15 ラメトリー〜人間という機械が止まる時
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―小倉庫前― [城を出る途中、廊下で不意に百目蛇が足から離れた。 こちらの歩く速さについて来れなくなったみたいだ。 振り向けば、新緑色の身をぴしりと震わせ、ひび割れて。
ああ。
蛇はよろよろと、少し開いた倉庫の扉に向かって行って。 それが白くはかなくなるのを、最後まで黙って見ている**]
(1) 2010/07/17(Sat) 22時頃
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―古城・小倉庫―
[這い回っていた蛇が、はらりと解ける様を見届けた。 雨上がりの風に乗って散り散りになって行く。
それが最後に向かおうとしていた倉庫の扉を見遣った。 少し開いていた隙間をそっと押し開き。 ひょこりと中を覗く。]
(38) 2010/07/18(Sun) 00時頃
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[倉庫の中では男が一人眠っているようだった。 そこで、音>>#0が響いて。]
…………――
[そう遠くない場所からだと感じる。 耳元を軽く押さえ、少しの間だけ後ろを振り返った。]
(47) 2010/07/18(Sun) 00時頃
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[誰のものともつかぬ遠鳴きはすぐに止む。
靴音は控えめに、倉庫の中に入って行く。 枕元の缶詰を一瞥。 それから外套にすっぽりと収まって眠る男の顔色を窺う。 余り快い眠りではないのか、時折呻くようだ。]
(50) 2010/07/18(Sun) 00時半頃
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フィリップは、そっとしておくか起こすか、しばしの逡巡。
2010/07/18(Sun) 00時半頃
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>>51 [目が合って目を瞬き返した。 一瞬、寝惚け声の意図する所が解らずに迷う。 遠鳴きの事に思い至って首を振った。]
解らない…… 何かの異形、かも
[左右で違う質感の双眸、表情を眺めて答える。 人間の叫びと言うには異質な音だったように思う。]
(54) 2010/07/18(Sun) 00時半頃
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[『胸に刺さる』、そう聞いて少し黙る。 何か脳裡で考えたらしく、伏せた目は瞬いて。]
そ、か
[雨宿り、の言葉には頷いた。]
……雨は止んだよ
(58) 2010/07/18(Sun) 00時半頃
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>>61 [天気への安堵につられるように窓を見た。 いつも、暗いか薄暗いかの空は赤色を帯びている。 見る時によって少し色味が違うと感じるのは、空に漂う澱みが流れているからかも知れない。]
食べな、のか?
[缶詰を一瞥して問う。 枕元への置き方は、大事に取ってあるのとは違う気がした。]
(66) 2010/07/18(Sun) 01時頃
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フィリップは、電子式の缶切りは、あっても動力が用意出来ないとおもう。
2010/07/18(Sun) 01時半頃
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>>73 [缶が開けられないらしい。 ヨナが持って来たのなら、彼女は開けられるのだろうけど。 外套の下でポケットを探る。 古い小型のツールナイフをぱちりと取り出した。]
貸して
[横に腰を下ろすと、手を伸ばす。]
(76) 2010/07/18(Sun) 01時半頃
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>>81 [ツールナイフを弄って、引き切り型の缶切りを出す。 興味深そうな視線にそれを示した。 掌に握り込める小さなグリップに、複数の部品が詰まっている。]
開けて、良いんだよな
[缶のふちに刃を当て、力を入れた。 かしりと小さい音がして蓋に穴が空く。 切れ味は鈍っているが、何とか使えそうだ。]
名前は? ……俺はフィル
[やがて、開けた蓋を上に曲げて、ベネットの前に置いた。]
(87) 2010/07/18(Sun) 02時頃
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>>91
……物書き?
[名前と共に職を告げる者には久々に会う気がする。 中身を分けようとの言葉には不思議そうな顔をしたが、理由を聞いて結局頷いた。 同じように魚の身を指でつまむ。]
そ、か。
[息を整えるように小さく咳をしてから口に放り込んだ。]
……んまり、面白味はないと思うけど
[それでも良いなら、とつらつら考え始める。]
(92) 2010/07/18(Sun) 02時頃
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>>95 [缶詰の魚肉を食べながら、言葉の選び方は取り留めない。 声が聞き取りにくいようなら幾度か言い直しつつ]
……元は俺も、別の町から来た
雨の色変わって、外から異形が来だした頃 皆町を守、っげほ、悪い…… 守ろ、としたんだけどな
大きな河が通ってて、それが腐ったら、もう
酷かった
……町ん中、異形が湧き始めて、ヒトも変わってく 後は、も、まともな生き方は出来なかったよ
[内側からゆっくり蝕まれるように崩壊を迎えた。]
(106) 2010/07/18(Sun) 03時半頃
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ここには、大分前からいる 今居る中で二番目か、三番目か……その位
色んな人が来たよ、今迄……ぁあ、異形もか
優しい人、暗い人、怪我人、病人 ……泉を奪ろうとする奴
[一瞬、目を伏せ視線を余所に逸らした。]
物書き、は初めてかも知れない 今迄、どんな事書いたんだ……?
