263 ― 地球からの手紙 ―
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私は筋力を持たないので重力に勝つことはできません。落下していくのみです。霧状になれば風に紛れて空を飛びますが、やがて太り落下します。 太れば太るほど危険です。私が太ってアルティメットソランジュと化すと家や街をなぎ倒してしまいます。私の生とは繁殖することが骨子ではなく流通することに意義があります。定期的に不純物を振り落とし体積を減らすことが理想です。 砂や埃やオイルやその他のなにか不思議なものが混ざりそれを少しずつカットして濾していくのですがその過程で手紙が生まれます。 おわかりいただけるでしょうか。私がインクです。 ただ掃除するだけではもったいないから交流の道具として文字になってご覧とすすめてもらったのがことの始まりでした。 紙の上にのこった不純物は私とはまた違うと思うのですが、私の痕跡なのでこれも私の一部なのかもしれません。 本当に驚いたものです。私がいたという証明はこれでも残せるのだ!と。
(45) 2019/04/18(Thu) 23時頃
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カドという概念とあり方にはほとほと及ばない私です。このぶるぶるの体積を減らせば思考能力が低下するのは当然ですので手紙を生成したあとしばらくはカドのことを思いながらじっとしていようかと思います。 私がどこにいるのかという問いは本当に余剰なものと思います。だからこそ私に思考が許されているのだとも思います。
喉が乾いているのならばどうぞ濾したあとのきれいな私をお飲みなさいな。おいしいんでしょうかね?はるか彼方より連綿とつながる命を見守りそれらをつむぐお役目おつかれさまです。あれらの本をどうぞよろしくおねがいします。
そーれっ!
(49) 2019/04/18(Thu) 23時頃
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