149 Hogwarts School ~ 2nd season ~
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[>>1倒れたチョコレートにイトスギを振るう 紅茶色のお姫様を ぼんやり 眺めて
交差する視線に ぱちり
ヒーローは 応じるように まっすぐな無垢な瞳で 友人を、
親友を ただ 信じて 真っ直ぐ、見据える。
揺れるような鈴と 騒ぐ胸には 気付かないフリをして。 ]
―― 俺の、正義 ……、
(3) 時雨 2015/02/18(Wed) 00時半頃
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[その間は 振り子が揺れるように 答えは見えない それでも、ただひとつを掴むように 杖を持った手が象る拳を つよく 握る。]
…へへっ、決まってるだろ? 正義は、 …本当の正義は、ひとつなんだ。
純血の名の下に、従わない 逆らう悪 …… マグルを全て倒す!
[それでもヘーゼルに過る不安は、 いつも自信に満ちた淡褐色の太陽を僅か弱らせ、 へらり と崩した笑みも 輝きは薄い。]
( そう 俺の正義は 最初からひとつだけ )
(4) 時雨 2015/02/18(Wed) 00時半頃
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でもっ、デージー達は友達だから
俺は、 味方だって 着いてきてくれるって信じてる!
だから ‟仲間”たちに、 手を出すなっていうのも言ったし、
[それでも 必死に闇底の石を握り締め 正義を、最後まで叫び続ける。 まるで それを信じたいかのように 縋るように 息を吸って、]
(5) 時雨 2015/02/18(Wed) 00時半頃
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[ ―― そう。勝つ事さえ出来れば。 正義は 本当に、実現するんだから。 それが ‟あるべき姿”か どうかには関わらず。
あの、決闘を思い出して ―― かつり 廊下に足音を鳴らし、手を差し伸べる。]
なあ デージー。 それに、スヴェン。
俺達って、友達だよな? ……ふたりは、
(6) 時雨 2015/02/18(Wed) 00時半頃
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ふたりは、俺を裏切らないよな?
[まっすぐ ただ まっすぐ。 さざ波を堪え 純粋な眼差しは 信頼している友が 俺を突き放さないって ひた向きに信じて 見据える。
なのに。 なのに なんで、こんな 心臓が煩いんだろ?*]
(7) 時雨 2015/02/18(Wed) 00時半頃
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/*
デメテルむぎゅー!!!!!!
(*1) 時雨 2015/02/18(Wed) 00時半頃
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― 闇鍋に、颯爽と 俺 登場! ―
……おーい、デメテル!カルヴィン!
なにしてんだよー? 鍋?
[神妙な顔をしている二人へ とてて、 空気を読まずかけよって
ぐつり ぐつぐつ 煮え滾る 真珠のように透明な海 鮮やかな色の 野菜達の宝石箱は
実に 暴力的であり 魅力的で ぐう と おなかの音が鳴る]
なにこれ、うまそーじゃん!いただきーっ!
(*9) 時雨 2015/02/18(Wed) 10時頃
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[静止されても聞かずに 小さな皿を手に取り、 そして第一声 ―― ]
(*10) 時雨 2015/02/18(Wed) 10時頃
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…… なにこれ、 まずっ!!
味ねーじゃん!!
[ からん
思わず皿を取り落とす音が響く すこし 悩んで、 おもむろに取り出すのは
デージーから もらった一枚の板チョコ。]
こーいうのってカレーと同じで チョコでも入れたら
コクってやつが出るんじゃねーの?
[びり 、と乱雑に銀紙と包装を破れば ぽぽい っと 砕かずに投下しようと ―― 。 *]
(*11) 時雨 2015/02/18(Wed) 10時頃
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[温かい人肌が触れる時間は 求めた安堵よりも ごく短く
緩んで弧を描きかけた口許は、 一度 掴まれたからこそ 深く 深く 奈落に突き落とされた気分だった。]
…… ―― 俺が、悪?
( 嘘だ。 嘘、嘘嘘嘘嘘 …!!
―― ……父さんたちが間違ってたなんて、 そんなの 絶対 嘘だ…… ! )
(30) 時雨 2015/02/19(Thu) 04時頃
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[ざわめく。
煩い音が 喚きたてる。
異常だって 狂ってるって、 小さいころに言われ続けた『悪』のこえ。 掴もうとして 離れた手を開き、 必死に縋るような 笑顔は凍り付く。 ぽつり 零す声は 心を放りだしたように。]
… マグルが、全員悪いやつじゃないってのは、 俺が、 いちばん よく知ってるよ。
(31) 時雨 2015/02/19(Thu) 04時頃
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[こころが 子供みたいに、煩く喚き立てる。 その裏腹に 頭は至極冷静で ああ、
薄々 気が付きかけていた事実に ゆっくり 霧が晴れかけた世界を括目して、 それでも 理解出来ない幼い心との 二律背反は 酷く不安定に揺れ
離れた手を 握りしめて ‟引く”。 目は まだ虚像を求めるよう。 ]
デージーだって、半マグルだけどいいやつだもん。 だから 友達や、‟正義”に従うマグルは 悪くないって 倒さねーよーに言ってきたもん。 でも それに逆らうやつは 悪だ 悪なんだ!