[片膝を立て、そこに腕と頭を乗せると一息ついて黙る**]
(107) 2010/07/18(Sun) 03時半頃
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―古城・小倉庫― >>125 [ひどく熱心に話を聞いて貰えるのは、どこかくすぐったい。 半分にした魚缶は空になった。]
守る、か
……ど、かな
[ただ自分が生きるのに必要だっただけ。]
今は俺より、守ってる人いるしね そこまで考えて…ってる訳じゃない、かも知れないけど
[『シィラってひと』の所だけ、不意に目を細めた。]
シィラ、まだ会ってないか…… あんま、怖がらな、でやって
(127) 2010/07/18(Sun) 14時頃
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>>126
…………
[ベネットの見て来たおわりの風景は痛切な鮮やかさで、 隣で光を湛える瞳を見た。 それは確かに鉱石の質感なのだけど、温かそうでもある。
ぽふ、とその肩を撫でた。]
……辛い、か
(128) 2010/07/18(Sun) 14時半頃
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[苦しげな呻きに、大丈夫かと声を掛ける前に息を呑む。 傷口から直接生え出す蔓は、伸びる先からひらひら消えた。
あの 小さな存在を主張するようなあの蛇と同じに。]
傷口、手当は……?
[放置して良いものなのか解らず、気遣わしげな目を向ける。]
……生きる意味―― そ、か
……ひとの生きる意味を、書く事
良い事、と思う。とても
[声は風化した砂のように落ちた。]
(131) 2010/07/18(Sun) 15時頃
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[薬、包帯。包帯はともかく薬は探すのに難儀しそうだと思う。 医術の心得がある者は皆いなくなってしまった。]
解った…… 手当したら、もう少し眠りやすい所に移ろう
[傷口を塞いでから動いた方が良さそうだとの判断。 そうして立ち上がった。]
蛇に会ったよ、……ベネットだったんだな
話、ありがと
[自分の生きた痕跡が書き留められる事を思う。 猫のように目を細めて、手を振った。]
(133) 2010/07/18(Sun) 15時半頃
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―見張り塔へ―
[エントランスに置き放していた水汲みの硝子瓶を拾う。 城を出る時、ゴーグルとスカーフを上げるか迷い。 けれど、今は地面が濡れているから大丈夫と思って止めた。
塔に入る直前、空を見上げて異形の影に表情を変えた。 足取りも素早いものになり、階段を上って行く。]
っは、……けほッ
[口元を拭って小銃のスコープを覗いた。 丸い胴体の下から多数の吸血吻と多脚を生やした大型の蝙蝠。
手元の操作は身体に染み付いたもの。 ボルトアクション式の装弾。呼吸を整える。 引鉄を引けば、翼が落ちて行く**]
(150) 2010/07/18(Sun) 20時半頃
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―見張り塔―
[遠くの、淀んだ色の山に微かに焼けた空が灯るような。 そんな一瞬を経て世界は暗さを増して行く。>>#2
スコープも使いながら、町の様子を覗いている。 物を探しに出ている人影は見付かるだろうか。]
(174) 2010/07/18(Sun) 23時頃
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[雨漏りの位置に置いていた容器から、溜まった雨水を捨てた。 それからまた町を見ていると。]
……ん
[ちかりと赤い光が照準を通り過ぎる。 スコープから離した目を凝らせば、細長い異形が飛ぶ姿。
……――シィラ?
