193 ―星崩祭の手紙―
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[不意に、携帯端末が鳴り響く。 わたしたちを管理しているマスターからの呼び出し。 要件は大方予想は付く。 きっとオシゴトとか、お小言とか]
もう、マスターは空気が読めないのかしら。 ……帰りましょうか。
[寂しそうに声音を落とす。 それは、カプセルを見に行けなかったから、というよりは、 彼との時間を邪魔されたからといった方が正しいだろう。
街の外れを抜けて、目指すは空に一番近い場所。 研究施設と隣接した、わたしのおうち]
(3) 2016/07/16(Sat) 12時頃
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ポーラ、ただいまもどりましたーぁ
[気怠そうに間延びした声を掛ければ、 スプリングの効いたソファに身体を沈めた。 そうして、前に置いてある小さな机に転がった幾つかの宇宙カプセルを視界に入れれば、身を乗り出して声音を弾ませた]
ねえねえ、これってわたしたちに? マスターが選んでくれたのっ?
[大きさは掌に収まるくらい。 表面はガラス玉のようにきらきら 星の光を反射して。 わたしの瞳と同じたと、思ったの]
(5) 2016/07/16(Sat) 12時頃
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[返ってきたのは肯定の言葉。 これを渡すためにわたしたちを呼び戻したのだと。 不機嫌そうに固く結んでいた唇が自然とほどけていくのが分かる]
……ありがと、マスター。 なによ、ためには気がきくのね。
[小さく、ぶっきらぼうに礼を言えば、 カプセルをひとつ手に取って、自室への道を辿る。 入れ違いにソファに腰掛けたあなたに机の上の紅いガラス玉を指さした。 どんな表情をしたか、わたしの角度からは見えなかったけれど。
そうして、自室の扉を閉めた]
(7) 2016/07/16(Sat) 12時半頃
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[手紙を書き終えれば、小さく詩を口遊む。 大切そうに、閉じ込めて蓋をした。 窓を開けてガラス玉に備え付けられているボタンを押すと、それは音もなく、ふわり、と浮き上がって星空へと消えていった]
いってらっしゃい、
[小さく声をかけて、防犯センサーが作動する前に静かに窓を閉めた]
[自室から出れば、未だソファに腰掛けていた彼の横に座る。 マスターはどこかに行ってしまったようで、もう部屋には見当たらなかった]
手紙、書かないの?
[返ってくる返事は分かっている。 それでも、毎回同じ問いをかけるの。
あなたの肩に頭を預ければ、瞳を閉じた]
(10) 2016/07/16(Sat) 14時半頃
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