279 宇宙(そら)を往くサルバシオン
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うまく始末できたか。 洗剤の味はどうだった? 硬いか?
(*1) 2020/08/30(Sun) 00時頃
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なるほど、食通好みというわけか。 おれの口には合わないな。後の処理は任せる。
[ひとつ摘まんだものの、スン……と離れていった。]
(*5) 2020/08/30(Sun) 00時半頃
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― 自室 ―
[部屋に戻った男は非常用の端末からひとつの名を選び、票を入れた。 迷うような動作はない。部屋に戻るまでに決めていた名前をただ選んだ。
端末を元の場所に戻し、腰に吊るしていたポーチを外して机の上に置く。一昨日だったか、"man-ju"を切り分けるのに使ったナイフが床に落ちているのを見つけて、それも拾って机の上に置く。刃こぼれしていて、もう使えなさそうだが。 それからベッドに腰掛けて、眠ろうとして。]
(6) 2020/08/30(Sun) 01時頃
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……。
[ふと、思い出してポーチに手を伸ばす。 昼間ミタシュにもらった砂糖菓子がころころと机の上に転がり出た。内緒、と小さな手が渡してくれた色とりどりの球体。>>2:187
少女の瞳のようなオレンジ色のひとつを手にとって、口に含む。]
……甘い。
[守ってあげる、なんて誰かに言われたのは初めてだった。 言われる日が来るとも、思っていなかった。
宇宙クラゲは夜間に活性化し、獲物を襲うという。 願わくば明日の朝、彼女が無事でいてくれればいい。 甘いシュガーキャンディを口の中で溶かしながら、そんなことを思った。**]
(8) 2020/08/30(Sun) 01時頃
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[このクラゲはミタシュという少女に興味を持った。 故に、まだ追放されては少し困るな。と思った。]
(*7) 2020/08/30(Sun) 01時頃
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寝ていない。 なんだその妙な笑いは。
(*9) 2020/08/30(Sun) 01時頃
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つがい? この宿主には雌と番う機能はないぞ。 というか、ミタシュとやらも機械製なんだろう。
[なにを言ってるのかわからん。という顔をした。いつもそんな顔ではあるが。]
……。
[その顔は、やめた方がいいんじゃないかと思った。 なんと言うか、人相の問題で。**]
(*11) 2020/08/30(Sun) 01時半頃
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>>*12 ……そうか。 残念だが、仕方がないな。 プラヌラは見つかりにくいところに置いておけよ。 まあ、おまえの宿主なら適切な場所は知っているか。
では、またな。
[別れの言葉を告げる同胞に、淡々とした声が返った。]
(*13) 2020/08/30(Sun) 11時頃
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― 昨日の談話室 ―
[少女から内緒の申し出>>2:187があった時のこと。 驚いたような声>>15の後、触角に小さな手が触れる感覚があった。ぬくもりのない手に触角が僅かに跳ねたが、彼女がそのまま手を伸ばして金の髪に触れるのを、拒みはしなかった。 男はされるがまま、ミタシュの手が離れるまでじっとしていた。
その表情は、見下ろす少女には見えなかっただろう。*]
(34) 2020/08/30(Sun) 11時頃
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[血の通っていないかのような冷たい手。>>16 どうやらミタシュは本当に機械であるらしい。
守ってあげる、などと言われたのは、トルドヴィンには初めてのことだった。 ……この宇宙クラゲにとっても。
だから、トルドヴィンがどう反応するのが自然か、わからなかった。
このクラゲはあまり器用な方ではない。 同胞のように宿主に考えさせて情報を引き出したり>>*1:2、様々な感情を味わう>>*2:33ことが得意ではない。記憶と思考パターンを読み取り、齟齬のないように動く。その程度のことしかしてこなかった。 しかし、今回ばかりはどう対応するべきか皆目わからなかったので、クラゲは宿主に考えさせてみることにした。
その結果があれ>>2:191で、それに対しての反応がこれ>>16だったのだ。]
(*14) 2020/08/30(Sun) 11時半頃
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[勿論クラゲはこんな優しい手つきで頭に触れられたことはない。 困惑のまま。このクラゲは迂闊にも、次の判断も宿主に考えさせることにした。
それがトルドヴィンという男のどんな記憶と結びついているか、確認もせずに。]
(*15) 2020/08/30(Sun) 11時半頃
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――――!!!
