人狼議事


207 愛しの貴方を逃がさない。

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視点:


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―自宅―

[小さなマンションの、その一室。
レストランとは別の、もう一つの城で、
男は、連れてきたうさぎの目覚めを待つ。

彼女の右の足首には、2、3メートルほどの鎖。
柱と結び付けられたそれは、鍵が無ければ取ることは不可能でしょう。

あぁ、それから、この部屋、
防音や騒音はばっちりだそうです。
なにせ、金額が金額ですから。]


[あたたかなスープと、サンドイッチ。
それらをテーブルに並べた後、
床に転がっている、彼女の目覚めを待つ。

服の隙間から見える、白い首筋に手を伸ばす。
温かい。指先に伝わる生き物の鼓動に、
なんだか、無性に泣きたい気持ちになった。**]


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あ。あざす。や、まぁ大学入ってからずっとしてたんで、そこはね。
お口に合うようで何よりッス。

[照れながら、ご飯を掻き込んで誤魔化した。
うん、日本酒がうめえ。]

折原さんは、自炊とかされるんスか? もしされるならどっかでお願いしようかなー。
俺も結構自信あるんスけど、レシピはやっぱ増やしたいですしねー。

[うーん。箸が進む。
さて、ちょっと混ぜたお酒の効果はいかほどだろうか。良い感じに酔っぱらってくれれば、いいんだけど。]

あ、飯のおかわりあるんで、食べたかったら言ってくださいね。
米も実は良いの取ってるんスよ。イケるでしょ?


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料理はできるけど、ずいぶんしてないな。
母が、台所を占領してたから。

[あなたに台所仕事なんかさせられないわ、って。そのあなたというのは、もちろん兄のことなんだけど。
今時は料理に性別なんか関係ないよって言ったけど、聞き入れてもらえなかった。
どっかでお願いしようかななんて、随分無用心なことを言うんだね。
私に包丁を持たせていいのかな。包丁で、解放しろって脅すかもしれないのに。
もちろんそんなこと、わざわざ言わない。黙ってグラスに口をつけた。口当たりが良くて、飲みやすい]

お米も美味しいけど、おかわりはいいかな。

[もともとそんなに食べる方じゃない。こないだカフェではついちょっと調子に乗って食べ過ぎたけど。
ごちそうさま、ってお酒もご飯も予定通り一杯にとどめた。足の拘束も解いてもらったことだし、後片付けくらいは、と立ち上がろうとして]


……あれ。

[へしょん、とそのまま座り込んでしまう。おかしいな。足に力が入らない。
正座で足が痺れてるってわけでもないし、これは。
私は、新井さんの方をじっと見た。表情の変化を、見逃さないように]

ねえ。このお酒、かなり強かったりするのかなあ?

[アルコールが足にきた。そうとしか思えないんだけど。
問題は、それが新井さんの故意なのかどうか、だ**]


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そうなんスか。まぁ作り方覚えてれば問題ないかぁ。
うし、ごちそうさまでした。

[おかわりは良いと言う言葉に、了解とうなづいて、またシンクに食器を貯める。
折原さんが立ち上がろうとしたのを見て、ああ、大丈夫ッスと制止しようとした。
けど、彼女はぺたりと座り込んで、俺をじっと見てくる。]

どうしました? え、酒強いって?
いや……んなことは無いと思いますよ。ほら、この缶。これっすから。

[酒の空き缶を見せて、度数が少ないことをアピール。もっとも、混ぜてるけど。
不思議だな、と缶と折原さんを見比べて。]

お疲れなんですよ。風呂入って、寝てください。ああ、飲んだあとはマズイか……。

[ならばと、ひょいと抱っこしてベッドに寝かす。
頬に軽く口づけをして。]

ちょっと休んでてください。


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え。……嘘。

[見せられた空き缶に、大した度数は書かれてなかった。新井さんが嘘を言っているようにも見えなかった。
おかしいな。私、お酒に弱くなっちゃった?
お疲れという言葉に、自信なく頷く]

そうなのかも。

[疲れるようなことしてないけど、精神的には疲れてる。そういうことなんだろう。
そんなことを考えてたら、抱き上げられた]

ちょっ!? 大丈夫だから……!

[さっきは突然だったから床に逆戻りしちゃったけど、慎重に立てば大丈夫。自分で立てる。
そう主張しようとしたのに、有無を言わさずベッドに寝かされて]


!?

[ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って。
今のは何。
口付けされた頬を押さえて、私は呆然とした。
新井さんは、私を性的な対象として見ていない。そのはずだ。
……ああ、人形を愛でるとか、そういう感覚。って、そうだとしたってこれはまずい。
性的な目では見られてなくても、人形として愛でる行為がこれ以上エスカレートしたらどうするの。
休んでて、なんて言われたけど、全く休める気がしなかった**]


[酒が入ってるからか、ちょっと大胆なこともしてしまった。
呆然としてる折原さんを見たら、まだいる理性はやっちまったと思ってる。
うーん、解いたからあんまり下手なことすると逃げられてしまうな。
とりあえず、貯めた食器を洗うことで落ち着く事を選んだ。]

肌柔らかかったな……。

[……いかんいかん。煩悩退散。こう言う時は無心でやるに限る。

カチャカチャという食器の音が俺を癒してくれる。
折原さんは大人しくしてくれてるかな。ああ、そういや着替え考えなきゃ。
下着は悪いけど届くまで今日履いてたのを履き直してもらうか、俺のを貸すしかないし、
服はスウェットがあるからいいとして……。そうだ。]

あ、水いりますか? 疲れてるならクエン酸入れたらちょっとはマシになるかもしんないっすよ。


[水、という声に我に返った。そうだ、呆然と転がってる場合じゃなかった。酔ってるならお水飲まなきゃ。そもそも、なされるがままに転がってるなんて危機感が足りない。
慌てて起き上がりながら返事する]

お水、ほしい。

[それから、さりげなく付け足した]

新井さんも、飲んだ方がいいんじゃないかな。

[酔った勢いというなら、さっきの行動にも納得がいく。そして、酔ったままでいてもらっては非常に困る。
酔った勢いのままエスカレートされたら、たまったものじゃない。
なにしろ30cm近い身長差に加えて、今私は足にまともに力が入らないんだ。とても抵抗しきれるとは思えない]


クエン酸……は、どっちでも。

[クエン酸を欲してるほど疲れが溜まってるとは思えない。精神的に披露はしてるけど、体はむしろなまってる。
でも、さっぱりしていいかもしれない。
そんなことを考えながら、私は新井さんに気づかれないように、服の袖で頬を擦った**]




                     [ 暗転。 ]

  



 [ ――― して、どれほど経ったのだろう。 ]
  
 [  首筋に触れる冷たい何かで、
   いつの間にやら落ちていた――、らしい、
   卯月の意識が 浮上した。

   焦点の定まらない赤色が、
   開かれた瞼から見えてくる。 ]
 



 [ 声は、出なかった。
  恐怖というよりも、
  状況把握が出来ていない、そんな風。
  
  見慣れない景色
  ( そう、卯月の安アパートより
          ずうっと"お城"のよう )
  
  何処だろう、と 立ち上がろうとして、
  引っかかる重たい――金属?に、
  やっぱり把握が出来ないまま足を取られ、
  再度床に潰れた。 ]
 



   ……?
 
