09/07(Tue) 03時頃
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[眼鏡を外し、レンズについたゴミを息で吹いて飛ばした。もう一度眼鏡をかけ直し、ベネットを見る。]
……どうしましょうか。 盗難だとしたら、立派な犯罪ですけれども。
[目の前に人が居るにもかかわらず、ピアノの椅子に突っ伏して、頭をばりばりと掻き、息を吐いた。]
あー……ああ、ったく。 そういうこと、か。
[低い声で、ぼそりと呟く。 誰にも聞かれないように……とは思ったが、至近距離に居るベネットにはおそらく聞こえただろう。]
これ立派な「問題事例」じゃねえか。 警察に突き出すの突き出さないのって所までやれってか。 ……残業代貰うぞ、お前等。俺は絶対にただ働きはしない。
(@34) 2010/09/07(Tue) 03時半頃
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>>169 ええ、覚えてますよ。
[ベネットを見上げる目が、先ほどまでとはまた異なる類の、鋭いものとなる。]
……まったく、カウンセラー失格ですよ。 そこまでの情報を掴んでおきながら、何もしなかっただなんてね。もう少し背後の事情を聞いておけば良かった。
(@35) 2010/09/07(Tue) 03時半頃
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>>170 ……というわけで。 「僕」の「役割」は、まだまだ続くようです。
もちろん僕は探偵でも何でもないですから、事件を解決するなんてことは一切できません。「そんなモンはお前等でやれよ」、というのが僕の意見の全てです。
ですが…もしこれが本当に盗難事件だとしたら。 事件をしでかした「当事者」が見つかった後をどうしましょうね?という問題が発生します。
[スティーブンが「犯人」という言葉をわざと使わなかったことに、ベネットは気付いただろうか。]
「当事者」を警察に突き出しますか? それとも、和解しますか? もしそのままオーケストラを続けるとしても、何のケアの無いままに継続できますか?
……などなど。問題は山積です。 そして、そのおはちは絶対に僕に回ってきます。 困ったことに、僕は学生相談室の担当なもので。
(@36) 2010/09/07(Tue) 03時半頃
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[ところどころに傷跡のある漆黒の椅子から立ち上がり、溜息をつく。そして、今度はベネットを見下ろす形で顔を覗き込む。]
……落ち着いてください。 今あなたが狼狽えてどうするんですか。 「厄介事担当窓口」さん。
[拳でこつりとベネットの頭を叩く。]
僕は構いませんよ。 どうせこの話も「学生自治」でどうにかしてもらいますから。
僕ができることは、その解決に寄り添うことだけ。 必要ならば、事の発端となった「当事者」さんとお話しすることくらいは視野に入れておきますが。
まあ、普段はそれなりにお金をいただいておりますけれども、今回は酒の数本で手を打ちましょう。
(@37) 2010/09/07(Tue) 03時半頃
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>>173 まあ、ここだけの話……格安ではございますよ? 何せワタクシ、場所が場所なら、大学生のコンビニバイト8時間分のギャラをたった50分で稼げる職種に就いてますからねぇ。
[ベネットからの視線が、強烈に痛い。]
……冗談ですよ。金額以外は。 どうせ内部の問題として、タダ働き……いえいえ、僕の仕事のうちとして処理されますよ。
だから。
(@38) 2010/09/07(Tue) 04時頃
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このオーケストラを崩壊させないこと。 メンバーの心をバラバラにしないこと。 あなたたちにとって最高の音楽を、このオーケストラで奏でること。
あなたたちのゴールはそこであり、決して「犯人探し」ではありません。 どうしてもここは忘れがちだから、今のうちに叩き込んでおきます。
……もちろん、部長さんにもね。
(@39) 2010/09/07(Tue) 04時頃
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ええ、いってらっしゃい。 僕のことはお気遣いなく。好きでここにきたのですから。
[冗談めいた表情で笑ってみせる。]
(@40) 2010/09/07(Tue) 04時頃
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[ベネットが去った練習室で、小さく溜息をついた。]
……さて、と。「俺」はどうしようか。
[右手の甲を見つめて、ぐっと手を握った。]
なあ、ベネット君。 俺は君を全て丸抱えして、だるっだるに甘い幻想を与えて甘えさせてやれば良かったか?そして一時的にパーフェクトな夢を君に見せてあげれば良かったか?
