248 冷たい校舎村6
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レンに1人が投票した。
ノッカに5人が投票した。
ノッカは村人の手により処刑された。
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ニトカ! 今日がお前の命日だ!
2018/08/30(Thu) 00時頃
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時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
ニトカが無残な姿で発見された。
現在の生存者は、レン、ウツギ、ヨスガ、メイの4名。
キーンコーンカーンコーン…………
(#0) 2018/08/30(Thu) 00時頃
──午前8時50分
そして今日も同じ朝を迎える。
冷たい校舎が運んで来るのは、
眩い朝日ではなく、友との別れだ。
一色乃歌と仁鳥仁花が見当たらない。
(#1) 2018/08/30(Thu) 00時頃
そして、5度目のチャイムが鳴ったとき、
君は理解しているはずだ。
──ここは、君の世界。
すべて、君が望んだものだった。
君が望んで、作り上げたものだった。
どうかな。二度目の文化祭は楽しめた?
紛れもなく、君の戻りたがったあの日だったろう。
(#2) 2018/08/30(Thu) 00時頃
……どちらにせよ、決断の時はやって来た。
どんなに腹に据えかねたって、
君の作り上げた世界は有限なのだ。
気づいているだろう。
もうじき、誰もいなくなる。
君以外誰も、この世界に留まれやしない。
だから君も選ぶのだ。
悩みはない、けれど誰もいない世界に一人留まるか、
痛みや苦しみ、悲しさと、そして、仲間の待つ世界へ帰るか。
もう時間はあまりないけれど、
どうか君にとって悔いなき選択を。
(#3) 2018/08/30(Thu) 00時頃
冷たい校舎の時は────、
(#4) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ あまり、深くかかわることもなく、 華やかな女だと思っていた自分を少し悔いる。
友人とのアオハルだなんだの顛末を知れば、 空木だって愉快な心持ちで話を聞いたんだろうに。 あいにく、その機会は訪れなかったし、 空木は最後に一言謝るということもしなかった。
それは単純に、途中からすっかり、 自分の無礼を忘れていたからであり、 そのことも含めて詫びる機会はおそらく来ない。
さらにいえば、友人の鴉みたいに黒い髪を、 施したのが彼女だったならば、 礼のひとつだって言うのが筋なのに、 そして、彼女も空木の世界からいなくなる。]
(*0) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ へたくそなままごとの果てに、 空木の見たものはなんだったんだろう。
結局のところ、空木は良い兄にはなれないし、 そもそも家族ではないんだっけ。
いくら事前に言い含ませたって、 きみがいなくなると空木はとてもさみしい。 さみしいから、悲しいし、また腹を立てるのだろう。
心残りにならぬようにと聞き返したことが、 結局、未練になるのだから救いようがない。
その男はとうぶんすねているだろうけど、 そうだな。ひとつだけ言うなら、 今夜はきちんとあたたかい場所で眠るように。]
(*1) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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──午前8時50分──
(0) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ 寝つきは良いが寝起きは悪い空木は、 目を擦りながら、廊下を歩いていた。
もう2日つけっぱなしのコンタクトが、 どうしようもなく痛んだためだ。
トイレの手洗い場で顔を洗い、 鞄の中に目薬が入っていないか、 空木は探さなければならない。 よろよろとたどり着いた手洗い場で、 空木は翳んだ視界に、おやと思う。
暗いのだ。電気が消えている。 誰かが消したのだろうか。と思って、 数度スイッチを押したが、反応がない。
仕方がないので、薄暗い中顔を洗う。]
(1) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ ──一瞬、手を止めた。 空木はこれを知っている気がしたが、 ひとまずは、気のせいだということにする。]
(2) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ そうして、空木は階段を上り、 3年5組の教室の扉を開けた。
ここもまた、なぜか電気が消えており、 ぱちんと電気をつけてやると、 教室の中が一気に明るくなる。
明るい。と、空木は思って、 目を細めながら室内を見渡したとき、
ふと、目に留まるものがある。
教室の片隅に置かれた鳥かご。 かすかに扉が開きかかっているそれ。 その中に、なにかがじいっと息をひそめている。
一体、こんな状況で、 誰が餌をやっていたというのだろう。]
(3) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ ────…… 思い出した。 ]
(4) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ さくらが死んだ。 ]
(5) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ 12月の、寒いばかりの夜だった。 空木はその日も、散歩に出るつもりでいた。
