219 The wonderful world -7days of SAIGAWARA
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(空虚でも ─── …… >>7:+185なにかを残せんのなら 悪くねえかな、と思うから。 僕は矢張り、善人じゃねえんだなァ。)
……… そうか。
[悪戯ッ気に秘めた儘、地を見下ろす玻璃の許。 口元は含みを持たせた月を描きながら、 光なんてものを放つ恒星とは程遠いに違いないのに 眩しそうに目を眇めようとなんかする きみの立ち上がるすがたを、深、と見送っていた。]
(51) 雨京 2017/06/26(Mon) 01時半頃
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───嗚呼、そう言うのも悪くねえな。 行き先も、帰り道も、考えないで。
(醒めないでくれ、と願ってしまっても。 夢はいつか醒めてしまうもの為らば、 何処にゆこうか、と考えちまう頭もほっぽって。)
……ははっ、”きみ”のことが知りてえんだ。今は。 盗られちまって思い出せはしないかもしれんが、 積み重ねてけるくらいは出来ることはしれねえから。
[その積み石が自然と未来の事を指していることに ふ、と、自分で気づいちまったもんだから。 あるともしれない未来も、いつ崩れるとも分からない 石の塔も目を背けるように、]
(……これってのは唯、 自ら命を放り出しておいたくせに 諦められなかっただけ───なのかもしんねえが。)
(52) 雨京 2017/06/26(Mon) 01時半頃
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[>>7:+186 真に行き当たりをゆこう、と。 桐下駄が鳴くかたわらで>>7:@104駆けてきた きつねが一匹、くにゃあんと鳴いたもんだから。
おや、こっちが見えてんのかとね。 気づいたような聡い子を手招くようにしたら、 誘うような素ぶりでその尾っぽを振るもんだから。]
……そうだ。 せっかく行き当たりってんなら、 なァ、あの子を追ってみねえか。
(ゆきさきを決めてないのなら、 縁あるものに作るのもまた一興だろうと 追わんと一歩を踏み出して、──────。)
(53) 雨京 2017/06/26(Mon) 01時半頃
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[ ”終わった筈の、或の、日が明ける感覚。” ]
(54) 雨京 2017/06/26(Mon) 01時半頃
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── Judgment ──
[そこは、白い部屋だった。 息苦しささえ覚える、出口のない水槽めいた そんな感覚さえ覚える白亜の空間──に思えた。]
ここ、ってのは……。
(狐の神隠しじゃあなかろうに。 お狐様がいなくなってることにぐるうりと見渡し、 きみが傍にいれば、心底安堵した顔もして。 >>@0嗚呼、なにが目出度えのやら響く拍手と、 告げられる指揮者の名に首を傾げちまうばかり。)
[それってのも、聞き覚えのない「敗者殲滅戦」だとか。 あの、束の間の静寂の時間じゃあ、ほんとうに。 浮世を忘れた心地だったのに、と、にがくも笑い、──。]
(55) 雨京 2017/06/26(Mon) 01時半頃
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( それでも、”諦め”を知ったこころであれば 生きるのも争うのも疲れたのだと、 消えちまう事を、選んだのかもしれない。 )
[生き残った四人をほう、と眺めて、 それから、見慣れた幾人のすがたにぱち、と瞬き。 >>@30頰に手を当てるそぶりを見せる、 白いカサブランカだとかの佇まいを思わせるような うつくしい女の───死神の「残念だったわね」と 言わんばかりの仕草ににがくを笑ったりしながら、 時々混ざる他の面面の叫びめいたようすに
『 ───元気だなァ、 』
なんて笑いもしながら、 滔滔と語られる>>@5>>@6噛み砕ききれない 「道」の選択を前に、睫帳をたゆたわせて、──。]
(56) 雨京 2017/06/26(Mon) 01時半頃
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榴斗。 きみは、───。
今の僕と、……そんでから、 「せんせい」であった僕と。 どっちのほうが好かった?
