272 【R18RP】十一月と、蝶が奏でる前奏曲
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[口から溢れた「すき」の言葉は 高本にまっすぐに、飛んでいく。
昔のあたしは、自分の気持ちに気づけなくて 気づいたときには、もう遅くって。 そのまま伝えられなかったから。
挙動不審になった高本を にこにこ見守っちゃったのは、 きっとね、あたしの中身が大人のせい この頃の高本、かわいいな、って
……… そんなふうに思ったの、秘密だよ?]
(208) 2019/11/09(Sat) 09時半頃
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[不格好に笑いながら、 それでも高本の真っ直ぐな気持ちが届く。
「待ってて」
それが、高本の、返事。
きりきりきり 遠くでネジを巻く音がする
ああ「今日」が終わっちゃうんだな って。あたしは、そう、思う。 ]
(209) 2019/11/09(Sat) 09時半頃
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優しいね、高本は。 きっと、過去も未来も、 ずっと、高本は優しいんだね。
[言葉を選んでくれる「いま」の高本も あたしのために、「高本」を演じてくれて、 別れの言葉を紡いだ「未来」の高本も。
きっと、未来で誰を演じていたって、 高本は、高本だった。 …… 根本はきっと、変わらない]
(210) 2019/11/09(Sat) 09時半頃
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……… 聞きたかったな、返事。
[あたしの言葉は過去形で、 25歳の女性がするような穏やかな笑みで (といっても25歳のあたしが穏やかな笑みを 見せたことが有るかって言うと、多分ない)
高本がきっと、その言葉にどう反応しようと あたしはきっと、にこやかに微笑むだけ ]
(211) 2019/11/09(Sat) 10時頃
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ねえ、高本。 あんたは過去に戻りたいって そう、思ったことは、ある? >>0:12
あたしは、あるよ。 ずっと、ずっと、遠い未来に。
[変なこと、言うでしょう? あたしは、すぐには正解は言わないよ だから、ただ、言葉を続けるんだ。]
(212) 2019/11/09(Sat) 10時頃
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昔、昔、あるところに。 じゃ、ないな……
未来、未来、あるところに。 [秋風に揺れるカーテンと差し込む午後の日差し そうして、静かに語ろうとしたのは、 昔ばなし、ならぬ、未来のおはなし。
立ち上がって窓際に寄れば、窓の外 文化祭の喧騒が、聞こえてくる。
……… この風景も、見納め、か。]
(213) 2019/11/09(Sat) 10時頃
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…あたしにとっての「昔話」、聞きたい? **
(214) 2019/11/09(Sat) 10時頃
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[聞きたい、と言われた。 だからあたしは一度目を伏せて、 すこしだけ、笑って。
カーテンが揺れて頬に触れる。 その感触が擽ったくて、 カーテンの匂いが、懐かしくて。 大丈夫、まだあたしは「ここ」にいる。]
(235) 2019/11/09(Sat) 15時頃
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未来、未来、あるところに。 25歳になった、高本と、 25歳になった、あたしがいました。
あたしはいつまでたっても 変われないままだったし 高本は、都会に行って、変わってしまった
大成功を収めるんだよ。 高本が生きてる人生は、とても華やか。 少なくとも、周りには、そう見えてた。
…… でも、本当はそうじゃないんだ。
(236) 2019/11/09(Sat) 15時頃
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高本は、あたしのことを、忘れちゃう。 大好きだった食べ物も、草笛の吹き方も、 光魔法かっこいいポーズだって、きっと。 全部、ぜんぶ、忘れちゃうんだ。
あたしは、そんな高本を 変えることも、寄り添うこともできないの ううん、あたしが一歩踏み出せば できたのかもしれないけれど 臆病なあたしはできなかったし、 もう、さよならも交わしてしまった
(237) 2019/11/09(Sat) 15時頃
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あたしに与えられたのはたったの二日。 あたしは高本の未来が、 あたしたちの、未来が、 しあわせになるように、がんばるんだよ
でも、それももう終わり。
明日のあたしも、卒業するときのあたしも、 きっといまのあたしとは、違う誰か。
(238) 2019/11/09(Sat) 15時頃
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だから、「いまのあたし」は 高本の返事は聞けないの
幸せになってねって、 祈ることしかできないのが、もどかしい。
(239) 2019/11/09(Sat) 15時頃
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……………。
(240) 2019/11/09(Sat) 15時頃
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………… なんてね。 そんなこと、あるはずないでしょ? 信じて、って言っても、 信じてもらうほうが、無理だと思う。
[穏やかな笑みは、あははっ、って 年相応の笑いに変わる。]
(241) 2019/11/09(Sat) 15時頃
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ねえ、高本。 高本は、高本だよ。>>0:135 だからずっと、そのままでいてね
[揺れるカーテンの狭間で微笑んで。 これからのあたしと高本に、 あたしたちの未来を、託そうと。]*
(242) 2019/11/09(Sat) 15時頃
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[近づいてくる高本と、肩に置かれた手 だから心臓が飛び跳ねちゃうんだって。 25歳になっても恋愛経験値はゼロのままだから]
……8年、待つ……?
