人狼議事


237  それは午前2時の噺。 

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【人】 MI:18 エリ

「おばけなんてないさ」   ……ズル……ズル……

 ズル……ペタ……     「おばけなんてうそさ」

「だけどこどもなら ともだちになろう」   ペタ……

  ペタ…… 「あくしゅをしてから おやつをたべよう」

「だけどちょっと」   ペタ……   「だけどちょっと」

         「ぼくだって……」

(13) 2018/03/23(Fri) 19時頃

【人】 MI:18 エリ

[唇に載せた歌を止めて、わたしはちょっと遅れて歩くアヤを振り返った。]


 ……ごめんね、ちょっと早く歩いちゃったかな。


[足に合わない草履を引っかけたアヤが歩く度に、人気のない通りにずるずるぺたぺた足音が響く。
ほんの少し目線を下げて覗き込むと、心配ない、とばかりに首を横にふられた。

大人に内緒の大冒険だけれど、公園から住宅街までの間、誰にもすれ違わずに来ちゃった。
いや内緒だからいいんだけど……それはそれでつまんない。
昼間はたくさん人がいるのに、こうやって誰もいなくなるとやっぱりちょっと不気味で、まるで、全然違う世界に迷い込んじゃったみたい。

いつも前を通りかかるといい匂いがする「はなまる」さんも、今は何のにおいもしない。
……正直、アヤからちょっと生ぐさいにおいがするから、あんまりくんくんしたくないのもある。]

(14) 2018/03/23(Fri) 19時頃

【人】 MI:18 エリ

[静まり返った住宅街には、窓の外から漏れる静かな灯りが満ちている。
外から見る家族の時間は、穏やかで、優しくて……悲しい。
こうしてアヤと手を繋いで夜の中を歩いていても、誰も窓を開けてくれない。

ふと、足元に水でふやけた本が一冊転がってるのが見えて、わたしはしゃがんで表紙に描かれた文字を読んだ。]


 あ、ん、ぐ、り、……?


[漢字がいっぱいの大人の本だけど、表紙の雰囲気とかからスイリすると……多分、大人向けのおばけの本。
道路に本を放り投げてっちゃうくらい怖かったのかな、なんて、ここにこの本を置いてった人の事を考える。
怖いからおばけのこと書いてある本を捨てて、おうちに帰って、そこで安心するんだろうか。]


 大人もおばけを信じるのかなあ……変なの。


[わたしの後ろに立ったままのアヤを振り返って笑った。]

(15) 2018/03/23(Fri) 19時頃

【人】 MI:18 エリ


「……おばけは、いるよ」


[アヤの口が小さく動く。電灯の陰になって顔は全然見えないけれど、静かに、しっかり、アヤは言った。]


「ふつうのひとにはみえないけれど、みえないだけで、いる。」


[あんまりはっきり言い返されて、わたしはなんて答えていいか分からなくなって、アヤの汚れた膝小僧を見つめた。
いないよ、ってすぐに言い返したかった。普通の人に見えないなら、ほとんどいないのと一緒じゃない!って。
でも……]


 ……もしかして、見えてるの?


[アヤは答えてくれなかった。] *

(16) 2018/03/23(Fri) 19時頃

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