人狼議事


267 【突発】Sanatorium,2880【RP村】

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視点:


白菊会 ミサは、メモを貼った。

2019/06/17(Mon) 12時頃


白菊会 ミサは、メモを貼った。

2019/06/17(Mon) 12時半頃


メモを貼った。


白菊会 ミサは、メモを貼った。

2019/06/17(Mon) 21時半頃


【人】 白菊会 ミサ



 [ ─── ふうん、って、只、其れだけ。

  出していた種は飲み込んでしまって、
  はんぶんだけしょくぶつの 何者かは、
  置き直されたスプーンを取り、
  養分を、黙々 と、 ]

 

(0) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ




    「 きっとこのあたたかいスープも、
       しらぎくたちのものとなるのでしょう 」

     「 わたし という養分を余さず吸って 」


 

(1) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ




   [ みにくいにんげんが、
    うつくしい植物の栄養となるのならば、
    いっとうしあわせなおわりなのでしょう。 ]


 

(2) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ



 [ ……たべもの、というものを、
  はじめてすべて食べきった気がする。

  空になった皿を、トレイを、
  せんせいが手に取るのを眺めながら、
  わたしはベッドに根をはって、
  重たい顔を上げて呟いた。 ]

 

(3) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ



    ─── せんせい。
    やっぱり十年、生きられなかったから。

    十年経ったら花びらでも供えて頂戴。


   [ まだ、おぼえていた さくらのおはなし ]*

 

(4) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ



      
            ──── 星降る時の彼女は


 

(5) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ



  眠り続けようと思いました。
  窓の外も空の話も興味はありませんし、
  まぁるくなっている脚は、
  今やほんとうに根のようです。

  明日か明後日かわかりませんが、
  きっとかたちを無くして、
  しらぎくの養分となって骨も残さず消えるのでしょう。

 

(6) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ



  ああ そうだというのに、
  未だ見えているにんげんの片方が、
  窓の外を捉えてしまったものですから、
  ……どうしてだか、気になってしまったのです。

  流れ星に祈る歳はとうに過ぎました。
  だからきっと、はんぶんのうつくしい花々が、
  空を求めているのでしょう。
  見えなくたって空を向いているとは
  果たして、何時聞いた話でしたか。

  曖昧な自分自身の欠片。
  みにくいにんげんの記憶。

 

(7) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ



  ……しょくぶつのため、というのも不思議でしたが、
  ぼんやりと窓の外を見上げていたはんぶんは、
  身にかかっていたシーツを
  ─── 歯と片手で布団から剥がし、
      顔半分をかくすように被ってしまって、

  ばけものあつかいされるよりは、
  夜中に異常者扱いされる方がマシだったのでしょう。
  徘徊する患者と呼んでくれて結構、そんな風に、
  先ず室内で床に転がり落ちたうえで、
  壁を支えに 文字通り身体を引きずりました。

 

(8) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ



    花々の"最初"には
    相応しい場所があったように思ったのです。

 

(9) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ




          くうそうびょう、であるゆえか、

 

(10) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ



   一歩踏み出せば
   袖口の位置が何時もと異なって、

 

(11) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ



   二歩躓けば
   周りの物の位置が何時もより高く、

 

(12) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ



   三歩忍べば
   真白なシーツを半分以上引き摺るようになり、

 

(13) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ



     硝子をこじ開け、
     息も絶え絶えに中庭へと落ちた時には、

 

(14) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ




      もう忘れてしまった 蕾だった頃の"  "


 

(15) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ



  真白に隠れた、細い身体は、
  きっとこんな風に思ってしまったからでしょう。

  "養分"で"苗床"でしかないにんげんだって、
  みにくいにんげんが成長したすべてを
  取られてしまうんだって、
  
  結果 時間が巻戻ったかのようなことなんて、
  144数える中に前例があったかは
  定かではありませんが、

  ………きっと此だって幻想の一種かもしれず、

 

(16) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ




                星がひとつ落ちてゆきます

  

(17) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ



 [ ─── シーツも、寝間着の裾も引きずって、
  その夜、わたしは星空のもとへいた。

  髪飾りなんて素敵なものと評して良いのか、
  顔半分のおおきい白菊を抱えたまま。
  ただでさえ無い体力がこんな身体じゃあさらに無く、
  ぺちゃ とか、そんな音を立てそうな様子で
  中庭に倒れながら。

