人狼議事


190 【身内村】宇宙奇病村

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


[『親父』と呼ぶその声が。
エスペラントにも届いていた。]

 ああ――

 ははは ははははは。

[己は宇宙の藻屑になると理解した以上に泣きたい心地がした。
しかし、涙声も涙も、この機械の体には無い。
幸せな一生である。
長い命だった。

通信が圏外となったか、皆の声が途絶えた。
それでは、おそらくこちらの笑い声もまた届かない。]


お散歩隊長 アシモフは、メモを貼った。

2016/05/20(Fri) 00時半頃


お散歩隊長 アシモフは、メモを貼った。

2016/05/20(Fri) 00時半頃


[気がつくと、薄桃色の水の中にいた。
周囲には無数の白い星が漂っている。]

(ああRemdaだ)

[どくん、どくん、と脈打つ音がする。
自分のものか。それとも、この海の。この星の――Pavr=opetyそのものの?
いずれにせよ、心地良かった。熱くも寒くもない。あらゆる重力を感じない。目を閉じる。何もかもが遠く懐かしいような気持ちになって、自然と涙が溢れた。]

(――、誰?)

[心の呼びかけに応える声はない。少なくとも、今は。
ワレンチナはわずかの心細さに薄く目を開き、再び薄桃色の宇宙を見た。
遠い水面の編み模様は、あたかも張り巡らされた血管のようにも見えた。もしも、産まれる前に見える世界があるならば――子宮の内側から見る風景は、きっとこんな感じなんじゃないだろうか。そんな事を考えながら――
ワレンチナは再び目を閉じると、深い無意識の中へと沈んでいった。]


夢を見ている。


 
[――もしも、ワクラバがワレンチナの端末を開いたなら。

まず、『ワクラバへ』というタイトルで、中身もまた『ワクラバへ』という一行のみが記載されたテキストデータが、最前面に開かれたままになっているだろう。

ファイル一覧の一番目立つ位置には『Remda』と名付けられたフォルダがあり、その中にはRemdaを始祖としたPavr=opetyの生態分布及び進化過程の仮説論文等がまとめられている。

整然としたそれらファイルの中に、ひとつ、手描きの画像メモが残されている。
字はひどく汚く、走り書きといった体の文面。
所々妙な図などを交えながら、つらつらと連ねられている。その内容は。]


・雌雄及び生殖器官を持たない水棲生物が繁殖期になると自然にほぼすべての個体が雌型となり妊娠出産する→その変異の核となるのは経口摂取されたRemdaである
・クラゲで検証済み。一応。要再検証
・少なくとも一定のPavr=opety水域における生態系において、remdaは全ての生物に共通する完全な受精卵としての機能を果たし、母体(下線。矢印が飛び、その先に『雌雄は問わないが形式上こう表現する』の補足)のほぼ完全なクローンとして成長する※視認したのみだが

(白い球体を食べる魚、その隣には小さい魚の落書き。
あまり上手とは言えない)

→RemdaがPavr=opety外で作用することが認められる場合
 クローン生産の効率化
 性染色体との掛け合わせによって性別その他特性を付与した新時代の生体を誕生させる等遺伝子工学に大いに貢献する可能性←倫理にうるさい連中はどう言うか
 生体だけでなく例えば原子炉等に投げ込んだ場合、非常に効率的なエネルギー循環装置となる可能性

 『こう在ろう』とする種の本能に呼応する?
  あるいは子の成長を願う母親のように?
 →繁殖期ゆえに『種を残せる』雌型への変化を呼び起こしたか、単純に雌型にさせるだけか?


(ぐるぐるとペンを動かしたらしい渦状の筆跡。)
(狭い範囲に無造作にトントンとペンを打ち付けたらしい筆跡。)

・ともかくRemdaの成分分析 精細な検査が必要
・Remdaが星の核ならば、何故星自身が生物を繁殖させる?
・我が星における進化論の一説――宇宙からきたバクテリアが海に落ちて変異を起こし、現在の生態系を作った――の、バクテリアは、Remdaである可能性?
・生殖機能を持たない人間もまた妊娠可能か?定着するのは内臓のどの部分か。
・僕の場合は?きちんとした男が産まれるのか それともまた成り損ないか?

