266 冷たい校舎村7
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嘘つかせないで、って、見慣れた筈の瞳が泣いていた。
(291) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[何で逃げ出したのかなんて、説明がつくもんか。
鬼ごっこって、>>258 俺が君たちを出口まで追いかけるつもりだったのにさあ。
君たちが逃げないのが悪いね、って ……颯太に怖がらせる方法聞いておけばよかった、って 俺はどこかで責任転嫁しながらどこかで後悔してるし
それ以上に、激しく揺れる感情を制御できなくて 見つけてしまった「死にたくない」を認めたくなくて わけもわからず逃げていた。
ほんとうに、意味がわからねえ。]
(292) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[もっと意味がわからないのは このおびえた犬みたいな、あるいは雑巾みたいな ぐったりした存在を追いかけてくる君らがいるって事だ。
生きてなきゃ二度と会えない。>>260 それだけのために生きるの。 生きて、一緒に生きて、 たったそれだけのために、死ぬのをやめるの。 一緒に死のうよ。キョースケ。
なんて、まともに言葉が返せる状態じゃない。 何せ自覚してしまった「痛み」が全然笑えないもんで 俺はいろんな事を思い出してうめいてる。]
(293) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[殴られるの、やっぱ痛かったなあ。とか。 ガレージは暗くってこのまま死ぬの怖えな、とか。 置いていかれるの嫌だな、とか。
そうかと思えば、また現実に戻るのは嫌だな、とか。 また親父のいる世界に戻るの怖えな、とか。 生きるのって、痛いなあ、とか。
国語って難しいからやっぱり嫌いだ。 生きるのなんてもっと難題だから手に余る。 見たまんま、であれば苦労しないのに。]
(294) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[からん、と何かが落ちる音がする。 それがひまわり畑の絵だって理解するのに 大分時間がかかって、 それより先に、きっとキョースケの手が俺の手首を握る。 強く。
濡れた感触に目を見開いて、 手のひらの感触、手のひらから伝わる熱の強引さに 悲鳴のような呻きを止めた。>>262
それが、今まで静かに暮らしてきたお前が そのスタンスを崩してまで伝えてきたことだって 頭が追いつくのに、時間がかかった。
赤く染まった腕が今更赤くなったって なんにも大差はないはずなのに わかんないな。お前の手が熱くって 傷だらけでも生きていたくなってしまう。]
(295) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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キョースケ、俺は、……おれは…… 未練にして、いいの。縋っていいの。 わかんないよ。許されたことないから。
(296) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[それから、 生きて、に、生きろ>>274、が積み重なる。 かちゃりと置かれたガラス絵は、 あの思い出の場所の絵の欠片だった。
あれ、拾ってきたの、 なんて間抜けな質問がでそうになる。 許せよ、今の俺は正気じゃない。
がっと左手が壁から引き剥がされた。 キョースケとは違う強引さで、 悟が俺を引っ張ってる。]
(297) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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……悟、お前のそんな顔、初めて見たよ
[生きろ、って命令形をもう一度聞く。>>276
「俺と一緒に生きるのが当然だろ」って 平然、というより「なんでそうしないんだ」って 男の子が駄々をこねてる表情に見える。 必死だから、なんだろうな。
でも、それを冷静に指摘してやる頭なんか 今の俺にはありはしないんだ。]
(298) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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いつかの公園の景色が頭から離れない。
(299) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[悲鳴みたいな嗚咽だけ、ぽつぽつと零して 両手が拘束されてちゃ涙さえ拭えやしない。 困ったな。]
(300) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[ぐらぐらと揺れる心を引き止めるように ふわり、と暖かくてやわらかいものが被さる。
俺はそれに目を見開いて、 それを乗せたひと、に、思いを至らせた>>288 また涙ばっかりあふれてしまう。] ヨーコねーさん……… 俺たち、まだ、おんなじ……?
(301) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[おんなじかなあ。 まだまだ、同じでいられるかなあ。>>283
俺はあなたを置いて駆け出してしまったけど 自殺なんかしてしまったわけだけれど あなたは、俺にこうやってブランケットをかけてくれて
埋まってていい、って、声をかけてくれる。
もう随分と、俺はそれが欲しかったものだから 欲しかったものを人に与えていたのだから 与えられる優しさが苦しくって痛みさえ感じてしまう。 震えるからだにブランケットの感触がただただ優しい。]
(302) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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「おんなじ」を信じた子供達が遊ぶ銀世界を思い出して
(303) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[そうしてまた、言葉が降り積もる。>>290 降り積もって積もって、……雪解けをもたらす。]
(304) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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なんだよ…… 生きて生きて生きてって……!
