人狼議事


158 Anotherday for "wolves"

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[―――…どうして…と、]

[サイラスが、
クラリッサが、
ベネットが、]

[裏手に居た者たちが口々に繰り返す。
その言葉に、
獣の姿から戻ろうとしない男は
低く唸るだけで口を閉ざし続けている。]


[―――…どうして…、]

(本当は、夜に逃げだすつもりだったんだ。)
(でも火事が起きてしまった。)
(消火活動でみんな起きているから逃げれなかった。)


[―――…どうして…、]

(森の中を抜けれないかも考えたんだ。)
(けれども罠が張り巡らされてることを知った。)
(これじゃあ、村から出ても死んでしまう。)


[―――…どうして…、]

(どこにももう逃げられる場所はなかったんだ。)
(なら、逃げられるようにするしかなかった。)
(彼女を疑うかもしれない人達を、
 1人ずつ仕留めていくことしか思い浮かばなかった。)


[―――…どうして…、]

(失敗したから話さないんだ。)
(だって人の姿に戻ったら…、)
(喋らなくてはならなくなったら、)

(掟破りを不問にされたら…、)


[―――…どうして…、]

(俺には教えてくれたんだ。)
(あの時、泣きながら。)
("本当のこと"を明かしてくれた。)

(大事だよ…、だから。)
(守らなきゃ――――**)


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─ ???・闇に沈む木の下で ─

[彼に背を向けるのは、怖いからだ。臆病だからだ。
なけなしの勇気は、彼の姿を見た時点で底をついてしまった。
彼をこんな姿にしたのは、
こんな死に方をさせてしまった切欠をつくったのは自分。

熱かっただろう、痛かっただろう。
苦しかっただろう。

…───彼に負わせてしまった苦痛、
そしてあの子らに負わせた罪の、いわば体現がここにあるのだ]



 ……………、


[名を呼ばれても、振り向けなかった。
けれど足が動くこともなかった。未練だ。
恐怖が旧い友に背を向けさせ、未練が足を止めさせる。
なんて様だ。これじゃあ、何も変わらない]


……、どうして、君は、

[どうして。
どうして彼は、こんなにも強く優しく在れるのだろう。
柔らかな口調が、向ける気遣いだったことは分かってる。

何故?どうしてそんな気遣いが、彼は出来るのか。
自分のほうが辛かっただろうなんて。


 ( …───そうか、生前もそうだった。 )


時折ちらりと向く視線に、
妻の墓に無言で手向け続けられてきた花束に。
友の優しさを、気遣いを、後悔を自分は確かに感じていて、
だからこそ……より一層つらかったのに]


[…ああ、そうだった。
ひとつ、思い出したように幽霊は開いた喉を掴んで小さく俯く。
八年前のあの日なくしたのは、愛しい妻だけではなかったと。
なくしてしまったもうひとつの大切なもの、




       ─── 大切な友をも、なくしてしまったのだと]
 


 っ、

[とん、とん、と。
暖かな手が、後ろから肩を叩いて撫でる
それに息が詰まった]


  っ、〜〜〜…っ

[胸の奥から啜り上げる衝動が来て、肩が震える。
口が、必要のなくなったはずの息を吸い込んだ。
ぱたりぱたりと落ちる、それは喉からの血ではなく透明な、




                 … 涙が 。 ]


うっ……、

            っ…  〜〜っ、


[俯いたまま啜り上げる、その喉から空気の漏れることはない。
影が生前の姿を少し取り戻すように、
幽霊もまた、自ら流す涙に現れるように昔の姿を戻しつつある。

それは生前の姿に少し似て、
けれどほんの僅かに違うようだった。

八年前。
友を友と呼べた頃の姿を、男はゆるやかに戻しつつある]


[こんなに泣いたも久しぶり、…八年ぶりだ。
けれど今度の涙はあの頃とは違い、
涙が何かを押し流してくれるかのようだった。

尤も八年積もった澱は重たくて、
そう簡単に消え去るものか分かりはしないが]



 …………───、

[振り返り、有無を言わさず彼の肩を抱きこんだ。
肩口に額を預ける形で、がしりと肩に腕を回す。
昔、ふざけて内緒話をした時と同じ形で]


     … スティーヴ、


[くぐもった声が、彼の愛称を呼ぶ。
それは多分、昔の響きに良く似ているようで、
八年の歳月の分、昔とは少し違っているのだけれども]


  ───…ごめん、

[再び繰り返す。そして]


[彼にだけ響く音量でもうひとつを囁いた。
風がさやかに、かつて共に登った木の梢を揺らしている。
その木の下、涙は暫く止みそうに*なかった*]


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─???・闇に沈む木の下─

([雨の音が聞こえる])
[温度の感じられない背中を何度も撫で、
溢れるような友の嗚咽を聞いていた]

 っ、

[目を見開いた。
昔、内緒話をした時と同じように
肩を抱き込まれて、
肩口に額を押し付けられる。
懐かしい感覚だと思った。]



  なんだい、ルパート。

[静かに囁くように、呼び声に応える。
口調自体は昔、彼に向けたものと変わらぬ、
柔らかいもののまま。

繰り返される「ごめん」。
もう、いいのに、と目を伏せた。
それから]


 
   …………っ。
   ………。

[黙って息を吐き、
そっとルパートの背に手を添えた。]

[誰かの涙を拭う役目は医者の領分ではない]

[別にこうして許されたかったわけでもない。

何より彼を彼の家族を悲しませ、
孤独に立たせた
自分自身が許せなかったから、
恨みも、怒りも、焼かれる痛みさえ──。]

( ……それでも、
   まだ僕は僕を許せはしないが。)


[まだ村では悲しみが巻き起こり
ルパートも己も、それを見続ける限り悲しみからは逃れ得ない。──それでも]

( この…僕らの生が終わってしまった後でも、

 君を友と呼ぶことくらいは、
 許されるのだろうか。)


[──かつて共に野を駆け、馬鹿騒ぎをし、笑った旧友よ。]


[何度も彼の背を撫で肩口に涙を受けながら
静かに揺れる木を仰ぎ、真っ暗な天の下、
せりあがる苦さを一つ飲み干した。*]


[ルパートの涙が枯れる頃。
とんとんと再度背を叩き、
泣きはらした顔を見た。
何かを考えるよう眉根に皺が入ったのは一瞬]

……しかし、まあ。

( [少し若くなった彼の姿を見ている] )

 ───……白髪が増えてたなあ、君は。
 くくっ。

[そう言って、
 鳶色の目を(どこか窺うように)見ては
  けらり、意地の悪い笑みを浮かべた。
どこかへ、蒲公英の綿毛が飛んでいく。]


([頬に一筋だけ伝った雫は、
 暗闇のせいで見えないことを願った]**)


