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「マドカ………の!?——……!?……せんせ、せんせーーー!!」
[どれくらいたったか、モニカの声が聞こえて少女は目を開ける。
ぼんやりした意識のまま着替えさせられ、うわごとのようにごめんと。
養護教諭にも何かを聞かれたが質問も答えた少女の話も覚えていない。
誰かの手に支えられてベッドに横になった]
うん。
[頭を撫でる友人の手が冷たくて気持ちよかったことは覚えている
メモを貼った。
あぁ、まあ色々思うことがあったからな。
[そう言ってアイリス同様に頷く。
そして、自分の問い掛けに対して、やはり同じように心当たりが無さそうなアイリスを見て、もう一度頷いた。]
やはりそうだろうな。
アイリスはいい子だからな。
まあ、かと言って自分の事を我慢したり、我儘を云わないのはあまり感心しないが…。
…心配しないでも、帰ってこなくなるなんてことはない。
いつだってアイリスの所に帰ってくる。
[もう一度緩く微笑みを浮かべる。
これだけ素直に表情を出せるのはアイリスくらいかもしれない。]
…………はっ。
そう、返事よ。返事しなくちゃ。
[浮かれすぎて返事を忘れていた。はっと我に返ると丸椅子に座りなおし、返信を作成する]
To:くらりん
Message:
心配かけて本当にごめんなさい。
それに、本当にありがとう。
力になれないなんて、とんでもないわ。
くらりんも、いつでも相談してね。
くらりんがいてくれて、本当に良かった。
私にとっても、くらりんは大事な大事な親友よ。
[眠気も吹っ飛び、すっかりご機嫌になって送信した]
たとえ、時間移動や空間移動の先から帰る手法が無かったとしても、必ず帰ってくる方法を見つけ出して帰ってくるから心配はいらない。
[そういって、何かを察したかのような質問に対して返答をする。
そして、もう一つ、最後の質問には少しばかり困った表情を浮かべるものの、一度だけ目を閉じて、アイリスを見つめ返した。]
今の俺は好きだと、そうはっきり言えるよ。
……——ん。
[浮き沈みする意識の間で少女の耳は友人のくしゃみを捉える
張付く瞼をこじ開けて、重たく感じる布団をずらす。
背を持ち上げようとすると慣れない山登りをした翌日のような
痛みが全身にかかっていて小さく呻く]
大丈夫?
[モニカが少女に気づくのと少女がモニカに聞くのはほぼ同時だったか。
癒される気の抜けた笑みも今回は不安の残るように思えた。
アオイも熱に倒れたのだから流行病かもしれない。張付く舌で声を出す]
うん、ありがとう。無理しないで。
[今の体調だと粥とりんごはとてもありがたく感じる。
モニカが外に出た後、鉛の腕を持ち上げてコップを取って水を飲んだ。
熱を出したことで倍速薬の分解か代謝が早まったか、
動きが妙に遅くなっているのは副作用が出ている証拠だった]
[頬杖をついて実験装置を見守っている。だらしなく頬が緩んでいた。
何度も頭の中で反芻して、にやにやしてしまう]
ありがとう、って。
本当にくらりんは可愛いんだから。
[ここ数日、色々あった。婚約し、振られ、また元鞘に戻った……らしい。
いっぱい泣いたし、教師にも酷い目に遭わされた。
けれども]
うん、今日も、いい日だわ。
[いくらなんでも、もうそろそろ事件も打ち止めだろう。
そう願いたいものである]
我儘か?俺はアイリスの我儘を聞いたことがないが…。
[アイリスの言葉には若干不満そうに顔を顰めた。
あれだけ可愛がっているつもりなのに、それでもこの子は自分よではなく両親に我儘を言っているんだろうか?
それはとても嫌なのは、他の弟妹達と同様、いつでも頼って欲しいからだ。
しかし、顰めていた顔が若干引きつったのは、再生された自分の声を聞いた時だった。]
なんだってそんなものを録音する…。
[そう言いながら、続くアイリスの言葉にふと疑問符を浮かべる。
自由に動かない足を軽く引きずりながら、アイリスに近付いて頭に手を置いた。]
沢山子どもは作りたくはないが…、俺の幸せには、アイリスの幸せも勿論含まれているぞ。
そういうのは、俺だけじゃない、アイリスにだって言える事だ。
[震える声を聞きながら、おいで、と手で招く。]
俺がアイリスを置いていなくなるなんてこと、あるわけないだろう。
俺はいつだって、アイリス達の事が大好きなお前達の俺のままだ。
メールを。
[目を落とした端末の時刻表時を見て少女は慌てる。
クリスは忙しいはずだ、少女が倒れた今アオイが心配だった。
他の人に頼めるか分からないが報告だけは入れる必要があるだろう]
件名:なし
ごめん、熱出て動けない。
誰かアオイを見られない?