こちらに近付いて来る。 背にヨナを乗せているのも見えた。]
(188) 2010/07/19(Mon) 00時頃
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フィリップは、異形の唸りを普段以上に近く感じた気がする。
2010/07/19(Mon) 00時頃
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>>192 [半壊の窓にぺとりと張り付くエンジェルシィラ。 ヨナが顔を出して非礼を詫びるのに手を伸ばした。]
や、良、けど……どうした
[シィラから塔に移りやすいように手を貸す。
ここに棲み付いてから、塔でヨナに会った事はなかった。 高い建物は余り安全ではないし、目ぼしい品もない。 だから、暮らすには来る必要のないところ。]
(194) 2010/07/19(Mon) 00時頃
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>>198 [塔の最上階、小さな部屋には最低限の物資。 寝床と汲んで来た水と、漁った食料、等々。 それから、狙撃用の小銃と実包。]
…………
[異形を撃っているのは事実だ。 人間を襲うものに限っているとか、そう言う事に関係なく。 ヨナに言われると少し、ぐっとなる。 一度、窓にいるシィラを見遣る。
頷いた。]
(203) 2010/07/19(Mon) 00時半頃
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>>205 [『気にしなくてよい』そう言われて再び頷いた。 ラメトリーに来てからそう短くはない時間、それは壁に書いた線の数だけ。 この町で身を守るのに銃を取り続けた時間。
青い眼に見られて、緑の眼は少し首を傾ぐ。]
……理由は、幾つかあるけど
[単純に高所の方が照準が容易だとか。 砂塵の入りやすい下階よりは喉が少しばかり楽だとか。 そんな事をぽつぽつと呟いた。]
(207) 2010/07/19(Mon) 01時頃
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フィリップは、ヨーランダに寝床に積んでた布のかたまりを一つ寄越す。床座りでも良いなら。
2010/07/19(Mon) 01時頃
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>>209 [猫のように目を細めた。]
珍しいな、……そんな風に
[彼女が人に興味を示すのは。そう思う。 泉で水を得る時に、たまに少し言葉を交わす程度。 と言っても、こちらは町で何かを探すヨナの姿を、上から見てた訳だけど。]
今日ベネットにも、…じ事聞かれた
良いよ、代わりに ヨナの話も聞きたい
[ゆっくりと、故郷の事を語る。>>106]
(214) 2010/07/19(Mon) 01時頃
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フィリップは、座って話しながら時々、水を含んで口を湿らせたり。
2010/07/19(Mon) 01時頃
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>>219
……だな、悲しかった、筈なんだけど ぐちゃぐちゃでもう、…… そこまで、余り考えられなかった
[一瞬陰る表情を頭を振って追い払う。 それから、話題を尋ねられて少し思案する。]
今迄どんな風、生きてきたのか あと、それでどんな風に思ったのか
[音を抑えた咳をした。]
…………水を、分けよう、と思ったのは?
(222) 2010/07/19(Mon) 01時半頃
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>>234>>235
うん。
[前置きに頷いて、欲しければと水筒を差し向ける。
『魔女の娘』。 眼を瞬いた、何て迷信的な言い回しだろう、でも。 『慰み者』と言うのは生々しかった。]
みんな、かわいそう……か
それも何か、悲しいな
[夜は等しく訪れた。]
(240) 2010/07/19(Mon) 02時頃
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>>237
そ…だな、必要
[けれど、その不可欠な水を分ける者は今の世界には稀有だ。 泉の水が未だ澄んだまま涸れないのも一因だろうか。]
……から、他の人にはやらない奴もいる
[と言うよりフィルが知る内ではそちらが多数派だった。 ラメトリーの水も、独占しようとする者が来なかった訳ではない。 彼らはもういないけれど。 銃と外を流し見た。
シィラの鳴き声。外は大丈夫だろうか。]
(242) 2010/07/19(Mon) 02時頃
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>>245
……俺だったら、したよ だからあの時、ヨナが居て良かった
[滅びた故郷ではそうしないと生きられなかったから。 そして自分がしたのと同じように。 水を独り占めしたがる者に殺されただろう。]
……――最近、来た人は 珍し、方ばかりだな
[今ラメトリーにいる者達は優しげでどこか脆い。]
(247) 2010/07/19(Mon) 02時半頃
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…………――
慰み者を、作らずに居れなかった人らも悲しい ……かも知れないけどさ
[ヨナの頬にそうっと両手を伸ばしてみる。]
かわいそうと思わずに居れなかった お前も、悲しくないか……?
(249) 2010/07/19(Mon) 02時半頃
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>>253 [この町で、撃ったのは勿論異形だけじゃない。
けど水を独占する者は全員、でもない。 行方の解らなくなった奴らは、何か異形に喰われたのだろう。 それ以上は余り深く考えて来なかった。
両頬と頭を撫でる。 生きてる温かみだった。
看取る言葉に、表情は変わらない。 彼女よりは短い期間だが、似たようにして来たから。]
ばかだな
……皆が皆死んでく訳じゃない
[だってそうじゃないと、ヨナを看取る人が居なくなる。]
(254) 2010/07/19(Mon) 03時頃
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>>258>>260 [途切れる声に、首を傾げる。]
……どうか、したか?
[歩き方を忘れてただ佇むような静けさに。 ぽふと頭の横辺りを撫でた。]
何か不安でもあるのか
[後は吐き出したい事があるなら聞く、と言う態で。 あるいは他に聞きたい話はあるかと。 青色の眸を見ている**]
(277) 2010/07/19(Mon) 12時半頃
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