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ああ、

[やがて涙が枯れると、ひとつ心の痞えが下りた気がして、
ただ、冷静さが戻るとどうも若干の居心地の悪さがあるのは、
致し方のないことか。
…幾ら姿が多少変わろうとも、中身まで若返るわけじゃない]


 ……、悪い。

[それに幾らこうしたところで過去が消えるはずもなく、
彼に自分を殺させた事実は変わりはしないし、
彼に苦しみを味あわせ続けた事実にも変わりはしないが]


スティーヴ…、

[ぐ。と、彼の肩を手で押し少し遠ざけ、友の顔を見る。
しみじみと見れば、何だか久しぶりだなと思った。
きちんとこの顔を正面から見るなんて、いつぶりだろう]

君はやっぱり、

[言いかけた言葉を意地の悪い笑みが遮る
けらりと韜晦するかの笑みに、頬が上がった。
手を当てていた肩を、──こん。と、一度小突いてやる]


         ( … ひとがいいなあ。 )


[口に出せば、何を言われるか分からない感想を裡に置き。
窺うように向いた琥珀に、にやと笑みを向けてやる。
かつて向けたと同じようにして]







   …─── 薄く、なったなあ。

[一瞬の眉間の皺には沈黙を置き、音にしたのは別のこと。
仕返しとばかり、若干危うい生え際にちらり目を向けて]


 ─────…、

[ぱしん。と、軽く旧い友の肩を叩いた。
月にきらりと光った雫は見ないフリしてやって、
遠く、闇の空を*振り仰いだ*]


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―― 四日目/宿屋裏手 ――

[ 歩く必要すらないと識ったのは、
 ほんのすこうし前のこと。
 だいじなだいじな友達の、暗闇を裂く悲鳴
 わたしはいつもの勝手口へと風を切る。

 サイラスの声、クラリッサの悲鳴、獣の息遣い。]

  メアリー!? クラリッサ!  …サイラス!

[襲われているのは誰なのか、打たぬ臓が凍るようで

聞いたことも無いような悲痛な声で取り乱す彼女
地を蹴る足音の数が変わり、増えるおと

 ……グレッグ……! メアリー、やめて!!!

あの仲の良い兄妹が、そんな。
さわりと背筋を撫でる寒気に軽いほうの足音へ手を伸ばせば、ふわりと香るアネモネ。]



[ わたしの腕を風のようにすり抜けていくメアリーと
 地面に倒れ、躰を潰され 不自然に歪む呼吸音。
 このまま骨の折れる音が聞こえてしまうのだろうかと
 わたしは震える右手を 朱い糸ごと上から押さえた。

 けれど続いたのは、重苦しい呻き
 周囲皆敵だと言わんばかりの聞いたこともない声]

    メアリー………、殺すだなんて……。

[ わたしのしらない、メアリー。
 お父さんを喪って、村中から疑われて、
 すっかり変わってしまった  ……ともだち。
 ずきずきと痛んだ、胸のなか。

 静かだけれど力のこもった声がそれに応えて]
 


[ ―― ぞわりと湧く恐怖。

 サイラスが、メアリーを殺す。 メアリーが、サイラスを殺す。
 考えただけで思考は止まってしまいそうになるけれど]

   ありえないことじゃ  …、ない……。

[ 市長さんのお葬式で、いちばん泣いてた奥様が
 わたしの父を縊り殺して 嗤っていたのを知っているから。

 優しいひとほど、いとも簡単に歪んでしまうんだ。]

   サイラス………、 メアリー……グレッグ。
   どうか、じぶんを大切にして。

   …… 壊れてしまわないように。

[優しい言葉と、厳しいことばを抱き寄せて
背中を包もうにも、触れられぬ今となっては
たいせつな彼の背の位置すら おぼろげで  ]



[ 集会の日、背後に感じた焔を思い出して、
 ひどく身勝手に 誰かの上にも奇跡が降るのを願いながら
 わたしはひとつの祈りを自分に課す。


   せめて わたしは変わらずに。

   誰の手が 誰の血で染まろうと、
   "いつも"のまんまで在るのだと。


 刻はいつか。 

 どこか冷えた風と雁が啼く空を仰いで
 決意だけを 祈った。 **]
 


[鳶色、今は赤い目がこちらをしみじみと見た。]
[内心恐る恐る投げかけた冗談に
上がる口の端に、ほっとするのも束の間]

 、

[ 琥珀色を見開いて、それから、
ルパートの視線が向いた先を察する。
昔と変わらない冗談の応酬が返って来て
頬にわずか緊張が走る。]

(――煩い、馬鹿)

[何かを言いかけたところ 
ぱしん、と肩を叩かれ閉口した。]

  〜〜〜っ


  …………無くなる前に死んでよかったかもなあ、

[ふと笑みを零して、(そっと生え際を気にした)
(見ないフリされたものに関しては、
自分も見ないフリをして)
遠く空を振り仰ぐ友の視線の先を追う。

塗り潰したような夜空に、転々と穴穿つように
瞬く星々と、煌々と照る月。
いつか見上げたものと同じ空がそこにある。
彷徨う亡霊を導く事はけして無い。]

 ――………………。

[ざらら、と風が地を撫でていく。
肩に置かれた皺だらけの掌に触れて、
そっと降ろさせた。]

[ 暫く、黙っていた。]



( 君が本当は、人を、族長を殺したのかどうか
  知らない。何も知らない。 )

[宿屋の一室であんな反応をしたのだから、
きっと何かしら、知ってはいるのだろう。
そうは思うが、具体的に聞く気にはなれない。]

[おもむろに口を開く]

 ……。
 この騒動の犯人はさ、
 何を変えようとしているんだろうなあ。

[人を殺し、族長を弑し、同族を傷つけ
すべては彼らが昨日と違う今日を求めた結果。

そうしなければ求められず
そうしなければ変えられなかったもの。
それは、なんなのだろう。]


 これ以上湿っぽくてもカビるだけな気がするが
 見届けなきゃあならんのだろうと―― 

 ……そう、思ってさ。

[一歩、また一歩
森から村へと踏み出せば
生前の姿を辛うじて保ちながらも、時折その形は暗く翳る。

男は振り返り、
琥珀色の目をゆるく撓めて、ルパートを見る。]


 君はどうする。

[グレッグの事も、メアリーが疑われていた事も、
特には知らない。
それでも、遺された彼の家族にとって
今が苦しいだろうということは想像に難くない。
それをルパートが見れば苦しむだろうな、という事も。

見ないままでいる選択肢もある。
問いを投げかける双眸は、只管に凪いでいる。**]


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―未明・宿屋裏手―
[―――――――…、]

 ……うん、そうしようかな…。
 ここ、何日か…ちゃんと眠れてなかったんだ。

[その呟きは、サイラスの傍から。
彼へ向けて、誰にも聞こえない場所へ、消える。
骸となった狼と、手を下した青年。
そのすぐ隣に、人の型をした男は佇んでいた。]