 [ 重たい金属に一度向けてから、
  漸くここで はっきりしてきた赤色は、
  碧眼へと向き直る。

  どうして?とか、
  なんで?とか、
  いっそ 誰? とか、
  
  そんな疑問符全て詰め込んだ表情で** ]
 


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了解ッス。ああ、俺も飲んだ方が良いですよね。
明日二日酔いになっちまう。

[それじゃーと折原さんの水(クエン酸入り。疲れが取れる気がする)を用意しておいて、俺は風呂にでも入るか。
かなり酔った折原さんも見てみたかったんだけど、
今日はまだ落ち着かない様子だし、これくらいにしておこう。
酔わせておけば、とりあえず今日は逃げないだろうし。

さて、風呂に入ったり何だかんだしてればもう就寝時間か。]

ベッド使ってください。あ、もし男くせえとか思ったらこっちの布団で。
客用だからまだマシな、はず……。

[多分、今更だろうな。こうして、拉致初日は何事もなく終わった。
残り一週間。ドレスは明日から作ろうか。]


―翌朝―

[ピンポーン。インターホンの音で目覚めた。うお、寝坊した。
急いで玄関に向かえば、昨日頼んだ服が来たようだ。
よしよし。これで折原さんを可愛く出来る。起きてなければ、枕元に早速置いといた。

薄手のオフホワイトのニットに、ピンクのチュールスカートが今日の服装です。]

おはようございます。今日の朝飯はトーストですよ。
サンダルのブルーベリージャムかオレンジマーマレード、どっちがいいスか?

[第三の選択肢、ストロベリーは残念ながら今日はない。
とりあえず、トーストで食べたいだけ焼いてください、と言っといた。
コーヒーメーカーもフル活用。]


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[ありがとう、とお水を受け取る。たくさん飲んだ方がいいよね。
意識的にごくごく飲み干しながら、私は落ち着かない気持ちだった。
新井さんがお風呂に入ってる水音が聞こえる。ベッドに座ってそれを聞いてるなんて……なんか、ラブホで順番にお風呂に入ってるみたい。
わかってる。考えすぎだ。あと、ドラマの見すぎ。私はそんな経験したことない]

酔ってるんだよ。
だからこんなこと考えちゃうんだ。

[そんな独り言を言って、私はお水をお代わり。もう一杯飲み干した。

お風呂の順番が回ってきたら、恐る恐る申し出る]

……あの。乾燥機、借りてもいいかな。

[何って、下着。お風呂で洗って乾燥させてもらおうと思った。
いつもは寝る時にさらしは巻かないけど、そんなの無理。耐えられない。
断られたら、手で絞って湿った状態で身につける覚悟だった。
無事乾燥機を借りれたら、真っ先に下着を洗って乾燥機に入れて、それからお風呂に入った。
いつもとは違うシャンプー。
嗅ぎ慣れない香りが自分から漂うのは、妙な気分だった]


[布団を選ばせてくれるのは、ものすごく今更だと思う。昨日も寝たんだし。
パジャマの代わりに借りたスウェットは私にはぶかぶかで、異性の服を借りているという状況が無性に居た堪れない。
新井さんの視線を逃れるように、私は早口でおやすみなさいを言って布団をかぶった。
眠れるか不安だったけど、布団の中で強く目をつぶって羊を数えているうちに、意識は闇に落ちていた]


─翌日─

[チャイムの音。そして新井さんが応対に出る気配で目が覚めた。昨日も思ったけど、私は案外図太いらしい。
起き上がって目元を擦りながら、そういえば今助けを求めるという手もあったんじゃ、と思ったけど、今の私の格好は拉致されているというにはあまりにも説得力がないなと情けない笑みが漏れた。
拘束もされず、服を借りて、普通に寝てたなんて、泊まりにきた彼女にしか見えないんじゃないだろうか]

ブルーベリー……。

[まだちょっとぼんやりしたまま、ジャムの好みにそんな返事をしたけれど、着替えと差し出された服に眠気が吹っ飛んだ]

こ、これって。

[白いセーターはまだよかった。問題はもう片方だ。
ピンクのスカート。
ピンクで、なおかつスカート]

これ、女の子の服だよ!?

[わかってる。私は馬鹿なことを言ってる。私は女で、そもそも新井さんは私にドレスを着せたいらしい。
だけど、実際目の当たりにすると衝撃の度合いが違った]


む、無理。絶対似合わない。

[三年前まで、私は普通の女の子だった。
普通の女の子に戻りたかった。
それなのに、目の当たりにすると、それが大それたことのように思えてくる]

わ、たしは、女の子になんか、なれない。

[男装が、嫌で仕方なかったはずなのに。
母が私に兄を投影して、私のことをこれっぽっちも見てくれないことが、たまらなく辛かったはずなのに]

無理。こんなの、着れない。

[私は、女の子になれない]


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ブルーベリーッスね。んじゃ二枚だけ用意しとくんで、足りなかったら自分で焼いてください。
その間顔洗って着替えてきてくださいね。

[さ、折原さんの分を準備するかー、とトーストをセットしたら、
折原さんがなんか素っ頓狂な声を上げた。女の子の服だよって。]

そうッスよ。女の子の服です。

[何を言ってるんだ、と言う顔でちらりと見たけど、
まるで何かに怯えているかのように言葉を漏らす折原さんが、痛々しくて堪らなかった。
頭を軽く撫でてやって、まずは落ち着いてもらえるよう、努めて優しく声を掛ける。]

なれますよ。女の子に。
日常に戻って男になる前に、本当の自分を思い出しましょうよ、折原芽留さん。

――って、誘拐した奴がこんなこと言っても何の慰めにもならないッスよね!ハハハ。
ああ、トーストそろそろ焼けますね。その服嫌だったら、スキニーのデニムあるんで、それにしてください。

[届いた荷物の中から、まだタグの付いてるデニムを取り出して、渡した。
その時に、また小さく耳元で囁く。]


[さあさあ、行った行ったと背中を押して洗面所に押し込んで戸を閉めた。
焼きたてのトーストの良い匂いがする。こいつにブルーベリーのジャムを塗りたくる。
やっぱりこのジャムはブルーベリーの粒がでかくて良い。口の中が涎にまみれた。
コーヒーとトーストを机の上に置いといて、ミルクとスティックシュガーはお好みで。]

飯の準備出来たんで、いつでも良いッスよー。


ほんとうの、わたし?