(どっちも嫌いってんならいざ知らず、 「どっちつかずは無しな」 と笑って。)
[ ふッ 、と、きみに七面倒な質問を投げつけんだ。 ]*
(57) 雨京 2017/06/26(Mon) 01時半頃
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見目ばかりってんなら、 輝久にそっくりなんだけどな。 今見りゃあ、そうだねえ……。
何で間違えちまったんだろう……、 って具合にはな。 ─── ” 全然違う ” 。
(きみの失ったものを知るには終ぞ、 未だ時間の足りない儘、と言うやつだ。 それでもきみはもう、今じゃあ、僕の目には、 ” きみ ” と云う一輪の華にしか見えねえもんで。)
(71) 雨京 2017/06/26(Mon) 07時頃
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[行きはよいよい、帰りは怖い。 天神様の細道もゆくは通してくれるのなら、 帰らなきゃ好いんだ、ときみに重ねて思う屁理屈に 溶ける影を踏みながら、──唯の、と言うきみに笑う。]
(そして、椿が落ちようとする時、 葉擦れよりも確りと聞いた空言を思い出して ああ、 と、 腑に落ちた。)
……そっか。 輝久の子、だったんだなァ。 道理で姓も同じなら、顔も似てる、 ってかね…。 はは、然し…… ───あいつがか。
結婚して? 子迄生した、なんて。 ……なんだかなァ、斯うして聞くってのは。 奇妙な気分にも、なっちまうな。
(72) 雨京 2017/06/26(Mon) 07時頃
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[ ゆめか、まやかしか、 ……噫、間違いない。 ]
(はは、ッ と重ねて笑った傷心は、 今やもう夏も傍の風に吹き流すばかり。 くし、と乱れた儘の髪を序でに崩して、 )
……然し、あいつも親としては、 良い親じゃなかったのかね? 息子に悩みのひとつも語らせられないってのは……。
[然うして、なんでだろうなぁ。 知りもしねえのに、僕も亦、”良い先生”では 無かったんじゃあねえのかなあ、と思うんだ。 何せ、二度死んで漸く───目が醒めたんだから。]
(73) 雨京 2017/06/26(Mon) 07時頃
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( ……きみを漸くきみとして 見つけられるくらいには。
だからこそ、その気取った一人称を >>6:259いつだかみてえに崩してもいいだろう、 と思うが、────それを言うのは、未だ、な。 )
[そんな、狐に化かされた心地も空けりゃあ、──…。]
(74) 雨京 2017/06/26(Mon) 07時頃
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─ Judgment ─
( きみの困惑が笑みに変わるのを見て、 僕も、口月をゆる、と深めていった。 )
…… そうか。 や、 照れるもんだが、──嬉しいね。
[問いかけたことなのに、面と向かって言われりゃ。 はにかみのひとつもするもので、─── …… 手持ち無沙汰は頰に落ちてきた髪房を、 耳へと掬い上げた。]
[然の間に問われた>>70難問に逡巡を馳せてから、 きみの考えることに悟るともしれぬ瞬きをひとつ。 薄らと濡れ羽色の睫帳から玻璃を覗かせたんなら、 揚揚と、滔滔と、───言の葉を流そうか。]
(75) 雨京 2017/06/26(Mon) 07時頃
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花は生きている時こそがうつくしい。 華ってのは、活きてんのがうつくしい。 ──椿だって、如何に綺麗ないろをしていても、 首が落ちりゃあ、物哀しいだろう。
(76) 雨京 2017/06/26(Mon) 07時頃
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(臆、でもなァ。 きみのいのちに口出しはしない。 他人様の人生に責任なんざ持てるほど、 ”死神”だって偉くねえのは能うくと、分かった。)
[此の華の命を捧げたところで きみが喜ばなかったように、然うだ。 押し付けるもんじゃあねえし、背負うもんでもない。 …何時か言った口が忘れているってのは、
──── 恥ずべく事よ。]
(77) 雨京 2017/06/26(Mon) 07時頃
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[ だから。 ]