[月明かりの下で隠れたサイラスの顔。
そのサイラスの表情に、
男は少し困ったように眉を下げて。]

 ――…泣くなよ、サイラス。
 …それが、自分の為なら止めないけどさ。

[血に混じり落ちていく涙は誰の為のものだろう。
もう戻らぬ彼女を想ってか、
それとも同胞に手を掛けてしまった自分の為か、]

 ……頼むからさ、
 俺の為には、泣かないでよ…サイラス。
 …俺は…クラリッサをあのまま殺せていたらさ、
 多分次は、サイラス…お前を狙ってたんだ。

[眠らされた為かほとんど苦しむことはなかった。
禁忌をおかして村の均衡を更に揺るがした人狼に
与えられた死は、どこまでも優しい方法で。]





 ……ほんと。
 人が好くて―――――…お節介だよね。



[隙あらば今にも襲わんと。
獣の型を取り続けていたあの時ですら、
この男は此方の怪我を気にかけていたのだ。
苦笑交じりに呟いて狼の骸を担いでいく姿を見送った。]


[まだ意識を戻さぬメアリーの姿に視線を移して、
目を細め、けれども男は今はそれ以上言葉を紡がない。

望まない、と"彼女"は言った。
望んだのは、"男"だった。

誰でもない、自分の為に選んだ。その結末。
男の死を知るその時、"彼女"は何を思うだろう…。

従妹が意識を取り戻すよりも先、
男の姿は静かに闇の中へと溶けて行く。]


[先程まで、"自分"の居た場所。
貫かれて地面に広がったままの血、その赤。
夜の色の中に赤は黒ずんでそこに在る。]

[赤い、色。]

(―――…一番似合っていた、ワンピース。)

[あかい、色。]

(―――…憧れの背、その人の髪。)

[紅い、色。]

(―――…たくさんの星が瞬く、自分だけが知る空。**)

 


なんだ、気にしてたのかい。

[髪の話題には、くっと噴きだすように小さく笑い。
わざとらしく、ちらと視線を上へとあげた。
琥珀がじろりと睨み来れば、
笑み含んだ赤い鳶の瞳を涼しい顔で逸らして。

そうして闇に光る白い月、
やたらと生前のまま映る景色を眺めながら口を閉ざした。
素直に綺麗だなと思う。
今更、あの空に手を伸ばし救いを求める気もありはしないが]


[沈黙。互いに互いの思いで暗い空を眺めていた。
心はこれまでになく凪いでいる。
一度、彼の肩に置いていた手に手を触れられて、
その時ちらりと彼の横顔へと目を向けた。

生前と、昔と代わらず真摯に映るその横顔に目を細める。
八年前のキャサリンのこと、自分のこと。

結局まだ気にしているのだろうと、
死ぬまで──…死んでいるが、
消えるまで気にしているのじゃないかとすら思う。
…薄くなりつつあった、髪と同じに]


[沈黙を破る声があった。
問いならぬ問いに、再びちらと目を向ける。
視線が交わることはなかった。
だから男も、また空を仰ぎながら言葉を落とす]


  …───、さあ 、なあ…。


[返す声色は少し茫洋として、
あの空の星への距離を問われたかのように、
少し、想像を広げるかの間を置いた]


………けど、




                …… けど、……

[躊躇うように、少し沈黙は落ち]


…なあ。
我らには…この村の人狼族には。
少しでも、ほんの少しでも、
あの子らの声を聞く余地はなかっただろうか。
同胞の声を聞く余地はなかったろうか。
同族を罰する殺すという前に。


    …───少しでも声を聞いて貰えたなら、

[或いは、と。
顔は空へ向けたまま、自らに重ね合わせるように呟いた。
自分とて、妻が助けられるなら同じことをした。
同じことをして、逃げ場を失えばさて…どうしたことか]


 …。 私は、彼らを助けたかったよ。


[あの子らと呼び、彼らと呼ぶ。
犯人とも裏切り者とも呼ばれる者らと、
心通じていたこと隠す気は元よりなく。

少し、間が途切れる。
躊躇うように傍らを見、ゆるく口を開いた]


         …… ”犯人”と呼ばれる者が、
            私だけで済めば良かったのだが。

[そう願っていたと低く零して]


だから僕は、とうに心で裏切っていたんだよ。
族長の意に抗ったのは、確かにこの私だ。
同族を殺したいと思ったことはなかったが、…

[見殺しにしたことはあるとまでは言わず、口を閉ざした。
己が手を汚したと、思われるならそれで良いのだ。
村医者は何も間違えたことはしていない。
問われずあるならば、だからそれ以上を語ることもまたなく]


ああ。行くよ。
何も出来なくとも──…

[傍にいてもいいですよね、と。
やさしい少女の声が、ふと脳裏を過ぎる。
その面影にゆっくりと瞬いて、そして小さく首を振る。
そうじゃない。自分はそれ程綺麗なものではなくて]


 … あの子らの、傍に居たいんだ。

[己の我侭な狂気の末路、その末を。
見届けることを選び、男もまた森から足を*踏み出した*]


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― 4日目 投票 ―

[粛清を決める投票に、全員が集まるはずの集会場。
わたしは足音、声を何度も確認して、ようやく。

居るはずのひとが居ないことに気付くんだ。]

  …………せんせ…?

[さあ、と風が砂塵を巻き上げて 揺れぬ黒髪を通り過ぎ
吹き抜けた先は通い慣れた診療所。

そんなわたしの揺らめく心を嘲笑うかのように
箱は静かに今日の死者の名前を吐き出した。

  ――グレッグ・シーボル

彼への死の宣告と同時に決まった メアリーの孤独。
いっそ予告なしに奪われた方がましなのではと思う位に
決められた未来は、夜の帳と共に落ちていった。]


[ (もしかしたら、具合が悪いだとか)
 (誰かが大怪我をして忙しいだとか)
 (そうよ、だって大火事があったんだもの)
 (きっと忙しくって来られないんだ) ]

  そう、よね。  きっと そう。

[手首の絹がはらりと緩み、手を下げれば落ちてしまうほど。
さら、さらと揺れた束を撫でれば ひとつ正緒を吐き出して
風に揺られて何処かへ伸びる。
手繰っても 手繰っても 終わりのない細い生糸。]

   グレッグ……。  (サイラス…。)

[父からも 兄からも 遺されるあの子の叫びが
耳の裏に響いて離れない。
――サイラスは”終わったら”あそこへ来るだろうから
わたしは彼が選んだ責務に目を細めて 背を送る。

 ( どうか、彼と彼が 安らかであるように ) ]



  グレッグ、   また、ね。

[ ルパートさんに ”会えた” から
 これから世界に別れを告げる彼へ、わたしだけは

 再会を願うことばを餞に。

 ざわり、木々が揺れ 闇が迫るは金の獣ふたりの背。
 かたどる闇へは音もなく、サイラスへは

 ( いってらっしゃい ) 

