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[ねえ、あの校舎(せかい)にいたあお姉。
わたしを刺してみた気分はどうだった? せいせいした?
顔が見えなかったせいで思いを推し量れなかったのは残念でならない。
本当はせいせいさせるより……なんて言ったらいいんだろう、
困らせたかった、っていう方が近かった。
死んじゃった方がましかなって思ったのもそれが理由。
わたしを殺してしまった後の後始末をさせたくなかった、っていう、
なけなしの妹心もあったんだけどね。一応。
だけど現実(こっち)のあお姉にまだわたしは何もできていない。
盛大に喧嘩して以来、ずっと。
でも、逃げたり避けたりばっかりしている時間はもう終わり。
そろそろ、向き合う時が来ているんじゃないだろうか]
[今度は、あんなバッドエンドじゃなくて、
ちゃんと終わらせることができればいいけれど。
できるだろうか]
【人】 ろくでなし リー
(224) 2017/03/15(Wed) 00時半頃 |
【人】 ろくでなし リー[キャンパスに、ちょっとだけ、にぃって笑って、 (225) 2017/03/15(Wed) 00時半頃 |
[どのくらい、ベッドの上で起き上がったままぼんやりしていただろうか。
ともかく、勉強する気にはなれないまでも、
机に近付いた時、充電しているスマートフォンを見て首を傾げた。
着信を示すランプが点滅していたから。
こんな時間に誰だろうか、と思いながら見てみる。
つばさちゃんからで、留守録も残されていた。
図らずも彼女の無事を確認することになったと思いつつ。
留守録を再生状態にしたスマートフォンを耳に当てる]
…………。
[つばさちゃんの慌てた声は否が応にも嫌な予感をかきたてる。
りーくんが落ちたって、何に? それとも――]
[次にメールが来ていることにも気付いて確認する。
差し出し人はこれまたつばさちゃん。時間はわたしに電話をかけてきた後。
流石に落ち着いたんだろうか、連絡事項的な文面で、
りーくんが学校の屋上から自分で落ちたことを伝えていた]
………、嘘、じゃあ、あれは……。
[あの校舎にわたし達を招き入れた、
“ホスト”たる条件を満たしていたのはりーくんだったってことになる。
そっかあ、って小さい呟きを零して、それから]
……もうっ!
[ってあたり散らすみたいに言ってから、部屋を出る。
廊下から、この時間はリビングにいるだろう母に呼びかける]
お母さん大変! クラスの子が病院に運ばれたって!
ちょっと様子見てくる!
[返事は訊かないで部屋に引き返すと、
寝間着は脱いで目についた私服を身に着けて、
スマートフォンと財布だけコートのポケットに突っ込んで、
最後にお気に入りのマフラーをぐるっと巻き付けて準備完了]
[さすがに気になったのか母はリビングから出てきていた。
気をつけてね、と言われた]
大丈夫。
学校よりは遠いけど走っていけばすぐだよ。
無事……だって分かったらちゃんと戻ってくるから。
[わたしはちゃんと気付いている。
あお姉と喧嘩をしてから、わたしを見る母の眼差しに、
申し訳ないと思う色合いも含まれているって。
安心させるためなら家にいた方がいいんだろう。
だけどやっぱりじっとしていられない]
……いってきます。
[そうして、飛び出す。冷たい風が吹く冬の夜の中に**]
メモを貼った。
【人】 ろくでなし リー
(284) 2017/03/15(Wed) 22時頃 |
【人】 ろくでなし リー
(288) 2017/03/15(Wed) 22時頃 |
メモを貼った。
― 回想/諍いの話 ―
………あお姉、ただいま。
[文化祭の片付けも無事に終わって間もない日のこと。
いつも通りに閉じられた扉ごしに声をかけた。
返事はなくって、ただ微かにすすり泣く声が聞こえるだけ。
また泣いている。
今思えばそっとしておけばよかったのかもしれないけど、
あの時のわたしはやたらと気が立っていた。
文化祭が楽しくて、名残惜しかった気分を、
一気に台無しにされたような気分になっていた。
