193 ―星崩祭の手紙―
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時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
アシモフが無残な姿で発見された。
噂は現実だった。血塗られた定めに従う魔物“人狼”は、確かにこの中にいるのだ。
非力な人間が人狼に対抗するため、村人たちは一つのルールを定めた。投票により怪しい者を処刑していこうと。罪のない者を処刑してしまう事もあるだろうが、それも村のためにはやむを得ないと……。
現在の生存者は、ミツボシ、エフ、ナユタ、ポーラ、クリスマス、イースター、ライジ、アマルテア、ピート、キカの10名。
本日の処刑は、イースターにセットをお願いします。
(#0) 2016/07/17(Sun) 07時頃
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[重い瞼をこじ開けると、そこはソファではなく、ベッドの上だった。 スプリングの効いたマットレスに、ふわふわの枕。 肌触りの良い掛け布団を口元まで引き上げれば頬を摺り寄せ、瞳を閉じた]
ん、んぅ
[もぞもぞと身をよじらせながら、声にならない声を漏らす。 日が昇らないこの星では、空が明るくなることは決してない。 けれどヒトビトは皆、時間というものに縛られているらしい。
二度寝を決め込もうと思っていた矢先、 わたしを呼ぶ声が耳に届いた]
(0) 2016/07/17(Sun) 12時頃
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んん、あとすこし、 オシゴト?わかってる、わよぉ
……いきたくな
[い、と。 最後まで言わせてはくれなかった。 その前にあなたがわたしの布団を剥ぎ取ったから。 むすう、と眠そうな表情を浮かべながら観念したように上半身を起こす。 大きな欠伸をこぼして、瞼を擦った。
そうして、あなたの姿を視界に収めれば。 両腕を広げてその胸に飛び込んだ。 星崩祭まで、あとすこし]
(1) 2016/07/17(Sun) 12時頃
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[今よりは少しばかり灰色の薄い空が見えます。 激しい爆発音。 光。
これは、彼女の夢(記憶)でしょうか。 私の夢(記憶)でしょうか。
私の記憶であると私は気づきました。今と変わらぬ姿の彼女が私の元へ駆けてくるのが見えましたから。
ただ、彼女はその小さく華奢な体躯に似合わぬ兵器を背負っています。
彼女は私の胸に飛び込んで、二つのガラス球で私を見つめます。 声帯機能のない口が二度、開きました。
(パ パ)
続く唇の動きを私は既に知っているので、目を閉ざそうとします。 それは、やはり叶わないのですが。]
(2) 2016/07/17(Sun) 12時半頃
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[記憶の中の私は熱くなる目頭から感情の雫が溢れそうになるのを堪えて、彼女の頭をそっと撫でました。
ごめん。 すまない。 許してくれ。
私の記憶はそんな言葉でいっぱいです。 けれど私はその言葉を、一度も彼女に伝えることはありませんでした。
その代わり、何度も何度も、気の遠くなるような長い間、この記憶を反芻するのです。
私の心のすぐ近く、彼女の心はどんな夢を見ているのでしょう。
良い夢(記憶)であることを願いながら、私は彼女が目を覚ますのをじっと待ちます。
彼女の瞼が開き、二つのガラス球に光が入り込むまで、あと少し。]
(3) 2016/07/17(Sun) 12時半頃
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[来る星崩祭に向けての衣装合わせや、選曲やら。 マスターと星のお偉いさんが話しているのを、 隣で酷くつまらなさそうに椅子に座って足をぶらつかせる。 視線は大きな窓から覗く星空に向けられていた。 小声でわたしの隣に腰掛けるあなたに声を掛けた]
ねえ、今回はお手紙くるかしら
[前回はお返事すら来なくて、 前々回はお返事がひとつだけ。 その前は、どうだったっけ。
遠い記憶を手繰り寄せるも、鮮明には思い出せず。 退屈なこの時間に痺れを切らして、席を立った]
失礼、少し気分が優れないので帰らせて頂きます。 ……いきましょ、
[マスターをほっぽったまま、あなたの手を引いて。 わたしはその部屋を後にした]
(4) 2016/07/17(Sun) 12時半頃
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[時は流転し続ける。]
おはよう、星。 これから、お祭りなんだ。 一緒に連れていけたらいいんだけど…… お留守番、よろしくね。
[白衣の袂をぱたりという効果音と共に、 大きく上下させては、持ち上げられないことを示す。 私自身はとても小さいけれど、 私の住まう箱庭は、持ち歩くには確かに大きい。 素直に。いいえ、駄々をこねることすら、 私には出来ないのでこれがさだめなのですが。
立ち去る君の背中を見て、 私はただ、帰りを待つばかり。]
(5) 2016/07/17(Sun) 13時頃
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Leicht,wie gaukelnde Sylphiden, Flattern süsser Schwärmereien…
[あなたの手を取って、わたしは楽しそうに歌う。 いつもより賑やかな街。 それだけで心が躍る。 振り向くヒトはいるけれど、声は掛からない]
(6) 2016/07/17(Sun) 14時頃
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〜〜〜〜っ、
[その時、不意に頭に何かが当たった。 両手で頭を押さえて、しゃがみ込む。 涙目で睨んだ先には、銀色の楕円形の宇宙カプセル。 この星には無い形状のもの]
お手紙っ ……えへへぇ
[大切に、大切に。 それを拾い上げると両手で包み込んだ。 その時、あなたも宇宙カプセルを拾っていたことに、 わたしは気付かなかった]
(7) 2016/07/17(Sun) 14時頃
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[足取りは軽やかに、帰路を急ぐ。 部屋のソファに腰掛ければ、あなたも座るのを確認してから、銀色の宇宙カプセルを開いた。
中には説明書らしきものが一枚。 取り出して眺めるも良く分からなかったので、 あなたに渡して私はもう一度カプセルを覗き込んだ。
あなだが幾度か楕円形のそれを指先で軽く叩くと、映像が映し出される]
凄いわ、他の星ではこんな技術があるのね。 うちもカプセルに開発班を回した方が……
[映し出される褐色肌の、少年とも青年とも言い難い男の子。 映像はばいばーいと手を振って、隊員服がアップになるところで終わっていた。
ご丁寧に、中には返信用のカプセルがひとつ。 わたしはあなたにそれを持たせて、 小さく息を吸った]
(8) 2016/07/17(Sun) 16時頃
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[ばいばい、と声には出さないものの、 小さく手を振った。 それを合図にあなたは録画終了のボタンを押した]
わたし、どこか可笑しくなかった? ちゃんとかわいく映してくれたっ?