  此じゃあしらぎくさんよりしろいかたまりさん。 ]

 

(18) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ



  ──── ………、

 [ つかれたなあ、正直に思う。
  なんでこんな所に来てしまったのかすら思う。
  と言うより色々と動き辛い。
  根は這っているし寝間着とシーツが邪魔をする。

  ひらべったくしろいかたまりは伸びていて、
  ……其れでも潰す訳には、と、
  ひとまわりちぃさくなった手で、
  ひとつふたつ、白菊を摘んでは脇に置いていく。

  幾ら摘んでも咲く気がするけれど。 ]

 

(19) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ



  …………、

 [ ぽと、と
  ひときわおおきい白菊を落として、
  地にのびたままそらをみあげた。 ]

 

(20) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ



 [ ……姿の所為だ、きっと。
  おんなじなまえのあの子、知らない名前のあの子、
  思い出してしまって、黒が揺れ、 ]

 

(21) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ



    ──── やっぱり名前って呪いよね、……

 [ ばからしい って 力なく呟いて、
  "しらぎく"の種を、もう一度 飲み込んだ。 ]

 

(22) 2019/06/17(Mon) 23時頃

【人】 白菊会 ミサ



 [ 白菊に囲まれた場所で、高い碧を見上げた。

  もう立ち上がる気力も無かったので、
  包まれた身体を起こし、座るに留め。

  ……すがた は、何時かのこどもであれ、
  精神だけは何時も通りであったので、
  真白の隙間から、睨んで、 ]

 

(29) 2019/06/18(Tue) 00時半頃

【人】 白菊会 ミサ



   [ 重さに負けたはなひとつ、また、落ちる。 ]

 

(30) 2019/06/18(Tue) 00時半頃

【人】 白菊会 ミサ



   …………何で居るの。

 [ 答えになっちゃいない返事を先に投げ、
  花弁と一緒に溜息も零して、 ]

 

(31) 2019/06/18(Tue) 00時半頃

【人】 白菊会 ミサ



  ……死に場所なら此処が良いのかしらって、
  植物は引きこもらない方が良いのでしょう。
  
  病院の中散らかしちゃった気がするけど、
  どうせ最期なんだからどうにでもなると思うし、

 [ あっち、って、硝子の方を示しつつ、
  見てよ此 とか、示したちぃさな片手を上げて、

        ─── 気怠げにわらった。 ]

 

(32) 2019/06/18(Tue) 00時半頃

【人】 白菊会 ミサ



  植物になったと思ったらこんなになってるし、
  一緒にこの白菊も、どんどん大きくなるし、

  ……特異体質にも程があるでしょう、
  良い実験体にもなれるんじゃない。

 [ もう 成ってる、とか。
  そんな客観的な事実なんて、知っていないので。

  自嘲だったのか単純に面白がっているのか、
  わたし自身ですらやっぱり分からなかった。
  ふと 明日にはずっと寝てるんだな って
  過ぎってしまえば如何してだか泣きたくなるけれど、

  適当に喋るくちびるも、泣きだしそうな何かも、
  咳ひとつで閉じてしまった。 ]

 

(33) 2019/06/18(Tue) 00時半頃

【人】 白菊会 ミサ



           [ たねを、おとしながら、 ]

 

(34) 2019/06/18(Tue) 00時半頃

【人】 白菊会 ミサ



  ……せんせいこそ ねがいごとでも?

 [ 真白と、花と。
  どちらにも隠れていない瞳で、また、見上げ、 ]**

 

(35) 2019/06/18(Tue) 00時半頃

白菊会 ミサは、メモを貼った。

2019/06/18(Tue) 00時半頃


メモを貼った。


【人】 白菊会 ミサ



 [ 脇に置いていたしらぎくを、
  ─── ぶつけようとして やめた。

  不機嫌を隠しもしないで、
  睨付けるわたしの黒は、きっと、
  碧の奥 そらのほしを映している。 ]

 

(61) 2019/06/18(Tue) 22時半頃

【人】 白菊会 ミサ



  わたしのねがいごと とは、なんでしょうか。

  ……… なにもでません、こんなときですら。
  いったい何のためにうまれてきたのか なんて
  そんなはじめから振り返ることはしませんが、

  なにもないまま死んでいくなあ って
  このときになって思ってしまうのです。

  嗚呼 なんて愚かで傲慢なにんげんなのでしょう。

 