学校から帰り、ひと眠りした後だった。 ばしゃばしゃと顔を洗っていたら、 じじじと雑音がしたので、空木は顔を上げた。
洗面所の電気がつかなくなった。
十八年も生きてきたが、電球が切れる。 というのが、記憶になかった。
どこかに替えが置き去りになっているといい。 暗い廊下を、段ボールを蹴飛ばしながら歩いた。
リビングのほうも、同じく暗く。 電気が点いておらず、外はもう夜なのだから、 それは当然。ともいえる。]
(6) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ 手探りで、空木は電気を点ける。
日用品も、洋服も、なにもかも。 綯交ぜに広げられた床を蹴って歩き、
探し物がどこかにないものか。と、 本当にぐるりと、部屋を隅まで見回して、
空木は、片隅の籠の中、 鳥が一羽、死んでいるのを見つける。]
(7) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ ────そういえば。 空木は、鳥を一羽飼っていた。 と、空木はそのときやっと思い出した。]
(8) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ その瞬間、さくら。 という名前が浮かばずに、 鳥。と思ったことに、空木は絶望する。]
(9) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ ──たぶん、 これが、家族にとっての空木で、 今の空木は、空木にとっての家族。 みたいなものだ。と、空木は思う。
空木は、この指先で易く、 一生許さないと綴ったが、 バサバサとした羽根しかないさくらには、 伝えようにもその術がない。
その瞬間、申し訳ない。とかよりも、 結局のところ、彼らは空木の家族だ。と知る。
空木は思う。 そういう人間は、死ぬべきである。
一生許さない。と紡いだのは空木だ。]
(10) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ 薄暗いリビングに暫し立ち尽くし、 未だに、ちいさな命への罪悪感よりも、
”こうはなりたくない。”と、 ”ああはなりたくない。”とが綯交ぜになり、
ただ只管に、空木は思う。 これが最後のチャンスだ。と思う。
空木がさくらを忘れたくらいだ。 狡猾なひとと鳴くだけの鳥の間に差があれど、 きっと空木だってもう忘れられる頃合いだ。
とうに手遅れだ。と考えれば、 どうにかしそうであったので、 今しかない。今が最後である。
──と、身勝手にも信じることに決めた。]
(11) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ もうずっと、空木は腹を立てていたのだ。 どうすれば相手がより苦しむか。とばかり。
深い水の底から這いだすように、 ここではないどこかに居場所を求めたが、
憎しみばかり募らせているうち、 いつの間にか、自分こそが、 一番許せないものになっていた。など、
もしこれが寓話ならば大変よくできている。]
(12) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ 空木には、その空気みたいな鳥が、 いつから死んでいたのか。さえ分からない。
なんせ、すっかり忘れていたのだ。 なぜ自分にそれが視えなかったのか、 今となっては空木には不思議で仕方がない。
が、きっと空木が死んだなら、 空木の家族はおんなじことを言うのだ。
視えないフリ。の強情っぱりだと思っていたが、 いつしか本当に忘れちまったのだとしたら。
腹の底も、頭の中も、 ぐちゃぐちゃに溶けだしそうに沸き、 逃げ出すように、家を出る。]
(13) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ 言えば軽蔑されると分かっているから、 自分のことはなにも書かずに、 ただ、伝えたいことだけの遺書を綴った。
彼らはなにと言うだろう。 空木は、それが唯々恐ろしい。
あまりにも身勝手ではあるが、 空木はできれば、彼らの友人でいたかった。 空木には、あの場所しかなかった。
弁明するように、心の裡で唱えながら、 空木は身勝手ながらも、只管に願った。]
(14) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ 文化祭の日に戻れたら。 あの、最高の一日に戻れたら。
みんながいて、さくらも生きてて、 そうしたら、空木はもう少し利口にやる。 もう少しやさしくなる。もう少しちゃんとする。]
(15) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ じゃあ、やってごらん。 って、きっと神さまが言ったのだ。]
(16) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ この世界では、みんながいたこの世界では、 さくらは死ななかった。 開いた扉の中、逃げ出しもせずそこにいた。 空木はこの二日間、餌をやろうとも思わなかった。
ろくにひとにやさしくもできず、 ただずっと、元の場所に帰る友人に、 制御のきかぬほど腹を立て、苛立ちながらも、 気の置けない友人とのひと時を楽しんでいた。]
(17) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ 一度目と、ほとんどなにも変わらない。 二度目は、さらにたちが悪い。]
(18) 2018/08/30(Thu) 00時頃
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