あいにく、俺はそういう流儀じゃない。 だから、夢や幻想に甘える「鍵」は、半分だけ渡しておいた。だから、残り半分は自分で探してくれ。
とはいえ、それ多分、俺の「仕事」じゃないだろ。無茶振りにも程があるだろうに。分かってんのかねぇ、そこのところ。
それにしても……。
[自分ではろくに鳴らせないピアノに寄り掛かり、眼鏡を外して天井を見上げた。]
……俺も馬鹿だな。**
(@41) 2010/09/07(Tue) 04時半頃
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−回送:>>187−
そうですか?アルバーンさん。
[窓枠に手を掛けて、音楽を聴くサイラスの表情を見つめる。歳の離れた弟を見ているような心地を思い起こさせるな、と感じながら。]
僕には音楽の良し悪しが区別できませんから。 それも友人に教えて貰ったものですし。 聴いてて落ち着くとか、少しだけ楽しくなるとか、そういう音楽があってもいいのかな……なんて思うのは、僕が素人だからですね、きっと。
(@42) 2010/09/07(Tue) 13時頃
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−回想:喫煙所−
すみません、アルバーンさん。 僕もそろそろ帰らなくてはいけません。
部屋まで、気をつけてお帰りください。 もしかしたら、友達を呼んだほうがいいのかな?
[青白い月光を肌の上に滑らせ、微笑む。 そして、サイラスに退出を辞して彼が向かった先は、自宅でも研究室でもなく、ピアノのある練習室だった**]
(@43) 2010/09/07(Tue) 13時頃
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−大ホール−
[ざわつく学生達の集団を、沈黙のまま見守っている。 スティーブンは、まだ何も言葉を発しない。 怒る者、怯える者、不安がる者、「犯人探し」に躍起になる者。 それぞれが、それぞれの思惑を抱えながら、状況を打開しようと走り出したのだ。
だからスティーブンは、まだ「表面上は」何も動かない。]
(@44) 2010/09/07(Tue) 23時頃
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学生による、学生の為の自治……か。
[壁に凭れかかり、腕を組んでその場を見守る。]
(案外、難しいものだな。 今は皆さん、真っ直ぐに走っているからいいものの……
疲弊するか、暴走するか。 そうなってしまう時が、一番怖いです。
逆に、そのタイミングこそが僕の出番なのでしょうけれども。)
(@45) 2010/09/07(Tue) 23時頃
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>>248 ……カルヴィン君。
[一声だけ掛ける。 その先の言葉は告げず、彼の目をじいっと見つめる。
何か彼が言葉を発することはあるだろうか。 おそらくそうしたとしても、スティーブンは最初に首を傾げるのだろうけれども。]
(@46) 2010/09/07(Tue) 23時頃
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>>259 ……いいえ。、特には。
[肯定も否定もせず、ただ、穏やかな笑みを浮かべる。 目も口角も笑っているような表情で。]
すみません。お声掛けしてしまいまして。 練習のお邪魔をしてしまうところでしたね。
[ほんの挨拶程度の口調で、そう告げた。]
(@47) 2010/09/07(Tue) 23時半頃
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[カルヴィンが離れたかそうでないかの頃に、誰にともなくぽつりと呟く。]
この話の発端となった「当事者」は……何を求めているのでしょうね。
そして「当事者」にとっては、状況がどうなると「しあわせ」なのでしょう。
[「犯人」探しをするヤニクの背中を見つめる。]
(でも……今は「これ」で良いのかもしれません。)
(@48) 2010/09/07(Tue) 23時半頃
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>>265 はい、いってらっしゃい。 夜ももう遅いですから、あまり無理はなさらないでくださいね。
[ひらひらと手を振り、カルヴィンの背中を見守る。]
さて、と。 僕もそろそろおいとましなくてはいけませんね。
ああ、もし夜のうちに鍵カードを開ける必要が出てきたとして、管理人さんが起きて来なかったとしたら、僕に連絡をください。
僕のメールアドレスは、ここの副部長さんがご存知です。
大学指定のメールアドレスですから、本当はあまり職務以外には使っちゃいけないんですけれどね。
[そう言って、ホールの外へと足を向けた。]
(@49) 2010/09/07(Tue) 23時半頃
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>>269 ……神通力…… あはは、もしそれがあったら、僕の商売はおしまいだなぁ。
そういう無邪気な思考は好きですよ。 強い思いには、状況を変える力があるかもしれません。
というわけで、もし困ったことがあったら、お気軽にどうぞ。大学指定のアドレスは、携帯電話にも転送されますので、授業中以外は対応できると思います。
(@50) 2010/09/08(Wed) 00時頃
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