158 Anotherday for "wolves"
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……、…なんて。
[ひたと見据えたのは、光る双眸。 ふわりと己の纏う血の香りを意識する。 あああ、やはり少し──洗い足りなかったか。
やがて視線をふいと逸らせば、眼光は幻のように消え常のよう。 遠く、苦い過去を見つめる目の色はやはり遠く]
… 今となっては、もう、分かりりゃしないが。
[どちらでも良い。と、口にする音も力なく]
(252) 2015/05/14(Thu) 00時半頃
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…さて。私はもう、行かなくては。 今日はこれから、墓参りでね。
[どう思うかと。 返された問いに応じるではなく、立ち上がって]
教会は掃除が必要なんだろう? 片付けなければ、仕方ないだろうからね。
[任せたといわんばかり言い放つ。 自ら行く気はないと言外に告げ、琥珀へちらと視線を流した]
(255) 2015/05/14(Thu) 00時半頃
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[止めた先を問わぬ声に、そっと男は目を伏せる。 ああ、やはり記憶にある通り。 そう、記憶にある通りに聡い男だ]
…─────、
[口元に仄かな笑みが浮かんだ。 その意味するところ、音とすることはなく]
(268) 2015/05/14(Thu) 01時頃
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………。部屋は好きなだけ使うといい。
[掠めるような言葉を置いて。 常の声色ではそう告げて、部屋を後にする。
扉を閉める、背が振り返ることは*なかった*]
(269) 2015/05/14(Thu) 01時半頃
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宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/14(Thu) 01時半頃
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─ 宿屋から ─
[押し殺したように、己の名を呼ぶ声>>276を聞いた。 それすら拒絶するように扉を閉めてきてしまった。
ああ、久しぶりに彼の名を呼んだなと思う。 頑なに呼ぶことをしてこなかった、かつての呼び名も。 どうしてだか、つい、口をついてしまった]
(……変わらない。)
[分かっていた。
変わっていようと変わっていない。 あの実直な瞳も、あの優しい心も。 それを傷つけ月日という名の埃を被せ続けてきたのは、 自分自身…そして彼自身か]
(336) 2015/05/14(Thu) 13時半頃
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[花屋へと向かう道すがら、囁かれる噂を聞いた。 告げられるオーレリアの名に、ああと悲痛な息を落とす。
村の人間から、彼女の雇い主であった男に向けられる、 遠慮がちな同情、お悔やみ、そして猜疑の視線。 場所は教会と、教えられるに礼を尽くしてまた立ち去る。 足を向けるは教会ではなく、花屋へと向け]
(337) 2015/05/14(Thu) 13時半頃
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─ 花屋 ─
クラリッサ。
[店番をしていたのは、昨夜会った娘だった>>243 迎えてくれた彼女の顔色が優れないように見え、 ふと気遣わしげにその顔を見直した。 さては今朝の噂のためであろうかと思いもするが]
話を聞いたかね──…
[どうやら、その為ではなかったよう。 族長が殺された話、オーレリアが殺された話。 伝えれば、彼女の顔はいっそう青褪めたか]
(338) 2015/05/14(Thu) 13時半頃
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大丈夫かい?