[確認させて、と手を伸ばせば、 渡されたのは楕円形のそれではなかった。 透明な筒に銀色の蓋。金の装飾があしらわれているカプセルだった]
(9) 2016/07/17(Sun) 16時頃
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?なあに、拾ったの? じゃあ、あなたがお返事書けばいいじゃない。
知ってるわよ、書けないことくらい。 仕方ないわねえ。
[蓋を開ければ、綺麗に丸められた半透明の便箋。 それと、もうひとつ]
紙飛行機、かしら?
[昔はよく見かけたものだが、最近はてんで見かけない。 この星の子どもは折れないのではないかと思う。
物珍しそうにあなたが覗き込むから、 わたしはそれを手渡した。 恐る恐ると言う風に受け取って、 形が崩れないように僅かに開いてみたり。 そんなあなたを横目に、わたしは筆を執った]
(10) 2016/07/17(Sun) 16時頃
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[返事と一緒に、もう一通文字を認める。 三つの宇宙カプセルが空の色と同化して、 星になって、やがて消えていくのを見送った]
届くといいわね、紙飛行機。
[わたしがそう言えば、あなたは少し首を傾げた後、 感付いたようで抗議の声が聞こえてきた。
もう送ってしまったし、 あなたが自分で書かないのが悪いんだから。 星崩祭まで、あとすこし]
(11) 2016/07/17(Sun) 16時半頃
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[カプセルはどうなったのだろう。 思考が浮きあがったのは、繭の中。
ヒトに渡しておいた。 その時にヒトがワタシを繭の中へ。 今、ヒトが来ている。 起きたら?
すぐに返ってきたことに驚きは隠せない。 ───起きる。 眉根をよせることはなく、凝り固まった身体をほぐすように、 繭より、這い出ようと。]
(12) 2016/07/17(Sun) 18時半頃
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[意識が糸に飛ばないように、 ほんの少しだけ、 ふ と瞼を閉じる。
ワタシはワタシ達と違って、体力がない、らしい。 ヒトもヒト達も、そう言った。 ヒトはイースター達にも保険があればね、と言った。]
保険は知らない。 それがあれば、繭の中にずっといなくてもいい?
[問えば、何とも言えない表情でヒトは笑った。 あれは、誤魔化しの表情だと他のヒト達が言ってるのを、後になって聞いた。]
(13) 2016/07/17(Sun) 18時半頃
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[繭の殻を割れば、ヒトが見えた。 それから、ヒトを挟むようにワタシ達。 ヒトが持ち込んだ簡易机の上に、紙と筆とそれからたくさん。 興味深いそれに、ワタシ達の視線は注がれていたようだけど、 ワタシが完全に繭よりでれる状態になれば、一斉にその瞳はワタシに向けられる。]
おはよう。
[やあ、おはよう。 返事は糸を通して、空気の振動を通して、返ってくる。]
(14) 2016/07/17(Sun) 18時半頃
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[やがて、彼女は目を覚まします。
彼女は感情を表に出すことはありませんが、(出さないのではなく、外からはわからないというだけなのですけれど)今日はどこかそわそわとした様子で部屋を出ました。
彼女が店内へと入っていくとグラスを磨いていたマスターが顔を上げます。]
『おはよう、ミツボシ。 天然氷がなくなりそうでね、買ってきてくれないかな。』
[おつかいを頼まれればいつもはすぐに出発をする彼女。 しかし今日はそうではないようです。
マスターの近くへ小走りで駆け寄ると、その袖をクイと引きました。 マスターは不思議そうな顔。 全く察しが悪い人です。]
(15) 2016/07/17(Sun) 19時半頃
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『どうしたんだい。 お代ならいつものようにレジから…』
[彼女は首を振ります。 尚も首を傾げるマスターに、声の出ない唇で四文字の単語を紡ぎました。
マスターはじっとその口元を見つめ、ようやく、ああ、と納得顔。]
『お、て、か…み? お手紙。 そうかそうか、また流したいんだね。 送信用カプセルなら僕の部屋に…あっ、ミツボシ…!』
[彼女は唇を結んで外に駆け出してしまいました。
マスターは文流しは確かに行いましたが、流れてきた文を取りには行っていなかったようです。 けれどマスターを責めてはいけません。 マスターはお祭りの準備で忙しいですし、彼女が誰かからの手紙を楽しみにしていたとは知らないのですから。]
(16) 2016/07/17(Sun) 19時半頃
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[さて、店を飛び出した彼女は我らがクズ鉄ヤードの文流しの場、小さな機械を目指します。
灰色の空に向かい射出されていくカプセルたち。 まるで小さな飛行場ですが、この星には宇宙船の類はありませんから、あれらが本当に宇宙プランクトンの流れに乗ることが出来るのかは疑問です。
彼女は自分の流したカプセルがきちんとどこかへ向かったか不安になります。
カプセルの受信も怪しいもので、磁石に似たアームを空高く伸ばし流れ着いたカプセルを引き寄せようとするもの。
雲が晴れる夜中であれば宇宙プランクトンの流れも見られるのでしょうけれど、今はただ灰色の空しか彼女の二つのガラス球は映しません。
本当に星崩祭があるかすら、不安になった彼女はカプセルを収集している工員に近寄ります。
クイクイ、とマスターにしたように袖を引きました。]
(17) 2016/07/17(Sun) 19時半頃
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『おや、BARの踊り子さんじゃないか。 祭りの日は飲みに行くからマスターによろしく伝えておくれよ。
ところで何か用事かな。』
[彼女はもじもじと両手を擦り合わせて唇をまた動かします。]
『お、ね、が、い? なにか頼まれごとかい?』
[彼女は首をブンブンと振り、また唇を動かします。 しかし唇の動きではなかなか通じないもので、受信の機械を指差して空を指差して、ようやく「お手紙」と言いたいことが伝わりました。
しかし、工員の男性は肩を竦めます。 どうやら捕まえたカプセルは既に全て配り終えてしまったようで。
彼女は肩を落としました。]
(18) 2016/07/17(Sun) 19時半頃
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『また明日来てみなよ。今度は早い時間にね。 ほら、良いものをあげるから元気出して。』
[手渡されたのは小さな飴の入った瓶。 星の形をしています。
彼女はお辞儀をして、ひとつ口に入れました。
トボトボと天然氷の行商人の元へ向かう彼女。
カラコロ。カラコロ。
彼女は物を食べる機能もありませんので、そのままお腹に落ちた飴玉の音が小さく響きました。]
(19) 2016/07/17(Sun) 19時半頃
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[私は流転し続ける。
君を待つ間。 私は私を創造する。 小さなクズ鉄が固められたような、 小さなものだったのだけれど。 私は次第に周りを吸収してゆくのだ。 回転速度は変わらないけれど、 私の大きさはまた大きくなってゆく。 君が帰ってきたとき、驚いてくれますように。]
(20) 2016/07/17(Sun) 20時半頃
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[満足そうな笑顔、その瞳に自分が映り込まないことを残念に思いながら、彼女はホームを後にした。 向かうのは、町の中心部。 今日のために用意された光籠の数は、10。 ゲートの数と、同じである。
光籠を上げるのは、外に出られる耐性と特権を持った、環境維持隊の役割で、今年の第Dゲートの担当は、彼女であった。 籠の中に詰めるものは、担当の隊員が好きに決めて良い。 自分の好みで決める者、希望者を集め籤で抽選する者、その隊員次第様々であったが、彼女は妹の願いを、そこに込めることを選んだのだ。]
[ゲートの外に出れば、そこは彼女だけの世界になる。 ドームの中に観衆はいる。 けれど、その声は伝わらない。 隣のゲートにも、同じ環維隊の担当者がいるだろう。 だが、その姿を見ることはできない。
宙へと昇っていく光籠、それをどんな思いで見送ったのか、知るものはいない。 けれど、役目を果たし戻ってきた彼女は、どこか寂しそうな顔をしていたと、守衛の男は後に語った。]
(21) 2016/07/17(Sun) 21時半頃
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………!!