[新井さんの言葉を繰り返した。
なれる? 女の子に?
本当の私は……本当の、私、は。
言葉が見つからなかった。差し出された服を黙って受け取って、慰めにならない、という言葉にただ首を横に振った。
背中を押されるまま、洗面所に入って、扉が閉じられる]

着替えなきゃ。

[やっとのことで私はそう呟くと、のろのろとスウェットを脱いだ。
洗面所の鏡に、途方に暮れたような顔をした私が映ってる。
短い、洗っただけの髪。化粧っ気のない顔。さらしに押し潰された胸元だけが、必死に女だと主張してるみたいで、浅ましい、という言葉が浮かんだ]

嘘。

[耳元に落とされた囁きに、今更そんな返事をした。
そんなの嘘だ。嘘に決まってる。だけどその言葉に縋りたい気持ちが自分の中にあることを、私は認めた。
縋りたい。信じたい。それが本当なら、どんなにいいだろう]


[髪を梳かして、顔を洗った。冷たい水で落ち着きたかった。
セーターを着て、迷う。ピンクのスカートと慣れたジーンズ。
どうしよう。
扉の向こうで、準備ができたって声がする。早く行かなきゃいけないのに。
悩むことなんて、ないのにと思う。慣れたジーンズを用意してもらえたのに、私は何を躊躇ってるんだろう。
だって……だって。

そっと、扉を開ける。パンの焼ける香ばしい匂いが届く。
スカートを履いた足が、震えた]


[洗面所の方から気配がする。ああ、準備出来たんだな、と言うかデニムのタグ切り忘れてたな。
切ってなかったら洗面所のハサミ使わなかったんだなーとかなんとか、折原さんを見る前に思ってた事が全部吹っ飛んだ。]

え……。

[まごう事なき美少女(主観)がそこにいた。俺が今コーヒーを注いでなくて良かった。数秒フリーズしてしまった。
ようやく動き出した口からは、あー、とか、えーとか、言葉にならないような言葉が漏れ出て。]

すげえ……綺麗で、可愛いッス。

[やっと、月並みな言葉が出てきた。ていうか思った通りじゃなかった。それ以上だわ。
俺が拉致した犯人だと言う事も今はすっかり忘れて、感極まって抱きしめてしまう。]

良かったッスよぉぉ、ホント、勇気出してくれて!
俺、感動しました! 折原さん、いや芽留さん!

[男泣き二秒前くらいで、俺のした事と状況が頭の中に戻ってきて、はっと離れる。
おかしいな。ただ、この人を俺が可愛くしてやるって思って、彼女の意志を無視して拉致ってきたのに。
なんだこの、感動ホームドラマみたいな俺の感情は。わざとらしく咳払いをして、飯にしましょうって促す。]


うーん。やっぱサンダルのオレンジマーマレードは最高かよ。

[トーストに塗ったマーマレードが最高に美味い。さすがおフランス。
今日は、ドレスの型紙作りをしよう。
高校の時、従姉妹に教えて貰ってドールの服を作ったことはあるから、それを大きくすれば、多分、多分なんとかなるだろう。
今はネットで調べれば何でも出てくる。だからきっと大丈夫さ。]

折原さんの為に、綺麗な赤のドレスを作りますよ。
あ、もしその時暇ならフェルト手芸をやるとかどうスかね。
入門書と材料はその辺に、ああ、不細工な羊は気にしないでください。

[材料の中には、あの黒猫と同じ黒いフェルトの端材が混ざっている。]


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[私の方を見た新井さんが、固まった。途端に私は後悔する。
やっぱり着るべきじゃなかった。おかしいんだ。似合ってないんだ]

ごめんなさい!
やっぱり私、着替え……、

[る、って。そこまで声にならなかった。新井さんに抱きしめられていたからだ。
えとか、うとか、あとか、私は声にならない声を出すことしかできなくて、あわあわしてる間に、なにやら感極まっている様子だった新井さんは冷静さを取り戻した。私の体を離し、何事もなかったようにご飯を勧めてくる。
勧められるまま、うん、って席につきながら、私は動揺していた。
私、新井さんのこと、突き飛ばさなかった]


[二枚用意しておくと言われたトーストだけど、正直私には二枚でも多かった。
だけど、残すのはもったいない。無理やり食べた。
コーヒーにはミルクをたっぷり、砂糖は入れない]

赤いドレス、ってなんだか凄そうだね……?

[私に似合うとはとても思えないんだけど。しかもスカートでこんなに勇気がいったのに、ドレスって。改めて考えるとものすごくハードルが高い。
でも私を拉致した主要目的がそれなら、仕方ない。一週間で返してもらえるという約束を守ってもらうためにも、あまり否定的なことは言えない]

おとなしいデザインの方がいいかな……。

[控えめにそう要望を伝えるに留めた]

フェルト手芸、って針でちくちくやるやつだよね。

[もちろん、カバンの中の黒猫さんのことを思い出す。贈り主はわからないままだけど、あの子の友達を作るのもいいかもしれない。
黒のフェルトは見えたけど、特に気にしなかった。定番の色だし、羊毛フェルトはそんな珍しいものでもない。
なにより、ちょっと残念な羊が目に入れば、新井さんはフェルトは苦手みたいだな、なんて結論に至る。
暇なのは確かだった。どんな子にしようか、本をペラペラめくって考え始めた**]


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[ハトが豆鉄砲を食らったような表情、というのだろうか。
指先で困惑したように揺れる赤に、浮かぶのは最初の記憶。

初めて傷つけたのも、赤い目をした白いウサギだった。
重なる色に、何だかひどく泣きたい気持ちになって、

困惑した様子の少女から、手を離す。
未だ怯えた様子の彼女に、目線を合わせるようにして、
その顔を覗き込んだ。

あぁ、なんとまぁ、綺麗な赤色なんだろう!
渇きを訴える喉を誤魔化すように、ごくり、唾を飲み込んだ。]


 驚かせて悪かったね。
 まずはさ、朝ごはんにしようか。
 卯月ちゃんは、コーヒーと紅茶、どっちが好き?