[オーレリアとは、彼女も親しくしてくれていたはずだ。 ならば無理はないと労わるように目を向けて。 座り込むようなら、少し、その傍に居るようだった]
……… 教会、だそうだよ。
[ぽつとその場所を告げる。 視線が交われば、男はゆっくり首を横に振った]
(339) 2015/05/14(Thu) 13時半頃
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いいや、私は行っていない。 行っても…、…もう、人が行ったあとだからね。 いや、それでも行った方がいいのかも知れないが…
[迷うように告げ、視線を宙に彷徨わせる。 優しい娘。最後は自分を見て、怯えていたとか]
…──── 怖くてね。
[飾らない響きをそのまま零し。 情けないような顔で、くしゃりと笑って目を向けた]
(340) 2015/05/14(Thu) 13時半頃
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起こってしまった事実が怖い。 人間の、怯えたような疑いのまなざしが怖い。 どうにも足が向かずに、こうしてここにいるわけだ。
……は。 この年になってもまだ、妻に助けを求めたいとは。
[命日だと、それを言い訳に来たのだと。 娘へと告げ、やれやれと額に皺じみた手を翳す]
(341) 2015/05/14(Thu) 13時半頃
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────、花を。
(342) 2015/05/14(Thu) 13時半頃
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いつものと、もうひとつ。
うん、もうひとつは束じゃなくていい… 二種類、くれないかな。
そうだな。そこの……ベコニアと、
[花の名前も、もう随分覚えた。 大半は彼女と彼女の母に教わってきたようなものだ。 八年間、こうして花屋に通う間に]
カルミアと…… そこの、カーネーションを。
[やがてカーネーションを小さな花束に。 他の花は束にはせず、共に貰って]
(343) 2015/05/14(Thu) 13時半頃
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……。二人にと思ってね。 まあ、教会で私が花を供えるわけにもいかないだろうから。
[人間たちの手前と、苦笑して。 ついと顔を上げる。 クラリッサの様子はどうだろう、少しは元気が出たろうか]
(345) 2015/05/14(Thu) 13時半頃
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あと、こんな時にすまないんだが──…
[ルパートの口調が少し変わった。 困ったように、ひどく言いにくそうに言葉を捜す。 纏う雰囲気は深刻なものではなく、 いつもの、子煩悩な父親そのままの顔と姿で]
メアリーが、その、…”大人”になったようで、
[若い女性に言うべきことじゃない。 けど、相談するならここだろうと決めてきたのだ。 ぼそぼそと後を続ける]
(346) 2015/05/14(Thu) 14時頃
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私とグレッグじゃ……、…良く分からなくてね。
[女性の生理にあまりに疎いと有りの侭を告白し。 すまないと頭を下げた]
母親も、姉もいないものだから。 すまないが、良かったら少し、見てやって欲しい。
(347) 2015/05/14(Thu) 14時頃
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[どうにも居心地悪く礼をする。 それでも言い切れば、肩の荷が下りたとばかり息をついた]
こんな時にすまないね。
[謝罪をもうひとつ繰り返し。 花を手に、花屋の扉に手を掛ける。 扉を開けば風が乗せるは、花の香りと仄かな血の*香りと*]
(348) 2015/05/14(Thu) 14時頃
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宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/14(Thu) 14時半頃
宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/14(Thu) 22時頃
宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/14(Thu) 23時半頃
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─ 花屋 ─
クラリッサ。 何もしていなくとも…、
… 罪人は出来るものだよ。
[先の言葉>>517へと、遅れたこたえ。 身体を斜めに、少し後ろを振り向くように返せば、 その表情はきっと彼女からはひどく見難く]
ここに味方はなく、ここに敵はなく。 されどお前の心が私を敵と見るなら、 お前はお前の心で私をそのようにするだろう──…
[何かを暗誦するかのように口にして。 一度静かに目を伏せる]
(529) 2015/05/14(Thu) 23時半頃
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ありがとう。
[少し躊躇うようにしてから、音を続ける]
君も、…気をつけるんだよ。
[そのまま、振り返らず店を出た。 だから彼女の足が止まったことに気付くことはなく、 その躊躇いに気付くこともなかった*]
(530) 2015/05/14(Thu) 23時半頃
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─ 川辺 ─
[墓へ向かう途中、男は足を止めて小川に寄った。 村内ではざわめいていた人の気配も、この場は遠い。 風が草木を揺らし、水がさらさら流れる音に耳傾ければ、 不穏な話もどこか遠いところの話のようで]
………、
[それでも。 この場に来たのは、その不穏があったからこそだ。 手にしている花の束、カーネーションは一度脇に置き、 ベコニアとカルミアの花を手に取った。
短い時間、瞑目し。 カルミアの花を小川へ投げ込む]
(534) 2015/05/15(Fri) 00時頃
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──── 族長に。
[さあっと風が吹き、小川に花の色が散る。 それへまた、一度頭を下げた]
……、オーレリアに。
