158 Anotherday for "wolves"
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[だから兄の使う言葉を疑問に思った。 ただその頃は、兄がことばを言い間違えてるという 根拠のない確信があった。]
おにいちゃん おかしいんだ。 おとうさんのこと 「おじさん」 だって。
[キャハハと愛らしく笑う、今よりも幼い少女は 叔父という言葉を知らなかった。 その時説明されたような気もするけれど 幼い少女に理解はできず。]
(406) 2015/05/14(Thu) 19時半頃
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「おじさん」って言ったら よそのひと みたい。
だからやだ。
[ときっぱり跳ねつけて 困り顔の父や母や兄にのしかかるように抱き付いて]
だってうちは よにんかぞく だもんねっ!
[そんな思い出話。]
(407) 2015/05/14(Thu) 19時半頃
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―今朝のこと―
[病気ではないと父は言うけれど>>179 じゃあなんだって 一体全体おしっこの出てくるところから 血が出るのかと少女は問うた。
すると父は 「大人になった」 そういう表現で初潮を言い表した。 そこで少女は]
わたし、おとなになったの!? もうおとなの仲間入りなのね!
[とはしゃいだという。]
(412) 2015/05/14(Thu) 20時頃
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[母の呼び名について、兄に告げる少女>>399は 眉をしかめて目は潤ませて 口はへの字に結んでいる。
兄への不満だけではない。 不安定な少女の理性と感情という天秤は ネジの外れたシーソーのように 大きく何度も傾いていた。
だが、それは果たして相手には伝わるのか。]
(418) 2015/05/14(Thu) 20時半頃
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[と思うと 兄が何か言ったか話の途中でも 構わず。]
あ! あのね、わたしね、今日ね、おとなになったんだよ! わたしもおとなの仲間入りになったんだって!
[と今朝のことを喜色満面に騒いだ。]
グレッグお兄ちゃん。 これで、わたしいつでもお兄ちゃんのお嫁さんになれるよ!
[と付け加えて。]
(419) 2015/05/14(Thu) 20時半頃
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「わかってる」
[そういう兄の声は優しいものだけど 兄が母のことを、「お母さん」と呼んだことを 少なくとも少女は知らない。
キャサリン、と名で読んだり ねえ、とかちょっと、とか。
そういう思い出が 兄の言葉から説得力を 奪う。
本当に…――? でも答えを知るのが怖くて わたしは、ただお兄ちゃんを見るだけ。]
(436) 2015/05/14(Thu) 21時頃
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[不思議がるグレッグに 少女もまた不思議そうに 小首を傾げて。
何だか呆れたような灰の眼が 頭のてっぺんからつま先まで 全体見るもんだからぷくっと 頬を膨らませて反論する。]
お父さんがゆってたもん。 わたし今日からおとなになったんだって。
[父には言えたが、年の近い兄には 「おしっこが血になった」とは言えず。]
(443) 2015/05/14(Thu) 21時半頃
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[それからまたころりと一変。 照れくさそうにもじもじと スカートの裾を弄りながら]
わたし、お兄ちゃんとけっこん したいんだもん。 ドナルドおじさんはね、マーゴが好きだから。 ジョスランさんはね、マーゴが好きだったけど 勘違いだったの。 でもわたしジョスランさんとは けっこんしたくないからいいの。
[とうろたえる兄を余所に手を包み込むように 握りしめた。]
(446) 2015/05/14(Thu) 21時半頃
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ねえねえ、いつけっこんできる? 明日できる?