[開口一番の問いかけは、この場に似つかわしいもの。
けれど、勿論、これだけで終わるはずもない。
少女が抵抗するようなら、笑顔を張り付けたまま、
言葉を付け加えようか。]

 “また”、食べてくれないなら、
 今度は、無理矢理にでも食べさせるけど。

 あんまり、乱暴な真似、させないでほしいな。

[一時の感情とはいえ、彼女を連れてきた以上、
自分だって、それなりの覚悟はしている。
それでもやはり、出来ることなら、穏便に済ませたい。
ねぇ、これってやっぱり、矛盾しているんだろうか。]


[彼女がそれでも動こうとしないのであれば、
少し冷めてしまったサンドイッチとスープを、
床に転がっている彼女の元へと運んでやる。

他者の警戒心を解く方法なんて、
人と距離を置き続けてきた化け物には、少々難しすぎるらしい。**]


え、赤いドレスって上品じゃないですか。
ほら、レッドカーペットとか歩いてそうな。

[おとなしめなデザインというか、逆に派手なのを作るには、技量が足りないと思うんだよな……。
まぁ、折原さんがそう言うならそうしよう。]

あ、食器は下げときますんで。くつろいでてくださいね。
っしゃ。やるぞ。

[貴方を着せ替え人形にしたいの集大成、赤いドレス。
ぼんやりとしたイメージを、筆先に落としていく。
やっぱり、作っていれば高校生の頃にドールの服を作ったのを思い出す。

従姉ちゃん、俺に色々教えてくれてありがとう。さあ、頑張ろう。**]



 [ 碧眼と視線が合う。

  覗き込まれる、みたいな
  そんな動きだったものだから、
  僅かに身を引いた。

  遠くで鎖の音がする。
  動く喉元に赤色が動いたのは、
  一瞬のこと。 ]
 



 [ 黙り込む卯月と反対に、
  この状況を作り出したらしい彼は喋る。
  その内容は いくら馬鹿な卯月でも
  理解することが出来た。
  
  ―― この人だ。
  
  家の前、ぶら下がる紙袋の差出人。
  知らぬ誰かの、料理。
  空いた両の腕は
  卯月自身の、細い体躯を抱く。 ]
 



 [ 彼がどうして
  卯月にそんなことをしたのか。
  …そこまでは 分からなかったし、
  卯月だってこれ以上乱暴されるのは
  勘弁願いたかった。
  
  ただ、それでも
  "食べさせられる"ことが
  こんなことをした彼の望むことだとしたら。
  大人しく従うなんて発想に、
  とてもじゃないけど、なれやしない。 ]
 



 [ だから卯月は静かに首を横に振って、
  そのまま床に、座り込むだけ。
  
  きっと料理を差し出されたとしても、
  それがどれだけ美味しくて
  卯月の大好きな母の味に近かったとしても、
  頑なに口を閉じたままだ。

  彼に聞こえない程度、
  小さく鳴った腹の音は、知らない振りをして。 ]
 


メモを貼った。


[……うし、こんなもんか。後はこの通りに作れば出来るだろう。
何日かかるか。頑張らねば。

ふと折原さんを見ると、フェルトにちくちくと針を刺しているのが見えた。
折原さんは手先が器用なのかな。]

フェルト、どうスか?

[びっくりさせないように後ろからそっと手元を覗き込んだ。
ついでにお腹の辺りに手を回してみた。ニットが暖かい。
こう、ちょっと温もりが欲しかったんだと自分に言い訳しておいて。]

なんか良い抱き心地ッスね。ニットのおかげかな。
マジ、あったけーッス。


メモを貼った。


 困ったな。
 もう、作っちゃったんだけど。

[座り込んだウサギの姿に、嘆息。
無理矢理にでも食べさせるとは言ったけれど、そんな脅しのようなことをするのは気が乗らない。今はね。]

 俺がいると落ち着かないっていうなら、
 ここに置いておくから。
 帰るまでには食べておいてね。

[一応、ちょっとだけ、レストランの方にも、
顔を出さないといけない。
しばらく、修行の旅に出ますとか、なんとか。
適当な言い訳は、ウェイターには通じないだろうけれど、
問い詰めるようなこともしないだろう。]


[立ち上がったところで、
少し離れたところから、ガシャリと金属の音がする。
その主は、部屋の隅で飼っている、
小さな白いウサギ。

卯月に似た色合いではあるけれど、
彼女より遥かに小さい生き物に、
赤い眼差しが向くなら、
籠を彼女の近くに運んだ後、部屋を出ようか。

どうせ、どちらのウサギも、逃げられるわけが無い。**]


メモを貼った。



 [ 要らないです、って
  やっぱり首を横に振る。
  
  "帰るまで"。
  つまりは出て行くという言葉に
  分り易く安堵の息を吐きつつも、
  
  足元の鎖と異なる金属音に、
  ふと、赤色を上げた。 ]
 



 [ ウサギ。
  卯月じゃ無くて、本当の。
  色合いは全くもってそっくりで、
  自分を小さくした生き物のように思わせられる。
  
  動物を飼う趣味があったところで
  どうとも思わない、けれど。
  同じ"ウサギ"であるところに、
  どうにも掴めない何かがある気がした。 ]
 



 [ 隣に籠が置かれる。
  足元こそ鎖に繋がれていないけれど、
  外に出られないという意味では
  結局卯月と同じ、ウサギ。
 
  じいと、赤色をそれに向けながら、
  彼が出て行く音を遠くに聞いていた** ] 
 


メモを貼った。


[赤いドレスは上品で、レッドカーペットが似合うのかもしれない。
だけど、そもそも私にはレッドカーペットが似合わない。
どんなドレスになるんだろう。ドレスなんて、私に着こなせるとは思えないけど。だけど似合わなくて幻滅されれば、それはそれでいいのかもしれない。
羊毛フェルトの本をぱらぱらと眺めながら、そんなことを考えていた。
さて、黒猫さんのお仲間。最初は白いうさぎにしようかと思った。けれど、黒猫さんと一緒に付けたら色が移って薄汚れるかもしれないと気がついた。断念する。
結局、グレーのネズミさんを作ることにした。これならもしも色が移ってもあまり目立たないだろう。
本の説明を読みながら、針でちくちく刺していく。

元々、こつこつ地道な作業をやるのは割と好きな方だ。黙々と針刺しに没頭する。打ち込めるものがある方が、今はありがたい。
自分で言うのもなんだけど、新井さんの羊さんよりは可愛くできていると思う。

そうして、どれくらい時間がたったんだろう。後ろから話しかけられて、私は顔を上げた]


ちょっと根を詰めて刺しすぎたかな。
フェルトが固くなっちゃっ、て……?