純血を尊ばないマグルは平気で裏切るし、 大事なものを、 ……壊してくんだよ
(32) 時雨 2015/02/19(Thu) 04時頃
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[ふ と。
思い出す。幼い頃、握り締めた杖を。 鮮明に蘇える あの緑の閃光を。
―― 紛うことなき、俺の杖から出たあのいろは。 きっと。きっと そう、マグルのせいだ。
記憶が混ざってたのは マグルに操られてたからなんだ。 一瞬の躊躇いを間に変え 、 しかし直ぐに 否定するよう 首をぶるり振るう]
母さんも、父さんも ―― 叔父さんたちだって皆 そう言ってた。
罪のない人なんて 倒してない! 俺たちの世界を壊す ‟悪”だけを 倒してきたんだ!
(33) 時雨 2015/02/19(Thu) 04時頃
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それの何が悪いんだよっ……! 皆 皆、 なんでこんなに 騙されてるんだよ、
( 『かわいそうだな、盲信者』 )
[緑を煌めかせた 赤毛が頭のなかで嘲る。
何よりも嫌う 世界を壊す‟悪”が ヒーローを何よりも願った俺自身だなんて 薄々 分かってるけど けど、
でも 俺に残された正義はこれだけ。 それが なくなれば、 それを 悪だと否定されれば 今までの俺は
いったい 何が 残って いったい 何の意味が残るんだろう。 ]
(34) 時雨 2015/02/19(Thu) 04時頃
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[ 甘い紅茶と、綿飴のような白銀。
その二人を まっすぐ 見ることが出来なくて 俯く。
獅子と言うよりは 噛みつく子猫のように。 ‟ロザリンド”と聞くと 心なしか 身体が強張ったように見えただろう。]
――― ……それ聞いて、どーする気?
ロザリンドは、
…… ロザリンドはっ!!
(35) 時雨 2015/02/19(Thu) 04時頃
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死んだよ! 『稲妻』なんかに焼かれてっ!!
[あの 手を出す間も無く死んだ 黒炭を、 ごわついた毛並を思い出して、
噫 熱い。 苦しい。 溢れそうになるのを堪えて 吼えるのは これは俺にも分かるくらい、 ひどい八つ当たりだ。 ]
…… ッ、 もういい!! 理解してくれないならっ!! 二人も俺の敵だよ!! ばーか!!
ずっと ずっと、友達だって 親友だって 信じてたのにっ!!
(36) 時雨 2015/02/19(Thu) 04時頃
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[そうして 向けるのは 焦茶色の サンザシ ―― では無く、
ぽたり
溜めきれず溢れる涙 それから ‟友達でいたかった”、
そう 願い 信じていた思い。
た、っと 廊下を蹴り
逃げるように、一直線に 天文台の 上へ 上へ 駆けあがっていく ――― 。 ]
(37) 時雨 2015/02/19(Thu) 04時頃
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…… 正義って、なんだよ。
俺は 俺には、 もう わかんないや
[ ぽつり
嘆いた心の音は 皆を背負うため 呑み込み続けたことば 溢れる感情のなか 堰を切って、 ひとつぶ 滴った ]
(*12) 時雨 2015/02/19(Thu) 04時頃
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[ 一心不乱に駆ける中
無意識に 求め、縋るように 胸元を握るのは 届けられた一通のなか
―― 一緒に届けられた、天然石のお守り。 * ]
(*13) 時雨 2015/02/19(Thu) 04時頃
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― → 天文台 ―
[王子様と お姫様。 静止の声も届かず 駆ける 駆ける。 その足取りは骸の眠る 天文台へ。]
…… っ、 はあ…
[息を止めるように がむしゃらにひた走り 立ち止まった瞬間 一気に息が溢れるよう、吸う。
荒ぐ息は 嵐吹きすさぶ 心が滲み。 見あげた空が 綺麗だと
思えなくなっているのは なんでだろう。]
…… わかんないよ
(51) 時雨 2015/02/20(Fri) 01時頃
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[くしゃり ブラウンを乱す。 ぼさぼさになっても構わなくって なにも 考えなくてよくなったらいいのに それでも 俺は『リーダー』だから。
‟けじめ”って言うのをつけずに、 放りなげることなんて 出来ないんだ。
カルヴィンや デメテルと …… デージーや スヴェンたちと、
嗤いあえたあの日を 思い出して、 籠る熱は 身を焦がすように 更に灼く。 ]
…… っ、 ひっく、 …は っ、
(52) 時雨 2015/02/20(Fri) 01時頃
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もう、 戻れるわけねーじゃんっ ……!