[その瞬間、激しい混乱がクラゲを襲った。 慌てて宿主の思考を打ち切る。 外目には触角が揺れた程度、辛うじて動揺は悟られなかったはずだ。]
…………。
[混乱したような思念はやがて落ち着き、同胞に応える頃>>*13には、いつも通りを装うことはできていただろう。]
(*16) 2020/08/30(Sun) 11時半頃
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― 朝・談話室 ―
[談話室に現れた男の様子は、普段と変わらないように見えるだろう。 モニターに映った追放者の名前、もう暗い宇宙の彼方に放り出された後であろうその名前をちらりと見たが。テーブルに通信端末が置かれる大きな音と、流れ始めた音声に、すぐに意識はそちらに向いた。]
……。
[ぷるぷると震えていたゼリーの姿>>1:26は確かに記憶にある。 恐怖故に部屋に籠っていたという話も、それ故情報を得られず判断を他者に委ねたということも。不自然ではないように思えた。 しかし、ソラが宇宙クラゲでないという確証はどこにもない。
目の周りを赤くしたヘリンと、彼女に寄り添うシルクを見る。]
(35) 2020/08/30(Sun) 12時頃
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シルクの言う通り、君だけが殺したわけではない。 不安を煽るようなことならば、わたしも言った。
[そう口にするも。そのこと>>1:34について、男が気に病む様子はない。]
後悔も懺悔も、それで足が止まってしまうのなら生き残った後にしろ。 この選択は、まだ続くのだから。
[元焚書官の男はただ、淡々とそう告げた。]
(36) 2020/08/30(Sun) 12時頃
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[それから、スプスプイの姿を探す声>>33に、男も談話室を見回す。 人は集まってきているものの、洗濯機の姿は見えない。
ワクラバがコータをじっと見ている。>>12 そのコータは、やや疲れた様子で昨晩の調査結果を答えている。>>27]
……アーサーは、クラゲではないと。
[告げられた答えを呟いて、沈黙する。 スプスプイの姿が見えない今、その言葉が信用できるかはまだ、判断がつかない。 このまま彼等が姿を現さなければ。シルクの言葉通り>>32、コータが寄生されているということになる。]
(37) 2020/08/30(Sun) 12時頃
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[男にはもう一人、気がかりな人物がいた。 昨日、自分を守ると言ってくれた少女>>2:187。 特徴的な耳の生えたその姿を探して、視線が談話室の中を彷徨った。*]
(38) 2020/08/30(Sun) 12時頃
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[アーサーとコータのやり取り>>52>>69に、不審そうに眉を顰める。 ソランジュは寄生されていなかった。そう聞こえた。]
それはどういうことだ? アーサー。 わかるように説明してくれ。
[彼は既に宇宙の彼方だ。何らかの方法で調べたとしたら、昨夜から早朝のうちということになるだろうか。 瞬きをする猫をじ、と見つめる。ワクラバほどではないが、圧を感じるかもしれない。*]
(70) 2020/08/30(Sun) 14時半頃
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/* >>66これについてはモナリザを待った方がよさそうかな?と思いつつ。
(*18) 2020/08/30(Sun) 14時半頃
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さっぱりわからん。我々の影とはなんだ?>>73 ……他の連中は、これを信じるだろうか。
[同じく何を言っているのかわからない様子だ。]
(*20) 2020/08/30(Sun) 17時半頃
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[本人も意外そうに話す内容>>73>>74>>75を、眉を顰めて聞いた。]
……「視た」?
[問い返す声には、どうしても怪訝な色が混じる。 男には何も見えなかったし、それなりにセンサーの役目を果たすはずの触角も、何も感知しなかった。 ただ、猫の嗅覚や聴覚がそれよりも優れていて、男に感知できない何かを見分けることができると言うなら否定する材料もない。]
ソランジュ……死者の情念が見えたと、そう言うのか。
(77) 2020/08/30(Sun) 17時半頃
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(あり得ない。死んだ者は何も語らない。 これまで焼いた者も、女王も、その後を追った兄弟達も。 何も語ることはなかった。)
(78) 2020/08/30(Sun) 17時半頃
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[スプスプイの分隊による生存戦略や、コータの機械による探知は、完全に理解できるものでなくとも、一応結果を見ることができた。 アーサーが「視た」というものは、自分には見えない。 そういうものだと言われれば、それまでだが。
気になることはもう一つある。]
……宇宙クラゲの影、と言ったが。 君はそれを見たことがあるのか?