[刺しすぎると密度が高くなってフェルトが固くなる。気をつけたつもりだったけど、ちょっとやりすぎたらしい。
そんなことを言いかけた私のお腹に、新井さんの腕が回った。びくっと肩が震えたのは、きっと新井さんに伝わった]

……あの。

[どういうつもりなんだろう。
お人形を愛でてるつもり?
それとも、女性に触れたくて?
どっちにしても駄目だ。私はお人形でも恋人でもない]

駄目だよ。

[私、針持ってるのに。刺されるかもしれないとは思わないんだろうか。
……そんなことはしないけど。怒らせたくはないし。
だけど、ちゃんと伝えるべきことは伝えなくちゃ]


約束したから、ドレスは着るよ。
だけど、私はお人形じゃない。
だから……こんなことをするのは、駄目だよ。

[これは、酔った勢いじゃない。
私のスカート姿にテンションが上がった衝動的な行動でもない。
新井さんが何を考えていて、今どんな顔をしているのか私にはわからない。
手の中のネズミさんだけが、楽しそうに笑っていた**]


メモを貼った。


[返ってきたのは拒絶の言葉。静かに離れた。
俺も自分で何したいか分かんない。
おかしい。ただ着せ替え人形みたく、服を着せたら満足するかと思ってた。
この人の可愛さを引き出せるのは俺だけだと思ってた。
今は?]

すみませんでした。嫌でしたよね。
つか、ここに居るのも嫌っすよね……。

分かんないんですよ。俺がどうしたいのか。
さらった時は俺だけが折原さんを綺麗に可愛くできるんだって勝手に思い上がってて。
今は、微塵も思えないです。ドレス作ったら、なんか分かるんかな……。

[俺の気が狂ってしまえば、悩まなくて済むんだ。]


[私、嫌って言わなかった。やめてとも、言わなかった。
新井さんの言葉にそう気づいたけど、そんなこと口には出さない。
ただ私はネズミさんと針をコタツに置いて、静かに新井さんの方に振り返った]

それじゃあ、もうやめる?

[微塵も思えないって新井さんは言った。私もそう思う。
私を綺麗に可愛くできるなんて、そんなこと到底思えない。
だけどそれは、新井さんの作るドレスがどうこうということじゃなくて]

人選ミスだよ。

[私が綺麗に可愛くなんて、なれるわけない。
そういうことだった]


メモを貼った。


や、人選ミスとかじゃねえんスよ! 折原さんは美人だし!
そう言う事じゃなくて。完全に俺は思い上がってたって事ッス。
俺だけが出来るんだ、って思ってたけどそうじゃなくて……。
ああもう何言いたいか分かんねえ……。

[取り乱してすいません。と立ち上がって、俺は洗面所に行く。
顔を洗って落ち着こう。ていうか、落ち着け。
パシャパシャと、冷たい水で思いっきり顔を洗えば、幾分か気持ちは落ち着いたような気がする。
ついでに夏場しか使わないメントール配合の洗顔料も使ってやる。
そんでもう一回水で顔を洗えば。]

ああああああ冷てえええ!

[ただ冷たすぎて痛いだけだった。思わず声上げちまった。]


[ばしゃばしゃと、洗面所の方から賑やかな音が聞こえる。
その水音に紛れるように、小さな声で私は呟いた]

……美人じゃないよ。

[あんな風にさらっと言われたら、本気で言ってるんじゃないかって思いそうになる。そんなわけないのに。
思い上がっていたというのがよくわからないけど、スランプみたいなものなのかな。

そんなことを考えていたら洗面所方面から悲鳴が聞こえた。思わず立ち上がってしまう。
母の悲鳴は恐怖だった。新井さんの悲鳴にはそんな緊迫感はなかったけれど、なにごとかと洗面所をそっと覗き込んだ]

あの、大丈夫?


へ、ヘーキッス……。

[冷たい冷たいとやってたら折原さんが見に来ちゃった。
大丈夫なんだけど、実際顔が冷たい。]

頭冷やそうって顔洗って、ついでにメントールの奴でもっかいやったらマジで冷たくて……。
おかげでめちゃくちゃ頭も冷えましたけどね。
なんか見に来てもらっちゃってすいません。


なにそれ。

[冷たいという声は聞こえたけど、まさかそんなことしてたなんて。思わず小さく噴き出してしまった。
冷たい水で顔を洗うくらいなら私もするけど、メントールは明らかにやりすぎだ。
変にツボに入ってしまって、私はしばらく肩を震わせて笑い続けてしまう]

やりすぎだよ。

[ちょっぴり涙まで出てきちゃって。指先で拭った。
それから。私は多分、ちょっとどうかしてたんだと思う。
深く考えたわけじゃなかった。本当に何気なく、新井さんの頬に手を伸ばしてた]

本当だ。すごく冷たい。

[コタツで温まってた私には、氷を触ったくらい冷たく感じる]

風邪ひいちゃうよ。

[じわじわと遅れて恥ずかしさがやってきて。できるだけなんでもないような顔を取り繕いながらそっと手を引っ込めた]


ちょっと折原さん!? 笑いすぎッスよ!
もーー、なんスかぁ! ちょっとー!