[パチリ。ガバッ。スタッ! いつもはベッドの中でぐずぐずしているワタシも、今日は誰よりも早く起きて窓へ一直線。 目的は勿論文流しの手紙を探すためだ。 ワタシは窓から身を乗り出して朝焼けに染まる空を見回した。]
………あっ!!
[様々な形の球体がゆるく降り注ぐ中。 遠くからふわり、ふわりと一直線へこちらへ向かう球体が1つを見つけた。 ワタシはぐぐぐ、とさらに身を乗り出して手を伸ばす。 その球体がワタシの手に触れれば、すぐさま身に寄せて抱き止める。]
(22) 2016/07/17(Sun) 22時頃
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[店に戻り天然氷をマスターに渡すと、彼女は部屋に閉じこもってしまいました。
営業時間になり彼女を呼びに来たマスターは部屋の扉を開けてギョッとします。
暗い部屋の隅に三角座りをする彼女が見えたからでしょう。 さすがのマスターも彼女がしょんぼりしているということはわかったようです。
普段は自己主張もなく、表情も変わらない彼女が、感情を表せない機械の体である彼女が今日はとてもわかりやすいことにマスターは驚いているようでした。
だからでしょうか。 今日はメンテナンス中ということにして、踊りの仕事はお休みになりました。
今度は手紙が貰えることを願って、また手紙を流したら良いと告げたマスターに従って彼女は机に向かいました。]
(23) 2016/07/17(Sun) 22時頃
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わぁ!こんにち…おはよう!
[淡い青色のガラス玉でできたそれをワタシは優しく優しくそれを机の上に置いて色んな角度からうっとりと眺めた。]
とっても綺麗…! どんな星から飛んできたのかな。きっと綺麗な星なんだろうなぁ………わぁ!?
[カチッ、と小さな音を立てて空いたカプセルから漏れ出す歌。 それは今までワタシが聞いたどんな歌声よりも綺麗で透き通っていて、暖かく優しさに溢れる歌だった。 歌が終わっても暫くは余韻に浸ってしまうほど、一瞬で引き込まれてしまう。 ワタシはそんな余韻に流されながら添えられた便箋を開く]
……ふふっ。きっとこの手紙を送ってくれた人はとっても素敵で、幸せな人なんだろうなぁ。
[幸せな気持ちを少しだけ分けてもらえた、そんな気がした。 ワタシは一緒に入っていた小さなカプセルを取り出すと早速返事を書き始めた]
(24) 2016/07/17(Sun) 22時頃
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………できた…っ!!
[机の上に並ぶのは、小さなカプセルともう一つ。 新しく送るためのカプセル。 長い間机に向かって固まった体をぐぐぐ、と伸ばす。
昨日は初めてだから手紙を送るのにも緊張したけれど、2回目だから少しは遊び心を入れてみたりして。 プレゼントは昨日の夜作ったコレ。 キラリ、と光を反射するそれをカプセルにしまって、蓋を閉じる。
ワタシ満足気に頷いて、2つを抱えると窓際に立って空を見上げる]
今日もとってもいい天気ね! 今度は誰の手に届くのかしら、お返事くれるのかな。 ワタシのお返事もアナタの元へ届くといいな…っ!
いってらっしゃい!またね!