[少女は緩慢な動作で指先を操り文章を作成してクリスに送信する。
少女自体のことはまだ考えるだけの気力がない。
あるいは考えたくないの方が正解に近いのかもしれなかった]
メモを貼った。
[メールを送り終えるとまたぐったりと横たわる**]
あら。
[端末がちかりと着信を知らせる。
頬杖をやめて、メールを確認した。
文面に目を走らせ、眉を寄せる]
熱が出て、動けない……?
[薬の副作用とは考えにくい。熱が出るということはないはずだし、そもそも早すぎる。
となると、無理をしすぎて体力が限界を超えたか、風邪を引いてしまったのか]
大丈夫なのかしら……。
[体調が、というより、卒業が]
[マドカは、論文と研究がピンチといっていた。ハイリスクハイリターンな薬に頼らなければならないレベルでピンチだと。
それが、この段階で体調不良で寝込んでしまって、果たして間に合うのか。……間に合わない気しかしない]
アオイのがうつった……ってわけじゃ、ないわよね……?
[万一そうだとしたら謝って済むというレベルではない。
アオイは知恵熱だと思われるので、違うと信じたいところだ]
ふむ…。
[首を横に振られれば、またしても顔を顰めた。
頭を寄せてくるアイリスに、小さく笑みを浮かべれば、その頭を撫でながら肩を抱き寄せる。]
泣かなくても、俺はアイリスとの約束を破ったりはしない。
それにしても…最近は妙に馬鹿と罵られる機会が多いな。
[フィリップやクリス、そしてついにはアイリスにまでである。
他にも誰かに言われた気がする…。]
そこまで頑なに俺に我儘を言いたくないのなら、俺にも考えがあるぞ。
アイリス、俺の我儘を1つだけ聞いてくれないか?
[送信完了を確認すると、白衣のポケットに手を入れて、考える。
ゆっくり休むのが一番だが、そうできないとなれば]
解熱……?
ううん、それも……。
[この場合、優先すべきは体力の回復だと思われる]
やっぱり、ゆっくり休むしか、なさそうな気がするわ……。
[ゆっくり休んで体力を回復し、その後薬でドーピング(合法)して追い込みをかける。
遠回りでもそれに望みを繋ぐしかないような気がした]
[こくりと頷いたアイリスに向けて、笑みを浮かべる。
どちらかというと、いつもの優しい笑みではなく、意地悪を思いついたような笑みだ。]
じゃあ、俺の我儘だ。
アイリス……
[意地の悪そうな笑みを浮かべたまま視線をアイリスに合わせる。
それから、アイリスに頭を預けた。]
ちゃんと俺に、我儘を言いなさい。
まあ、薬があっても、託す相手もいないものね。
[マドカとの共通の友人といえば、アオイとモニカだが、アオイは寝込んでいるし、モニカの連絡先は知らない。
諦めて白衣のポケットから手を出す。頬杖をついて]
他のみんなはがんばってるのかしらねー……。
[薬を処方した人たちの顔を思い浮かべた**]
メモを貼った。
お前の兄さんは賢いから仕方がないな。
[馬鹿と言われたことを若干気にしていたようだ。
沈黙の間も何かを喋るわけでなく、トントンと背を叩く。]
そうだな。時間は有限であり、今の技術では未来に行く事も、過去に戻る事も出来ない。
そんな壁はいつかは取り払われてしまうだろうがな。
[それは、何に対して言ったことか?その言葉には僅かながら意気消沈の色が混じる。]
あぁ、結婚したら一緒に暮らすだろうが…。
アイリス達もまとめて同じ家で暮らすのだから関係ないだろう?
[きょとんとした表情で、そんな発言をする。]
あんな両親の元に大事なお前達を置いていくわけないだろう?
お前達が皆独り立ちするまでは、一緒に暮らすぞ。
[彼の中ではとても当たり前の事だと言わんばかり。
溜息まじりにそう漏らした。]
[泣き出してしまったアイリスへもう一度頭を撫でる。]
すまないな。
でも、ちゃんと言ってくれて、俺は嬉しかった。
クリスに?言ってないが反対しないだろう。
家族なのだから、気にしないと思うが…ダメなら説得する。
何度でも説得する。俺はどっちも選ぶぞ。
[大事なものだからこそ、どちらかを選ぶことはしたくない。
だから、どっちを選ぶとも、決して言わない。]
アイリス、さすがにそこまで馬鹿を連呼されると、流石に落ち込んでくる。
まあ全てにおいて完璧とは言えないが…。
[困ったように笑ってみせる。]
[何度も重ねられた馬鹿という単語も、今日だけで大分言われ慣れた気がする。
アイリスの忠告に、目を細めて深く考える。]
いや、まあ伝わってると思うが…。
いずれにせよ、話し合わないといけないからな。
[どんな風に伝えるべきだろうかと。
どうすれば全部伝わるのかは正直わからないのだが。]
メモを貼った。
[フィリップに怒らせたくない認定されたとは露知らず、目下の悩みは]
チャーハンって……冷めたら美味しくないわよね……。
[これであった。
クロフォードの差し入れのチャーハン。夕食用にするつもりだ。
しかし、チャーハンは冷めると美味しくない]
なんとかして温められないかしら。
[アルコールランプやバーナーを手に首を傾げる。
ちなみに、まだ夕食まではずいぶん間がある。
つまり……暇なのだ]
[どう考えても大丈夫じゃなかった。
卒業の危機である、非常に哀しいことに。
現実逃避を始める頭はとりあえず寝ろ、話はそれからだと囁いている。
少女も眠って復帰を早くするくらいしか正直思いつかなかった。
いっそ夢オチであってくれ。
鈍い動きで頬をつねったら痛かった]
ねえ、今の気分分かる?