きみはきみの好きにしろ。 生きる道を選ぶん為ら、僕はそれを支えよう。 別の生を選ぶん為ら、手も貸しもしよう。 戦う事を選ぶん為ら、力を添えよう。
( 散る事を選ぶん為ら、──── そん時は。 )
ただ、行く末だけは、 ……教えてくれ。
(78) 雨京 2017/06/26(Mon) 07時頃
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[ふ、と、きみの横顔に向けて、咲い。] [それから、中央の少女に向け、から、と鳴らす。] [>>50>>@35選択を終えた少女に次いで選んだのは、]
コンポーザー、って言ったかい。 僕も死神にしてくれねえか。 ( 孤独花を一文字手折るだけで、 女のような響も無くなるだろう。 ───きみの呼ぶように。 )
……唯、些細の花が一本散ったことくらい、 忘れられたって構いやしねえかな。 僕は。 ”別の存在”として、生きてきたいと思うんでね。
(79) 雨京 2017/06/26(Mon) 07時頃
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[ 夢が醒めることを恐るの為ら、 醒めない夢の中に生きるのもいいじゃねえか。 それが覚めることの無い”悪夢”が 夢十夜と続いたとしても、 幾重の華を手折ろうとも、─── ……。
───家に絡みついた女花の名を棄て去れば、 多少の非情にもなれるだろうよ。 其れに、]
(きみを忘れたくないと言う、夢幻に生きよう。)
[ ”竜”なんてのはうつつよりも余程、 夢の中に生きるに相応しい幻想だろう? ]*
(80) 雨京 2017/06/26(Mon) 07時頃
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(……花の一輪なんざ、強かろう筈が無い。 臆病だからこそ、擁とも知れない未来に蘇り、 後悔をしちまうよりも、──── ……。
きみが好い、と言ってくれた ”今”を永遠に生きていたいと思ったから。 何時か散るのだとしても、”今”と謂う夢を 見続けていたいと思うから。)
[──道を選んだ理由なんてのは、そんなものだ。]
(152) 雨京 2017/06/27(Tue) 07時頃
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── Judgment ──
[>>@37 その揚揚と広げられた手に感謝を伏すように、 新たな道行きを祝う指揮者の祝詞に 緩慢に頷き、───。]
嗚呼、然うするよ。 折角の二度目の生だ。 ……悔やみたくはねえからな。
[表情ひとつと崩さない、 見目ばかりは幼子の彼女は、確かに。 ”指揮者”として、壇上の”絶対”として君臨するに 相応しいように思えた。]
(そんな考えってのも、笑み返した玻璃の奥に。)
(153) 雨京 2017/06/27(Tue) 07時頃
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(夢幻が如何なるものか、 過去から未来が見えねえように分からずとも。 それでも、───その祈りに相応しいようには ”生きてえな” と願う。)
[そこにあるのが悪意だろうと、愉悦たろうと、 選択の手助けだけで、───十分。
嗚呼、そもそも己が、 他者の生き様の責を追えねえんだから。
……なのに、なァ。]
(154) 雨京 2017/06/27(Tue) 07時頃
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( きみが選べ、と言ったのに。 生きるもんに引導を渡す径を選んだ この僕に、>>150「生かせ」と言うんだから、 こりゃあ、確かに皮肉も過ぎて───。 …… 「…酷えなァ、」と、嗤うしか無い。 ) [この、奪われる迄の人生は 確かに恵まれたものだったのかもしれない。 だが、己でそう思えるほどのもんだったかと思えば 未来を識りも出来ないしがないひとなもので、 今を恵んだのは、”きみだ”、と思うのだ。]
(空白に帰した未来、僕を縛る名を知らんが儘。 引き受け手のいなかった花の名前を>>150 知らずと摑もうとするきみの手を知らないが、 …嗚呼、その言葉だけで ”縛ってるもんだろう。”)
(155) 雨京 2017/06/27(Tue) 07時頃
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(───だが、悪い気もしない己も大概。)
[肯も否も、言葉を発するよりも先に、 噛み締めるが如く、瞬いた瞼の果てに。 無意識に描かれていた口月の由は自分じゃあ 苦いのか、嬉しいのか、分からなかったが、──。
