196 水面に映る影より遠く
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── 朝 ── [今日は補講最終日。 運悪く出席することとなった水泳部は 今日も鍛えた脚でペダルを漕ぎ 少し伸びた髪を風になびかせ学校へ。]
……っと、ごめんごめん おはよー にゃんこ
[道を横切ろうとする猫を見つけると キィ、と音を立てブレーキ。 碧い瞳に真っ白な毛。>>0:9 昨日見かけた猫だろうか。>>1:118 自転車に跨ったままその姿を見送ると 再びペダルに足をかける。]
(4) 2016/08/21(Sun) 09時半頃
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[補講は今日で最後。 自分はこれからも泳ぎ続けるけれど あのメンバーで、泳ぐのは──…]
さいご、かあ。
[ぽつりと呟きを零しながら 自転車は再び走り出す。 今日は誰かに会っただろうか。
昨日は小夏、その前は律、 後ろにあった重みは 今日はなく 涼しい風が通り抜けるだけ。 少しだけ、寂しさを感じるのは きっと気のせいではないだろう。]*
(5) 2016/08/21(Sun) 09時半頃
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── 前日、彰人と ── [ろんりー千島の前世診断を聞くと>>6]
そうだな。 前世は泳ぎ続けないと死ぬマグロかもしれない。 それかマグロの人魚姫。
[真顔でそう頷けば、ろんりー千島の脳内には 腹筋の割れた人魚姫のイメージが浮かび上がることだろう。
おれは、泡になって消えたりなんて しないんだけどね。]
(24) 2016/08/21(Sun) 12時頃
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[ろんりー千島のろんりーじゃなかった過去を 詳しく聞くことはしなかった。>>7 その事実があったということに、 「まじか。」と興味深い視線は送っただろうけど。]
( ていうか彰人、少女漫画読んだことあるんだ )
[ろんりー若菜は、そっちの方が気になります。
いまのこの瞬間も、いつか大人になった時 きらきらした宝物として思い出すなんて 子どものおれは、まだ知らなくて。]
(25) 2016/08/21(Sun) 12時頃
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〜〜〜っ、笑いすぎ。
[猫のように飛び上がった俺を映すまんまるな瞳は、 やがて三日月型へと変わり>>9 全然わかってなさそうなその様子に 少しだけ頬を赤くしながら その頭にチョップをした。]
(26) 2016/08/21(Sun) 12時頃
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えっ、一組いんの? 誘っていいのかな…いいか。 じゃあ、明日みんなに聞いてみる。 全員に振られたら責任取れよ。
[既にリアジューが存在していると知って 何も知らないろんりー若菜はびっくりだ。
そのあと、コンビニで祭の日取りを確認して ろんりー同盟第1回会議は終了。 同盟が僅か一時間足らずで破棄されたなんて 聞いてないぞ、チクショウ。]**
(27) 2016/08/21(Sun) 12時頃
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──→ 学校 ── [どうしてだろう 今日に限って、誰にも会うことなく 学校に着いてしまった。]
( 追い風だったからかな…… )
[なんて、自分でもよくわからない理論で片付けて 靴を履き替えると教室へ。]
(28) 2016/08/21(Sun) 12時頃
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おはよ──…あれ、
[ここにも、誰もいない。 そこで時計を見て、 ようやく家を出る時間を間違えたことに気がついた。 そりゃあ誰もいないか。
自分しかいない教室は、いつもよりも広い。 窓をすべて全開にすると そこから校庭を見下ろした。]
(29) 2016/08/21(Sun) 12時頃
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[まるで、世界に自分しかいないんじゃないかと そう錯覚してしまうほど、静かな朝。 遠くで虫の聲だけが聞こえた。]
みんなはやくこいよー…
[言の葉は、風に乗って飛んでいく。]
(30) 2016/08/21(Sun) 12時頃
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[校庭にもクラスメイトの姿を見つけられなかったなら 自分の席へと腰を下ろし、 両腕を枕にしながら目を瞑る。]
( しゅくだい、もってくればよかった )
[未だに1%も手をつけていないことを思い出しながら うとうと、うとうと、夢の世界へ。 完全に眠りへと堕ちたのは、 眼を瞑ってから30秒後のこと。]*
(31) 2016/08/21(Sun) 12時半頃
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ん゛、
[びくんっ!と大きく肩が揺れる。 誰かが入ってきたこと>>39にも気づかない俺は 夢の中、金魚の姿で泳いでいて。 祭の金魚すくいの店の狭い水槽で泳いでいるところを リツ[[who]]に掬いあげられたところで 思春期の魔獣は目が覚めた。]
(48) 2016/08/21(Sun) 13時半頃
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わあっ!?!?
