266 冷たい校舎村7
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…………きもち わる …………
[そのまま床に横たわって
……耐え切れずに、目を閉じた。 きっと誰もこないはずだから*]
(295) 2019/06/13(Thu) 03時頃
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―― 4階:3年1組 ――
[4階にある3年1組の部屋。 天井から無数に吊り下げられた男女の人形が つがいじみた人形が、 床に倒れ眠る生徒を、じっと囲んで見下ろしていた*]
(296) 2019/06/13(Thu) 03時頃
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羊の肉をしっかりと叩いて 食べごろになるまで繊維を切って おいしくなるまで、ちゃんと、 **
(297) 2019/06/13(Thu) 03時頃
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―― 4階:3年1組 ――
[ふっ、と意識が戻ってくる。
フローリングの床にいくつも影が落ちて…… 窓の外は相変わらず白くて…… 目の前に、いくつも色彩がゆれている。
吊り下げられた色とりどりのおもちゃ。 赤ん坊に「笑って」っていって、親たちが買ってくるやつ。 あんなの、久しぶりに見たな。
もびーる。と、そのおもちゃを呼んだ。
他の人には人形に見えているなんてわからない。 狂った認識が治る日がくるのかは知らない。]
(334) 2019/06/13(Thu) 20時頃
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「うちではこうだった」。
きっと子供だった誰しもが通る道。 世界がゆがんでいたって、おかしくたって 本人は悟るまで気づかない。
……でもね。養拓海の世界では、 概ねは君たちの見る景色のほうが正しい。
(335) 2019/06/13(Thu) 20時頃
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[俺は隣に誰かがいるのを感じて、 視線だけ、そっちに向けた。>>323>>324
床に寝転がっていたのはキョースケだった。 なんで? って俺は思う。
そもそも俺はなんでここにいるんだっけ? って続きを考えて
……わかんねえや。と考えるのをやめた。
あまり記憶がないのに頭だけやけに痛いので いつもの元気な俺は閉店休業です。
動作も緩慢に上半身だけ起こして ぺた、とキョースケの横に手をつき 眠そうな顔でじっと顔を覗きこんだ。
お前の視点からは、 俺が白い人形の世界を圧迫したように見えるのかもね。]
(336) 2019/06/13(Thu) 20時頃
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……いきて……る? なにしてるの、キョースケ。
[マネキンになってない?
むに、と よく笑う頬を片手で軽くつねってみる。 痛くはないはずだ。*]
(337) 2019/06/13(Thu) 20時頃
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―― 現在:4階 3年1組 ――
[……じゃあ、転がっていた。 ってことにしておこう。
変なの。って、悪戯が成功した子供みたいに 俺は元気はないけどくすくす笑った。>>345
何してるの。 生きていて。呼吸をしていて。ここにいて。 それで、その先は。
キョースケが妙に詩的な事を言うので ゆるく首をかしげる。>>346]
(354) 2019/06/13(Thu) 21時頃
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夏休みの観察日記みたい。 そんなに俺、へんなことしてたっけー……
[ここでいう夏休みの観察日記とは ペットを飼っている家の子がよくやりがちな 「いぬのかんさつ」とか、ああいうやつだ。
ゆっくりと上半身を起こすキョースケにあわせて 俺も姿勢を乗り出す形から、ただ座る形に戻した。
ぼんやりしていた……とはいえ習性的に
伸びてくる手に小さく肩が跳ねるんだけど、 抵抗はそれだけで
加減がそう上手じゃない指先をただ受け入れてる。 変な感覚だ。目を閉じてそう思った。]
(355) 2019/06/13(Thu) 21時頃
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……はは、へんな感じ。
[例えば手を繋ぐとか それで簡単に世界も共有できれば楽だけども 伝わるのは、ただ手のひらの熱だけなので もう少しだけ視覚情報を消して、感じておくことにする。
微熱か知恵熱か、眠いだけか。 少し熱い額をキョースケの手に押し付け、 「はんぶん」と答える。>>347 そう。はんぶん。半分くらい、……寝てる。
本当に目覚めたとき、 この世界と君たちはどんな風に見えるんだろう。 まだ、知らない。 知ったら終わりだろうな。]
(356) 2019/06/13(Thu) 21時頃
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[だから、言葉が聞こえればゆっくり目を開いて 指先から離れるし>>348]
…………あんまり覚えてない 悟にムカついたんで、怒ったとこで ふらふらっとここに来て……ええと、 気絶でもしたかな
あーうん、そっか。体調よくないのか……
(357) 2019/06/13(Thu) 21時頃
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[覚えていない話につきましては 雲のようにふわふわとした回答を返す。
気遣ってもらっているなあ、と理解しながら あんまりそのときの俺は、キョースケを気遣わず
よいしょ、と年寄りじみた言葉を吐きながら ふらふら立ち上がって こつん、と頭にぶつかるモビールを払った。 …………人形の体を跳ね除けた。だっけ?]