[その問いをする少女の表情には 微笑みはなく、声を少し荒げて 困った様子で兄に尋ねた*]
(447) 2015/05/14(Thu) 21時半頃
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えぇー。 子どもの時からいっしょに居たから もう時間たまったと思ったのに。 おとなになったらいつでもけっこん できるんじゃなかったのか……。 たばかられた。
[兄の言葉>>466にがっかりして肩を落とす。
昨日ジョスランに言った内緒の話。 その話には続きがある。]
でももう少し先になったら グレッグお兄ちゃんともけっこんできるんだよね。
(482) 2015/05/14(Thu) 22時半頃
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[グレッグが父を「ルパート」と呼び 母を「キャサリン」を呼ぶのは
彼が……、従兄が本当の家族を忘れられないから。
お父さんとお母さんがそうだったように わたしがグレッグお兄ちゃんとけっこんしたら。
本当の家族になれる。
4つのピース。ひとつは欠けてしまったけど。 きっと3つはきっちりはまる。 そうしたら、もっときっとずっと一緒にいられる。]
(489) 2015/05/14(Thu) 23時頃
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[促される>>470ままに墓参りを済ませると マーゴの花輪を墓石に飾る。
「きれいな方をお母さんにあげるの」
そして自分はバスケットの中から くたびれた花輪を出して 自分の頭に。
花輪を飾る自分の姿は見えないけど 本当に教会に掛かっている絵のよう なのだろうか。
スカートを翻してみるけど いまいちピンとこず。
家に帰るのはいいのだけれど。 なるべくなら村はあまり歩きたくないな、 と兄の手をとり墓地を後にした。]
(501) 2015/05/14(Thu) 23時頃
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え?
[びっくりした声はすぐ隣にいた兄にも聞こえただろう。 尋ねられたら、向こうの茂みで何か動いたから そう返す。
帰りの道は少女には珍しく口数少なくなるのは 不気味な噂からか。
一歩 一歩
村に近づくたび、少女の顔は曇る。]
(505) 2015/05/14(Thu) 23時半頃
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う…。 いい、よ。 でもお話あんまりしないでね。
[と苦虫をかみつぶしたような顔で答えた。 兄も同じように時々眉をしかめる>>507のは あまり乗り気じゃないからだろうか。]
[小さく頷くと そのまま兄の向かうままに 診療所の方へ。]
(519) 2015/05/14(Thu) 23時半頃
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[まだ陽はあったが、薄暗い道。 沈黙が退屈だったが 話をする気分にもならず。
思い浮かんだ歌を口ずさむ。 山羊のうた。子山羊の歌。]
めえ めえ 森のこやぎ 森のこやぎ こやぎ走れば 小石にあたる あたりゃ あんよが あぁあ痛い そこでこやぎは めえと鳴く
めえ めえ 森のこやぎ 森のこやぎ こやぎ走れば 株こにあたる あたりゃ あんまが あぁあ痛い そこでこやぎは めえと鳴く
[ゆっくりと 子ども特有の高い声で]
(524) 2015/05/14(Thu) 23時半頃
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薮こあたれば 腹こがちくり とっこあたれば くびこが折れる 折れりゃこやぎは めえと鳴く
[歌いながら 少女はぼんやり思考を巡らせる。
可哀想なこやぎは誰なのか。]
(528) 2015/05/14(Thu) 23時半頃
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―診療所― [先生は、スティーブンは今いるのだろうか。 戸を叩くグレッグの背に隠れるようにして扉の方を覗き込む。]
[すると戸を開けたのはやはり家の主。>>539]
わたし……、ここで待ってる。
[そう口にするが、村での騒動からかグレッグに一緒にいるようにと促されれば渋々と隅でしゃがみこんで用事が済むのを待った。]
(544) 2015/05/15(Fri) 00時頃
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[「何か、集まっているの?」 というグレッグの声に、 グレッグの背中にしがみついたまま、中の様子を窺う。
ドナルドおじさん… ベネット… ジョスランさん…、と兄さん。 それからスティーブン先生に…… スティーブン先生の家にいる……黒い人。]
難しい、お話…――?