[クスクスと笑う折原さん、恥ずかしくて声を上げる俺。
わざとらしく、こんなに笑われたらお婿に行けないわ! とおどけてみせた。
なんだろう、今この瞬間だけ、まるで同棲カップルのような空気があった。]

いやー、名案だと思ったんスけどねぇ……。

[本当に、目も覚めるし頭も冷えるし一石二鳥だと思ったんだよ。
こんな冷たいなんてなぁ……。
メントールと冷水で冷えに冷えた俺の頬に、何か暖かい物が触れる。
いや、目の前に居るから折原さんの手だと言うのは分かってるんだけど。]

え! あ……そ、そッスよね。冷たいッスよね。
温タオルで温まります。すいません、心配してもらって。

[妙な罪悪感にとらわれて、台所で温タオル、ついでに煎茶とミカンを用意してきた。
俺もコタツに避難しよう。テレビを見ながら茶を啜るスタイル。コタツムリの準備も万端。明日は箱でミカンが届くからもっとヤバイ。]


[まるで、気のおけない友達とまったりくつろいでるみたい。漂うのんびりした空気に、そう錯覚しそうになって。
だから、思わずあんなことしてしまったんだと思う。本当に、どうかしてる。
台所でお湯を沸かす新井さんより一足先にコタツに戻った私は、脳内でそんな反省会をする。軽はずみにもほどがあった。

ため息を一つついて、気を取り直すとネズミさん作りを再開する。
ネズミさん本体はできあがった。あとは、赤いマフラーを巻いて、黄色のチーズを持たせるつもりだ。
ちくちくちくちく。まるで、内職でもしてるような気持ちになってくる]

ありがとう。

[前に置かれたお茶に、小さな声でお礼を言った]


気にしないでください。お茶のおかわりあるんで、まったりしててくださいね。
ミカンは……明日箱で届くんで、それで。今日はこれだけで勘弁してください。

あ、そうだ。

[コタツムリしてたらすっかり忘れてた。晩飯買わなきゃ。
ネットスーパーでちょちょいと注文すれば夜には届くそうな。]

今日は鍋にしましょう。もつ鍋辺りかな。
あ、あと、折原さんの替えの下着も一緒に頼もうと思うんスけど、どれがいいか選んでもらえません?

[と、スマートフォンを手渡した。
これで助けを呼ばれるとは微塵も思ってない。不用心。]


みかんはいいよ。ネズミさん汚しそうだから。

[みかんは好きだけど、手芸と相性があまりよくない気がする。ネズミさんがみかん風味になりそうで、お茶で十分と断った。
まったりしててと言われて苦笑する。拉致にそぐわない言葉だ。何より笑えるのは、実際私がまったりしちゃってるという事実だ]

お鍋?
あったまりそうだね。

[チーズは黄色のフェルトに白を少し混ぜてみた。ちくちく。
豆乳鍋にトマト鍋。チーズリゾットを思い浮かべる。もつ鍋にはチーズの出番はなさそうだけど。
そんなことをぼんやり考えていたけど、下着の話に全部吹き飛んだ]


下着……は、いいよ。

[もぞりと身じろぎした。この話題は居心地が悪い。
だって、さらし買ってなんて言えない。そもそもさらしを巻いてるなんて知られたくない。
かといって、三年ぶりにブラジャーなんて。さらしで押し潰してる胸の本当のサイズがばれるなんて、無理。そんなことできっこない。
差し出されたスマートフォンを受け取りもせず、私は首を横に振った]

乾燥機、貸してもらえれば、大丈夫だから。


[そんなことより、と話題を探す]

大学、行かなくていいの?

[私が逃げるから、家から出られないんだろうけど、一週間休むつもりなのかな。そんなに休んで大丈夫なんだろうか。
手段を選ばなければトイレとかお風呂場に閉じ込めるとか、柱に繋ぐとか、方法はあるだろうに、なんて被害者らしからぬことを考えてしまった]


あ、要らないッスか? 遠慮しなくてもいいのに。
まぁ、そう言うなら。

[仕方ない、とスマートフォンを引っ込める。
俺が勝手に選んでもいいんだけど、パンツはともかく、ブラジャーという物が分からない。
なんだこのAなんちゃらBなんちゃらって数字は。いや、まぁ、胸のサイズがあるから仕方ないんだろうけどね。]

あぁ、大学……。
良いッス。一週間休みます。ちょっと体調崩して動けなかったって話しとけば大丈夫ッスよ。

[逃げる心配と言うよりも、折原さんと一緒に居たいとか思っちゃってる。
まぁ、ドレスはドレスで作って着せるんですけど……。

鍋の材料が届くまで手持ち無沙汰になった俺は、針を持ってないタイミングを見計らって、
折原さんの足を俺の足でこそばゆくなるようになぞってみる。
つまり、ヒマしている。]


[下着のことは追及されなかった。ほっと胸をなでおろす。
このまま一週間やりすごそう。そもそも、この状態で採寸だってしたんだもの。さらしをやめたら多分ドレスが入らない]

そんなあっさり……本当に大丈夫?

[一週間休むってあっさり言われて眉をさげた。
簡単にいうけど、一週間って結構大きい。講義についていけなくなったりしないのかな。
ノートをコピーさせてもらえれば、大丈夫なのかな。
まあ、仕事を一週間休む私に人のことは言えないかもしれないけど]

こんなもんかな。

[三角のチーズが完成。両手に持たせてみる。
このあたりでくっつければいいかな、なんて位置調整していたら]


ひゃんっ!?

[足をなぞられた。こそばゆい刺激がぞくぞくって背筋にまで伝わって、変な声が出た。
バッて口を押さえる。顔がかあっと熱くなった]

な、なにするの。

[口元を手で押さえたまま、もごもごと抗議する]


[出かけるといっても、本当に少しの間だけだ。
歩いて数分の、自分の店。その扉に『close』の看板を掛けるだけ。
あとは、帰り道で、携帯電話を取り出すだけ。

その相手、唯一の従業員に休業の電話をすれば、
返ってきたのは、短い、了解の返事。
ややあって吐き出された「一人で悩まないでください」の言葉には、
少しばかり目を瞠ったけれど、答えを返すことはなかった。

彼は、自分の悩みが、
店を経営することだとか、料理の腕だとか、
そういったものだと思っているのだろう。
そんな単純な話ではないのだ。少なくとも、今の自分に関しては。]


[がり、と、マフラーをした首元に爪を立てる。
渇く喉を抑えつけるためのクセは、未だに治ることはない。
傷の上に傷を重ねたそれは、
きっとひどく醜いものになっているんだろうけれど、
そんなのは些細な問題だ。

それよりも。
浮かんだ、白と赤の生き物の姿に、思考を戻す。]


[多分、一時間も経っていない。
短いといえど、食事をするのには十分な時間だったけれど、
きっと、家の光景は微塵も変わっていないんだろうね。

すっかり冷めてしまったスープと、ぱさぱさしたサンドイッチ。
少女の傍らにあるそれらを一瞥したのち、
部屋に戻ってきた主は、溜息を一つ。

彼女の様子はどうだったかな。
自分から逃げようとした?動く気力もなかった?或いは――。
何にせよ、細められた碧眼が、ウサギの赤い目を射抜く。
ずかずかと彼女に歩み寄って、その細い身体を、乱暴に引き倒しただろうか。

あぁ、もう、喉が渇いて、仕方がない。**]


!!