[空にゆっくりと放つ。他の家からも飛び立つそれらに混ざってワタシの文もゆらゆらと宇宙へ登っていった。 ワタシはその姿をまた、見えなくなるまで見送り続けた]
(25) 2016/07/17(Sun) 22時頃
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[彼女は手紙を書き終えたようです。
手紙をカプセルにしまうと、少し考えるような素振りをしてから文流しの機械の側にいた工員から貰ったキャンディーの瓶を入れました。
受け取る人が彼女のような体でなければ添えたメモは意味がわからないかもしれませんね。
営業時間中の店内をそっと覗いてから彼女は送信用の機械の元へ向かいます。
カラコロ。カラコロ。 お腹から飴玉の音を鳴らして。 雲の晴れた夜空を見上げると彼女の心が微笑んだのを感じます。
射出されたカプセルが空高く飛んでいくのを彼女はジッと見つめます。
どこかの誰かに届きますように、と願いを込めて。]
(26) 2016/07/17(Sun) 22時半頃
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[ ゴン、
と。 自宅の扉が乱雑にノックされる音で 目が覚める。 全く こういうところは、 きっと男に似たのだろう。
つまりは、来客の正体なんて直ぐに分かったし、 どなたですか、なんて。 伝える手段も無かったから、無言で出る。 予想通り。 男よりずっと背の小さな少女と対面した。 ]
(27) 2016/07/17(Sun) 23時頃
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[ 視線が合うこと 数秒。
彼女よりも乱雑に腕をひっつかまれて、 触れた部分から、脳まで。 駆け巡るように 少女の声が聞こえる。
星が散らばっているように 輝きを帯びて、 男を見上げている 少女の大きな瞳は、 きっと、彼女に 似た。 ]
(28) 2016/07/17(Sun) 23時頃
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「父さん」 「ただいま」
[ 少女が抱えているのは、カプセルと。 それから、…やはり、カプセル?なのだろうか。 馴染みの無い水草で編まれた籠が、ひとつ。 ]
「文流しでしょ?星崩祭でしょ?」 「家の前にあったよ…ってなんでそんな驚いてるの」 「むしろ驚いてるのはこっちだよ」 「私、父さんがこういうことするなんて思わなかった!」
[ 捕まれていない方の手で、 脳の中でまくし立てる少女の頭を軽く小突き。
無言の抗議。 ]
(29) 2016/07/17(Sun) 23時頃
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[ 家の中に入って、まずは。 水草ではない方のカプセルを開いた。 中から出てきたのは、紺の便箋。 黄色のインクで綴られた文字を見ると、 この星の空では無い、 本当の夜空がそこに在るようにも、思えた。
手紙とそれからもうひとつ。 中年の男と少女の写る 色あせたフィルムが一枚。 彼女と、少女と。 思い出を残したことの無いつまらない男にとって、 幸せを切り取ったようなそれは、 "こうするべきだった"という、後悔と。 幾ばくかの羨望を抱かせて。 ]
(30) 2016/07/17(Sun) 23時頃
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[ 離れていた少女を招き、 伝えるために肩に触れる。 ]
"お前、酒は飲めるんだっけか"
「飲めない」 「でもあともうちょっとで、飲めるよ」
[ そうか、と。 それだけ伝えて、手を離す。
簡素なやりとり。 ちょっとつまらない、男のいつも。 ]
(31) 2016/07/17(Sun) 23時頃
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[ 少女が生を受けてから、 多くの年月が経ったのだろう。 星崩祭の周期と比べてしまえば、 たった少しの間の様にも思えるが。 成長 とは、こういうことなのだろう。
電子媒体のカメラ機能で、 何時かの彼女のように、此方をのぞき込む少女を撮る。 びっくりした少女の顔に、口の端で笑みを返し、 背を叩かれて、また笑いながら。
ペンを取った。 ]
(32) 2016/07/17(Sun) 23時頃
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[興味は流転する。]
ただいまぁ、星。 いい子にしていたかい? そういえば、お祭りではね。ね。
[帰ってきたと思えばこれ。 扉を開けて、両手を広げて。 君は、私に駆け寄ってくる。 其の両の眸は、私を見つめるときのよう。 ううん、それ以上に きらめきを抱いていたかもしれない。]
(33) 2016/07/17(Sun) 23時半頃
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[話は、こうだ。]
お祭りのね、街並みが。 とっても、とっても綺麗だったんだ。
[星を模した宝石がきらりと立ち並ぶ道。 さまざまな色が代わる代わる白い世界を彩る。 頭上も白く、外界とは鎖されたこの星の居住域。 ただ、プランクトンの大移動の様子は観察できる。 何故なら、このときだけ。 白い世界から放たれて、 外界に触れることができるからなのだ。]
(34) 2016/07/17(Sun) 23時半頃
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[果たして、君は過去に星崩祭を 見つめたことがあるのだろうか? 私には知る由もないのだけれど、 この喜び方はまるで、ハジメテのよう。 君の興味は止まることを知らない。 まるで水を得た魚。 ( 魚ってなんだっけ? )]
ふふ、ふぅ。 僕のとばした想いは、 ちゃんと誰かに届いたかな? ねぇ、どうおもう?星。
[私の前に着席して。 床に着かない足をぶらりぶらぶら。 私の前に置いていった筆を手に取り、 君はまた文字を描いてゆく。]
(35) 2016/07/17(Sun) 23時半頃
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[君の弛む頬は、無邪気な笑顔は。 ただ、ただ。 外の世界を求めていた。]
(36) 2016/07/17(Sun) 23時半頃
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[書き終えられた文は、 再びそとの世界へと放たれる。 でも、私からは見えぬ場所。
そうして、君は。 同じように流された文が届くことを祈り。 そして、待ち続けていた。 机の下で揺れていた足は次第に静かになり。 気づけば椅子の上で、ひざが立っていた。 私を見つめていた眸は静かに鎖され。 宇宙を求めていた頭は、こうべを垂れて。 まるで、しょんぼりポーズ。]
(37) 2016/07/18(Mon) 00時頃
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[……─── 結局。
君のもとに届くものは何もなく。 静かに夢の世界へと沈んでゆくのだった。]
(38) 2016/07/18(Mon) 00時頃
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[閉じこもっていた繭を抜けて、 ヒトとワタシ達の傍へ行くために駆けよる。 たったの数歩ではあるけれど。]
手紙? それはなに?