だからノックをした後あお姉の部屋に足を踏み入れた。
前に置いていった文化祭のパンフレットが、
打ち捨てられたみたいに転がっているのがやたらと目についた]
……文化祭、来てくれなかったね。
[すすり泣く声は止まない。
わたしは言葉に詰まってしまう。
わたしの記憶の中のあお姉は、
わたしが泣いたりわがままを言ったりしていても、
辛抱強く励ましの言葉をかけてくれたり――
あるいはわたしの願いを叶えてくれたりもしたけれど、
変わってしまったあお姉を前に、わたしは何もできないでいる]
[それ以上は何も言わずに部屋から出ようとした時、]
「……楽しかった?」
[不意に問われ、目を丸くしたのも束の間、
「楽しかったかって聞いてんのよ」と、
駄目押しみたいに言われたから、素直に答えた]
楽しかったよ。
[「何か文句あるの?」って後に続きそうな、
そんな口調になってしまった。
そうしたら急にあお姉が顔を上げてこっちを見てきた。
カーテンも閉め切った薄暗い部屋の中で、
あお姉の二つの目が鋭く光っている。
これ以上ここにいちゃいけない気がして、
わたしは逃げるように立ち去った。
その間、背中にはずっとあお姉の視線が突き刺さっている気がして。
自分の部屋の中でわたしはただ、
間違えたって思いと理不尽さがないまぜになった気持ちを抱えるしかなかった。
――盛大に喧嘩するちょうど前の日の話*]
— 病院へ —
[冷える路上。
時々、空を見上げながら歩く。
夢の中のあの世界、雪に埋もれる通学路を思い出していた。]
そういえば、
結局作れないね、かまくら。
[あの豪雪が現実のものではない今、それは叶わないわけで。
ちょっぴりがっかりしてしまう。]
[……クラスメートの危機に、思うのはそんなことばかり。
薄情なのかな。
ごめんね、わたしはこんな経験ないから。
“あなた”にまつわる記憶は、あの校舎の中での出来事と、
そしてやっぱり、あの文化祭のことばかり。
あんなに笑顔が絶えなかった彼が、どうして命を絶とうとしたのか。
それを知っても、いいのだろうか。
知れるのだろうか。
誰かと話せば、何か分かることがあるのかな。
……今まで踏み込もうとしなかった線を、踏み越えれば?
文化祭の記憶を穿り出して、
クリームとチョコソースにまみれたパンケーキの味を思い出しながら、
足取りをやや早める。*]
【人】 ろくでなし リー[相も変わらず流れる囁き声と相まって、 (334) 2017/03/15(Wed) 23時半頃 |
【人】 ろくでなし リー[>>323 美術室から戻ってきた入間は、 (335) 2017/03/15(Wed) 23時半頃 |
― 現在/病院までの道のり ―
[さて、慌てて飛び出してきちゃったのはいいけど、
これはつばさちゃんにも連絡を入れておいた方がいいだろうか。
もう病院に来てるとしたら電源を切ってしまっているかもしれないけれど。
そもそもつばさちゃん、いつ帰ってきたんだろう。
わたしの感覚では、最後につばさちゃんの姿を見てから、
もう、半日以上も経ってしまってるんだけど]
『今病院に向かってる』
[道の端に寄って、そんな、簡素に過ぎるメールを一応送る]
[夜の風は冷たいけれど、雪は積もってない。
だからいつものローファーを履いてたって、
滑って転ぶこともない。
一夜明けても外は雪だったあの校舎とは大違いで。
ちよちゃんとのやりとりを思い出す。
誰がホストかわかったところで、わたしにできることなんて、
こうやって走って病院に駆けつけるくらいしかないよ。
あの校舎にいるりーくんになら、声は届くんだろうか]
[しばらく走ってると、
前方に、見覚えのある人影が見えた気がした。
スピードダウン。早歩きくらいの速度でその人影に近付いて、
横顔を視界に入れることができれば声をかけた]
ささらちゃん――― えっと、
よく寝られた?
[夜中の挨拶としては不自然に思えるけど仕方がない。
ささらちゃん、わたしより早起きだったんだし*]
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