(下手なクラゲの落書き。)


[他、端末には。

膨大な量の過去の進化論の研究データ。
今回の探査で撮り溜めたであろうRemdaを中心とした映像、画像、その他分析結果等の研究用データ一式。
ワレンチナを含め、複数人の学者達が整然と並ぶ写真。
そのうちの二人と、ワレンチナ。三人だけの写真。
数人の男女――友人達あるいは恋人達か――の写真。
船員それぞれの簡素な経歴と、顔画像の入ったデータ。

が、入っている。
ワクラバがこれらの一部、あるいは全てを確かめることがなくとも。]


お散歩隊長 アシモフは、メモを貼った。

2016/05/20(Fri) 11時頃


お散歩隊長 アシモフは、メモを貼った。

2016/05/20(Fri) 11時半頃


【人】 お散歩隊長 アシモフ

― 医務室 ―

[ワクラバの声が聞こえるとアシモフは医務室の奥から出てきた。彼は最近よく、医務室奥で薬液に浸かったままのヤンファに話しかけている。]

やあ……メンタルチェックか、いいよ。

[その毛並みは荒れ、髭は折れ曲がり、尾は乾ききっている。
ヴィジョンモニタのチェックボードを出し、いくつかの器機につながったコードを引っ張り出してきた。]

情けないなんてことはないさ、当然デよ……人として、当たり前さ。

ああ、ありがとう……大丈夫、ぼくは丈夫なんだ。それが取り柄なんだからさ……大丈夫。

[細いコードの先はとても薄い円形のシールタイプになっている。それをワクラバの額や喉、胸部、腕につけていくつかの質問を始める。
しかし、結果はわかっている。]

(7) 2016/05/20(Fri) 16時頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

……なんだったらリーマスかジプレキサでも出しとこうか、安定薬さ。

[『一部情緒不安定』。それがここ最近の結果だ。異常ってほどじゃない、こんな状況だ。
しかし。アシモフはわかってきた。

――おそらく、次に眠るのはワクラバだ。]

(8) 2016/05/20(Fri) 16時頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

[だが、彼にそれを告げてはいない。意味が無い。
症状の予測がついても、治療ができない。感染を防ぐ方法もわからない。幸いにしてまだ二週間、彼が眠ることはなかった。
ならば、黙って観測することが一番有益だとアシモフは判断した。]

(どうせこのままじゃ……全滅だ)

[航法装置が完璧に直るまで、ワクラバが欠けてもイースターが欠けても帰還はほぼ不可能になるだろう。
自分の船員としての無力さをまた感じる。]

(9) 2016/05/20(Fri) 16時頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

(ぼくは感染の拡大を防ぐんじゃない、こうなってしまっては……)
(治療法を見つけなければ、帰る意味が無いんだ)

[だから、治療のために犠牲を厭わない。治せないのならば帰れなくたっていい。
アシモフは既にそう考えるまだ追い詰められていた。]

(10) 2016/05/20(Fri) 16時半頃

― 生物学系雑誌『Foundation』XXX号 ―

[『特集:不思議な隣人たち』ボムビークス種研究の第一人者、Vanallen教授へのインタビューより]

――ボムビークス種の特徴についてお話しいただけますか。
はい。大きな特徴として『繭』と呼ばれるものにて出生、成長していく事と、性別が後天的に決定される事が上げられます。
『繭』は二つありますが、まず彼らが出生する小さな繭の話から。
半径20mほどの楕円形で、表面は保温性の高い繊維で覆われています。内部は培養液のようなもので満たされていると考えられ――ああ、何と言っても宇宙に一つだけしか存在しないものですので、内部を開けて見るわけにもいかないため外部からの分析結果による予測となりますが――まず、繭の中に一定の周期で核が発生します。それは中央から外側へ向けてゆっくりと移動しながら細胞分裂を繰り返しhuman型を形作り外周部に到達する。そうすると、表面の繊維に包まれるような形で出生されるのです。
そうして出生された後、三年が経過すると表面から繊維が自壊し始め、ようやく彼らは小さな繭の外へと出ることが出来るのです。


さて、小さな繭から出てもまだ彼らは外の世界に触れる事はできません。次に彼らは大きな繭と呼ばれる施設で生育されることになります。
小さな繭を中心として建てられた、人類がボムビークスを育てるための施設。徹底的に管理された環境で彼らは成長していくこととなります。なぜそこまでするかというと、大きな繭から一歩でも外に出ると彼らはすぐに病に侵され死んでしまうほど体が弱いのです。育成の過程で免疫をつける処置をしなければ、大きな繭の外に出ることはできませんし、大きな繭がなければ彼らは繭が自壊した後に死滅する運命でしょう。
彼らの育成には多大なエネルギーを必要としますが、それに消費したものよりも多くの物を返してくれます。その脆弱な肉体と引き換えに彼らは高度な知性を持っています。我々がいわゆる天才と呼ぶ者達と比べてても遜色のない知性を持っており、科学者として名を刻んでいる者も多く居ることはみなさんもご存知だと思います。