[そしてもうひとつ、ベコニアの花を取って川へ投げ込む。 その花言葉を知ることはなかったけれど。 きらきら光る川へと落ちてゆく───”幸福な日々”]
(535) 2015/05/15(Fri) 00時頃
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オーレリアや。お前を、
[亡き人へと語りかける。 自分を怖いと言っていたと聞いた。 きっとそれは、正しい怯えだったのだろう。
己は人の肉を口にしたことがない。 食べてきたのは人と同じもの、多分これからもそうだろう。 けれど自分は”人狼”だった。
彼女は敏感に気付いていたのだろう。 自分の優しさが、宿屋の裏の動物たちへ向けると 同じ種類であることに。
食べようと思ったことはない。 けれど──…ただ、それだけのこと]
(536) 2015/05/15(Fri) 00時頃
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……お前を死なせたいと思ったことは、なかったよ。
[だから、言えるのはこれが精一杯。 かわいい娘だとは思っていた。 良く懐いた犬と同じように。
死ねば悲しいのは本当だ。 死ねば悲しい───惜しいと思う。 けれど人が人を想うように、悲しみはしない]
(537) 2015/05/15(Fri) 00時頃
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ありがとう。 ゆっくりお休み。
[ただ、惜しむ祈りは本物で。 花を手向けて目を伏せる。 少しの間そうして時を過ごし、 やがて傍らに置くカーネーションの花を再び手に取った]
… また、な。
[音は風に溶け、誰の耳にも届かず消えた*]
(538) 2015/05/15(Fri) 00時頃
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宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/15(Fri) 00時半頃
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─ 墓場 ─
[ルパートが墓場に着いたとき、そこに人の影はなかった。 つい先頃まで、娘と甥の姿があったはずだが。 入れ違いになってしまえば、そんなことを知る由もなく。
淡々と伸びかけた新緑を足元に踏みしめて、 慣れた道を目指す墓へと行く]
…おや。
[妻の墓は、今日は随分賑やかだった。 墓に掛けられている、花飾り>>501が一際目をひいて。 その下に、ささやかに供えられているのは、 やはり黄色い蒲公英とマーガレットの花束>>1:345で]
(591) 2015/05/15(Fri) 01時半頃
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………。
[優しく綿に包まれた花束に、 手にしてきた花束をそっと添えて置く。
時折、こうして花が添えられていることがある。 最初は誰のものかも分からなかった。 けれど八年続けば、自ずと推測も成り立つもので]
…───、来ていったんだね。
[誰がとは言わず、墓に眠る人に語りかける。 『やさしい人ね』───と。 かつて彼女が微笑んでいた声が、脳裏を過ぎる]
(592) 2015/05/15(Fri) 01時半頃
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─ 回想:八年前 ─
[彼女が亡くなった時に降り続いていた雨が冷やしたのだろう。 ひどく肌寒い一日だった。
夢の中のことのよう。 悪夢の中のようだった。 どこかぼうっとしたまま、妻が棺に納められるのを見守った。
───お父さん、お母さんそんなとこに入れないで。と。
訴えていた娘の声>>1:289だけは、良く覚えている]
(594) 2015/05/15(Fri) 01時半頃
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『グレッグ…、』
[甥は、青ざめた顔で立ち尽くしていた>>1:325 両親を、ルパートの兄と義姉を亡くして来た少年。 幼いメアリーが泣きじゃくっていた。
その子らの手を握り、頭を撫でてやるのが精一杯だった。 泣き喚きたくとも、それを自分に許すことは出来なかった]
『…………ルパート』
[”あの日”。 落とされた呼び声>>1:101が、先の呼び声>>276にも重なって、 耳の中に響き続けている]
(595) 2015/05/15(Fri) 01時半頃
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─ 現在 墓場 ─
………、ああ。
[息を吐くようにして、追憶の中から己を取り戻す。 分かっている、本当はずっと分かっていたはずだ。
彼は見捨てたんじゃない、見殺しにしたんじゃない。 けれど、どうしても届かなかった…掟の中においては。 その禁を破ってほしかった、破ってでもというのは我侭だ。
第一、それを彼女が喜んだかすら分からない。 ───多分、喜びはしなかったろう]
(596) 2015/05/15(Fri) 01時半頃
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[分かっている。 分かっていても尚……許せずに。
こうして墓に花を供え続けていてくれていると知って尚、 許すと言えずにいたのは、認めてしまえば 己を支えきる自信がなかった所為と、]
今更…ってね。
[凝り固まってしまった月日の長さに。 ずるずると、もう、どうしていいかも 分からなくなってしまったが為に]
──── 情けない、な…。
[妻にだけ、素顔晒すように口にして空を仰いだ。 いつまで経っても、あの懐かしい声が聞こえることなんてないけど
(597) 2015/05/15(Fri) 01時半頃
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でもキャシー。もうすぐだ。 もうすぐ…、きっと。
… きっと …。
[その先が、音として紡がれることはない。 密やかな祈りは誰の耳にも届かず、空へ溶ける*]
(598) 2015/05/15(Fri) 01時半頃
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宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/15(Fri) 02時頃
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