88 めざせリア充村3
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[だんだんとエスカレートしている気がする。 チアキの指の傷。それが何によるものかは一瞬でわかる。 自傷。自らの歯で噛んでいるのだろう。
やめるようにと何度か告げたけれど、一向に良くならず。 それどころか、少しずつ悪くなっていっているような。]
(2) 2013/06/23(Sun) 00時半頃
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……チアキ、痛いだろう?
[血の滲む指先をそっと包み込みながら、傷の形状を確認する。]
ずいぶん深いな。治るのに時間がかかりそうだ。
[研究所の設備を使えば傷はすぐに治る。 だがチアキの望むものは「傷が治ること」ではない。 だからもう、傷が早く治る治療はしない。]
しばらく通えよ、心配だから。 毎日包帯巻いてやるから、な。
[そんな言葉をかければ、彼はどんな顔をするだろう。]
(3) 2013/06/23(Sun) 00時半頃
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―― 自室 ――
[無機質なメッセージ。そこにある名前を見て顔がこわばる。 今度の名前は――ヨーランダ。 灰の髪を持つ預言者だった。]
……あいつは。だって。
[誰もいない部屋で声が零れる。 ここだけはポプラの監視も入っていない。]
だって――あいつは、能力を使ったら……
[ここを出て、戦いの中で生きていく子も多くいる。 軍の中で出世していく子もいる。 けれど、彼女は。]
……くっそ……
[浮かんだ涙が頬を滑って落ちた。]
(*0) 2013/06/23(Sun) 00時半頃
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……ナユタ、モニカ。 ちょい悪い、先にこの悪戯っ子の診察するわ。
[人形のような笑顔を浮かべ足の怪我を見せるチアキ。>>8 かさぶたがはがれるのは痛いだろうに、顔色一つ変えず。 むしろ喜色すら宿しているようで。
さすがにこの傷を彼らの前で治療するわけにもいかず。 二人に一言断ると、チアキに肩を貸して診察台の上に寝かせてカーテンを引く。]
――うっかり、できるものじゃねぇだろこいつは。 ったく……あまり、心配させるな。
[怪我の様子を診ながら、そんな言葉を呟いた。]
(9) 2013/06/23(Sun) 00時半頃
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心配するだろ、っつーかさせろ。
[チアキの声にそう返しながら 聞こえた声や、もしかしたらノックもか。>>15>>14 ひょいとカーテンから顔を出す。]
おう、いる。 ちょいと治療中。なんだ、どうした。
[ケイトは用紙をわたしてきたので、受け取って。]
思い付きで良いんだよ、お疲れ。 で、ソフィアはどうした?
(18) 2013/06/23(Sun) 01時頃
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風邪ひくなよ。
[部屋を出て行く二人に声をかけて。 チアキの治療に必要なものを取って、 再びカーテンの中へ戻ろうとしつつ。]
ケイト? 困ったことはないな?
[何か考えている様子の彼女に>>17 声をかけてみた。]
(21) 2013/06/23(Sun) 01時頃
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あー……はいはい、あいつ、手抜きすぎないか。
[しかも持ってこないとは。 他の子は持って来てくれたのに。
もちろんソフィアの言葉は本気にせず。>>27 ラブレターなぞ書く性格ではないだろう。]
(32) 2013/06/23(Sun) 01時半頃
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――診察室――
[どんな顔で告げればいいのかわからなかった。 ヨーランダは敏い。 自身の能力が命を削ることもわかっていた。 彼女にとって、外に行くことは死に行くことと同じだ。]
……なあ、俺は何のためにいるんだろうな。
[ヨーランダが呼び出されてここに来る前に、 傍らにいるポプラに思わずそんな言葉を漏らす。]
(*3) 2013/06/23(Sun) 01時半頃
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[昔は酷かった。 被験者は犬猫扱いならばまだましであり、実際消耗品の武器と変わらぬ扱いで、ベッドすらない部屋もあった。 温かい食事があるかどうかも運次第。
今のこの施設が良いのは、ミナカタとポプラが必死に働きかけて、 そしてきちんと成果をあげているからだ。 温かく美味しい三度の食事。 綺麗なシーツ、充実している医療器具。]
……俺がいなくたって、あいつらは笑えるさ。
[苦く呟き、優しいポプラの言葉を否定する。 彼らに必要なのは、優しい監督者であって、 男本人ではないはずだ。、
(*6) 2013/06/23(Sun) 02時頃
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そりゃ、お前がいてくれたからな。
[ポプラの言葉に小声で返す。>>*7 それを聞いた彼女の表情はどうだったか。 見たくなくて視線をそらしたまま、 それでも礼の言葉は述べる。]
――ありがとう、……
[しかし名前を呼ぶことはない。 本当のも、偽のも、どちらも。]
(*8) 2013/06/23(Sun) 09時半頃
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[扉へのおざなりなノックが聞こえる。 許可を出す前にガラッと乱暴に開かれて。 そこにいたのは、もちろんヨーランダだった。]
「めんどくさいわよ、もう顔も見たしいいでしょ?」
[開口一番がそれで、ああ彼女らしいなと。 思いながら、席をすすめる。]
……知ってるとは思うが。外に行くことになった。
「分かってるわよ、準備させていただいてよろしい? センセ」
[何も恐れていないのだと言いたげにほほ笑んだ彼女は。 自身の未来までも見えているのだろうか。]
(*9) 2013/06/23(Sun) 09時半頃