[机の上に乗ったものを指差して、問えば、 筆を持っていたヒトの手は止まる。 優しげな表情で、カプセルらしきものにヒトは目をやって。]
(39) 2016/07/18(Mon) 00時頃
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『他の星域から手紙が届いたんだ。 昨日、イースター達も書いただろう? それがきっと、誰かの手に渡っているように、 私のところにも届いたんだ。 手紙が来たら、返事を書くのが習わしなんだよ。
嗚呼、それから昨日のカプセルは宙に放っておいたよ。』
(40) 2016/07/18(Mon) 00時頃
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[ワタシが書いた手紙は誰の手に渡ったのだろう。
きっといい人。 返事が楽しみ。
ワタシ達は同じ気持ちでカプセルが 送りかえされるだろう時を待つ。 部屋に閉じ込められた、ワタシ達宛てに届く手紙は、 返信のみという思考しか、小さな経験では浮かばなかった。]
(41) 2016/07/18(Mon) 00時頃
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[ヒトが手紙の返事を書き終わるまで、 ヒトを囲って、綺麗な色の正方形の紙を折って遊んだ。]
『昨日あげたカプセルをあげるから、書いたらどう?』
[なんて、提案をされたけど。 ワタシ達は瞳に曖昧な色を浮かべて笑っておいた。]
(42) 2016/07/18(Mon) 00時頃
|
|
[ カプセルを閉じて。
もうひとつ。 透明な水草の籠を開けば、中から水が溢れ出た。
地下の星 と呼ばれているとはいえ、 地上で生きている男だったから。 想像もしていなかった箱の仕組みに、 眼鏡の奥で、目を見開く。 光景を見ていた少女がタオルを投げてきたから、 有り難く受け取り、溢れたそれを拭き取った。 水の中からの手紙。と言うべきか。 真っ黒な紙は男の手に取られ。
読み進めたところで、暫し。 少女の手が腕まで伸びてくる。 ]
(43) 2016/07/18(Mon) 00時頃
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|
「その紙、端が崩れてる」 「ちょっとまって」
[ 彼女に似た 瞳。 瞬きをすると、星がこぼれ落ちそうだと。 柄にも無く そう思う。 思うだけで 伝えないまま、 少女がキッチンへ向かい、 帰ってくるまでを眺めていた。
持ってきたボウルには水が入れられていて、 示されるがままに手紙を浸す。 ]
(44) 2016/07/18(Mon) 00時頃
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「元々水に入ってたなら、これで大丈夫…、多分」 「…でも、母さんが見たら」 「きっと直ぐにわかったんだろうなあ」
[ 手が離れると同時に、 ぷつんと切れる、少女の念。
―― 外の星に、人一倍興味のあった彼女。 彼女が いたならば。 手紙を送ってきた、水の中に住む相手と、 楽しく"話"が出来ただろうか、と思いながら、 再びペンを 走らせた。 ]
(45) 2016/07/18(Mon) 00時頃
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[軽い駆動音と共に、明るい黄色の草を掻き分けてスタンド・カーが行く。一人乗りのそれの燃料は兎も角、問題は顔全体を覆ったメットの通気孔に貼られた、排気フィルムの制限時間。
白い円盤状の乗台に、方向制御と推進力の調整を行う制御バーがついた簡易な移動手段では、足より速いとはいえ、いつもの採取エリアの生息域を出るには及ばない。
それでも排気フィルムが往復限度まで、スタンド・カーを走らせてみたのは、狭いプラントの外にでる気晴らしと]
―…ちぇっ、やっぱそう都合よく流れついちゃくれねーかー。
(46) 2016/07/18(Mon) 00時半頃
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[始まった文流しに、ほんの少しの期待をしたから。
しゃーねーよな、宇宙は広−し。こんな端っこの端っこまで、届くわきゃーねよなー。
そんな負け惜しみめいたひとりごちをして、スタンド・カーの制御バーを元来た方に返すと、視界の端に、乳白色の空一面にはないきらめきを捉える。
まさか?
大急ぎで制御バーを、一瞬のきらめきが見えた方向にきって、ふわふわと、柔らかい速度で落ちてくるそれを見つければ、地上に落ちる前にブレーキもそこそこスタンド・カーから転がり下りて、カプセルをキャッチ。]
わっは…マジでぇ!??
[捕まえたカプセルを腕を伸ばして持ち上げてためつすがめつ四方八方眺めた後に、今度は叩いたり揺らしたりスイッチを探したりあれこれ試して、カプセルを開こうと試みる。
中から出てきたのは、ひとひらの、ざらついた―知識があれば、それが羊皮紙、と言われるものだとわかっただろうが―紙に記された、記号のつらなり。
暫しそれをしげしげと眺め]
(47) 2016/07/18(Mon) 00時半頃
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…もしかして、これ、文字じゃん!?
わー、すっげー!!文字か!文字かよ!!!まさかこー来るとは思わなかったわー!すげーな宇宙!広−な!!
[手紙を持ってそう言い乍ら、草原の上をぐるぐる転がる。決して手紙は皺にならないようにして。興奮おさまらない様子で、暫し手紙を眺めたり、溢れる喜びにそこらを転げまわったりしていたが、メットの生命維持監視装置が、小さな音で耳元でアラートを鳴らした。排気フィルムの限度が近いと。]
おっと。やっべ。
[ひょこりと転げていた身体を起こすと、慌ててカプセルを抱えて転がしたままのスタンド・カーに乗り込む。
帰路の運転は片手で気もそぞろ。覗き込んだカプセルの中に、もうひとつ贈り物があることに気付いた。]
(48) 2016/07/18(Mon) 00時半頃
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[骨から作られた横笛の音が、明るくも物悲しいメロディを奏でる。 夜通し騒いでいたのだろう、彼女とそう変わらない世代の若者たちが、肩を組み覚束ない足元で帰路に着く頃。 彼女は容赦ない呼び出しを受け、面倒くさそうに朝の町を走っていた。 水調機が靄を吐いていると、検査依頼が来たらしい。]
「よーっす。」
……はよ。
[さて現場には、既に1人の人物がいた。 お世辞にも整った顔立ちとは言えないが、不思議と愛嬌のようなものを感じさせる彼の名は、ターナー。 比較的やる気のある、奇特な方の人間であった。 半透明な球体がいくつも連なった、以前訪れたという辺境の異邦人は、グレエプと例えたその水調機は、見れば確かに白い靄を吐いていた。]
(49) 2016/07/18(Mon) 00時半頃
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はいこれ、機材と朝食。 あんたさ、慌てて飛び出すのはいいとして、持ち物全部忘れてくとかトリ頭もいいとこでしょ。
「おー、あんがとさん。 ……でもどうせならもっと可愛げのある女のコに届けてほしかったぜ。」
あんたに可愛げのある態度取ってくれるコなんていると思ってるの?