[ガバリと顔を上げれば、 なんだ夢か…と大きくため息。 律め。もっとソフトに掬えよ。
寝ぼけ眼で教室内を見渡して 後ろの方の席に眼鏡の女子の姿を発見。]
あれ、おはよ 八竹ちゃん。 早いね。
[目を擦りながら挨拶すると 立ち上がり、ナチュラルに彼女の前の席へ。]
(49) 2016/08/21(Sun) 13時半頃
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間違って早く来ちゃって ちょっとろんりーな気分だったんだよね。 八竹ちゃん来てくれてよかった〜
[椅子を引くと、背もたれに手をついて 反対向きに跨った。 机1個分の距離の先にいる八竹ちゃんに向き合う形。 彼女がどんな顔をしているかも気付かずに 何読んでるの?って本のタイトルを覗き見たりして。]
(50) 2016/08/21(Sun) 13時半頃
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そうだ、八竹ちゃん 昨日の律のやつ、みた? 今日の夜 花火しよーって。 くるっしょ?
[昨日、メッセージに返信がなかったこと>>1:366 それに気がついていたけど、 あえて返信しなかったとは思い至らず にこりと笑みを向けて、俺からも参加のお誘い。]*
(51) 2016/08/21(Sun) 13時半頃
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[目覚めたばかりで寝ぼけた状態の俺は 金魚すくいのポイを探すのにきょろきょろして 叫び声をあげられたことには気がつかない>>60 けど、そのあと返してくれた「おはよう」は 静かな教室内ではばっちり耳に届いて>>61 嬉しそうに彼女に近寄った。]
ん。今日だけちょっとね。 八竹ちゃん、いっつも早いんだ。 夏休みなのに偉い!
[八竹ちゃんの本の園でも 俺の泳ぐ泉でもないけれど、 机を挟んだ近い距離 会話はもちろん、成立したよ。]
(85) 2016/08/21(Sun) 14時半頃
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せかいをまたに……? なんかすごそうな魔女だね。
[本のタイトルを読み上げれば>>63 男を何股にもかける女の人を思い浮かべる。 内容を教えてもらえなければ きっと間違ったイメージを抱いたままだろうけど 嬉しそうに身を乗り出す彼女を見れば 目を細め、口角を少しだけあげた。]
(86) 2016/08/21(Sun) 14時半頃
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そんな面白いんだ。 おれ、本とか普段読まないけど 大丈夫かな、馬鹿でも読める──…
……どした?
[驚いたような声をあげ 本の向こうに顔を隠されれば なにかあった?と首を傾げる。]
(87) 2016/08/21(Sun) 14時半頃
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( ……あ、もしかして )
[思い出すのは、プールサイドで 嫌われてるかもって思ったこと。>>0:241 また怯えられてるのかと、 寄せていた顔を少し離す。 けど、席を立つことはしなかった。]
(88) 2016/08/21(Sun) 14時半頃
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[花火の誘いに 目元だけ覗かせて首を振る八竹ちゃん>>65 断るその理由を推測できるほど 俺は頭も良くないし察しも良くないから]
なんで? 親が心配するとか? それならちゃんと送ってくし… なんか用事あるんなら 無理にとは言わないけど
[じいっとレンズの向こうの目を見ながら 「でも、」と言葉を続けて]
(89) 2016/08/21(Sun) 14時半頃
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八竹ちゃんもきたら みんな喜ぶよ。 少なくとも、俺は嬉しい。
おいでよ。 絶対楽しいから。
[無意識にまた顔を近づけて ダメ?と笑顔で首を傾げれば 少し強引なその誘いに 彼女はなんと答えてくれただろう。]*
(90) 2016/08/21(Sun) 14時半頃
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[下心なんて これっぽっちも持ち合わせていないんだけど 彼女の警戒の壁をなくして “思春期の雄”から“友人”へと 自身の評価を変えることはできるだろうか。
曖昧な笑みに>>109 彼女の胸中を察することはできないけど]
八竹ちゃん、さ
[見当違いかもしれないけど、それでも。 小さな囁きは、きっと彼女の耳にだけ届く]
(119) 2016/08/21(Sun) 17時頃
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───…
[きっと今まで見せたことのない真剣な表情で、 少しだけ低い声で、言葉を紡ぐ。
けど、これはきっと、自分へも向けた言葉。 自分の居場所でひとりぼっちを感じる、 寂しがり屋のための。]
(120) 2016/08/21(Sun) 17時頃
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……んじゃ、約束ね。
俺、あとで花火買いに行くから 買ってきてほしいのあったら言って。 ロケット花火とか!