 還りを願うことばを礎に。 


死が流れてくる毎日が、確実に生者を蝕んでゆくけれど
皆それぞれの「ただしいこと」は、意味を持って牙を剥く。
願わくは皆、それを守ったまま 逝けますようにと
集会場から散る足音達へ、願った。]


[変わらず揺れる 微かな朱い絹糸は
わたしの指間でするりと擦れて 風に乗る。

ひとつ、腕にまきつけて
ゆるりと足を運びながら

導かれたのは、宵の深まる月降りた墓地。
サイラスが ”終わったら” 
きっと訪れるだろうと思っていた場所。

手繰る糸が途切れた先は、ほうやりひかる紫の色

あの日>>1:=7視た  紫苑――。]

  こんな夜更けに、お墓参りですか? …せんせい。

[返事が返らぬのは当然のこと。そう諦めながら
わたしは土の上の物言わぬ花へ、話しかけていた **]


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─ 4日目・宿屋裏手 ─

[暗い森をスティーブンと抜けて後、
男の姿は、淡く生前の姿を模した形で見慣れた宿の傍にある。
裂かれた喉から滴っていた血は、今は止まっている。

ただ、男の輪郭は淡々としたまま、
短い間昔日の姿を戻していた頭髪も再び白く薄くなっている。
どうやら、この場に在るにはそれが相応しいようだった。
心を映すということなのだろう]

メアリー、…グレッグ。

[村に入った男が真っ先に探したのは、この二人だ。
もっとも気がかりな名を求め、生前の我が家へ向かう。
そこには幾つかの人の気配があるようだった。
ゆらり、幽霊はそちらへと漂う]


グレッグ………!?

[そこで目にしたものは、
獣の姿でクラリッサに襲い掛かる甥の姿だ
それに、男は信じられないといった様子で目を見開いた。

愛娘の悲鳴が響く
咄嗟に、甥に向かって腕を伸ばした]



            ────…グレッグ!


[必死に伸ばした腕も指先も、彼を通り抜けて行く。
分かっている。
分かっていて尚、手を伸ばさずにはいられなかった。

すり抜けると同時、耳が彼の唸りを間近に聞いた。
甥の瞳を、そこだけは姿変わっても変わらぬものを間近に見る。
必死に、懸命な目をその場に見た]


              ( …ああ、)


[その瞬間、分かったと思った。
この”息子”の想いを、確かに聞いたと思った]


やめろ、グレッグ…!

[それでも尚、訴えてしまうのは、
彼もまた”大切なもの”であったから。
大切な家族、かわいい子どもであったから]



  やめろ………!


[彼の耳に訴えが届くことはない。
獣の低い悲鳴、そして衝撃があって振り返った。
小さな狼が、グレッグの足に噛り付いている

娘だった。
必死に彼を引き止めようとする姿に、男の顔が歪んだ。
大切なもの。大切な子どもたち。
二人を、二人とも守ってやりたかったのに]


[顔を上げれば、立ち竦む娘の姿が見えている
先に言葉交わした彼女に今は声を掛けることなく、
ただ視線が交わる一瞬に、男の顔はくしゃりと歪む]

 グレッグ…!

[サイラスの足が、甥の首目掛けて蹴り込まれた
庇っても、邪魔のしようはなかった。
男の蹴りは何の抵抗もなく、狼の首元に突き刺さる。
痛みを受ける顔で、鋭い獣の悲鳴を近く聞く]



…──お前は、

[どうして。を、男は紡がない。
そんなことは痛いほどに分かっていた。
彼がこのようなことをする理由は一つしか浮かばない]


っ、ばかな……

[俯いて、それ以上の言葉は出なかった。
ベネットの、サイラスの声が聞こえる。
グレッグがサイラスの下に押さえつけられる。

やめてくれと叫びだしたかった。
実体があるならば、彼を殴り倒してでも甥を逃がしたかった。
彼らは決して見逃しはしないだろう。


 ”怪しきは罰せよ”と。


自らの例を引くまでもなく、投票を始めた時──いや、
族長が教会に皆を集めた時から、決まっていたのだから]


グレッグ、

[獣姿を解こうとしない甥の傍らに幽霊が座り込む。
サイラスを突き飛ばし駆け来た娘に目を向けた]

メアリー、

[必死に敵意を剥き出す娘の姿に、辛い表情で眉が寄る]


 二人とも………

               ( … すまない。 )


[守ってやれない子どもたちに頭を垂れ、
共に抱き寄せるように一瞬二人へと額を寄せて]


[そうして、無残に連れて行かれる甥を見送るのだ。
それを止める力は、命を落とした男にはない。

愚かしい話じゃないか。
結局、旧い友を苦しめその手を汚させ我侭に、
けれど少しは彼らの守りの為にと死を望んだ先がこの有様だ。

とはいえ仮に生きてこの場にいたとしても、
恐らくグレッグに加勢しただろうなという程度で、
たかが一人一匹の力で抗ったとて、何も変わらなかったかも知れないけれど]


[甥の命が奪われる場に、男は立ち会うことはしなかった。
その代わりに、彼が傍に居れない代わりに、
意識を失い地に崩れ落ちた娘の傍に寄り添った。

大丈夫と言ってやる声も、撫でる手も持たないけど。
涙で濡れた頬を見つめて傍らに居た]


 …────、


[命のまたひとつ消える気配
それを命なき者の鋭敏さで感じて、男は顔を持ち上げる。
遠く虚空に人狼の、音なき悲痛な声が*木霊する*]


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[からかわれたので、じろりと睨んでやった。
父の晩年を思い出した。
輝かしい光を頭に頂いていた。
ああなる前に死んでよかったと少し思った。

月は煌々と照っている。
残酷なまでに生前と同じく美しい月が。]

 ───。

[語られる言葉に静かに耳を傾けている。
「あの子らの声を聞く余地は
なかっただろうか」……そう言われて、
空を見ながら考える。

「過ちは一族の手で正さねばならない」
そういう前に話を聞くべきだっただろうか。]


…わからない。

[見えぬSOSに手は差し伸べられなかった。

水平を保っていた両の天秤で
生ぬるさの中、気づけなかったことに
ルパートは気づいていたのだろうか。

向けられた視線に、ゆっくりとそちらを見る。

昔と変わらぬ柔らかい口調と、
年長者としての
少し固い口調が混ざり合っているようだ。

助けたかったという言葉は本当なのだろう。
同族を殺したいと思ったことがないというのも
彼の口ぶりから、実行犯ではなく理解者だったのだろうかというのも]


(──……君は、
わかってて、あんな、)

[誤解させるような言葉の意図を理解して
苦いものを飲み込んだ。
馬鹿、という言葉は内心に留めておく。]

 ……そうかい。

 僕は──。

[言葉を止める。首を振る。

死んだ人間の娘を思って絞り出された嗚咽に
何より突き動かされていた。
あれは悪手だったのか。
手負いの獣を更に追い詰めることだったのか。
そもそも───……。

今となっては、考えても詮無きことだ。]