(358) 2019/06/13(Thu) 21時頃
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ん……。わかった。行くよ。 ここ、色がうるさくて落ちつかねえし 頭痛くなりそう。
[白と赤しかない部屋で 俺はわずらわしげに人形を見て、 いこ、って昔みたいに歩きだす。
ゆっくりした歩幅でも、保健室まで辿り着くのに そう時間はかからないんだ。
保健室のベッドに腰掛けたら もしくは、途中の廊下かもしれないけど あのな、って俺は語りだすだろう。]
(359) 2019/06/13(Thu) 21時半頃
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ういのが、4階の3年7組でマネキンになってたよ……
[って、 冬には雪が降るみたいに。 この世界の常識みたいに。*]
(360) 2019/06/13(Thu) 21時半頃
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てんとうむしのお世話をして
おともだちと笑いあった時間
なんてことない賭け事をして
勝った負けたと言い合う日常
自分たちの持つ物を活用して
一つの形に仕上がった文化祭
楽しかった 本当に
心の底から笑うことが出来て
それは確かな しあわせ で
たった一つの嘘が忍び込む
嘘はやたらと存在を主張して
楽しさの傍らに立っている
光があれば影が生まれるみたいに
それは しあわせと隣り合っていた
しあわせだよ って
語り掛けるようなゆるい顔
ふわふわの可愛さは
嘘なんてないしあわせを
伝えてくれたことでしょうか
────そんなこと 知る由もない
──── →病院 ────
[ 疲れる、って、感覚は無かった。
ばくばくと鳴る心臓が、
走り続けたせいなのか、
報せのせいなのかわからない。
街の、病院。
養が運ばれたらしいって其処を仰ぐ。
荒く吐き出す息が広がって、
凍えるような冬が 身体を冷やしていく。 ]
[ 待合室で待つことになるか。
身内ではないから、迷惑かもしれないけども。
病院の前。息を整えていたら、
やがて、誰かの足音を聞くこととなるのだろう。
クラスメイト。
あの冷たい校舎にいた仲間。
その姿を見つけたら、少し瞠って。
よ、と。片手を緩く、 持ち上げる。 ]
……灰谷。
養のこと、聞いて、か?
[ あの校舎のことは、
夢か現かも曖昧で。
吐き出せた言葉はなんだか、
不器用な形をしていた。
問うて、また、病院を見る。
相原もそろそろ、来るだろうか。
宇井野は誰が来るのかもわからないし、
養が血まみれだって理由もわからない。
だから、わからないだらけの声は、
どこか曖昧な色を、していたことだろう。 *]
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―― 保健室 ――
ありがと。
[俺は笑った。 保健室までついてきてくれたキョースケに。
いつも俺のずっと後ろを走ってくる、でもなくて、 数歩後ろを少し遅れる、みたいに歩いてくる。 そんなキョースケが なんだって俺と同じ景色を見たがったんだか そっちのほうが、ちょっと不思議だったけど>>385
今は「思いつき」を掘り下げることはできないから 俺は雑な手つきで保健室の棚をあさるあいつを見てる。
それから雪の降る窓に視線を移した。 はいたに、って、苗字をなぞる音だけやけに響いた。]
(396) 2019/06/13(Thu) 22時半頃
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…………そっかあ 灰谷さんも、か。 そちらも、お疲れ。
[シンデレラになることを拒むように 階段から転げ落ちた姿を、見ることはなくて それがよかったのか悪かったのかもわからない。 ……後で体育館に手を合わせにいこうかとも思う。
おかしいな。 ういのも。灰谷も。全然かわいそうに思えなかった。
「かわいそうだ」「酷いことをする」って 見えないホストに怒ってた俺は 一体どこへいったんだろう。]
(397) 2019/06/13(Thu) 22時半頃
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[多分怒りは嘘じゃない。嘘じゃ、ないんだ。 怒ったことも。悲しく思うことも。 無事を願うことも。
でもな、この世界のこと。 寝起きの顔で少しずつ気づき始めていて――……だから
…………高本に怒った時から調子が悪いことも 全部頭が痛いから、ってことにしておく。]
(398) 2019/06/13(Thu) 22時半頃
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[先生、こんな俺にお薬ください。 差し出されたのは冷却シートでした。>>389
寝起きにもたれかかるくらいが限度で 貼ってもらう、ほど甘えてはいないので 素直にそれを受け取って、自分で貼る。
それからベッドに横たわろうとして>>390 聞こえた言葉に瞬きをいくつか。
……それってどこの言葉です?
一瞬、そんな顔をする。 それから少し間をおいて、 俺は、微笑みながらこういった。]
(399) 2019/06/13(Thu) 22時半頃
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甘えられるのは、嫌いじゃあないんだ。
……いま 自分がここにいきてる理由が そこにある、って思えるうちは 誤解してるうちは……
可愛いから守ってあげる。って、思えるんだ。
でもな………
[声を落とす。 目を閉じる。]
(400) 2019/06/13(Thu) 22時半頃
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…………キョースケは、かぞくって、何だと思う?
染色体の結び合わせの結果。 人間が群れでいきるための、最小単位。 それともただ守りたいって思う相手?
俺は…… 家っていう一緒の箱の中でいきてる、 動物だとおもってた。
(401) 2019/06/13(Thu) 22時半頃
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[俺は微笑んだまま、目を開いて じっとキョースケを見てから ゆっくり首を横に振った。
だって、俺といういきものは 基本的にはそんな話、しないことになってるから。]
……なんでもね。へんな話した。 忘れてくれ
[そのままベッドの中に潜り込んでしまう。 そうして、きっと言葉をかけられなければ すぐに眠りに落ちてしまうんだろう。*]
(402) 2019/06/13(Thu) 22時半頃
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