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言ったそばから。こら。
[爪を噛んだチアキの左手を掴む。>>78 治療に集中していてこちらが見ていないと思ったら甘い。]
全身包帯でぐるぐる巻きにしてやるぞ。
[脅しながら残りの怪我を丁寧に包帯で巻いて。 激しく動けば外れてしまうかもしれないけれど、 そうすればまたここにこればいい。]
(97) 2013/06/23(Sun) 11時半頃
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[テスト用紙を受け取って。訓練に行くと聞けば。>>93]
……おう、頑張ってこい。 ほどほどにな。
[ずっと成果が出せない被験者の末路など言うまでもないが。 それでも彼はまだここにいられるはずだから、 自身が本気を出せとか頑張れとか、言うはずもなく。]
はいよ、また来いよ。包帯変えさせろ。
[ひらと手を振って、出ていくチアキを見送った。 コーヒーカップへの小細工にはまだ機がつかない。>>93]
(98) 2013/06/23(Sun) 11時半頃
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―― 診察室 ――
[先ほどまで騒がしかった診察室。 無人となったそこで、冷めたコーヒーを飲もうと手を伸ばし]
――おいおい……
[指が触れたのはもこもことしたぬいぐるみ。>>93 せっかくリッキィが淹れてくれたものなのに。>>0:17 もったいねぇなと思いつつも、 そこに座るぬいぐるみをちょいと突いて。
それから立ち上がって、部屋を後にする。 誰でもはいれるように鍵など閉めない。]
(160) 2013/06/23(Sun) 15時頃
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―― 診察室→地下 ――
[廊下を歩きながら地下へと向かう。 置き土産のぬいぐるみを思い出し笑っていると。]
「あら、しまらない顔。かっこ悪い」
[眼の前にいたのは灰の髪。 くすくすと笑う彼女に物申そうとしたところで響く鐘。]
……お前のリクエストの掃除だぞ。行かないのか。
[尋ねればヨーランダは肩をすくめて。 当然でしょう? と微笑んだ。]
「どうして掃除しなくてはいけないの? 見張っててあげるから休んでこれば?」
[その言葉にありがたく、と笑って。 すれ違いながら足は地下へと向かう。]
(162) 2013/06/23(Sun) 15時半頃
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―― →制御室 ――
[キーでセキュリティを解除する。 踏み込んだそこは、地下の奥の小さな部屋。 立ち入りが禁じられているその部屋の中に足を踏み入れ 無言で目的の場所まで歩く。]
………………
[唇が紡ぐ名前は一つだけ。 ここでならその名を呼ぶことができる。]
(166) 2013/06/23(Sun) 15時半頃
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――カリュクス
[答えない白い顔を覗きこみながら。 彼女の名前を呼ぶ。]
(*12) 2013/06/23(Sun) 15時半頃
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[背後で扉が開く音がする。>>201 振り向かず、そこに佇んだまま。
名前を呼んで近づいてきたポプラを見下ろす。 それから視線はカプセルへと戻る。 二つは同じで別々のもの。]
(212) 2013/06/23(Sun) 19時頃
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[いつ起きてくれるのだろう、とそれだけを。 彼女の姿を見るたびに思う。
やはり手紙は書いておけばよかった。 あの時の想いと今の想いが、同じなのか異なったのか。 そんなことも自身では分からない。]
……カリュクス
[呼びかける先はカプセルであって、 隣にいる小さな擬体ではない。]
(*14) 2013/06/23(Sun) 19時頃
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[袖を引かれて視線はもう一度傍らにいるポプラへと。 いつもの行為だったから、何も考えずにポケットに手を入れて。 桃の包紙につつまれた飴によく似た砂糖菓子を取り出した。]
……ほらよ。
[包紙を解いて、ポプラの口元に持っていく。 唇があけば、その中に押しこんで。 手があけば頭を撫でてやろうとして、その手は途中で止まった。]
(*17) 2013/06/23(Sun) 20時頃
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[本当に撫でたいのは誰なのだろう。 飴をやって甘やかして、慈しみたいのは。]
(*18) 2013/06/23(Sun) 20時頃
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[首を傾けたポプラに声をかけることはなく。>>*19 その手は彷徨いながらも、そっと彼女の頭の上に置く。
結局何もかも中途半端でしかなくて。 それが余計に困らせているのだろうけれど。]
――……
[やはりその名は呼べなかった。]
(*20) 2013/06/23(Sun) 20時半頃
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[呼べば認識してしまうだろう。 彼女が「ポプラ」であって「カリュクス」ではないことに。 もしもそう思うようになってしまったら、 いつかカリュクスが目覚めた日に、ポプラを失うことになる。
そんなことは耐えられなかった。 だから、ポプラの名など呼べるわけがないのだ。 あくまでもこれは擬体だから。 ポプラという生き物は存在しないから。
そしてこれをカリュクスと呼んでしまえば―― なんだか、これ以上彼女を待てない気がしてしまっている。]
(*21) 2013/06/23(Sun) 20時半頃
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ああ、悪い悪い。
[ばたばたと手を動かしたポプラに謝って。 乱暴に頭を撫でていた手を引っ込めた。]
もう一つ食べるか?