”さいご” と、その頼みを形容するきみの その話し振りに瞳硝子を一拍、ゆる、と眇め、 ひとと言う身を捨て、道を選び取ろうとしたこの身に 願われる”初めて”のそれに、沈黙は寸瞬。]
(ええ、きみはほんとうに狡い。 生かせと言った癖”それ”を選ぼうってんだからさ、 恨み言のひとつを言っても許される気がしたが 僕のほうこそ、きみに迷惑を掛けてきたからこそ ……発するのは、ほんの少しの「呪い言」。)
(156) 雨京 2017/06/27(Tue) 07時頃
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……そうさなァ。 きみが生きることを選んだその暁には、 生き帰った暁には、──幾らでも舞ってやろうよ。
( それ迄は幾ら積まれても、”お預け”だ。 )
(157) 雨京 2017/06/27(Tue) 07時頃
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( 他人の生き様の責任は取れねえからこそ、 望まれたそれに返すのは ”無責任”。 )
[悲愴の翳りも 一片なく笑ったら、本音のところは──。 死人だからこそ、梔子のように黙すとしようか。]
(きみと言う花が手折られることがあるのなら その役目はこの手で果たそうと思うことなんてのは、 ──差し出した手に縋られたくはねえものだから。)*
(158) 雨京 2017/06/27(Tue) 07時頃
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( ……… そうして。 )
[>>90>>96 反抗の意思を研ぐ言の葉に、 >>@65弾かれたトリガーに見開いた瞳と言うのも 現れた見覚えのある”素体”なんかに瞬きひとつを しながら、「……すげえなァ、」とぼやく。 ]
(───でも、臆。抗おうなんざとは。 きみがそうしようとはしない限りは思わねえが、 その逆、………ってのは。)
(169) 雨京 2017/06/27(Tue) 12時半頃
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……”コンポーザー”が倒されちまったら、 死神になる道も閉ざされる……ってことは。 ……ねえよな?
[ 飛び交う銃弾におっかなびっくりと、 壁に背を凭れなんかしては────。 暫くは場を見据えているだけのもんだが、 万が一があれば、……… 扨、なァ。 ]
(まァ、──観客が野次や手を出すと謂うのは、 褒められた行為は無いってくらいは 僕も弁えているもんで。)*
(170) 雨京 2017/06/27(Tue) 12時半頃
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( 首無椿がくれなゐに染って嗤っている。 「あゝ、おまえが首を斬り落としたからだ。」)
[……いいや、いいや。 悪いがうつつで幾ら囁かれようともなァ、 生憎とゆめまぼろしのなか迄は届かぬようで。
忘れた罪ばかりが、 重ね手折った首の責ばかりが 手折らせたものの責ばかりが 無知を戒めるかの如く、還ってくる。
─── … 賽の河原に罪を積むなら、 支払わせるのはこの身ばかりで好いだろうに。]
(278) 雨京 2017/06/28(Wed) 04時頃
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── Judgment ──
(……”生かしてくれ”の意味が>>266 よもや、そんな楔だと思う分けが無いだろう?)
[だから、縛ることを辞めようと思った側から きみの望みを叶えなかったのなら、若しも、と。 淡い希望を臨む芽なんか湧いちまったんだ。 (── ……椿も藤蔓も、斬り落とした癖に、)]
……ははッ、きみが騙してくれんなら。 …何時迄も騙されてやるのに。
(279) 雨京 2017/06/28(Wed) 04時頃
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( だから、真に生きてくれねえか。 …然う思うこころは、是でも演者の端くれ。 笑みに隠し、食い縛った。 )
(280) 雨京 2017/06/28(Wed) 04時頃
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…… そうか。
(その芽も摘み取られて仕舞えば、 傍らから離れて 先をゆくきみに手を伸ばしかけて、 >>@177>>@178下る裁定に瞳を眇め、降ろした。)
──── 榴斗、
(281) 雨京 2017/06/28(Wed) 04時頃
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