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[水の話題になると、急に口調が変わった。
死んでほしくないらしい。
思わず笑い出しそうだった。
男を、限りなく死に追い遣っている癖に。
堪えたつもりだが、軽く上がる口角は止められず。
そして再び閉じられた鍵二つ。
部屋を一周してわかった事だが、やはり、ここには水道すら無いらしい。
本当に、どこが"悪くない"部屋なのか。
女も一人でここに住めと言いたい。
女のお勧めなのだから、喜んで譲るのに。]
[再び扉が開く音がした。
空気が揺れ、何かが差し出された、その感覚はある。
飲めと言うのだ。
顔の近くまで、コップが差し出されているのだろう。]
………
[男は寝転んだまま、顔をコップとは別方向へと向けた。
起き上がる気すらなく。*]
ま、まだ慌てるような……時間じゃ……
[そう、まだ水音が隣室から響いている。
つまりはシャワーを浴びているはずで、だから、
……だから?
こ、これはイルマが……イルマが悪い、そうだ責任を取ってもらいたい、いやいやそういう意味じゃなくてそういう意味でもいいけどそれはもっと後の話で、イマはこう、いや待て落ち着け俺の頭、そいういうことは想像するんじゃない落ち着けといっているだろう特に身体!!
しかしやはり非情な現実は時間を巻き戻してはくれず、
時の流れを正確に刻んでいく傍らで。
せめて下履きもズボンもベルトもしっかりしておこう。
これが唯一の生命線だと、落ち着かない妄想を拭い、
妄想に則して落ち着かない下半身を誤魔化すべく。
ふー、と息を整えながら、
いつの間にか緩んでいたベルトを締め直した]*
メモを貼った。
ぁ、あ、 ……っ
[
我慢することも出来なくて。
良いところを触れられる度に、
あたしの口から甘い声が零れていく。
しゅるりと解かれた下着の紐
あたしの濡れそぼったそこを隠すものは、
いとも簡単になくなった]
ん、 ふぁ、あ 、
[濡れているそこを見せることになるのは、
とても、恥ずかしい。
でも、そーさんに触れて欲しくて、
あたしはゆっくりと、膝を立てる。
あたしに触れる指は
やっぱり良いところを擦っていくものだから、
その度、小さく身体が揺れて]
そーさん、 きもちぃ…… っ
[焦らす様に、丁寧に。
溢れる蜜が、あたしの言葉がホントであるって、
証明してくれている*]
[目を伏せた先、
左手の薬指に残る指輪の痕。
目を逸らした先、
私の足に繋がれた真新しい鎖。
目を閉じて、息を整えて――]
えいえいっ!!
[じゃらじゃらと鎖を引っ張ってみる。
でも、鎖はびくともしない]
[試しに頬をつねってみるの。
うん、痛い。
夢じゃないのねと納得。
そうして、ベッドに丸まって考え事をするの。
昨日から色んな事があった。
どれもこれも、辛くて、苦しくて。
夢なんじゃって、そう、思う]
でも、夢じゃないのね……
[じゃらりと鳴る鎖がその証拠。
困ったわって頬に手をあて小首を傾げ]
[――……、
独りでいるのが、怖かった。
目を閉じれば血塗れのパン屋を思い出しそうで、
恐ろしいものが襲ってきそうで。
ぎゅっと服の胸元を握りしめて。
セイルズさんが出て行った扉を見ていたの。
早く、早く、帰ってきてほしいって。
あの人を笑顔で見送った時もそうだった。
本当に言いたかった言葉は、
いってらっしゃい、ではなくって]
おいて、いかないで……って、
[そう、言いたかったとまた頬を涙が伝う]
[
ノッカのそこを曝け出してくれる。
最初は無理やり暴いてしまったことを、
今は二人で紡いでいく。
無かったことにはできないけれど、
良い方に上塗りするように――]
きもちいい、ですね
至極、溢れてますもの……
ちょっと、直接見せてもらいますね?