[可笑しいね。 待たされてるのはあたしなはずなのに どう考えてもあたしのほうが待たせてる側だ
映画のワンシーンみたいな台詞を聞きながら あたしは、ぎこちなく微笑む。]
(264) 2019/11/09(Sat) 20時頃
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[そんなあたしを高本は撫でてくれる。 ああ、「いつもの」高本のままだ、って。 あたしはとっても、嬉しくなって。]
ふふ、 ノリと勢いって。
[可笑しくて、吹き出しちゃったよ。 でも嬉しい。 嬉しい気持ちが、顔いっぱいに、溢れてる]
(265) 2019/11/09(Sat) 20時頃
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[未来のあたしが、ううん、 数分後、数時間後のあたしでさえ、 どんな状況なのか、わからない。
もしかしたら未来から飛んできた記憶も、 昨日と今日の記憶もなくって、 ふえ?文化祭終わっちゃったの?なんて そんなことを言い出すのかも。 …… きっと、そうに違いない。 ]
(266) 2019/11/09(Sat) 20時頃
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8年…… 明日からのあたしは、 8年も高本の返事を我慢できるかな
[もし過去のあたしが、 高本のことを好きだって気づいたときに。 どうなるのかな、って悪戯に言うけれど、]
(267) 2019/11/09(Sat) 20時頃
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[あたしだから、わかる。
あたしは、高本のことを、信じてる。 高本が、高本で居る限り。
あたしはきっと、高本以外のことを 好きになることはないし、 あたしは、高本の言うことなら信じる。]
(268) 2019/11/09(Sat) 20時頃
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……なんてね。
[冗談を締めくくるのはやっぱりこんな言葉で]
ありがとう。 8年後、楽しみにしてる。 [どんな結末になるかはわからないよ。 だってきっと、高本が役者になる未来に 万が一でも進んでしまったら、 結局同じことになってしまうかもしれない。
だけど、今は、高本の言葉が、ただただ、嬉しい]
(269) 2019/11/09(Sat) 20時頃
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……ん?なあに?
[揺れるカーテン、頬を撫でる風。 高本が真剣な顔をして、こっちを見るから あたしはなあに?って首を傾げた。
世界から、あたしと高本が見えなくなって── ]**
(270) 2019/11/09(Sat) 20時頃
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[ああ、あたし、夢を見てるのかな こんなに今一瞬が幸せすぎて やっぱり全て夢だったんじゃないかって]
(317) 2019/11/10(Sun) 00時頃
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[きり、きり、きり、とねじの音 今この時が、ずっと続けばいいのにと、 思うあたしたちの気持ちも虚しく、 幸せな音楽が、間もなく終わりを告げる
これは 未来の私の前奏曲 ふたりが、選ぼうとしている過去
ふたりが、選ぼうとしている未来は 幸せな未来に、続いてる? ]
(318) 2019/11/10(Sun) 00時頃
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ねえ。こーちゃん。
[あたしは、あの頃みたいに、 慣れ親しんだ、高本に呼びかける。 あたしね、もう、迷わないよ。 どんな未来が待ってるのか、楽しみにしてる ]
(319) 2019/11/10(Sun) 00時頃
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ありがとう。
[まるで蝶が大きく羽を広げるように、 ひときわ大きな秋風にカーテンが舞い上がる 幼馴染の腕の中に残るのは 温かな体温と、「今のあたし」の匂いだけ ]
(320) 2019/11/10(Sun) 00時頃
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───・・・
(321) 2019/11/10(Sun) 00時頃
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───・・・
(322) 2019/11/10(Sun) 00時頃
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[・・・なんてね。 そんな素敵なヒロインで在れたなら、 きっと100点満点の素敵な物語。
確かに「あたし」はそこにはいなくて 一瞬、消えてしまったように、 感じるのかも、しれないけれど。
ふと、幼馴染が足元を見れば、 ぼんやり地べたにへたりこんでる メイクをした森崎まどかの姿があるでしょう
ここからは、 たった2点の、物語のはじまりはじまり。
「ふぇ……?文化祭、は?」
なんて「あたし」が立てたフラグ>>266を とっても綺麗に回収したりして、 ぼんやり「高本」の顔を見るのでしょう]
(323) 2019/11/10(Sun) 00時頃
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[ね。コントみたいでしょ。 それはきっと、過去も未来も変わらない、 ずっと続く、いつものあたしたちの姿。
……そこから先の8年間の話?
それは「あたし」の話じゃないから、 あたしには、ちょっと、わからないな。 ]**
(324) 2019/11/10(Sun) 00時頃
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