(62) 2019/06/18(Tue) 22時半頃

【人】 白菊会 ミサ



  [ ひとつ 瞬き、 ]

 

(63) 2019/06/18(Tue) 22時半頃

【人】 白菊会 ミサ



  さくらがさけば いいとおもいました。

  あじさいも ……見たことはありませんが、
  うつくしく 育てばいいとおもいました。

      しらぎく は、……

 

(64) 2019/06/18(Tue) 22時半頃

【人】 白菊会 ミサ



   …………、

 [ 隣に移ったのを良いことに、
  片側の黒は 白菊に埋もれた懐を見下ろしていた。
  未だにんげんのゆびさきで、花弁を撫でつつ、

  ゆびおり、ほしに願うようなそれらの後に、
  ぽつ と落ちた最後の言葉が、
  きっと一番の願いなんだろう って、

  ……それくらいはわかってしまうし、
  もう、視界に星は映っていないから、 ]

 

(65) 2019/06/18(Tue) 22時半頃

【人】 白菊会 ミサ



  ………きっと難しいわ、それは、
 
 [ ほんのすこし 戻った声で、
  歳のくったような言葉を発し、

  ……成るもんじゃないわ、とは、言わなかった。
  本心かどうかすら曖昧だったせい。

  骨も残さず 消えるのなら、
  最期に花だけ遺すのなら、
  其れがいっとう素敵だって、思う人も居るでしょう。 ]

 

(66) 2019/06/18(Tue) 22時半頃

【人】 白菊会 ミサ



  [ ……わたしは と聞かれたら、
      口を閉ざしてしまいましょう。 ]

 

(67) 2019/06/18(Tue) 22時半頃

【人】 白菊会 ミサ



   せんせい、
     ─── ほんとうに 要らない?

 [ 最初の時よりちぃさくなった舌先に、
  もういちど 種をのせる。

  単に不要かどうかで受け取られたと思っていたし、
  此だって、植物で良いのか と 
  聞かれた時とおんなじように返したようなもので。

  こんな種ひとつで叶うはずも無いけれど、
  ─── そういう"確信"が、あったけれど、

  蔦と、羊歯の 向こう側を、
  白菊と、白布の奥から 見ていた。 ]

 

(68) 2019/06/18(Tue) 22時半頃

白菊会 ミサは、メモを貼った。

2019/06/18(Tue) 22時半頃



 せんせいの言葉をきいて、
 硝子や、氷や、雪のようで
 触れれば父を蝋に冷え固めた僕よりも
 せんせいの体温は冷たいのか……見上げたまま、
 伸ばしかけた腕をそうっとおろしました。
 
    ・・
 (  そうなら、
    せんせいになら、ぼくは触れても
    火傷したり縮んだりしない筈だから

               ─────。  )
 



 ……だけどしませんでした。
 手を伸ばせば届く■■さまみたいな存在は、
 何を言われても僕にとってはあたたかい。
 蝋の翼で天に飛び立とうとした人は融け落ちて、
 二度と手が伸ばせない場所まで落ちるでしょう。
     
 たとえ無感動の中に入り込んだ塩分が、
 海や涙よりも薄く、泳ぐに足りないものでも
 せんせいと僕はきっと…その距離が丁度良かった。
     


        

 死んでしまえば無であるのに
 楽しいことや嬉しいことは恐怖にかえていく。
 せんせいは冷たいなどと言われていても、
 僕を怖がらせるようなことはしませんでした。

 …… 僕にはそれだけで充分だったんです。

     



     
 身体が硝子みたいに薄っすら透けてきて、
 ぶつかった拍子に罅が入った時も、僕は自分を
 水槽を隔てたようにどこか遠く感じていた。

 きっとあれは…痛いとか、そういったものが
 冷やされて麻痺していたに違いないのです。

 



 眠りの世界にいるあいだ、
 冷涼でも雪は融けてしまう夏から
 陽のあたらない暗くて冷たいところへ避難して
 海の生き物として深い意識の中で歌っていても
 融けて濡れる身体は僕をまた縮めてしまう。
 