[戯れに端末に聞いてみると、退屈を提案してきた。
昨日今日で近いものをピックアップするまでは戻ってきている。
惜しいけどそれじゃない]
エラー、これは自虐的抑鬱。
パラメータを見なくても断言できるわ。平坦で間違うけど直して。
もう最悪……。
[少女は額に手の甲を当てるーー熱したポッドみたい、ひどいな。
無理と偏った食事で体が弱っていたのが原因の一つだと自身で思っていると、
自虐的にもなろうというものだ。
少女はアオイが知恵熱であることは知らないため、
流行性の風邪かもと最悪の想像もしているわけで。
いつ治るかと思うと気分は重い]
[その時着信を知らせるランプが灯って、少女はのろのろとメールを開く。
さっき送ったメールの返事がもう返ってきていた。
内容を流し読みするとアオイは大丈夫とあってとりあえずほっとする。
少女自身は大丈夫ではないが——]
……寝よう。
[回復してやれるとこまで足掻くしかない。
手伝えることがあれば言ってくれとメールしてくれた人もいる。
借りれるものは猫でも借りよう。クリスにもそのための一通を送った]
メモを貼った。
[温め、なおかつべしょっとさせない。そんな方法はないものか。
実験器具を並べて暇つぶしをしていると、メールが届いた。
文面に目を走らせ、眉を下げる]
やっぱりそうよね。
[大丈夫? なんて愚問だった。大丈夫なわけなかった]
メモを貼った。
[慰めになるかわからないが、マドカへ励ましのメールを送信していると、ノックの音がした
はーい……くらりん!
[クラリッサの姿を認めるとキャラチップスマイルになる。
差し入れという言葉にこくこくと頷いた]
ありがとう。嬉しい。
退屈していたの。
いい香り。
[コーヒーを受け取ると、くん、と鼻を動かして香りを楽しむ。トマトジュースが一番好きだが、やはりコーヒーの香りは格別だ]
アオイの様子を見てきてくれたのね。ありがとう。
よかった。
私、暇は暇なんだけど、ここから動けなくて。
[そう言って、大掛かりな実験装置に目を移した]
完成まで目が離せないのよ。
そうなの。
面倒だから、絶対割ったりしないでくださいって念を押して提出したのに、先生が割っちゃって、作り直し。
[ため息を吐くクラリッサに向かって、肩をすくめて説明する。
眼帯のことを指摘されると、照れたように笑った]
うん。
もうね、やめようと思って。
[コーヒーに目を落として、ぽつりと零す]
本当はね、わかっていたのよ。
私は特別でもなんでもない、普通の人間なんだって。
シェル、開けて。
[届いたメールを端末に自動展開させる。こんなとき空間画面式は便利だ。
しかし、シェルドンがしっかりした感情蓄積データを持っていたら、
三原則の第二条において操作を禁止するか寝ろと警告が入るはずである。
普通に開く画面は主人の危機を感知していない証拠でもあった。
クリスからの返答を見て頷き目を閉じる]
焦らない。
[状況が重くのしかかったことをはっきり認識できた今、
寝ようと思うのもなかなか簡単なことではない。
単位は足りたというのに卒業論文の、しかも一度完成しかけた研究結果が
飛んだという理由だけでもう一年の崖っぷちである。
そしてもう一つ酷く気が重いのは。
単位を満たしたことに嬉々として菓子を送ると宣言した先生のことだ。
……どんな顔をして会えば良いのか分からない。
無理すんな。
思い出したメールの文面約一行が心に痛い。とっても痛い。
こうなるならせめてホワイトデーの文面を削らずに送れば良かったと思う]
心配…?そうか、それはすまなかったな。
[アイリスの反応に不思議そうな表情を浮かべながらも、心配をかけていたというのなら、素直に謝るべきなんだろう。
続く言葉に表情を顰める。]
良い兄貴だと思ってくれているならそれは十分嬉しいが…。
凄いとか、天才とか言われるとそれは違うと言いたくなるが…。
残念…ってのはどうなんだ…?
言葉足らずなのは分かるが…。
[どうにも人の感情や心を見抜くのは苦手なせいで、そう言われてしまうのは仕方がない気がしてしまう。]
だが…俺が伝えられるのは言葉くらいしか…。
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