[濡れた血の全て、なんて。 盲いヘーゼルの前に 決して映る筈が無かった。
空を背に 崩れ落ちるよう、しゃがみ込めば。 拭う手から伝う、透明は止まらない。
悪戯のように 怒られたら 逃げて、はいおしまい。
それが出来たら どんなにいいだろうなあ。 ]
(53) 時雨 2015/02/20(Fri) 01時頃
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[かつり 、 かつり。
階段に響く 足音に びくり 身体を震わせて、 埋めるようにした顔をあげると
人影がみえるよりも先に 鼻声で 静かに ぽつり、 杖を掴み 唱える。]
…… Serpensortia(ヘビよ出よ) Avis(鳥よ)
[ぬめりを帯びた 鱗がちろり 赤い舌を出し 空に舞うは、勇猛な鷲の姿。
人影を見れば 二匹はあからさまな敵意を示し。 ヘーゼルは 潤ませた瞳で、めいいっぱいに睨む。]
(54) 時雨 2015/02/20(Fri) 01時頃
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こっち、来るなよ!! それ以上来たら 倒してやる!
[殺す と 倒す。
その違いの区別が 未だ ‟ヒーロー”の現実と理想のように 曖昧な線引きのなかで ごちゃ混ぜになったまま。
敵なら絶対に倒さなきゃいけないのに、 整理がつかないまま 交錯した感情を吼えたてて
びしり 、 強く杖を握りしめ 人影に向ける。
( 裏切り者め )
そんなことばは 喉につっかえて、でてこない。 噎び泣くような かっこわるい音が漏れ出るだけだ。*]
(55) 時雨 2015/02/20(Fri) 01時頃
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[ぱちり。
紅茶色と交差する ヘーゼル。 鈴を鳴らす赤毛は 滴で像を歪ませ 強大な魔物のように 虚像を映す。]
じゃあ、なんで 俺を悪だって言うんだよ! ―― なんでっ、俺を惑わすんだよ…!!
デージーの正義が何で 悪が何なのか 本当の 正義も 悪も、もう分かんねーけど 俺だって 血は流したくない、ないんだよ! でも、皆わかってくれねーんだ! じゃあ、どーすればいいんだよ!
(65) 時雨 2015/02/20(Fri) 04時頃
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[戻る事すらも、出来ない。 そう分かっている少年は嘆き。
喚く。不条理な世界を。 歪な倫理の狭間で、浮かんだのは ヘクターの抱いた‟正義”。
分かりかけていたそれも、 受け入れかけた それすらも、
複雑に入り組んだ感情の中では 自己防衛するように ふるり 首を振るい]
俺には ひとつしかないんだ 俺の正義を、 『俺』を、っ!!
否定するやつなんか、友達じゃない!!
( 裏切られて 突き落とされるのは もう もう、嫌なんだ ―― ! )
(66) 時雨 2015/02/20(Fri) 04時頃
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[いっそ。
悪だっていうなら、杖先を向けられた方が楽だ。 そうすれば 俺だって、完全に敵として見れるから。 高揚と嘆きに上擦る声を 隠しもせず。 じ と睨めつけ 寄る足先には、 牽制するように 杖を振るう。]
Oppugno(襲え)!
言ってるだろ!? 近寄んなって!! 話なら、そこでも出来んじゃねーの!
(67) 時雨 2015/02/20(Fri) 04時頃
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[‟拒絶”の‟拒絶”。
突き放される未来を畏怖して、 臆病な獅子は壁を作り上げれば 叫ぶと同時 蛇と鷹をけしかければ
二匹は鋭き眼光を光らせ ‟敵”へと 襲いかかろうとするだろう。 *]
(68) 時雨 2015/02/20(Fri) 04時頃
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[‟数日さえ無ければ”。
重く 重く 石のように圧し掛かる。
だって 幾ら嘆いたって、 時間は 戻らないんだから。] ―― 赦さなきゃいけない?
(マグルが、 人が、裏切っても。 正義が 悪が ―― 仲間を殺しても、)
[跳ねっかえるように上がる顔は くしくも 紅茶が自答したことと同じ。 ばん と、杖を持たない手を 床に叩き付け]
ならっ、 デージーは、 俺を 俺たちを、 赦せるっていうのかよ!?
(87) 時雨 2015/02/20(Fri) 08時頃
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仲間を殺されて! いっぱい いっぱい、うしなって ―― 。
[それでも。
心優しきお姫様は、許せるのか。 ‟綺麗事”は要らない。
欲しかったのは ‟俺自身”を 受け止めてくれる そんな‟親友”。
全ては言葉にならない。 ぽたり またひとつ 零れた滴も 戻らない。 ]
(88) 時雨 2015/02/20(Fri) 08時頃
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