彼らが我々にもたらした研究結果や技術はそれこそ金額に換算するのも馬鹿らしいほどの物となっています。差別主義者や彼らの能力に嫉妬する者は『人類に庇護されなけれ生きることもできない寄生虫』などと言ったりもしますが、共生や互恵関係と呼ぶのが正しいと思いますね。
また、彼らは我々人類にとって非常に美しい、愛らしいと感じさせる容貌をしています。色彩の薄さも彼らの神秘性を増すのに一役買っており、『生きた芸術品』と呼ぶものもいるくらいです。もちろん、それが良いことばかりではなく、誘拐されて出生数の少ない希少性も相まって、特に成人前の場合は高額で取引されたり、宗教団体に神代として祀り上げられているなんて事もありますが。
過去の彼らは現在ほど肉体が脆弱ではありませんでした。人類の庇護を受けるに従って、より庇護を受けやすい形に適応していったのが現在の彼らです。
もっとも、彼らがより人類からより手厚い庇護を受けられるように適応していったのか、それとも彼らが人類の庇護なしには生きられないように人類が適応させたのか、どちらなのかはわかりません。当時の記録にアクセスする権限がありませんので。


――教授はどちらだと思われますか?
それを公の場で言っちゃうと大変な事になりますからねー(笑)
さて、話は変わりますが彼らが性別を持たずに生まれてきて後天的に性別が決まる、というのはよく知られた話ですね。
彼らは同種では交配することが出来ず、外部にパートナーを求めるわけで、その過程でパートナーに合わせて性別が定まるわけです。具体的に何が性別の確定に影響をあたえるのか、その際心身にどのような変化が起こっているのかは現在も研究中となっておりますが、彼らは子供の遺伝子にあまり影響を与えない事がわかっています。知能が高かったり、外見が良かったりなんてことはありますが、基本的にはパートナーの種族特性を引き継ぎます。ボムビークス自体は『繭』から出生するわけで、自らを繁殖する必要がないのかもしれませんね。


では、なぜ彼らは性別を選択するのか。彼らは、繭の情報の一部をバックアップとして他種族に刻んでいるのでは、という仮説が立てられています。彼らは、性別も生物としての本能も関わらない真実の愛を求めているのだ、なんてロマンチックな説もありますね。僕もこの説嫌いじゃないです(笑)
ああ、そうだ、僕独自の研究ですが。彼らの恋愛観についてお話しましょうか。彼らは年上をパートナーに選ぶことが多く見られ、これは彼らが繭から出生し両親が存在しないことに起因して……
・・・
・・

(ページ上部に、Vanallen 教授と彼に肩を抱かれ恥ずかしげにピースサインをする白衣を着た小柄な女性の写真)


― 夢のなか ―

[Pavr=opetyに向かう船内。
医務室にて作業をしながらアシモフと語り合う。その内容は『繭』を見るためにXi=Lingをアシモフが訪れた時の話。
一作業を終えた後は、整備室へと向かいミツボシのメンテナンスを行う。タイミングを合わせて顔を出しに来た、ヤンファの語るOllovaの研究結果を聞きながらミツボシの少しずれた相槌を楽しむ。
食堂へ向かう途中、会話をしてるワクラバとエスペラントに遭遇。ワクラバに封筒を手渡しして、三人で食堂へ向かうことを提案。
食堂ではイースターとナユタも混ざり、食事を取る。キノコとプリントークで盛り上がった。
食後は倉庫へ向かう。大きな水槽の前で彼女は待っていて、Pavr=opetyの海やそこに生息する生物について語り合う一時を過ごす]



[そんな夢を見た]


[とくん。
そんな音を聞いた気がする。
その鼓動の音は甘い夢から引き戻す。
夢から醒めた夢の中。
だけれども、こちらの夢はただ見るだけのものではなく。
明晰夢に近いのだろうか、意思が動きとなって反映される]

[ゆっくりと体が浮上していく]


― 2週間前と2日前 / コンピュータルーム / 薄れ行く意識の中 ―

[あらゆるところが焼けて病んでいた、皮膚も喉も肺も目も。呼吸はままならない。酸素でできた毒がとげとげしく突き刺さり、意識はすでに混濁の中だった]

[けれども存外に冷静だった。彼らを前に私が冷静さを損なうわけにはいかず、冷静を装い続けた。それが偽りの冷静であっても、そう振る舞ううちに本当のことになる。なんてことはない、私はまだ若い彼らと同じ一人の弱い人間だ。彼らがいるからこそ、私は頼りがいのある人物として振る舞えただけにすぎない――]