 夏を凌ぐ為の箱が棺に喩えられるなら、
 暗くて冷たいそこは冥府のようでしょう。

 時々補給のために暴かれている最中も、
 僕はきっと、睫毛を慄わせることすらなかった。
 触れない程度にくちびるに近づいた手に
 冬の風のような呼気をほんの僅か寄せるだけ。
 


    
         ・・・
 ─────── 眠る前の僕に、
 教えられるものなら教えたかった。
 目覚めたばかりの僕は、微かな興味どころか
 何かを記録していることや自分の名前だって、
 すっかり忘れて…雛鳥や稚魚同然だったから。
 



 海の生き物のようにしっとり濡れていて
 磨り硝子のように透けていた僕の身体は、
 青白い心臓だけがぼんやり光っていた。

 秋の風に目覚める頃には消えていても、
 重なった手のひらのかたちにやけどした胸は、
 誰かのあたたかさを僕の身体に残していた>>*14
     
          誰のものかわからなくても。
     



 ・・・・・・・
 おかえりなさい…と言われて
 僕はどうしてあんな気持ちになったのでしょう。
 言いようのない気持ちは潮騒を招いて、
 どうしてか涙が零れ落ちそうになりました。
     
 帰る場所は別にあったような気がするのに、
 さめた夢のように思い出すことが出来なかった。
 朝の雪原みたいな薄い色の瞳をしたひとは、
 陸地の言葉を僕に投げかけてきました。>>*15
     



 
     ・・・・
 「 ……
   おはようございます
   おしょくじありがとう…いただきます 」


 辿々しく吐き出した声は52Hzの泡沫に消えずに、
 ちゃんと陸地の言葉になっていました。
 波の音が遠ざかるにつれて目を覚ましても、
 おかえりなさいに対して答えられないままでした。
 


      
 きっと僕は無くなるように消えることが
  とても… そう、とても得意なのでしょう。
  せんせいにカメレオンのようだと言われて、
  肌の色が周囲の景色に馴染んでいったんです。
  僕は縮んだり、罅割れたり、融けたりしていく。
 
        ───── ■ねば■だから。 
     


 

 ────────────

 ───────
 ────

     




 だから─────

 せんせいが随分高いところから見下げてきても
 僕はそれを陸地と深海や、天国と冥府みたいに
 あたりまえに遠いものとしか思えませんでした。
     
 慰めや温かい言葉は求めていなくて、
 死ねば無であることを確かめることは出来た。
 消えてしまったら二度と見つかることもなくて、
 遠退いたきりの視線と同じになるのでしょう。
     



 だって…せんせいは生きていて、
 脆くなった僕はもう、きっと…消えてしまう。
     
 いつか…列車に乗り込んだ僕を、
 見送ってくれたひと達がいた筈なのに
 あのひと達がどうしているかわからないように…
 せんせいもきっと、そうなってしまうのでしょう。
 冥府に行くときはいつだってひとりだから。
 


 
 もうあえなくなるひとの言葉に、
 僕はどう返していいのかわからなくて
 手当てを受けるあいだ、僕は無言でした。

 いつもより更に冷たくなった体温は、
 グローブ越しにせんせいに届いたでしょうか?
 漸く言葉を返せるようになった時には…そう、
 夏でもないのに帰らなくては、と考えていました。
        ・・・・・・
     



 「 硝子人間ならきっと、
   波に揺られていつか手紙を届けます。
   瓶に青白い硝子の破片を入れておくので、
   それが目安になるでしょうか?
 
   氷のように冷たいそれは、
   僕の心臓ですから、……冬になったら
   朝、白くて柔らかな雪の下に埋めてください。

   そうしたらきっと ────── 」
 




  (  きっと…… ?
     まるでその先があるような言葉を
     僕は何故せんせいに言ったのでしょう  )

     




 冷たい■の中に眠って、帰ることが出来たら。
 新しく巻かれた包帯を透けた指先で撫でながら
 お願いをしたのはその時でした。
     
 手記に書かれたいつかの時にも、
 せんせいは同じ反応をしたのでしょうか?
 忘れてしまった僕にはわからないけれど…
 あんなことを言われるなんて思わなかった。
 ・・・・・
 