[どうすると問いかけた。
行くよ、と彼は答えた。
ルパートが足を踏み出すのを見て、
男もこくりと頷く。

──ざあ、という風を頬に受けながら
村の方へ歩き出した。*]


─有漏路にて─


投票箱は無慈悲に今日の処刑者を選び出す。
村の何処かで、グレッグが掟を破ったこと
クラリッサのまじないのことを聞いた。

二十数年前に村の外れに移り住んだ女。
彼女の孫だから力を持っていたのだろうか。

……グレッグは、あの聡くも優しい青年は
何故、と考えて思考は止まる。

わかるのは、ルパートは
悲しむだろうということと
メアリーが──あの少女は
とうとう孤独になるのだということ、だけ。]


(……いつまで続くんだろうな)

[少なくとも原因の一端を担う男が
小さくため息をつけば、
夜に溶けていくように姿が翳る。
ふわりと揺れるのは耳か煙か、]

([懐かしい呼び声がした])

[そちらに向かえば、殺伐とした盛り土の上
月影に照らされては闇に浮き上がるようにして、
色とりどりの花が揺れている。]


[紫苑の花の前に、
薄桃色の薔薇のような少女が立っていた。
幸せになるのを見守りたかった、
患者であり娘のような存在が。]


  ……君こそ、こんな時間に。

[危ないだろう、とは口にしなかった。
目の前の娘の身を案ずる資格ももはや無く
霜天のように冷えた心と目で、
漆黒の髪が花弁の如く揺れるを見ている。**]


メモを貼った。


メモを貼った。


[ひかりが在るのは目の前なのに
はたしかに背後から、夜風に乗って耳を撫でる。

 そもそも「彼ら」の声は、聞こえはすれど
 「こちら」の姿は見えぬもの。
 「こちら」の叫びも聞こえぬもの。

ルパートと、わたしと
さっき宿屋の裏手で嫌というほど思い知ってきたものだから
そのおとが、こえが、あの日と同じでなかったのなら
わたしはきっと、場に居ぬ3人目を疑っただろうに。]


  …………せんせ。


[声の主を呼ぶ名に乗ったのは疑問符ではなくて

落胆と、寂寥と、懐古と、悲哀と、   …安堵。]
 



[背後へ振り向きながら
小さな左手は、右に絡んだ糸に触れるが
緩んでいたのは嘘のように帯のすがたを取っている。]

  ここからね、ここに来いって糸が伸びていたの。

[ さらり、手首を撫でて指し示し
彼のほうへ向けようとして また戸惑う。

あの日は確かに視えたのに、
いま目の前の「せんせい」に光は無く
別け隔てなく染められた黒があるばかり。

わたしのいちばん見慣れた景色ではあるけれど

ふ、と。口から零れたのは小さな心配。]
 



  ……寂しくなかったですか。

[彼が何故、どうして死んだか問う気は無いけれど
全てを取り上げられ「こちら側」に来てからの事を案ずる。

一歩、 闇に近づく足は土を踏み
伸ばす腕は、声との距離を確かめるためのもの。

その先にあるのは闇のような霧か、
あの日と同じく握られた拳か。

触れられなかったとしても、やはり何も聞かずに]

  せんせ。今日は、誰のお墓まいり?

[問いながらも、なんとなく。
傾けた顔をルパートが眠る場所へと *向けた*]
 


メモを貼った。


―幼い頃の話―
[幼い頃の話。
従妹が3歳になり歩くのが上手くなってきた頃の話。
叔父と叔母には内緒で、少年は歳の離れた従妹を
村の傍の河原へと連れていったことがある。

川は絶対に危ないから行ってはダメと、
叔母にきつく言われていたのだけれども。

兄貴分の幼馴染に連いて回った遊んだ
河原の記憶はとても楽しいものだったし
何より自分がついているのだから危なくない。
水の冷たさにキャッキャと笑ってはしゃぐ従妹、
その姿を見てやっぱり連れてきてよかったと思った。

その直ぐ後だった。
従妹が、足をすべらせて川に流されたのは。]


[血の気が引いて、慌てて従妹の元へと駆ける。
幸運なことに、
従妹はすぐ傍にあった岩に引っ掛かり、
擦り剥いただけで溺れて流されていく事はなかった。

岸まで従妹を抱え上げて降ろして
驚きと、こわさと、擦り剥いた傷のいたみに
泣き始めるびしょ濡れな従妹を必死に慰める。

『ごめん。メアリー、本当にごめん。』

ドナルドが案内してくれた時は上手く行ったのに。
少年がやったら失敗してしまった。
岩がなければメアリーは流されていたかもしれない。
その事実に気付いて、ぞっとして。]


[叔母の言いつけの意味がようやくわかる。

叔父と叔母がどれだけ従妹のことを大切にしてるか、
体の弱い叔母がやっと授かった小さな宝物のこと、
家族のことを少年は傍でずっと見てきたから。

少年の失敗で、
その宝物が喪われてしまっていたかもしれない、
そう思うと――――…

『おにいちゃん、おにいちゃん、』

しゃくりながら、たどたどしい口調で、
幼い従妹が小さな小さな手を伸ばす。
頬に触れる小さな手は、温かくて、生きていた。
気付けば少年も泣いていて、
メアリーと2人涙が枯れるまでわんわんと泣いた。]


[その後、
従妹と共に宿屋の裏にこっそりと戻って。
河原に行ったことがばれないように、
井戸の水を2人で頭から被った。

新しい遊びに喜ぶ従妹と、
そんな遊びを教えちゃダメと叱る叔母。

叔父は子供2人の真っ赤になった目に
気付いていたようだけれども、
あの後叱られたのか問われないまま終わったのか。

その部分だけ、
記憶は都合よく 切り抜かれている。**]


メモを貼った。


[呼び声は生前と変わらない。
いや、その音には生前とは違う
様々な感情の色が込められていただろうか。

男は、静かに乙女が此方に振り向くのを見た。
右手に煌めく糸の意味は知らず。
指先が辿る道筋は彼女の手首から此方へと向き
戸惑うように宙で止まった。

形をとりもどしてはいたものの、
ルパートの喉は殺した時と同じく抉れてしまっていた。
今、焼き尽くされた自分の体は
どのように見えているのだろう。]


 ……糸、か。

[外して、託した赤い宝石があった場所に
自分で触れた。
続いた問いには、小さく「大丈夫さ」と添えた]

 皆が僕の事を死んだ死んだといいながら…
 深刻そうな顔をするのは、 ……目の前にいるのに
 随分と、滑稽だった それだけさ。

 君こそ。寂しかっただろう。

[小さく笑う。声には寂寥が滲んでいる。
マーゴットを見下ろす。
この歳で世界と切り離される。
それがどれほど残酷な事か判らぬ筈はなく。
一歩踏み出す彼女の、伸ばされる腕の先、
触れようする白いもみじを拒むことは無い。]