[心臓がどくんと跳ねた。今の、折原さんの声……。
もう一回なぞりたい衝動に駆られるけど、抗議をする折原さんの声に思いとどまる。]

あ、す、すいません。
つい、どうなるかなーって思って……。
凄い可愛い声でしたね。俺、結構ドキッとしました。

あ、て、てか! それ可愛く出来ましたね。
チーズも可愛いし、ねずみも可愛いッス。
俺の羊より可愛いかも。

[あれはわざと不細工に作ったものだから、比較しようが無いとは思うけど。
所謂ブサカワって奴。

俺も羊ちゃんの友達作るかーと作ってれば、いつの間にか夜。鍋の材料が届いた。
今夜は鍋パよ〜。]



 [ 時計は探していなかったから、
  どれだけ時間が経ったのかは、分からない。
  ウサギをぼんやり見ていた卯月は、
  扉の開かれる音で 身を固くした。

  当然の如く
  出された食事には手なんて付けていない。
  それが何を意味するのか
  ある程度は分かっていた、つもりだった。
  
  少し、離れる。
  卯月の赤い目を見てくる碧眼が
  恐ろしくて。 ]
 



 [ ―― どちらも無言だった、筈だ。
  ため息をつかれる音と
  卯月に近づく足音が聞こえたけれど、
  それ、だけ で、 ]
 



                [ 身体に伸びてくる手。 ]
 



 [ 一瞬何をされたのか、
  理解が追いつかなかった。
  
  ぐらんと回転した視界は
  碧眼を捉えて、止まる。
  倒されたと感じたのは、漸くここで、だ。

  細い身体だ。
  押されてしまえばされるがまま。
  卯月だって取っ組み合いになったら負けることぐらい、
  自分で分かっている。
  
  ―― だけど、
  "何"を、されるのか と 思ってしまえば、 ]
 



 [ ひゅ、と
  息を吞んだと 同時。 ]
  
 [ 真白な手が彼を引きはがそうと
  顔まで 勢いよく伸びた。
  
  容赦 なんて
  そんな状況じゃあなかったから、
  伸ばした爪を立てるみたいに。 ]
 


メモを貼った。


可愛くない、し。
そういうこと、言わなくていい、からっ。

[聞かなかったことにしてほしかったのに、律儀に感想なんて言われてしまったら、もうどんな顔をしたらわからない。
視線から逃げるようにネズミさんに目を落とす。チーズの場所を決めたら、また針でちくちく刺せば無事ネズミさんにくっついた。
赤いマフラーも位置を調整して固定すれば完成だ]

うん。初めてにしては、なかなか上手くできたかな。

[可愛くできたという声に、満足して頷いた。よし、あとは]

あの、私のカバンに、黒猫さんがいるんだけど。
出してもらっていいかな。


黒猫さん?

[カバンを開けて、中を見れば、俺が作った黒猫がいた。なんか、無性に嬉しい。
でも、黙っておく。これはその内打ち明けよう。]

ああ、これッスね。はいどうぞ。

[渡すとき、掌を軽く爪でなぞってみたり。]


[少し伸びた爪が、右の目元を掠めて、
ち、と、舌打ちが反射的に漏れた。

あぁ、けれども、ちいさな草食動物の抵抗は、
捕食者を退けるまでには至らなかったろうね。

不健康な食事をしていた、細い身体。
服の襟元から覗く、その肩口に、

――思い切り、噛みついた。]


[白い肌から滲む、くらくらするほどに“あまい”味が、喉に沁みこむ。
それでも、物足りないと思う自分に、
頭が冷えていくような感覚も、同時に。

じくりと痛み始める目元に、噛みついていた力が緩む。
さて、少女に突き飛ばされるのと、細い身体から手を離すのは、
一体どちらが先だったろう。*]


ありが、

[とう、って受け取ろうとして、てのひらをなぞられて思わず声が途切れた。
軽く睨む。こういうの、ちょっとずつ入れてくるから油断ならない。大学生くらいの男の子なんてそういうものなのかもしれないけど。
とにかく、今は黒猫さんだ。黒猫さんのボールチェーンの継ぎ目を外して、ネズミさんも通す。ちゃんと付けられるように細工はしてあった]

よし。

[黒猫さんとネズミさん。二匹並ぶととても可愛い。出来栄えに満足して、こたつの隅に置いておいた。すぐにカバンにしまっちゃうのはなんだかもったいない。
そんなことをしてるうちに晩御飯の時間になったかな。何か手伝う? って聞いてみた。
まあ、私に包丁を持たせたりはできないだろうけど]


あ、じゃあ、そうッスねー、鍋の素入れて貰っていいスか?
後はもつととりももの投入をお願いします。

俺はその間に野菜を切ってきます。

[鍋にはやっぱり白菜。折角だから今日は大根と長ネギも入れる。後は、豆腐だな。
二人分の野菜はそこまで多くないけど、流石に白菜は後で投入する分もあるだろう。
あ、後はやっぱり。乾燥春雨だ!

トントン、と包丁の音が響く。テレビは付けっぱなし。
この時間もバラエティ。時たまテレビから笑い声が漏れてくる。
平和だな。]

うっし、切れましたよー。
野菜行っちゃいましょうか!