[小さく揺れる身体を一度抱きしめて、
キスをしてから自分は身体を下へとずらしていく。
下へと移動しながら胸元やお臍にキスをして、
開いた足の間にまで下がれば目の前に見える花弁に息を吹きかけた]
[自分が荒らした花園を、
自分が求めるノッカのそこを、
視線に収めて、口を近づけ、舌を伸ばす。
まずは舌でそこを舐めてしまい、
蜜を纏った指先で中から蜜を溢れ出させるように掻き出しながら、
花弁へとキスをして、吸う音と、指で奏でる音を部屋に響かせていった**]
[あの時口元を覆った貴方を思って。
困らせてないかしらって、そう。
心配になって――、
泣かないでと言われなかったのに安心したの。
また泣いてもいいかしらって、
そう、ほっとする]
[ごしごしと目元を拭って。
気を取り直すように本棚に向かう。
本を読めば気が紛れるんじゃないかって。
沢山の本を眺めるの。
とても沢山の本があるけれど、
一番目にする作者さんの本を一冊手に取って]
この本なんて面白そう。
[その本が叔父さんの書いた本とは知らなかったけれど。
私は時間も忘れて読み進んでいったわ。*]
メモを貼った。
メモを貼った。
[脱衣所というほど立派なものはない。
簡易な洗面台に小さな鏡が壁にある。
それだけの場所。
そこで服を脱いで鏡の中にいる私を見た。
お義姉さんと比べて薄っぺらい胸。
流れた血は身体のあちこちを赤く汚して。
自らで傷つけた腕は酷い有様だ。
シャワールームへ入って。
恐る恐るシャワーで身体を流す。
腕にお湯がかかれば身悶える程痛い。
お湯に混じって流れる赤い水。]
[痛みを堪えながらシャワーを浴びている。
そんな時に男の子が何を考えているか。
そんな事ちっとも考えてない。
思い浮かばないのは経験がないから仕方ない。
勿論看護師だから子供が畑に生えるわけじゃない。
そんな事ぐらい知ってるけど。
知ってるからといって結びつくわけではない。
だから今呑気に思うのは。
どれくらい一人にしてあげたらいいんだろう。
という気遣いであった。]
[ボロボロになったシャツ。
まだ使える布はあったから細く切り裂いて。
止血する為に使う。
着替えはあった。
徐々に食わせていこうと思っていたから。
暫くはここにいるつもりであったので。
綺麗な服に着替えて。
髪の毛も乾かして整えた。
化粧は落ちてしまったけど、別に構わない。
多少幼く見えるけどそれだけだ。
看護師なので化粧は元々濃くはないし。]
[ここまでかかった時間は40分程度。
そろそろいいだろうか。
そういった行為にどれくらい時間を使うのか。
分からないけどきっと大丈夫だろう。
そう思ってシャワールームから出て。
部屋の中へと戻れば。
何故か上半身裸のピスティオがいた。]
…………ああ。
[看護師仲間から聞いた事がある。
男の人も胸を使う人がいると。
つまりそういう事だろう。
私はそう納得をした。
彼の知らない面を色々知ってしまったけど。
大丈夫、私はどんな彼でも好きだから。]
[努めて明るい表情を作る。
平常心が大事だ。
状況は全く平常ではないけれど。
何時もと変わらない、そう思おう。
私は洗面器にお湯を張ったものと。
タオルを持って彼に近づいた。
妙に片付いているような気がして。
内心で首を傾げた。]
身体拭くね。
背中向けてくれる?
[抵抗されなければ濡れたタオルで背中を拭いて。
自分で拭くと言われたなら素直にタオルを渡す。]
一回外に出ようと思うんだ。
薬はいるし、食料もいるよねぇ。
他に欲しいものはある?
[欲しいものがあるのなら出来るだけ手に入れよう*]
―回想、薬屋―
[ピスティオは特に何も聞かなかった。
店の外を通れば噂は聞こえよう。
男の不機嫌はいつも以上に深く眉間に皺を刻んでいたのだから。
……その声なら、問わないのは尚の事英断だ。
結局、あの笑みの意味はわからなかった。
店の外のような嘲笑の気配もない。
ただただ、穏やかな笑みだった。
あの女のように、薄ら寒い笑みではなく、男は安堵を覚えた。
だからかも知れない。
柄にもなく、その背に言葉を掛けたのは。
そして男も背を向ける。
以降、その日薬屋が迎えた客はいない。**]
へ、 ぁ、 待っ……ひあっ!