[グサァっと、大袈裟に傷付いたアピールをしながらも、彼の手はてきぱきと作業を進めている。 アホはアホでも、仕事の腕だけは一丁前なのだ。 そんな彼の姿を横目に、彼女は靄を発生元と思われる球体の下まで近付いた。]
(50) 2016/07/18(Mon) 00時半頃
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[水調"機"とは言うものの、その大部分は植物である。 根元から吸い上げた水を浄化し、綺麗になったものを無数の球体から放出する。 原理は未だ解明されておらず、機械部は根元の吸水量を調節する部分くらいしかなかった。]
「吸水機構は異常なし。とすると、上か?」
あーはいはい、登れってのね。
[怠そうな声からは想像が付かない身軽さで、彼女は水調機を登っていく。 問題の箇所まで辿り着き、ひょいと上を覗き込んだ彼女は、思わず脱力した。
そこには、煙管に詰められた煙草の燃えさしが、細い煙を昇らせていた。]
(51) 2016/07/18(Mon) 00時半頃
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「……まぁ、幼木を取り寄せる羽目にならなくて良かったよ。 機械以外じゃ、俺らはお手上げだからな。」
[彼はそう言って笑う。 自分にも他人にも甘いのが、この星の人間の特性だった。 否、他のドームに行けばそうでない人間もいるのかもしれないが、生憎と全くもって交流がないゆえに分からない。 かく言う彼女自身も、一大事でなかっただけマシかと思ってしまう辺り、否定できる要素はなかった。]
ったく、人の睡眠時間削りやがって。 こちとら毎日寝不足で悩んでるっつーのに。
「うん、お疲れ様俺。 ついでにお前。」
私はついでか。
(52) 2016/07/18(Mon) 00時半頃
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「そういや、今年の担当お前だっけ? 何か入れたのかー?」
[頭の後ろで手を組んだままで、彼はどうでも良さそうに聞く。]
……妹が、手紙を入れたいって言うからね。 それだけ。
[そう答えると、彼はあからさまに顔を顰めた。 ……分かっていたことだ。 得体の知れないあの子に、良い感情を抱いている者は数少ない。]
(53) 2016/07/18(Mon) 00時半頃
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「ふーん、あの妹ちゃんがねぇ…… お前もよく飽きないな。 未だに妹ちゃん、お前の方すら向いてくれないんだろ?」
……それでも、私が手紙を書いてあげたらね、笑うのよ。 とても、嬉しそうにね。
「……そっか。 しっかし、手紙ってのはいい案だな。 文流しっての? 他の星ではそういう習慣があるらしいじゃん。 お前も何か書いたらどうだ。」
冗談。 私が手紙とか、ドームがひっくり返る案件だわ。
[途中、焼き菓子の屋台を見つけ、彼は「ホームの子供らに奢ってやるよ」と歯を見せて笑った。 こういう気遣いができる辺り、平然と人の地雷を踏み抜いてくる彼を、心の底から憎めない理由であるのかも知れなかった。]
(54) 2016/07/18(Mon) 00時半頃
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おーいガキ共、差し入れもらったぞー
[ホームにて、そう声をかけるとすかさず子供たちが集まってくる。 ターナーからだと言えば楽しそうに、「ターナーおじちゃんからだって!」と歓声を上げながら、焼き菓子の袋を掻っ攫って駆けていく。
関係のない話ではあるが、彼女とターナーは同期である。 彼女が微妙に苦い顔をしているのは、つまりそういうことだ。]
ステラ。 ほら、あんたにもお菓子。
[ちゃっかり確保していた自分の分を齧りつつ、昨日と変わらない体勢で座る妹に、焼き菓子を渡す。 ステラは素直に受け取るも、困ったような顔をして。]
「ありがとう。でもお腹空いてないなぁ。 それより、お手紙のお返事、来た?」
(55) 2016/07/18(Mon) 01時頃
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まだだよ。 他の星は遠いんだから、そんなにすぐは来ないって。
「そっかぁ…… わたしのお手紙、ちゃんと届いたのかなぁ。」
不安なら、もう1通書こうか?
[そう提案すると、ステラはパッと真っ黒な目を輝かせた、ように思えた。]
「うん! ……あ、そうだ! このお菓子も一緒に入れよう。」
[そう言って、心底良い考えを思い付いたというように、ステラは満面の笑みを見せた。]
(56) 2016/07/18(Mon) 01時頃
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[見上げるのは、昨日と変わらない光景。 宙高く昇っていく光籠と、自分の吐き出した水泡。 やがて小さくなって、消えていくそれは、一体どこに向かうのだろう。
宙は遠い。 人を乗せ、厚い空気の層を突破し、重力を振り切るだけの技術は、未だこの星には、無いのだ。]
(57) 2016/07/18(Mon) 01時頃
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なんだこりゃ。
[宇宙カプセルを飛ばした翌朝、 眠気眼を擦りながらリビングのカーテンを開けると、 バルコニーにいくつか見覚えのない物が転がっている。 その数、一、二、三………]
……っと、おぉ………?
[からりと窓を開け外に出れば 空からふわりふわりともうひとつ。 全部で四つとなったそれらは この星のものとデザインは異なれど、 大きさや形状から、宇宙カプセルであることがわかる。]
(58) 2016/07/18(Mon) 01時頃
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[見知らぬ誰かから、俺たちの星へ たしかに届いた贈り物。 終わりゆくこの星が 一つの空でどこかと繋がることの証。]
本当に、届くのか………
[舞い降りてきたひとつを捕まえながら ぽつりと言葉の粒を落とす。 ならば、俺の声も 届いただろうか。 一方的に託した、あの願いも。]
[動かない俺を不思議に思ったのか シンがバルコニーへ出てくると 転がるカプセルを見つけるや否や 「あー!!!!」と大きな声をあげた。 今日は休息日で仕事もない。 家族でゆっくり、カプセルの開封会をしよう。]
(59) 2016/07/18(Mon) 01時頃
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んじゃあ、ひとつめ。
[俺の両端にはシンとセト。 三人並んでソファに座り、 テーブルの上にカプセルを並べた。
二人とも、キラキラとした目でそれらを見つめている。 その表情にくすりと笑みを零しながら、 端に置いたひとつを手に取って。 期待と、わずかな緊張を胸に 金色に水色で縁取りされたカプセルをゆっくりと開く]
(60) 2016/07/18(Mon) 01時頃
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……ん、いい匂いだ。 それから…… へぇ、珍しいものを贈ってくれたな。
[蓋を開けば、ふんわり広がる優しい空気。 料理の香りだろうか 嗅いだことはないはずなのに、 どこか懐かしさを感じるそれに 隣のシンの腹の虫がぐうと鳴いた。]
(61) 2016/07/18(Mon) 01時頃
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[カプセルの中に入っていたのは 見事な彫刻の施された銀のコインと 羊皮紙に綴られた手紙。 貨幣の使われなくなったこの星では コインは骨董品として扱われあまり見かけることはない。 まじまじとそれを眺めたあと、 手紙に書かれた最後の一文に目を細めた。]
いいこと、あったな。 お礼を書かなきゃ。
[シンは、まるで宝物でも見るように まあるい瞳に手のひらの上の銀を映していた。]
(62) 2016/07/18(Mon) 01時頃
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なあ、これ……
[便箋の中ほどに書かれた文を指差し 隣のセトに視線を向けるも、 彼女は不思議そうに、首を振るだけだった。]
(63) 2016/07/18(Mon) 01時頃
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それじゃあ、ふたつめ。
[カプセルから取り出したのは、白い紙。 自分のものとは違う、 丁寧で綺麗な文字が綴られたそれを 声に出して読み上げる。
シンには少し難しかったようだが、 セトは手紙に耳を傾けながら 同封されたプレゼントを嬉しそうに指で撫でた。]
(64) 2016/07/18(Mon) 01時頃
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「本当に、他の星で食べられるの?」
[ なんて、肩に手を置いて言う少女に、 "まあなるようになるさ"と返し、 贈り物を詰めた返事は、これで二通。
さあ飛ばそうとしたところで、 ]
(65) 2016/07/18(Mon) 01時頃
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……へ、写真?