[あとはただ朽ちていくだけの暗闇の中。私にできることはもうない]


[後悔はない。
私はただただ自分に忠実だった。
今も昔も、死が遠ざけられてゆくにつれ、世界は倦怠感に満ちてゆく。みんなが幸せで、それ以上にない世界。そんな世界にうんざりして、曾祖父のボウリング場に入り浸った。実に楽しい脱落だった]

[それからここまで、私はずっと楽しく生きてきた。
したいことをした、なすべきと思ったことをした。誰かを従えることなく、また誰かに従うこともなかった。苦しみもしたし、いくらかの破滅だってあった。それでも私は思うままに生きてきた]

[だから――後悔はない。されど、心残りはある]


[仮に私がベストを尽くしたとしても、私の仕事たる、船を維持して無事クルーを送り届ける、その任務を見届けられないのは。
今となっては、皆の無事を祈る以外に何もできないというのは。
それにOllova。一文節くらい、彼らの文学に影響を与えたかった。
それだけが心残りだった]

――なんだ、意外に、多いな……。

[機械の駆動音と喘鳴ばかりの暗闇に、かすかな一言が浮かび上がっては、散った]


[初めは、しっかりとした大人の方だという印象でした。
行きの船の中での印象もそれから変わることはありませんでしたが、一緒にお茶をしながら話した時、少し不思議な感じを受けた事を覚えています。
それが始まりだったのかもしれません]

[大きく変わったのはあの時でしょうか、食堂で『女らしさ』の話をした時。
問いかけに答える彼女の目に翳ったのは、何だったのでしょうか。
その時にボクの中でこの女性のそばにいたい、支えてあげたいという気持ちが大きくなっていったのです。
研究の協力者としてボクが選ばれれば良いなとか、そんな他愛もないことを考えたりして。
話の流れの中で彼女にボクの事を好ましいと思っているかを聞きました。
少し冗談めかして、悪い答えが返ってこないように、卑怯にもそんな聞き方で]


[『君を好ましく思っているよ。とってもね』]

[ボクの中で何かのスイッチが入った、そんな感覚でした。
そう応えてくれるだろうと、予測していた答え。
それでも、心臓が大きく脈打つのがわかりました。
胸の奥がじわりと熱くなるのを感じ、それが高まる鼓動と共に全身に広がっていく。
そういう意味の好ましいではない、ということが理解っていながらも心身の異常を抑えることはできませんでした]


[もしボクが男の子になったら。
あんな告白じみた問いかけをこの船旅でするとは、その直前まで自分でも思っていませんでした。
船旅も終わり、そのままそれぞれの星に帰る。
もしまた会えたのなら、そんな風に思っていました。
そう思っていたはずなのに、ボクは彼女に自分の気持ちを押し付けたんです。
それは危機的状況に見舞われていたからでしょうか、それとも未知の病による影響でしょうか]

[でも、それは、心の奥に秘めていた本当の気持ち]


[浮上していくにつれて、周囲の色は薄まっていく。
ふと不思議な感覚がして、動きを止めた。
誰かがいるような、そんな感じが。
見渡してみても自分以外居ないし、もし誰かがいたとしてもこれは自分が見ているただの夢だ]

[それでも、鈍い水流に沈められないように逆らう。
例えそれが独りよがりな考えだとしても。
もしこの場にいるのが彼女ならば、一人で寂しくないように。
彼はその場にふわりふわりとたゆたっていた]



『ね。経つ前に結婚しない?』

[枕に横向きに頭を預けた女性が、隣で仰向けになっているワレンチナにそう零した。
ワレンチナは横目で彼女を見る。緩慢に視線を中に漂わせたのち、起き上がり、前髪を掻き上げた。二人とも、衣服は身につけていない。]

『急だね』
『だって。最低でも数ヶ月、下手したら2年くらい会えなくなるでしょ』
『慣れてるでしょ?僕が長く戻らないのは』
『そうだけど……んー』

[女性がシーツの中で身じろぎする。]


『子どもほしいの。ティナの精細胞作って人工授精させる』


[瞬間、ワレンチナの動きがぴたりと止まった。
額に当てていた手がシーツの上に降りる。]


[今や同性婚は珍しいものではなく、地域階級種族を問わず自由に行うことができる。しかし遺伝子操作によって同性同士の子どもを作る場合、婚姻届はもとより、他にもそれなりの認証や準備が必要だった。]