そんなに道連れにしたいかよ…… みんな、ばかだ、ばかだし………… ……俺が、一等馬鹿だよ、……っ ちくしょう、
(305) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[荒い息を整えないまま、 無理やり手首をつかんだ手を引き剥がして 無理やり、悟とキョースケの手を握る。 そうして、きつくきつく握った。
誰かのためにと整えられた手に 切り傷があったって構いやしない。
人間の頭の中には地獄があって 君たちは俺をその地獄にとどめていこうとするので 生きて、と奇特なことをいうので その強引な手に、俺の爪痕がつけばいいと思ったんだ。 ……特に悟の手には。
精神世界だからついてもきっと意味はないけど。]
(306) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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わかっ、たよ かえ、るよ………… 皆がいるとこ、……っ、帰るよお………!
怖いよ。やだよ。痛いよ。でも、 生きる道、探すよ、>>250
生きて、やるよ………… 生きれば、 それで……いいんだろ……!
(307) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[…………なんてな。 わかってるよ。頼みを聞いているようで 君たちに縋ってることくらい。
ただ、へたくそなので、 多少の痛みが伴うことは、許されたい。
そうして、俺は君たちに縋ってから……
泣き崩れてしまって 手を握るどころでもなくなってしまって より手近い場所にいたキョースケに 縋りつくように抱きついた。]
(308) 2019/06/17(Mon) 09時半頃
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[……。
…………。
泣いていられる時間は、そうたくさんはなくて]
(309) 2019/06/17(Mon) 09時半頃
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……………
[ブランケットを頭からかぶった俺はふらりと立ち上がる。 本当は心ゆくまで埋まっていたいんだけど、 そうもいかない。 それは現実世界に持ち越しだ。
自分の顔を隠すように、 ブランケットの端を持って押さえながら 暗くなりゆく校舎を見た。]
(310) 2019/06/17(Mon) 09時半頃
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……ありがとう。
[と、皆にひとこと、ぼそりといってから]
(311) 2019/06/17(Mon) 09時半頃
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…………。 田所さんと颯太、…………。
[と、ハートのぬいぐるみ。
せめて、体育館に運んであげなきゃいけない。 手伝って、って俺は呟いて、 誰がついてきたかは知らないけど 迷わずマネキンのところへ行く。
体はぼろぼろなくせして、 運ぼうとする動きだけ、やけに強情だった**]
(312) 2019/06/17(Mon) 09時半頃
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誰かの許しなんていらないんだよ。 でも、それでも君が許されたいなら、 僕が、それに、きっとみんなが、 君の全部、許すから…………
(313) 2019/06/17(Mon) 10時半頃
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[ 縋ってと言ったくせ、 これじゃあ僕が縋ってるみたい。
掌には、まだ感じられる体温があって、 それがどうしようもなく惜しいんだから、 縋ってる。に違いないんだろうけどさ。
掴んでいた手首が掌から抜け出して、 強く、強く手を握られる>>306。
それは少し、こっちだよ。って、 導いてくれるときの君の手みたいで、 ……いや、そんな生ぬるいものじゃなかったけど。]
(314) 2019/06/17(Mon) 10時半頃
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怖いものなんてなかった。 君と行くなら、たぶん地獄も。
(315) 2019/06/17(Mon) 10時半頃
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[ 道連れ>>305って君が言うのを、 僕はべそをかきながら聞いていて、 いつか話したことを思い出したりする。
道連れにしてしまいましたね。 できてしまうくらい、傲慢な生き物なんだから、 やっぱり、少しくらいは似てたかな。高本くん。
飛び降りたいわけじゃないと言った人が、 天国になんてきっと続いてないのに、 飛び降りようかなんて言うんだから、 七月さんって……人間て、よくわからないや。]
(316) 2019/06/17(Mon) 10時半頃
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[ そういうことが愉快だったのか、 あるいは、単純に嬉しくて、 ……ほら、君がそれでいいんだろって言うから。
僕は微笑んで、縋りつくような>>308、 君の頭を抱えこむようにぎゅっと腕を回した。]
(317) 2019/06/17(Mon) 10時半頃
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うん…… 拓海くん、ありがとう……
(318) 2019/06/17(Mon) 10時半頃
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[ ほら、それって身勝手な意思を押し付けた、 こちらの台詞でもあると思うからさ。]
(319) 2019/06/17(Mon) 10時半頃
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[ それから。 君はゆっくりと立ち上がり>>310、 毛布おばけみたいな姿で校舎を行くから、 僕はやっぱりそのあとをついて行く。
よかった。高本くんの言ったように、 トイレに置き去りはあんまりだし、 ここまでに至った僕個人の意見といたしましては、 自分の身体ひとつ抱きしめているより、 あたたかい場所というのもあると思うし。
誰かの近くにいてさえくれれば、 こぼした心臓も、脆く砕けた破片だって、 そっと拾い集められるはずだ。*]
(320) 2019/06/17(Mon) 10時半頃
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