[手紙を読み終えたあとのこと。 セトの唐突な提案に思わず間抜けな声が出た。 「せっかくだし!」と笑顔を見せる彼女は 自慢のカメラを取り出しセットしだした。 シンは嬉しそうに俺の膝に乗り、 3,2,1…とあっという間にシャッターが切られる。
家族写真を撮るのはいつぶりか。 俺はうまく、笑えていただろうか。]
(66) 2016/07/18(Mon) 01時頃
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「ねえもうちょっと書きなよ!」 「母さんへの話題が増えるでしょ?」
[ とか 頭の中に。 声ががつんと飛んでくるものだから。 ―― それもそうだな、と。 つまらない男にしては、本当に珍しく、 便箋を取り出す。
多分、背を見ている少女の瞳は、 驚きで、まあるい。 ]
(67) 2016/07/18(Mon) 01時頃
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みっつめ、開けるぞ。
[印刷された写真を楽しそうに見ている二人に 「パパ変な顔〜」なんて笑われながら 俺は少しムッとした顔で次のカプセルを手に取る。 銀色のそれは、つるりと滑らかな手触りで心地良い。 中に入っていた手紙の文字は さっきのものとは正反対の印象を受けた。]
もらってください、だとさ。
[同封されていたのは三羽の折り鶴。 色の異なるそれらは、 折り目が少しずれていたりもするけれど 手紙の文面とも相まって、微笑ましく思う。]
(68) 2016/07/18(Mon) 01時頃
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[シンは最近折り紙を覚えたのだが 鶴の折り方はまだ知らない。 手のひらに乗せた三羽の鶴に わあぁ、と感嘆の声をあげると、 僕にも教えて!とせがんできた。]
わかったわかった、 あとでママに教えてもらおうな。
[わしわしと頭を撫で、そう告げれば 「パパは下手くそだものね」なんてセトが笑った。]
(69) 2016/07/18(Mon) 01時頃
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これで最後だ。
[手にしたカプセルは今までのものよりやや重い。 また何か贈ってくれたのだろうか。 中を覗き込めば、そこには一通の手紙と──]
……、これ クダモノ ってやつか……?
[入っていたのは、瑞々しくきらりと輝く 良い香りのする 果実と思しきもの。 遠い昔に草木が絶滅したこの星では 歴史書でしか見ることのできないもの。]
(70) 2016/07/18(Mon) 01時頃
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……へぇ、宇宙は広いな。 全く別の世界じゃないか。
[手紙に書かれた内容は、 知識としては知っていても この星では見られないものの話。 言うなれば、おとぎ話…だろうか。 シンの瞳がきらきら輝く反面、 俺は──…]
(71) 2016/07/18(Mon) 01時頃
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[全ての手紙を読み終え、ふぅと小さく息を吐く。]
……これ、切ってみて。 赤いの。そうそれ。
俺、返事書いてくる。
[セトに果実を手渡すと、 俺はひとり自室へと向かいペンをとった。
世界を教えてくれた彼らに、 俺の言葉で、俺の世界を。]
(72) 2016/07/18(Mon) 01時頃
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いやー、すげーわ。文字だぜ?文字。そりゃリーダーは書けるの知ってっけどさ。 普通書かないじゃん?文字。
[プラントに戻ってからも、感じ入った様にそう何度も繰り返した。
男の母星の文化から、文字をしたためるという文化が無くなってもう幾世代。今では儀礼にのみ使われる特殊技能となっていた。
貰った手紙をコンソールのコンバータ機能に掛けると、若いような、不思議に歳を重ねているような、柔らかく感じる男子の声で再生された。単語や筆跡、筆圧などから推測されたその合成音声は、送り主の声を再現できているかは知れなかったが、それでも一層の親しみを感じられるようで、頬杖しながら、何度も何度も再生しては聞き入った。]
俺っちより子どもみたいな声なのに、難しーこと言うなあ…。
あ、あ、あれ?これ俺っちも文字書いて送りかえすやつ?まーいったなー、記述はコンバーターでどうにかなるけど、書くもんとか。…あ。
(73) 2016/07/18(Mon) 01時半頃
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[狭いプラントでも、長期任務のストレスに配慮して、1人に1部屋の個室。リーダーの部屋は突き当り。ミーティングも行えるよう、2部屋続きの特別拵えだ。]
確か、この辺りに…っ、と…。
[そのブリーフィングルームの、リーダーのデスクは既に一定下の条件で解錠されており、手応えもなく開いた引き出しのひとつには、正式書面を記すための色紙と、今は骨董物に近い万年筆。と、白い、シンプルな便箋が納められていた。]
すんません、お借りしまっす!