『だから……急だね』
『うーん。そろそろかな?みたいな。ずっと考えてたけど』
『……』
『やなの?帰ってきた時、子どもが産まれてたら』

[寝転がったままの女性が、いたずらっぽくくすくす笑う。

ワレンチナは彼女を肩越しに見ようとして、しかし視線をどこか遠くに置いたまま。振り返ることなく、ベッドの上で長く細く息を吐いた。]


『嫌だな。寒気がする』


[普段のワレンチナからはあまり想像のつかない、恐ろしく冷たい声音だった。]


[女性は一瞬ぽかんとしたのち、目にいっぱいの涙を溜めたかと思うと、子どものようにわあわあと泣いてワレンチナをなじった。しかし何を言われても、ワレンチナの態度は変わらなかった。自分の子を女性が孕む。それを想像した瞬間、今まで経験したことのないような、途轍もない不快感がワレンチナを支配したために。

そうしてそのまま、ワレンチナは母星を発った。
未開のPavr=opety星へ、学者としての経歴に華々しい色を添える為に。]



(思えば理由は単純だった)

[ぼんやりと意識の海に漂いながら、ワレンチナは薄く目を開く。]

(それは、僕が、僕自身が……)

[涙が溢れる。粘性の高いPavr=opetyの海において、涙はすぐさまそこに溶けるということはない。水中に油の球が浮かぶように、少しの間、ワレンチナの涙は桃色の水の中をゆるやかに泳いだ。]

(『産みたい』と。
 『女で在りたい』と、感じていたからだ)

[自身の身体。環境。周囲からの視線。反応。
それらはそれぞれに、薄い薄い膜だった。しかしそれが幾重も幾重も重なって、やがて強固な層となり、ワレンチナの本質を封じていた。
しかし否応にも反応する――それが本能であるがゆえに。]




『こう在りたい、と望み続ければ』
『生物はそのように――進化する?』

(さあ、判らない)
(けれども――Remdaが助けてくれるかもしれない)
(だから、僕は……)


[ふと。水の揺れる、重い感触。
視線を巡らせる――不思議なことに、天地左右、どこにも水面が見受けられた――その中に、]


(シルク)


[『彼』がいた。]


【人】 お散歩隊長 アシモフ

― 医務室 ―

[ワクラバが去ってから、答えぬヤンファの前にまた立っている。
彼女の揺蕩うポッドに背中でよりかかるようにして。]

なあ、ヤンファ……ぼくは見つけたんダ、あの病状の真実をさ。
あれは……精神疾患だ。それも特殊な感染性の。
そんなもの、ぼくたちの知る宇宙には無かったろ?
Pavr=oprtyの風土病である精神疾患。それがぼくの回答だ。

[ヤンファにも見せるようにヴィジョンモニタを眺めている。
そこには、Ollovaの群れの映像。]

でも、その回答じゃ赤点だ。
なあ……こいつらだったら全部わかってたりしないのかな?文化を持つ群れなんだろウ?
教えてくれよ、彼らと交信する方法をさ……ぼくなら仲間みたいなもんだ、きっと教えてくれるさ……。

(45) 2016/05/21(Sat) 01時半頃

[水にたゆたいながら、ワレンチナはただぼんやりとシルクの姿を見つめていた。薄桃色の水の中にあって、その姿は柔らかくほの白く光って見えた。

水のゆらめくたびに光を弾く絹のような髪、えも言われぬ透明感、男とも女ともつかぬ、一糸纏わぬその姿……]

(きれいだ)

[ワレンチナは何かひどく懐かしいような、寂しいような、嬉しいような気持ちになって、ぼんやりとした表情のまま、涙をこぼした。ふと気がついてみると、ワレンチナもまた何も身には纏っていない。しかし気恥ずかしさはどこにもなかった。]


【人】 お散歩隊長 アシモフ

[そうやって呟いていると、傍受はオープンになっている通信回線の会話が聞こえてくる。ワクラバとミツボシの会話。(>>27)]

……。

……ふふ、ユダか。
信じるものを裏切った男、信じたからこそ裏切らざるを得なかった男……いったいワクラバ、君は何を信じ何を裏切ったっていうんだろうネ。

真実の裏切りは、ぼくだ。期待を裏切り、帰還を望まず、今も真実を伝えずにいるままの……ぼくは……。

[通信はこちらからの言葉を送るようには開いていない。
するとアシモフは寄りかかっていた背中を離し、よろよろと歩き出す。
医務室のいっぱいになった寝台に寝たナユタ、シルク、ワレンチナの顔を眺め、部屋をあとにした。]

(47) 2016/05/21(Sat) 02時頃

お散歩隊長 アシモフは、メモを貼った。

2016/05/21(Sat) 03時半頃


お散歩隊長 アシモフは、メモを貼った。

2016/05/21(Sat) 12時半頃


【人】 お散歩隊長 アシモフ

[通信回線から聞こえっぱなしの会話。(>>54)
それは、アシモフの足を速くした。4足歩行で手足を動かしながら、疲弊した脳が光を得たように動き始める。]

― 食堂兼レクリエーションルーム―

寄生体、だって言ったな……?!