[はっきりと断らないことを>>109 ポジティブに捉えた俺は
「考えておく」→用事はない →行ける→遠慮しているだけ
そう解釈して、笑みを見せた。 ちなみに、「花火を持ってきてない」も 理由にはならないぞ、と遠回しに釘を刺して。]
(121) 2016/08/21(Sun) 17時頃
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[そうしているうちに、 誰か教室に入ってきただろうか。 立ち上がり椅子を戻すと まずは水泳頑張ろうな、と声をかけ 彼女に背を向ける。
けど、]
……ん?
[「あ、」と付け足された言葉に>>111 首だけ向けて振り返って]
(122) 2016/08/21(Sun) 17時頃
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……うん、じゃあ読み終わったら貸して。 八竹ちゃんのおすすめならちゃんと読む。
[『世界を股にかける魔女』 その表紙の向こうの彼女に 白い歯を見せ、深く頷いた。
宿題をちゃんと終えられたら、 そうだな…夏休み明けにでも。]**
(123) 2016/08/21(Sun) 17時頃
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── 教室 ── [ホームルームの前、 みんなが花火を手にしているのを見て 持ってきてないの俺だけ?ってちょっと焦る。 もともとじいちゃんと二人暮らしの家にはなかったから 夜までに買えばいいかって、呑気に考えてて。]
足りないのあったら買っとくから あとでなんかあったら言ってー。
[チャリで行ってくる、と付け加えて みんなに伝えれば、何か注文はあっただろうか。 律のメッセージには>>78 サンキューって直接礼を言った。 浴衣に関しては、当然のように俺の口から出ることはなかった。]
(128) 2016/08/21(Sun) 17時半頃
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──→ プール ── [準備運動もそこそこに 今日もとぷんと水の中へ。 しばらく一人で泳いだ後 あたりを見渡せば律の声が耳に入って>>117]
………?
[悩んでいるような、苛立ったようなその声に どうかしたのかと近寄って]
(129) 2016/08/21(Sun) 17時半頃
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……わっ!!!
[律が顔を上げるタイミングを見計らって 俺も水面からザバーっと顔を出し 大きな声でサプライズ。]
どした?なんかあった?
[ぷかりと水面に浮きながら 横目で律に視線を送る。 息継ぎなら教えてやるけど、 果たして、律が求めているものは?]*
(130) 2016/08/21(Sun) 17時半頃
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はっはー!ドッキリ大成功! 水の中で油断するなよ!
[かなり驚いた様子の律を見て>>133 いぇい!と笑顔でVサイン。 水面に浮かび律を見るけど、その視線は交差せず。]
なんだその言い方ー むしろ俺だから気付いたかもじゃん?
……さっき、変な顔してた。
[「今もね。」 そう続けようと口を開けば 水音に掻き消されそうな儚い声が耳に入って]
(135) 2016/08/21(Sun) 18時半頃
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( ………なんだ、 )
[考えていたことは同じらしい。 沈むような律の表情とは対照的に 俺は口元に笑みを浮かべて。 ちゃぷんと音を立て一度潜ると すぐに浮上し、律の前に。]
っぷは、
[顔を出し、息を吸えば 俺よりちょっと上にあるその顔を見上げて]
(136) 2016/08/21(Sun) 18時半頃
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