人狼議事


278 冷たい校舎村8

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  ……紫織ちゃんっ!?

[ ベッドで寝転がっているだけじゃいられなくて、
 ようやく千夏は布団を蹴り上げて、寝床から出る。
 部屋の明かりをつけて、
 夏美からのメールや留守電を確認する。

 一酸化炭素中毒。
 火事のほとんどの死因がそれだって、読んだことある。
 ……火事に巻き込まれて?
 ううん。メールに死にますって書いてある。 ]
 



[ どうしたらいいんだろう。
 と千夏は思った。

 メールをスクロールさせていけば、
 病院に行くから!と夏美が宣言していた。
 夏美の行動的なところが羨ましくて、
 同時に……、ううん。
 今はあんまり思わないかもしれない。 ]
  



[ なにができるわけでもないけど、
 千夏も紫織が搬送されたという病院へと、
 赴くための身支度の準備を始める。* ]
 


メモを貼った。


-- 現在/自宅 --
 
[ ばたばたと身支度をしていたら、
 どうやら煩かったらしく、
 焦ったような母が部屋の様子を見にきた。
 何?と短く質問のあとに、じと見詰められる。
 目が見れなくて、足元に視線を落とした。 ]

  ……紫織ちゃんが、
  クラスメートがしんじゃいそう、で。

[ え?どういうこと?と母が言う。
 千夏もよくわからない。どういうことなんだろう。
 どうしてなんだろうね。
 人間やめたくなっちゃったのかな。
 と、紫織の精神世界でのことを思い返す。 ]
 



[ しばし、沈黙。
 口を先に開いたのは、母だった。
 千夏に何もなくてよかった、って。 ]

  そうだね、なにもなくてよかったよ。

[ あ。すこし冷たい言い方になった。
 たぶん母は低血糖だとかを心配している。

 そうだ、血糖値、測らないと。
 思った瞬間におなかがすいたきがする。 ]
 



  病院、いってくる。
  お母さんが私を心配なように、
  私も紫織ちゃんが心配だから。
 



[ お母さんは寝ててね、と千夏は言った。
 困った顔をした後に、
 母は部屋の前から寝室に帰っていく。

 それから、千夏は全速力で血糖値を測って、
 間食のための注射を打って、
 あんまりおいしくないビスケットを頬張った。
 クレープの暴力的な甘さが恋しい。 ]
 



[ コートにマフラーを身に着けて、
 (ハンガーに掛けたコートはなぜか落下!)
 (なんでかリップがポケットに入っていた!)
 靴箱から長靴を探して履く。傘も持った。

 靴箱に備え付けられた鏡には、
 顔色の悪い千夏が写っている。
 色をのせる暇はないな、とそのままに飛び出した。
 のはいいけれど。すぐに戻ってくる。 ]

  雪、降ってない!

[ 玄関に長靴を置きっぱなしにして、
 スニーカーに履き替える。 ]
 



[ 自転車に乗って、
 病院への道を漕ぎ出す。

 千夏も知っている道だ。* ] 
 


 
 [ なんで謝るんだろう。 ]
 


 
[ 謝るくらいなら死ぬのをやめてほしい。

 何で死ぬかって、原因の一言も書かずに
 謝って、死のうとして、世界を作って。
 そして追い出すのだから、我儘。

 あと「許してくれなくてもいい」なんて
 まるで許すのが当然みたいな言い方
 ぜんぜん気に食わないな。って思う。 ]
 


 
[ でも、郁斗は怒っていなかった。
 怒る気にもなれなかった。
 怒ったら死にたくなりそうだ。

 あの時みたいに泣き叫ぶ気にもなれなかった。
 いっくんは大人になりました。
 まだ未成年だけどね。

 騒いで正気を失う気にもなれない。
 というか、寝起きなんで。だるいな。
 全部夢だったらな。夢かも知れないな。 ]
 


 
[ そんな訳ないだろうな。
 夢だったらもっと楽しいはずです。

 あーちゃんも居ないし、
 みんなも、まだ、死んでないし。 ]
 


 
 [ 指の下で文字がひかっている。 ]
 


── 現在:病院 ──

[ 兄の運転する車のドアを開ければ、
 冷たい空気が流れ込んでくる。
 一歩踏み出して、その中へ体を晒す。 ]

  ……帰るときまた電話する。
  まー、寝てたら、タクシーで帰る。

[ わざわざ窓を開けて話を聞く兄は
 いっつも無視したり無下に扱ったりするのに
 郁斗に対して結構過保護。かもしれない。

 負い目だね。負い目だよ。
 そーゆーとこ、ほんと親子だよね。
 前言ってしばかれたので、言わないけど。 ]
 