[半自動扉の開ききる前に飛び込んできた。]

(57) 2016/05/21(Sat) 18時半頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

寄生体……しかしこれは精神疾患だ。寄生虫ではない、それは各員のオールチェックをしていることからも違うっていうのはわカる。だから、つまりこの疾患は、精神に寄生する「何か」の仕業、ってことなのか……!!?

[ワクラバとミツボシの間に喋りながら入っていく。その目は真実に近づいた喜びと、倒すべき敵を睨みつけるような強さがあった。]

(58) 2016/05/21(Sat) 19時頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

精神寄生による疾患、そういうことなら説明はつく。聞いたこともないけれど、にわかに想像はし難いけれど、納得はできてしマう。
しかし……だったらどうする……?寄生虫の治療は薬か外科手術で摘出することが基本だ。精神……そこから取り除く方法とは……取り除いたところで、次に感染しないのか……?

[話しかけたというわけではないようだ。二人の間に入っていきつつも、また一人俯いてぶつぶつと考えながら呟いている。]

(59) 2016/05/21(Sat) 19時頃

お散歩隊長 アシモフは、メモを貼った。

2016/05/21(Sat) 19時頃


【人】 お散歩隊長 アシモフ

(― 倉庫 ―)

[浮いたままのヴィジョンモニタから聞こえてくるイースターの声。(>>63)]

オーケイオーケイ、聞こえてるよイースター。

……感染の判断はある程度できる……つまり取り除くことが可能なら次に感染したかを判断はできるから、まず取り除くことが重要だろうか……?いやそのためには人数が足りない、被験体が欲しい……。

[イースターの声に答えつつ、ぶつぶつとまだ呟く。]

(66) 2016/05/21(Sat) 20時半頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

(>>69)

……。

[驚いた。なるほど、と思った。]

つまり、あの時点でAIはその……精神寄生体の存在に気づいていたってことカ。
……システム的には有り得ない話じゃないが。

[管理AIにそんなものを見つけられるのか、という疑問はあった。]

(71) 2016/05/21(Sat) 21時頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

[(>>70)]

できるのカい……?!
いや、もちろんAIがそれを検出できていたという前提だろうけれど、データはあるだけあった方がいい。どんな病気だって、その正体を突き止めないことにはどうにもならないんだから。

(72) 2016/05/21(Sat) 21時頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

[寄生体を検出したデータがあれば、それは感染経路を推測する参考データになる。感染経路がわかれば、それを予防できる。少なくともこれ以上の犠牲者を出す事態にはならない……!]

(73) 2016/05/21(Sat) 21時頃

[頬に温かい物が当たる。
それは緩やかな水流に乗って、届けられた。
薄桃色の流れの先へ、目線を向ける。
探していた姿が、そこにあった。
ゆっくと流れに逆らって、近づいていく]

[近づくにつれ、彼女の顔がはっきりと見えてくる。
寂しさの混じった、その表情が。
先ほど頬に当たった暖かさを思い出す。
寂しさを抱いて泣いている女の子が、目の前にいる。
だから――]

[両手を伸ばし柔らかに、抱きとめた。
まるで、彼女を包み込むかのように]


【人】 お散歩隊長 アシモフ

(>>74)
[アシモフには何をどうするのか検討もつかなかったが、とにかくイースターが頼もしく見えた。]

わかった、よろしく頼むヨ。

[状況が進み始めた。なんて優秀な隊員達だろうか。自分がどれだけ助けられているか。]

(75) 2016/05/21(Sat) 21時半頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

[こちらを向いたワクラバ(>>76)から目だけつい逸らしてしまう。]

寄生体探しか……。
今、どこにそれがいるのか、誰に寄生しているのか……それについては検討がついてるんだ。
問題は、どうしたら、どういう時に感染するのかって方サ。

[少しでも話題をずらしたく思った。]

(78) 2016/05/21(Sat) 21時半頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

(>>80)