 僕もきっと、
 砂のように崩れた女の子のように
 いつ■んでも…それこそ、明日でもおかしくない。
 
 スープを食べようとして突然、…
 あんな風に僕の終わりが訪れてしまうなら、
 今すぐにでも帰らなくてはいけないと思った。
 
 だけど、どうしても眠りたい理由を
 せんせいにどんな風に説明していいかわからずに、
 口籠った僕に澱みも濁りもない言葉が続く。
     




 「 せんせい……
   どうしてそんなことを言うんですか? 」
     
 
 いままで、せんせいと過ごして
 こんな風に困ったことはあったでしょうか?
 きっと僕は隠すことなく眉を下げていたけれど
 せんせいの求めに応じて腕を差し出しました。

 欠けないように手袋をはめるよりも、
 絵を描く方がきっと……きっと、■しいからです。
 




 せんせいがそのまま色を塗っていくなら
 僕はずっと、その様子を静かに見ていましたし、
 気が変わって手袋を探しに行っても同じこと。

 それは他の人からすれば■しいのかと問うほど
 静かで、温度の低いひと時だったでしょうが
 

   ───── ■ぬのが恐ろしくなりました。
         





 「 ありがとうございます…… せんせい 」


     



 それでも僕はせんせいに感謝の気持ちを捧げ
 穏やかに笑いかけていたでしょう。
 冷たい■の中に横たわる事が出来なくても、
 何故か眠くなかったので、そのまま一つの夜が
 空から帳を取り去っていくまでを過ごしました。
     
 時々せんせいが指先に施してくれたものをみて、
 ■しさと、裏腹の恐怖が広がるのを感じながら。
 




  せんせいの冷たさまで、
  僕にはもう…耐えられないのでしょうか?

     



 何かが小さく爆ぜるような、
 或いは何かが張り詰めていくような、
 ぴき…、と小さな音が包帯を巻いたところから
 段々と連続していって響いたのをきっかけに
 そう時間を置かずに、全身に行き渡りました。
     



 僕の全身に罅が入っていなければ
 鮮明に “ 向こう側の景色 ” を透かしたでしょう。

 雪をまぶしたような磨り硝子ではなくて、
 冬の朝に湖に薄く張った氷のようになった身体が
 心臓の青白い光を衣服の隙間や全身の小さな罅から
 漏らし、陽射しを避けた部屋を青く照らす様は
 洞窟に入った光を海底から反射するようでした。
 



 せんせいはいたでしょうか?
 透明になって消えてしまう “ 硝子人間 ” に、
 本当の■■さまが迎えを寄越すのを感じとって

 …………
 




 いつも近くで付き添ってくれていたあの存在に
 さいごにひとかけら残したくなっていたのです。
 なくなるのだから、その行為に意味はないのに。

     





 人は何故■きるかの疑問に、答えがないように。


 






    (  …かんがえておけばよかったなぁ  )
        
 




 こんな世界の中でも生きていく理由より
 残すひとかけらの方がきっと思いつけたのに。
 せんせいにとってただの数字でしかなくても、
 僕にとっては違う…そんな温度差があった。
             ・・・
     



 もしもせんせいが近くにいたなら、
 今にも砕けそうな身体を伸ばそうとしました。
 グローブ越しでも僕から触れてみたかったのは、
 もう随分と■めていた心のように思います。
 



 だけど、

 陸地に打ち上げられた海の生き物は
 自分自身の重さに耐えられなかったり
 海に比べて高くなる体温で■ぬそうなので、
 僕の腕も同じくように割れてしまったかも。

     倒れてしまったのか、別の音なのか
     ガシャン、と軽くて耳障りな響きと共に
     暗いところに沈んでいった意識と視界は、
     その先の出来事を僕から隠したのです。**
   


メモを貼った。


【人】 白菊会 ミサ



            或る夜だ。

 

(74) 2019/06/19(Wed) 22時頃

【人】 白菊会 ミサ



  「 中庭、荒れ放題じゃ無いですか 」
  「 陽が出てないから来てみたのに 」

  ─── 担当していたXX番が部屋から消えていたから、
      てっきり何かに成って死んだものかと思っていた。

  きみは植物のようだ、と
  部屋から出てこない彼女へ、最初に告げたのは私だった。
  故に、花でも咲いているかと期待したところもあったが、 

 