 
[ 寒い。外は寒い。
 というか、病院に着いてしまって怖かった。
 開いたシャツの首元を手繰り寄せる。

 ダルそうなふりして心配そうな運転手が
 お前それ大丈夫か。って平坦に聞くから
 素直に兄の視線を追ってしまった。

 手首に痣がある。あーあ。 ]

  はは……なんだろ…、
  なんだろーね……。

[ 無数の手。小さな手に触れられる感覚。
 臭い。音。……を、思い出す。笑う。 ]
 


 
あれはあーちゃんなんでしょうか。
あーちゃんじゃなければ、なんなのでしょうか。
 


 
[ 顔色を悪くした郁斗を見て、それに対して、
 兄はマフラーを投げつけてた。
 寒いなら使えば。って、ぶっきら棒に言う。

 かわいくねーツンデレ(笑)って、思う。
 嘘。カッコワライつける元気は、無い。 ]

  ありがとー。
  ……じゃあ、行ってくる。

[ そう宣言したくせに動かないでいる弟の背を
 兄はぞんざいに、勇気づけるように叩いた。 ]
 


 
[ 正気になったら。
 色んなことを考えてしまうので、嫌だ。 ]
 


 
[ あーちゃんのこと。ワタリさんのこと。
 あと、あーちゃんのこと。

 そういう、どうしようもないことを考えても、
 苦しくなるだけだ。過去は変えられない。
 事実は嘘にならない。 ]
 


 
[ 喜多仲家は矯正された。そこそこ幸せな家族に。
 兄も母も父も、郁斗を大事にしてくれる。
 喧嘩もするけど、ちゃんと気にかけてくれる。
 なりました。普通の家族に。

 なんで。って、あーちゃんのおかげだよ。
 あーちゃんが死んだおかげ。だよ。

 あーちゃんが死んで郁斗が病んで、
 三人が何とか繋ぎとめようとしたからだ。
 あーちゃんが死ななければ。
 こんなに幸せになることはなかった。きっと。 ]
 


 
[ あーちゃんはクソみたいな親に殺された癖に
 それをダシに幸せになっていいのか。って、
 そういうことを考えると、
 目の前が真っ暗になる。眩暈がする。

 そのくせ、今だって
 兄ちゃん優しーやったじゃん(笑)なんて
 この結果を喜ぶ自分が居るので、笑える。

 あーちゃんが死んだことによって、
 いっくんも全部全部不幸せになれればよかった。
 でも違った。幸せになってしまった。 ]
 


 
[ 授業中眠くなったときとか、
 つまんねー講演を聞いているときとか、
 ふとした瞬間に正気に戻って考えて、
 その度に死にたくなってしまう。

 どうせその数十分後にはそんなこと忘れて
 皆とバカやって笑ってるっていうのに。

 バカやって笑ってる自分を冷静に見て
 自己嫌悪して、忘れて笑って、
 みたいなエンドレスはしたくないです。

 どーせなら笑ってたい。笑っていたい。 ]
 


 
[ 持てるもの全部持って抱えて、
 正気になりたくない。って思う。
 可笑しいですか。

 可笑しくても良い。……って、思ってた。 ]
 


 
あれはあーちゃんなんでしょうか。
あーちゃんじゃなければ、なんなのでしょうか。

夢の中のあーちゃんは
いっくんがあーちゃんだって言うから、
あーちゃんです。そういうことになりました。

チビだったり、同い年たっだり、
たまーに全然人間じゃなかったりしても、
夢の主があーちゃんって言い張るのですから、
あーちゃんはあーちゃんでした。

いっくんにはあーちゃんだって分かっていました。
 


 
でも、本当は。
あーちゃんなんて居ないのかもしれません。

居たけど、たしかに現実に居たけど、
もう、いっくんの傍には居ないのかもしれません。
 
じゃあ。本物のあーちゃんは
一体全体、どこに行ったんだろう。
 


 
……天国だったらいいなあ。
 


 
  ハア?叩かなくてもよくねえ?
  チョー酷いんですけど。
  寝ててもマジ叩き起こすから。

[ 寝起きにしたってテンションの低い郁斗は
 それでもなんとか、病院へ進んでいく。

 もう嫌いじゃなくって、
 もう嫌われてもいない兄を背にして。 ]*
 


メモを貼った。


 
 [ え。てか、夜中の病院って怖くねえ?(笑)
  フツーに怖いんですけどぉ!! ]
 


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