ああ、そうだネ……ぼくが倒れたら、皆を起こす人がいなくなるからね。
ぼくは、倒れるわけにはいかないよ。皆のためにも、誰を犠牲にしても……。

(83) 2016/05/21(Sat) 21時半頃

/* うわーみんな頑張れ! */


【人】 お散歩隊長 アシモフ

[(>>90)ワクラバから連絡をもらいイースターの自室へ、ミツボシに手伝ってもらって介抱してやることにする。命に別状は無さそうで何よりだ。
何で全裸なのかは疑問だったが。とりあえずそのまま医務室へと運ぶ。

AIモジュールのことはワクラバに任せ、感染経路がわかった時にとる手段に頭を巡らせた。]

(91) 2016/05/21(Sat) 22時半頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

(精神に寄生するもの……それの摘出、もしくは根絶か……)

(現在寄生されている人が手遅れかどうかも問題だが)

(……何かを、犠牲にしてもやらなきゃならない)


[――アンドロイドに寄生され得る精神はあるのだろうか?]

(92) 2016/05/21(Sat) 22時半頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

― 医務室 ―

……任された!

[(>>93)ワクラバのGOサインが来た。開かれたヴィジョンモニタに映るデータと命令コマンドの嵐。
それを見続けながら手元のコンソールを叩き続けた。
時間があるわけじゃない。今感染している……おそらくワクラバは、いつ眠ってしまうかわからないのだ。その前に、何とかしておかないととれる手段がまた一つ減ってしまう。

AIが危険を検出した時の記録。ヴィジョンモニタが十も二十も浮かび上がった。映像記録、音声データ、サーモグラフ、定時バイタルチェック、質量記録、エネルギー測定、可能性の羅列……。
それを自分のできる限り最速で、精査していく。

流れるデータと思考とともに、時間ばかり費やしているように思えた。どれだ、どれを危険だとAIは思った。]

(94) 2016/05/21(Sat) 23時頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

[ミツボシの声にアシモフは振り返らなかった。ヴィジョンモニタにずっと目を走らせながら、耳だけを向けていた。ミツボシの出自、そこにはきっとヒントがあるはずだと思ったから。]

(話をすると、寄生体に感染してしまう恐れがあると――)

……これかっ!

[問題は彗星の時間よりずっと前だった。
ナユタとシルクが話している映像データがあった。場所は船外活動準備室。彼が倒れていた時間とは全然違う時だが……。
ナユタがシルクに何事か話している。そう、何事かだ。
何かは、ノイズでわからなくなっていた。
音声データが壊れている箇所なんてこの近辺では見当たらない。映像も、微かに乱れがあった。エネルギー値もよく見ればおかしい。]

ここでAIは想定外の危険性を検出したってことか……!

[たいしたもんだな、と場違いに思った。]

(97) 2016/05/21(Sat) 23時頃

[ゆっくりとシルクが近付いてくる。ワレンチナの目からはふわふわと涙が溢れ続けていて、それらは近付いてくるシルクの頬や、髪や、指先を音も無く柔らかくすり抜けて、やがて海へと溶けていった。

彼の両手が自身に触れるその瞬間まで、ワレンチナの視線はシルクに真っすぐ注がれたまま――そうしてゆるやかに抱きとめられ、一瞬目を見開く。それはあまりに優しい抱擁だった。今までの何もかもを、許してくれるような――]

ふ……、う、
うわああああん。ああーーん。わあーーーん……

[ワレンチナは彼を抱き返して、大声を上げて泣いた。時にしゃくり上げ、いやいやをするように彼の肩に、胸に縋り、泣き続けた。
ワレンチナの泣き声はゆるやかな波となって広がってゆいった。その残響。反響。それらは鐘の鳴るようにどこまでも幽玄に響きあって、その場のすべてを幻のように包んだ。]


【人】 お散歩隊長 アシモフ

話をすると……なるほどね。
どんなことを話したかってのも問題だが……表情を察するに無意味な日常会話じゃなさそうだ。
ナユタが何か……言いづらいことをシルクに伝えているように見えるな。

[映像を必死で調べる。頼る手段が推測しかないのは苛立たしいことだったが、仕方ないと諦めていた。

それから、長く一息を吐いて……ミツボシに向き直る。]

(98) 2016/05/21(Sat) 23時半頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

……ふー……助かったよ、ミツボシ隊員。

……。

[答えるために考えた。]

……人間と一緒、か。
……実際のところ、ぼくは君をよく知らない。この船に乗り込んできてから、ぼくとはあまり話してないだろう?ぼくはここに篭もりきりだったしネ。
だから、君に対しては騙されていたな、という思いが強いんだが……まあそれも君のせいじゃないってことだし、それはいいんだ。

[どう考えをまとめたものか、どう告げたものか、悩んだ。]