[万年筆を目の前に掲げて拝むように言うと、コンソールのあるセントラルルームへと戻る。 コンバート機能をonにして、マイクへ向って話し掛けると、文字として出力される。それを傍らに見ながら、真っ白な便箋へ書き写していく。]
(74) 2016/07/18(Mon) 01時半頃
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― 自宅 ―
[明け方、寝ぼけ眼を擦りつつ、からりと窓を開ける。 未だ早い時間だからか、数少ない――けれど、普段は見られない飛行物体が、一つ二つと宙に浮かんでいるのが見えた]
ふぁあ……、ん。 俺のところには、きてない……かな。
[外に見えるカプセル達が、宙に向かっているのか、宙から飛来しているのか。 換気を終えて閉じてしまった窓からは分からない]
[他惑星との交流は貿易でのみ細々と行われていると知識では知っているけれど、本当に『他の惑星』が存在するのか、まして『文流しという文化』が未だ続いているものなのか、俺には確かめ様が無いから]
(75) 2016/07/18(Mon) 01時半頃
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[ 封をして、これでみっつ。 窓の外、宙へとそれぞれ、少女とともに飛ばしていく。 飾りも縁取られもしていない、ただ透明なカプセル。
少女の手が腕に触れる。 何時かの彼女より、遠慮がちに。 ]
(76) 2016/07/18(Mon) 01時半頃
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「飾りとかつければ良かったのに」 "まずこの星のデザインがそういうのとは縁遠い"
[ 間髪入れずに返事をすれば、 一瞬 むっと されるも、 「まあ、そうだよね」と飛んできた。
家の家具も壁紙も、なにもかも。 柄らしい柄なんて、この星にはまず無い。 ]
(77) 2016/07/18(Mon) 01時半頃
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………よしっと。
[全ての手紙を書き終えると シンとセトと一緒に贈り物を作り、 三人でまた、屋上から空へ飛ばした。 彼らの元へ、無事に返事が届くことを祈るのみ。]
[帰ってからは、例の赤い果実の試食会。 生まれて初めて口にするそれは、 甘くて酸っぱくて瑞々しくて
すごく、美味かった。]
(78) 2016/07/18(Mon) 01時半頃
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「…父さん」 「母さんがいたら、もっと楽しかったよね?」
[ 遠くなっていく呟き。 脳内に響いているはずなのに、 それでも消えていきそうな少女の声に、 つまらない男はどう返せば良いか迷って、
ポニーテイルが崩れるのもお構いなしに、 くしゃり、頭を撫でた。 ]
(79) 2016/07/18(Mon) 01時半頃
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[テレビのニュースが 例の小惑星が更に接近したことを告げている。 真新しい写真立てに飾られた写真の中の俺たちは 幸せそうに笑っていた。]
(80) 2016/07/18(Mon) 01時半頃
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[最後の一文字を書き記すと、詰めていた息をぷはぁー!と吐き出す。]
まじこれすげーな…普段から文字書いてるやつ尊敬するわ…。音声のが絶対楽だろ…。
[ぱたぱたと便箋を揺らして、インクを乾かすと4つ折りに畳み、返信用のカプセルに入れる。一緒に、標本のような透明なカードを封入すると、封をした。
同じ透明なカードは、既に今日送るために準備した、送信用のカプセルにも入れてある。 2つのカプセルを抱えると、宙に送るためにゲートを潜る。今日はカプセルを探すため、既に限度いっぱい外気を吸った筈だ。ひとつ、ふたつ咳き込むと、プラント一番外側の扉を開けた。]
(81) 2016/07/18(Mon) 01時半頃
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[ 飛ばしたカプセルのひとつに、 本来捨てるはずだった手紙が混じったことに 俺は、気がつくことはなかった。 ]
(82) 2016/07/18(Mon) 01時半頃
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[ヒトと遊んだ後、ワタシ達は相談を始める。
どんなことを書く? どんなもので書く? どんなものを入れる?
手紙が来たら、それだけで嬉しいのだろう。 ヒトの眼は語っていた。 誰かに届く特別なモノに仕上げるためには、どうしたら、いいのか。 考えてみても、わからない。時は過ぎるばかり。]
(83) 2016/07/18(Mon) 01時半頃
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[翠のワタシはひとつ提案する。 好きなことを書いてみよう、と。
くれよんを手に取って、 床に置いた紙に文字を書き始めた。 今日はワタシ達全員で。 碧と翠のワタシはあんまり得意じゃないから、 ワタシが紙束に下書きで見本を書いた。 それをみて、ワタシたちで手紙を一通書き上げる。]
(84) 2016/07/18(Mon) 01時半頃
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[書き上げた手紙と、それからもうひとつ。 カプセルに詰め込む。 意識が飛んでいきそうな、気配はあったけれど、 それでも今日はカプセルがどうなるのか見たかった。
電子音が響く扉を抜けて、ヒトの元へ。]
(これ。)
[碧のワタシが抱えたカプセルを指差して、ヒトへ。 糸を持たないヒトに、聞こえるはずはないけれど、つい。 それでも言葉がなくても通じる簡単なことだから。 ヒトはそれを受け取って、手招きをし、歩き出す。]
(85) 2016/07/18(Mon) 01時半頃
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[着いた先は、初めて訪れた場所。 一回も着たところがないところ。]
『イースター達はここで待ってて』
[ヒトはそう言って、透明な二重のドアの向こう側へと。 長い時間ではないのに、もどかしくて、そちらがわへ行きたかった。 ヒトが小さなドア(窓)をあけて、カプセルを宙へとかざせば。 ふわりと、それは飛んで行った。]
(86) 2016/07/18(Mon) 01時半頃
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― バーガーショップ ―
おばちゃーん!いつものやつね!
[馴染みの店へ入るなり、開いているカウンターに腰掛け、注文をした。 『速い安い美味い。ただそんじょそこらのファーストフードと一緒にしてもらっちゃ困る』が信条の、我が基地が誇るバーガーショップは、短い昼休みに立ち寄るには最適の食事処だ。 注文してほんの数分で、あつあつほかほかのナユタセットが目の前に置かれる]
んんんんん……っ! この魚の風味……っ!肉汁から溢れる旨みの深さ……っっ!!
やーっぱオバチャンのバーガーは最こ――ってあれ?なんか味付け変えた??
[濃厚な肉汁から、いつもとは違う香味を鼻孔に感じ取って首を傾げる]
(87) 2016/07/18(Mon) 02時頃
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「おや、分かるかい? 文流しで他の惑星の人から良いスパイスを譲って貰ったもんだからね、試してみたんだ」
[一見パートのオバチャンにしか見えない、その実店主であるオーナー様が、にっと笑って告げる。 常連客を毒見役に使った事に対して悪びれる様子もなく「どうだい?」と重ねて訊ねてくる]
んー……悪くはないけどさ。 これ、安定して提供して出来るレベルのもん?
[そう、確かに悪くない。 ――どころか、普段のお気軽メニューなバーガーを一丁前のちょっとしたランチメニューへと格上げ出来るレベルで、格段に、美味さを増している。 それはそれとして、店としてはこれを貿易ルートに乗せて安定供給出来なくてはいけないのではないだろうか?]
(88) 2016/07/18(Mon) 02時頃
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[店に来るまでの道中でも、町の噂は星崩祭と文流し一色だった。 仰々しいカプセルに「てすと」や「ああああ」なんて紙切れが届いただの、丸っこい可愛らしい字で届いた健気な文は可愛い女の子からに違いないいやこんな達者な文章が書けるのはオッサンに違いないだの]
[文流しが、この星の言い伝えや廃れた文化などではなく、確かに他の星でも行われている。 そんな、証拠たち]
(89) 2016/07/18(Mon) 02時頃
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[カプセルを見送った日。 その日に聞いた最後の言葉は。]
『────おやすみなさい。』
[おやすみ、世界。 ワタシはしばらく、繭の中で眠ります。]
(90) 2016/07/18(Mon) 02時頃
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