[
まさかまじまじと見られるなんて
思ってもいなかったから、
つい、制止の言葉が飛び出してしまった。
けれど。
それよりも先に、そーさんが、
そこに息を吹きかける。
指とはまた違う感覚に、高い声]
[文庫本の一冊位は読み終わるだろう頃合いに、片手鍋と器を携え地下へと降りる。いつもならポトフに添えるのは、彼女の焼いたフランスパンだったのだけれど、今日はオイルサーディンと合えたショートパスタ]
失礼、待っただろうか。
[新しい水差しをそっと袖机に置いて、彼女の隣に腰掛ける。……何せ急ぎで書庫にベッドだけ持ち込んだようなものだから、椅子はないし、机も袖机程度のもの。
それ故に、こうして傍に座れる所もあるのだけれど]
[大丈夫だと言っていた
[彼女は、本を読んでいたらしかった
──背表紙に記された著者名は、セイルズと同じ名字]
……それは。
[叔父の本だった。推理物も怪奇譚も、偶には恋愛小説も書く人だったから、彼女が読んでいる本が一体どれだったのかは覚えていないが──比較的古い作品だ、確か]
[戸棚を改めて見てみれば、一角にまとめて同じ名前が並んでいる。指一つほどの隙間が出来ているのは、きっと彼女が抜いた跡だろう。……まとめてここに置いていたのか。
暫く本棚を眺めた後、はたと言葉足らずだった事に気づく]
それは叔父の本、なんだ。
……作家をしていた。
同時に良く本を読む人で、
書斎の本は叔父が集めていた物だ。
[そういえばこの辺り、彼女に長々話したことは無かった気がする。
何せ諸々の家事を担っていたのはセイルズで、大抵家にいる人のことを、店の中で態々口に出す理由も無かったので]
[それにしても、叔父の本が面白かったなら良いのだけれど。
時間を忘れられただろうか。
彼女へと視線を戻し、首を傾げる]*
そーさん、 あっ、
そこっ、 きたないからぁ……っ!
[
反射的に閉じそうになる足を、
なんとか抑え込もうとすれば、
喘ぎ声なんて我慢することもできなくて。
指とはまた違う刺激に、
あたしの腰が砕けてしまいそうになるくらい]
ひああ、 吸わないでぇ……っ!
[そうは言っても、嬌声は零れてしまうし、
あたしの腰はびくびくと跳ねてるのだから、
『きもちいい』って思ってることは、
バレてしまってるんだろう**]
メモを貼った。
……な、なに
してない、してないからな……?
[扉の開く音に振り向いて視線が合って、
納得した様子に動揺がモロに顔に出ている。
化粧がないイルマを見るのも久し振りで、
その驚きも多分に現れていた。
唇を結んでいるからそれ以上の弁明はない。
いや、弁明などする必要ないからしないだけで、
明るい表情をしているイルマを見て安堵が……
否、不安が沸き起こったのを辛うじて飲み込んだ。
不幸な勘違いの連鎖をしているなど知らない。
知っていたとしても抗いようはなかったが、
そんな思考も近づいて来られれば吹き飛んでいく]
おい、腕……
あんまり無理すんなよ。
[湯の満ちた桶の重さを知るだけに、
慌てて場所を譲って置く机の障害物をなくして、
促されれば素直に背を預けて拭いて貰うに異はなく。
背に触れられると震えはしたがそれだけだった。
他人に触れられる違和感というよりも、
その暖かさが拭う後に来る肌寒さを予感した震え。
それだけ体温が高まっていることに今更気づいて、
詰まっていた吐息を細く、長く、吐き出すと]
無い、な。
子供らが無事ならそれでいいし、
ああ、俺の着替えが欲しいくらいか。
[背が綺麗になる頃、
欲しいものを述べたがこれだけだった。
実際には街や孤児院の状況を知りたいが、
そこまで望んでも仕方ないと理解はしている。
外に出る自由があるイルマが無理しない範囲、
大事なものはそれだけだから贅沢も言わなかった]
あとは……そうだ、な……
[はぁ、と息を吐いて、吸って、整える。
この一言を言うだけに何故こんな緊張するのか、
意味もわからず深呼吸を3度ほど]
イルマが無事に帰って来てくれれば、それで。
[疑われていた理由は分からずとも、
何故か厳しい噂まで流れていた始末なので。
それに嗅ぎ付けられないように、と、
元凶を知らないまま心配の言葉を吐き出して笑う。
家族になるんだろ、と最後に小声でいい添えて]*
[背中を拭いていれば広いなと感じた。
普段は患者さんを相手にしているし。
こうやって拭いてあげるのは老人が多いから。
こんなに健康な肌に触れる事は少ない。
ずっとここに閉じ込めていたら。
きっとこの背中も痩せ細ってしまうだろう。
動かない人間というものは弱っていくから。
一緒に衰えて死んでいくのならいい。
そう思っていたけどそれは望まれていない。
ならば私も彼も共に生きる道。
それを探さないといけないわけで。]
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