……まあ、ぼくから見て君はアンドロイドらしくはないよ。
人間らしいかどうかは、他の隊員に聞いた方がいいナ。ワクラバとかにね。

[だけど、とまた一息いれて]

(99) 2016/05/21(Sat) 23時半頃

『もし、ボクが男の子になったら』

[記憶の中の声がする。ワレンチナはもう、泣き声をあげてはいなかった。それでも未だ遠く響き渡り続ける――もはや掠れに掠れ、ただ不思議なノイズのようになった――声の中で、ワレンチナはゆっくりと顔を上げる。目の前には、どこまでも無垢で透明なシルクの顔があった。ワレンチナは目を見張る。]

(ああ)

『ワレンチナさんは』
『交際相手もしくはそれに類するものに』

(シルク、僕は)

『してみたいと思いますか?』

[泣きながら下唇を噛んで微笑む。シルクを見つめたまま、ワレンチナはゆっくりと首を横に振った。そうして今一度、シルクを両腕で抱きしめる。瞳を閉じ、唇を開く――]


僕は。君のような――
無垢な子どもに、産まれたかった……


[抱きしめる腕に力がこもった。
海が揺れた。星空のように辺りに漂っていたRemdaのすべてが一瞬、一同に震えわななく。
世界が、白くざわめいた。]


【人】 お散歩隊長 アシモフ

君の人間らしさに、ぼくは賭ける必要がある。

[強く、ミツボシを見た。]

君に、感染させる。
ぼくは隊員たちを守るために、そう選択する。


[通信はオープンだ。皆に聞こえているだろう。]

(101) 2016/05/21(Sat) 23時半頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

(― 医務室 ―)

[医務室に入ってきたワクラバに息を止めるが、告げることを決断する。]

これまでの記録、シルクとワレンチナ、ワレンチナと誰が話したか……それを確認していけばわかるだろうが……
おそらく今の被寄生者はワクラバ、君だ。

[それから、ミツボシに向き直るも、視線を逸らした。]

……ありがとう、とまだ言っていいかわからない。
ぼくのこの提案は、今の君とって酷かもしれないからだ。

この精神寄生体の脅威を取り除くには、根絶するには……ミツボシ、君に感染させて、そして君の精神を、心を、寄生体と一緒に消してしまう手段しか今のぼくには思いつかない。
……フォーマットするんだ、君を。

(106) 2016/05/21(Sat) 23時半頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

イースター、やってくれるだろ?

[目を覚ましてはいるらしいイースターの気配(>>105)に声をかける。体調は回復してないだろうが、彼女を頼るしかない。
目は、逸らした。]

(108) 2016/05/21(Sat) 23時半頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

[(>>109)ワクラバの声は、当然だと思った。だが、それでも引き下がれない。]

そうダ……寄生体ごと、全部消すんだ。
ぼくが考えついた結論はそれだ。最善の対処だ。

[そうして続く声に(>>111)小さな体で、強い意志で、顔をあげワクラバを見据えた。]

……わかってる、治療はまた別だ。フォーマットは、感染源の根絶のための、最終段階の話ダよ。
治療については……これも賭けになるが、ひとつ、考えがあるんだ。

(114) 2016/05/22(Sun) 00時頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

(>>113)

ミツボシに寄生させる前提上、ワクラバ隊員には一度眠ってもらうしかない。それについては申し訳ないと思う。
そして、モニタリングもさせてもらうつもりだ。
これまでのデータと、君のモニタリングを通して……可能性はあるんだ、治療の。

[そう言うと医務室奥の壁を開けて、ヤンファの入ったポッドが見える。そこに置かれたままになっている携帯端末のモニタには、Ollovaの群れの映像と、解析データがあった。]

(115) 2016/05/22(Sun) 00時頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

……ヤンファの研究していたOllovaには、振動と同調という特徴がある。
わかるかい?個体が他個体を同調させるんだ。いわばそれは、感情を呼び起こすってことでもある。

[もちろん、実験すらしてない。仮定でしかない論だけど、賭けるしかない、と付け加えて。]

振動は波だ。つまり……

――データを波にして、ミツボシから寝ている皆に届ける。

(118) 2016/05/22(Sun) 00時頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

ワクラバ……すまない。
君も、皆も、イースターも……ぼくが背負うよ。

(119) 2016/05/22(Sun) 00時頃

【人】 お散歩隊長 アシモフ

そしてミツボシ、すまない……

ぼくは、無能な医者だ……君を、真実の意味で救うことは、できないんだろうから……。

(122) 2016/05/22(Sun) 00時頃

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