[掌の先にあったのは、
やはりあの日と同じく固く握られた拳。
(そこに温度はないけれど)
そっと開いて、ルパートが眠る場所を向く
マーゴットの頭を徐に撫でた。]

 ……死んだ皆の、
 いや。 今日はお墓参りじゃあないな……

[何せ死んでいるのは僕なんだから、と笑う。
それから、 ぽつり ]

 君の声がした気が してさ ここに来た。

 …………守れなかったな。
 すまない。マーゴット。

[声は繋がっていた筈なのに、助けられなかった。
君にもサイラスにも辛い思いをさせたと、
彼女の頭を撫でて、懺悔のような言葉を一つ零した*]


メモを貼った。


―自宅―

[くあ、と間抜けた声を上げて身体を起こす。
 ぽっかりと胸に空いた穴、足りない臓器。]

 あーあ、また死んだよ。
 今度は心臓かあ。

[寝ぐせのついた髪をわしと撫でてから、
 普段通り起き上がる。
 そういえばサイラスに貸したままの布が戻っていない、
 暫くはこの風穴も開けっ放しになってしまうだろう。]

 兄さん、何年ぶり?

[傍らの獣に話しかけると直ぐに返事が聞こえた。]

 『15年か、そこらだ』

[そっか、と亡霊は軽い調子で笑った。]


 交代する?兄さんなら人の方でもモテそうだよ。

[あんなに少女達に囲まれてちやほやされていたのが
 実は40手前のオッサンだなんて知ったらどんな顔になるのか。
 想像するだけで笑いが、こみ上げて、どうしようもない。
 この村では兄さんの顔なんて誰も覚えては居ないだろうけど。]

 『面倒だからいい』

 なーんだ。

[屈んで獣の頬を両手で挟む。
 そのままわしゃわしゃと黒い被毛を撫で回した。
 少し固い感触があって、それから胸の穴に鼻先を突っ込まれる。]

 兄さん、汚れるよ?

[問いかけても獣は気にせず内側を舐めた。
 暫くぴちゃぴちゃと、体内を舐めまわす音だけが部屋に響く。
 こんなことされてもぶちまけた汚れは落ちないのに。]


[手持ち無沙汰になったので、
 獣の尖る耳を引っ張ったり噛んでみたり。
 毛繕いの真似事をしていたのだけど。]

 兄さん、ちょっと、くすぐったい。

 『知らん』

[骨を舐められる感触も、まだ動いている臓器も。
 ぞわぞわと言葉には出来ない、妙な感覚に襲われる。
 それなのに獣はやめてくれないから、
 諦めてベッドの上に寝転んで好きにさせることにした。]


 兄さんに食われてるみたい。おいしい?


 『……あまり』

 ひどい!

[散々舐めまわして満足した獣が顔を上げる頃には
 黒い中に赤が混じる様にべったりこびりついて。]

 水浴びしに行こうか。
 ひどい顔してる。

[悲しんでるの?なんて茶化したら、
 せっかく無事だった肺をがぶっとされた。痛いよね。

 それから気を取り直して、いつも通り二人で出かける。*]


メモを貼った。


[ひとりにしたくないと思っていた従妹と、
ひとりにしたくないと思っていた幼馴染。

2人が共にいるその場所、届かない場所に
霊体となった男の姿もまた在った。]


 ……ラーラ……?

 …何してるんだ…、


[ぽつり、と。
目の前の光景を信じがたいと言わん呟きが落ちる。

霊体の男の瞳に映るのは、
怯えるメアリーの弱りきった姿と、
その姿に微笑むラディスラヴァの姿。]


[幼き日を共に過ごした幼馴染の、
声無き声で紡ぐ其れを、
彼女の言わんとすることを、
男はいつだって知っているつもりだった。

―――…わかっているつもりだった。

だからこそ今目の前にするラディスラヴァの姿に、
通る声でメアリーへと向けるその紅い瞳の笑みに、
言葉を失くしてただただ幼馴染を見つめる。

生前彼女に言った言葉が過る。
メアリーの傍にいてあげて欲しいと。]


[それはこのような光景を思ってのものではなかった。
"彼女が今からやろうとしていること"に、
緩く、首を横に振って名前を呼ぶ。]

 …ラーラ、
 ダメだ。

[声は、届かない。]

 こんなこと…
 しようとするのは、やめるんだ…。

[手を伸ばしてももう、
幼馴染の手を引き、止めることも叶わない。

メアリーへと微笑み告げるラディスラヴァの声、
声無き幼馴染を理解できていなかったのか。
――――…ずっと、騙されていたのか。]



 ……こんなこと、

[ラディスラヴァへ否定のかぶりを振っても
死者の声は届かず、手も届かず、
無情にも現実ばかりが刻を進めていく。]


 ―――…俺は…、っ


[その後は紡げず。
その場の行く末を見ることは耐えられないとばかりに
哀しげに表情を歪めて俯くと、男の姿は其処から消えた。**]


メモを貼った。


[ 「大丈夫さ」 って言うせんせの声
 なんだかとっても小さくて、さみしくて
 わたしは口元をきゅっと結んで、降り注ぐ声にわらいかける。

 相変わらずどこか皮肉っぽくて、諦めたような笑い声は
 「しめっぽいなあ」と思ったけれど。

 ( カビちゃいますよ )

 そう言うかわりに、手のある場所を伝い探して
 握られた拳ごと包み込む。

 ( わたしの手じゃぜんぜんおさまりきらないけれど ) ]

   ……さいしょはね。
   だあれもわたしを見てくれないのが、怖かった。
   けどもう寂しくないです。
   ……きっと、みんなどこかに居るから。

[ おとうさまとおかあさまも、何処かにいるかしら。と。 ]


[温度のない掌で覆っていた拳がふわりと動いて
それを追いかけようとした指は
髪を撫でる感触に ぴたりと止まる。

  なんでだろう。 どうしてだろう。
  死んだ誰かと話ができると知ってしまったからか
  いま、サイラスが彼を屠っていると知るからか

  ひどく曖昧になる 死の概念。

生前とさして変わらぬ白いまんまの指と指を小さく交わして
せんせに触れようとする 寂しがりやの手を互いに縛る。

  父も 母も あの街で喪った皆が もし。
  今もこんなふうに どこかに居るかもと思ったら
  ―――わたしは。 ]

    わたしは――

 



   「また」 ひとりで残るよりは ぜんぜん。
   いまのほうがいい。
   だって、呼んだらせんせが来てくれたのだもの。

[そんなことを言って。

くしゅっとした笑い顔と共に すまない。なんて言う
しめっぽいせんせの手が浮くくらいに 首を振る。

ほろりと零れた彼の名に、動かぬ臓が締め付けられて
つい慟哭の中に響いた声を思い出してしまうけれど

  サイラスはまだ、大丈夫。
  優しいまんまで居てくれるはずだから。

そんなしめっぽい自分とせんせを吹き飛ばすような
おおきな深呼吸をひとつして

 すう、ともひとつ胸を膨らませたのなら 森へ向き]


   せーーーーんせー!!!!