[宇宙クラゲの影が憑いていなかったと判断するならば、それがどんな形で現れるのか知っていると考えるのが自然だ。 そうなのか?と問いかけた。*]
(82) 2020/08/30(Sun) 17時半頃
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[軽い足音をたてて傍に来た少女の姿>>86を認めれば、僅かに表情が緩む。寄せていた眉根が元に戻った程度のごく些細な変化だが。]
ミタシュ。 昨日は君のおかげで、多少は眠れた。 改めて礼を言う。
[少し身を屈めて、小声でそう言った。 昨日の視線>>2:193>>2:200>>44には気付いていた。あれはどうやら目立つ行為らしいと学習したので、今日は胸に片手を当てるだけの簡単な礼をして。]
(88) 2020/08/30(Sun) 18時頃
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[少女の姿を目にすると、触手の先がなにやらぞくぞくとした。それが昨夜の混乱>>*16によるものなのかは、よくわからない。]
(わたしは、……いや、おれは)
[クラゲにとっての幸福とは、食べることと殖えることだ。 たくさんたべられればうれしい。 なかまがたくさんいればたのしい。]
(*21) 2020/08/30(Sun) 18時頃
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[それなのに、]
(……うれしい?)
[食事中でもないのに、不思議だ。クラゲは宿主の中で首を(そんな部位はないが)捻っていた。]
(*22) 2020/08/30(Sun) 18時頃
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[スプスプイの居場所を問う声>>81>>87に、男もワクラバの手によって談話室の真ん中に落とされたもの>>65に視線を向けた。 昨日ワクラバに託されたらしい、スプスプイの分隊。 青い色が褪せてところどころ赤灰色に変色した残骸は、昨日コータがポケットから取り出した時の状態に似ているように見えた。]
……死んでいる、のか。
[それは、スプスプイを信じるならば、ワクラバが寄生されているということではないか? 一瞬そうよぎるも、それは断言できないと思い直す。 まだスプスプイ本隊の無事は確認できていない。もし、本隊に何かあった>>66とすれば、分隊が死亡してもおかしくはないだろう。彼等は群体なのだから。]
わたしが最後に見た時は、まだ談話室にいたな。
[ワクラバの元に行ったのはその後だろうから、自分は有力な情報を持っていない。それだけを述べた。*]
(89) 2020/08/30(Sun) 18時頃
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[アーサーへの問いに、そういう種族だ>>90、と返れば、男は素直に頷いた。]
……わかった。そう理解しよう。
[この宇宙に、理解の及ばないものが無数にあることは、故郷を出てからわかっていたはずだった。それでも詰問するような態度に出てしまったのは、苛立ちもあったのかもしれない。目を伏せる。]
元、助手。知己が被害に遭ったことがあるのか。 ……そうか。納得した。 回答、感謝する。
[片手を胸に、答えへの礼を述べる。 それから、スプスプイ探しの同行を求められれば>>91、僅かに目を見開いた。]
(96) 2020/08/30(Sun) 19時半頃
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勿論。 わたしでよければ、同行しよう。
[今の話が真実ならば、アーサーの身に危険が及ぶ可能性は高い。 男は頷いて、同行に同意した。]
しかし、どこを探すべきだろうか。 痕跡でも残っていればいいのだが。
[そう呟きながら、アーサーについて談話室を後にした。 傍にいたであろうミタシュには、スプスプイを探しに行くと告げて。彼女も行くようならば伴って。]
(97) 2020/08/30(Sun) 19時半頃
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[その少し前。 談話室に襲来した(次々と人に抱きついている。襲来と言っていいだろう)ヘリンから飛んできた視線と「ふぅうん?」>>95に、触角がびくっと跳ねた。ミタシュへの言葉>>94も聞こえていた。]
……女史。何か、とは一体……
[眉を下げる。 あらぬ誤解を受けたような、そうでないような。 そんな居心地の悪さを感じつつ、スプスプイ探しに向かったのだった。**]
(98) 2020/08/30(Sun) 19時半頃
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― 廊下 ―
構わない。聞いたのはわたしだ。
[談話室を出て、先を行く猫の呟き>>113にそう返す。]
そうだな。投票も迫っていたし、ワクラバの部屋に行った後は自分の部屋に戻るだろう。 その間を探してみるのはどうだろうか。
[視線は、車輪の痕や青い欠片などを探すように床に向けられている。]
(117) 2020/08/30(Sun) 22時半頃
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