[小さく口を挟むと何人かと目があったかもしれない。]
(558) 2015/05/15(Fri) 00時半頃
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[部屋の方からベネットの声が聞こえる。>>559確かに聞き覚えのある声。その声によるとまだ犯人は見つかっていないらしい。]
……、お兄ちゃん。 わたし、怖い……。
[段々と心臓が急ぎだした。
トッ トッ トッ トッ
そんなに慌てないで。 わたしまで不安になってしまう。]
(565) 2015/05/15(Fri) 00時半頃
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や、だ……。
[中で休ませる、そのワードに 身をよじらせて兄や先生や他のおとなからすり抜けようとする。]
お兄ちゃん、大丈夫。 わたし大丈夫だから。 ここは……怖い。
[怖い話、聞きたくない話。それに。]
人を殺した人がいる、から…――。 わたしも殺される。
[スティーブン先生の方は見ないように、やっぱり診療所からでようとグレッグから離れて]
わたし…、先に帰る。
[とバスケットを顔の前にやって表情を隠しながら その場を拒絶した。]
(588) 2015/05/15(Fri) 01時頃
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[出際に]
さっき聞こえた、投票の話。 もしそんなものをするんだったら
わたしは先生が死んだらいいと思う。
[それはスティーブンの口からだったが>>523>>539 少女は人を呪わば穴二つと言わんばかりに そう吐き捨てて診療所を後にした。]
(603) 2015/05/15(Fri) 01時半頃
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―→宿屋―
[死んだらいい なんて。]
[自分の声に。 実際音としてその場に遺ると
それはなんとも恐ろしい言葉で。]
わたし……、ひどいこと…。 悪い……子。
[でも]
(608) 2015/05/15(Fri) 01時半頃
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人を食べる狼。 食べる狼を殺す狼。 殺す狼を食べるのは誰…――?
[全てはいたちごっこに思えた。]
(610) 2015/05/15(Fri) 01時半頃
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[村の喧騒は収まった…というより 騒動に巻き込まれることを恐れて 家にこもる人が増えたのか。]
家を締め切って…。 厚いカーテンの奥で…。
[そうすれば安心。殺されることはないし、疑いの目を掛けられることも、ない。]
(612) 2015/05/15(Fri) 01時半頃
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―4歳の記憶―
[わたしの大事なリボンの話。
お父さんのお友達のおじさんがクッキーをくれた。
何でも患者さんからもらったけど 自分は食べないからって。 クッキーを食べないなんて変な人もいるもんだ。 と運命の神とその送り主に密かに感謝して。
クッキーを包んでいた袋を結ぶ紐は 艶やかな淡いピンクのリボンで その色が可憐でとても素敵に思えた。]
(629) 2015/05/15(Fri) 02時頃
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[ それ、ちょうだい!
と声を大にすると、お父さんは 二つ返事でそのリボンをわたしにくれた。
お母さんがそのリボンを半分に切って、 ふたつに結った髪に飾ってくれた。
ふたりがとっても可愛いよって言ってくれるから わたしはお姫様になれた気がした。]
(630) 2015/05/15(Fri) 02時頃
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[次の日、私が手紙を捨てようと ゴミ箱の中を覗いたら、誰がいれたのか わたしのリボンがくしゃりとゴミと一緒に詰め込まれていた。
わたしはうわぁんと泣いて、 そしたらすぐに事情を知らずに捨てた兄は 謝ってくれたけど。
その騒動のせいで、結局父の大事な手紙は そのまま庭で灰になってしまった。
その日 わたしは大切なことを学んだ。]
(631) 2015/05/15(Fri) 02時頃
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「自分の大事なものと 誰かの大事なものは同じじゃない。
誰かの大事なものと 私の大事なものは同じじゃない。」
(633) 2015/05/15(Fri) 02時頃
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―宿屋―
[そこにはまだ人はいたのだろうか そしてもう人は帰っていたのだろうか。]
[木のコップに井戸水を入れて グレッグの話す投票の話を 喉を潤しながら聞いた。]
お兄ちゃん……。 わたし、人って殺しちゃいけないものなんだって 思ってたけど……。
それって間違ってたの?
[少女は表情暗く、兄に尋ねる。 答えなんてあるのか わかりゃしないけど。 それでも誰かに問わずにいれなくて。]
(659) 2015/05/15(Fri) 03時頃
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だって、人を殺すのはダメだって昨日聞いたのに。 今日は悪い人なら殺しても仕方ないなんて。 殺す、って別に悪いことじゃないの?
悪いことじゃないならもしかしたら明日 何気なく、朝の挨拶をするように わたしやお兄ちゃんやお父さんは殺されちゃうかもしれないの?
それってすごく すごく怖い。
[コップに映る水面は透き通っていて。 中の木の色が見えた。
またひとつ。口をつけて。]
(660) 2015/05/15(Fri) 03時頃
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