[闇夜に抜けるでっかい声は、死者の憂いの影もない。]

   …このくらいで叫んだら、次もせんせに届くかしら。

[薄ら白い少女の影はそう言って いたずらに、わらった。]
 



  ねえ、せんせ。 これは何色?

[暫し後、わたしはじぶんが知る時よりも増えた土山を
ひとつ ひとつと確かめ歩き
それぞれに捧げられた花達を撫でながら色を問う。

献花にしては裁ち揃えられていないままの紫苑は
一体誰からだろうとか。
ひとつ、毒が香る一輪に迷いなく触れれば
あの時鼻を掠めたアネモネが眼下に咲く。
手を斑に腫れさせた日は、どうしてこんなに遠いのだろう。]

  ……また、増えるね。

[たぶんもうすぐ。幾つになるかな、の問いは飲み込んで、
わたしは微かに目を開けた。

血に濡れた金の獣を背負った彼の足音が
聞こえてきたから。]



  ……………。

[ルパートと居た時と同じように
わたしは彼を避けるように、せんせの背後へと隠れ
背中に走るひどく大きな恐れを押し込める。

気づかないで、見えないで、生きていて  と
気が付いて、話して、またあの手を     と

どちらもほんとうのわたしの声が、
体の中で叫ぶんだ。


震えながら伸ばした手は もう一度
あの夜のように>>2:=1 包んでもらうことは叶うだろうか**]
 


メモを貼った。


メモを貼った。


[桜色の口元が笑みを形作る。
まだ少しあどけない少女の笑顔が、その時、
ほんの少し、大人のものに見えた。

温度も何もない筈なのに
触れた掌がまだ暖かいような錯覚を覚える。
静かに語られる言葉を、
こちらもまた静かに聞いている。]

 …………そうだね。

[こうして死後も尚自我を保ち、個として在るならば
遠い日に別れた誰かも、どこかにいるかもしれない。

父と母を想う彼女の黒髪を、そっと撫でる。
できるだけ優しく。]

 ……。
 (ひとり、か)


[今 ただ 隣人すら信じられず
独りで立つ彼らを思う。
( ……アル )

花のつぼみが綻ぶような笑顔を零し、
マーゴットは強く、この歳の少女にしては本当に強く
男の謝罪を否定してみせた

続いた深呼吸に首を傾げ――
耳を傾けていたのがいけなかったらしい。
大きな呼び声にびくりと肩を震わせ片掌で耳を塞いだ]

 ――――…………きみ、ねえ、

[咎める声も、怒りも、驚きも、全部全部、
くるりと振り向いた少女のいたずらな笑みに持ち去られ
残るは「ああ、もう」という諦念と、小さな笑いだけ。
南風が蒲公英の綿毛を吹き飛ばすように、
しめっぽさが飛んでいってしまった。]



 赤に、水色に……緑、 紫、

  ――、([腫れるぞ、といおうとして、口を噤んだ])

[己の墓場に供えられた紫苑の花に目を細めた。
「あなたを忘れない」そんな言葉を持つ十五夜草。
供えたのは誰だろう。
( ……らしくもないな)

浮かんだ猫の姿に、そっと首を振る。

花に触れながら色を問うマーゴットに答えながら
その姿を見ている。
野原に遊ぶ娘を見ているようだ。
ふいに落とされた言葉に、眉根を顰める。

……もう、終わりにしたかった。
こんな殺しあいは。こんな哀しみは。]


[押し黙っていると、マーゴットの睫が震えた。

闇夜の中、重いものを背負い行くその姿は、
教会にかかっていた磔刑の像を思い起こさせた。

その影がサイラスのものだと理解するのと
彼が背負う獣が恐らくはグレッグだと把握するのは
ほぼ、同時のこと。

ぱた。と黒髪揺らしマーゴットが己の背に隠れる。
何故、と思うたは一瞬。
震える掌は、黒い男の手へと向かう。]

( ……マーゴット )

[乙女の心が二つに引き裂かれている事など知らなくとも
求められていることは、ただ一つだと理解した。]


 ……会いたい、かい?

[婚礼の時の父親のように「幸せにおなり」と
その掌を彼に渡す事は――
彼が冥府の住人でない以上、できないけれども]

 大丈夫さ。……大丈夫。
 そんなに湿っぽくては――カビてしまう。

[そうして、何度目かわからない「大丈夫」を塗り重ねて
震える彼女の掌を、そっと包み、握り締める。
何かから守るように。]


[そうして静かに、サイラスが墓穴を掘るのを見ている。
見守り続けている。

彼には、辛い思いをさせている。
彼にも、村の皆にも、そしてアルカイドにも。
落とされた呟きを拾って、
口の中で小さく「すまない」と呟いた。]

 …………願わくは……。

[あの真っ直ぐな薬屋の若者は生き残ってほしいと思う。
その一方で、こんな辛い仕打ちを受け続けるならば、
もう、とも思う。

わからなかったから、小さく ほんとうに小さく
彼が進む先に光あれと、願うのだ。*]


メモを貼った。


[ここならば宿屋からの音が聴こえないと。
男が再び姿を現したのは村の傍の河原だった。

小さい頃、遊びに来た場所。
幼馴染達と駆けて回った、
転んだ従妹を必死に掬い上げた場所。

一歩、躊躇いもなく水に足を踏み入れる。
せせらぎが聴こえるばかりの穏やかな地。
男の足音も水の跳ねる様子もない、生の世界。

自分が死ぬ覚悟はできていた男は、
他の村の者がこれ以上死ぬ覚悟はできておらず、
喧騒から離れてひとり、耳を閉ざすことにする。]


[見下ろすのは己の手、爪を短く切ったその指。
視界の隅で、岩に引っ掛かった流木が
まるで天秤のように不自然に揺れる。

人間と『共存』する為の均衡、
水平に保たれていたはずの『天秤』、
そもそも天秤は、はじめから水平だったのか。

[男の知る『天秤』は―――…
はじめから、水平なものではなかった。
人間との『共存』は、
いつだって人間に重きを置かれた歪なもの。]



(人間がこわがらないよう…
 獣の型をとらないように心掛けた。)

(人間がこわがらないよう…
 その肌を傷つける事がないように爪も短くした。)

(人間がこわがらないよう…
 牙を見せない笑い方を覚えた。)

(人間がこわがらないよう…)

[少しでも人間をこわがらせれば均衡は崩れる。
ひとつ、またひとつと
人狼が本来の在り方を人間の為になくして。
そうしてようやく『共存の為の均衡』が成り立つ。
それが男の知る『天秤』の本当の形で。]


[人間は、好きだ。
人の姿でいれば人狼とそう変わらない。
気が合えば友達として想うこともできる。]

けれども、

人間は、こわい。
ちょっとした過ちですぐに均衡は崩れる。
そしてその信用は一度崩れれば
同族の血を以て償わなければならない。]




 ―――…いっそ、みんなで…
 この村を出れば…よかったのかな。


[人間のことを気にしなくてもいい人狼だけの場所へ。
どれが、何か、何かが違っていれば。
別の未来もあったのではないか―――…
そこまで考えて、緩く首を振る。
きっと何も変えられず…いつか、どこかで、
同じ問題は起きていたのだろうとも思った。


決断は下されもう戻ることはかなわない。
なら、男が願う結末は―――……**]


  っふふふふふ。 ――聞こえた?

