人狼議事


193 ―星崩祭の手紙―

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視点:


【人】 重層培養 イースター



        『起きて。』


   [また、声が聞こえた。]
 

(22) aki_nano 2016/07/21(Thu) 15時半頃

【人】 重層培養 イースター


[星崩祭。
翠のワタシにヒトが説明してくれた、おまつり。
初めての文流し、初めてのお祭り。
初めて、は、ココロを浮き上がらせた。

体力がない、らしい、ワタシ。
ヒトと初めて会ったころにはよくしていた欠伸が久しぶりに、でてしまった。]
 

(23) aki_nano 2016/07/21(Thu) 15時半頃

【人】 重層培養 イースター


[ヒトの話をしよう。

ヒトは調査という仕事をしていた。
ワタシがいた星に調査しにきたヒトは、ワタシを見つけた。
ワタシはちょうど繭の中に帰ろうとしていたところを、ヒトは引き留める。]


 『こんにちは。
  って、ああ。そもそも言葉通じてるのかな?
  ことば、わかる?』


[あの星に『言葉』を話す生き物はいなかった。
唐突な、音にひどく驚いたのを、よおく覚えている。]
 

(24) aki_nano 2016/07/21(Thu) 15時半頃

【人】 重層培養 イースター


[不思議な、音を出すヒト。
繭に帰るのも忘れて、じいと視線を注いでいれば、
腹の底より湧き上がるもの。
くあ と口を大きく開ける。
瞼を閉じれば、体液が少し、零れた。]


 『眠いのっ……』


[再び、目に光を取り入れた時、ヒトの口は半開きだった。
それが面白くて、感情に身を任せ、笑うということを覚えた。]
 

(25) aki_nano 2016/07/21(Thu) 15時半頃

【人】 重層培養 イースター


[硬直を解いたヒトは、笑った。
硬化した体液を拾い上げ、光に翳し、眺めた。

引き留めた腕から解放されたワタシは、
繭の中に身をすべり込ませる。]


 『引き留めてごめん。
  おやすみ。また、来る。』


[繭が完全に覆われる前に、
影ができ、ヒトはそう告げた。]
 

(26) aki_nano 2016/07/21(Thu) 15時半頃

【人】 重層培養 イースター


[ヒトは約束通りやってきた。
それから、ヒトとたくさん過ごした。
世話をしてもらった。
ヒトの言葉を教えてもらった。
知識を授かった。
多くの感情をしった。
名前をつけてもらった。

そして、ワタシは増えた。
碧のワタシ。]
 

(27) aki_nano 2016/07/21(Thu) 15時半頃

【人】 重層培養 イースター


[ワタシが増えて、ヒトはまた口を半開きした。
光が差して、消える。
その繰り返しが60回行われてから、ヒトは問うた。]


 『Rに、B。
  一緒にきてくれないか?
  今より、いい生活は絶対に保障する。』


[ワタシは、ワタシ達はヒトが好きだった。
ワタシと示し合せることなく、同時に頷いた。
そうして、今の部屋に連れてこられた。

いい生活、だったのだろう。元いた星より断然に。
ワタシはまた増えた。
翠のワタシ。]
 

(28) aki_nano 2016/07/21(Thu) 15時半頃

【人】 重層培養 イースター


[ヒトと同じ、ヒト達は、ヒトは、
ワタシ達に体液を流す─泣くという行為をしてほしいようだった。
硬化した涙は、ヒト曰く価値のあるもの。

だから、時々泣いた。
紅く、碧く、翠に、輝くそれを手に入れたヒト達は満足そうだった。]
 

(29) aki_nano 2016/07/21(Thu) 15時半頃

【人】 重層培養 イースター


[そのものを手にしただけでは足らなかった、らしい。
ワタシ達は泣く前に、目薬を差すことになった。
体液を硬化させるのを遅延させる効果。
赤と青と緑。
均等な量で混ぜて、透明な色を作りだしたいらしい、ヒト達。
その中にも、もちろんヒトも。

ヒトの話、終わり。]
 

(30) aki_nano 2016/07/21(Thu) 15時半頃

【人】 重層培養 イースター


[起きて、の声。
ワタシ、じゃない声に引き寄せられて、意識を浮上させる。
繭の殻を割った。]


 『おはよう、R。
  BもGも、私も、君を待ってたよ。

  今日は星崩祭だから、一緒に楽しもう。』


[おはよう、世界。
おまつりを、楽しもう。
ワタシと同じ名前も持つという、おまつりを。]
 

(31) aki_nano 2016/07/21(Thu) 15時半頃

【人】 重層培養 イースター


[足を床につけ、ヒトとワタシ達に近づく。
その間、ヒトは身に着けていた鞄に手を突っ込む。]


 『お祭りの前に、これを。』


[碧と翠のワタシに渡された見知らぬもの。
三つ目はないのかと、ヒトに訝しげな視線で訴えると、
ヒトは肩が竦めて曖昧な表情を作った。]
 

(146) aki_nano 2016/07/23(Sat) 01時半頃

【人】 重層培養 イースター


[渡された透明なカプセル。
銀色に金色が施されたものをワタシ達は開く。]


 『ああ、Bの持ってる方から見た方がいい。』


[助言を受けて、ワタシ達は覗き込む。
4行目まで、目を通せばそれは何であるかは解る。
碧のワタシの肩を揺らして、喜びを伝えた。]
 

(147) aki_nano 2016/07/23(Sat) 01時半頃

【人】 重層培養 イースター



 手紙、ちゃんと届いてた!


[届いてた、届いてたと反響する糸の意思。
ワタシ達の声が届いてことが嬉しく、笑い声が部屋に響いた。
ワタシの手は手紙に伸びる。
次の文章が早く、読みたかった。
最後まで読み終え、満足げにワタシ達は笑う。
赤青緑の鶴が、透明な鶴に変わったことも、なんだか嬉しかった。]
 

(148) aki_nano 2016/07/23(Sat) 01時半頃

【人】 重層培養 イースター


[次は、翠のワタシの番。
カプセルを開いて、ワタシ達に見えるように手紙を開く、番。]


 きりん?


[知らない単語がでてきたので、ヒトにじいと視線を注ぐ。
後で、きりんの折り紙を作るという言質をとってから、
その後の文章に目を落とす。
ワタシ達は、らいじの言葉に、しんの言葉に返事をしながら読み進める。
 
全て読み終わった後、新しいカプセルをヒトにねだる。]
 

(149) aki_nano 2016/07/23(Sat) 01時半頃

【人】 重層培養 イースター


[殻を割る、という行為を、
ヒト達は意味を持って捉える、らしい。

復活、という意味でも。]
 

(150) aki_nano 2016/07/23(Sat) 01時半頃

【人】 重層培養 イースター


[ヒトとワタシ達は、おまつりが行われる部屋まで歩く。
舞う蝶と銀色のカプセルを携えて。
ワタシはワタシ達に手を引かれ、ヒトの背中を見ていた。
たくさんのヒト達がいる部屋は、薄暗いけども、
今までに見たことないほど色に溢れていた。
中心に据えられたもの。
様々な色を当てて、光る楕円形に加工されたそれはワタシ達のものだった。]


 『綺麗だろ?』


[ヒトはそう言って、笑った。]
 

(151) aki_nano 2016/07/23(Sat) 01時半頃

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