[わかったって返事して、鍋の支度に取り掛かる。
なんだろう。まるで、家族団欒みたい。変なの。私と新井さんは家族でもなければ恋人でもない。拉致した人と被害者のはずなんだけど]

……お鍋なんて、ずいぶん久しぶり。

[ぽつっと思わず呟いた。そうだ、久しぶりだった。母と二人になってから、お鍋なんか食べてない。
おかしいな。私と母は家族のはずなのに、家族団欒らしいことしてなかった。今のこの状況の方がよっぽど家族っぽい。
変なの]

そうだね。

[新井さんの声に我に返る。頷いて、お野菜を投入するスペースを作った]


[煮える野菜。白菜が熱さにやられてしなりとした。
こうしていると、本当にそういう関係だと錯覚してしまう。]

この鍋待ってる時間っていいッスよね。
まだかな、まだかな、って。

[お玉で肉に火が通ってるか確認する。もうそろそろ良いだろうか?
爪楊枝で肉を刺してみれば、うん。そろそろ良さそうだ。]

ささ、召し上がれ。オススメは大根ッス。
絶対味染みてますよ。味染みた大根はめちゃくちゃ美味いスよねぇ。

[ああ、今度はおでんが食べたくなってきたか。
飯と共に鍋を突く。予想通り、大根は染みて美味い……。]

あ、お酒開けますか?
つっても日本酒くらいしかもう無いですけど。



 [ 引っ掻いた感触がする。
  ―― けど、それまでで。
  
  草食動物みたいな抵抗じゃあ
  捕食する相手が退くわけも無く。
  
  こういう 状況で浮かぶこと。
  皮を剥がされることを覚悟して
  …覚悟した、つもり だった。 ]
 



 [ "皮"こそ剥がされはしなかった。
  しなかった、けれど。
  
  ―― その 奥、
  
  肉を喰われる、痛み が、 ]
 


  ――― っひぐ、 !?

 [ そりゃあ 卯月だって。
  何度も怪我をしたことはあった。
  だけど、これは
  予想なんてまるでしなかったことで。

  ぶち、と
  切れる音すら聞こえてきそうで
  
  引きはがせるほど動けないから、
  鈍い声を上げて、ただ耐えるだけ。 ]
 



 [  だから どうしてか
   突き立てられる歯が緩んだ途端、
  
   今度こそ、突き飛ばして
   生暖かい赤色を 首元から垂らしながら、
   壁際に逃げた。

   鎖の音が、重く 重く。
   室内に響いて、 ]
  



   ―― ど、どして

        そんな、やだ

 [ "人の"肉なんて
  かみ切れなさそうな歯を
  がちがち、言わせて。
  
  得体の知れないものを見る瞳で、
  碧眼を恐る恐る見ながら、
  からからの喉、乾いた唇から
  かろうじて声を上げた。 ]
 


[お鍋のぐつぐついう音には、なんというか、癒しの効果があるような気がする。
なんだか無性に懐かしい。兄がいた頃を思い出す]

いただきます。

[おたまで取り皿によそった。お豆腐と、お勧めの大根も。
火傷をしないように気をつけながらいただく。美味しい]

お酒、は……。

[返事に迷う。なんだかお酒、弱くなったような気がするし。だけどお鍋とお酒って絶対美味しいし。だけど調子に乗って酔っちゃったりしたら……]

いや、お酒は、いいよ。

[誘惑を振り切って断った。拉致生活に慣れつつあって、なんだか油断してる気がする。ちょっと気を引き締めなくちゃ。
それでも強く勧められたらきっと断れないんだろうけど]


良いんすか!? 日本酒と鍋ってめっちゃマストの組みあわせっすよ!
まぁ二日連続はキツいッスよね。

[と言って、俺は日本酒を注ぐ。美味い。美味すぎる。
鍋と飯で無限に酒が飲める。最高。
気が付いたら、多分結構飲んでたんじゃないかな。ハイテンション。]

つか、そうっす。折原さんは自分に自信持ちましょうよ。
自信持ったら可愛くなれますよ! マジで今の格好とか美女そのものなんで、
彼女になって頂きたいくらいッスよ〜。

[ハハハ、と豪快に笑って、鍋を食う。あれ、もうない。
理性がどっか行ってるけど、〆の飯は忘れない。]

〆は雑炊でいきましょ! ホント無限に飯が食える……。

[雑炊は美味かった。後は覚えてない。

気が付いたらコタツで寝落ちしてた。もう寝てるだろうか。喉が渇いたから水飲んで、敷いてあった布団に入り込んで、
就寝。明日は二日酔いかな。**]


メモを貼った。


メモを貼った。


[突き飛ばされて、揺れた視界の中、
壁に逃げていくウサギの姿を、見ていた。

喉の渇きは癒えていた。
残るのは、痺れるようなあまい味と、
鉛を飲んだような胸の重みのみだ。]


 ……ごめん。

[多分、彼女の問への答えにすらなっていない謝罪を吐いて、
ゆらり、片目を押さえて立ち上がる。
向かった先、洗面所に仕舞っていた救急箱を手に、彼女の元に戻っただろう。]

 手当、するから。
 ……じっとしてて。

[ガーゼと消毒液を取り出して、
再び少女へと手を伸ばす。

尤も、彼女が拒むのであれば、
道具を渡して、少し離れた場所から、
遠巻きに見守るだろうけれど。**]


メモを貼った。


[新井さんは本当に美味しそうにお酒を飲む。正直、言葉で勧められるよりもよっぽど誘惑だった。けど我慢。
黙々とお鍋を食べる私と対照的に、お酒の入った新井さんはとてもハイテンションで饒舌だった。お酒の勢いで褒めそやされたのをはいはいと受け流す。はいはい、酔っ払い酔っ払い。
〆の雑炊を食べて、新井さんは見事に寝落ちした]

風邪引くよ。

[いくらお鍋であったまったって、コタツで寝落ちしたら風邪引くと思う。軽く揺すってみたけど、起きない。
仕方なく、肩にブランケットを掛けておいて、後片付けをした。洗い物をして、コタツのテーブルを拭いて。寝落ちしてる新井さんの前に、水のグラスを置いておく]


[今なら、普通に逃げられそうだった。約束したのは一週間。だけど、相手は私を拉致した人だ。そんな人と交わした約束を守る必要はないと言ってしまえばそれまでだ。
それなのに]

……今のうちに、お風呂、いただいちゃおう。

[パジャマはどれを着ればいいのかわからなかった。結局、昨日借りたスウェットを借りることにする。異性の服を借りるのは無性に恥ずかしいと思ったはずだったのに。私、なにやってるんだろう。
勝手にお風呂を沸かすのはさすがに気が引けた。シャワーで済ませる。乾燥機は勝手に拝借]

私、なにやってるんだろう……。

[逃げればいいのに。またとないチャンスなのに。どうして? 約束だから?
答えは見つからない。誤魔化すように布団をかぶった**]


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