[ 呆れた溜息、苦笑、ちょっと怒った?どうかしら。

くるり、鳴らない踵をひとつ打ち、
風の無い夜へスカートを翻しながら
笑みを向けた先のせんせはきっと
口をへの字に曲げているだろう、なんて思う。

確認するのに口元に触れたらきっとまた、おんなしように怒られてしまうから わたしは自分の口元に手を当てて。

   くすくす。 くすくす。

村でいちばんしめっぽいひとを、
ちょっとでも乾かしてやろうと肺に吸い込んだよるかぜは、
どうやら無事にその役目を遂げたようだ。]


[ 「あなたを忘れない」
そんな素敵な花言葉を知っていたのなら、
怖いもの知らずの幼さを武器に「せんせ、恋人いたの?」
なんて聞いただろうに。

せんせから、小さな小さな漏れるような吐息を感じて
わたしははたり、と動きを止め 疑問符をひとつ。
頬の横に?を浮かべることしか出来なかったのは、
彼にとっては幸いだったのかもしれない。

わたしの触れた花に、せんせの低い声が重なる。
あかい あかい まっかなアネモネ。

指を擽るかすみ草と、分厚いフリルのカーネーション。
白は亡き母へ。桃は感謝。
いつかの母の日、クラリッサに花言葉を教わって
川へ流した花束を思い出す。

贈り主がそこまで知っているかを考えては、
微かに頬を緩ませて 包むように 花束を抱いた。]


[グレッグと、彼の命。両方を背負った影がゆらめいて
確かな足音と重さでもって墓地へ近づく。

  怖いんだ。どうしようもなく。
  あの手に触れたくなってしまうことが。

そんなわたしの恐怖なんかお見通しだとでもいうように
掛けられる声は、低く、優しく。
背中に額をすり、と寄せて 金色の優しい光から目をそらす。

 ( うん。あいたい。)

無責任に頷いてしまいたい。けど。いけないこと、だから。
首が縦に動こうとするのを必死で繋ぎ止めれば
奥歯がぎちりと嫌な音を立てる。]

  …………せんせ…。   …もう、かびてるかも。

[大丈夫、大丈夫。繰り返されるまじないと、包まれる手。
わたしは「父」の背中に顔をうずめ、幸いにも与えられる愛情に縋りつきながら 淀んだこころにフタをした。]


[ 不便なもので。 見なくても 視えてしまうもの。

サイラスの重い足取りと苦悶の息遣い、
ざくりざくりと 昏い夜のさらに深くへ続く 
虚のような墓穴が拡がる音。
そのなかに”なにか”が置かれ また土の振るおと。

微動だにせずそれを見守る背中で それを聴く。

( おやすみなさい )グレッグ( おやすみなさい )
( きっとまたちかいうちに いつものとおり )
      ( おはようをいうから )      ]

  だからサイラス、泣かないで――。

[わたしはせんせの影からようやく離れ
触れることができないひとの頬を、指先で探し
彼は誰時の空へ、絵の具のように 届かぬ言葉を溶かした。**]


メモを貼った。


[河原にまで届く人狼の遠吠えに、
男は不安げに空を仰ぐ。

願うならばもう誰にも来てほしくない。

けれどもそれが既に叶わぬ願いであり、
生者をまた選ぶことになるのだろう。

なら、

来て欲しくない、と思い描く姿は3つ。

その声が、聴こえないように。
届かぬ向こう側に在るように。

祈るように、目を閉ざした。**]


メモを貼った。



 そりゃあ、……乾かさなきゃな。

[ぽん、と背中に額が押し当てられる。
がちりと歯を食いしばり何かに耐える様子なのも
彼女が口にしなかった何もかもも、
深くは追求しないで、そっと掌に触れ包む。

距離は出来るだけ、二歩以上あけて
必要なときだけ寄り添えるように在る事。
医者の役目はただ、それだけ。

暗い空の下掘られる墓穴は
地獄にでも届きそうに見えた。
離れていくマーゴットの掌をそっと離す。
サイラスの涙を拭おうと、宙を彷徨う白い掌を見守った。]



[視線を転じるはキャサリンの墓。
捧げられた花冠――否、花輪も。
カーネーションも。
闇の中では蒼褪めて見えてしまって

(……。)

ふと、辛さを表情に出したのは
マーゴットには見えないで幸いだった。
折角湿っぽさを払ってもらったのに、これでは意味が無い]

 何かあれば、泣きたい時でもなんでもいい。
 また呼びなさい。
 ……さっきのような大きな声じゃあなくていいから。

[そう、マーゴットに静かに呼びかける。
それから、そっとその場から足を踏み出した。*]


― やがて ―

[焼け焦げた教会の一角。
落ちていない屋根の上。
村での出来事を見守り続けていた。]

「……こが選んでくれないから、……。
 ……八つ裂きか、喉笛を潰すか……。

 ……一番滑稽な串刺しにでも?」

( ……君だったのか。素敵な贈り物をありがとう。)

[―― 静かに目を伏せた。]

[ 今日になって何故、と思った。 
 このまま上手くすれば、他の者だって欺けただろうに。]

[続く声に、ぐ、と胸が痛む。]



「…………四肢を食い千切った後、
 死なないように止血してから ―― 、
 そのまま『魔女』を火炙りにかけるってのは、ねえ!」

 …………もう、止せ。アル。(猫の癖にらしくもない。)
   大馬鹿野郎。

[小さく呟いた声は風に消えた。
彼が己を殺した誰かを恨む姿も、殺す姿も見たくはないが、
この村を離れることもまた できないでいる。

そうして、いつしかまた体は真っ黒へと沈みこみ
はたはたと揺らぐローブの音だけが、やけに煩くなる。]



[――”Oh ! La belle nuit pour le pauvre monde !
Et vive la mort et l'égalité !”

そう云ってけらけらり、あざ笑うのは誰だろう。
悪魔? 死神? それとも、自分自身だろうか。

それでも「今日も」やがては来る投票の時間を、
「終わり」が来ることを
死刑宣告でも待つように待っていた。**]


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