[機嫌を取るようにポケットから飴を出す。 先ほどと同じ桃色の包紙を開いて、砂糖菓子を口へと持っていく。 彼女が何も言わないのに食べ物を与えるのは、 話題をそらしたい時だとばれているだろうけど。]
――掃除は進んでいるかねぇ。
[診察室が荒らされているとは知らず、 ぽそりとそんなことをいって、意識を区切った。]
(*23) 2013/06/23(Sun) 21時頃
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[パッとモニターがついて、診察室が映し出される。 ちょうどモニカが黒いあいつを見つけたところだっただろうか。>>261 傍らにいたオスカーはちゃっかりエロ本を読んでいる。>>265]
あー……懐かしいなあれ。 何年前だかに、どうしてもって頼まれて密輸した。
[ある程度の年がいった男子の被験者だった。 本来ならその類は厳しい規制があるのだけれど。 内緒にするという条件付きで。
……で、問題はどうして診療室にあるかなのだが。 もしかしてあそこ隠し場所にしてたのか。やるな。]
……元気にしてるかね。
[幸い彼の名前はまだ報告されてこないから、 きっとどこかで生きている。]
(*25) 2013/06/23(Sun) 22時頃
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[男は皆通る道だ、頑張れ。 とかなんとなくオスカーにエールを送ってみたりする。
ポプラが視線を送ってきたいたが>>*26 まったくもって痛い腹ではないので平然としていた。 ちなみに黒いあれにそっくりなモノは、 何かの折に誰かが入手していたものをいたずらに使って 没収とかしたような気がする、そんな遠い昔の話。]
ああ、男同士の秘密ってヤツだからな。
[ポプラの言葉には笑ってそう返し。 ナユタが雨を呼んでいるのを見て、おおと手をたたく。>>281 チアキも似たような事を。>>284 お前ら。隠し通せる限界をしっとけ。]
……能力、は禁止なんだけどなぁ。
[報告するなよ、とポプラに笑いながら言った。]
(*27) 2013/06/23(Sun) 22時半頃
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使っちまう気持ちもわかるんだがな……
[昔はもっと厳しかった。 こんな楽しい幸せな使い方ではなくて、 もっと直接人を傷つける方法をとることも多かった。
思い出してミナカタの目が暗い色を帯びる。 仲裁に入り双方をなだめるのも、 責任を取れと言われ折檻を受けるのも ほとんど自身の役割であったから。]
ま、なんとかしてくれ。 頼んだぞ。
[ぽむりとポプラの頭を撫でた。]
(*29) 2013/06/23(Sun) 23時頃
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[ゆらゆら揺れるポプラを撫でる手に能力は込めない。 生身ではないから効果がない。
能力なんてない方がよかったと、あの頃は呪ったけれど 今はあっても悪くなかったとそう思える。
――願わくば、彼らもそう思える日が来ると、いい。]
じゃあそろそろ戻るか。 お前はもう少しここにいる?
[ポプラに尋ねる。 一緒に行く、と言われれば抱き上げて歩いて行くし 残ると言われれば一人で地上へと戻るつもり。]
(*31) 2013/06/23(Sun) 23時半頃
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―― →廊下 ――
[地下からゆっくりと戻ってくる。 腕には小柄なポプラを抱いて。
地上につけば彼女に降りるかどうかを尋ねて。 そのままでいいと言えば抱えたまま、 掃除が行われている建物の中を歩いて行く。]
「あらセンセ」
[ふらりと目の前に現れたのはヨーランダだ。 やはり掃除はしてなかったか。]
暇そうだなヨーランダ。 面白いことでもあったのか?
[尋ねると彼女はふふと笑って。 内緒と言わんばかりに唇に指をあて走っていった。]
(312) 2013/06/23(Sun) 23時半頃
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―― 診察室付近 ――
[ポプラを脇に抱えたまま根城へ向かって歩いて行く。 ケイトの悲鳴はぎりぎり聞こえないぐらい。>>356 もっとも傍らにいる小さな妖精は、 耳に聞こえなくてもきっちりと感知しているだろう。]
……ケイト、か。
[ポプラにその旨を言われれば歩みを早める。 診察室についた時には、誰がそこにいただろうか。**]
(376) 2013/06/24(Mon) 17時頃
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