(75) 2019/06/19(Wed) 22時頃

【人】 白菊会 ミサ



  「 せんせい 」

    ─── 私を呼ぶ彼女は未だ女に成る前で、
        手入れもされていない中庭で
        不機嫌を露わに 私をせんせいと呼んだ。

        しらぎくいろの指先が、
        適当な葉を摘まむ。

 

(76) 2019/06/19(Wed) 22時頃

【人】 白菊会 ミサ



  「 此処には人間のせんせいしかいないのかしら 」
  「 植物なんてちっとも興味無いけれど 」
  「 どうせ皆死んでしまうのだったら 」
  「 死ぬ前に綺麗な物でも見せてあげれば良いのに 」

     にんげんのせんせい、は
     数えるほどしか居ないと、彼女は知らない。
     ( 私だってそうだ! )
     只 彼女に其れを教える意味も無いから、
     私はスカートの埃を払って、
     
     低い、黒を見下ろし、

 

(77) 2019/06/19(Wed) 22時頃

【人】 白菊会 ミサ



  「 植物のせんせいでも呼んだらどうですか? 」
  「 きっと、そうですね、……綺麗に成ったのなら、 」

 

(78) 2019/06/19(Wed) 22時頃

【人】 白菊会 ミサ




    「 十年経って、さくらが咲くようになります 」


 

(79) 2019/06/19(Wed) 22時頃

【人】 白菊会 ミサ




     もう彼女は覚えていない何時かの話で、
     思い出す頃には私も何処かで死んでいる。


          星は 降らない。


*

(80) 2019/06/19(Wed) 22時頃

【人】 白菊会 ミサ



      [ ほし ひとつぶ。
        掬い上げられて、 ]

 

(81) 2019/06/19(Wed) 22時頃

【人】 白菊会 ミサ



 [ 碧の向こうへ また、ほしを見る。
  文字通り命を抱く白菊に囲まれた場所のなか、

  ひとつ、ふたつ、瞬きを繰り返し、
  ちぃさな流星へと視線を移し、 ]

 

(82) 2019/06/19(Wed) 22時頃

【人】 白菊会 ミサ



  せんせい、
  ちゃんとにんげんのせんせいなのね。
  てっきりこのまま 植物に成ればって
  ……悪いけど 願われるかと思ってたわ。

 [ ひとつだけ、正直な感想。
 
  ……失礼かもしれないけれど、こんな驚いた顔も、
  わたしは滅多にしたことが無かった。 ]

 

(83) 2019/06/19(Wed) 22時頃

【人】 白菊会 ミサ



  ─── そうね、なら、


         [ ちぃさな、ゆびおり、 ]


  片目が無くて、
  もう 脚も動かなくて、
  わたしの殆ど、白菊が取っていったから、
  きっと、身体だってこのままよ。

 

(84) 2019/06/19(Wed) 22時頃

【人】 白菊会 ミサ



 [ たとえ 治ったところで、
  なにもかも戻るような、
  都合の良い世界に生きている自覚は、無いから、

  そんな身体に戻ったところで、
  ゆびおり数えた それらを
  ほしに差し出したところで、……


    わらう 表情と反対に、片方の黒は重たく、
    手元の白菊にほしが落ち行く。 ]

 

(85) 2019/06/19(Wed) 22時頃

【人】 白菊会 ミサ



  …………、
  植物には、きっと、成れないけれど、
  綺麗に死ぬことくらいは 願ってあげるわ。

 [ はなびらいちまい ゆびさきで取る。
  ─── 空想、ほしの辿り着いた先だ。

  いちまいを空に走らせようとして、
  ……バランスを崩してやめてしまったので、
  代わりに正面、碧を背景に見立てて、上げるように。 ]

 

(86) 2019/06/19(Wed) 22時頃

【人】 白菊会 ミサ



  せんせい、たとえば、
  そんな 酷い有様で生き延びたとして、
  せんせいも、綺麗に死ぬまで生きられたとして、

        
             ─────── 、

 

(87) 2019/06/19(Wed) 22時頃

【人】 白菊会 ミサ



  [ はなびらにまた ほしが おち、

   ─── きっとこたえを求めるよう に、
             碧を 見上げていた。 ]

 

(88) 2019/06/19(Wed) 22時頃

白菊会 ミサは、メモを貼った。

2019/06/19(Wed) 22時頃


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